キャリアアップ助成金|賃金規定等改定コースの詳細と申請の流れを解説

公開日:2019/7/28 更新日:2026/4/2
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非正規雇用労働者のキャリアアップを促進するため、処遇改善等の取組を実施した事業主を支援する「キャリアアップ助成金」。その中にはいくつかのコースがあり、その中で「賃金規定等改定コース」は、有期雇用労働者等の賃金規定等に取り組むコースです。

このコースでは賃金引き上げ率に応じて、労働者1人あたり最大7万円が助成され、一定の要件を満たせば1事業所あたり20万円の加算も受けられます。本記事では、キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースについて詳しく解説します。

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この記事の目次

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キャリアアップ助成金について

キャリアアップ助成金には、以下のコースが用意されています。


本記事では、賃金規定等改定コースについて解説します。キャリアアップ助成金の全体像については、以下の記事を参考にしてください。

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キャリアアップ助成金とは?【2026年・令和8年】全コースの支給額と対象事業者を解説

賃金規定等改定コースの詳細

賃金規定等改定コースは、有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用させると受けられる助成金です。賃金規定等とは、以下のように就業規則や労働協約において、賃金額の定めがあるものを指します。


出典:キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)

これまでの賃金規定等より賃金額を引き上げることで本助成金の対象となるため、パート・アルバイトの賃上げを考えている事業者であれば、賃金規定等改定コースはタイミングとしても制度としても有効な選択肢です。なお、今回賃金規定等を新たに策定した場合でも、対象労働者の過去3か月の賃金と比較して、3%以上増額していることが確認できれば助成対象となります。

賃金規定等改定コースの助成額

賃金規定等改定コースでは、賃金の引き上げ率に応じて助成金が支給されます。詳しい支給額は、以下のとおりです。

昇給率中小企業大企業
3%以上4%未満4万円2.6万円
4%以上5%未満5万円3.3万円
5%以上6%未満6.5万円4.3万円
6%以上7万円4.6万円

中小企業の場合、引き上げ率が3%以上4%未満で4万円、6%以上なら最大の7万円となります。一例として、10人の有期雇用労働者等の賃金を3.5%引き上げた場合、助成金の支給額は40万円です。

大企業の場合は支給額が異なり、3%以上4%未満で2.6万円、6%以上なら4.6万円です。
なお、本助成金の申請対象人数の上限は、1事業所あたり最大100人までとなっています。

さらに、職務評価の導入や昇給制度の新設を行った場合は、以下の金額が加算されます。

■職務評価の手法の活用により賃金規定等を増額改定した場合
→20万円(大企業15万円)
■有期雇用労働者等に適用される昇給制度を新たに規定した場合
→20万円(大企業15万円)

上記の内、職務評価とは、職務内容や責任の程度を相対的に比較し、その職務に就く労働者の待遇が職務の大きさに見合っているか把握することをいいます。
人事評価や能力評価のように、個々の労働者の仕事ヘの取り組み方や能力を評価するものとは異なるためご注意ください。

職務評価の手法については、以下のように「要素別点数法」「単純比較法」「要素比較法」「分類法」が挙げられます。

出典:キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)

「単純比較法」または「分類法」により職務評価を行う場合、仕事を「職務内容」や「責任の程度」等に基づいて整理し、職務説明書に整理する必要があります。また、「要素別点数法」を使う場合には、相対的に比較するため、各評価要素の重み(ウェイト)は原則、同一事業所内で共通にすることが必要です。

なお、これらの加算を受けられるのは、1事業所あたり1回までとなります。

賃金規定等改定コースの対象者となる労働者

賃金規定等改定コースの対象となるのは、以下の全てに該当する労働者です。

① 賃金規定等を増額改定した日の3か月以上前から増額改定後6か月以上の期間継続して雇用されていること
② 改定後の賃金規定等が適用され、改定前の基本給より3%以上昇給していること
③改定前後から支給申請日までの間に、合理的な理由なく基本給や定額支給の諸手当が引き下げられていないこと
④改定日以降6か月間、当該事業所で雇用保険の被保険者であること
⑤事業主または取締役の3親等以内の親族でないこと
⑥支給申請日時点で離職していないこと

上記の条件を満たしている場合、従業員全体でなく一部の労働者のみの賃上げであっても、合理的な理由があれば助成対象として認められます。ただし、賃金規定等の改定を行った事業主や取締役の、3親等以内の親族は対象外になる点にご注意ください。

また、国や都道府県による最低賃金の引き上げがあった場合、その引き上げ分は増額分に含まれません。

賃金規定等改定コースの対象となる事業主

賃金規定等改定コースの対象となる事業主は、以下の全ての要件を満たす必要があります。

① 有期雇用労働者等に適用される賃金規定等を作成している
② 賃金規定等を3%以上増額改定し、当該賃金規定等に属する有期雇用労働者等に適用させた(新たに賃金規定等を整備する場合を含む。)
③ 増額改定前の賃金規定等を、3か月以上運用した
④ 増額改定後の賃金規定等を6か月以上運用し、かつ、対象労働者について定額で支給されている諸手当を減額していない
⑤ 【加算措置】職務評価を経て賃金規定等改定を行う場合にあっては、有期雇用労働者等および正規雇用労働者を対象に、職務評価を実施した
⑥ 【加算措置】昇給制度に係る加算の適用を受ける場合にあっては、雇用するすべての有期雇用労働者等に適用される昇給制度を新たに規定した

①~④の要件は本コースを申請する全ての事業者、⑤と⑥は加算措置を受ける事業者が満たすべき要件となります。

増額改定前の賃金規定等を3か月以上運用していることが要件ですが、新たに賃金規定等を整備する場合は、その整備前における3か月分の賃金支払状況が確認できることが必要です。

なお、キャリアアップ助成金の全コース共通の要件も定められているため、こちらも忘れずに確認しておきましょう。

【対象となる事業主(全コース共通)】
①雇用保険適用事業所の事業主
②雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主
③雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長に提出した事業主(届出のみ、認定不要)
④実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主
⑤キャリアアップ計画期間内に計画に記載した正社員化・処遇改善に取り組んだ事業主
※支給申請時点で各コースに定めるすべての支給要件を満たす必要あり
※キャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできません。
【以下に該当する事業主は受給できません】
  • 支給申請した年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を未納の事業主
  • 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主
  • 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらを受託する営業を行う事業主
  • 暴力団と関わりのある事業主
  • 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している事業主

申請時に提出する書類

本助成金の賃金規定等改定コースに申請する際は、以下の書類の提出が必要です。

申請書類・キャリアアップ助成金支給申請書
・賃金規定等改定コース内訳
・支給要件確認申立書
・支払方法・受取人住所届(未登録または振り込み口座変更の場合)
添付書類・管轄労働局長に届け出たキャリアアップ計画書(写し)
・改定前後の就業規則または労働協約等(写し)
・対象労働者の改定前後の雇用契約書または労働条件通知書等(写し)
・対象労働者の改定前後の賃金台帳等(写し)
・対象労働者の改定前後の出勤簿またはタイムカード等(写し)※賃金台帳等で、出勤日数および労働時間数が確認できない場合
・賃金台帳等に関する確認書

上記の他、代理人が申請する場合は委任状、中小企業事業主の場合は事業所確認票の提出が必要です。職務評価の改定等の加算措置を受ける場合、実施したことがわかる資料等の提示も必要となります。

賃金規定等改定コースの申請の流れ

最後に申請の流れについて確認しておきましょう。5つのステップがあります。

①キャリアアップ計画の作成・提出(賃金規定等を増額改定する日までに提出)
雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、労働組合等の意見を聞いて「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局長に提出(届出)してください。(2025年4月より認定は不要、届出のみに簡素化されました)

②賃金規定等の増額改定の実施
賃金規定等のすべてまたは一部について、3%以上の増額となるように改定します。なお、一部の等級・一部の労働者のみの改定でも、合理的な理由があれば助成対象となります。

③増額改定後の賃金に基づき6か月分の賃金を支給
増額改定時または増額改定後に、基本給や定額で支給されている諸手当を適用前と比べて減額していない必要があります。

④助成金支給申請
増額改定後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して、2か月以内に支給申請してください。

⑤支給決定
申請状況により、4~5か月など、審査に時間を要する場合があります。
【申請前の注意事項】
  • 同一の取組について2つ以上の助成金を申請した場合、いずれか一方しか支給されない場合があります(併給調整)。他の助成金との重複申請にご注意ください。
  • 年度の途中で制度の要件等が変更になる場合があります。取組を実施する前に、必ず最新の要件を管轄の労働局またはハローワークにご確認ください。
  • 一度提出した書類の差し替えや訂正は原則できません。申請前に内容を十分確認してください。

賃金規定等改定コースに関するよくある質問

賃金規定等がなくても対象になる?

はい、新たに賃金規定等を作成して対象労働者の基本給を3%以上増額した場合も支給対象となります。その場合は、整備前の賃金台帳等と比較して3%以上の増額が確認できることが条件です。

最低賃金の引き上げ分は増額率に含まれる?

含まれません。賃金規定が最低賃金を下回ることは法違反となるため、本コースでは、最低賃金を上回る部分の増額分しか計上できません。

一部の労働者だけ昇給しても対象になる?

一部の労働者だけ昇給しても対象になる?なります。ただし、雇用区分・職種・業務レベルなど、合理的な区分による限定である必要があります。年齢のみを理由とした限定は認められません。

基本給を上げても諸手当を減額したら対象外になる?

対象外になります。基本給を3%以上増額改定した場合でも、定額で支給されている諸手当を減額していると支給対象外となります。


参考:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース以外)Q&A

まとめ

キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースは、有期雇用労働者等の基本給を引き上げることで、1人あたり最大7万円の助成が受けられる制度です。制度を活用すれば、パート・アルバイトの賃上げに伴う人件費負担を抑えつつ、職場全体の定着率向上や生産性向上にもつなげることが可能です。
制度要件を確認のうえ、ぜひ前向きに申請をご検討ください。

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