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キャリアアップ助成金 賞与・退職金制度導入コースとは?最大56万8,000円の支給額・要件・申請の流れ【令和8年度】

公開日:2025/11/6 更新日:2026/9/3
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パート・アルバイトに賞与や退職金を出す会社は、まだ少数派です。しかし、その前提は令和8年10月に大きく変わります。パートタイム・有期雇用労働法の関係省令および告示が改正され、正社員と非正規雇用労働者の均等・均衡待遇の確保、待遇に関する説明義務の改善などの措置が令和8年10月1日から施行されるためです。

「賞与も退職金も正社員だけ」という運用を続けている企業にとって、この改正は無視できない転換点ではないでしょうか。とはいえ、制度をゼロから作るには就業規則の改定コストも、支給原資も必要です。

そこで活用したいのが、キャリアアップ助成金の賞与・退職金制度導入コースです。有期雇用労働者等に賞与または退職金の制度を新たに設けた事業主に対し、中小企業なら1事業所あたり最大56万8,000円が支給されます。令和8年度(2026年度)も支給額・支給要件に変更はなく、これまでどおりの内容で申請できます。

この記事では、賞与・退職金制度導入コースの助成額、事業主・労働者の支給要件、申請スケジュールと必要書類まで、厚生労働省の令和8年度版パンフレットとQ&Aをもとに解説します。

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【キャリアアップ助成金全コース】
<正社員化支援>
 ・正社員化コース
 ・障害者正社員化コース
<処遇改善支援>
 ・賃金規定等改定コース
 ・賃金規定等共通化コース
 ・【★本記事】賞与・退職金制度導入コース
 ・短時間労働者労働時間延長支援コース

キャリアアップ助成金とは?令和8年度の全6コース・支給額・対象事業者を解説【2026年】

この記事の目次

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キャリアアップ助成金 賞与・退職金制度導入コースとは?

キャリアアップ助成金の賞与・退職金制度導入コースは、就業規則または労働協約の定めるところにより、雇用するすべての有期雇用労働者等に賞与もしくは退職金制度またはその両方を新たに設け、実際に支給または積立てを実施した事業主に助成する制度です。厚生労働省が所管する雇用関係助成金の一つで、令和8年度は全6コースあるキャリアアップ助成金のうち「処遇改善支援」に位置づけられています。

支給されるのは1事業所あたり1回のみで、労働者1人あたりではなく事業所単位の助成である点が、正社員化コースや賃金規定等改定コースとの大きな違いです。

本制度における「賞与」と「退職金」の定義は?

本コースで助成対象となる賞与と退職金は、厚生労働省の支給要領で次のように定義されています。名称ではなく制度の中身で判断されるため、導入前に必ず確認してください。

用語定義
賞与一般的に労働者の勤務成績に応じて定期または臨時に支給される手当(いわゆるボーナス)
退職金事業所を退職する労働者に対して、在職年数等に応じて支給される退職金(年金払いによるものを含む)を積み立てるための制度であって、積立金や掛金等の費用を全額事業主が負担することが就業規則または労働協約に規定されており、実際に積立金等の費用を全額事業主が負担するもの(事業主が拠出する掛金に上乗せして従業員が掛金を拠出する場合を含む)

退職金については、積立・拠出費用を事業主が全額負担する制度であることを就業規則等に明記する必要があります。従業員が自ら掛金を負担する仕組みだけでは要件を満たしません。

なお、過去に「旧諸手当制度共通化コース」または「旧諸手当制度等共通化コース」の助成金の支給を受けている事業主は、本コースの支給対象外となります。ただし、健康診断制度を新たに設けて実施した場合の助成のみを受けていた場合は除かれます。

令和8年度に変更点はある?

賞与・退職金制度導入コースについて、令和8年度の支給額および支給要件に変更はありません。厚生労働省のQ&A(令和8年度版)でも、令和8年4月1日から支給要件や支給額に大きな変更はないと明記されています。

令和8年4月8日に追加された改正は正社員化コースの「情報公表加算」の新設のみで、本コースには影響しません。参照すべき資料は、令和8年4月8日付けの「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」および令和8年7月29日に改訂されたQ&Aです。

賞与・退職金制度導入コースはいくらもらえる?

賞与・退職金制度導入コースの助成額は、中小企業が1事業所あたり40万円、賞与と退職金を同時に導入した場合は56万8,000円です。大企業は30万円、同時導入で42万6,000円となります。

助成額の一覧

企業規模と導入した制度の組み合わせによる助成額は、以下のとおりです。

企業規模賞与または退職金制度のいずれかを導入賞与および退職金制度を同時に導入
中小企業40万円56万8,000円
大企業30万円42万6,000円

中小企業が賞与と退職金を同時に導入すると、いずれか一方の場合と比べて16万8,000円が上乗せされます。どちらか一方の導入を検討している段階であれば、同時導入まで踏み込む価値は十分にあるといえるでしょう。

加算を受ける場合、賞与制度と退職金制度を同時に導入(新たに就業規則等に規定)している必要があります。ただし、初回の賞与の支給日と初回の退職金の積立て日が同じ日である必要はありません。

自社は中小企業に該当する?

本コースの中小企業事業主の範囲は、業種ごとに「資本金の額・出資の総額」または「常時雇用する労働者の数」のいずれかを満たすかで判定されます。いずれも支給申請時点の額・人数で判断します。

業種資本金の額・出資の総額常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

ここでいう「常時雇用する労働者」とは、2か月を超えて使用される者であり、かつ週当たりの所定労働時間が通常の労働者と概ね同等である者を指します。資本金等のない事業主については、労働者数のみで判定します。

賞与・退職金制度導入コースの支給要件は?

賞与・退職金制度導入コースの支給を受けるには、事業主側の6要件と労働者側の4要件をすべて満たす必要があります。加えて、雇用保険適用事業所であること、キャリアアップ管理者を置いていることなど、キャリアアップ助成金の全コース共通の要件も満たさなければなりません。

対象となる事業主の要件

支給対象となる事業主は、次のすべてに該当する必要があります。

番号要件
就業規則または労働協約の定めるところにより、雇用するすべての有期雇用労働者等に関して、賞与もしくは退職金制度またはその両方を新たに設けた事業主であること(退職金制度は、費用を全額事業主が負担することが規定されたものに限る)
①の制度に基づき、対象労働者1人につき、賞与は6か月分相当として50,000円以上を支給した、または退職金は1か月分相当として3,000円以上を6か月分もしくは6か月分相当として18,000円以上を積立てした事業主であること
①の制度をすべての有期雇用労働者等に適用させた事業主であること
①の制度を初回の賞与の支給または退職金の積立て後、6か月以上運用している事業主であること
①の制度の適用を受けるすべての有期雇用労働者等について、適用前と比べて基本給および定額で支給されている諸手当を減額していない事業主であること
退職金の積立てで申請する場合、支給決定後に積立金等が確認できる書類を提出することに同意している事業主であること

厚生労働省のQ&Aでは、ここでいう「適用」とは単に制度を導入することではなく、実際に当該制度が運用され、制度に基づく賃金が支給されていることを指すと説明されています。中退共など外部の積立を利用し、初回に複数月分をまとめて積み立てた場合も、初回の積立てから「適用」されたとみなされます。

対象となる労働者の要件

本コースの対象労働者は、次のすべてに該当する有期雇用労働者等です。

番号要件
賞与もしくは退職金制度またはその両方を新たに設けた日(制度施行日。以下「新設日」)の前日から起算して3か月以上前の日から、新設日以降6か月以上の期間継続して支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等
制度を新たに設け、初回の賞与支給または退職金の積立てをした日以降の6か月間、当該事業所において雇用保険被保険者であること
制度を新たに設け適用した事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者
支給申請日において離職していない者

①の「新設日以降6か月以上」については、勤務をした日数が11日未満の月は除いて数えます。ただし、有給休暇等で労働対価が全額支給された日は出勤日とみなされます。

なお、定年の適用を受けない有期雇用労働者については、原則として年齢にかかわらず退職金制度を適用している必要があります(ごく短期間の雇用契約である場合を除く)。年齢を理由に一部の労働者を退職金制度から外すと、要件を満たさなくなる可能性があるため注意してください。

賞与5万円・退職金1万8,000円の基準は全員分が必要?

原則として、対象労働者要件を満たすすべての労働者に、規定の金額以上の賞与支給または退職金積立を行う必要があります。業務評価や勤務実績の査定の結果、対象労働者のうち5万円に満たない者が1人でもいた場合は申請できません

ただし例外があります。たとえば賞与の算定期間が7月から12月の6か月間であるのに対し、9月1日から採用された労働者については、規定の金額に「在籍期間÷算定期間」(この例では6分の4)を乗じた金額以上の支払いがあり、他の有期雇用労働者等で規定の金額以上の支払いが確認できれば、支給対象となり得ます。

「新たに設けた」と認められないケースは?

すでに一部の有期雇用労働者等に賞与を支給しており、就業規則上も制度の規定がある企業が、「すべての有期雇用労働者等に対して一律支給する」と就業規則を変更しただけの場合は、「対象を拡大した」と解され、賞与制度を「新たに設けた」とはいえないため支給対象外となります。

一方、就業規則等に規定がなく、慣例的に支給していた賞与制度を就業規則等において規定した場合は支給対象となり得ます。退職金制度についても同じ扱いです。

また、合理的な理由なく一部の労働者のみを対象とするように制度を規定または運用している場合は支給対象外です。社外積立型の退職金制度で、一部の労働者のみが加入対象となる条件がある場合も同様に扱われます。ただし、退職金制度の加入要件に「勤続1年以上経過した者」といった一定の勤続年数(著しく長いものを除く)を設けることは、退職金の功労報償的性格に照らして合理的な理由と認められ、支給対象となり得ます。

【要件を満たす退職金制度の選択肢】
退職金制度は社外積立型でも支給対象となり得ます。中小企業退職金共済(中退共)、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、生命保険契約に基づく年金・一時金などが該当します。中退共は掛金の一部を国が助成する制度でもあるため、キャリアアップ助成金と組み合わせて導入コストを抑えられます。

中小企業退職金共済制度(中退共制度)とは?制度内容とメリット・デメリットやシミュレーションも紹介

賞与・退職金制度導入コースの申請手順とスケジュールは?

賞与・退職金制度導入コースの申請は、「キャリアアップ計画の提出 → 就業規則等への制度規定 → 初回の賞与支給または退職金積立 → 6か月分の賃金支給 → 支給申請」という流れで進みます。支給申請期間は、初回の賞与の支給または退職金の積立て後、6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内です。

キャリアアップ計画をコース実施日の前日までに提出する

キャリアアップ助成金を活用するには、コース実施日の前日までに「キャリアアップ計画書」を管轄労働局長に提出する必要があります。本コースにおけるコース実施日は、賞与もしくは退職金制度またはその両制度を就業規則等に規定した日です。

キャリアアップ計画書の作成にあたっては、次の4点を押さえてください。

  • 雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を決める(複数の事業所および労働者代表との兼任は不可)
  • 3年以上5年以内の計画期間を定める
  • 計画対象者、目標、期間、目標達成のために事業主が行う取り組みを、活用するコースに沿って記載する
  • 有期雇用労働者等を含む事業所における「全ての労働者の代表」から意見を聴く

計画書の提出が制度規定日の前日までに間に合わないと、その取り組みは助成対象になりません。厚生労働省もコース実施日の1か月前など、余裕を持った提出を求めています。

支給申請期間はいつからいつまで?

支給申請期間の起算点となる「6か月分の賃金を支給した日」とは、初回の賞与の支給または退職金の積立て後に到来する最も早い賃金支払い日を含めて、6か月分の賃金を支給した日を指します。

たとえば賃金締切日が毎月20日、賃金支払日が翌月10日の事業所で、4月1日に賞与制度を規定し6月30日に初回の賞与を支給した場合、初回支給後に最も早く到来する賃金支払日は7月10日、6か月分の賃金を支給した日は12月10日となり、支給申請期間は12月11日から翌年2月10日までです。

キャリアアップ助成金 賞与・退職金制度導入コースの申請スケジュールを示した図

賞与制度と退職金制度を同時に導入して加算を受ける場合、支給申請期間は初回の賞与支給日または退職金の積立て日のいずれか遅い日から起算して、6か月分の賃金を支給した日の翌日から2か月以内となります。

賞与と退職金制度を同時に導入した場合の申請スケジュールを示した図
出典:キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)

なお、初回の賞与の支給日または退職金の積立て日が賃金支払日と同じ日である場合は、その翌月の賃金支払日から起算して6か月分の賃金を支給した日が基準となります。また、対象労働者に勤務日数が11日未満の月があった場合、申請期間の始期はその分だけ後ろにずれます。

申請に必要な書類は?

支給申請時に提出する主な書類は以下のとおりです。労働局が必要と認める書類の提出を求められる場合もあります。

区分書類名
申請書類キャリアアップ助成金支給申請書(様式第3号)
申請書類賞与・退職金制度導入コース内訳(様式第3号・別添様式5)
申請書類支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
申請書類支払方法・受取人住所届(未登録または口座変更の場合)
添付書類管轄労働局長に受理されたキャリアアップ計画書の写し
添付書類制度新設前後の就業規則または労働協約等の写し
添付書類対象労働者全員の制度新設前後の雇用契約書または労働条件通知書等の写し
添付書類対象労働者全員の初回の支給・積立て前3か月分と後6か月分および賞与支給月分の賃金台帳等の写し
添付書類賃金台帳等に関する確認書
条件付き退職金制度を導入する場合は、対象労働者に係る積立金等が確認できる書類
条件付き常時雇用する労働者の数で中小企業であることを証明する場合は、事業所確認票(様式第4号)

添付書類は、原本から転記したり別途作成したりしたものではなく、事業場で実際に調製している原本、または原本を複写機等で複写したものである必要があります。原本から加工・転記した書類を提出したことが明らかになった場合、不支給決定となります。

申請窓口と電子申請

申請窓口は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局です。窓口への持参、郵送のほか、電子申請にも対応しています。

電子申請を利用する場合は「雇用関係助成金ポータル」から手続きします。GビズIDを取得したうえで事業所情報を登録し、初回のみ「支払方法・受取人住所届」を提出したあと、コースごとにキャリアアップ計画を電子申請で届け出る流れです。キャリアアップ計画を電子申請で提出していない場合、支給申請画面は表示されません。紙で計画届を提出済みの場合、すでに取り組みを講じた分は引き続き紙での支給申請となります。

書類の様式は、厚生労働省のキャリアアップ助成金公式ページから確認・ダウンロードできます。

【不正受給への対応にご注意ください】
偽りその他不正の行為により助成金を受給した場合、全額返還に加え、受給日の翌日から返還終了日までの期間について年3%の延滞金、さらに返還額の20%に相当する額が違約金として請求されます。不正受給決定日から5年間は雇用関係助成金を受給できず、公表基準に該当する場合は事業主名・代表者名が公表されます。従業員や代理人が不正行為を行った場合でも、事業主名で申請している以上、事業主の不正受給に該当します。


賞与・退職金制度導入コースに関するよくある質問

賞与・退職金制度導入コースについて、厚生労働省のQ&A(令和8年度版)をもとによくある質問をまとめました。

正規雇用労働者が1人もいない事業所でも対象になる?

対象になります。本コースの趣旨は、雇用する有期雇用労働者等に賞与・退職金制度を導入することによる有期雇用労働者等の処遇改善であるため、正規雇用労働者が1人も存在しない場合であっても支給を受けることができます。



中退共など社外積立型の退職金制度を導入した場合も対象になる?

対象となり得ます。中小企業退職金共済制度のような社外積立型の退職金制度を導入する場合でも、積立金や掛金等の費用を全額事業主が負担することが就業規則等に規定され、実際に事業主が全額負担していれば支給対象です。確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、生命保険契約に基づく年金・一時金なども同様に扱われます。



iDeCo(個人型確定拠出年金)は退職金制度として認められる?

認められません。厚生労働省のQ&Aでは、iDeCoやiDeCoプラスは個人が主体的に加入する年金積立制度であり、事業所から上乗せ拠出を行っている場合であっても、事業所が自社の労働者を対象として規定する「退職金制度」には該当しないとされています。本コースの退職金は積立金等の費用を全額事業主が負担する制度に限られるため、iDeCoへの上乗せ拠出のみでは要件を満たしません。



一部の労働者に限定して賞与・退職金制度を導入した場合は対象になる?

合理的な理由なく一部の労働者のみを対象とするように賞与・退職金制度を就業規則等に規定もしくは運用している場合は、支給対象外となります。社外積立型の退職金制度に一部の労働者のみが加入対象となる条件がある場合も含まれます。ただし、退職金制度の加入要件に「勤続1年以上経過した者」といった一定の勤続年数(著しく長いものを除く)を設けることは、退職金の功労報償的性格に照らして合理的な理由と認められ、支給対象となり得ます。



対象労働者のうち1人でも賞与が5万円未満だと申請できない?

申請できません。対象労働者要件を満たすすべての者に規定の金額以上の賞与支給あるいは退職金積立を行っていない場合、支給対象とはなりません。業務評価や勤務実績等の査定の結果、5万円に満たない者が1人でもいた場合は申請できない扱いです。ただし、賞与の算定期間の途中で採用された労働者については、規定の金額に在籍期間÷算定期間を乗じた金額以上の支払いがあり、他の有期雇用労働者等で規定の金額以上の支払いが確認できれば支給対象となり得ます。



慣例的に支給していた賞与を就業規則に規定した場合も対象になる?

対象となり得ます。就業規則等に規定がなく、慣例的に支給していた賞与制度を就業規則等において規定した場合は支給対象です。退職金制度も同じ扱いとなります。一方、すでに一部の有期雇用労働者等に賞与を支給し就業規則にも規定がある企業が、すべての有期雇用労働者等に一律支給すると就業規則を変更しただけの場合は「対象を拡大した」と解され、支給対象外です。



賞与と退職金を同時に導入したが片方だけ要件を満たさなかった場合は?

要件を満たしていた片方の制度に対してのみ助成を受けることができます。ただし、同時の導入には該当しないため、56万8,000円(大企業は42万6,000円)への加算の対象外となり、いずれか一方を導入した場合の40万円(大企業は30万円)が支給額となります。



規定の不備で不支給になったら、もう申請できない?

賞与・退職金制度導入コースと賃金規定等共通化コースについては、再申請の余地があります。キャリアアップ計画期間内に新たに設けた制度が支給要件を満たす制度ではなかった場合、都道府県労働局の助言指導を受けつつ支給要件を満たす制度に改定すれば、その改定日が新たな措置日(要件を満たす制度導入日)とみなされます。改定日以後の規定の適用から6か月分の賃金を支給した日より2か月が経過する日までの間に、支給申請を行うことができます。



支給申請期間の起算日はどのように数える?

初回の賞与の支給または退職金の積立て後に到来する最も早い賃金支払い日を含めて、6か月分の賃金を支給した日の翌日から2か月以内が支給申請期間です。賃金締切日が毎月20日、賃金支払日が翌月10日の事業所で、4月1日に賞与制度を規定し6月30日に初回の賞与を支給した場合、6か月分の賃金を支給した日は12月10日となり、支給申請期間は12月11日から翌年2月10日までとなります。なお、金融機関の休日等の理由で就業規則に規定した賃金支払日より前に賃金を支給した場合は、実際に賃金が支給された日の翌日から起算します。



退職金の積立てを証明する書類は何を提出する?

導入した制度によって異なります。事業主が費用を拠出した積立金による退職金制度の場合は退職金規程と対象者ごとの積立額が分かる対象者名簿など、中小企業退職金共済の場合は退職金規程・加入証明書・実際の掛金が納付されていることが分かる書類、確定給付企業年金の場合は規約および厚生労働大臣の承認に関する通知と実際に積立が行われていることが分かる書類、生命保険契約に基づく場合は退職金規程・対象者名簿・保険証書・掛金納付が分かる書類などが挙げられます。



まとめ

キャリアアップ助成金の賞与・退職金制度導入コースは、有期雇用労働者等に賞与または退職金の制度を新たに設けた事業主に対し、中小企業なら40万円、賞与と退職金を同時に導入すれば56万8,000円が支給される制度です。令和8年度も支給額・要件に変更はなく、1事業所あたり1回限りの助成となります。

令和8年10月1日にはパートタイム・有期雇用労働法の関係省令・告示改正が施行され、均等・均衡待遇の確保と待遇に関する説明義務の改善が求められます。制度整備を先送りするほど、対応は難しくなるのではないでしょうか。処遇改善による定着率の向上や採用面での魅力づけにもつながるため、この機会に検討する価値は大きいといえます。

申請にあたっての最大の注意点は、キャリアアップ計画書を制度の規定日の前日までに提出することです。この1点を落とすと、どれだけ制度を整えても助成対象になりません。あわせて、申請期限が初回の賞与支給または退職金積立後、6か月分の賃金支給日の翌日から2か月以内であることも踏まえ、計画的に進めましょう。

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