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キャリアアップ助成金 障害者正社員化コースとは?最大120万円・支給額・要件・申請方法【2026年・令和8年度】

公開日:2023/3/9 更新日:2026/8/27
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2026年7月1日から、民間企業の障害者法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられ、雇用義務の対象企業も従業員40人以上から37.5人以上に拡大されました。これまで努力目標にとどまっていた中小企業にも、いよいよ雇用義務が課される時代に入っています。

こうした流れのなかで注目されているのが、非正規雇用の障害者を正社員化した中小企業に1人あたり最大120万円を支給する厚生労働省のキャリアアップ助成金「障害者正社員化コース」です。令和8年度(2026年度)版パンフレットからは、対象者に「高次脳機能障害と診断された者」が明記され、適用範囲がより明確になりました。

本記事では、障害者正社員化コースの令和8年度の最新情報として、支給額・対象者要件・事業主要件・申請フロー・関連助成金までを、法定雇用率2.7%改正の背景とあわせてまとめて解説します。

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この記事の目次

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キャリアアップ助成金 障害者正社員化コースとは?最大120万円で障害者の正社員化を支援

キャリアアップ助成金 障害者正社員化コースは、障害のある有期雇用・無期雇用労働者を正規雇用に転換した事業主に、1人あたり最大120万円(中小企業・重度身体障害者等・有期→正規)を支給する厚生労働省の雇用系助成金です。障害者の雇用促進と職場定着を目的とした制度で、キャリアアップ助成金の全6コースのうちの1つとして運用されています。

支給対象となるのは、以下2つの措置のいずれかを継続的に実施した事業主です。

①有期雇用労働者を正規雇用労働者(多様な正社員を含む)、または無期雇用労働者に転換する
②無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する

「多様な正社員」には、勤務地限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員が含まれます。同じキャリアアップ助成金でも、通常の「正社員化コース」は障害者以外の非正規雇用労働者を対象とし、本コースは障害者の正社員化に特化して助成額が上乗せされているのが特徴です。

キャリアアップ助成金とは?令和8年度の全6コース・支給額・対象事業者を解説【2026年】

令和8年度の主な変更点|「高次脳機能障害と診断された者」が対象に明記

障害者正社員化コースの令和8年度(2026年度)版パンフレットにおける主な変更点は、対象者に「高次脳機能障害と診断された者」が明記された点です。高次脳機能障害は、交通事故や脳卒中などによる脳のダメージが原因で、記憶・注意・言語・行動などの認知機能に障害が生じた状態を指します。

助成額は、重度以外の身体障害者・知的障害者・発達障害者・難病患者と同じ区分が適用されます(中小企業の場合、有期雇用→正規雇用で1人あたり90万円)。これにより、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれも持たない高次脳機能障害の方であっても、医師の診断で該当が確認できれば助成対象となる余地が広がりました。

2026年7月から障害者法定雇用率が2.7%に引き上げ|37.5人以上の企業が対象

本コースの重要度は、2026年7月1日から施行された障害者法定雇用率2.7%への引き上げによってさらに高まっています。これまで法定雇用率2.5%(従業員40人以上)が適用されていた民間企業の障害者雇用義務が、以下のとおり強化されました。

時期法定雇用率対象企業規模(民間)
2021年3月〜2.3%従業員43.5人以上
2024年4月〜2.5%従業員40人以上
2026年7月〜(現在)2.7%従業員37.5人以上

この改正で、これまで雇用義務のなかった従業員37.5人〜39人の中小企業も新たに雇用義務の対象になっています。障害者雇用促進法第43条に基づく規定で、少なくとも5年ごとに見直されるルールとなっており、今回の2.7%への引き上げはその延長線上の段階的措置です。

法定雇用率未達成のペナルティ|100人超の企業に月額5万円/人の納付金

法定雇用率を達成できない場合のペナルティは、企業規模によって内容が異なります。特に常用労働者100人超の事業主には金銭的な負担が発生するため、正社員化コースなどの助成金を活用しながら計画的に対応することが重要です。

企業規模法定雇用率未達成時の対応
常用労働者37.5〜100人雇用義務あり。ハローワークからの行政指導の対象。改善されない場合は企業名が公表される可能性あり。障害者雇用納付金の徴収対象外
常用労働者100人超雇用義務あり。不足1人あたり月額5万円の障害者雇用納付金が徴収される。ハローワークからの行政指導、企業名公表の対象

なお、障害者雇用納付金制度の徴収対象は障害者雇用促進法第53条以下に定められており、管轄は独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)です。100人以下の企業への適用拡大も厚生労働省で議論されている段階のため、今後の動向にも注視が必要です。

障害者正社員化コースの支給額|最大120万円の内訳

障害者正社員化コースの支給額は、支給対象者の障害区分と実施した措置(有期→正規、有期→無期、無期→正規)によって変動します。中小企業で最も高額となるのは、重度身体障害者等を有期雇用から正規雇用に転換した場合の120万円です。

支給対象期間は1年間で、最初の6か月を「第1期」、次の6か月を「第2期」と呼び、それぞれの期の末に分割支給されます。

支給対象者措置内容支給総額(中小/大企業)支給対象期ごとの支給額
重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者有期雇用→正規雇用120万円(90万円)60万円×2期(45万円×2期)
有期雇用→無期雇用60万円(45万円)30万円×2期(22.5万円×2期)
無期雇用→正規雇用60万円(45万円)30万円×2期(22.5万円×2期)
重度以外の身体障害者・重度以外の知的障害者・発達障害者・難病患者・高次脳機能障害と診断された者有期雇用→正規雇用90万円(67.5万円)45万円×2期(33.5万円×2期※)
有期雇用→無期雇用45万円(33万円)22.5万円×2期(16.5万円×2期)
無期雇用→正規雇用45万円(33万円)22.5万円×2期(16.5万円×2期)

※括弧内は大企業の支給額です。※重度以外の身体障害者等・有期→正規・大企業の第2期支給額は34万円となります。

【賃金上限の注意点】
助成金額が各支給対象期に支払った賃金の総額を上回る場合、実際に支払った賃金の総額が支給上限となります。特に短時間労働者を正社員化する場合は、この賃金上限に該当する可能性があるため要注意です。事前に半年間の支払賃金見込みと助成金額を比較しておきましょう。

「重度身体障害者」と「重度以外」の区分の見分け方

支給額に大きな差が出る「重度」の判定基準を整理します。身体障害者手帳の等級・療育手帳の判定・精神障害者保健福祉手帳の等級によって、重度か重度以外かが決まります。事前に対象労働者の手帳区分を確認しておきましょう。

障害区分「重度」の判定基準
重度身体障害者身体障害者手帳1級・2級(一部の3級を含む)
重度知的障害者療育手帳「A」判定(重度と判定された者)
精神障害者精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は原則として支給対象。区分は等級ではなく個別判断

障害者正社員化コースの対象事業主・共通要件

障害者正社員化コースの支給対象となる事業主の主な要件は、以下のとおりです。キャリアアップ助成金の全コース共通の要件です。

①雇用保険適用事業所の事業主であること
②雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いていること(複数事業所や労働者代表との兼任は不可)
③雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長に提出していること
④コースの措置に関係する対象労働者の労働条件・勤務状況・賃金支払状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明確に示せること
⑤キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだこと

本コースに申請するためには、コース実施日の前日までに、管轄労働局長にキャリアアップ計画書を提出する必要があります。転換後の事後提出は認められず、提出漏れは不支給の直接的な原因となります。

キャリアアップ助成金 障害者正社員化コースの申請フローを示した図

なお、労働保険料を納入していない事業主、過去1年以内に法令違反があった事業主、風俗業・暴力団関連者等は受給対象外となります。

障害者正社員化コース固有の事業主要件11項目

障害者正社員化コースには、共通要件に加えてコース固有の11項目の要件があり、すべて満たす必要があります。特に「⑦転換後6か月間の賃金を転換前より減額させていないこと」「⑧転換日前後の事業主都合離職者の有無」の2点が、不支給になりやすいポイントです。

  • ①有期雇用労働者を正規雇用または無期雇用に転換、または無期雇用労働者を正規雇用に転換したこと
  • ②対象労働者を支給対象期ごとに6か月以上継続して雇用し(勤務日数が月11日未満の月を除く)、その期間の賃金(時間外手当を含む)を支払ったこと
  • ③転換日以降、対象労働者を雇用保険被保険者として適用させていること
  • ④転換日以降、対象労働者を社会保険の適用要件を満たす事業所で雇用し、労働条件が要件を満たす場合は社会保険を適用させていること
  • ⑤多様な正社員に転換する場合、その雇用区分を労働協約または就業規則、その他これに準ずるものに規定していること
  • ⑥転換時に対象労働者の同意を得ていること
  • ⑦転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間の賃金より減額させていないこと。第2期は第1期と比較して合理的な理由なく引き下げていないこと
  • ⑧転換日の前日の6か月前から1年後までの間に、事業主都合で雇用保険の被保険者を解雇等により離職させていないこと
  • ⑨転換日の前日の6か月前から1年後までの間に、事業主都合による離職者(特定受給資格者)の割合が、転換日時点の雇用保険被保険者数に対して6%を超えていないこと
  • ⑩支給申請時点で、支給の対象となる対象労働者を解雇等事業主都合で離職させていないこと
  • ⑪転換後に、対象労働者について最低賃金の減額特例の許可を受けていないこと

対象となる障害者労働者の要件

本コースの対象労働者は、身体障害者・知的障害者・精神障害者・発達障害者・難病患者・高次脳機能障害と診断された者のうち、通算6か月以上雇用されている有期・無期雇用労働者で、以下すべての要件を満たす必要があります。障害者手帳の有無だけでなく、雇用形態・過去の雇用歴・親族関係など複数の観点で判定されます。

  • ①申請事業主に雇用される労働者であること
  • ②身体障害者・知的障害者・精神障害者・発達障害者・難病患者・脳の機能的損傷に基づく精神障害である高次脳機能障害と診断された者のいずれかに該当すること
  • ③就労継続支援A型事業の利用者ではないこと
  • ④正社員とは異なる賃金ルールが適用される雇用区分で、同じ会社に通算6か月以上雇用されている有期雇用労働者、または通算6か月以上(障害者トライアル雇用期間を含む)雇用されている無期雇用労働者
  • ⑤事前に正規雇用や無期雇用で雇い入れられることを約束された労働者ではないこと
  • ⑥過去3年以内に同一の事業主やグループ会社等で、正規雇用や無期雇用として雇い入れられていないこと
  • ⑦転換を行った適用事業所の事業主、または取締役の3親等以内の親族以外であること
  • ⑧無期雇用労働者に転換される場合、通算契約期間が5年を超え、期間の定めのない労働契約の締結申込みの権利を有する者ではないこと
  • ⑨今後、別の雇用形態に戻る予定がないこと
  • ⑩支給申請日において、転換後の雇用区分の状態が継続し、離職していないこと
  • ⑪転換後の雇用形態に定年制が適用される場合、転換日から定年までの期間が1年以上あること

障害者手帳がない発達障害者・難病患者・高次脳機能障害者も対象

障害者正社員化コースの大きな特徴として、発達障害者・難病患者・高次脳機能障害と診断された者については障害者手帳の有無を問わない点があります。医師の診断書等で該当が確認できれば支給対象となります。

一方で身体障害者・知的障害者・精神障害者については、それぞれ身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている必要があります。新規雇用の段階から支援を受けたい場合は、別の助成金である「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」も併用検討できます。

障害者手帳がなくても対象!発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース|支給額・条件・申請方法

障害者正社員化コースの申請方法と支給申請期間

障害者正社員化コースの支給申請期間は、「第1期」「第2期」でそれぞれ異なり、申請期限を1日でも過ぎると受給できなくなるため、スケジュール管理が最重要ポイントです。

申請期間
第1期転換した対象労働者に正規雇用または無期雇用としての賃金を最初の6か月分支給した日の翌日から起算して2か月以内
第2期第1期支給対象期の次の6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内

障害者正社員化コースの支給申請フローを示した図

【賃金支給日の計算に関する注意】
・就業規則等の規定で「実績に応じ基本給等とは別に時間外手当を翌月等に支給している」場合は、6か月分の時間外手当が支給される日が「賃金を支給した日」となります
・転換日が「賃金締切日の翌日でない」場合は、転換日以降の最初の賃金締切日後、6か月分となります
・いずれの場合も、勤務日数が11日未満の月を除外してください

申請先と提出方法(郵送・電子申請にも対応)

支給申請期間内に、支給申請書および添付書類を事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に提出します。ハローワークを通じて提出できる場合もあります。詳しくは各都道府県労働局にお問い合わせください。

郵送での申請も可能ですが、「申請先への到着日が支給申請期間内である」ことが必要です。到着遅延で不支給になるリスクを避けるため、余裕を持って発送しましょう。また、キャリアアップ助成金は「雇用関係助成金ポータル」を通じた電子申請にも対応しており、電子申請にはGビズIDの取得が必要です。

各都道府県労働局の住所は、キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)のご案内(PDF)の巻末で確認できます。

障害者雇用に使える関連助成金一覧

障害者雇用を進める中小企業は、本コース以外にも複数の助成金を組み合わせて活用できます。障害者雇用の各フェーズ(相談→試行雇用→本採用→正社員化→定着)ごとに、使える助成金の目安を整理します。

助成金名用途最大支給額の目安
キャリアアップ助成金 障害者正社員化コース非正規障害者の正社員化1人120万円
特定求職者雇用開発助成金 特定就職困難者コース重度障害者等の新規雇用1人240万円
特定求職者雇用開発助成金 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース手帳なしの発達障害・難病者の新規雇用1人120万円
障害者トライアル雇用助成金障害者の試行的雇用(3〜6か月)1人最大36万円
障害者雇用相談援助助成金初めての障害者雇用の相談援助60万円/事業所
障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)雇用後の職場定着支援コースにより変動

これらの助成金は、同じ労働者について同時期に併給できない場合がありますが、目的や時期を分けて活用することで、障害者雇用の各フェーズを通じて手厚い支援を受けられます。

特定求職者雇用開発助成金【特定就職困難者コース】中小企業で最大240万円|対象者・支給額・申請方法【2026年最新】

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障害者雇用相談援助助成金とは?令和6・2024年スタートの新制度を解説

障害者雇用対策の必要性と社会的背景

本来働く上では、障害の有無に関わらず個々人の希望やスキルにマッチする仕事に就けることが理想です。この考え方は厚生労働省の「ノーマライゼーションの理念(障害の有無に関わらず互いに支え合い、地域で豊かに暮らせる社会を目指す)」に基づいています。

2026年7月から施行された法定雇用率2.7%への引き上げは、対象企業の裾野を従業員37.5人以上に広げ、これまで努力目標にとどまっていた小規模企業にも雇用義務が課される時代への転換点となりました。障害の有無による差別なく、個々人が自由に希望する職業を目指せる社会が実現すれば、社会参加できる人数が増え、日本全体の労働力確保と多様性推進に大きく寄与するはずです。キャリアアップ助成金 障害者正社員化コースは、この社会目標を経営視点で後押しする実務的な支援策となっています。


障害者正社員化コースに関するよくある質問


障害者正社員化コースについてよく寄せられる質問をまとめました。


障害者正社員化コースの最大支給額はいくらですか?


最大額は中小企業で1人あたり120万円(重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者を有期雇用から正規雇用に転換した場合)です。60万円×2期に分けて支給されます。大企業の場合は90万円が上限です。障害区分と措置内容によって支給額が変動するため、詳細は本文の支給額表をご確認ください。




令和8年度から明記された「高次脳機能障害と診断された者」とは?


高次脳機能障害とは、交通事故や脳卒中などによる脳へのダメージが原因で、記憶・注意・言語・行動などの認知機能に障害が生じた状態を指します。令和8年度(2026年度)版パンフレットで本コースの支給対象として明記されました。助成額は重度以外の身体障害者・知的障害者・発達障害者・難病患者と同じ区分(中小企業・有期→正規で90万円)が適用されます。障害者手帳の有無は問われず、医師の診断で確認できれば対象となります。




支給対象となる労働者数に上限はありますか?


キャリアアップ助成金 障害者正社員化コースでは、支給対象となる労働者数に上限はありません。1事業所で複数人を正社員化した場合、それぞれについて支給申請が可能です。また、本コースの対象労働者は、通常の「正社員化コース」の申請上限人数(1年度1事業所あたり20人)にはカウントされません。




雇用調整助成金と障害者正社員化コースは併給できますか?


併給できます。キャリアアップ助成金 障害者正社員化コースは雇用調整助成金と併給可能な数少ないコースの1つです。ただし、同一の賃金支出について両方の助成金を重複して受け取ることはできない場合があるため、詳細は事業所を管轄する労働局にご確認ください。




有期雇用の期間が通算3年を超える方でも対象になりますか?


対象になります。キャリアアップ助成金の通常の「正社員化コース」には「通算契約期間3年以下」等の雇用期間による重点支援対象者の区分がありますが、障害者正社員化コースにはそのような区分はありません。有期雇用として通算3年を超える方に対して転換措置を実施した場合でも、通常どおり支給対象となります。




2026年7月から法定雇用率が変わったと聞きましたが、対象企業はどこまで広がりましたか?


2026年7月1日から、民間企業の障害者法定雇用率は2.5%から2.7%に引き上げられ、雇用義務の対象企業は従業員40人以上から37.5人以上に拡大しました。これまで対象外だった小規模企業も新たに雇用義務の対象となります。ハローワークからの行政指導の対象となり、改善されない場合は企業名が公表される可能性があります。常用労働者100人超の事業主は、法定雇用率を下回った場合に不足1人あたり月額5万円の障害者雇用納付金が徴収されます。




法定雇用率が未達成でも、100人以下の企業には納付金の徴収はない?


現行制度では、障害者雇用納付金の徴収対象は常用労働者100人超の事業主に限定されており、100人以下の企業は納付金の徴収対象外です。ただし、37.5人以上の企業は雇用義務があるため、ハローワークからの行政指導を受ける可能性があり、長期未達成の場合は企業名公表のリスクもあります。厚生労働省では100人以下の事業者への納付金適用拡大も議論されているため、今後の動向にも注意が必要です。




障害者手帳がない発達障害者・難病患者も対象になりますか?


対象になります。障害者正社員化コースでは、発達障害者・難病患者・高次脳機能障害と診断された者について、障害者手帳の有無は問われません。医師の診断書等で該当することが確認できれば支給対象となります。新規雇用の場合は、別の助成金である「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」も検討できます。




「多様な正社員」とは何ですか?


「多様な正社員」とは、通常の正社員(無限定正社員)と異なり、勤務地・職務・勤務時間などに一定の限定がある正規雇用形態を指します。具体的には、勤務地限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員の3種類が該当します。障害者正社員化コースでは、これら多様な正社員への転換も助成対象となります。ただし、多様な正社員に転換する場合は、その雇用区分を労働協約または就業規則に規定していることが要件です。




支給申請から入金までどれくらいかかりますか?


支給申請から支給決定までは、労働局の審査期間としておおむね2〜4か月程度が目安です。書類不備があると審査が長引くため、事前に社会保険労務士や労働局に相談することでスムーズに進められます。第1期の支給申請は転換後6か月経過して賃金を支払った日の翌日から2か月以内なので、雇用形態変更から最初の入金までは合計で約8〜10か月かかる計算になります。




キャリアアップ計画書はいつまでに提出する必要がありますか?


キャリアアップ計画書は、コース実施日(対象労働者を正規雇用等に転換する日)の前日までに、管轄の都道府県労働局長に提出する必要があります。転換後に事後的に提出することはできず、提出漏れは不支給の直接的な原因になるため、転換の意思決定と同時に計画書提出の準備を進めましょう。計画書の様式は厚生労働省サイトからダウンロードできます。




「重度身体障害者」と「重度以外」はどう見分けますか?


重度身体障害者は身体障害者手帳1級・2級(一部の3級を含む)、重度知的障害者は療育手帳の「A」判定(重度)を受けた者を指します。精神障害者については、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者は原則として支給対象となり、区分は等級ではなく個別判断です。中小企業で重度身体障害者を有期→正規雇用に転換した場合は120万円、重度以外の身体障害者等の場合は90万円と支給額に差が出るため、対象者の手帳区分を事前に確認しておきましょう。




正社員化コース(通常)と障害者正社員化コースは何が違うの?


通常の「正社員化コース」は障害者以外の非正規雇用労働者を対象とし、中小企業で最大80万円(重点支援対象者・有期→正規)が支給されます。一方、「障害者正社員化コース」は障害のある労働者に特化しており、中小企業で最大120万円(重度身体障害者等・有期→正規)と、通常コースよりも助成額が上乗せされています。また、通常コースには賃金3%以上増額の要件がありますが、障害者正社員化コースには賃金増額要件はなく、「転換前より減額していないこと」が要件です。




短時間労働者を正社員化する場合、支給額はどうなる?


短時間労働者を正社員化する場合も本コースの対象となりますが、注意点として「助成金額が各支給対象期に支払った賃金の総額を上回る場合、実際に支払った賃金の総額が支給上限」となります。たとえば、支給予定額が60万円でも、6か月間の賃金総額が50万円しかなければ、支給額は50万円が上限となります。事前に半年間の支払賃金見込みと助成金額を比較しておきましょう。



参考:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)のご案内(PDF)

まとめ|法定雇用率2.7%時代の障害者雇用は正社員化コースで攻めの投資へ

障害者雇用の促進は、企業の社会的責任であると同時に、多様な人材確保による経営強化の機会でもあります。2026年7月からの法定雇用率2.7%への引き上げにより、これまで努力目標にとどまっていた中小企業にも実務対応が求められる時代に入りました。

令和8年度のポイントを整理します。

  • 最大支給額:中小企業で1人あたり120万円(重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者を有期→正規雇用に転換)
  • 令和8年度の明記:「高次脳機能障害と診断された者」が対象として明記。障害者手帳がなくても医師の診断書等で対象
  • 2026年7月から法定雇用率2.7%:対象企業が従業員37.5人以上に拡大。100人超の企業は未達成で月額5万円/人の納付金
  • 申請期限厳守:第1期・第2期とも「賃金支払日の翌日から2か月以内」。1日でも遅れると不支給
  • 関連助成金との組み合わせ:特定求職者雇用開発助成金・障害者トライアル雇用助成金・障害者雇用相談援助助成金などと組み合わせて活用可能

キャリアアップ助成金 障害者正社員化コースは、中小企業が非正規雇用の障害者を正社員化する際の負担を大きく軽減する助成金です。要件判断や書類作成に不安があれば、社会保険労務士や管轄労働局への相談も有効です。人件費や社内環境整備の負担で障害者雇用に踏み出せていない企業は、本コースを含む障害者雇用系の助成金を組み合わせて、計画的な採用・正社員化を進めましょう。

キャリアアップ助成金 正社員化コースとは?最大80万円の支給額・要件・申請の流れ【令和8年度】

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