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キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)障害者雇用対策に活用できる!

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キャリアアップ助成金とは、非雇用労働者のキャリアアップを目的として整備された制度です。非正規雇用労働者を正規雇用労働者に引き上げるなどの取り組みを実施した事業主に対して、一定の助成金が支給されます。

その中でも障害者正社員化コースは、とくに「障害者の雇用促進」を目的とした制度です。今回の記事では、この「障害者正社員化コース」の詳しい内容や支給額、受給要件について解説します。

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この記事の目次

障害者雇用対策の必要性

本来働く上では、障害の有無に関わらず、個々人の希望やスキルにマッチする仕事に就けることが理想です。この考え方は、厚生労働省による「ノーマライゼーションの理念(障害の有無に関わらず互いに支え合い、地域で豊かに暮らせる社会を目指す)」に基づき策定されています。

障害の有無による差別なく、個々人が自由になりたい職業を目指せる社会であれば、社会参加できる人数も増え、最終的に日本全体が活気づくでしょう。

令和6年4月からは、民間企業に課せられる障害者の法廷雇用率が「2.3%から2.5%に引き上げられる」ということからも、日本が障害者雇用に力を入れて、誰もが豊かに暮らせる国づくりを目指していることがわかります。

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)とは

そもそもキャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者などの「非正規雇用労働者」のキャリアアップを促進するために整備されている制度です。非正規雇用労働者に向けて、正社員化や処遇改善の取り組みなどを実施した事業主に対して、規定の助成金が支給されます。

キャリアアップ助成金は、以下の7コースに分類されます。

大枠の分類 詳細なコース名
正社員化支援 正社員化コース
障害者正社員化コース
処遇改善支援 賃金規定等改定コース
賃金規定等共通化コース
賞与・退職金制度導入コース
選択的適用拡大導入時処遇改善コース
短時間労働者労働時間延長コース

今回の記事で紹介する「障害者正社員化コース」は、障害者の雇用を促進させて職場定着を図るために整備されました。大きく分けて以下2つの措置を継続的に実施した事業主に対して、一定額の助成金が支給されます。

①有期雇用労働者を正規雇用労働者(多様な正社員を含む)、または無期雇用労働者に転換する
②無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する

【全コース共通】支給対象事業主

全コース共通の支給対象事業主要件は以下の通りです。

①雇用保険適用事業所の事業主
②雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主。キャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできない
③雇用保険適用事業所ごとで、対象労働者に対しキャリアアップ計画(キャリアアップ計画期間中に講じる措置として障害者正社員化コースが選択されている必要がある)を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主である(*)
④該当するコースの措置に関係する対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明確に示せる事業主
⑤キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主

(*)キャリアアップ計画書については、コース実施日の前日(コース実施日の前日が行政機関の休日(土日祝および12月29日〜翌年1月3日まで)に当たる場合は、当該行政機関の休日の翌日とする)までに管轄労働局長に提出しましょう。認定に時間がかかる場合もあるため、コース実施日の1ヶ月前など、余裕を持って提出してください。

下記のいずれかに該当する事業主は、キャリアアップ助成金を受給できません。
①支給申請した年度の前年度より前における、いずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主
②支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主
③性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業
④暴力団と関わりのある事業主
⑤暴力主義的破壊活動を行った、または行う恐れがある団体等に属している事業主
⑥支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主
⑦支給決定時に、雇用保険適用事業所の事業主でない。雇用保険被保険者数が0人の場合や、事業所が廃止されている場合(吸収合併等による統廃合や雇用保険の非該当承認を受けている場合を含む)等を指す

【障害者正社員化コース向け】支給額

障害者正社員化コースにおける助成金支給額は、支給対象者および実施した措置によって異なります。
支給対象期間1年間のうち、「最初の6ヶ月:第1期」「次の6ヶ月:第2期」といいます。ただし、この支給額が、各々の支給対象期における労働への賃金額を超える場合、当該賃金の総額を上限額とします。

出典:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)

【障害者正社員化コース向け】対象労働者

以下すべての項目に該当する労働者が対象です。

①申請事業主に雇用される労働者である

②転換を行った日の時点で、次のいずれかに該当する労働者である
(1)身体障害者(2)知的障害者(3)精神障害者(4)発達障害者(5)難病患者(6)脳の機能的損傷に基づく精神障害である高次脳機能障害であると診断された者

③就労継続支援A型事業における利用者でない

④次の(1)(2)のいずれかに該当する労働者である
(1)支給対象事業主に、賃金額あるいは計算方法が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等の適用を、通算6ヶ月以上受けて雇用される有期雇用労働者である。転換時期によって支給要件が異なる)
(2)支給対象事業主に、賃金額あるいは計算方法が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等の適用を、通算6ヶ月以上(昼間学生であった期間を除き、障害者トライアル雇用等期間以上)受けて雇用される無期雇用労働者である。転換時期によって支給要件が異なる

⑤次の(1)(2)のいずれかに該当する労働者ではない
(1)正規雇用労働者に転換される場合、正規雇用労働者として雇用されることを約束して雇い入れられた有期雇用労働者または無期雇用労働者
(2)無期雇用労働者に転換される場合、無期雇用労働者として雇用されることを約束して雇い入れられた有期雇用労働者

⑥次の(1)(2)のいずれかに該当する労働者ではない
(1)有期雇用労働者等から正規雇用労働者に転換される場合、当該転換日前日から過去3年以内に、当該事業主の事業所あるいは資本的・経済的・組織的関連性からみて密接な関係の事業主(財務諸表等の用語、様式および作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)第8条に定義されている親会社や子会社、関連会社および関係会社など)で、正規雇用労働者として雇用されたことがある、請負あるいは委任関係にあった者、または取締役、社員、監査役、共同組合等の社団や財団の役員であった者
(2)無期雇用労働者に転換される場合、当該転換日前日から過去3年以内に、当該事業主の事業所、あるいは資本的・経済的・組織的関連性からみて密接な関係の事業主において、正規雇用労働者もしくは無期雇用労働者として雇用されたことがある、請負や委任関係にあった者、または取締役、社員、監査役、共同組合等の社団や財団の役員であった者

⑦転換を行った適用事業所の事業主、または取締役の3親等以内の親族(民法(明治29年法律第89号)第725条第1号に規定する血族のうち3親等以内の者、同条第2号に規定する配偶者および同条第3号に規定する姻族)以外の者である

⑧無期雇用労働者に転換される場合、通算契約期間が5年を超え、労働契約法第18条第1項の規定により期間の定めのない労働契約の締結申込みをする権利を、有する者ではない

⑨支給申請日において、正規雇用労働者については有期雇用労働者または無期雇用労働者、無期雇用労働者については有期雇用労働者への転換が予定されていない者である

⑩支給申請日において、転換後の雇用区分の状態が継続し、離職していない者である(本人の都合による離職、および天災、その他やむを得ない理由のために事業継続が困難となった、あるいは本人の責めに帰すべき理由による解雇を除く)

⑪転換後の雇用形態に定年制が適用される場合、転換日から定年までの期間が1年以上ある者である

【注意点】
④の(1)については、以下の注釈があるため注意しましょう。

・障害者トライアル雇用または障害者短時間トライアル雇用終了後、正規雇用労働者への転換を行った上で、引き続き雇用保険被保険者として雇い入れ、かつ、当該対象労働者を継続雇用することが確実であると認められる場合は、当該障害者トライアル雇用等期間以上となる
・学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校、同法第124条に規定する専修学校、あるいは同法第134条第1項に規定する各種学校の学生、または生徒であり、大学の夜間学部および、高等学校の夜間等の定時制課程の者等以外のもの(昼間学生)であった期間は含まれない
・有期雇用労働者から正規雇用労働者に転換される場合、当該転換日の前日から過去3年以内に、当該事業主の事業所において、無期雇用労働者として6ヶ月以上雇用されたことがある者は、転換前の雇用形態を無期雇用労働者とみなす
・適用される雇用区分の就業規則等において契約期間に係る規定がない場合は、無期雇用労働者とみなす

【障害者正社員化コース向け】対象事業主

以下すべての要件に該当する事業主が対象です。

①雇用する有期雇用労働者を正規雇用労働者、もしくは無期雇用労働者に転換、または無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換した事業主である

②対象労働者を、「支給対象期の第1期の場合は、転換後の当該支給対象期初日から6ヶ月以上」「第2期の場合は、当該支給対象期初日から6ヶ月以上」の期間継続して雇用し(勤務日数が11日未満の月を除く)、当該労働者に対して、各支給対象期分の賃金(時間外手当を含む)を支給した事業主である

③転換日以降の期間について、対象労働者を雇用保険被保険者として適用させている事業主である

④転換日以降の期間について、対象労働者を社会保険の適用要件を満たす事業所で雇用し、社会保険の適用要件を満たす労働条件で雇用している場合は、社会保険の被保険者として適用させている事業主である

⑤多様な正社員に転換する場合、その雇用区分を、労働協約または就業規則、その他これに準ずるものに規定している事業主である

⑥転換する際に、対象労働者の同意を得ている事業主である

⑦転換後6ヶ月間の賃金を、転換前6ヶ月間の賃金より減額させていない事業主である

⑧転換日の前日から起算して、6ヶ月前の日から1年を経過するまでの間に、雇用保険被保険者を解雇等、事業主の都合により離職させていない

⑨転換日の前日から起算して、6ヶ月前の日から1年を経過するまでの間に、雇用保険法第23条第1項に規定する特定受給資格者として、「同法第13条に規定する受給資格の決定が行われた者の数を当該事業所の転換日における雇用保険被保険者の数」で除した割合が、6%を超えていない事業主である

⑩支給申請時点において、支給対象となる対象労働者を、解雇等事業主都合で離職させていない事業主である

⑪転換日以降において、対象労働者について最低賃金法第7条の最低賃金の減額特例の許可を受けていない事業主である

令和4年10月1日以降の変更点

現在は「令和4年10月1日以降での転換」に該当するため、以下の通り支給要件が変更となっています。以前の情報のみを確認している場合は気をつけましょう。

【正社員定義の変更】
旧:同一事業所内の正社員に適用される就業規則が、適用されている労働者(正社員待遇が適用されていない正規雇用労働者としての試用期間中の者は、正規雇用労働者から除く)
現在:同一事業所内の正社員に適用される就業規則が、適用されている労働者。ただし「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限る(正規雇用労働者としての試用期間中の者は、正規雇用労働者から除く)

【対象となる労働者要件の変更】
旧:6ヶ月以上雇用している有期、または無期雇用労働者
現在:賃金額または計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を6ヶ月以上受けて雇用している有期、または無期雇用労働者

支給申請

支給申請期間について、申請期間は「第1期」「第2期」で異なります。

【第1期】
転換した対象労働者に対し、正規雇用労働者、無期雇用労働者としての賃金を「最初の6ヶ月分を支給した日の翌日」から起算して、2ヶ月以内に申請する

【第2期】
第1期支給対象期の次の「6ヶ月分の賃金を支給した日の翌日」から起算して、2ヶ月以内に申請する

なお、就業規則等の規定により「実績に応じ基本給等とは別に時間外手当を翌月等に支給している」場合は、6ヶ月分の時間外手当が支給される日を賃金を支給した日とする。時間外勤務の実績がなく、結果として支給がない場合も含む。

また、転換日が「賃金締切日の翌日でない」場合は、転換日以降の最初の賃金締切日後、6ヶ月分となる。いずれも、勤務日数が11日未満の月(勤務予定日数が18日未満の場合は勤務予定日数の6割未満の月(18日の6割は10.8日))を除外する。

申請方法

上記の支給申請期間内に、支給申請書および添付書類を、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に提出しましょう。支給申請書の提出は、ハローワークを通じて提出できる場合があります。詳しくは各都道府県労働局にお問い合わせください。

各都道府県労働局の住所は、公式サイトの20ページで確認できます

なお、支給申請書類を郵送することも可能ですが「申請先への到着日が支給申請期間内である」という必要があるため、十分な余裕を持って申請しましょう。

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)活用のメリット

障害者を雇用する場合、人件費はもちろんですが、例えば「視覚障害者のために点字ディスプレイを設置する」「業務の生産ラインを見直す」など社内環境を整備する必要があります。このような社内環境の整備にもお金がかかるため、なかなか障害者雇用の促進に足踏みしている企業も多いでしょう。

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)を活用すれば、一定額が助成されるため、上記のような資金面の負担を軽減できます。

まとめ

障害者雇用の促進は、日本全体が豊かになるために必要な重要施策のひとつです。誰もが自分の希望する職場で働けるようになれば、社会参加できる人の数も増えて日本が活気付くきっかけにもなります。

人件費などの資金面が不安で、障害者雇用を促進できていない企業は、ぜひキャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)を活用して、障害者の社会参加を促せる環境を整えましょう。

参考:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)

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