東京都のキャリアリスタート支援助成金は、「労働者の雇用安定」を目的として展開されている助成金制度です。令和5年度からは支給対象の拡充などが行われており、より多くの事業主や労働者を支援できるようになりました。今回は、令和4年度キャリアリスタート支援助成金からの変更点や対象事業主、具体的な支給金額などについて解説します。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
キャリアリスタート支援助成金の目的
キャリアリスタート支援助成金は、助成金の支給を通じて「労働者の雇用安定を図ること」を目的として展開されています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響による解雇や雇止めなどで離職した方を正規雇用労働者として雇用し、「計画的な育成計画の策定」などによって、労働者が安定して働き続けられる労働環境整備を行った事業主に支給されます。
令和4年度からの変更点
前年度からの変更点は以下のとおりです。
- 助成金名の変更
旧:雇用創出・安定化支援に係る採用・定着促進助成金
新:キャリアリスタート支援助成金 - 正社員だけでなく、非正規採用後6ヶ月未満での正規転換も支給対象に追加
- 助成金申請が可能となるまでに必要な「正社員としての雇用期間」を1ヶ月に短縮
- 指導育成計画書の策定等にあたって、専門家に相談した場合の費用を助成する制度を新設
対象事業主
以下に、補助対象事業主の要件をわかりやすくまとめました。
事業主の資格 | 中小企業事業主であること |
事業所の所在地 | 東京労働局管内に雇用保険適用事業所を持つこと |
正規雇用 | 正規雇用労働者を採用し、1ヶ月以上経過していること |
在職状態 | 申請時に対象労働者が在職していること |
解雇歴 | 雇入れ日の前6ヶ月から1年間、事業主の都合での解雇がないこと |
非公的団体 | 東京都政策連携団体や東京都が設立した法人ではないこと |
税金納付 | 法人都民税や事業税の未納がないこと |
法令遵守 | 過去5年以内に重大な法令違反がないこと |
労働基準の遵守 | 最低賃金、時間外労働の割増賃金、36協定、労働時間規制、セクシュアルハラスメント防止措置、年次有給休暇の取得義務など、労働関係法令を遵守していること |
非風俗営業 | 風俗営業や性風俗関連特殊営業を行っていないこと |
暴力団非関連 | 暴力団員や関連者との関係がないこと |
上記の条件に加えて、財団理事長が適正でないと判断した場合は助成金の対象外となる可能性があります。
対象労働者
対象労働者の要件を簡潔にまとめると以下のようになります。
(1)雇用形態と勤務継続性
正規雇用労働者として採用され、採用から3ヶ月間、同一事業主との間で雇用契約が継続し、都内の事業所に勤務していること。非正規雇用労働者から正規雇用労働者に転換された場合も、非正規採用日から3ヶ月間、同一事業主との雇用が継続し、都内で勤務していること。
(2)年齢要件
採用時点で満34歳以下、または55歳以上であること。
(3)就職支援事業の参加
財団が実施する就職支援事業(例:雇用創出・安定化支援事業、ものづくり産業人材確保支援事業など)に参加し、そこからの職業紹介を受けて正規雇用されていること。
(4)内定前の参加
上記就職支援事業に参加する前に、雇用の内定を受けていないこと。
(5)過去の雇用関係
雇用日前日から過去3年以内に、該当する事業所と雇用関係にないこと。
(6)親族関係の非該当
雇い入れに係る事業所の事業主や取締役の3親等以内の親族でないこと。
支援事業及び支給条件
支給対象事業主は対象労働者に対して、支援期間中に以下の支援事業全てを実施することが必要です。
(1)3年間の指導育成計画書の策定
(2)前項の計画に基づく2時間以上の研修の実施
(3)メンターの選任
(4)メンターによる3回(3日)以上の指導
支給金額
支給金額は対象労働者数に応じて異なります。
対象労働者数 | 助成金 |
1人 | 20万円 |
2人 | 40万円 |
3人以上 | 60万円 |
助成金の申請に関しては、各雇用保険適用事業所が1年度に最大3回まで申請することができます。ただし、1年度あたりの支給上限額は60万円に設定されています。また、同一の事業主が同一の対象労働者に対して支給決定を受けることができるのは1回だけとなっています。専門家委託に要した費用が5万円以上(税抜価格)の場合は、5万円が加算されます。
申請受付期間
令和6年3月29日(金)
申請期限までに、郵送またはJグランツによる電子申請で、申し込みます。
必要書類
(1)キャリアリスタート支援助成金実施計画書兼支給申請書(様式第1号) *3枚
(2)正規雇用したことを証明する書類
(3)非正規雇用したことを証する書類(採用日から6ヶ月未満の日に正規転換をした場合のみ)
(4)誓約書(様式第2号)
(5)納税証明書(郵送の場合は原本提出)
(6)会社概要がわかるもの
(7)対象労働者の雇用保険被保険者資格等確認通知書(事業主通知用)の写し
(8)専門家委託実施計画書(様式第12号) *専門家委託を行う場合のみ
(9)委任状 *提出代行者が郵送で申請する場合のみ
(9)その他、理事長が必要とする書類
助成金活用のメリット
もともとキャリアリスタート支援助成金は、労働者の雇用安定を目的として実施されてきました。令和5年度からは「非正規からの雇用転換」なども対象となっているように、より幅広い労働者および事業主を支援できる内容に変更されています。
こうした支援の強化によって、労働者・事業主、双方に以下のメリットがもたらされます。
- 労働者:より安定した環境で働けるようになる
- 事業主:自社の負担を減らしつつ労働者に十分な賃金を支払い、事業を継続できる
各社に対してこうした支援の輪が広がれば、経済活動の活発化が期待できるでしょう。
まとめ
キャリアリスタート支援助成金は、労働者・事業主、双方を支援できる助成金制度です。令和5年度からは支給対象者の幅が広がっているため、自社の負担を抑えつつより良い労働環境を整備したい事業主は活用をご検討ください。