業種や事業規模を問わず、サイバー攻撃による被害は年々増加しています。「何から対策すればよいかわからない」「セキュリティにコストをかけられない」と悩む中小企業の方も多いのではないでしょうか。
そうした企業を支えるために国が用意したのが「サイバーセキュリティお助け隊サービス」です。本記事では、制度の内容から料金の考え方、活用できる補助金、導入までの流れまで、これから対策を始める中小企業向けにわかりやすく解説します。
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この記事の目次
サイバーセキュリティお助け隊サービスとは
サイバーセキュリティお助け隊サービスは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2021年(令和3年)春に開始した制度です。経済産業省も普及を後押ししています。
特徴は、IPAが直接サービスを販売するのではなく、一定の基準を満たした民間事業者のサービスに「お助け隊マーク」を付与して公表する「認定制度」である点です。中小企業に必要なサイバー攻撃対策を、専門知識がなくても使えるよう一つのパッケージにまとめ、安価に提供することが求められています。基準をクリアしたサービスだけが掲載されるため、中小企業は数あるサービスを一から調べなくても、リストの中から自社に合うものを選べる仕組みになっています。
すでに数千者の導入実績があり、これからセキュリティ対策を始める企業にとって、現実的な「最初の一歩」として位置づけられています。
なぜ中小企業にサイバーセキュリティ対策が必要なのか
「うちのような小さな会社が狙われるはずがない」という考えは、最も危険な誤解です。サイバー攻撃は企業規模に関わらず仕掛けられ、不正アクセスやウイルス感染といった脅威は、規模の大小を問わずすべての企業におよびます。
近年とくに問題になっているのが、サプライチェーンを狙った攻撃です。攻撃者は、セキュリティの手薄な中小企業を踏み台にして、その先にある取引先や大企業を狙います。自社が被害に遭うだけでなく、取引先に迷惑をかけ信用を失うリスクもあるということです。
被害額も決して小さくありません。IPAの資料によると、対処を怠った場合の想定被害金額が5,000万円を超える事案も報告されています(出典:令和2年度版 中小企業サイバーセキュリティ対策支援体制構築事業 成果報告書)。
一度の被害が事業の継続を揺るがしかねないからこそ、攻撃を完全に防ぐことよりも、異常に素早く気づいて被害を最小限に抑える仕組みが重要になります。
サイバーセキュリティお助け隊サービスの内容
お助け隊サービスは、中小企業に不可欠な機能をワンパッケージにまとめて提供しています。柱となるのは、見守り・相談窓口・駆け付け・簡易サイバー保険の4つです。
見守り(24時間365日の異常監視)
監視装置やソフトが常時ネットワークや端末を見張り、不審な挙動やサイバー攻撃を検知します。「何も起きていないことがわかる」安心感に加え、侵入などの異常があれば素早く気づける体制が手に入ります。
相談窓口
セキュリティに関する疑問やトラブルを、電話やメールで相談できる窓口です。社内に専門家がいなくても、困ったときに頼れる相手がいる状態をつくれます。
駆け付け支援(事案発生時の初動対応)
異常が発生したときに、地域のIT事業者などが現場に駆け付けて初動対応を行います(リモート支援の場合もあります)。たとえば、ダウンロードしたフリーソフトが不審な動きをしていたため駆除した、ウイルス感染の疑いがある端末をネットワークから切り離して調査し複数のマルウェアを検出・駆除した、といった対応が実際に行われています。
簡易サイバー保険
万一の際の対応費用や損害をカバーする保険が付帯します。補償内容や限度額はサービスによって異なるため、契約前に提供事業者へ確認しましょう。
監視タイプは3種類から選べる
見守りの監視方式は、自社の働き方に合わせて3つのタイプから選べます。
| 監視タイプ | 仕組み | 向いているケース |
|---|---|---|
| ①ネットワーク監視 | UTMなどの監視装置をインターネットとの出入口に設置し、社内ネットワークをまとめて監視します。パソコン側の設定作業は不要です。 | 拠点内のパソコンを まとめて守りたい場合 |
| ②端末監視 | 各パソコンにEDRなどの監視ソフトを導入し、端末ごとの不審な挙動を検知・対処します。 | テレワークや社外への 持ち出し利用が多い場合 |
| ③併用 | ①と②の両方を導入し、多層防御で守ります。 | 拠点も社外利用も、 より強固に守りたい場合 |
なお、お助け隊サービスには「1類」と、後から追加された「2類」があります。2類は、中規模以上の中小企業のニーズにも応えられるよう、価格要件などを緩和・拡充した新しい類型です。まずは多くの企業に当てはまる1類から検討し、必要に応じて2類も視野に入れるとよいでしょう。
サイバーセキュリティお助け隊サービスを導入するメリット
お助け隊サービスを利用する利点は、大きく次の3つに整理できます。
監視・相談・駆け付け・保険を個別にそろえる手間がなく、何を選べばよいか迷わずに済みます。
【社内に専門家がいなくても運用できる】
日常の監視や緊急時の対応は提供事業者が担うため、専任のIT担当者を置けない企業でも無理なく続けられます。
【利用料が安価で導入・継続しやすい】
コストの壁で対策を諦めていた企業でも始めやすい設計になっています。
実際の利用者からは、アラート通知で防御できていると実感でき安心という声や、セキュリティレポートをためておけば報告資料としても使えるといった声が挙がっています。
サイバーセキュリティお助け隊サービスの料金の目安
利用料はサービスや監視タイプ、契約規模によって幅があります。お助け隊サービスは、中小企業でも導入・維持しやすいよう、制度の基準(1類)で価格の上限が定められているのが特徴です。
具体的には、ネットワーク一括監視型は月額1万円以下に相当する価格、端末監視型は端末1台あたり月額2000円以下に相当する価格とされており、いずれも端末1台から契約できます。2類ではこの価格要件が緩和されています。
実際の価格を比較したい場合は、IPAのユーザー向けサイトにある「監視種別サービス一覧(サービスを比較する)」や「サービス価格一覧表」を確認するのが確実です。監視タイプごとに価格と内容が一覧で整理されているため、自社の予算と必要な機能を照らし合わせて選べます。
補助金(デジタル化・AI導入補助金)で導入費用を抑えられる
お助け隊サービスは、デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)の「セキュリティ対策推進枠」の補助対象です。費用負担を抑えて導入できるため、ぜひ活用を検討しましょう。
【セキュリティ対策推進枠の詳細】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 5万円〜150万円 |
| 補助率 | 小規模事業者:2/3 中小企業:1/2 |
| 対象経費 | サービス利用料(最大2年分) |
| 機能要件 | IPAが公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたいずれかのサービス |
注意したいのは、補助金を申請するには事前に「SECURITY ACTION」の自己宣言を済ませておく必要がある点です。SECURITY ACTIONはIPAが運営する無料の自己宣言制度で、数分で完了します。
先にSECURITY ACTIONを宣言し、その後に補助金を申請してお助け隊サービスを導入する、という順序になります。補助率や上限額、要件は年度によって変わることがあるため、申請前に必ず最新情報を確認してください。
詳しくはこちら:デジタル化・AI導入補助金とは?【2026年・令和8年度】補助率や申請枠・変更点についても解説
サイバーセキュリティお助け隊サービス導入までの流れ
実際に導入するまでの流れは、おおむね次の4ステップです。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ステップ① | 補助金を使う場合は、まずSECURITY ACTIONを宣言します(無料)。IPAのサイトで「情報セキュリティ5か条」などへの取り組みを宣言します。 |
| ステップ② | IPAのユーザー向けサイトの比較ページで、対象地域・監視タイプ・価格・内容を確認し、自社に合うサービスを絞り込みます。 |
| ステップ③ | 選んだサービスの提供事業者のサイトから、問い合わせや申し込みを行います。 |
| ステップ④ | 補助金を使う場合は、交付申請の手続きを進めて導入します。 |
よくある質問
専任のIT担当者がいない会社でも利用できますか?
利用できます。サイバーセキュリティお助け隊サービスは、専門の担当者がいない中小企業でも導入・運用できるよう工夫されており、日常の監視や緊急時の対応はサービス提供事業者が担います。
UTMやEDRは別途用意する必要がありますか?
多くのサービスでUTMやEDRなどの監視の仕組みが含まれているため、別途用意する必要がない場合がほとんどです。ただし含まれる機能はサービスによって異なるため、契約前に内容をご確認ください。
このサービスを導入すれば、サイバー攻撃を完全に防げますか?
いいえ。お助け隊サービスは被害の低減と早期対応を目的としたもので、攻撃や被害を完全に防ぐことを保証するものではありません。異常に素早く気づき、被害を最小限に抑えることに価値があります。
まとめ
サイバー攻撃のリスクが高まる今、セキュリティ対策はすべての企業にとって避けて通れない課題です。サイバーセキュリティお助け隊サービスを活用すれば、必要な対策をワンパッケージで、しかも専門家がいなくても進めることができます。
デジタル化・AI導入補助金もあわせて活用し、自社の負担を抑えながら情報セキュリティの向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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