国税庁「令和8年度 貿易統計」によれば、2024年の日本酒・焼酎・ウイスキーなどを含む日本産酒類の輸出金額は約1,436億円と、4年連続で1,000億円を超えました。一方で、国内では人口減少と若年層の酒類消費離れに加え、酒米価格の高騰、2025年に発動された米国の追加関税措置による輸出コスト増など、酒類事業者は新たな経営課題に直面しています。
こうした課題への対応を後押しする公的補助金が、国税庁が所管する「酒類業振興支援事業費補助金」(酒類補助金・国税庁補助金)です。日本産酒類のブランディングや海外販路拡大、酒蔵ツーリズム、酒米産地との連携、ICT活用による業務効率化まで、酒類事業者の幅広い取組を支援します。
令和8年度(2026年度)は「海外展開支援枠」と「新市場開拓支援枠」の2枠で公募が行われ、最大1,500万円(補助率1/2、海外展開支援枠のグループ申請)の支援を受けられます。現在は第4期(〜9月9日)と第5期(〜10月7日)が受付中で、第5期はまだ準備期間が2か月弱残っている状況です(第1〜3期は受付終了)。
この記事では、酒類業振興支援事業費補助金の制度概要、対象事業、補助率・上限額、申請要件、令和8年度 第4期・第5期の公募スケジュール、加点対象となる米国関税措置・酒米価格高騰への対応、必要書類、過去の採択実績までを網羅的に解説します。
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この記事の目次
酒類業振興支援事業費補助金とは?令和8年度(2026年度)の制度概要
酒類業振興支援事業費補助金とは、国税庁が所管する酒類事業者向けの公的補助金です。日本産酒類の輸出拡大とインバウンドによる海外需要の獲得、国内外での新市場開拓など、酒類業の経営改革・構造転換を後押しする取組を支援します。一般に「酒類補助金」「酒類振興 補助金」「国税庁補助金」とも呼ばれ、酒類業界向けの代表的な公的支援制度のひとつです。
本制度では、目的に応じて以下の2つの申請枠が設定されています。
| 申請枠 | 支援の目的 |
|---|---|
| 海外展開支援枠 | 日本産酒類の輸出拡大を図るとともに、酒類業の健全な発達を促進する |
| 新市場開拓支援枠 | 酒類業の経営改革・構造転換を図るとともに、酒類業の健全な発達を促進する |
制度の管轄・財源(国税庁補助金としての位置づけ)
酒類業振興支援事業費補助金は、国税庁の酒税課が所管する国の補助金制度です。国税局・税務署を通じた酒税行政の一環として位置づけられ、財源は一般会計予算です。「国税庁補助金」を検索している酒類事業者の多くが、本制度を指しています。
「振興費」の中身を整理すると、本制度における振興費は、酒類事業者が新たな市場開拓・海外展開・商品の高付加価値化などに取り組む際の経費を支援するための補助金です。給付金のような一律支給ではなく、事業計画の審査を経て採択された事業者に対し、対象経費の一部(補助率1/2または2/3)が交付されます。
過去制度からの発展(酒農連携等促進事業・日本産酒類海外展開支援事業費補助金からの統合)
酒類業振興支援事業費補助金は、かつて別々に実施されていた「日本産酒類海外展開支援事業費補助金」と「酒農連携等促進事業」などを統合・発展させた制度です。海外展開と国内の新市場開拓、酒米産地との連携支援を1本の補助金に一体化することで、酒類業全体の振興を切れ目なく支える設計になっています。
過去に「酒農連携等促進事業」や「日本産酒類海外展開支援事業費補助金」で採択された事業者の場合、令和3〜6年度に交付を受けた事業者は、提出期限が到来した事業化状況報告書を提出済であることが本補助金の申請要件になります(未提出の場合は申請不可)。
対象となる酒類の範囲(日本酒・焼酎・ビール・ウイスキー・ワイン等)
本補助金の対象は、酒税法に定められた酒類を製造・販売する事業者全般です。日本酒だけでなく、本格焼酎、泡盛、ビール、ウイスキー、ワイン、リキュール、果実酒、清酒、地ビール(クラフトビール)など、幅広い酒類が対象になります。
「日本酒 補助金」「ウイスキー 補助金」「クラフトウイスキー蒸留所 補助金」「ビール醸造 補助金」を探している方も、酒類事業者として要件を満たせば本制度を活用できます。具体的には以下のような事業者が対象になり得ます。
- 清酒・日本酒メーカー(酒蔵)
- 本格焼酎・泡盛メーカー
- ビール・地ビール(クラフトビール)醸造所
- ウイスキー蒸溜所・クラフトウイスキー蒸溜所
- ワイナリー
- 果実酒製造業者
- 酒類卸売業者・酒類小売業者(酒屋)
令和8年度の重要事項(酒米高騰・米国関税措置は優先採択の対象)
令和8年度の公募要領では、酒米の価格高騰等または米国関税措置による影響を受けた事業者の取組は「優先採択」の対象になると明記されました。影響を受けた(または受ける見込みの)事業者が、その対応として関連性を有する取組を申請する場合、加点評価を受けられます。
米国の関税措置は令和8年度から新設された優先採択項目です。米国向けに輸出している酒類事業者にとっては、追加関税によるコスト増を機に新たな販路開拓や商品戦略の見直しへ乗り出す好機となる可能性があります。詳細は加点書類(別紙10「米国関税措置に関する確認書」)に加え、米国への輸出実績を示す書類(輸出許可書等)と、関税措置による影響を証明する書類(取引先とのメール、帳票類等)を提出することで、審査に反映されます。
酒類業振興支援事業費補助金の申請要件と対象事業者
酒類業振興支援事業費補助金の対象となるのは、日本国内に所在する酒類事業者、または酒類事業者を少なくとも1者以上含むグループです。酒類の製造業者・卸売業者・小売業者のいずれも申請できます。申請対象となる事業者の主な要件
酒類業振興支援事業費補助金の補助対象になるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
■当事業にて市場獲得を目指す対象国の中に、国連安保理決議によって経済制裁が行われている国が含まれていないこと
■公募締切日時点で、納付すべき国税に滞納がないこと
■公募締切日の前日から起算して過去3年間に酒税関係法令に違反し、罰金以上の刑に処せられていないこと
■「酒類の公正な取引に関する基準」に違反した場合、指示を受けた事項を改善していること
■過年度(令和3〜6年度)の国税庁の酒類事業者向け補助金の補助事業者の場合、提出期限が到来した事業化状況報告書を提出済であること
■公募締切日より過去3年の間、国または地方公共団体の補助金等に関して、不正行為により交付決定の取消処分を受けていないこと
賃金要件は新市場開拓支援枠のみ(海外展開支援枠は不要)
2つの申請枠のうち、新市場開拓支援枠に限り、以下の賃金要件をすべて満たすことが求められます。海外展開支援枠には賃金要件はなく、海外市場に挑戦する事業者にとっては要件が緩やかな点が特徴です。
・かつ、売上額または付加価値額を年率平均3%以上増加させる事業計画を策定していること
給与支給総額とは、全従業員(非常勤含む)および役員に支払った給与等(給与、賃金、賞与および役員報酬等を指し、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)のことを指します。付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものです。
給与増加目標が未達の場合の返還ルール
新市場開拓支援枠の申請者は、事業計画終了時点で給与支給総額の年率平均1.5%以上の増加目標が未達の場合、補助金の一部返還が求められる可能性があります。返還額は、導入した設備等の簿価または時価のいずれか低い方の額のうち、補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)です。
ただし、以下のいずれかに該当する場合は、上記の一部返還は求められません。
- 給与支給総額の年率増加率平均が「売上額または付加価値額の年率増加率平均/2」を超えている場合
- 天災など事業者の責めに帰することができない理由がある場合
売上や付加価値の伸びが目標に届かなかったときに、給与増加だけを厳格に求めるのは合理的でないという趣旨で、一定の柔軟性が確保されています。海外展開支援枠には、そもそも返還ルール自体が設定されていません。
酒類業振興支援事業費補助金の対象事業【枠ごとに解説】
酒類業振興支援事業費補助金の対象事業は、海外展開支援枠で3区分、新市場開拓支援枠で4区分が設定されています。それぞれの枠で支援される具体的な取組を見ていきましょう。
海外展開支援枠の対象事業(海外販路拡大・酒蔵ツーリズム・酒米連携)
海外展開支援枠は、日本産酒類の海外進出支援・輸出補助金としての性格を持つ枠です。海外販路拡大、酒蔵ツーリズム、酒米産地との連携の3区分に分類されます。
| 区分 | 対象となる取組 |
|---|---|
| ①日本産酒類の海外販路拡大や商品等の高付加価値化に関する取組 | 日本産酒類の高付加価値化や商品のブランド化を推進する取組。海外ニーズを踏まえたブランド戦略の構築、海外の嗜好に即した新商品開発や新規ブランドの立上げのための調査研究、地理的表示(GI)やテロワール等を海外向けのブランド化に活用する取組、農商工連携等 等 |
| ②酒蔵の観光化や地域における酒蔵ツーリズムプラン策定の取組 | インバウンドによる海外需要の拡大を目指し、酒蔵自体の観光化や、観光事業者・交通機関・地方公共団体等と連携した周遊・滞在型観光「酒蔵ツーリズム」を推進し、日本産酒類の認知度向上等を図る取組。酒蔵の観光化を通じた観光客の受け入れ整備、酒造りや宿泊等の高付加価値な体験ができる受け入れ環境整備、ガイド育成 等 |
| ③酒類事業者による酒米産地との連携を活かした新たな取組(海外展開またはインバウンド向け) | 酒類の原料である酒米の不足や価格高騰を踏まえて行う取組等。地元酒米農家との契約によるストーリー性を持たせた高付加価値商品の海外展開、地元酒米農家と連携したインバウンド向け酒米・酒造り体験等を行う環境の整備に向けた取組 等 |
「海外展開 酒蔵ツーリズム補助金」を探している方や、海外向けに日本酒を新たに展開したい酒類事業者、海外旅行者向けのインバウンドプランを企画している酒蔵にとって、活用しやすい支援枠です。区分②は、酒蔵単独では観光受入体制の整備が難しい場合でも、地元の観光事業者や交通機関、DMO・自治体等と連携することで対象になり得ます。
新市場開拓支援枠の対象事業(商品差別化・販売手法多様化・ICT活用・酒米連携)
新市場開拓支援枠は、国内市場での新たなニーズ獲得や経営改革を支援する枠です。商品差別化、販売手法の多様化、ICT技術活用、酒米産地連携の4区分に対象事業が分類されています。
| 区分 | 対象となる取組 |
|---|---|
| ①商品の差別化による新たなニーズの獲得 | 消費者のニーズを掘り起こすとともに、既存商品と差別化された酒類を開発することを目的とした事業。食品とのペアリングに特化した商品や地方産品の特性を生かした商品の開発、休耕田の収穫物を原材料とした商品の開発、個人に対するオーダーメイド商品の開発体制の構築、「伝統的酒造り」を差別化のポイントとした高付加価値商品の開発 等 |
| ②販売手法の多様化による新たなニーズの獲得 | 消費者の多様なニーズに応えるサービスを提供することを目的とした事業。二次元コード等を活用したブランドストーリー提供、テイスティング等の顧客体験を重視した販売形態の確立、データ分析等を用いた顧客の嗜好に合致した商品の販売手法の導入 等 |
| ③ICT技術を活用した、製造・流通の高度化・効率化 | これまで専門家の経験等に依拠していた作業にICT技術を活用する等、製造・流通の高度化・効率化を図る事業。製造面ではAI技術等を活用した品質管理システムの導入、流通面ではRFIDやAIカメラ等を活用した管理システムの導入 等 |
| ④酒類事業者による酒米産地との連携を活かした新たな取組 | 酒類の原料である酒米の不足や価格高騰を踏まえて行う取組等。契約栽培先の多角化等による酒米を安定的に確保できる体制の構築、地域の農家との連携を強化し、他県産米から自県産米への切替を促進する取組 等 |
新たな技術を活用したり、他業種と連携した商品開発や販売手法の改革等を行う酒類事業者向けの枠です。
設備投資のみの事業計画は評価が劣後する点に注意
令和8年度の公募要領では、「事業の経費が全て設備投資であり、かつ、設備の導入のみで完結する事業」については、審査に当たって評価が劣後すると明記されました。単に新商品開発用のタンクや冷蔵設備、ICTシステムを導入するだけでは、審査上不利になります。
そのため、事業の経費が全て設備投資である場合には、以下のような「設備導入以外の取組」を必ず補助事業計画書に記載する必要があります。
- 導入した設備を活用した新商品開発への着手
- マーケティング調査・ユーザーテストの実施
- 導入したシステム等をテスト運用し改善点の把握まで行う
また、補助事業期間中は、テスト販売を除き、成果物の販売・販売につながる営業行為が行われる事業についても評価が劣後します。設備を入れて即販売する計画は本補助金には馴染まない、と理解しておくとよいでしょう。
酒米産地との連携を活かした取組(酒米補助金・酒農連携補助金としての活用)
両枠の共通テーマとして、酒米産地との連携を活かした取組が支援対象になっています。酒類の原料である酒米の不足や価格高騰は、酒類業界全体の課題です。過去の「酒農連携等促進事業」の趣旨を引き継ぎ、本制度は「酒農連携」の取組を強く後押しします。
「酒米 補助金」「酒農連携 補助金」を探している方は、本補助金の以下の区分が該当します。
- 海外展開支援枠③:海外展開・インバウンド向けの酒米産地連携
- 新市場開拓支援枠④:契約栽培の多角化、自県産米への切替促進等
さらに、令和8年度の加点書類(別紙9「酒米の価格高騰等に関する確認書」)を提出することで、酒米価格高騰の影響を受けた事業者の取組は優先採択の対象になります。加点対象となるのは、申請者または参画事業者に酒類の製造免許を受けた製造者がいる場合に限られます。加えて、令和8年1月から補助事業開始前までに実施した(または実施する)酒米農家との連携取組は、さらに評価される仕組みです。
酒類業振興支援事業費補助金の補助率・補助上限額・対象経費
酒類業振興支援事業費補助金の補助率・補助上限額・補助下限額は、申請枠によって異なります。海外展開支援枠は単独申請で最大1,000万円、グループ申請で最大1,500万円、新市場開拓支援枠は最大500万円の支援を受けられます。いずれの枠も、補助下限額は50万円です。
補助率・補助上限額(海外展開支援枠)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2 |
| 補助上限(単独申請) | 1,000万円以内 |
| 補助上限(グループ申請) | 酒類事業者3者を含む場合1,200万円。4者以上の場合は1者ごとに100万円上限を嵩上げし、最大1,500万円 |
| 補助下限額 | 50万円 |
補助率・補助上限額(新市場開拓支援枠)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 小規模事業者:2/3/その他の事業者:1/2 |
| 補助上限 | 500万円以内 |
| 補助下限額 | 50万円 |
いずれの申請枠においても、申請する補助金額が50万円未満の場合は補助対象外です。また、新市場開拓支援枠の場合、採択後から交付決定までの間または交付決定後に「小規模事業者の定義」からはずれた場合は補助率が1/2に変更となります。
常勤従業員数が20人以下(卸売業・小売業では5人以下)の法人または個人。グループ申請の場合には、代表申請者および参画事業者である酒類事業者のすべてが小規模事業者である必要があります。
補助対象経費(17区分)と補助事業期間
酒類業振興支援事業費補助金の対象経費は、以下の17区分に整理されています。酒蔵設備の導入、海外展示会出展、通訳・翻訳、マーケティング調査など幅広い経費が対象です。
| 区分 | 詳細 |
|---|---|
| ①設備等費 | 設備等の購入・制作・構築・改良・据付・検査・実験等の経費 |
| ②謝金 | 指導・助言等を受けるために依頼した専門家または委嘱した委員に支払う謝礼 |
| ③旅費 | 情報収集や各種調査や会議、打合せ等、販路開拓のための旅費 |
| ④借損料 | 設備等のリース料・レンタル料 |
| ⑤通訳・翻訳費 | 通訳および翻訳を依頼する場合に支払われる経費 |
| ⑥会議費 | 会議、講演会またはシンポジウム等に支払われる経費 |
| ⑦広報費 | 広告および広告媒体等を活用するための経費 |
| ⑧委託費 | 業務の一部を第三者に委託する経費 |
| ⑨外注費 | 業務の一部を第三者に外注する場合の経費 |
| ⑩マーケティング調査費 | ユーザーニーズ調査等を行うための経費 |
| ⑪産業財産権等取得等費 | 産業財産権等の取得等のための経費 |
| ⑫展示会等出展費 | 試作品・新商品等を展示会、ECサイト等に出展・出店・出品するための経費 |
| ⑬雑役務費 | 業務・事務を補助するために臨時的に雇い入れた者のアルバイト代や交通費 |
| ⑭原材料等費 | 試作品等の原材料・副資材等の経費 |
| ⑮設計・デザイン費 | 試作品等の設計・デザイン・製造・改良・検査または実験を行うための経費 |
| ⑯出演料 | プロモーション活動において著名人等を起用する場合の経費 |
| ⑰運営費 | プロモーション活動等の運営に要する経費(熱中症・感染症対策費、実施に係る保険料等を含む) |
補助事業期間は交付決定日から令和9年2月28日(日)までで、同日までに支払が完了している必要があります。事業所等の家賃、パソコン等の汎用機器、車両購入費、人件費などは補助対象外です。「酒蔵 建設 補助金」を探している方の場合、酒蔵そのものの建設は対象外ですが、本事業に関連する設備投資は対象になる可能性があります。
令和8年度 第4期・第5期の公募スケジュールと申請方法
令和8年度(2026年度)の酒類業振興支援事業費補助金は、第1期・第2期がすでに終了して採択事業者が公表されており、現在は第4期(〜9月9日)と第5期(〜10月7日)が受付中です。第3期は令和8年8月17日で受付を終了しています。
令和8年度 第3・4・5期の受付期間
| 期 | 受付期間 | ステータス(2026年8月時点) |
|---|---|---|
| 第3期 | 令和8年7月27日(月)〜令和8年8月17日(月)12:00まで | 受付終了 |
| 第4期 | 令和8年7月27日(月)〜令和8年9月9日(水)12:00まで | 受付中 |
| 第5期 | 令和8年8月18日(火)〜令和8年10月7日(水)12:00まで | 受付中 |
締切時間までにJグランツで電子申請を完了する必要があります。GビズIDプライムアカウントの発行遅れによる申請期限の猶予は認められません。第5期を狙う場合でも、書類準備・GビズID取得を今すぐ始めるのが安全です。
過去の採択事業者(第1期・第2期)と採択事例の確認方法
令和8年度は第1期・第2期の採択事業者一覧が国税庁のWebサイトで公表済みです。全国の酒蔵・ワイナリー・クラフトビール醸造所などが、海外展開や新市場開拓の事業計画で採択されています。
過去採択案件のテーマ例としては、比国日本酒ブランド化とツーリズムを組み合わせた事業、契約農家連携酒米による高付加価値日本酒の海外展開、バルト三国・東欧圏における日本産ブランデーの市場開拓、新規洗浄管理手法による日本酒品質向上、インバウンド起点の日本産クラフトビール需要創出実証、低アルコール日本酒の生産工程革新など、多様な取組が採択されています。国税庁が公開している「補助事業活用事例集【令和8年3月版】」(PDF)では、過去採択事業の具体的な取組内容を確認できます。事業計画書の作成前に一度目を通しておくと、採択の勘所をつかみやすくなります。
申請方法(Jグランツ・GビズID)
酒類業振興支援事業費補助金の申請は、補助金電子申請システム「Jグランツ」で行います。令和7年1月以降の公募開始分から、書類郵送での申請は廃止され、Jグランツでの電子申請に一本化されています。
なお本補助金の申請には、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。書類郵送申請の場合、発行までに1〜2週間程度かかるため、申請期限から逆算して早めに手続きを開始しましょう。GビズIDのアカウント・パスワードを外部支援者等に開示する行為は、GビズID利用規約第10条に反するため注意してください。
Jグランツの国税庁補助金申請ページには、各国税局ごとに公募申請ボタンが設けられています。提出先は、国内における主たる事業実施場所を所轄する国税局となります。札幌・仙台・関東信越・東京・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・熊本の各国税局と沖縄国税事務所のうち、該当する国税局の「申請する」ボタンを押下してください。
申請の流れ(公募〜支払いまで)
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①公募申請 | Jグランツで電子申請 |
| ②採択・採択者向け説明会 | 国税庁の補助金担当者が留意事項等を説明(採択事業者は必須参加) |
| ③交付申請 | 採択後に交付申請書を提出 |
| ④交付決定 | 交付決定通知の受領(この後から発注可能) |
| ⑤補助金状況報告 | 提出の求めがあった場合のみ |
| ⑥中間検査 | 事業の進捗状況を確認 |
| ⑦実績報告 | 事業完了後30日以内に提出 |
| ⑧確定検査 | 補助金額の確定 |
| ⑨補助金の請求 | 確定後に補助金請求書を提出 |
| ⑩補助金の支払い | 請求後に補助金が振り込まれる(原則精算払い) |
| ⑪事業化状況の報告 | 事業完了後5年間、毎会計年度終了後90日以内に報告 |
必要な書類
酒類業振興支援事業費補助金の申請に必要な主な書類は、以下のとおりです。
■補助事業計画書
■計画表(新市場開拓支援枠のみ)
■参画事業者等
■経費明細表
■経費一覧表
■役員等名簿
■補助事業概要書
■事業実施に際しての確認票
■給与支給総額の引上げに関する誓約書(新市場開拓支援枠のみ)
■申請者の決算書(直近2事業年度の貸借対照表および損益計算書)
■直近が債務超過の場合は解消の具体的な計画等
■常勤従業員数が確認できる資料(新市場開拓支援枠のみ)
■加点書類:別紙9「酒米の価格高騰等に関する確認書」(該当する場合)
■加点書類:別紙10「米国関税措置に関する確認書」(該当する場合)
「海外展開支援枠」で申請する場合は、計画表・給与支給総額の引上げに関する誓約書・常勤従業員数の資料の提出は不要です。各種加点を受けようとする場合には、加点書類の提出が必要になります。ファイルは1つあたり16MB未満で提出する必要があります。
関連する補助金・支援制度
酒類業振興支援事業費補助金以外にも、酒類事業者が活用できる補助金・支援制度があります。事業内容や目的に応じて最適な制度を選びましょう。
新事業進出・ものづくり補助金(グローバル枠)との比較
海外市場開拓を目指す酒類事業者は、中小企業庁所管の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」のグローバル枠も活用候補になります。グローバル枠は補助上限4,000万円・補助率1/2(小規模事業者2/3)で、海外市場開拓(輸出)に関する事業も対象です。
新事業進出・ものづくり補助金は機械装置・システム構築費が必須経費であり、設備投資中心の事業に向きます。一方、酒類業振興支援事業費補助金はマーケティングや酒蔵ツーリズム、ブランディング等のソフト経費にも幅広く対応するため、目的に応じて使い分けるとよいでしょう。
小規模事業者持続化補助金
従業員規模が小さい酒類事業者は、商工会議所のサポートを受けながら販路開拓に取り組む「小規模事業者持続化補助金」も検討対象になります。チラシ作成・Webサイト改修・店舗改装等の販路開拓費が支援対象です。
他の中小企業向け補助金・支援制度
中小企業向けの補助金・支援制度は多数あります。制度の目的別に整理した記事も参考にしてください。
酒類業振興支援事業費補助金に関するよくある質問
酒類業振興支援事業費補助金についてよく寄せられる質問と回答をまとめました。令和8年度の第4期・第5期の申請期限はいつですか?
令和8年度は、第4期が令和8年7月27日(月)〜9月9日(水)12:00まで、第5期が令和8年8月18日(火)〜10月7日(水)12:00までとなっています。第1〜3期はすでに受付を終了しました。いずれもJグランツで電子申請を完了する必要があります。GビズIDプライムアカウントの発行遅れによる申請期限の猶予は認められませんので、早めの準備をおすすめします。
「酒農連携等促進事業」と「酒類業振興支援事業費補助金」の違いは何ですか?
酒類業振興支援事業費補助金は、かつて別々に実施されていた「日本産酒類海外展開支援事業費補助金」や「酒農連携等促進事業」などを統合・発展させた制度です。海外展開・国内新市場開拓・酒米産地との連携支援を一体化することで、酒類業全体の振興を切れ目なく支える設計になっています。過去に「酒農連携等促進事業」の補助事業者だった方は、令和3〜6年度に交付を受けた事業者に該当する場合、事業化状況報告書を提出済であることが本補助金の申請要件になります。
米国関税措置による影響を受けた場合、加点はどのくらいありますか?
令和8年度の公募要領では、米国関税措置による影響を受けた(または受ける見込みの)事業者の取組は「優先採択」の対象と明記されています。加点書類として別紙10「米国関税措置に関する確認書」の提出に加え、米国へ輸出をしていることが分かる書類(輸出許可書等)および米国の関税措置による影響を証明する書類(取引先からのメール、帳票書類等)が必要です。補助事業計画書に記載された取組が、当該影響への対応として関連性を有すると認められる場合に加点されます。
クラフトウイスキー蒸溜所や地ビール醸造所も対象になりますか?
はい、酒税法上の酒類製造免許を受けたウイスキー蒸溜所(クラフトウイスキー蒸溜所を含む)や、地ビール(クラフトビール)醸造所も本補助金の対象です。実際に令和8年度第2期採択事業者一覧には、インバウンド起点の日本産クラフトビールの需要創出実証実験など、クラフトビール醸造所の採択事例が含まれています。海外展開・酒蔵(蒸溜所)ツーリズム・ICT活用による製造効率化など、蒸溜所や醸造所の実情に合わせて申請枠を選ぶとよいでしょう。
酒蔵ツーリズムに使える補助金はありますか?
酒類業振興支援事業費補助金の「海外展開支援枠 区分②:酒蔵の観光化や地域における酒蔵ツーリズムプラン策定の取組」が該当します。インバウンドによる海外需要の拡大を目的として、酒蔵自体の観光化、観光事業者・交通機関・地方公共団体等と連携した周遊・滞在型観光「酒蔵ツーリズム」の推進、酒造りや宿泊等の高付加価値な体験ができる受け入れ環境整備、ガイド育成などが対象になります。単独の酒蔵では観光受入体制整備が難しい場合でも、DMOや自治体、観光事業者と連携することで申請可能です。
グループ申請の補助上限額はいくらまで引き上げられますか?
海外展開支援枠のグループ申請の場合、酒類事業者3者を含む場合の上限額は1,200万円となります。連携する酒類事業者が4者以上の場合、酒類事業者1者ごとに100万円上限額を嵩上げし、最大1,500万円までとなります。酒類事業者を7者以上含む連携の場合であっても上限額1,500万円は変わりません。なお、下限額50万円はグループ申請の場合でも同じです。新市場開拓支援枠のグループ申請には、この嵩上げルールは適用されません。
給与支給総額の増加目標が未達の場合、補助金は返還が必要ですか?
新市場開拓支援枠で事業計画終了時点において給与支給総額の年率平均1.5%以上の増加目標が達成できていない場合、導入した設備等の簿価または時価のいずれか低い方の額のうち補助金額に対応する分の返還を求められる可能性があります。ただし、給与支給総額の年率増加率平均が「売上額または付加価値額の年率増加率平均/2」を超えている場合や、天災など事業者の責めに帰することができない理由がある場合は、返還は求められません。海外展開支援枠では、給与支給総額に関する要件・返還ルールは設定されていません。
設備投資だけの事業計画でも申請できますか?
申請自体は可能ですが、「事業の経費が全て設備投資であり、かつ、設備の導入のみで完結する事業」については、審査に当たって評価が劣後します。事業の経費が全て設備投資である場合は、補助事業の一環として設備導入以外の取組(新商品開発への着手、マーケティング調査、システムのテスト運用と改善点把握等)を確実に補助事業計画書に記載する必要があります。
補助事業期間中にテスト販売はできますか?
補助事業期間中は、テスト販売を除き、成果物の販売および販売につながる営業行為はできません。テスト販売とは、試作品や新商品を限定された期間で不特定多数の人に対して試験的に販売し、商品仕様・顧客の反応等を測定・分析して改良を加える事業で、準備期間と販売期間が合わせておおむね半年以内、同一の場所・サイト・趣旨で複数回行わない、アンケート等で効果検証が可能、といった要件を満たす必要があります。テスト販売の収入が補助対象経費の1/2または2/3と収入金額の合計が事業経費を超えた場合は、超過分に相当する補助金額を減額されます。
個人事業主の酒類事業者でも申請できますか?
はい、日本国内に所在する酒類事業者であれば、個人事業主でも申請可能です。小規模事業者(常勤従業員数が20人以下、卸売業・小売業では5人以下)に該当する個人事業主の場合、新市場開拓支援枠の補助率が2/3に引き上げられます。ただし、グループ申請で小規模事業者向け補助率2/3の適用を受けるには、代表申請者および参画事業者である酒類事業者のすべてが小規模事業者である必要があります。
参考:令和8年度 酒類業振興支援事業費補助金の公募について(国税庁)
まとめ
酒類業振興支援事業費補助金は、国税庁が所管する酒類事業者向けの公的補助金で、日本産酒類の輸出拡大と酒類業の経営改革・構造転換を支援する制度です。かつての「酒農連携等促進事業」や「日本産酒類海外展開支援事業費補助金」を統合・発展させた形で運営されており、日本酒・焼酎・ビール・ウイスキー・ワインなど、酒税法に定められた酒類を扱う事業者が幅広く活用できます。
この記事のポイントを振り返ります。
・申請枠:海外展開支援枠(単独最大1,000万円・グループ最大1,500万円・補助率1/2)/新市場開拓支援枠(最大500万円・補助率1/2または2/3)
・対象事業者:日本国内に所在する酒類事業者またはそのグループ(個人事業主も可)
・対象事業:海外販路拡大、酒蔵ツーリズム、酒米産地連携、商品差別化、ICT活用 等
・対象酒類:日本酒・焼酎・ビール・ウイスキー・ワイン・リキュール等、酒税法上の酒類全般
・補助事業期間:交付決定日〜令和9年2月28日
・申請方法:Jグランツによる電子申請(GビズIDプライムアカウント必須)
・令和8年度公募状況:第1〜3期は受付終了、第4期(〜9月9日)・第5期(〜10月7日)は受付中
・優先採択:酒米価格高騰の影響/米国関税措置の影響への対応取組
・補助下限額:50万円(これ未満は対象外)
日本産酒類の競争力強化と新たな市場開拓を目指す酒類事業者にとって、本補助金は強力な後押しになります。海外展開を視野に入れている酒蔵、ICT導入で経営改革を進めたい酒類メーカー、酒米産地との連携を活かした商品開発を検討している事業者は、ぜひ活用を検討してみてください。
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