▼5月31日更新
※5月31日から「経営革新」の申請受付が開始しました。
近年、「後継者不在」を理由とする廃業の多さが指摘されています。そこへコロナ禍の影響で「営業継続が危ぶまれている」、「廃業を視野に入れた経営資源の引継ぎ先を探している」という事業者も多いのではないでしょうか。
一方で、事業拡大を目指して「企業買収を検討している」という事業者の皆さまもいらっしゃることでしょう。今回はそのどちらの場合でも活用できる「令和3年度補正予算 事業承継・引継ぎ補助金」をご紹介します。
事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継・M&A後の経営革新やM&A時の専門家活用等に対し最大600万円、事業承継・M&Aに伴う廃業等に最大150万円を補助するもので、令和3年補正予算の補助事業では、経営革新と専門家活用の重複申請が可能になっています。そのほか、補助金申請時にすでに契約・発注を行っている場合でも対象となる「事前着手」の措置が実施されます。(第1回公募のみ)さっそく詳細を確認しましょう!
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この記事の目次
事業承継・引継ぎ補助金とは
中小企業の雇用や技術といった、貴重な経営資源を次世代へ引き継ぎ、地域のサプライチェーンを維持することを目的とした補助金です。「ものづくり補助金」「持続化補助金」「IT導入補助金」を行う企業生産性革命推進事業に、令和3年度補正予算から事業承継・引継ぎ補助金が追加され、政府は円滑な事業承継・引継ぎをより一層推進する方針であることが読み取れます。
事業承継・引継ぎ補助金は以下の3つの事業で構成されています。
- 経営革新事業
- 専門家活用事業
- 廃業・再チャレンジ事業(新設)
ではここから、各事業の確認をしていきます。
事業承継・引継ぎ補助金【経営革新事業】とは
事業承継・引継ぎ補助金(経営革新事業)には、創業支援型、経営者交代型、M&A型の3種類があります。
他の事業者が保有している経営資源を引き継いで創業した場合に対象となるのが「創業支援型」です。親族内承継等により経営資源を引き継いだ場合は「経営者交代型」、M&Aにより経営資源を引き継いだ場合は「M&A型」の対象となります。
出典:事業承継・引継ぎ補助金チラシより抜粋
補助率・上限額等
前回(令和3年度当初予算)事業と、今回(令和3年度補正予算)における変更点として、補助率・上限額等の違いが挙げられます。
【前回(令和3年度当初予算)】
◆経営者交代型
補助率:1/2
上限額:250万円以内
廃業時の上乗せ額:200万円以内
◆M&A型
補助率:1/2
上限額:500万円以内
廃業時の上乗せ額:200万円以内
【今回(令和3年度補正予算)】
◆創業支援型、経営者交代型、M&A型
補助率:2/3(補助額のうち、400万円を超え600万円以下の部分は1/2)
上限額:600万円以内※
廃業時の上乗せ額:150万円以内
これまではM&A型の上限額が高く設定されていましたが、今回はすべての類型で上限600万円となっています。また、補助額400万円までの範囲は、補助率2/3になります。
なお、上限額は、生産性向上要件(「付加価値額」または「1人当たりの付加価値額」の伸び率が3%/年の向上を含む計画であること)を満たさない計画の場合は、上限400万円以内に変更されます。
補助対象経費
経営革新事業では、事業承継・M&A後の経営革新(設備投資・販路開拓等)に係る費用が補助されます。補助対象経費は、契約・発注が補助事業期間内(交付決定日以降かつ2023年1月31日まで)で、支払いが同期間内に完了している必要があります。
対象経費は以下のとおりです。
◆事業費
- 人件費(補助対象事業に要する賃金)
- 店舗等借入費(店舗・事務所・駐車場の賃借料・仲介手数料等)
- 設備費(店舗・事務所等の工事、国内で使用する機械器具等調達費用)
- 原材料費(試供品・サンプル品の製作に係る経費)
- 産業財産権等関連経費(特許権等取得に要する弁理士費用)
- 謝金(補助対象事業実施のために依頼した専門家等に謝金として支払う経費)
- 旅費(販路開拓等を目的とした国内外出張に係る交通費、宿泊費)
- マーケティング調査費(自社で行うマーケティング調査に係る費用)
- 広報費(自社で行う広報に係る費用)
- 会場借料費(販路開拓や広報活動に係る説明会等での一時的な会場借料費)
- 外注費(業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費)
- 委託費(業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費)
◆廃業費
- 廃業支援費(廃業に関する登記申請手続きに伴う司法書士等に支払う作成経費)
- 在庫廃棄費(既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費)
- 解体費(既存事業の廃止に伴う建物・設備等の解体費)
- 原状回復費(借りていた設備等を返却する際に義務となっていた原状回復費用)
- リースの解約費(リースの解約に伴う解約金・違約金)
- 移転・移設費用(効率化のため設備等を移転・移設するために支払われる経費 ※計上できるのは「創業支援型」と「M&A型」のみ)
経営革新事業の補助対象者
以下の「11個の要件」と「事業承継の要件」を満たす中小企業等または特定非営利活動法人が対象となります。
◆「11個の要件」
- 日本国内に拠点又は居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること。
- 地域経済に貢献している(創業支援型においては貢献する予定の)中小企業者等であること
- 暴力団等の反社会的勢力でないこと。また、反社会的勢力との関係を有しないこと。
- 法令遵守上の問題を抱えていないこと。
- 事務局から質問及び追加資料等の依頼があった場合は適切に対応すること。
- 事務局が必要と認めるときは、事務局が補助金の交付申請ほか各種事務局による承認及び結果通知に係る事項につき修正を加えて通知することに同意すること。
- 補助金の返還等の事由が発生した際、各種費用について、いかなる事由においても事務局が負担しないことについて同意すること。
- 経済産業省及び独立行政法人中小企業基盤整備機構から補助金指定停止措置または指名停止措置が講じられていないこと。
- 補助対象事業に係る全ての情報について、匿名性を確保しつつ公表される場合があることについて同意すること。
- 事務局が求める補助対象事業に係る調査やアンケート等に協力できること。
- 次のいずれかに該当すること
(1)中小企業基本法等の小規模企業者
(2)直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者
(3)新型コロナウイルス感染症拡大以前と比べて売上高が減少している者※
(4)再生事業者(再生計画等を「策定中」または「策定済、かつ、公募終了日から遡って3年以内に再生計画等が成立等した」のいずれかに該当することを証明する書類を提出する者)
※「新型コロナウイルス感染症拡大以前と比べて売上高が減少している者」に関して
具体的には、2020年4月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ拡大期以前(2019年1月~2020年3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
◆「事業承継の要件」
定められた一定の事業承継形態で、事業承継対象期間(2017年4月1日~2023年1月31日)に被承継者と承継者の間でM&A 等を含む事業の引き継ぎを行ったまたは行うこと。
承継者と被承継者による実質的な事業承継が行われていない場合、たとえばグループ内の事業再編、
物品・不動産等のみを保有する事業の承継等と事務局が判断した場合は対象外となります。また、M&A 型で親族内承継であると事務局が判断した場合等も対象になりません。
定められた事業承継の形態とは、たとえば創業支援型で「承継者が法人」で「被承継者も法人」の場合、事業承継の形態は、吸収合併、吸収分割、事業譲渡、株式交換、株式譲渡、株式移転、新設合併の7種類あります。補助対象者によって補助対象となる事業承継の形態が異なりますので公募要領でご確認ください。
▼(参考)創業支援型の事業承継形態区分
出典:令和3年度補正予算 事業承継・引継ぎ補助金 経営革新事業【公募要領】より抜粋
経営革新事業の補助対象事業
補助対象事業は以下の要件を満たしているものとします。
【創業支援型】
- 事業承継対象期間内の法人(中小企業者)設立、または個人事業主としての開業
- 創業にあたって、廃業を予定している者等から、株式譲渡、事業譲渡等により、経営資源(設備、従業員、顧客等)を引き継ぐ
※設備のみを引き継ぐ等、個別の経営資源のみを引き継ぐ場合は原則として該当しません。また、物品・不動産等のみを保有する事業の承継(売買含む)は対象外です。
【経営者交代型】
- 親族内承継や従業員承継等の事業承継(事業再生を伴うものを含む)
- 経営等に関して一定の実績や知識等を有している者であること(産業競争力強化法に基づく認定市区町村または認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等)
【M&A型】
- 事業再編・事業統合等のM&A
- 経営等に関して一定の実績や知識等を有している者であること(産業競争力強化法に基づく認定市区町村または認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等)
※物品・不動産等のみを保有する事業の承継(売買含む)は対象になりません。
◆補助事業期間
補助事業期間は、交付決定後から2023年1月31日までです。ただし、補助事業の申請時点で補助対象経費にかかる契約・発注を行っている場合、もしくは申請後交付決定前に補助対象経費にかかる契約・発注を行う予定がある場合は、申請時に事前着手の届け出を申請することができます。(第1回公募のみ)
事前着手の届け出で申請できる着手日または着手予定日は、2022年4月28日以降に限られます。なお、事前着手が承認された場合であっても、補助金の採択を約束するものではありません。
経営革新事業の申請受付期間
4次公募:12/26〜2/9
申請の流れ
交付申請の流れは以下のとおりです。
①補助対象事業の確認(「経営革新等に係る取組」についての検討)
②電子申請システム jGrants の利用前にgBizIDプライムのアカウントを取得する(1~2週間程度)
③認定経営革新等支援機関へ相談し、「認定経営革新等支援機関による確認書」の発行を受ける
④申請に必要な書類の準備
⑤オンライン申請フォーム(jGrants)に必要事項を記入
⑥必要書類チェックリストで、必要書類に相違・不足がないかを確認する
⑦オンライン申請フォーム(jGrants)に提出する必要書類を添付
⑧提出処理を行い、提出完了画面を確認する
補助対象事業は、原則として交付申請後、交付申請通知を受けてから実施します。事業が完了したら実績報告をし、確定検査を経て補助金交付となります。補助金交付後5年間は、事業化状況・収益状況報告を実施する必要があります。
一連の流れをまとめたものが下図になります。
出典:パンフレット(経営革新)より抜粋
事業承継・引継ぎ補助金【専門家活用事業】とは
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用事業)には、「買い手支援型(Ⅰ型)」と「売り手支援型(Ⅱ型)」の2種類があります。事業を引き継ぐ方を支援するのが買い手支援型、事業を第三者に承継したい方を支援するのが売り手支援型です。
出典:事業承継・引継ぎ補助金チラシより抜粋
補助率・上限額等
経営革新事業と同じく、専門家活用事業でも前回の補助率・上限額等から変更がありました。
【前回(令和3年度当初予算)】
補助率:1/2
上限額:250万円以内
廃業時の上乗せ額:200万円(売り手のみ)
【今回(令和3年度補正予算)】
補助率:2/3
上限額:600万円以内※
廃業時の上乗せ額:150万円(買い手・売り手どちらも対象に)
※補助事業期間内に経営資源の引継ぎが実現しなかった場合は、補助上限額が300万円以内に変更され、廃業費は対象外となります。
補助対象経費
補助対象経費は、契約・発注が補助事業期間内(交付決定日以降かつ2023年1月31日まで)で、支払いが同期間内に完了している必要があります。
【補助対象経費の区分】
謝金、旅費、外注費、委託費※、システム利用料、保険料、廃業費(廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用)等
※委託費のうち、ファイナンシャルアドバイザー業務または仲介業務に係る、相談料、着手金、中間報酬及び成功報酬等の経費等に関しては、「M&A支援機関登録制度」に登録されたファイナンシャルアドバイザー・仲介業者が支援したものに限り補助対象経費となります。
専門家活用事業の補助対象者
以下の「10個の要件」と「経営資源引継ぎの要件」を満たす中小企業者等が対象となります。
◆「10個の要件」
- 日本国内に拠点又は居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること。
- 暴力団等の反社会的勢力でないこと。また、反社会的勢力との関係を有しないこと。
- 法令遵守上の問題を抱えていないこと。
- 事務局から質問及び追加資料等の依頼があった場合は適切に対応すること。
- 事務局が必要と認めるときは、事務局が補助金の交付申請ほか各種事務局による承認及び結果通知に係る事項につき修正を加えて再度通知することに同意すること。
- 補助金の返還等の事由が発生した際、各種費用について、いかなる事由においても事務局が負担しないことについて同意すること。
- 経済産業省及び独立行政法人中小企業基盤整備機構から補助金指定停止措置または指名停止措置が講じられていないこと。
- 補助対象事業に係る全ての情報について、匿名性を確保しつつ公表される場合があることについて同意すること。
- 事務局が求める補助対象事業に係る調査やアンケート等に協力できること。
- ファイナンシャルアドバイザー・M&A仲介費用を補助対象経費とする場合は「M&A支援機関登録制度」に登録された登録ファイナンシャルアドバイザー・仲介業者に関する情報について、事務局から M&A支援機関登録制度事務局に対し情報提供すること等に同意すること
◆「経営資源引継ぎの要件」
定められた一定の引継ぎ形態で、補助事業期間に事業再編・事業統合が着手もしくは実施される予定であること。
たとえば、買い手支援型で承継者が法人の場合、引継ぎの形態は、株式譲渡、第三者割当増資、株式交換、吸収合併、吸収分割、事業譲渡の6種類あります。補助対象者によって補助対象となる経営資源引継ぎの形態が異なりますので公募要領でご確認ください。
出典:令和3年度補正予算 事業承継・引継ぎ補助金 専門家活用事業【公募要領】より抜粋
なお、補助対象事業が、単なる不動産売買に該当する以下のような場合は、事業再編・事業統合に伴う経営資源の引継ぎの対象外となりますのでご注意ください。
【単なる不動産売買の例】
- 最終契約書として不動産売買契約書のみを締結する場合
- 不動産及び取引契約の引継ぎのみで、常時使用する従業員(1名以上)の引継ぎを伴わない場合
- 事業を営んでいない個人又は個人事業主から不動産のみを買収する場合
- 空き家のみ、賃貸物件のみを買収・売却する場合
- 株式、事業及び営業権の譲渡を伴わない、物件の賃借権の譲渡の場合
- 補助対象経費が不動産売買に係る経費のみである場合
専門家活用事業の補助対象事業
補助対象事業は以下の要件を満たしているものとします。
【買い手支援型(Ⅰ型)】
- 事業再編・事業統合等に伴い経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うことが見込まれる
- 事業再編・事業統合等に伴い経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれる
【売り手支援型(Ⅱ型)】
- 地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行っており、事業再編・事業統合によってこれらが第三者により継続されることが見込まれる
◆補助事業期間
補助事業期間は、交付決定後から2023年1月31日までです。ただし、補助事業の申請時点で補助対象経費にかかる契約・発注を行っている場合、もしくは申請後交付決定前に補助対象経費にかかる契約・発注を行う予定がある場合、申請時に事前着手の届け出を申請し、事務局の承認を受けることで、事務局が認めた2022年3月31日以降の日を補助対象事業の事業開始日とすることができます。この事前着手の措置は第1回公募のみ対象であり、第2回公募以降は実施されません。
専門家活用事業の申請受付期間
第1回公募 2022年4月22日~5月31日 17時
申請の流れ
交付申請の流れは以下のとおりです。
①補助対象事業の確認(「専門家活用等に係る取組」についての検討)
②電子申請システム jGrants の利用前にgBizIDプライムのアカウントを取得する(1~2週間程度)
③申請に必要な書類の準備
④オンライン申請フォーム(jGrants)に必要事項を記入
⑤必要書類チェックリストで、必要書類に相違・不足がないかを確認する
⑥オンライン申請フォーム(jGrants)に提出する必要書類を添付
⑦提出処理を行い、提出完了画面を確認する
なお、原則として補助対象事業は、交付申請後、交付申請通知を受けてから実施します。事業が完了したら実績報告をし、確定検査を経て補助金交付となります。(補助金交付後、後年報告を実施)
一連の流れをまとめたものが下図になります。
出典:パンフレット(専門家活用)より抜粋
【申請に関する注意点】
- 専門家活用事業における同一の者による複数の交付申請は不可で、交付申請は原則1申請のみとなります。ただし、売り手支援型(Ⅱ型)において、同一の被承継者が複数の対象会社を異なる承継者に引継ぐ場合は、複数の交付申請が認められます。
- 売り手支援型(Ⅱ型)の株式譲渡の場合、支配株主または株主代表が交付申請をする場合は、対象会社との共同申請が必須となります。
- 専門家活用事業は経営革新事業との重複申請が可能です。廃業・再チャレンジ事業と併用にて申請する場合は、上乗せという扱いになるため、廃業・再チャレンジ事業への別途の申請は必要ありません。
事業承継・引継ぎ補助金に新設【廃業・再チャレンジ事業】とは
事業承継・引継ぎ補助金(廃業・再チャレンジ事業)は、中小企業・小規模事業者が再チャレンジを目的として既存事業を廃業する際の費用の一部を補助するものです。
出典:事業承継・引継ぎ補助金チラシより抜粋
対象となる廃業・再チャレンジは、「経営革新事業または専門家活用事業との併用申請型」と「再チャレンジ申請型」の2つに分けられます。
【経営革新事業または専門家活用事業との併用申請型】
- 事業承継またはM&Aで事業を譲り受けた後の廃業(新たな取り組みを実施するにあたって既存の事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合 ※経営革新事業との併用)
- M&Aで事業を譲り受けた際の廃業(事業を譲り受けるにあたって既存の事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合 ※専門家活用事業との併用)
- M&Aで事業を譲り渡した際の廃業(M&A後も手元に残った事業を廃業する場合 ※専門家活用事業との併用)
【再チャレンジ申請型】
- 廃業して再チャレンジする(M&Aによって事業を譲り渡せなかった中小企業者等の株主、または個人事業主が、地域の新たな需要の創造または雇用の創出につながる新たなチャレンジをするために既存事業を廃業する場合)
補助率・上限額等
補助率:2/3
上限額:150万円以内
補助対象経費
補助対象経費は、契約・発注が補助事業期間内(交付決定日以降かつ2023年1月31日まで)で、支払いが同期間内に完了している必要があります。
補助対象経費は以下のとおりです。
- 廃業支援費(廃業に関する登記申請手続きに伴う司法書士等に支払う作成経費、会計処理や税務申告に係る専門家活用費用等)
- 在庫廃棄費(既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費)
- 解体費(既存事業の廃止に伴う建物・設備等の解体費)
- 原状回復費(借りていた設備等を返却する際に義務となっていた原状回復費用)
- リースの解約費(リースの解約に伴う解約金・違約金)
- 移転・移設費用(効率化のため設備等を移転・移設するために支払われる経費※併用申請のみ計上可)
対象経費のうち、廃業支援費の補助上限額は50万円です。また、商品在庫等を売却して対価を得る場合の処分費は、補助対象経費になりません。
廃業・再チャレンジ事業の補助対象者
以下の「10個の要件」と「廃業・再チャレンジの要件」を満たす中小企業等が対象となります。経営革新事業または専門家活用事業との併用の場合は、経営革新事業または専門家活用事業の公募要領の要件を満たす中小企業者等であることが必要です。
◆「10個の要件」
- 日本国内に拠点又は居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること。
- 地域経済に貢献している(しようとしている)中小企業者等であること
- 暴力団等の反社会的勢力でないこと。また、反社会的勢力との関係を有しないこと。
- 法令遵守上の問題を抱えていないこと。
- 事務局から質問及び追加資料等の依頼があった場合は適切に対応すること。
- 事務局が必要と認めるときは、事務局が補助金の交付申請ほか各種事務局による承認及び結果通知に係る事項につき修正を加えて再度通知することに同意すること。
- 補助金の返還等の事由が発生した際、各種費用について、いかなる事由においても事務局が負担しないことについて同意すること。
- 経済産業省及び独立行政法人中小企業基盤整備機構から補助金指定停止措置または指名停止措置が講じられていないこと。
- 補助対象事業に係る全ての情報について、匿名性を確保しつつ公表される場合があることについて同意すること。
- 事務局が求める補助対象事業に係る調査やアンケート等に協力できること。
※M&Aで事業を譲り渡せなかった廃業・再チャレンジの場合は、上記に加え次の2つの要件も満たすものとします。
- M&A(事業の譲り渡し)に着手したものの、成約に至らなかった者であること
- 廃業後、再チャレンジする事業に関する計画(認定支援機関の確認を受けたもの)を提出すること
ここでいうM&Aに着手した、とは「事業承継・引継ぎ支援センターへの相談依頼」「M&A 支援機関との包括契約(着手に関する契約)」「M&Aマッチングサイトへの登録」等で、申請者自身でM&Aに着手した場合は対象外となります。また、成約に至らなかった、とは申請締め切り時点で事業の譲り渡しに着手してから6か月以上経過しているものを指します。
◆「廃業・再チャレンジの要件」
併用申請の場合
補助事業期間終了日までにM&Aまたは廃業が完了していること。また以下の【廃業に伴って求められる行動】のうち(1)~(3)を行った、または行う予定であること。
再チャレンジ申請の場合
補助事業期間終了日までに廃業が完了していること。また、【廃業に伴って求められる行動】のうち(4)を行った、または行う予定であること。
【廃業に伴って求められる行動】
(1)事業承継後、M&A後の新たな取り組み ※経営革新事業に該当
(2)M&Aによって事業を譲り受ける(全部譲渡・一部譲渡含む)※専門家活用に該当
(3)M&Aによって事業を譲り渡す(全部譲渡・一部譲渡含む) ※専門家活用に該当
(4)2020年以降に売り手としてM&Aに着手してから6か月以上取り組んでおり、廃業後に、再チャレンジする
(4)について、中小企業者等の株主、または個人事業主に求められる再チャレンジの内容は以下のとおりです。
- 新たに新しい法人を設立
- 個人事業主として新たな事業活動を実施
- 自身の知識や経験を活かせる企業への就職や社会への貢献等
廃業・再チャレンジ事業の補助対象事業
(1)会社自体を廃業するために、補助事業期間内に廃業登記を行う、在庫を処分する、建物や設備を解
体する、原状回復を行う事業
(2)事業の一部を廃業(事業撤退)するために、補助事業期間内に廃業登記を行う、在庫を処分する、建
物や設備を解体する、原状回復を行う事業
併用申請の場合は(1)、(2)とも申請の対象となり、再チャレンジ申請の場合は(1)のみ対象となります。
◆補助事業期間
補助事業期間は、交付決定後から2023年1月31日までです。廃業・再チャレンジ事業も、事前着手の申請が第1回公募のみ可能です。承認を受けることで、事務局が認めた2022年3月31日以降の日を補助対象事業の事業開始日とすることができます。
廃業・再チャレンジ事業の申請受付期間
第1回公募 2022年4月28日~5月31日 17時
申請の流れ
交付申請の流れは以下のとおりです。
①補助対象事業の確認(「廃業・再チャレンジに係る取組」についての検討)
②電子申請システム jGrants の利用前にgBizIDプライムのアカウントを取得する(1~2週間程度)
③事業承継・引継ぎ補助金のWebサイトから認定経営革新等支援機関による確認書をダウンロードする
④認定経営革新等支援機関から確認書の発行を受ける
⑤交付申請に必要な書類の準備を行う※
⑥オンライン申請フォーム(jGrants)に必要事項を記入
⑦必要書類チェックリストで、必要書類に相違・不足がないかを確認する
⑧オンライン申請フォーム(jGrants)に提出する必要書類を添付
⑨提出処理を行い、提出完了画面を確認する
⑤に関して、以下のいずれかの事由に該当する場合、審査で加点されます。(該当することを証する書類の提出が必要)
- 再チャレンジする主体の年齢が若いこと
- 再チャレンジの内容が、「起業(個人事業主含む)」「引継ぎ型創業」であること
申請後は、交付決定してから対象事業を実施し、実績報告後に補助金が交付されます。一連の流れをまとめたものが下図になります。
出典:パンフレット(廃業・再チャレンジ)より抜粋
まとめ
今回は、中小企業の事業承継・引継ぎを支援する「令和3年度補正予算 事業承継・引継ぎ補助金」をご紹介しました。
この補助金では、事業承継・引継ぎ後の設備投資・販路開拓などの新たな取組や廃業に係る費用、事業引継ぎ時の士業専門家の活用費用等を支援しており、以下の3つの事業で構成されています。
- 経営革新事業
- 専門家活用事業
- 廃業・再チャレンジ事業
経営革新事業と専門家活用事業は重複申請することも可能です。
廃業・再チャレンジ事業は、経営革新事業・専門家活用事業との併用申請もしくは、M&Aによって事業を譲り渡せなかった場合の再チャレンジ申請ができます。
各事業とも申請期間を4つ設定するということですので、自社に合ったタイミングで補助金活用がしやすくなります。事業承継・M&A取引を検討している場合は、是非、ご活用ください。