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雇用調整助成金とは-令和6年能登半島地震に伴う特例いつから-

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この記事の目次

雇用調整助成金【令和6年能登半島地震にともなう特例】

厚生労働省は、令和6年の能登半島地震による経済的な影響で事業活動を縮小せざるを得ない事業主を支援するため、雇用調整助成金の特例措置を実施します。

雇用調整助成金 特例措置のポイント|いくらもらえる?※2月9日更新

雇用調整助成金は、経済的な理由で事業活動を縮小せざるを得ない事業主が、労働者を休業させたり、教育訓練や出向を実施したりして雇用を維持する場合、その休業手当等の費用の一部を国が補助する制度です。

助成内容は以下のとおりです。

助成率 日額上限額
中小企業 2/3 8490円
大企業 1/2 8490円

教育訓練を行った場合、事業主は訓練費として、上記に加えて1人1日あたり1200円を受け取ることができます。また、支給額の日額上限は、雇用保険基本手当の日額最高額に設定されています(令和5年8月1日時点の情報に基づく)。

▼雇用調整助成金の通常制度と令和6年能登半島地震に係る特例措置を比較しました

通常の場合 能登半島地震の特例措置
対象事業主 経済上の理由により事業活動を縮小した全国の事業主 令和6年能登半島地震に伴う経済上の理由により事業活動を縮小した全国の事業主
生産指標要件 最近3か月間の月平均値が前年同期比10%以上低下(※事業所設置後1年未満は対象外) 最近1か月10%以上低下(※事業所設置後1年未満も対象)
雇用量要件 最近3か月間の月平均値が前年同期と比べ一定規模以上増加していないこと 撤廃
計画届 事前の提出が必要 計画届の提出日が令和6年3月31日までの間である場合は、事前に提出されたものとみなす
残業相殺 所定外労働があった場合、休業等の実績から相当分を差し引く 4県(新潟県、富山県、石川県、福井県)で撤廃
支給日数 1年100日、3年150日 3年150日を適用しない。4県について1年300日
対象労働者 雇入れ後6か月未満は対象外 雇入れ後6か月未満も対象
クーリング要件 過去に雇用調整助成金の支給を受けた対象期間満了の日の翌日から起算して1年を超えていること
撤廃
助成率 大企業1/2、中小企業2/3 4県の事業所が実施する休業、訓練、出向について、大企業2/3、中小企業4/5
対象となる休業の規模 大企業1/15以上、中小企業1/20以上 4県について、大企業1/30以上、中小企業1/40以上

出典:令和6年能登半島地震に係る雇用調整助成金の特例措置

スケジュール|いつからが対象

特例対象期間である令和6年1月1日から令和6年6月30日の間に開始した休業、教育訓練または出向が対象となります。

支給要件|だれが対象

地震に伴う経済上の理由により休業等を行う事業主が対象です(雇用保険の適用事業所であること等の支給要件があります)。特例措置により、以下の要件緩和が行われます。


要件緩和
1.生産指標の確認期間短縮 通常は3か月だった生産指標の確認期間が1か月に短縮され、最近1か月の販売量や売上高が前年同期比10%以上減少すれば要件を満たします
2.雇用量増加でも助成 通常、最近3か月の雇用量雇用量が前年同期比で増加している場合、雇用調整助成金の対象外となりますが、この緩和措置では、雇用量が増加していても助成の対象になります
3.事業所設置後1年未満の事業主への助成 通常、雇用保険適用事業所を設置してから1年未満の事業主は雇用調整助成金の対象外ですが、災害発生時に事業所設置後1年未満であっても助成の対象になります
4.計画届の事後提出可能 通常は事前提出が必要な計画届が、令和6年3月31日までの間に限り、事後提出でも受理されます。これにより1月1日~始まった休業や出向でも、助成金の適用が遡及されます

地震に伴う経済上の理由とは

地震に伴う「経済上の理由」は、地震による直接的な被害ではなく、災害によって引き起こされる経営環境の悪化を指します。例えば、取引先の被害により原材料や商品の取引ができない、交通の途絶により来客や従業員の出勤、物品配送が困難、電気・水道・ガスの供給停止や通信の途絶による営業の不可能、風評被害による観光客減少、施設や設備の修理が困難になる状況などが含まれます。これらの状況が事業活動の縮小につながり、休業などが行われた場合に助成対象となります。

参考:令和6年能登半島地震に伴う雇用調整助成金の特例を実施します

雇用調整助成金とは

※ここから先は、通常の「雇用調整助成金」の内容になります

雇用調整助成金は、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための取組(休業、教育訓練または出向)を行った際に助成する制度です。

企業の雇用維持を支援することで、失業を予防し、雇用の安定を図ります。支給の対象は雇用保険適用事業所、または雇用保険被保険者です。

助成内容

主な助成の内容は、以下のとおりです。

【対象の取組】
・休業を実施した場合の休業手当
・教育訓練を実施した場合の賃金相当額
・出向を行った場合の、出向元事業主の負担額

【助成率】
・中小企業:2/3
・それ以外:1/2

なお、労働者1人あたり8490円が上限です。
また、教育訓練を行った場合は1人1日あたり1200円が加算されます。

支給要件

主な支給要件は、以下のとおりです。

主な支給要件
■支給対象となるのは、以下のいずれかに該当する者
・雇用保険適用事業所の事業主
・雇用保険被保険者の労働者

■最近3か月の生産量等が、前年同期と比べて10%以上減少していること

■雇用保険被保険者数等の数の最近3か月間の月平均値の雇用指標が、前年同期と比べて一定規模以上増加していないこと

■実施する休業等および出向が、労使協定に基づくものであること

■過去の支給から1年を超えていること

申請方法

申請は、計画届と必要書類を提出することで行います。計画届は支給対象期間ごとに提出が必要です。

受給手続きまでの流れは、以下の図も参照してください。

出典:厚生労働省 雇用調整助成金

問い合わせ・サポート

雇用調整助成金に関する問い合わせ先は、以下のとおりです。

■雇用調整助成金、産業雇用安定助成金コールセンター
0120-603-999

受付時間
9:00~21:00(土日・祝日含む)

また、産業雇用安定センターでは、企業間の出向の斡旋を無料で行っています。
具体的には、以下のサポートを受けられます。

①民間企業から派遣された協力員による企業訪問
②企業間の情報交換会議の開催
③出向者の送出しおよび受入れに係る情報を収集した上で、企業間の出向に関する話し合いの場の設定

雇用調整助成金の活用について不安なことがあれば、積極的に利用してみましょう。

雇用調整助成金 令和6年 改正ポイント

令和6年1月から、雇用調整助成金の支給額算定方法が「実費方式」に統一されます。これまで選択可能だった「平均賃金方式」は廃止されますので、注意してください。

これまでの経緯と改正のポイントについて、見ていきましょう。

改正の経緯と目的

令和5年4月1日以降、雇用調整助成金では、「実費方式」と「平均賃金方式」のどちらかを選択し、「基本手当日額の上限額×休業等の延日数」と比較して、少ないほうを支給額とする算出方法がとられてきました。実費方式と平均賃金方式の違いは、以下のとおりです。

■平均賃金方式
前年度の雇用保険料の算定基礎となった賃金総額や、年間の所定労働日数等から求めた平均賃金額を使って、助成額を算定する方法

■実費方式
実際に支払った休業手当等の総額から、助成額を算定する方法

令和6年1月からは実費方式と「基本手当日額の上限額×休業等の延日数」を比較し、少ないほうが支給額となります。休業等の取組にかかった実費をもとに支給額を算出することで、より正確な金額が支給されることになります。

改正後の支給額の算定方法

実費方式では、以下のような計算式が使用されます。

■実際に支払った休業手当等の総額×助成率

改正前後の計算式の違いは、下の図も参照してください。

出典:厚生労働省 雇用調整助成金

また申請には、休業手当または教育訓練に関わる賃金が、通常の賃金等と明確に区分されて表示されている賃金台帳等の整備が必要です。また、休業手当等の具体的な算定過程が分かる書類を用意し、労働局からの求めに応じて提出してください。

なお、判定基礎期間の初日が令和5年7月1日以降の場合は、コロナ前と同様に残業相殺を行います。残業相殺とは、判定基礎期間中に実施した休業等の延べ日数から所定時間外労働日数を差し引くことです。

改正前後のいずれの場合でも、残業相殺によって、算定した額よりも支給額が少なくなることがあります。

残業相殺とは

残業相殺について、もう少し詳しく見てみましょう。

雇用調整助成金は、経済的理由により業務量が減少した事業所においても労働者を解雇せず、休業等によって雇用を維持した場合に助成を行うものです。その際、労働者が休業等を取得している間に残業や休日出勤をさせた場合、助成の対象となる日数から、その分を控除しなくてはいけません。

これを「残業相殺」と呼びます。残業相殺は、以下のように計算します。

【例】
所定労働時間が1日8時間の事業所において、10人の労働者が10日ずつ休業等をし、そのうちの4人が、5日間にわたり各日2時間の「所定外労働等」をしていた場合

①「所定外労働等」がなかった場合の「休業等延べ日数」
10人×10日゠100人日

②「所定外労働等」の延べ日数
4人×5日×2時間÷1日8時間=5人日

➂雇用調整助成金の助成対象となる「休業等延べ日数」
①から②を控除(残業相殺)し、100人日-5人日=95人日

改正による、事業主への影響

実費方式による支給額算定では、該当の労働者一人ひとりの手当等を、個別に計算しなくてはなりません。事務作業が煩雑になることを避けるためには、タイムカード等の勤怠管理の徹底や、システム化による業務の効率化が必要です。

とはいえ、労働者の勤怠管理そのものはこれまでと変わりません。適用するデータに誤りがないよう十分に確認し、必要であれば担当者への事前研修を行うなど、手続きの切り替えに対する準備をすすめておきましょう。

計画届の事前提出について

判定基礎期間の初日が令和5年7月1日以降の申請では、コロナ前のとおり、休業等実施の初日の前日までに休業等実施計画届の提出が必要です。

計画届の提出と支給申請は、支給対象期間ごとに行います。雇用調整の計画から支給額の振込までの流れは、以下の図を確認してください。

出典:令和5年7月1日以降の雇用調整助成金について

なお、事前に計画届の提出の無かった休業等については支給対象になりません。また初回提出の場合には、計画届はなるべく休業等実施の2週間前までに提出してください。

休業等の予定が計画届の内容から変更になった場合等は、変更届の提出が必要です。ただし計画の範囲内で休業日が減少した場合には、変更届は必要ありません。

雇用調整計画届の事前提出プロセス

雇用調整計画届の事前提出には、以下のようなプロセスがあります。

①雇用調整の計画を立てる まずはどんな雇用調整をどのように行うか、具体的によく検討しましょう。
②休業等を行う場合の計画届 ■計画届の内容
「休業等実施計画(変更)届」に必要な書類を添付し、都道府県労働局またはハローワークへ提出します。

■計画届の対象と提出期日
「支給対象期間」ごとに計画届の提出を行います。なお、提出期日の末日が行政機関の休日の場合は、その翌開庁日が締切日です。
➂休業等を行う場合の変更届 ■変更届の内容
既に提出した「休業等実施計画(変更)届」の内容に変更があった場合、新たに「休業等実施計画(変更)届」を変更届として用います。そのほか、必要な書類を添付してください。

■提出の期日
変更する休業等の実施日前までに提出します。
④出向を行う場合の計画届 ■計画届の内容
「出向実施計画(変更)届」に必要な書類を添付し、提出して下さい。

■計画届の対象と提出期日
休業等と同様、計画届の提出は「支給対象期」ごとに行います。
⑤出向を行う場合の変更届 ■変更届の内容
既に提出した「出向実施計画(変更)届」の内容に変更があった場合、新たに「出向実施計画(変更)届」を変更届として用います。そのほか、必要な書類を添付してください。

なお、出向元事業所の事務担当者職・氏名や出向予定者の変更、出向実施予定期間の短縮の場合は変更届の提出を省略してかまいません。

■提出の期日
変更する出向の実施日前までに提出してください。

まとめ

コロナ禍の影響が一定の落ち着きを見せていることをうけ、支援事業にも縮小・改正が行われています。雇用調整助成金でも特例の経過措置が終了し、従来の方法に戻っています。補助金や助成金を活用する際には、もう一度申請手順の確認をしておいたほうがよいでしょう。

いっぽうで、特に中小企業における業績の回復は、まだ十分とはいえません。世界的に不安定な社会情勢や長引く物価高を背景に、苦しい状況は、まだしばらく続きそうです。

雇用調整助成金は、従業員の雇用維持に取り組む事業者を支援します。支給額の算出方法の変更は、事前に準備をしておくことで比較的容易に対応できるものです。令和6年も雇用調整助成金を利用する予定のある事業者は、はやめに事務手続き等を確認し、必要なツール等の導入を検討しましょう。

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