教育訓練休暇給付金は、雇用保険の一般被保険者が会社を辞めずに30日以上連続した無給の教育訓練休暇を取得して学ぶ場合に、失業手当(基本手当)と同じ水準の給付を90日・120日・150日のいずれか受け取れる制度です。2025年10月1日に始まりました。
金額は休暇前の賃金の50〜80%相当で、2026年8月1日の基本手当日額の改定により、月給25万円の方なら1か月約17万3,000円が目安です。年齢制限がなく、45歳以上の方も利用できます。
一方で、見落とされがちな落とし穴もあります。給付を受けると休暇前の雇用保険の加入期間がリセットされ、その後に自己都合で退職すると失業手当を受けられない、または日数が短くなることがあります。これを避ける例外が「特定教育訓練休暇給付金受給者」の扱いです。
この記事では、支給額の計算と月給・年齢別の早見表、受給条件、対象講座、特定教育訓練休暇給付金受給者の仕組み、デメリット、申請の流れまで、厚生労働省の資料をもとに図解で整理します。
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この記事の目次
教育訓練休暇給付金とは?わかりやすく図解
教育訓練休暇給付金とは、在職したまま無給の休暇を取って学ぶ期間の生活費を、雇用保険から支給する制度です。雇用保険法の改正により、2025年(令和7年)10月1日に創設されました。
これまで長期間の学び直しをしたい会社員には、「無給休暇で収入ゼロになる」か「退職してキャリアが途切れる」かの2択しかありませんでした。教育訓練休暇給付金は、その間に「辞めずに休んで学ぶ」という第3の選択肢をつくる制度です。
教育訓練給付金・教育訓練支援給付金との違いは?
名前が似た3つの給付金は、「何を支えるか」と「在職か離職か」で区別できます。
| 項目 | 教育訓練休暇給付金 | 教育訓練給付金 | 教育訓練支援給付金 |
|---|---|---|---|
| 支えるもの | 休暇中の生活費 | 学費(入学料・受講料) | 離職中の生活費 |
| 対象者 | 在職者(一般被保険者) | 在職者・離職者 | 離職者のみ |
| 金額 | 基本手当日額と同額 | 学費の20〜80% | 基本手当日額の60% |
| 期間 | 90日・120日・150日 | 講座ごと | 基本手当終了後〜修了まで |
| 年齢制限 | なし(65歳以上の高年齢被保険者は対象外) | なし | 受講開始時45歳未満 |
| 会社の制度 | 就業規則等の教育訓練休暇制度が必須 | 不要 | 不要 |
| 制度の期限 | 恒久制度 | 恒久制度 | 令和9年3月31日までの受講開始者 |
学費を補助する教育訓練給付金とは併用できます。たとえば指定講座を受講するために休暇を取れば、受講料は教育訓練給付金、休暇中の生活費は教育訓練休暇給付金、と組み合わせられます。退職して学ぶ場合の教育訓練支援給付金については、下記の記事で詳しく解説しています。
教育訓練休暇制度を導入している企業はまだ少ない
教育訓練休暇給付金は、勤務先の就業規則などに教育訓練休暇制度があることが前提です。ところが厚生労働省の令和7年度「能力開発基本調査」(令和8年7月31日公表)では、教育訓練休暇制度を導入している企業は5.7%にとどまり、前回から1.8ポイント低下しました。
制度がない会社に勤めている場合は、まず人事部門に導入を相談するところから始める必要があります。事業主向けには、制度導入を支援する助成金もあります(後述)。
教育訓練休暇給付金はいくらもらえる?計算方法と早見表【2026年8月改定】
教育訓練休暇給付金の1日あたりの額は、休暇開始日の前日に離職したとみなした場合の基本手当日額と同じです。休暇前6か月の賃金をもとに、賃金が低いほど高い給付率(50〜80%、60〜64歳は45〜80%)で計算されます。① 賃金日額 = 休暇開始前6か月の賃金合計 ÷ 180(賞与は含まない)
② 給付日額 = 賃金日額 × 給付率(50〜80%)※年齢別の上限あり
③ 総支給額 = 給付日額 × 休暇を取得した日数(上限は90・120・150日)
1か月の目安 = 給付日額 × 30日
2026年8月1日から日額の上限・下限が引き上げ
基本手当日額は毎年8月に見直されます。令和8年8月1日からは、令和7年度の平均給与額が約2.7%上昇したことなどを受けて次のとおり引き上げられました。教育訓練休暇給付金の日額も同じ上限が適用されます。
| 休暇開始時の年齢 | 日額の上限(2026年8月1日〜) | 改定前 | 1か月(30日)の上限目安 |
|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 7,450円 | 7,255円 | 223,500円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,270円 | 8,055円 | 248,100円 |
| 45歳以上60歳未満 | 9,110円 | 8,870円 | 273,300円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,830円 | 7,623円 | 234,900円 |
| 最低額(年齢共通) | 2,562円 | 2,411円 | 76,860円 |
給付率は次の計算式で決まります(2026年8月1日以降、60歳未満の場合)。
| 賃金日額(w) | 日額(y)の計算式 |
|---|---|
| 3,203円以上5,480円未満 | y = 0.8w(80%) |
| 5,480円以上13,490円以下 | y = 0.8w − 0.3 ×{(w − 5,480)÷(13,490 − 5,480)}× w(80%→50%へ逓減) |
| 13,490円超 | y = 0.5w(50%)。年齢別の上限まで |
60歳以上65歳未満の方は、賃金日額5,480円以上12,120円以下の区分で給付率が80%から45%へ逓減し、12,120円超は45%になります。
月給・年齢別の早見表(1か月あたりの目安)
休暇前6か月の月給(残業代・手当込み、賞与を除く)が毎月同じだったと仮定して計算しました。
| 休暇前の月給 | 30歳未満 | 30〜44歳 | 45〜59歳 | 60〜64歳 |
|---|---|---|---|---|
| 18万円 | 約14.0万円 | 約14.0万円 | 約14.0万円 | 約13.9万円 |
| 20万円 | 約15.1万円 | 約15.1万円 | 約15.1万円 | 約14.7万円 |
| 25万円 | 約17.3万円 | 約17.3万円 | 約17.3万円 | 約15.8万円 |
| 30万円 | 約18.9万円 | 約18.9万円 | 約18.9万円 | 約16.0万円 |
| 35万円 | 約19.9万円 | 約19.9万円 | 約19.9万円 | 約16.3万円 |
| 40万円 | 約20.2万円 | 約20.2万円 | 約20.2万円 | 約18.0万円 |
| 45万円 | 約22.4万円(上限) | 約22.5万円 | 約22.5万円 | 約20.3万円 |
| 50万円 | 約22.4万円(上限) | 約24.8万円(上限) | 約25.0万円 | 約22.5万円 |
| 60万円以上 | 約22.4万円(上限) | 約24.8万円(上限) | 約27.3万円(上限) | 約23.5万円(上限) |
※日額(1円未満切り捨て)×30日で計算した目安です。実際の金額はハローワークが決定します。厚生労働省の公式ページでは、年齢と額面月収を入力して支給額を試算できる「教育訓練休暇給付金シミュレーター」も公開されています。
総額はいくら?モデルケースで試算
| モデルケース | 給付日額 | 給付日数 | 総額の目安 |
|---|---|---|---|
| 35歳・月給25万円・雇用保険加入8年 | 5,775円 | 90日 | 約52万円 |
| 40歳・月給30万円・雇用保険加入15年 | 6,307円 | 120日 | 約76万円 |
| 48歳・月給35万円・雇用保険加入22年 | 6,629円 | 150日 | 約99万円 |
給付日数は「休暇を取得した日」について数えます。休暇が給付日数より短ければ、その日数分だけの支給です。雇用保険の給付なので非課税で、所得税・住民税はかかりません。
教育訓練休暇給付金は何日もらえる?給付日数と受給期間
給付日数は、雇用保険に加入していた期間(算定基礎期間)に応じて90日・120日・150日のいずれかです。年齢や退職理由で日数が変わる基本手当とは異なり、加入期間だけで決まります。
| 雇用保険の加入期間 | 給付日数 | 月数の目安 |
|---|---|---|
| 5年以上10年未満 | 90日 | 約3か月 |
| 10年以上20年未満 | 120日 | 約4か月 |
| 20年以上 | 150日 | 約5か月 |
受給期間は休暇開始日から1年以内
給付日数を使える期間(受給期間)は、原則として教育訓練休暇を開始した日から1年間です。この期間内に取得した教育訓練休暇の日について、給付日数を上限に支給されます。妊娠・出産・育児・病気などで30日以上教育訓練を受けられない期間があった場合は、ハローワークに申し出ることで最大4年まで延長できます。
教育訓練休暇給付金の対象者は?受給条件チェック
教育訓練休暇給付金を受けるには、本人の雇用保険の加入状況と、取得する休暇の両方について条件を満たす必要があります。
■雇用保険の一般被保険者であること(65歳以上の高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者は対象外)
■休暇開始前2年間に、被保険者期間が12か月以上あること
■休暇開始前に、雇用保険の加入期間が通算5年以上あること
休暇の条件
■就業規則や労働協約などに定められた教育訓練休暇制度に基づく休暇であること
■本人が教育訓練を受けるために自発的に希望し、事業主の了承を得て取得する休暇であること
■連続30日以上かつ無給の休暇であること
■対象となる教育訓練(大学・専修学校、教育訓練給付の指定講座を持つ法人の講座など)を受けるための休暇であること
被保険者期間は、賃金の支払いの基礎となった日が11日以上ある月などを1か月と数えます。病気やけがなどで30日以上賃金を受けられなかった期間がある場合は、その日数分さかのぼり、最大で休暇開始前4年間に12か月以上あれば条件を満たします。
加入期間の5年は、転職で会社が変わっていても、離職から1年以内に再就職し、その間に失業手当を受けていなければ通算できるのが原則です。自分の加入期間が不安な方は、マイナポータルで雇用保険の加入記録を確認できます。
パート・アルバイトや契約社員も対象?
雇用形態は問いません。パート・アルバイト・契約社員でも、雇用保険の一般被保険者で、上の条件を満たせば対象です。現在、雇用保険の加入は原則「週20時間以上・31日以上の雇用見込み」が条件ですが、2028年10月からは「週10時間以上」に拡大される予定です。
対象外になる休暇の例
| ケース | 対象になるか |
|---|---|
| 会社の業務命令による研修・出張 | 対象外(本人の自発的な休暇ではない) |
| 給与が支払われる有給の研修休暇 | 対象外(無給が条件) |
| 29日以下の休暇、飛び飛びの休暇 | 対象外(連続30日以上が条件) |
| 就業規則に規定がない、個別の口約束の休職 | 対象外(社内の休暇制度に基づくことが条件) |
| 休暇中に副業・アルバイトをした日 | その日は支給されない(収入を伴う就労をした日は認定されない) |
| 休暇中に有給休暇・育児休業などを取った日 | その日は支給されない |
教育訓練休暇給付金の対象講座は?資格一覧と活用事例
休暇中に受ける教育訓練は、職業に関する教育訓練として認められたものに限られます。対象は次の3区分です。
| 区分 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| ①学校教育法に基づく学校 | 大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専修学校、各種学校の教育訓練 | 社会人大学院の修士課程、MBA、専門学校の資格取得課程 |
| ②教育訓練給付の指定講座を持つ法人 | 教育訓練給付金の指定講座を実施している法人等が提供する教育訓練 | 資格スクールの税理士・社労士・宅建・簿記講座、ITスキル講座、語学講座 |
| ③職業安定局長が定めるもの | 職業に関する教育訓練として厚生労働省職業安定局長が定めるもの | 司法修習、語学留学、海外大学院での修士号の取得など |
②は「指定講座を持つ法人」が提供する教育訓練であれば対象になり得るため、受ける講座そのものが教育訓練給付金の指定講座でなくてもよい点が教育訓練給付金との違いです。ただし、学費補助の教育訓練給付金も受けたい場合は、講座自体が指定を受けている必要があります。
厚生労働省が示す活用事例
■IT企業で働く人が、上位のIT資格の取得に専念する
■新規部門の立ち上げに向け、専門職学位(ビジネス・MOT)やMBAの取得を目指す
■司法試験合格後、司法修習を修了して企業内で法務業務に従事することを目指す
対象講座の探し方
| 検索サイト | 主な内容 |
|---|---|
| 教育訓練講座検索システム(厚生労働省) | 教育訓練給付金の指定講座を資格名・地域・受講形態で検索 |
| マナパス(文部科学省) | 社会人向けの大学・大学院などの学び直し講座を紹介 |
| マナビDX(経済産業省・IPA) | デジタルスキルを学べる講座を紹介 |
対象になるか判断に迷う講座は、休暇の計画を会社と固める前に、事業所を管轄するハローワークに確認しておくと安心です。
特定教育訓練休暇給付金受給者とは?失業手当への影響と例外
「特定教育訓練休暇給付金受給者」とは、教育訓練休暇給付金を受けた後、倒産や解雇など本人の意思によらない理由で離職した人を、失業手当の計算で不利にしないための例外の扱いです。この仕組みを理解するには、まず教育訓練休暇給付金の「リセット」ルールを知る必要があります。
原則:休暇前の加入期間は失業手当の計算から除かれる
教育訓練休暇給付金は、実質的に「在職中に失業手当を前倒しで受け取る」制度です。そのため給付を受けると、休暇開始日より前の被保険者期間は、その後に離職したときの失業手当(基本手当)の受給資格の判定に使えなくなります。
その結果、復職後すぐに自己都合で退職すると、次のような影響が出ます。
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 失業手当を受けられない | 自己都合退職の場合、離職前2年間に12か月以上の被保険者期間が必要。休暇前の期間が使えないため、復職後の期間が足りないと受給資格がない |
| 給付日数が短くなる | 失業手当の給付日数は加入期間で決まるため、リセット後の短い期間で計算される |
例外:倒産・解雇などで離職した「特定教育訓練休暇給付金受給者」
一方、次に当てはまる方は「特定教育訓練休暇給付金受給者」として、休暇開始前の被保険者期間も失業手当の受給資格の判定に含めることができます。
教育訓練休暇給付金の支給が終わってから6か月以内に離職した方のうち、次の理由で離職した方
■倒産、事業の縮小・廃止に伴う離職
■解雇その他厚生労働省令で定める理由による離職
■特定理由離職者のうち厚生労働省令で定める方(令和9年3月31日までに離職した場合に限る)
休暇が長かった場合の算定対象期間の特例
失業手当の受給資格は原則として離職前2年間の被保険者期間で判定します。教育訓練休暇が長期にわたると、休暇中は賃金が支払われないため、特定教育訓練休暇給付金受給者でも期間が足りなくなることがあります。そこで、教育訓練休暇の取得は「やむを得ない理由」として扱われ、その期間分だけ判定期間をさかのぼって延ばす特例が設けられています。
自己都合で転職する予定がある人は要注意
リセットルールがあるため、教育訓練休暇で学んだスキルを武器に、復職後すぐ自己都合で転職する計画の方は注意が必要です。次の会社に切れ目なく入社すれば失業手当は関係ありませんが、転職活動が長引いて無職期間ができると、失業手当を受けられない可能性があります。教育訓練休暇給付金は、復職して長く働くことを前提にした制度だと考えておきましょう。
教育訓練休暇給付金のデメリット・注意点は?
| デメリット・注意点 | 内容 |
|---|---|
| 加入期間がリセットされる | 休暇前の被保険者期間が失業手当の判定に使えなくなる(倒産・解雇等の特例あり) |
| 会社に制度がないと使えない | 就業規則等に無給の教育訓練休暇制度が必要。導入企業は5.7%にとどまる |
| 賃金の全額は補えない | 給付は賃金の50〜80%で、上限もある。月給40万円なら月約20万円 |
| 社会保険料・住民税の負担は続く | 無給休暇中も健康保険・厚生年金の保険料や住民税の支払いは原則続く。育児休業のような保険料免除はない。会社への支払い方法を事前に確認 |
| 休暇中は働けない | 副業・アルバイトなど収入を伴う就労をした日は支給されない |
| 加入5年未満は使えない | 新卒・転職直後など、雇用保険の加入期間が通算5年未満だと対象外 |
教育訓練休暇給付金の申請方法は?手続きの流れ
教育訓練休暇給付金は、事業主と本人がそれぞれハローワークで手続きを行う必要があります。会社の協力が前提になるため、休暇の数か月前から準備を始めましょう。
| 時期 | 誰が | 手続き内容 |
|---|---|---|
| 休暇の数か月前 | 本人・事業主 | 就業規則等の教育訓練休暇制度を確認(なければ整備)。休暇期間・訓練の目標・内容・実施機関を明らかにして休暇を申し出て、事業主の了承を得る |
| 休暇開始 | 本人 | 連続30日以上の無給の教育訓練休暇を開始 |
| 休暇開始日の翌日から10日以内 | 事業主 | 事業所を管轄するハローワークへ「教育訓練休暇開始時賃金月額証明書」などを提出し、休暇期間や賃金の支払状況を届け出る |
| 届出後 | 本人 | 交付された書類をもとに「教育訓練休暇給付金支給申請書」などを住所地を管轄するハローワークへ提出 |
| 30日ごと | 本人 | 教育訓練休暇を取得したことについて認定を受ける。認定された日数分が支給される |
各手続きの提出期限や必要書類の詳細は、休暇前にハローワークで確認してください。届出・申請は、電子申請や郵送にも対応しています。
本人が準備しておきたいこと
■受ける教育訓練が対象区分に当たるか、実施機関の名称・訓練内容・期間を書面で説明できるか
■休暇中の社会保険料・住民税の支払い方法(会社への振込か、復職後の精算か)
■学費補助の教育訓練給付金も受けるなら、講座が指定講座か、受講開始前の手続き(特定一般・専門実践は受講開始の2週間前までに受給資格確認)が必要か
事業主側に必要な対応と使える助成金は?
教育訓練休暇給付金の対象となる休暇は、就業規則や労働協約などに定められた休暇制度に基づく休暇に限られます。事業主には次の対応が必要です。
② 労働者からの休暇の申し出(期間・目標・内容・実施機関)を受け付け、了承する仕組みを整える
③ 休暇開始日の翌日から10日以内に、賃金の支払状況などをハローワークへ届け出る
④ 休暇中の社会保険料の取り扱いや、復職後の配置を決めておく
常時雇用する労働者が10人未満で就業規則の作成義務がない事業所では、制度の内容が明文化され、労働者に周知されていることを確認できる書類が求められます。
厚生労働省は、従業員の自律的な学びを後押しすることで、優秀な人材の確保・定着やエンゲージメントの向上が期待できるとしています。教育訓練休暇制度の導入や、長期の教育訓練休暇の代替要員確保には、人材開発支援助成金を活用できる場合があります。
教育訓練休暇給付金に関するよくある質問
教育訓練休暇給付金はいくらもらえますか?最大いくらですか?
休暇開始日の前日に離職したとみなした場合の基本手当日額と同じ額が、休暇を取得した日数分(上限90・120・150日)支給されます。休暇前の賃金の50〜80%が目安で、月給25万円なら1か月約17万3,000円です。2026年8月1日以降の日額の上限は、30歳未満7,450円、30〜44歳8,270円、45〜59歳9,110円、60〜64歳7,830円です。最大は45〜59歳・加入20年以上で上限に達する場合で、9,110円×150日の約137万円となります。
特定教育訓練休暇給付金受給者とは何ですか?
教育訓練休暇給付金の支給が終わってから6か月以内に、倒産、事業の縮小・廃止、解雇などの理由で離職した方のことです。教育訓練休暇給付金を受けると、原則として休暇開始前の被保険者期間は失業手当の受給資格の判定に使えなくなりますが、特定教育訓練休暇給付金受給者に当たる場合は休暇前の期間も含めて判定できます。一部の特定理由離職者は、令和9年3月31日までに離職した場合に限り対象になります。
教育訓練休暇給付金を受けた後に自己都合で退職すると、失業手当はもらえませんか?
もらえない場合があります。給付を受けると休暇開始前の被保険者期間が失業手当の判定から除かれるため、自己都合退職で必要な「離職前2年間に12か月以上」の被保険者期間を、復職後の期間だけで満たす必要があります。復職後の期間が足りなければ受給資格がなく、受給できても給付日数が短くなることがあります。次の会社に切れ目なく入社する場合は影響しません。
教育訓練休暇給付金の対象者は?何歳まで使えますか?
雇用保険の一般被保険者で、休暇開始前2年間に被保険者期間が12か月以上あり、雇用保険の加入期間が通算5年以上ある方が対象です。年齢制限はありませんが、65歳以上の方は高年齢被保険者となるため対象外です。45歳以上・50代・60〜64歳の方も利用できます。
対象となる講座・資格の一覧はありますか?
対象は、①大学・大学院・短大・高専・専修学校・各種学校の教育訓練、②教育訓練給付金の指定講座を持つ法人等が提供する教育訓練、③司法修習・語学留学・海外大学院での修士号取得など職業安定局長が定めるもの、の3区分です。厚生労働省は語学習得、上位IT資格の取得、MBAや専門職学位、司法修習を活用例として示しています。指定講座は厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で検索できます。
給付日数は何日ですか?休暇が短い場合はどうなりますか?
雇用保険の加入期間が5年以上10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日です。支給されるのは実際に教育訓練休暇を取得した日の分なので、休暇が60日なら60日分となります。給付日数は休暇開始日から1年の受給期間内に使う必要があり、1回の休暇は連続30日以上であることが条件です。
教育訓練給付金と教育訓練休暇給付金は併用できますか?
併用できます。教育訓練給付金は学費(入学料・受講料)の20〜80%を補助する制度、教育訓練休暇給付金は休暇中の生活費を補う制度で、役割が異なるためです。ただし教育訓練給付金を受けるには、受ける講座自体が厚生労働大臣の指定講座であることや、特定一般・専門実践では受講開始前の手続きが必要です。
パートやアルバイトでも対象になりますか?
雇用保険の一般被保険者で、被保険者期間と加入期間の条件を満たせば、パート・アルバイト・契約社員でも対象です。ただし勤務先の就業規則等に、その雇用形態の方も取得できる教育訓練休暇制度があることが前提です。
会社に教育訓練休暇制度がない場合はどうすればいいですか?
制度がないと教育訓練休暇給付金は受けられないため、まず人事部門に制度の導入を相談することになります。事業主側は、就業規則等に連続30日以上取得できる無給の教育訓練休暇制度を規定する必要があり、人材開発支援助成金を活用できる場合もあります。導入が難しい場合は、働きながら教育訓練給付金で学費補助を受ける方法や、45歳未満で退職して専門実践教育訓練を受けるなら教育訓練支援給付金を使う方法もあります。
休暇中に副業やアルバイトをしてもいいですか?
収入を伴う就労をした日は教育訓練休暇を取得した日として認定されず、その日の分は支給されません。また、有給休暇や育児休業など教育訓練休暇以外の休暇・休業を取った日も支給対象外です。休暇中の就労は、30日ごとの認定の際に正しく申告してください。
休暇中の社会保険料や住民税はどうなりますか?
教育訓練休暇給付金は非課税のため所得税はかかりませんが、無給休暇中も健康保険・厚生年金保険の保険料や住民税の支払いは原則として続きます。育児休業のような保険料の免除制度はないため、会社への振込や復職後の精算など、支払い方法を事前に会社と決めておきましょう。
妊娠・出産や病気で休暇中に学べなくなったらどうなりますか?
妊娠・出産・育児・病気などで30日以上教育訓練を受けられない期間がある場合、ハローワークに申し出ることで、休暇開始日から原則1年の受給期間を最大4年まで延長できます。ただし育児休業給付など他の給付を受ける日は、教育訓練休暇給付金は支給されません。
まとめ
教育訓練休暇給付金は、会社を辞めずに連続30日以上の無給休暇を取って学ぶ期間の生活費を、失業手当と同じ水準で支える制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 雇用保険の一般被保険者。休暇前2年間に被保険者期間12か月以上、加入期間通算5年以上 |
| 休暇の条件 | 就業規則等の制度に基づく、自発的・連続30日以上・無給の教育訓練休暇 |
| 金額 | 基本手当日額と同額(2026年8月〜上限7,450〜9,110円)。月給25万円で月約17.3万円 |
| 給付日数 | 加入期間に応じて90日・120日・150日(受給期間は休暇開始から1年) |
| 対象講座 | 大学・専修学校等、教育訓練給付の指定講座を持つ法人の訓練、司法修習・語学留学など |
| 最大の注意点 | 休暇前の加入期間が失業手当の判定からリセット。倒産・解雇等の場合は特定教育訓練休暇給付金受給者として例外あり |
とくに押さえておきたいのは、勤務先に教育訓練休暇制度がなければ使えないこと、そして給付を受けると休暇前の加入期間がリセットされ、復職後すぐの自己都合退職では失業手当に影響が出ることです。制度の有無と休暇中の社会保険料の扱いを人事部門に確認し、復職後のキャリアまで見据えて計画しましょう。
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