令和6年(2024年)の能登半島地震の発生を受けて、厚生労働省が主体となり「緊急小口資金」を実施しています。緊急小口資金とは、一時的に生活が困難な状況に陥った際、生活費を無利子で借りられる支援制度のことです。政府は、この度、緊急小口資金の提供において制限の撤廃や手続きの簡素化を行いました。
今回の記事では、能登半島地震による緊急小口資金の貸付対象者や金額、据置期間などについて解説します。被災によって生活費の工面に苦労している方々の参考になれば幸いです。
なお、今回の緊急小口資金の詳細については、ベースは厚生労働省の発表をもとにまとめています。それに加え、令和6年1月23日時点で能登地震に係る緊急小口資金について、県公式サイトに記載している「新潟県・富山県・石川県」は、必要に応じ県ごとの詳細もまとめております。
この記事の目次
能登半島地震|緊急小口資金の貸付対象者
対象となるのは以下を満たす方です。
(1)令和6年能登半島地震により災害救助法(昭和22年10月18日法律第118号)が適用された地域、および被災によって特例措置が必要な地域として設定された地域に住所を持っている
(2)当座の生活費を必要とする世帯(低所得世帯に限らない)
緊急小口資金の貸付対象者 新潟県
(1)令和6年能登半島地震により、災害救助法の適用となった地域に住所を持っており、当座の生活費を必要とする世帯(低所得世帯に限らない)。「災害救助法の適用地域」は以下の通り。
(2)被災によって特例措置が必要な地域として指定された市町村に住所を持っており、当座の生活費を必要とする世帯(低所得世帯に限らない)。り災証明の申請を行っていることが必要。「指定地域」は以下の通り。
(3)本特例措置の貸付対象の前提となる地域から新潟県へ避難した者のうち、今後、県内に当分の間(1ヶ月程度以上を目安)居住し、継続的に連絡が取れると見込める者であって、本特例措置による貸付が必要と認められ、当座の生活費を必要とする世帯(低所得世帯に限らない)。
緊急小口資金の貸付対象者 富山県
(1)被災された方であり富山県内に住所を持っており、当座の生活費を必要とする世帯
(2)県外被災地から富山県内に避難しており、本特例措置による貸付が必要と認められる、当座の生活費を必要とする世帯
なお、富山県の緊急小口資金の申込受付は、令和6年1月22日(月)午前10時から開始します。
緊急小口資金の貸付対象者 石川県
令和6年能登半島地震により被災し、当座の生活費を必要とする世帯が対象。申込受付は、令和6年1月22日(月)から順次、準備が整った社会福祉協議会から受付を開始します。
能登半島地震|緊急小口資金貸付金額
原則として10万円以内。ただし、以下に該当しており特別に必要と認められる場合は20万円以内とする
(1)世帯員の中に死亡者がいる |
(2)世帯員に要介護者がいる |
(3)世帯員が4人以上いる |
(4)上記以外に、重傷者や妊産婦、学齢児童がいる世帯等であり、特別に社会福祉協議会会長が認めている |
緊急小口資金の据置期間・償還期間・貸付利率
据置期間 | 貸付日から1年以内 |
償還期間 | 据置期間経過後、2年以内 |
貸付利率 | 無利子(ただし償還期限後は、残元金に対して年3%の延滞利子が発生) |
緊急小口資金の申請手続き
手続き内容と申し込み先、必要な持ち物などをまとめました。
(1)借入れの申し込み |
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ア:災害時の緊急的対応であることを考慮して、借入申込者は民生委員を窓口とせず、借入申込書を直接市区町村社会福祉協議会を経由し、都道府県社会福祉協議会会長に提出して問題ない イ:借入申込書の記載事項については、「住所・氏名・生年月日・勤務先の名称・所在地等」は、必要最小限の内容で問題ない ウ:借用書への押印、印鑑登録証明書の提出は不要とする。また、借入申込者本人の自筆署名によるものとする |
(2)借入申込者の確認 |
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借入申込者の氏名および住所確認は、不正な貸付が行われないよう着実に確認する必要がある。その一方で避難されている方々の状況を踏まえ、「運転免許証・健康保険証・マイナンバーカード等」以外にも、民生委員や社会福祉協議会職員および市町村役場職員による現認等、それぞれの事情に応じて可能な限り柔軟に実施する。 |
(3)受付期間および貸付金交付 |
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ア:借入申込みの受付は、各都道府県社会福祉協議会と連携し特例措置の需要等を把握したうえで、必要に応じ実施体制が整い次第、速やかに開始する イ:受付期間は「当分の間」とする ウ:貸付金の交付は、災害時の緊急的対応であることを考慮して、可能な限り速やかに行う |
緊急小口資金の申込先
住所がある市町村社会福祉協議会、あるいは避難先の市町村社会福祉協議会で申し込むことができます。それぞれ以下のリンクから申し込み先をご確認ください
・社会福祉法人新潟県社会福祉協議会
・社会福祉法人富山県社会福祉協議会
・石川県 生活福祉資金(緊急小口資金)特例貸付のご案内
緊急小口資金の申し込みに必要な持ち物
・身分を証明できるもの(運転免許証や健康保険証、住民票、マイナンバーカード等)
・申込者の預金通帳あるいはキャッシュカード(送金時に利用)
・貸付額20万円の対象となる世帯の場合は、「対象である」と確認できる書類等
・返済について口座振替を希望する場合は、銀行印
・その他、各県の社会福祉協議会が指定する書類
能登半島地震における緊急小口資金の留意事項
【共通】
借入申込者の確認については、運転免許証や健康保険証、マイナンバーカード等の公的機関が発行する身分証明書を活用することが望ましいです。ただし、行政機関が作成する避難者名簿の活用や、借入申込者の親族の立会や照会による確認、キャッシュカードやクレジットカード等による確認など、その都度柔軟に対応してもらえます。なお、貸付回数は「1世帯あたり1回のみ」です。審査の結果、貸付できない場合もあるためご注意ください。
【富山県】
・借入申込者が指定する本人名義の金融機関に送金します。送金までは7~10日程度かかります。
・転居の予定があるなどの場合は、貸付金交付後3ヶ月を目安として「住居報告書」による状況報告が必要です。
・返済が始まるのは「貸付の1年後」です。原則として金融機関口座引落しで毎月の返済が必要です。返済が始まる3ヶ月前には、返済開始のお知らせとともに返済方法に関する案内も送付されます。