新事業進出・ものづくり補助金は個人事業主も申請できる!対象外となる場合も解説

公開日:2025/6/4 更新日:2026/9/7
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新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、これまでの「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」が統合されて2026年度に始まった補助金です。新たな事業への進出や革新的な新製品・新サービスの開発を検討している個人事業主の中には、「この補助金を活用したい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は個人事業主も申請可能です。ただし、対象外となる場合もあるため、要件をしっかり押さえておく必要があります。

本記事では、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を個人事業主が申請する際の要件や提出書類、スケジュールを解説します。

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新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?最大9,000万円 第1回公募・統合後の変更点を解説【2026年】

この記事の目次

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新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は個人事業主も対象

前述したとおり、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は個人事業主も申請可能です。公募要領によると、補助対象者である「中小企業者」は「資本金又は常勤従業員数が一定の数字以下となる会社又は個人」と定義されています。

また、公募要領の添付書類の項目には「個人事業主の場合:直近3期分の青色申告決算書(白色申告の場合は収支内訳書)」「開業届」といった個人事業主向けの提出書類が明記されており、口頭審査の対応者にも「個人事業主本人」が挙げられていることから、個人事業主は本補助金の申請対象です。

なお、本補助金には次の3つの事業枠があり、いずれも個人事業主が申請できます。

事業枠概要
革新的新製品・サービス枠革新的な新製品・新サービス開発の取組を支援
新事業進出枠既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援
グローバル枠海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化の取組を支援

旧・新事業進出補助金の後継にあたるのは「新事業進出枠」です。本記事では新事業進出枠を中心に解説します。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の対象となる個人事業主

資本金又は常勤従業員数が下表の数字以下となる会社又は個人が補助の対象です。

業種資本金常勤従業員数
製造業・建設業・運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人

業種に応じて、資本金の金額と従業員数に関する要件が定められています。

また、常勤従業員数が下表の数字以下の会社又は個人は「小規模企業者・小規模事業者」に区分されます。小規模企業者・小規模事業者は、革新的新製品・サービス枠において補助率が2/3に引き上げられるため、従業員数の少ない個人事業主にとって有利な区分です。

業種常勤従業員数
製造業20人
商業・サービス業5人
うち宿泊業・娯楽業20人
その他の業種(上記以外)20人

なお、上記に該当しても、政治団体・宗教法人・暴力団に関連する事業者は対象外です。

上記の表は、公募要領より「中小企業者」「小規模企業者・小規模事業者」に該当する内容を示したものです。補助対象にはこのほか、「特定事業者の一部」や「特定非営利活動法人」「農事組合法人」「対象リース会社」も含まれます。詳しくは公募要領をご確認ください。

出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.2版

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の対象外となるケース

個人事業主は本補助金を申請可能ですが、状況によっては対象外となるケースもあります。ここでは、個人事業主に関わりの深い具体例を紹介します。

申請時に従業員数が0人の事業者

応募申請時点で従業員数が0人の事業者は、本補助金の対象となりません。これは3つの事業枠すべてに共通する要件です。従業員を雇用せず一人で事業を営んでいる個人事業主の方はご注意ください。

なお、個人事業主本人や会社役員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」には含まれません。

一方で、公式FAQでは、現在従業員が0名であっても、応募申請時までに従業員を雇用し要件を満たしていれば申請可能であることが示されています。ただし、専ら本補助金の対象事業者となることを目的として、資本金・従業員数・株式保有割合等を変更していると認められた場合には、申請時点にさかのぼって対象外となる場合があるため注意が必要です。

新規設立・創業後1年に満たない事業者(新事業進出枠のみ)

新事業進出枠では、応募申請時を基準として新規設立・創業後1年を経過していない事業者は対象外です。旧制度では公募開始日が基準でしたが、新制度では公式FAQにて「応募申請時」を基準とすることが示されています。また、申請には最低でも1期分の決算書の提出が必要となります。

ここは旧・新事業進出補助金からの変更点です。旧制度では補助金全体の対象外要件でしたが、新制度では「新事業進出枠に限る」とされており、革新的新製品・サービス枠には創業1年未満を対象外とする規定はありません。創業間もない個人事業主の方は、革新的新製品・サービス枠の活用も検討してみましょう。

なお、創業1年未満の個人事業主が革新的新製品・サービス枠またはグローバル枠に申請する場合は、決算書に加えて「開業届」を添付する必要があります。

家族が同一生計で事業を営んでいる場合(みなし同一事業者)

本補助金では、同一事業者(みなし同一事業者を含む)の応募は1回の公募につき1申請に限られます。みなし同一事業者の判定にあたっては、配偶者・親子及びその他生計を同一にしている者はすべて同一として取り扱われます。

たとえば、夫婦がそれぞれ個人事業主として別々に申請することは、生計が同一であれば認められません。また、過去に交付決定を受けた個人事業主が設立した法人についても、同様の取り扱いとなります。家族で事業を営んでいる方は特に注意が必要です。

その他の対象外となるケース

このほか、次のような事業者も補助対象外です。

その他の補助対象外となる事業者の例
申請締切日を起点に16か月以内に、事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金・本補助金の補助金交付候補者として採択された事業者(採択辞退者を除く)、又は申請締切日時点でこれらの交付決定を受けて補助事業実施中の事業者
応募申請日を起点に過去3年間に、事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金の交付決定を合計2回以上受けた事業者
収益事業を行っていない法人
直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者

詳しくは公募要領の「1-4-2. 補助対象外となる事業者」をご確認ください。

参考:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.2版

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の補助金額と要件

本補助金の補助金額・補助率は、事業枠ごとに体系が異なります。まずは3つの枠の金額を比較してみましょう。

各事業枠の補助金額・補助率

項目革新的新製品・サービス枠新事業進出枠グローバル枠
補助下限額100万円750万円750万円
補助上限額・従業員数1〜5人:750万円(850万円)
・6〜20人:1,000万円(1,250万円)
・21〜50人:1,500万円(2,500万円)
・51人以上:2,500万円(3,500万円)
・従業員数1〜20人:2,500万円(3,000万円)
・21〜50人:4,000万円(5,000万円)
・51〜100人:5,500万円(7,000万円)
・101人以上:7,000万円(9,000万円)
・従業員数1〜20人:2,500万円(3,000万円)
・21〜50人:4,000万円(5,000万円)
・51〜100人:5,500万円(7,000万円)
・101人以上:7,000万円(9,000万円)
補助率中小企業者1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時2/3)
小規模企業者・小規模事業者、再生事業者2/3
中小企業者(小規模企業・小規模事業者、再生事業者含む)1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時2/3)中小企業者(小規模企業・小規模事業者、再生事業者含む)2/3
補助事業実施期間交付決定日から10か月以内(ただし採択発表日から12か月以内)交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)
※補助上限額のカッコ内は賃上げ特例適用時の金額です。
なお、補助対象経費にも枠ごとの違いがあり、建物費(生産施設・販売施設等の建設・改修に要する経費)を計上できるのは新事業進出枠とグローバル枠のみです。店舗の改装等を伴う計画を検討している方は注意しましょう。

革新的新製品・サービス枠は補助下限額が100万円と低く、小規模企業者・小規模事業者には補助率2/3が適用されるため、投資規模が比較的小さい個人事業主の場合、金額面では革新的新製品・サービス枠のほうが検討しやすいケースもあります。

ただし、同枠は革新的な新製品・新サービス開発の取組が対象であり、新製品・新サービスの開発を伴わない単なる設備導入は対象外となる点には注意が必要です。開発を伴わず、既存事業と異なる市場・業態へ進出する計画であれば、新事業進出枠が申請先となります。

補助対象事業の基本要件


どの事業枠に申請する場合も共通で、以下の基本要件をすべて満たす3〜5年の事業計画に取り組むことが必要です。

要件詳細
(1)付加価値額要件補助事業終了後3〜5年の事業計画期間において、付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
(2)賃上げ要件補助事業終了後3〜5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させること
※目標未達の場合、補助金返還義務あり
(3)事業場内最賃水準要件補助事業終了後3〜5年の事業計画期間において、毎年、事業場内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること
※目標未達の場合、補助金返還義務あり
(4)ワークライフバランス要件次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること
(5)子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み要件ライフデザインサービスの活用、家事代行・ベビーシッターサービスの活用、子育て支援制度の従業員への周知等のいずれかに取り組むこと
(6)金融機関要件補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること

旧制度と比べると、賃上げ要件が「給与支給総額」から「一人当たり給与支給総額」基準(年平均成長率+3.5%以上)に変わったほか、「子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み要件」が新たに加わっています。また、賃上げ要件と事業場内最賃水準要件は目標未達の場合に補助金の返還義務が生じる点にも注意が必要です。

一人当たり給与支給総額は、給与支給総額を従業員数で除して算出します。算出に含める従業員は基準年度・各事業年度に全月分の給与等の支給を受けた従業員に限られ、パートタイム従業員は正社員の就業時間に換算して人数を算出します。従業員数が少ない個人事業主の場合、1人の採用・退職や勤務時間の変動が数値に大きく影響するため、あらかじめこれらの要因を考慮して目標値を設定しましょう。

賃上げ要件が未達となった場合の返還額は「補助金交付額×(1−実績の年平均成長率÷目標値)」で計算され、成長率がゼロまたはマイナスの場合は全額返還となります。ただし、付加価値額が増加しておらず、かつ事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は返還を求められません。

このほか、補助上限額の引き上げを受けられる「賃上げ特例」(一人当たり給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上かつ事業場内最低賃金+50円以上)と、補助率の引き上げを受けられる「地域別最低賃金引上げ特例」が設けられています。

一般事業主行動計画の公表は従業員数にかかわらずすべての申請者に必要で、「両立支援のひろば」への掲載には1〜2週間程度かかります。申請を検討している個人事業主の方は早めに準備しておきましょう。

審査で評価される「足下の賃上げ」


2026年8月に改訂された公募要領(1.2版)では、書面審査の項目に「足下の賃上げ」の評価が追記されました。補助事業終了後の賃上げ率に加えて、建物の建設や設備の導入といった補助事業の完了を待たずして実施する賃上げが評価対象となります。

具体的には、応募申請時の直近事業年度から基準年度(補助事業実施期間の終了時点が含まれる事業年度)までの一人当たり給与支給総額の年平均成長率が物価上昇率を上回る程度の賃上げが達成されない場合、審査上大幅に不利になるとされています。また、足下の賃上げについては、採択後交付決定までの間に従業員への表明が必須で、その実績はモニタリングの対象となります。

補助金を受けてから賃上げに着手するのではなく、申請段階から賃上げの計画を具体化しておくことが採択のポイントといえます。

個人事業主が申請時に提出する主な書類


公募要領1.2版では、個人事業主の添付書類がより詳細に示されました。主な書類は以下のとおりです。

書類個人事業主の場合の内容
決算書(必須)【青色申告】直近3期分の青色申告決算書における損益計算書、損益計算書の内訳、貸借対照表(4ページすべて)
※簡易簿記の場合は直近3期分の損益計算書(1ページ目)、貸借対照表(4ページ目)
【白色申告】収支内訳書
※3期分の提出ができない場合は、今期までの決算書をすべて添付
※創業1年未満で革新的新製品・サービス枠またはグローバル枠に申請する場合は開業届も添付
従業員数を示す書類(必須)労働基準法に基づく労働者名簿の写し(申請時点のもの)
収益事業を行っていることを説明する書類(必須)直近の確定申告書第一表及び所得税青色申告決算書の控え(白色申告の場合は直近の確定申告書第一表及び収支内訳書の控え)
※電子申告の日時・受付番号が記載されていること。紙申告の場合は収受日付印の押印、又は納税証明書(その2)の提出が必要
金融機関による確認書金融機関から資金提供を受けて補助事業を実施する場合のみ

このほか、リース会社との共同申請や各種加点を希望する場合には、それぞれ所定の書類が必要です。添付書類は「ファイル名確認シート」に従って決められたファイル名にする必要があるため、公募要領の「2-2-1. 添付書類」をあわせて確認しましょう。

参考:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.2版

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の申請スケジュール


第1回公募のスケジュールは以下のとおりです。

公募回詳細
第1回公募開始:令和8年6月29日(月)
申請受付開始:令和8年9月30日(水)
応募締切:令和8年10月30日(金)18:00(厳守)
採択発表:令和9年1月頃(予定)

なお、第1回公募の申請受付・応募締切・採択発表は、当初の予定(申請受付:8月31日、応募締切:9月30日、採択発表:令和8年12月頃)から約1か月後ろ倒しに変更されています。最新のスケジュールは必ず公式サイトでご確認ください。

申請は電子申請システムでのみ受け付けられており、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。アカウントの発行には1週間程度かかるため、早めに取得しておくことをおすすめします。

また、公式サイトでは2026年8月に「応募申請ガイド」「補助事業計画検討用フォーマット」「地域別/事業場内最低賃金引上げに係る要件確認書」が順次公開されました。申請受付開始前に事業計画の内容を整理しておくと、電子申請をスムーズに進められます。

審査の一環として口頭審査が実施される場合があります。口頭審査は申請事業者自身(個人事業主本人等)が対応する必要があり、経営コンサルタント等の同席は認められません。口頭審査の受験日時は電子申請が完了した事業者から順に案内されるため、早期に申請を完了すると希望の日時を選びやすくなります。

なお、令和8年熊本地震の被害を受けた熊本県内の事業者については、第1回公募の審査においてその事情が考慮されるほか、コールセンターで個別の相談に対応するとの案内が出ています。

個人事業主の申請に関するよくある質問

従業員がいない一人親方・フリーランスは申請できる?

応募申請時点で従業員数が0名の事業者は補助対象外です。個人事業主本人は「常時使用する従業員」に含まれませんが、応募申請時までに従業員を雇用し、要件を満たしていれば申請可能です。

白色申告の個人事業主でも申請できる?

申請可能です。白色申告の場合は、決算書類として収支内訳書を提出し、収益事業を示す書類として直近の確定申告書第一表と収支内訳書の控えを提出します。

創業1年未満の個人事業主は何を提出する?

革新的新製品・サービス枠またはグローバル枠に申請する場合は、今期までの決算書に加えて開業届を添付します。なお、新事業進出枠は創業1年未満の事業者は申請できません。

採択後に法人成りできる?

交付決定前の法人成りによる権利の承継は、いかなる理由でも認められません。交付決定後に法人化して補助事業を法人で行う場合は、事前に事務局の承認を得る必要があります。

夫婦がそれぞれ個人事業主として申請できる?

配偶者・親子など生計を同一にしている者はみなし同一事業者として扱われるため、1回の公募につきいずれか1名しか申請できません。

旧・新事業進出補助金に採択された場合は?

申請締切日を起点に16か月以内に旧・新事業進出補助金の補助金交付候補者として採択された事業者や、交付決定を受けて補助事業を実施中の事業者は、本補助金の対象外です。


参考:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 よくあるご質問

まとめ


新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、法人だけでなく個人事業主も申請できる補助金です。ただし、従業員が0人の事業者は全枠共通で対象外となるほか、新事業進出枠では創業後1年が経過していない事業者も対象外となる点に注意しましょう。

旧・新事業進出補助金からは、賃上げ要件をはじめとする基本要件や補助金額の体系が変わっています。また、2026年8月の公募要領改訂では、申請段階からの「足下の賃上げ」が審査で評価されることが明記されました。新たな事業拡大を検討している個人事業主にとって有効な支援策となりますので、要件を満たす方は早めに準備を進め、活用を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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