「冬は寒く、夏は暑い」「光熱費の請求書を見るたびにため息が出る」――。築年数が経った住宅にお住まいの方なら、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
実は、日本の既存住宅の約9割は現行の省エネ基準を満たしていないといわれており、断熱性能の不足は光熱費だけでなく、ヒートショックなどの健康被害にもつながります。とはいえ、本格的な省エネ改修は数百万円規模になることも多く、自己負担だけで踏み切るのは簡単ではありません。
そんな方に知っておいてほしいのが、最大400万円の補助が受けられる「ZEH既存改修事業」です。
本記事では、令和8年度ZEH既存改修事業の制度概要、対象住宅、補助額、申請スケジュールなどを分かりやすく解説します。
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この記事の目次
ZEH既存改修補助金とは?3事業の全体像
ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、年間の一次エネルギー消費量が正味でゼロとなることを目指した住宅を指します。
ZEH既存改修事業は、既存の戸建住宅や集合住宅をZEH水準に改修する取り組みを支援する補助金制度です。本制度は、目的や補助内容の異なる3つの事業で構成されています。
| 事業名 | 事業内容 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| ZEH+改修 | ZEHよりさらに省エネを深掘りしたZEH+水準への改修 | 1〜4地域:400万円/戸 5〜8地域:300万円/戸 |
| ZEHリノベ | 既存の戸建住宅・集合住宅住戸のZEH水準への改修 | 250万円/戸 |
| ZEH診断 | ZEH改修に向けた省エネ診断 | BELS取得あり:25万円/戸 BELS取得なし:20万円/戸 |
ZEH+改修は、ZEHよりさらに省エネを深掘りした「ZEH+」水準への改修を支援する事業です。一方ZEHリノベは、より広く既存住宅をZEH水準まで引き上げる改修を対象としており、集合住宅の住戸も対象に含まれています。
ZEH診断は、改修前の省エネ性能を可視化する診断業務に対する補助制度です。診断結果はZEHリノベの申請にも活用できますが、診断を経由せず直接改修事業に申請することも可能です。
ZEH+改修
ZEH+改修は、既存の戸建住宅を「ZEH+」というワンランク上の省エネ水準まで引き上げる改修を支援する制度です。一般的なZEH水準が断熱等性能等級5相当であるのに対し、ZEH+は断熱等性能等級6以上+一次エネルギー消費量30%以上削減と、さらに高い性能が求められます。
その分、補助上限額は3事業の中で最も高く、最大400万円/戸まで設定されています。また、改修後の住宅を一般公開(オープンハウス)した場合に広報費が加算される点も本制度の特徴です。
対象住宅と申請者
ZEH+改修の対象住宅は既存戸建住宅に限定されており、集合住宅は対象外です。申請者の要件は以下のとおりです。
法人:改修する既存戸建住宅を所有する建築事業者・販売事業者(既存住宅の売買またはリノベーションに現に関わっているもの)
また、1981年6月1日以降に施行された新耐震基準への適合も必要です。旧耐震基準の住宅の場合は、本事業の改修完了時までに新耐震基準に適合させるための改修工事を実施する必要があります。
性能要件
ZEH+改修の交付を受けるためには、以下の性能要件を満たす必要があります。
・改修後の住宅がBEI≦0.7を満たすこと
・外皮平均熱貫流率(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)が、地域区分ごとに定められた断熱等性能等級6以上の基準を満たすこと
・中間報告までにBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の取得・提出を行うこと
BEIは建築物の省エネ性能を評価する指標で、設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で除した値です。BEI≦0.7とは、基準値から30%以上削減されている状態を意味します。
補助率と補助上限額
| 補助率 | 補助対象経費の1/3以内 (設計費・広報費は定額) |
|---|---|
| 補助上限額 | 1〜4地域 400万円/戸 5〜8地域 300万円/戸 |
加えて、改修後の住宅を一般公開(オープンハウス等)し、改修効果を広く周知する広報活動を行う場合は、広報費として補助金が加算されます。法人は50万円、個人は10万円が加算対象です。
公募スケジュール
令和8年度のZEH+改修は、一次公募と二次公募の2回に分けて受付が行われます。
| 区分 | 公募期間 |
|---|---|
| 一次公募 | 2026年5月14日(木)10:00 〜 8月14日(金)17:00 |
| 二次公募 | 2026年8月24日(月)10:00 〜 11月27日(金)17:00 |
また、令和8年度内に工事を完了させる「単年度事業」と、令和8年度から令和9年度にかけて継続して工事を行う「複数年度事業」のいずれかを選択して申請する仕組みとなっています。
複数年度事業を選択した場合、工事完了は令和9年4月以降である必要があります。令和8年度内に工事完了した場合は補助対象外となるため、注意が必要です。
予算規模は令和8年度分が約14億円、複数年度事業の令和9年度分が約5億円となっています。
ZEHリノベ
ZEHリノベは、既存住宅をZEH水準(断熱等性能等級5相当+一次エネルギー消費量20%以上削減)まで断熱改修することを支援する制度です。補助上限額は250万円/戸で、3事業の中では標準的な改修コースにあたります。
ZEH+改修との大きな違いは、戸建住宅だけでなくマンションなど集合住宅の住戸も対象となる点です。自己居住用の個人から賃貸オーナー、買取再販事業者まで幅広く申請対象となります。
5つの申請区分
ZEHリノベでは、申請者の属性に応じて5つの区分が用意されています。
| 区分 | 申請者 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 自己居住用 | 個人 | 改修する住宅に居住し、所有する個人 |
| 賃貸事業用 | 個人 | 改修後に賃貸住宅として貸し出す個人 |
| 買取再販事業者 | 法人 | 宅建免許を有し、改修後2年以内に個人に販売する法人 |
| 賃貸事業者 | 法人 | 賃貸用として既存住宅を所有・改修する法人 |
| 社宅所有者 | 法人 | 従業員の社宅として所有・改修する法人 |
対象住宅
以下のいずれかを満たす既存住宅が対象となります。
・2016年4月1日以降に建築された住宅で、現況がZEH水準(断熱等性能等級5相当かつ一次エネルギー消費量削減率20%以上)を満たしていないことが証明できる住宅
集合住宅の場合は「専有部分」の改修に限られます。また、1981年6月1日以降の新耐震基準への適合も必須です。
必須工事と任意工事
ZEHリノベの交付要件として、以下のいずれか1つ以上の断熱改修工事を実施する必要があります。
・内窓設置・外窓交換・ドア交換(断熱ドア)のいずれかの施工
ここで重要な注意点として、窓ガラスのみの交換は本事業の断熱改修としては認められません。
加えて、改修後の住宅がZEH水準(断熱等性能等級5相当の外皮性能、かつ一次エネルギー消費量を再生可能エネルギーを除き基準値から20%以上削減)を満たす必要があります。
高効率設備(給湯設備・空調設備・換気設備)の導入は任意工事となり、補助対象として組み合わせて申請できます。
補助単価と上限額
ZEHリノベは、工事内容に応じてあらかじめ定められた単価を積み上げて算定する「定額積上げ方式」を採用しています。
| 区分 | 工事内容・設備 | 補助単価 |
|---|---|---|
| 断熱材 | 外壁・屋根・天井・床・基礎 | 2,500円/㎡ |
| 窓 | 内窓設置・外窓交換(カバー工法等) | 22,000円/㎡ |
| ドア | ドア交換 | 50,000円/戸 |
| 給湯 | エコキュート(電気ヒートポンプ給湯機) | 60,000円/台 |
| 給湯 | ハイブリッド給湯機 | 80,000円/台 |
| 給湯 | エネファーム(燃料電池) | 160,000円/台 |
| 給湯 | エコジョーズ・エコフィール | 30,000円/台 |
| 空調 | エアコン(4.0kW未満) | 20,000円/台 |
| 空調 | エアコン(4.0kW以上) | 80,000円/台 |
| 換気 | 熱交換型(ダクト式) | 50,000円/台 |
| 換気 | 熱交換型(壁付け式) | 30,000円/台 |
| その他 | BELS取得 | 20,000円/戸 |
一戸あたりの補助には限度額が決められており、上限額・下限額は以下の表のとおりです。
| 補助上限額 | 250万円/戸 |
|---|---|
| 補助下限額 | 10万円/戸 (これに満たない場合は補助対象外) |
公募スケジュール
令和8年度のZEHリノベの公募スケジュールは以下の表でご確認ください。
| 項目 | 期日 |
|---|---|
| 公募期間 | 2026年6月1日(月)10:00 〜 11月11日(水)17:00 |
| 最終交付決定日 | 2026年12月2日(水) |
| 最終事業完了日 | 2026年12月18日(金) |
| 完了実績報告期限 | 事業完了日から15日以内、または2026年12月25日(金)17時のいずれか早い日 |
予算規模は約18.5億円で、想定採択件数は約1,400件です。申請額の合計が予算額に達した場合は、公募期間中でも申請受付が終了するため、早めの申請を検討するとよいでしょう。
ZEH診断
ZEH診断は、改修工事ではなく、改修前の省エネ性能を「測る」ことに対する補助制度です。建築士などの専門家が住宅に出向き、UA値(断熱性能)・ηAC値(遮熱性能)・一次エネルギー消費量などを実測・算出し、「診断結果報告書」としてまとめます。
補助率・上限額
| 補助率 | 補助対象経費の1/3以内 |
|---|---|
| 補助上限額 | ・BELS取得あり 25万円/戸 ・BELS取得なし 20万円/戸 |
| 補助下限額 | 5万円/戸 (これに満たない場合は対象外) |
ZEH診断の使い方とポイント
ZEH診断の結果報告書は、ZEHリノベ事業の「現況性能証明書」としてそのまま活用できます。
「改修するか迷っている段階で、まず自宅の性能を客観的に知りたい」「売却や賃貸に出すときにBELSラベルで資産価値を訴求したい」といった方に向いている制度です。
なお、ZEH診断を経由せず直接ZEHリノベ事業に申請することも可能です。改修ありきで進める場合は、ZEHリノベの申請時に必要な省エネ性能計算を改修事業者に依頼すれば足ります。
公募期間は2026年6月1日(月)10:00〜11月11日(水)17:00で、申請スケジュールはZEHリノベと同じです。
申請の流れ
ZEH既存改修事業の申請から補助金が振り込まれるまでは、おおむね以下のステップで進みます。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| STEP1 | 公募要領の確認・ZEHビルダー/プランナーの選定 |
| STEP2 | ZEHポータルのアカウント取得(ZEHリノベ・ZEH診断) |
| STEP3 | 必要書類の作成・交付申請の提出 |
| STEP4 | SIIによる審査・交付決定通知(受理から約1ヶ月) |
| STEP5 | 工事の契約・発注・着工(※交付決定後) |
| STEP6 | BELS取得・中間報告(ZEH+改修は効果測定も実施) |
| STEP7 | 工事完了・実績報告書の提出 |
| STEP8 | SIIによる確定検査・交付額確定 |
| STEP9 | 精算払請求・補助金の振込 |
申請から補助金が振り込まれるまで、ZEHリノベの場合で半年〜1年程度かかるのが一般的です。工事代金は一旦自己資金で立て替える必要があるため、資金繰りも含めた計画を立てておくとよいでしょう。
なお、ZEH+改修・ZEHリノベともに、交付決定通知書を受領する前に契約・発注・着工した工事は、いかなる理由があっても補助対象外となります。
ZEHビルダー/プランナーの関与
ZEH+改修については、SIIに登録された「既存改修」の区分を有するZEHビルダー/プランナーが住宅の改修に関与(建築・設計)することが必須要件となっています。
SIIに登録され、ZEH住宅の普及に取り組むハウスメーカー・工務店・建築設計事務所・リフォーム業者・建売住宅販売者などの住宅事業者です。事業目標や設計・施工の実績要件を満たした事業者だけが登録できます。SII公式サイトの「ZEHビルダー/プランナー一覧検索」で全国から検索できます。
事業者を選定する際は、登録ZEHビルダー/プランナーであることを必ず確認しましょう。
申請はZEHポータルから電子申請
ZEHリノベ・ZEH診断の交付申請は、SIIが提供する「ZEHポータル」を利用した電子申請のみ受け付けています。
紙媒体での書類提出は一切受け付けていないため、事前にアカウント発行手続きを済ませておく必要があります。ZEHリノベのアカウント発行受付期間は、2026年4月20日(月)〜2027年1月7日(月)17時となっています。
他の補助金との併用について
ZEH既存改修事業と他の補助金との併用については、以下のルールが定められています。
・工事請負契約が別で対象も重複しない場合:併用可
・地方公共団体(自治体)の単独財源による補助金:併用可
ただし、自治体補助金の財源に国費が充当されているケースもあるため、併用を検討する場合は当該自治体に確認することをおすすめします。
ZEH既存改修事業に関するよくある質問
ZEH+改修とZEHリノベ、両方申請できる?
補助対象経費が重複しなければ、原則として併用可能です。ただし、ZEH+改修は断熱等性能等級6以上+BEI≦0.7、ZEHリノベは断熱等性能等級5相当+一次エネルギー消費量20%以上削減と、求められる性能水準が異なります。同一住宅で両事業の要件を満たすのは難しいため、実務的にはどちらか一方を選択するケースが一般的です。
旧耐震基準の住宅でも申請できる?
ZEH+改修・ZEHリノベともに、本事業の改修完了時までに新耐震基準を満たす耐震改修工事を実施することを条件に申請可能です。完了実績報告時に、新耐震基準への適合を証明する公的書類(検査済証、耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書等)の提出が必要となります。
マンション(集合住宅)でも申請できる?
ZEHリノベは集合住宅の住戸も対象となります(専有部分の改修に限る)。一方、ZEH+改修は既存戸建住宅のみが対象で、集合住宅は対象外です。マンションの省エネ改修を検討している場合は、ZEHリノベを軸に申請を進めることになります。
DIYで自分で改修した場合も補助対象になる?
補助事業者自らが建材等を購入し、自ら施工を行うDIY(自主施工)に係る建材費および工事費は補助対象外です。法人申請の場合も、自社施工(関連会社等を含む)に係る費用は補助対象として認められません。第三者の施工事業者に依頼する必要があります。
窓ガラスのみの交換は補助対象になる?
窓ガラスのみの交換は、ZEHリノベの断熱改修としては認められず、補助対象外です。窓関連で補助対象となるのは、内窓設置・外窓交換(カバー工法等)・ドア交換のいずれかとなります。サッシごと交換する、または内窓を追加するなどの工事が必要です。
自治体の補助金と併用できる?
地方公共団体(自治体)の単独財源による補助金は併用可能です。ただし、自治体補助金の財源に国費が充当されている場合は併用不可となるため、当該自治体に確認する必要があります。また、補助対象経費が重複しないことが前提条件です。
交付決定前に契約してしまった場合は?
交付決定通知書に記載された交付決定日より前に契約・発注・着工した工事は、いかなる理由があっても補助対象外となります。申請の取下げまたは交付決定の取消し対象となるため、契約手続きは必ず交付決定後に進めてください。工事看板に交付決定番号を記載した着工前写真の撮影なども求められます。
申請から補助金振込までどのくらいかかる?
交付決定は申請受理から約3週間〜1ヶ月が目安となります。その後、工事の実施、完了実績報告の提出、確定検査を経て補助金が振り込まれる流れです。ZEHリノベの場合、最終的な補助金支払いまで申請から半年〜1年程度を見込むのが現実的です。資金繰りを考慮した計画を立てる必要があります。
まとめ
令和8年度のZEH既存改修事業は、既存住宅の省エネ改修を強力に後押しする補助金制度です。
ZEH+改修では最大400万円、ZEHリノベでは最大250万円の補助が受けられ、戸建住宅から集合住宅まで幅広いニーズに対応できる設計となっています。個人の自己居住用から法人の買取再販・賃貸事業まで対象が広いことも特徴です。
申請にあたっては、交付決定前の着工不可、ZEHビルダー/プランナーの関与、電子申請の必須など、いくつかの重要なポイントがあります。事前に公式情報を確認し、計画的に準備を進めてみてください。
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