帯状疱疹ワクチンを自費で受けると、生ワクチンで9,000円前後、シングリックスは2回で44,000円前後かかります。決して安い金額ではありません。
しかし令和7年4月から帯状疱疹ワクチンは「定期接種」になり、対象になる年は自己負担が半額以下に抑えられるようになりました。一方で、対象は5歳刻みの年齢に限られ、その年度を逃すと再び全額自費に戻ります。しかも同じ定期接種でも、自己負担額は自治体によって2倍近い差があります。
この記事では、令和8年度(2026年4月〜2027年3月)に帯状疱疹ワクチンの助成を受けられる人、生ワクチンとシングリックスそれぞれの自己負担額、そして定期接種の対象外である50〜64歳の方が使える自治体独自の助成について解説します。
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この記事の目次
帯状疱疹ワクチンの助成は「3階建て」
帯状疱疹ワクチンの費用を軽くする制度は、大きく3つの階層に分かれています。まず自分がどの階に当てはまるかを確認しましょう。
| 制度 | 実施主体 | 主な対象 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 定期接種 | 国(予防接種法) | その年度に65歳になる方 経過措置で70・75・80・85・90・95・100歳になる方 60〜64歳の免疫機能障害者 | 全国どの市区町村でも実施。自己負担額は自治体が設定 |
| 自治体独自の任意接種助成 | 市区町村 | 50〜64歳 定期接種の対象年度に当たらない65歳以上 | 実施の有無・金額は自治体次第。ない自治体も多い |
| 健康保険組合の補助 | 組合健保など | 被保険者・被扶養者 | 一部の組合のみ。協会けんぽにはない |
定期接種は法律で定められた制度なので、住んでいる場所にかかわらず必ず使えます。自治体独自の助成と健康保険組合の補助は、あれば使える上乗せの制度です。
定期接種の対象者|令和8年度は誰が対象?
生年月日別の早見表(令和8年度)
定期接種の対象は、その年度に65歳になる方が基本です。ただ、令和7年度から令和11年度までの5年間は経過措置として、70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳になる方も対象に含まれます。
令和8年度(2026年4月1日〜2027年3月31日)の対象者は、以下の生年月日に該当する方です。
| 令和8年度に迎える年齢 | 生年月日 |
|---|---|
| 65歳 | 昭和36年4月2日〜昭和37年4月1日 |
| 70歳 | 昭和31年4月2日〜昭和32年4月1日 |
| 75歳 | 昭和26年4月2日〜昭和27年4月1日 |
| 80歳 | 昭和21年4月2日〜昭和22年4月1日 |
| 85歳 | 昭和16年4月2日〜昭和17年4月1日 |
| 90歳 | 昭和11年4月2日〜昭和12年4月1日 |
| 95歳 | 昭和6年4月2日〜昭和7年4月1日 |
| 100歳 | 大正15年4月2日〜昭和2年4月1日 |
ここで注意したいのは、定期接種として公費負担を受けられる機会は、原則として対象年度の一度だけという点です。生ワクチンは1回、シングリックスは2回の接種を、対象年度内に完了する必要があります。
対象の年度に接種しなかった場合、次に5歳刻みの年齢になる年度を待っても、もう定期接種は受けられません。経過措置は「令和7年度の時点で66歳以上だった方に、5年かけて一度ずつ順番を回す」仕組みなので、順番が2回来ることはありません。5年毎に受けられる制度ではない点に注意してください。
対象の案内が届いたら、その年度のうちに接種を済ませておきましょう。逃した場合は、自治体独自の助成があればそれを使うか、全額自費で受けることができます。
なお、令和7年度は100歳以上の方が全員対象でしたが、令和8年度以降はその年度に100歳になる方のみが対象です。
60〜64歳でも対象になる人
年齢の条件に当てはまらなくても、60歳以上65歳未満で、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)により免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方(身体障害者手帳1級相当)は定期接種の対象です。接種の際は障害の程度が確認できる書類が必要になります。
令和9〜11年度の対象と、令和12年度以降
経過措置は令和11年度(2029年度)で終了します。令和9年度・10年度・11年度も同じく65歳と5歳刻みの年齢が対象ですが、令和12年度からはその年度に65歳になる方だけが対象になります。
現在66〜69歳、71〜74歳のように5歳刻みの間にいる方は、次に5歳刻みの年齢を迎える年度が令和11年度までに来るかどうかを確認しておきましょう。来ない場合は定期接種を受ける機会がないため、後述する自治体独自の助成を探すことになります。
自己負担額はいくら?生ワクチンとシングリックスの比較
定期接種では、生ワクチンと組換えワクチン(シングリックス)のどちらか一方を選べます。
| 項目 | 生ワクチン(ビケン) | 組換えワクチン(シングリックス) |
|---|---|---|
| 接種回数 | 1回 | 2回(原則2か月以上あける) |
| 予防効果 | 発症予防効果は5割程度 5年ほどで低下 | 発症予防効果は9割以上 10年後も7割以上を維持 |
| 副反応 | 比較的軽い | 接種部位の痛み・腫れ、発熱、倦怠感が出やすい |
| 受けられない人 | 病気や治療で免疫機能が低下している方 | 制限は少ない |
| 自費の目安 | 1回8,000〜10,000円 | 1回22,000円前後×2回 |
効果の高さと持続性ではシングリックスが優れていますが、費用は高く、2回通院する必要があります。免疫を抑える治療を受けている方は生ワクチンを接種できないため、持病がある方は医師に相談してから選んでください。
自治体別の自己負担額の例
定期接種であっても無料ではなく、ワクチン代の一部を公費でまかなったうえで、残りを自治体が設定した自己負担額として支払います。この自己負担額は自治体によって大きく異なります。
| 自治体 | 生ワクチン | シングリックス(1回あたり) |
|---|---|---|
| 東京都三鷹市 | 4,500円 | 11,000円(2回で22,000円) |
| 東京都江東区 | ー | 11,000円(2回で22,000円) |
| さいたま市 | 5,000円 | 18,200円(2回で36,400円) |
| 広島市 | 4,900円 | 18,100円(2回で36,200円) |
※令和8年度の各自治体公式サイトをもとに作成。最新の金額は必ずお住まいの自治体でご確認ください。
同じシングリックスの定期接種でも、東京23区と政令市で1回あたり7,000円、2回で14,000円以上の差があります。定期接種だから安いとは限らないので、金額を確認してからワクチンを選ぶことをおすすめします。
自己負担が免除される人
生活保護を受けている世帯や中国残留邦人等支援給付の受給者は、多くの自治体で自己負担が免除されます。自治体によっては住民税非課税世帯も無料としているところがあります。免除を受けるには、接種前に医療機関の窓口で受給証などの書類を提示する必要があり、接種後の払い戻しはできないのが一般的です。
50〜64歳・対象年度外の65歳以上はどうする?自治体独自の助成
帯状疱疹は50歳を過ぎると発症率が上がります。しかし50〜64歳は定期接種の対象外で、任意接種は原則全額自己負担です。この年代を対象に、独自に費用を助成している自治体があります。
独自助成がある自治体の例(令和8年度)
| 自治体 | 対象 | 助成額 |
|---|---|---|
| 千葉県船橋市 | 50歳以上65歳未満 | 生ワクチン2,000円 シングリックス5,000円×2回 |
| 奈良市 | 50歳以上(昭和37年4月2日〜昭和52年4月1日生まれ) | 生ワクチン3,000円 シングリックス6,000円×2回 |
| 静岡県沼津市 | 50歳以上 | 生ワクチン4,000円 シングリックス10,000円×2回 |
※助成額は接種費用から差し引かれる金額です。自己負担額は、医療機関が定める接種料金から助成額を引いた金額になります。
東京23区の多くも50歳以上向けの独自助成を設けていますが、品川区のように生ワクチンは対象外とする区もあります。一方、大阪市のように任意接種への独自助成を行っていない大きな自治体もあり、地域差はかなり大きいのが実情です。
注意点として、独自助成を使って接種すると、その後65歳などの定期接種の対象年齢になっても定期接種は受けられないと定めている自治体が一般的です。帯状疱疹ワクチンの公費助成は生涯1回が原則と考えておきましょう。
自分の自治体に助成があるかを調べる方法
お住まいの自治体に独自助成があるかは、「◯◯市 帯状疱疹ワクチン 助成」で検索するか、自治体サイトの「任意予防接種」のページを確認してください。定期接種のページとは別に案内されていることが多いので、定期接種の対象外だと分かった時点で諦めず、任意接種のページも探してみましょう。
健康保険組合の補助
会社員の方は、加入している健康保険組合が予防接種の補助を出している場合があります。インフルエンザの補助に比べると実施している組合は少ないものの、帯状疱疹ワクチンを対象に数千円を補助する組合もあります。
補助の有無は保険証やマイナポータルで保険者名を確認し、組合のサイトで「予防接種 補助」を調べてみてください。なお、中小企業の従業員が多く加入する協会けんぽには帯状疱疹ワクチンの補助はありません。
接種の流れと注意点
予診票の入手から接種まで
定期接種の対象者には、多くの自治体で4〜6月ごろに予診票(接種券)が郵送されます。届かない場合や紛失した場合は、自治体の保健センターなどに連絡すれば再発行してもらえます。
・医療機関に予約し、生ワクチンかシングリックスかを伝える
・接種当日は予診票、本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)、自己負担金を持参する
・シングリックスの場合は、2か月以上あけて2回目を受ける
自治体独自の助成も、事前に予診票や助成券を取り寄せる方式がほとんどです。予診票なしで接種した場合は、後から申請しても助成されません。
対象外になるケース
以下に該当する場合、定期接種の対象外となります。
・指定医療機関以外で接種した場合は、全額自己負担になり払い戻しもありません
・施設入所などやむを得ない事情で指定外の医療機関で接種する場合は、事前申請で助成対象になる自治体があります。必ず接種前に相談してください
シングリックスは遅くとも1月中に1回目を
定期接種は対象年度内(令和9年3月31日まで)に接種を完了する必要があります。シングリックスは1回目から2か月以上あけて2回目を打つため、1回目が2月以降になると2回目が年度をまたぎ、2回目は全額自費(22,000円前後)になってしまいます。
シングリックスを希望する場合は、遅くとも1月中に1回目を済ませておきましょう。年明けは医療機関も混み合うため、秋のうちに接種を始めるのが安心です。
よくある質問
65歳のとき受けていないが、70歳の今年は対象になる?
令和8年度に70歳になる方(昭和31年4月2日〜昭和32年4月1日生まれ)であれば対象です。これまでに帯状疱疹ワクチンの接種を完了していなければ、経過措置の年齢で受けられます。
子どもの頃に水ぼうそうのワクチンを打っていても対象?
対象です。定期接種の対象外になるのは帯状疱疹ワクチンの接種を完了している方で、水痘ワクチンの接種歴は関係ありません。
帯状疱疹にかかったことがある人も接種できる?
できます。帯状疱疹は再発することがあるため、かかったことがある方も予防のために接種できます。治療中や発症直後は接種時期を医師に相談してください。
1回目のあとに引っ越したら2回目はどうなる?
転出先の自治体で改めて予診票を発行してもらえれば、2回目も定期接種として受けられる場合があります。取り扱いは自治体によって異なるため、転入したらすぐに担当窓口へ連絡してください。
自費で1回目を打った。2回目だけ助成を受けられる?
さいたま市や奈良市のように、2回目のみを定期接種や助成の対象として認めている自治体があります。対応は自治体ごとに異なるので、接種前に確認してください。
ワクチン代は医療費控除の対象になる?
なりません。予防接種は病気の予防を目的とするため、医療費控除の対象外です。
まとめ
帯状疱疹ワクチンは令和7年度から定期接種になり、令和8年度は65歳と5歳刻み(70〜100歳)になる方が対象です。定期接種は該当年度の1回限りで、逃すと経過措置終了後は全額自費となります。50〜64歳は定期接種の対象外ですが、独自助成を出す自治体や健保組合の補助があります。
シングリックスを選ぶ場合、遅くとも1月中に1回目を打たないと2回目が全額自費になるため注意が必要です。
制度の内容や金額は年度ごとに見直されます。接種を検討する際は、必ずお住まいの自治体の最新情報を確認してください。
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