「年金だけでは生活が心配」「親の通院や買い物の負担を減らしたい」
ご自身やご家族の老後について、こうした不安を感じている方は多いのではないでしょうか。実は、高齢者の暮らしを支える支援制度は、年金に上乗せされる給付金から交通費の助成、スマホ購入の補助まで、生活のあらゆる場面に用意されています。
しかし、こうした制度の多くは市区町村が独自に実施しており、内容や金額は自治体ごとにさまざまです。また、そのほとんどは自分から申請しないと受け取れない仕組みのため、制度を知らないまま利用の機会を逃してしまうケースも少なくありません。
本記事では、65歳以上の方やそのご家族に向けて、高齢者が利用できる主な支援制度を「お金」「移動・外出」「デジタル」「健康・暮らし」「防犯」の目的別にご紹介します。
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・高齢者向け交通費助成制度まとめ【バス・タクシー・電車】最大12,000円の支援の自治体も
・スマホ購入補助金まとめ!自治体が提供するデジタル時代のシニア支援
・年金生活者支援給付金とは?対象者と受給方法を解説
この記事の目次
主な高齢者向け支援制度一覧
高齢者向けの支援制度は、大きく次の5つの分野に分けられます。
| 分野 | 主な支援 | 実施主体 |
|---|---|---|
| お金 | 年金生活者支援給付金、高年齢求職者給付金、非課税世帯向け給付金 | 国 |
| 移動・外出 | 交通費助成、免許返納特典、シニアカー購入補助 | 自治体 |
| デジタル | スマホ購入補助、スマホ教室 | 自治体 |
| 健康・暮らし | 補聴器購入助成、エアコン設置補助 | 自治体 |
| 防犯 | 迷惑電話対策電話機の購入補助 | 自治体 |
年金や雇用保険に関する国の制度は全国共通ですが、自治体の制度は市区町村によって有無・金額・条件が大きく異なります。それでは、分野ごとに主な制度を見ていきましょう。
お金の支援|年金への上乗せ・退職後の給付金
年金生活者支援給付金(年金収入が少ない方向け)
年金生活者支援給付金とは、公的年金等の収入と所得が一定基準以下の年金受給者の生活を支援するため、年金に上乗せして支給される国の給付金です。一時的な支援金ではなく、法律に基づく恒久的な制度である点が大きな特徴で、一度支給が決定すれば、要件を満たす限り年金と同じ口座に継続して振り込まれます。
2026年4月分からは月額5,620円(前年度比+170円)に増額され、6月15日支給分から反映されています。対象になる可能性がある方には日本年金機構から請求書(ハガキ)が届きますが、届かない場合の対処法や年収別のシミュレーションについては、以下の記事で詳しく解説しています。
詳しくはこちら:年金生活者支援給付金はいくら?対象者・申請方法・ハガキが届かない時の対処法を解説
高年齢求職者給付金(退職して仕事を探している方向け)
高年齢求職者給付金とは、65歳以上で退職し、再就職を目指して求職活動を行う方が受け取れる雇用保険の給付金です。老齢年金と同時に受け取れる「併給」が可能な点が大きな特徴で、近年は人手不足を背景にシニアの就労意欲が高まっていることもあり、注目されている制度です。
2026年4月には在職老齢年金の支給停止調整額が50万円から65万円へ引き上げられ、働きながら年金を受け取りやすい環境も整いました。なお、受給には離職日の翌日から1年以内という期限があるため、退職後はできるだけ早くハローワークで求職の申し込みを行いましょう。
詳しくはこちら:高年齢求職者給付金とは?求職中の高齢者が受け取れる失業給付金
非課税世帯向けの給付金
物価高対策として、住民税非課税世帯を対象とした給付金も実施されています。年金収入のみで生活している高齢者世帯は非課税世帯に該当するケースが多いため、ご自身の世帯が対象となるか確認しておきましょう。
詳しくはこちら:非課税世帯向け給付金2026 令和8年 支給が始まるのはいつになる?
移動・外出の支援|交通費助成から免許返納後の移動手段まで
高齢者向け交通費助成制度(バス・タクシー・電車)
高齢者の交通費助成制度とは、高齢者の外出支援を目的に、自治体がバス・電車・タクシーなどの交通費を一部または全額補助する制度です。支援方法はタクシー券の配布やICカードへのチャージ、乗車証の交付など、自治体によってさまざまです。
たとえば東京都では、満70歳以上の方を対象に「シルバーパス」を販売しており、年間1,000円または12,000円の定額で都営バスや都営地下鉄・民営バス等を利用できます。また福岡県福岡市では、満70歳以上の方に最大12,000円分の高齢者乗車券を交付しています。
詳しくはこちら:高齢者向け交通費助成制度まとめ【バス・タクシー・電車】最大12,000円の支援の自治体も
運転免許の自主返納でもらえる特典
運転免許証を自主返納した高齢者を対象に、バス・タクシー券の交付(上限5,000円〜3万円程度)などの特典を用意している自治体も多くあります。返納後に申請できる「運転経歴証明書」は、運転免許証に代わる公的な本人確認書類としても利用可能です。運転に不安を感じている方やそのご家族は、返納後の支援内容もあわせて確認しておきましょう。
詳しくはこちら:高齢者の運転免許返納で受けられる助成・特典まとめ【2026年】
シニアカー・電動カートの購入補助
シニアカーとは、高齢者の移動を支援するために設計された電動の乗り物で、「電動カート」と呼ばれることもあります。法律上は歩行者に分類され、最高速度はおおむね時速6キロ程度。運転にあたって免許は必要ないため、免許返納後の移動手段としても注目されています。
シニアカーの購入に対する国の一律補助は現時点ではなく、自治体ごとの補助金を活用することがメインとなります。たとえば岐阜県輪之内町では、満75歳以上で運転免許を保有していない(または自主返納した)方を対象に、購入費の3分の1以内(上限10万円)を補助しています。なお、介護保険ではシニアカーは福祉用具貸与(レンタル)の対象であり、購入費は原則として対象外となる点に注意が必要です。
詳しくはこちら:【2026年】シニアカー・電動カート購入に使える補助金・制度まとめ
デジタル支援|スマホ購入補助とスマホ教室
政府は、全世代がデジタル技術を活用し、誰もが情報サービスから取り残されないために、「デジタルでつながる社会づくり」を目指しています。この政策の一環として、デジタル格差の解消などを目的に、スマホを購入するシニアを対象とした補助金を実施している自治体があります。
2026年現在、東京都を中心に20以上の区市町村が制度を継続・新設しており、地方自治体でも独自の補助を展開する動きが広がっています。東京都では65歳以上の方を対象としたスマートフォン購入支援の取組を区市町村経由で支援しており、荒川区・北区・江戸川区などで購入費の助成が実施されています。地方でも、青森県むつ市の「スマホデビュー応援補助金」や宮城県栗原市、茨城県筑西市などが独自の補助を行っています。
多くの制度では、購入前の申請や指定店舗での購入、スマホ教室の受講などが条件となっています。申請を検討する際は、必ずお住まいの自治体の公式ページで条件を確認しましょう。
詳しくはこちら:スマホ購入補助金まとめ!自治体が提供するデジタル時代のシニア支援
健康・暮らしの支援|補聴器・エアコンの購入助成
補聴器の購入助成
高齢者の聴力低下は、社会的な孤立や認知症リスクの高まりにつながることが指摘されています。こうした背景から、身体障害者手帳の交付対象とならない中等度難聴の高齢者を対象に、補聴器の購入費用を助成する自治体が増えています。
多くの制度では、耳鼻咽喉科の医師による意見書の提出や購入前の申請が条件となります。助成額や対象要件は自治体によって異なるため、詳しくは以下の記事をご覧ください。
詳しくはこちら:補聴器の購入に補助金は使える?高齢者向け・子ども向けの助成制度と申請の流れを解説
エアコンの設置補助
近年の猛暑により、熱中症で高齢者が搬送されるケースが増えています。熱中症対策の一環として、エアコンのない高齢者世帯を対象に、購入・設置費用の一部を助成する自治体があります。
東京都では、省エネ家電の購入を支援する「東京ゼロエミポイント」について、高齢者世帯・障がい者世帯向けのエアコン購入補助額を最大8万円支援しています。また、全国の自治体でも、エアコンの購入支援を実施している場合があります。
詳しくはこちら:エアコン補助金まとめ
防犯の支援|迷惑電話対策電話機の購入補助
令和6年の特殊詐欺被害総額は718億円を上回り、自治体でも早急な防止対策の強化が進められています。その対策の1つが、自動録音機能や迷惑電話ブロック機能を備えた電話機・外付け機器の購入費用を補助する制度です。
振り込め詐欺の被害は高齢者に集中しているため、高齢のご家族と離れて暮らしている方は、ご実家のある自治体に制度がないか確認し、家族で導入を検討してみてはいかがでしょうか。
詳しくはこちら:振り込め詐欺対策にも!悪質な迷惑電話対策に使える補助金まとめ
高齢者向け支援制度 申請時の共通注意点
高齢者向けの支援制度を利用する際は、次の4つのポイントを押さえておきましょう。
・多くの制度は予算予算に達すると受付が終了する
・自治体によって対象年齢・所得要件・補助額が異なる
制度の相談窓口は、市区町村の高齢福祉課や地域包括支援センターです。広報紙や回覧板にも制度情報が掲載されるため、定期的にチェックしましょう
よくある質問
申請しなくても自動的にもらえる?
ほとんどの制度は自分から申請しないと受け取れません。年金生活者支援給付金のように請求書(ハガキ)が届く制度もありますが、返送などの手続きは必要です。
どこに相談すればいい?
お住まいの市区町村の高齢福祉課や地域包括支援センターが窓口です。「使える制度の一覧を知りたい」と尋ねてみるのがおすすめです。
家族が代わりに申請できる?
自治体や制度によっては、委任状などにより代理申請が可能です。本人が窓口に行けない場合は、事前に自治体へ必要書類を確認しましょう。
まとめ
高齢者向けの支援制度には、年金に上乗せされる給付金から、交通費助成、スマホ購入補助、補聴器・エアコンの購入助成、防犯機器の補助まで、生活のあらゆる場面を支えるものが用意されています。ただし、その多くは自治体独自の制度であり、自分から申請しなければ受け取ることができません。
ご自身やご家族が高齢者という方は、利用できる制度を正しく把握することが大切です。まずは、お住まいの自治体の公式情報をチェックしてみましょう。
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