政府は、全世代がデジタル技術を活用し、誰もが情報サービスから取り残されない「デジタルでつながる社会づくり」を目指しています。この政策の一環として、デジタル格差の解消などを目的に、スマホを購入するシニアを対象とした補助金を実施している自治体があります。本記事では、各地のスマホ購入補助金についてご紹介します。
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この記事の目次
なぜスマホ補助金の対象者は高齢者なのか
スマホの購入補助金を探しても、若年層を対象としたものはなかなか見つかりません。補助金というものは通常、特定の対象者に焦点を当てています。つまり、情報格差をなくしデジタル化されたサービスをより多くの世代が利用できるようにするため、社会的な支援ニーズに基づいて、デジタルから取り残されやすい「高齢者」を対象としたスマホ購入補助金が展開されていると考えられます。
高齢者向けのスマホ購入補助金には、主に以下のような目的があります。
1.IT利用の機会均等
高齢者がデジタル社会から取り残されないように、彼らのデジタルデバイスの使用を促進し、情報格差を縮小するため。
2.公共サービスの利用促進
マイナンバーカードや各種申請、健康管理アプリなどの公共サービスをオンラインで利用できるようにするため。
3.コミュニケーションの向上
SNSやビデオ通話などを通じて、家族や友人とのコミュニケーション手段を増やし、社会的孤立を防ぐため。
4.災害時の情報取得
スマホを通じて、災害時の緊急情報や避難情報などを迅速に入手できるようにするため。
5.生活の利便性向上
キャッシュレス決済や地図アプリなど、生活の便利さを向上させるため。
これらは高齢者がデジタル化する上で直面する様々な障壁を取り除き、より快適で安全な生活を送るための支援となります。
スマホ購入補助金の例※6月28日更新
以下は、自治体が提供するスマホの購入を支援する補助金の例です。
飯塚市 高齢者モバイル端末機器取得奨励補助金
飯塚市では、高齢者がデジタル化の進行に取り残されることなく、社会とつながりを持ち続けられるようにするため、高齢者向けにモバイル端末の購入を補助しています。
以下のすべてに該当する方が対象者となります。
- 飯塚市内に住民票がある65歳以上の方(昭和35年4月1日以前に生まれた方)
- 市民税の滞納がない
- 現にスマートフォンを所持していない
- 令和6年4月1日以降、スマートフォンを購入(3Gガラケーからの乗り換えも対象)し、通信契約を行う
- 市が定めるデジタル端末活用のための教室を受講する
- 市が運営するSNS公式アカウント(LINE・X(旧Twitter)・Facebook)のいずれかへの登録と福岡県防災メールまもるくんの登録に協力できる
- 前年度に、同補助金の交付を受けていない
補助金の額は、2万円です。
申請期間は令和6(2024)年4月1日から令和7(2025)年3月31日までです。
参考:飯塚市 高齢者モバイル端末機器取得奨励補助金
https://www.city.iizuka.lg.jp/korehokatsu/digitalcommunication/digitalcommunication.html
市川市【ゴールドシニア事業】スマートフォン購入費補助金
市川市では、75歳以上の方(ゴールドシニア)を対象に、スマートフォンを初めて所持、購入する方に対し、購入費用の一部を補助しています。
以下のいずれも満たす方が対象です。
- 市川市に居住し、かつ、住民登録がある
- 75歳以上及び令和6年度内に75歳に達する方(昭和25年4月1日以前に生まれた方)
- スマートフォンを初めて所持、購入し、対象者名義でモバイルデータ通信の契約を行っている
- 営利を目的とせず、自ら使用する目的でスマートフォンを購入する
- 市が指定するキャリアの端末と回線を取り扱う店舗にてスマートフォンを購入する
補助対象経費は以下のとおりです。
- スマートフォン本体の購入費用
- 充電用機器の購入費用(2個目以降は対象外)
- 契約に関する事務手数料
- データ移行手数料
- アカウント設定料
- その他手数料
補助額は、購入費用の1/2で、最大2万5千円です。(1000円未満切り捨て)
申請期間は令和6(2024)年4月1日から令和7(2025)年3月31日まで、予算上限に達し次第終了となります。
参考:市川市【ゴールドシニア事業】スマートフォン購入費補助金
https://www.city.ichikawa.lg.jp/wel02/0000448270.html
文京区 シニア世代スマホデビュー応援補助金
文京区では、65歳以上でスマホを初めて購入する方を対象に、補助金を提供しています。
補助対象となる経費は以下の通りです。
- スマホ本体購入費(NFC認証機能付き)
- 充電器購入費
- 契約事務手数料
- データ移行手数料とアカウント設定料
補助額は、上記の経費合計に対して最大2万円が支給されます。
補助を受けるための要件は以下の通りです。
- スマホを新規に購入すること(ガラケーからの買い替えも含む)
- データ通信契約を同時に行うこと
- 指定された協力店舗で購入すること
- 購入店舗で年間費用の説明や初期設定、詐欺被害防止対策の説明を受けること
- 文京区LINE公式アカウントや文京区防災アプリを登録すること
申請期間は令和7年3月31日までで、予算の上限に達し次第終了となります。補助金の対象となるスマホの購入期間は、令和6年4月1日から令和7年3月31日までです。
参考:シニア世代スマホデビュー応援補助金
https://www.city.bunkyo.lg.jp/hoken/koresha/service/siniasedaisumahodebyu-.html
下妻市 高齢者のスマホデビューを応援
下妻市では65歳以上の高齢者を対象に、スマホの購入を支援する補助金制度を提供しています。
対象者は以下の条件に当てはまる方です。
- 下妻市に住所を持つ65歳以上の方
- マイナンバーカードを所持している方
- 初めてマイナンバーカード対応スマホを購入し、スマホ講座を受講した方
- 市公式LINEをダウンロードした方
- 市税等の滞納がない方
補助金額は、最大2万円(100円未満切り捨て)で、補助対象はスマホ本体購入費、充電器購入費、事務手数料、データ移行料、その他手数料、消費税です。補助金は1人1回限り、申請者1人につきスマホ1台分です。
申請期間は、令和6年4月1日から令和7年3月31日までですが、予算に達し次第終了となります。
参考:高齢者のスマホデビューを応援します!
https://www.city.shimotsuma.lg.jp/shisei/dx/page005978.html
秩父市 シニア世代スマホ購入応援補助金
秩父市では、情報格差解消を目的に、スマホを購入するシニア世代に向けた「シニア世代スマホ購入応援補助金」を提供しています。
補助の対象者は次の条件を満たす必要があります。
- 秩父市に住民登録があり、市税の滞納がないこと
- 令和7年3月31日までに60歳以上となる方(※昭和40年4月1日以前に生まれた方)
- 令和6年4月1日から令和7年3月31日までに、市内販売店舗でNFC認証機能付きのスマホを新品または中古で購入していること ※令和5年3月31日以前に購入したスマホの補助金は終了
- 秩父市公式LINEアカウントと「ちちぶ安心・安全メール」に登録していること
補助対象経費として認められるのは以下の経費です。
- スマホ本体の購入費用
- スマホの充電機器
- 音声通話やネット接続を行うための契約に関する事務手数料
- 機種変更の手数料
補助金の額は購入費の3万円までで、一人一台が対象。分割払いの場合は申請日までに支払った金額が対象です。
補助申請受付期間は、令和6年4月1日から令和7年3月31日までで、予算に達し次第終了となります。
参考:シニア世代スマホ購入応援補助金を交付します
https://www.city.chichibu.lg.jp/10284.html
川俣町高齢者スマホデビュー応援助成金事業
川俣町では、デジタル格差の解消と高齢者の生活の質向上を目的として、70歳以上の町民を対象にした「高齢者スマホデビュー応援助成金事業」を5月から実施します。
助成金の対象者は以下の条件を満たす方です。
- 川俣町の住民基本台帳に登録され、3ヶ月以上町内に居住している方
- 満70歳以上である(令和5年度中に70歳に到達する方を含む)
- マイナンバーカードを取得している
- 初めてスマホを購入し、自身の名義で契約している
- 令和6年5月1日以降に購入している
- 川俣町の「Ka-LINE(かりん)サービス」に友達登録している
- 指定事業協力店でスマホを購入している
- 町税の滞納がない
助成金の対象となる費用は以下です。
- マイナンバーカード読み取り機能付きでインターネット利用可能なスマホ本体の購入費
- スマホ用の充電器
- 事務手数料
- データ移行やアカウント設定などの手数料
- 対象経費に関する消費税
助成金の額は、対象経費の3/4で、最大1万円です(100円未満は切り捨て)。分割払いの場合は、申請日までに支払った頭金や分割金の合計が対象です。
助成金の申請期間は、令和6年5月1日から令和7年3月31日までです。
参考:川俣町高齢者スマホデビュー応援助成金事業について
https://www.town.kawamata.lg.jp/site/jigyoshamuke/2024seniorjoseikin.html
常陸太田市はじめてのスマホ応援
常陸太田市では、65歳以上の初心者のために、市が指定するスマートフォン講座を受けた後、その購入費用を3万円補助します。
補助の対象者は次の条件を満たす必要があります。
- 常陸太田市に住民票がある昭和35年4月1日以前に生まれた方
- 令和6年4月1日以降に初めてスマホを購入し、市指定のスマホ講座を受講している方
- 指定店舗にて、NFC認証機能を搭載したスマホを購入した方
- 市税等を滞納していない方
※令和5年度中に65歳以上で初めてスマホを購入し(指定店舗に限る)助成金の申請をされていない方も対象になります。
【スマホ講座の内容】
講座では、初心者や高齢者を対象に、スマホの基本操作から始め、電話やカメラの使い方を学びます。また、インターネットの使用方法についての指導も提供され、アプリのインストール方法やそれらを活用する方法についても教えます。さらに、スマホを使用して行政手続きを行う方法に関する指導も行われ、日常生活におけるスマホの有効活用をサポートします。
申請期間は、令和6年4月1日から令和7年3月31日までです。
参考:はじめてのスマホを応援します
https://www.city.hitachiota.ibaraki.jp/page/page007908.html
平戸市 高齢者スマートフォン購入支援事業
平戸市では「高齢者スマートフォン購入支援事業」として、対象店舗でスマホを購入した65歳以上の方に、スーパーやドラッグストア、コンビニなどで使用できる2万円分のポイントを進呈しています。
以下のすべてに該当している方が対象となります。
- 平戸市内に住所を有する人
- 昭和35年4月1日以前生まれの人
- 市税などの滞納がない人
- はじめてスマホを購入する人
- マイナンバーカードを取得または申請中の人
【支援事業の流れ】
対象者になるかを確認した後、ドコモショップ平戸店でスマートフォンを購入します。購入後は、スマホ講座に参加して防災アプリを取得するか、平戸市公式LINEに登録します。その次に、ドコモショップ平戸店でポイント付与のための申請を行います。申請を提出してから約2週間で、ポイントが進呈される流れになっています。
申請期間は令和7年3月31日までで、先着200人に達し次第終了します。
参考:令和6年度平戸市高齢者スマートフォン購入支援事業の実施について
https://www.city.hirado.nagasaki.jp/kurashi/news/2024/2024-0418-1115-207.html
江戸川区 スマホ不所持世帯スマホ購入助成金交付事業
こちらはスマホ補助金には珍しく、シニア限定ではなく、満18歳以上の方が対象になる支援制度です。デジタルデバイド(情報格差)を解消するため、特定の要件を満たす世帯の方に、1世帯につき1万円を上限にスマホ購入費用の一部を補助します。
補助対象となる経費は以下の通りです。
- スマホ本体購入費用(NFC認証機能搭載のもの)
- 充電器購入費
- 契約事務手数料
- アカウント設定料
- データ移行手数料
※上記対象経費の支出額総額の範囲内で、1万円を上限に補助されます。
補助を受けるための要件は以下のとおりです。
- スマホ購入時および申請時に江戸川区に住民登録がある方
- スマホを所持していない世帯の方(携帯電話のみ所持の世帯の方は可)
- 令和6年3月31日時点で満18歳以上の方
- 非営利かつ自ら使用する目的で、令和5年12月1日以降に指定店舗でスマホの購入・通信契約を同時に行った方
- 購入店舗で実施するスマホ教室を受講し、江戸川区防災アプリをインストールした方
令和5年11月30日以前にスマートフォンを購入し、それを令和5年12月1日以降も所持している世帯は、対象外です。ただし、以前の「スマホ・携帯電話いずれもお持ちでない世帯のスマホ購入助成」という制度の要件を満たす世帯で、令和5年6月1日以降にスマートフォンを購入した場合は、引き続き補助の対象となります。
申請期限は令和7年3月31日です。
参考:スマホ不所持世帯スマホ購入助成金交付事業
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e039/kenko/fukushikaigo/digital/sumaho.html
まとめ
自治体によるスマホ購入支援の補助金は、国のデジタル化推進という大きな方針の下で、シニア世代がデジタル社会の一員として活動的に参加できるようサポートするためのものです。シニアのスマホデビューの際には、お住まいの自治体で購入補助が行われていないかチェックしてみると良いでしょう。