全国の各自治体では、高齢者を対象に交通費助成制度が用意されています。バスやタクシー・電車等の、移動手段にかかる負担を軽減する制度です。
移動が大変なお年寄りがこの助成を利用することで、買い物や通院がしやすくなります。また、付き添う家族の負担も減るため、安心して生活を続けるための大きな支えとなるでしょう。
本記事では、高齢者向けの交通費助成制度の内容と、利用する際の注意点を解説します。
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この記事の目次
高齢者の交通費助成制度とは?
高齢者の交通費助成制度とは、高齢者の外出支援を目的に、自治体がバス・電車・タクシーなどの交通費を一部または全額補助する仕組みです。各自治体によって制度内容は異なり、支援方法もタクシー券の配布やICカードへのチャージ、乗車証の交付などさまざまです。
今お住まいの自治体で高齢者の交通費助成制度を実施しているか知りたい場合、「〇〇市(自治体名) 高齢者 交通費助成」で調べてみましょう。調べるのが難しい場合、各市区町村の役所に電話で問い合わせるのもおすすめです。
免許返納で助成を受けられるケースも
自治体によっては、一定の年齢以上で運転免許証を返納すると、助成を受けられるケースもあります。バスやタクシーの利用券、交通系ICカードやポイントなど、助成の方法は地域によってさまざまです。
免許返納について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
高齢者の運転免許返納で受けられる助成・特典まとめ【2026年】
全国の主な高齢者向け交通費助成制度
全国の自治体では、さまざまな高齢者向け交通費助成制度を実施しています。今回は、その中の主な地域の助成制度をいくつか紹介します。
東京都(シルバーパス)
東京都では、東京都に住民登録されている満70歳以上の方を対象に、シルバーパスを販売しています。年間1,000円または12,000円の定額で、都営バスや都営地下鉄・都内の民営バス等を利用できます。
なおシルバーパスは、令和8年(2026年)10月1日の一斉更新にあわせて、これまでの磁気カードからICカード(PASMO)に移行します。
すでにPASMOを持っている方は、手持ちのPASMOにシルバーパス情報を登録して利用します。PASMOを持っていない方は、新規発行に必要な預り金500円と電子マネーチャージ分500円の計1,000円を、利用者負担額(1,000円または12,000円)に加えて支払うことで、更新と同時にPASMOが発行されます。
| 対象者 | ・東京都在住 ・満70歳以上(寝たきりの方は除く) |
|---|---|
| 購入金額 | ・住民税が「課税」の方…12,000円 ・住民税が「非課税」の方、課税でも前年の合計所得金額が135万円以下の方…1,000円 ※PASMOを新規発行する場合は別途1,000円 |
| 令和8年度の更新方法 | 郵送方式(電子申請に対応する区市もあり)。6月中旬以降、東京バス協会から「シルバーパス更新手続のご案内」が郵送される |
| 現在のパスの有効期限 | 令和8年9月30日まで |
| 新しいパスの利用開始 | 令和8年10月1日から |
現在お手元にある磁気カードのシルバーパスは、購入時期にかかわらず令和8年9月30日で期限を迎えます。令和8年度の更新手続きは郵送方式で実施することが決定しており、案内が届いたら同封の書類に従って手続きしてください。1,000円で購入する方は、住民税非課税証明書や介護保険料納入通知書などの所得確認書類の写しが必要です。
新規に購入する場合(満70歳になった方など)は、従来どおり最寄りのバス営業所・案内所や都営地下鉄定期券販売所などで手続きできます。
なお、荒川区では、シルバーパスを12,000円で購入した方への購入費助成(11,000円)を実施しており、対象者は実質1,000円でシルバーパスを利用できます。申請には払込受領書や領収書(手元にない場合はパス両面の写し)が必要です。
参考サイト:荒川区 シルバーパスの購入費を助成します
千葉県八千代市
千葉県八千代市では、対象者が通院等の外出時に利用できる500円分のタクシー利用券を、介護度に応じて配布しています。
| 対象者 | 市内に居住し、住民登録がある方 介護保険で要支援または要介護の認定を受けている方または対象者 申請年度の市民税が非課税の方 |
|---|---|
| 支援内容 | 500円分のタクシー利用券 |
| 配布枚数 | 要支援1・2、要介護1・2の方:年24枚 要介護3・4・5の方:48枚(年最大96枚) |
| 有効期限 | 交付日から3年間 |
公式サイトを確認の上、電子または郵送でご申請ください。
大阪府大阪市
大阪府大阪市では、70歳以上になると、対象の電車・バスが乗車1回につき50円となる「敬老優待乗車証」を利用できます。
| 対象者 | 大阪市に住所のある70歳以上の方 |
|---|---|
| 申し込み方法 | 区の保健福祉センター(区役所) |
| 有効期限 | 5年間 |
70歳になる誕生月の3か月前に申請書が届くので、顔写真と本人確認書類を持参し、区役所や区の保健福祉センターで手続きしてください。現金をチャージしておけば、乗車1回が1回50円となります。
有効期限は5年間となり、5年に1回更新が必要です。なお、本人窓口で手続きできない方や、本市の他の福祉的措置を受けている方は対象外となります。
兵庫県姫路市
姫路市では、満75歳以上になると、バス・船舶・タクシーのいずれかの優待乗車証等を利用できます。
| バス | 神姫バスの市内停留所間の運賃が1回150円となるICカード |
|---|---|
| 船舶 | 姫路港・家島港間の定期航路で利用可能な優待船舶助成券(1枚600円)を年間12枚交付 |
| タクシー | 市と契約しているタクシー会社で利用可能な優待タクシー助成券(1枚500円)を年間14枚交付 |
満75歳になる前月初めに案内文と申請書が送られてくるので、市役所や保健福祉サービスセンター等で手続きしてください。なお、タクシーと船舶の優待助成券に関しては、再交付できないため注意が必要です。
愛知県名古屋市
愛知県名古屋市では、65歳以上の方を対象に、対象の公共交通機関が1年間に730回まで利用できるICカード乗車券「敬老パス」を交付しています。
| 対象者 | 名古屋市にお住まいの65歳以上の方 |
|---|---|
| 購入金額 | 所得に応じて以下のいずれか ・1,000円 ・3,000円 ・5,000円 |
| 有効期限 | 1年間(毎年更新) |
利用できる公共交通機関は、以下のとおりです。
| 区分 | 内容 | 対象交通機関 |
|---|---|---|
| 無料乗車 | チャージ不要で無料乗車 | ・市バス・地下鉄 ・ゆとりーとライン(大曽根-高蔵寺間) ・あおなみ線 ・メーグル |
| 運賃支給対象 | チャージ残高から引き去り後日入金 | 名鉄・JR東海・近鉄(市外は対象外) 名鉄バス・三重交通(原則市内乗降分のみ) |
65歳の誕生日の約3か月前に手続きの交付申込書が送られてくるので、記入の上返送するか、オンラインで申請してください。
広島県広島市
広島県広島市では、65歳以上の要支援者または要介護者の方に、タクシーチケット等の利用券を交付しています。
| 対象者 | 毎年9月1日に広島市内に住所がある65歳以上の要支援者または要介護者 |
|---|---|
| 助成額 | ・要支援者…2,500円 ・要介護者…5,000円 |
| 助成内容 | 【以下のいずれかの利用券】 ・タクシーチケット ・似島汽船乗船券 ・金輪島会乗船券 ・美鈴が丘地区乗合タクシー回数券 ・大塚西地区乗合タクシー回数券 ・口田地区乗合タクシー回数券 ・中野・中野東地区乗合タクシー回数券 ・可部・亀山地区乗合タクシー回数券 ・福田地区乗合タクシー回数券 ・戸坂地区乗合タクシー回数券 |
| 利用期間 | 毎年9月1日から翌年8月31日まで |
毎年9月1日に、広島市内に住所がある65歳以上の要支援・要介護者を対象に、6月中旬頃に申請書が送付されます。必要事項を記入し、同封の返信用封筒で返送してください。
福岡県福岡市
福岡県福岡市では、満70歳以上の方に、交通費の一部を助成する高齢者乗車券を交付しています。
| 対象者 | 次の両方に該当する方 ・福岡市に居住し、住民登録をしている満70歳以上の人 ・令和8年度福岡市介護保険料所得段階区分が1~7の人 |
|---|---|
| 助成額 | 申請月と所得段階により3,000円~12,000円 |
| 助成内容 | 【以下のいずれか1種類。申請後の変更不可】 ・タクシー助成券 ・その他共通利用券(市営渡船、なぎさ号、乗合タクシー、チョイソコふくおか等) ・交通用福祉ICカード(地下鉄・JR・西鉄電車・バス等で利用可) |
| 申請期間 | 令和8年7月15日から令和9年9月30日まで |
| 助成期間 | 令和8年10月1日から令和9年9月30日まで |
本助成金は、毎年の更新が必要です。申請はオンライン(福岡市電子申請システム)または郵送で受け付けており、毎年申請が必要です。申請には介護保険被保険者番号が必要なため、7月15日以降に届く「介護保険料徴収通知書」を手元に準備しましょう。
なお、タクシー助成券は運賃500円以上で1枚、1,000円以上で最大2枚まで使用でき、500円未満の乗車では使用できません。受け取れる助成額は、介護保険料の所得段階と申請月に応じて異なります。
| 区分 | 申請月と金額 |
|---|---|
| 介護保険料所得段階1~5の方 | 令和7年7月~12月…12,000円 令和8年1月~3月…9,000円 令和8年4月~6月…6,000円 令和8年7月~9月…3,000円 |
| 介護保険料 所得段階6・7の方 | 令和7年7月~12月…8,000円 令和8年1月~3月…6,000円 令和8年4月~6月…4,000円 令和8年7月~9月…2,000円 |
介護保険料所得段階1~5の方の場合、最大で12,000円の交付となります。受け取れる助成額は、介護保険料の所得段階と申請月に応じて異なります。早く申請するほど交付額が大きくなる仕組みのため、対象の方は早めの申請がおすすめです。
高齢者の交通費助成の申請手順
高齢者向けの交通費助成の申請方法は、自治体ごとに異なります。
多くの自治体では、管轄の役所等の窓口で申し込むか、郵送・オンラインで申請します。ICカードの場合、最寄りのバス営業所等で申請するケースもあります。
申請時は 本人確認書類や申請書等が必要です。制度を利用する際は、助成内容だけでなく、申請場所や申請方法、必要書類についても、あらかじめ自治体の公式情報で確認しておきましょう。
高齢者の交通費助成制度を利用する場合の注意点
高齢者の交通費助成制度を利用する際は、いくつか注意すべき点もあります。ここでは制度内容に関する注意点を3つ紹介します。
対象者を事前に確認する
高齢者の交通費助成制度の対象者は、自治体ごとに異なります。すべての自治体ですべての高齢者が対象になるわけではないため、ご注意ください。
多くの自治体では、65歳または70歳以上が助成対象ですが、要介護・要支援の認定者に限るなどの条件が付く場合もあります。一部では、身体障害者や寝たきりの方が対象外となるケースもあります。
申請前に、自分が対象となるかを自治体の公式サイトや窓口で必ず確認しておきましょう。
対象となる交通手段や上限額を確認する
助成制度の対象となる交通手段や上限額も、自治体により異なります。
鉄道や地下鉄では、ICカードを使って定額で何度でも乗車できる制度がある自治体もあります。一方、タクシー券等の配布型では、「年間12,000円まで」「月額2,000円まで」など、支給額があらかじめ決められている場合が多いです。
自治体によっては、「乗車1回につき◯枚まで」「1,000円利用ごとに1枚まで」といった条件が決められている場合もあります。対象外となる利用方法では助成を受けられないため、事前に使い方もしっかり確認することが大切です。
利用期間に注意する
多くの自治体の助成制度では、交付されたICカードやタクシー券等に利用期間が決められています。
ICカードは、有効期限が切れたら更新が必要です。また、タクシー券等の配布型では年度ごとの申請が必要となる場合もあります。
「使おうとしたら期限が切れていた」ということにならないよう、計画的な利用が必要です。
よくある質問
最後に、高齢者の交通費助成に関するよくある質問を紹介します。今住んでいる地域の交通費助成制度を調べる方法は?
お住まいの自治体の助成制度は、オンラインで「〇〇市(お住まいの自治体) 高齢者 交通費助成」で調べられます。また、管轄の市役所・区役所等に問い合わせる方法もあります。
高齢者はタクシーに無料で乗れる?
制度内容によっては高齢者のタクシーが無料になるケースもありますが、自治体によって異なります。お住まいの自治体の制度を調べてみてください。
所得が高いと利用できない?
自治体によっては、年齢の条件を満たしていても 一定以上の所得があると申請できない場合があります。また、非課税世帯を優先して支援する場合もあります。
何歳から利用できる?
高齢者向けの交通費助成制度は、65歳以上または70歳以上を対象としている自治体が一般的です。ただし、対象年齢は自治体ごとに異なり、要介護・要支援認定を受けている方に限定される場合もあります。
高齢者の交通費助成はいくらもらえる?
助成額は自治体によって異なりますが、年間数千円から最大12,000円程度が目安です。定額で公共交通機関を利用できる制度や、タクシー券などの利用券が交付される制度など、支援方法にも違いがあります。
申請しないと受け取れない?
多くの自治体では、申請手続きが必要です。対象の年齢になると申請不要でチケットが送付されるケースもありますが、多くの地域では本人または代理人による申請が求められます。申請しない場合、助成を受けられないことがあるため注意が必要です。
東京23区に「高齢者タクシー券」はある?
東京23区では、年齢だけを条件に使えるタクシー券を配布している区はほとんどありません。各区が交付する「福祉タクシー券」は、主に身体障害者手帳や愛の手帳をお持ちの方など、移動が困難な方を対象とした制度です。東京都内の高齢者向け交通費支援は、70歳以上を対象とするシルバーパス(前述)が基本です。
まとめ
交通費助成制度を利用することで、高齢者の外出機会が増え、健康維持や社会参加を支えることに繋がります。一方で、対象者の条件や対象交通機関は、自治体ごとに大きく異なります。
また、制度によっては、免許返納者向けの優遇施策といった独自の取り組みを行っている地域もあります。
ご自身やご家族が高齢者という方は、利用できる制度を正しく把握することが大切です。まずは、お住まいの自治体の公式情報をチェックしてみましょう。
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