雇用情勢の厳しい地域に事業所を構え、その地域の人材を雇い入れる。そんな事業主を国が支援するのが「地域雇用開発助成金」です。事業所の設置・整備費用と雇い入れ人数に応じて、まとまった額の助成を最大3回(沖縄のコースは最大2年間)受けられる、規模の大きな雇用関係助成金です。
ただし、この助成金には性格の異なる2つのコースがあり、自社がどちらに該当するのかを最初に見極める必要があります。
本記事では、地域雇用開発助成金の全体像と2コースの違い、対象地域、支給額、申請の流れを2026年最新情報で解説します。
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この記事の目次
地域雇用開発助成金とは
地域雇用開発助成金は、雇用機会が特に不足している地域などで、事業所の設置・整備を行い、あわせてその地域に住む求職者を雇い入れた事業主に対して、国(厚生労働省)が費用の一部を助成する制度です。
ねらいは、地域における雇用の場の創出と、求職者の雇用環境の改善にあります。単なる開業・進出の支援ではなく「地域の雇用構造の改善に資すること」が一貫した条件になっており、雇い入れた労働者の定着状況が悪い場合などは支給対象から外れます。
この助成金に共通する基本的な条件は、次の3点です。
・その設置・整備に伴って、地域に居住する求職者を一定人数以上、雇用保険の被保険者として雇い入れること
・事業所の労働者(被保険者)数が、計画前より増加していること
つまり「ハコ(事業所)をつくり、ヒト(地域の人材)を雇う」ことをセットで求める助成金です。どちらか一方だけでは対象になりません。
地域雇用開発助成金の2つのコース
地域雇用開発助成金は、2026年度時点で次の2つのコースで構成されています。
・沖縄若年者雇用促進コース(沖縄県が対象)
地域雇用開発コースは全国に点在する「雇用情勢の厳しい指定地域」を対象とし、地域の求職者の雇い入れを年齢を問わず支援します。一方、沖縄若年者雇用促進コースは、若年者の失業率が全国平均より高いという沖縄県固有の事情を背景に、沖縄県内で35歳未満の若年求職者を雇い入れる事業主に特化したコースです。
同じ「地域雇用開発助成金」という名前でも、対象地域・対象者・助成のしくみが大きく異なります。主な違いを次の表に整理します。
| 項目 | 地域雇用開発コース | 沖縄若年者雇用促進コース |
|---|---|---|
| 対象地域 | 全国の指定地域(3区分) | 沖縄県内 |
| 対象労働者 | 地域に居住する求職者(年齢制限なし) | 沖縄県内に居住する35歳未満の若年求職者 |
| 設置・整備費用の下限 | 合計300万円以上 | 合計300万円以上(中小企業事業主は100万円以上) |
| 雇入れ人数の下限 | 3人以上(創業の場合は2人以上) | 3人以上 |
| 助成のしくみ | 設置・整備費用と雇入れ人数に応じた定額 | 対象者に支払った賃金の一定割合 |
| 助成額の目安 | 50万円〜800万円(特例で最大2億円) | 対象者1人あたり年間120万円が上限 |
| 助成回数・期間 | 1年ごとに最大3回(3年間) | 原則1年間、優良事業主は2年間(6か月ごとに支給) |
| 計画期間 | 最長18か月 | 最長24か月 |
| 窓口 | 事業所所在地の都道府県労働局・ハローワーク | 沖縄労働局・沖縄助成金センター |
地域雇用開発コース(全国版)
地域雇用開発コースは、全国に指定された「雇用情勢の厳しい地域」で事業所を設置・整備し、その地域の求職者を雇い入れた事業主が対象です。製造業の新工場、地方拠点の開設、既存事業所の増設など、幅広い業種・場面で活用できます。
対象となる3つの地域区分
対象地域は、次の3区分に分かれています。自社の事業所所在地がいずれかに該当するかが、利用可否の出発点になります。
| 地域区分 | 主な特徴 |
|---|---|
| 同意雇用開発促進地域 | 求職者数に比べて雇用機会が著しく不足している地域。2025年10月時点で15道県29地域が指定 |
| 過疎等雇用改善地域 | 若年層・壮年層の流出が著しい過疎地域など。北海道から沖縄まで全国に分布 |
| 特定有人国境離島等地域 | 有人国境離島の保全・振興のために指定された離島 |
地域の指定は期間が定められており、市町村単位や「旧○○町の区域」といった細かい単位で指定されることもあります。自社の所在地が対象かどうかは、管轄の都道府県労働局またはハローワークで確認するのが確実です。
支給額
地域雇用開発コースの助成額は、事業所の設置・整備費用(300万円以上1,000万円未満〜5,000万円以上の4区分)と、対象労働者の増加人数(3〜4人〜20人以上の4区分)の組み合わせで決まる定額方式です。具体的には、以下の表をご覧ください。
| 設置・整備費用 | 対象労働者の増加人数(カッコ内は創業の場合) | |||
|---|---|---|---|---|
| 3(2)〜4人 | 5〜9人 | 10〜19人 | 20人以上 | |
| 300万円以上1,000万円未満 | 50万円 (100万円) | 80万円 (160万円) | 150万円 (300万円) | 300万円 (600万円) |
| 1,000万円以上3,000万円未満 | 60万円 (120万円) | 100万円 (200万円) | 200万円 (400万円) | 400万円 (800万円) |
| 3,000万円以上5,000万円未満 | 90万円 (180万円) | 150万円 (300万円) | 300万円 (600万円) | 600万円 (1,200万円) |
| 5,000万円以上 | 120万円 (240万円) | 200万円 (400万円) | 400万円 (800万円) | 800万円 (1,600万円) |
詳細な要件は、以下の記事で解説しています。
詳しくはこちら:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)とは|対象地域の市町村一覧と申請の流れ
沖縄若年者雇用促進コース
沖縄若年者雇用促進コースは、沖縄県内で事業所を設置・整備し、沖縄県内に居住する35歳未満の若年求職者を3人以上雇い入れた事業主が対象です。沖縄県は若年層の失業率が全国平均より高いという課題を抱えており、若者の雇用創出と定着に特化したコースとして設けられています。
支給額
沖縄若年者雇用促進コースは、対象者に実際に支払った賃金の一定割合を助成します。助成率は以下のとおりです。
| 区分 | 第1期・第2期(1年目) | 第3期・第4期(2年目/優良事業主のみ) |
|---|---|---|
| 中小企業 | 1/3 | 1/2 |
| 中小企業以外 | 1/4 | 1/3 |
中小企業事業主が1/3、それ以外の事業主が1/4で、対象者1人あたり年間120万円(6か月ごとの算定期間につき60万円)が上限です。対象者の定着状況が特に優良な「優良事業主」と認められると、助成期間が原則1年から2年に延び、第3期・第4期の助成率はそれぞれ1/2、1/3に引き上げられます。
地域雇用開発コースとの違い
沖縄若年者雇用促進コースと地域雇用開発コースの大きな違いは、助成額の決まり方です。地域雇用開発コースが「設置費用×人数の定額」であるのに対し、沖縄若年者雇用促進コースは上記のとおり「対象者に支払った賃金の一定割合」を助成します。
また、対象労働者は雇入れ時点で35歳未満であることが必要で、就職を機に県外から沖縄に移り住む人は対象外です。年齢を問わない地域雇用開発コースとは、対象者の範囲が異なります。さらに、中小企業事業主の場合は、3人を超えて雇い入れる4人目以降について「沖縄新規学卒者」も助成対象に加えられます。
受給要件、対象者の細かい条件、支給対象期間、必要書類など、沖縄若年者雇用促進コースの詳細は次の記事で解説しています。
詳しくはこちら:・沖縄で新規事業所立上げでもらえる助成金 沖縄若年者雇用促進コースとは
どちらのコースが使える?判断のポイント
2つのコースのどちらに該当するか迷ったら、まず、事業所を設置・整備する場所が沖縄県内かどうかで判断してください。沖縄県外であれば、検討するのは地域雇用開発コースのみで、所在地が3つの地域区分のいずれかに指定されているかを確認します。
事業所が沖縄県内にある場合は、沖縄若年者雇用促進コースが選択肢になります。さらに、雇い入れたい人材が35歳未満の若年者が中心かどうかも判断材料になります。
ここで重要なのが、沖縄県内の事業主は、同じ対象者について地域雇用開発コースと沖縄若年者雇用促進コースの両方を受給することも可能だという点です。ただし、それぞれのコースで計画書を別々に提出する必要があり、計画の失効に関する取り扱いなど要件も異なります。両コースの併用を検討する場合は、計画段階で沖縄労働局に相談してください。
申請の流れ
2つのコースは助成のしくみこそ違いますが、申請の大きな流れは共通しています。
②設置・整備と雇入れ:計画期間内に事業所の設置・整備と、対象労働者の雇い入れを行う
③完了届の提出:設置・整備と雇い入れが完了したら、完了届を提出して申請資格の確認を受ける
④支給申請:所定の期間ごとに支給申請を行い、要件を満たしていれば助成金が支給される
本制度を申請する場合、事業の開始前に計画書の提出が求められます。計画書を出す前に契約・支払い・雇い入れを行ってしまうと、助成対象外となるため注意が必要です。
まとめ
地域雇用開発助成金は、雇用情勢の厳しい地域での事業所設置・整備と雇用拡大を後押しする、規模の大きな助成金です。全国の指定地域を対象とする「地域雇用開発コース」と、沖縄県内の若年者雇用に特化した「沖縄若年者雇用促進コース」の2つがあり、対象地域・対象者・助成のしくみが大きく異なります。
自社がどちらに該当しそうかは、まず事業所の所在地(沖縄県内かどうか)と、対象地域の指定状況、雇い入れたい人材の年齢などから判断できます。沖縄県内の事業主は両コースの併用受給という選択肢もあります。
いずれの場合も、計画書の提出前に設置・整備や雇い入れを始めてしまうと対象外になるため、検討を始めた早い段階で管轄の都道府県労働局・ハローワークに相談することが大切です。
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