経済の活性化や生活の安定には、地域雇用の促進が必要不可欠です。
地域雇用開発助成金では、指定の地域に事業所を設置・整備し、地域の雇用を増やす事業主を対象とした「地域雇用開発コース」と、沖縄県内に事業所の設置・整備し、県内に居住する若年求職者を雇い入れる事業主を助成する「沖縄若年者雇用促進コース」が設置されています。
今回は、地域雇用開発助成金の沖縄若年者雇用促進コースの内容や申請方法について、お伝えします。
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この記事の目次
若年者完全失業率7.7%!沖縄県の若者雇用に課題
沖縄県では、若者の離職率や失業率が高いことが指摘されています。
厚生労働省の調査では、令和2年3月卒業者の就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者は48.5%、新規大卒就職者は39.6%です。これは全国的にも高い数字となっています。
出典:厚生労働省 沖縄労働局
また、令和6年3月末での新規学卒者の求人・求職・就職内定状況では、新規高卒者の就職内定率が96.8%と、前年同期比で1.4ポイント低下しました。求人数の推移では、平成30年は1.16だった求人倍率が、令和6年には2.11になっています。
さらに若年層(15~29歳)の完全失業率は7.7%です。全国では4.1%なので、これはかなり、大きな数字と言えるでしょう。
沖縄県では、若い人材の雇用の増加と安定が、喫緊の課題となっているのです。
「地域雇用開発助成金」(沖縄若年者雇用促進コース)とは
地域雇用開発助成金の沖縄若年者雇用促進コースは、沖縄県内において以下の両方を行う事業主を支援するものです。沖縄県における若年者を対象とした雇用開発を促進し、雇用失業情勢の改善に資することを目指しています。
・沖縄県内に、事業所を設置・整備する |
・沖縄県内に居住する、35歳未満の若年求職者を3人以上雇い入れる |
本助成金で対象となる事業は、沖縄県の地理的・自然的な特性や、伝統文化・産業等の地域特性を活かした新規事業です。
まずは、各要件や補助率・上限額などを確認しましょう。
「地域雇用開発助成金」(沖縄若年者雇用促進コース)の受給要件
①計画書の提出 |
②施設設置等 |
➂対象労働者の雇い入れ |
④沖縄新規学卒者の雇い入れ |
⑤事業所における労働者(雇用保険被保険者)数の増加 |
本助成金は、①計画書を沖縄労働局長に提出し、②施設設置等と➂対象労働者の雇入を行い、⑤事業所における労働者数が増加した場合に助成が受けられます。
なお、中小企業事業主の場合には、④沖縄新規学卒者の雇入れも対象となります。
対象事業主
対象事業主の主な要件は、以下の①~⑥です。
①沖縄県内に事業所を設置または整備をすること |
②沖縄県の若年者等の雇用構造の改善に資すること |
➂沖縄県において、300万円(中小企業事業主の場合は100万円)以上の事業所の設置・整備を行っていること |
④沖縄の若年求職者を3人以上継続して雇用する労働者として雇い入れ、その定着を図ること |
⑤当該事業所の被保険者数が、計画完了日において、計画前の被保険者数を上回ること |
⑥人事担当者等または事業主を、定着指導責任者として任命すること |
対象者
沖縄若年者雇用促進コースの対象者は、次の①と②です。
①一般被保険者として雇い入れられ、継続して雇用することが確実であると認められる沖縄若年求職者 |
②沖縄県内に居住する新規学卒者(中小企業のみ対象) |
ただし、新規学卒者は①の対象労働者を3人以上雇い入れた場合のみ助成金対象者となります。また、次の場合は対象外となります。
- 沖縄県内に居住する、県外からの就職者
- 35歳以上である就職者
- 法人の代表者等と3親等以内の親族である者
- 過去3年間に、当該事業主の事業所で雇用されていたことがある、または職場適応訓練を受けたことがある者 など
なお、別途雇用関係助成金を受給するための共通要件等を満たす必要があります。
支給対象期間
沖縄若年者雇用促進コースの支給対象期間は、原則として、計画完了日以後最初の賃金締切日の翌日から1年間です。なお、特に助成金対象者等の定着状況が優良であり、対象者を適切に処遇している優良事業主は2年間となります。
ただし、優良事業主であっても、沖縄新規学卒者の支給対象期間は1年間です。
【助成金の対象となる設置・整備費用】
助成の対象となる施設・設備は、以下のものです。
土地を除く不動産 |
機械、装置、工具、器具、備品、車両、船舶、航空機および運搬器具等 |
施設・設備の新設、増設、購入または賃借 また、対象の施設・設備の主な要件は、以下のとおりです。 ・設置・整備が、計画日から完了日までの間に行われるものであること ・契約1件あたり20万円以上で、合計額が300万円以上(中小企業事業主の場合は100万円以上)であること |
補助率・上限額
対象者1人あたり、雇い入れ事業主が期間中に支払った賃金に相当する額に、規定の割合を乗じた額が支給されます。助成率と上限額は、以下のとおりです。
中小企業以外 | 中小企業 | |
対象労働者 | 1/4 | 1/3 |
沖縄新規学卒者 | ー | 1/3 |
助成金対象者1人につき、年間120万円(各算定期間1人につき60万円)を上限とします。
「地域雇用開発助成金」(沖縄若年者雇用促進コース)の申請方法
申請は必要書類を、沖縄労働局長に提出することで行います。電子申請も可能です。
受給までの流れや必要書類をまとめました。
受給の流れ
受給までのおおまかな流れは、以下のとおりです。
①計画書を提出する |
②設置・整備および雇い入れを行う |
➂設置・整備が完了した時点で完了届を提出する |
④6か月ごとに支給申請を行う |
支給申請期間経過後に申請を行うことはできません。支給申請を失念すると、受給資格を失います。申請スケジュールは事業主で管理してください。
申請スケジュールに関しては、以下の図も参照してください。
出典:地域雇用開発助成金(沖縄若年者雇用促進コース)支給申請の手引き
必要書類
申請時に必要な書類は、以下のとおりです。
- 地域雇用開発助成金(沖縄若年者雇用促進コース)支給申請書
- 前年度に係る確定保険料申告書
- 算定期間分の賃金台帳
- 算定期間分の出勤簿またはタイムカード
- 雇用契約書または雇入れ通知書、労働条件通知書
- 算定期間直近の労働協約又は就業規則その他これに準ずる書類
「地域雇用開発助成金」(沖縄若年者雇用促進コース) 活用のメリット
若者の雇用安定は、地域の力となる若い住民を増やすためにも必要な取組のひとつです。雇用が増え、沖縄県での就職を希望する若者が増えれば、文化の継承や子育て世代の増加にもつながります。
若者にとっても、生まれ育った土地で働けることは、メリットの大きいことです。
一方で、人口が減少した地域では、新たな雇用はなかなか生まれません。新たな事業所を設置する企業には、リスクが伴います。そうした負担を軽減するのが、「地域雇用開発助成金」(沖縄若年者雇用促進コース) です。
「地域雇用開発助成金」(沖縄若年者雇用促進コース)では、労働者1人につき、最大年間120万円の助成が受けられます。3人では、360万円です。若く、活力にあふれた人材を、予算的な負担を軽減しながら雇用できることは、企業にとっても利益のあることです。
まとめ
若者の雇用と生活の安定は、経済を支える力となります。若い人が生き生きと働け、次の世代へとつなげることで、すべての人の生活が守られていくのです。
「地域雇用開発助成金」(沖縄若年者雇用促進コース)は、沖縄県における雇用失業情勢改善を目指す助成金です。新たな事業所を設置・整備し、若い人材を積極的に雇用する企業を支援します。
未来に向けた持続可能な成長を目指す企業には、ぜひ活用してほしい制度です。