「どうすれば助成金や補助金がもらえますか?」といったように、“お金が入れば経営が楽になる!”と、単なる資金調達のひとつとして公的助成金を考えがちですが、この機会に公的助成金の目的を考えてみましょう!
この記事の目次
1. 公的助成金の本当の目的とは・・・?
公的助成金は、返済不要の資金なので、返済の必要はありません。
ただ、制度の性質上、必ず自社負担が発生するものになります。
例えば、新製品の開発や新サービスの構築等、“1000万円を受給する為に2000万円を使う”事もあり得ます。
“儲けるため”というよりも、“自社を成長させるため”に公的助成金があることを認識し、活用していけるようにしましょう!
因みに、公的助成金の申請書には、新製品の開発や新サービス構築等の具体的内容を記述する必要があります。
申請書記載内容(例)
①スケジュール
②特徴と競合他社との差別化事項
③市場ニーズ
④必要経費
⑤収支計画
要は、事業計画書です。
助成金申請をきっかけに、自然と事業分析となり、課題の発見や目標の明確化に繋がり、達成までの距離がぐっと縮まります。
“全ては、自社を成長させるため”
助成金申請を通しても、自社を成長させる事に繋がっているんだと分かった上で行えれば、より一層の成長に繋がりますね!
2. 公的助成金の仕組みを知ろう!
では、早速公的助成金の仕組みから紹介していきたいと思います。
公的助成金は、企業が成長する取り組みに対して支援する為に用意されている助成金です。
公的助成金の種類は、1万種類以上と言われています。
製造業だけ、との縛りはなく、業種や業態に関わらず多くの企業が対象であり、かつサービスやビジネスモデルに対する助成金など、多岐に渡り公募がされています。
ただ、事業に関する公的助成金は予算が限られている為、審査も厳しく、採択率は1割とも言われています。
その為、ノウハウやコツを掴み申請等の対応をしていく事が大切です。
公的助成金の仕組み
①公的助成金の公募先と公的助成金の財源
②申請のタイミング
③公的助成金の対象費用
④受給のタイミング
①公的助成金の公募先と公的助成金の財源
国・省庁や都道府県の自治体や、その他民間企業でも公的助成金の公募が行われています。
公募先の一例をあげてみます。
他にも多くの公募先があるので、是非探してみてください。
■国・省庁関連
参考URL
経済産業庁
各地域経済産業局
中小企業庁
全国中小企業団体中央会
資源エネルギー庁
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
日本商工会議所
日本政策投資銀行(DBJ)
■自治体関連
東京都産業労働局
各地域中小企業支援センター(振興公社、振興機構、振興センターなど)
豊島区事業者支援・助成金
■民間企業関連
公益財団法人 新技術開発財団
公益財団法人 三菱UFJ技術育成財団
株式会社電通
CHIVAS REGAL
日本たばこ産業株式会社
国や自治体から公募されている公的助成金の財源は、「法人税」です。
その為、当然ですが未納や滞納のある事業者は、公的助成金の申請をする事が出来ません。
逆に、法人税を支払っている事業者には、公的助成金を活用する権利があります。
そう考えると、自社を成長させる為に、公的助成金を使わない術はないですね!
②申請のタイミング
公的助成金が対象としている事業期間は、事業の準備期間であり、既に事業化されている事業は対象外になります。
公的助成金を活用する場合は、製品等の開発をする前に公的助成金申請をしなければいけない為、注意してください。
また、助成事業の対象期間(基本的には、交付決定日~○○年○○月○○日)も定められている為、その期間に支払った経費が公的助成金の対象となります。
交付日とは、公的助成金の種類によっても異なりますが、審査(下記3つ)のを経て、賛否決定がされた日になります。
※「書類審査(1~2ヶ月) ⇒ 面接(半月~1ヵ月) ⇒ 総合:書類や面接内容の総合から判定(半月~1ヵ月)」
約3ヶ月程度で、交付決定がされるスケジュール感になります。
注意点としては、交付決定日前に使用したお金は助成金対象になりません。
また、助成事業対象期間に事業を完了させる事も条件です。
③公的助成金の対象費用
公的助成金は、事業準備に必要となる経費の全てが対象となる訳ではないので、必ず事前に確認するようにしましょう。
公的助成金の対象になる費用
1.原材料費(試作の為に必要な材料費。ただし、試作の際に余った分は補助対象外。)
2.機械設備費(開発に必要な設備費用。中古品は対象外。また、PCやプリンタ等の汎用性のあるものは対象外。)
3.人件費(事業に関わる社内従業員の人件費。ただし、時間で換算される等の制約あり。)
4.外注費(自社で実施出来ない内容を社外に外注した費用。)
5.委託費(製品の検査や測定、開発の一部を委託した場合の費用。)
6.専門家謝金(専門家によるアドバイスや指導を受けた場合の費用。)
7.市場調査費(ニーズ調査やマーケティング調査費用が対象。)
公的助成金は、種類によって「公的助成金額(受給できる最大額)」と「公的助成率(経費総額に対して受給できる割合)」が決まっています。
例)公的助成金額:1000万、公的助成率:2分の1だった場合
実際に支払う助成事業対象経費が700万だった場合 ⇒ 受給額は、350万円
実際に支払う助成事業対象経費が3000万だった場合 ⇒ 受給額は、1000万円(2分の1でも、上限が1000万の為)
また、公的助成金の種類によっては、下限額が設定される場合があります。
例)公的助成金額:1000万(下限100万)、公的助成率:2分の1だった場合
実際に支払う助成事業対象経費が150万だった場合 ⇒ 対象外(2分の1をした場合、下限額を満たせない為)
④受給のタイミング
国・省庁や自治体から公募される公的助成金は、助成事業完了後に受給する事が出来ます。
あくまで企業の成長の為に助成されるものなので、助成金頼みにするのではなく、しっかりと計画を立てて、資金がショートしないように準備をしましょう。
受給までのスケジュール
申請 ⇒ 審査 ⇒ 交付決定 ⇒ 事業実施 ⇒ 事業完了 ⇒ 完了報告 ⇒ 入金
3. 国の政策との関係性!?
時代の社会的な問題を解決する為に、政府や知事が方向性を決めています。
例えば、景気回復を目標にするなら産業の活性化に繋がる助成金が多く公募され、失業率の改善を目標にするなら、雇用系の助成金の公募が増えるといった形です。
国や自治体がどのような施策を検討しているのか、アンテナを立てて情報をチェックする事が大切になってきます。
まとめ
繰り返しますが、公的助成金の利用目的は自社を成長させ、公共の利益となる事業展開を目指すための支援金です。
助成金が出るから、とその事業をやろうとしてもうまくはいきません。
また、「知り合いの会社で助成金をもらっていたから」と同じように申請しようとしても、すでに内容や条件が変わって助成金がもらえないケースもあります。
助成金は、国や自治体の政策方針などで内容が変わっていくので申請を検討する前にきちんと最新情報をチェックしましょう。