「事業を拡大したいが、資金調達が難しい…」とお悩みの経営者の方も多いのではないでしょうか。そんなときに力になるのが、国や地方自治体から支給される「補助金」や「助成金」です。ただし両者は、似ているようで目的・財源・審査の仕組みがまったく異なります。
しかも制度は毎年動いています。2026年(令和8年)は、IT導入補助金が「デジタル化・AI導入補助金」へ名称変更され、雇用調整助成金の上限額は1人1日9,110円に引き上げられました。一方で、令和8年3月31日をもって廃止されたコースもあります。「去年の知識」のままでは、使えるはずの制度を取りこぼしかねません。
本記事では、補助金と助成金の違いをわかりやすく整理したうえで、混同されがちな「交付金」「奨励金」「給付金」「支援金」との違いも一覧表で比較します。さらに読み方・言葉の意味から、返済義務・税金・個人事業主の可否・併用ルール・国庫補助金の会計処理まで、実務でよく聞かれる論点を2026年時点の最新情報で解説します。
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この記事の目次
補助金・助成金・交付金・奨励金・給付金・支援金の違いを一覧で比較
「補助金」「助成金」「交付金」「奨励金」「給付金」「支援金」はいずれも国や自治体から支給される返済不要のお金ですが、目的・財源・審査の仕組み・対象者がそれぞれ異なります。まず一覧表で違いを整理します。
| 名称 | 主な目的 | 主な財源 | 審査・競争 | 主な対象 |
|---|---|---|---|---|
| 補助金 | 事業の成長・政策目標の達成を支援 | 国・自治体の予算(税収) | 競争あり(採択率あり) | 法人・個人事業主 |
| 助成金 | 雇用維持・労働環境改善を支援 | 雇用保険料(事業主負担分) | 要件を満たせば原則支給 | 法人・個人事業主 |
| 交付金 | 国から地方自治体への財政支援 | 国の予算(税金) | ほぼなし(政策に基づき交付) | 主に地方自治体・特定事業者 |
| 奨励金 | 特定の行動・取り組みを促進・奨励 | 国・自治体の予算 | 条件達成で支給(比較的緩い) | 法人・個人事業主・個人 |
| 給付金 | 生活支援・緊急対応など幅広い目的 | 国・自治体の予算、社会保険料 | 要件を満たせば支給 | 個人・世帯が中心 |
| 支援金 | 特定分野・特定層への経済的支援 | 国・自治体の予算 | 要件を満たせば支給 | 法人・個人事業主・個人 |
注意したいのは、これらの名称に厳密な法的定義があるわけではないという点です。同じ「支援金」でも、事業者向けなら補助金に近く、子育て世帯向けなら給付金に近い性質を持ちます。名称ではなく「誰に・何のために・どんな条件で」支給されるかを、公募要領で確認するのが確実です。
「補助」と「助成」の意味の違いは?言葉の使い分けを解説
「補助」は不足している部分を補って助けること、「助成」は事業や研究が成り立つように力を添えて成長を促すことを指します。どちらも金銭的な支援を表しますが、ニュアンスが微妙に異なります。
「補助」は補助輪・補助席のように、主役を支える脇役的な役割を含む言葉です。行政では、国が事業費の一部を負担する場面で使われます。根拠法である「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(補助金適正化法・昭和30年法律第179号)も、この「補助」の考え方に立っています。
一方「助成」は、「助成する」「助成される」「助成事業」「助成制度」のように、活動そのものを育てる文脈で使われます。研究助成・文化助成のように、民間財団が使うのも通常「助成」です。実務上は次のように整理すると分かりやすいでしょう。
- 補助:費用の一部を国・自治体が肩代わりする(例:設備投資費の2/3を補助)
- 助成:取り組みを後押しするために資金を出す(例:雇用改善の取り組みに助成)
- 助成制度・助成事業:国・自治体・民間財団が資金を出す仕組みの総称
なお日常会話では両者はほぼ同義に使われており、「補助と助成、どちらが正しい」という区別はありません。制度名として「〇〇補助金」「〇〇助成金」のどちらが使われているかで判断してください。
補助金・助成金の読み方と英語表記は?
補助金は「ほじょきん」、助成金は「じょせいきん」と読みます。関連する用語の読み方と英語表記は次のとおりです。
| 用語 | 読み方 | 主な英語表記 |
|---|---|---|
| 補助金 | ほじょきん | subsidy |
| 助成金 | じょせいきん | grant / subsidy |
| 交付金 | こうふきん | grant / subvention |
| 奨励金 | しょうれいきん | incentive / bounty |
| 給付金 | きゅうふきん | benefit / allowance |
| 国庫補助金 | こっこほじょきん | national government subsidy |
英語では、政府が価格や産業を支える性格の資金を「subsidy」、特定の目的・計画に対して交付される資金を「grant」と使い分けるのが一般的です。海外の助成制度を調べる際は、研究・文化系なら「grant」、産業政策系なら「subsidy」で検索すると目的の情報にたどり着きやすくなります。
交付金とは?補助金・助成金との違い
交付金は、国が地方自治体や特定の事業者に対して、政策目的のために交付するお金です。補助金・助成金と異なり、個々の企業が「交付金」という名目で直接申請することは少なく、主に自治体が財源として活用します。
たとえば「重点支援地方交付金」は、国が物価高対策として自治体に交付し、自治体がこれを財源に住民や事業者向けの補助金・給付金を実施します。つまり企業や個人が受け取るのは自治体の補助金・給付金であり、交付金はその原資という位置づけです。「うちの市の給付金の財源は国の交付金だった」というケースは珍しくありません。
政党助成金・政党交付金のように、名称に「助成金」「交付金」がついていても性質が独自の制度もあります。行政区分としての意味合いが強い言葉なので、名称だけで判断せず、制度ごとに公募要領を確認しましょう。
奨励金とは?補助金・助成金との違い
奨励金は、国や自治体が特定の行動・取り組みを促進するために支給するお金で、要件が比較的緩い点が特徴です。
新規採用・省エネ設備の導入・地域への移住・育児休業の取得など、政策的に「増やしたい行動」をとった場合に支給されるケースが多く、東京都の「年収の壁突破」奨励金や「働く人の育業応援奨励金」など、自治体独自の奨励金も豊富にあります。補助金と実質的な内容が重なる部分もありますが、審査の厳しさや競争性の低さが違いといえます。
また、都道府県が国の交付金を原資として奨励金を組む例も多く、募集は年度単位・予算上限に達し次第終了というパターンが目立ちます。年度初めに自治体サイトを確認しておくのがおすすめです。
給付金とは?補助金・助成金との違い
給付金は、生活支援・緊急対応・特定層への経済的支援を目的として支給されるお金で、個人・世帯を対象とすることが多い点が特徴です。
代表例として、非課税世帯向け給付金、子育て世帯生活支援特別給付金、育児休業給付金、教育訓練給付金、年金生活者支援給付金などがあります。補助金・助成金が事業者向けなのに対し、給付金は個人・世帯向けが中心という点が最大の違いです。財源も、雇用保険や年金といった社会保険制度に基づくものが少なくありません。
支援金とは?補助金・助成金との違い
支援金は、特定分野や特定の困難を抱える人・事業者を経済的に支える目的で支給されるお金です。「事業復活支援金」「移住支援金」「子ども・子育て支援金」など、政策的なテーマに応じて名称が付けられます。
支援金は補助金・助成金・給付金の性質を横断的に含むことがあり、名称だけでは制度の中身を判別できません。たとえば「事業者向けの支援金」は補助金に近い性質、「子育て支援金」は給付金に近い性質を持ちます。申請時は対象者・使途・報告義務の3点を公募要領で必ず確認しましょう。
負担金・基金・扶助費・報奨金との違いは?
負担金は法律に基づく費用分担、基金は特定目的で積み立てた資金、扶助費は社会保障制度上の支給、報奨金は成果や功労に報いる金銭で、いずれも補助金とは法的根拠が異なります。行政文書でよく登場する関連用語を整理します。
| 用語 | 意味 | 補助金との主な違い |
|---|---|---|
| 負担金 | 法令や協定に基づき、国・自治体・関係者が事業経費を分担して支払うお金 | 支出が義務的。裁量で採否を決める補助金と異なる |
| 基金 | 特定の目的のために積み立てられ、複数年度にわたって運用される資金 | 資金の「プール」であり、そこから補助金が支出される |
| 扶助費 | 生活保護費・児童手当など、社会保障制度に基づき個人に支給される経費 | 法律で受給権が定められ、審査は資格確認が中心 |
| 報奨金 | 功労・成果・貢献に対して報いる目的で支払われる金銭 | 事後の成果に対する報酬。事業費の補助ではない |
| 義援金 | 被災者を支援する目的で寄せられた民間の寄付金 | 公費ではなく善意の寄付。行政は配分を担うのみ |
| 委託費 | 国・自治体が事業の実施を外部に委託し、その対価として支払う経費 | 成果物の所有権が委託者に帰属する点が大きく異なる |
自治体の予算書では「補助金」「負担金」「委託費」が同じ節にまとめて計上されることもありますが、性質はまったく別物です。特に委託費は「発注」であり、事業者が主体的に企画する補助金とは根本的に立場が異なります。
補助金と助成金の違いは何ですか?目的・財源・審査で比較
補助金と助成金の最大の違いは、目的と審査の仕組みです。補助金は政策目標の達成のために事業者を支援するもので、審査・採択があります。助成金は雇用維持や労働環境改善のため、要件を満たせば原則支給されます。補助金は、国や地方自治体が掲げる「新技術の開発」「地域経済の活性化」「省力化」「脱炭素」などの政策目標を推進するために設けられており、公益性が求められます。事業計画の内容や実現可能性が審査され、採択率は制度によって大きく異なります。たとえばデジタル化・AI導入補助金は約44%、中小企業省力化投資補助金は6〜7割の水準です。
一方、助成金は主に厚生労働省が所管し、企業の雇用維持や労働環境改善を目的とする制度です。財源は事業主が負担する雇用保険料(雇用保険二事業)で、要件を満たしていれば原則として支給されます。金額は補助金よりも小さめですが、通年で申請できるものが多く、実務的な使いやすさが特徴です。
設備投資やIT化なら補助金、雇用・労務の改善なら助成金。自社の課題がどちらにあるかで使い分けるのが基本方針となります。
補助金と助成金、どちらが貰いやすい?
一般的に、助成金の方が受給しやすい傾向があります。助成金は要件を満たせば原則支給されるため、採択率という概念がなく、初めて申請する企業でもハードルが低く感じられるでしょう。
一方、補助金は金額が大きい代わりに審査が厳しく、事業計画書の作成に一定のノウハウが必要です。ただし「助成金なら誰でももらえる」わけではありません。労働保険料を滞納していない、過去1年間に労働関係法令の重大な違反がない、といった共通要件を満たさなければ、どの助成金も支給対象外となります。
補助金と助成金は併用できる?
同じ目的・同一経費に対して複数の補助金・助成金を申請することは、二重給付防止の観点から原則禁止されています。たとえば同じ設備投資に対して補助金Aと補助金Bを同時に申請することはできません。
一方、目的や対象経費が異なれば併用できることもあります。設備投資は補助金で、雇用改善は助成金で、というように制度ごとに使い分けるのが基本です。ただし制度によっては「他の公的支援との併用不可」と明記されていることがあるため、申請前に必ず公募要領を確認しましょう。
補助金とは?国庫補助金・国の補助金の意味をわかりやすく解説
補助金とは、企業や個人事業主の成長に資する取り組みを支援するために、国や自治体が交付する資金です。設備投資・IT導入・販路開拓・事業承継など幅広い分野で公募されており、業種を問わず多くの事業者が対象になります。
補助金は予算が限られているため審査があり、採択されなければ受給できません。書類作成や事業計画の質が採択率を大きく左右するため、公募要領を読み込み、加点項目を押さえた申請が重要です。原則として後払いであり、事業完了・実績報告を経てから振り込まれる点も押さえておきましょう。
国の補助金・国庫補助金とは?
国庫補助金とは、国(中央省庁)が特定の政策目的に基づいて事業者や地方自治体に交付する補助金の総称です。財源は国の予算(税収等)で、経済産業省・厚生労働省・農林水産省・国土交通省など各省庁が所管します。
国庫補助金の交付や返還のルールは、補助金適正化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)に定められています。虚偽申請による不正受給には交付決定の取消し・返還命令に加え、罰則が科される場合もあります。「返済不要だから気軽に」ではなく、公金を預かる制度だと理解しておきましょう。
国庫補助金の会計処理は?圧縮記帳と国庫補助金等特別積立金
国庫補助金を受け取った企業は「国庫補助金受贈益」として収益に計上し、固定資産を取得した場合は圧縮記帳を適用することで課税を将来へ繰り延べられます。
補助金が入金された年度にそのまま益金として課税されると、設備投資をした年に多額の税負担が生じ、補助の効果が薄れてしまいます。これを避けるための仕組みが圧縮記帳です。取得した固定資産の帳簿価額を補助金相当額だけ減額し、その分を損金に算入することで、受給年度の課税所得を圧縮できます。ただし減価償却費も同時に小さくなるため、税金が消えるのではなく分散されるという理解が正確です。
なお、社会福祉法人や医療法人の会計では「国庫補助金等特別積立金」という科目を使い、補助金で取得した資産の減価償却に応じて取り崩していく処理が行われます。事業主体によって処理が異なるため、顧問税理士への確認をおすすめします。
補助金の公募先と財源
補助金は国・省庁だけでなく、都道府県・市区町村・民間財団など、さまざまな主体が公募しています。以下に主な公募先の一例を挙げます。
■国・省庁関連
経済産業省/各地域経済産業局/中小企業庁/全国中小企業団体中央会/資源エネルギー庁/新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)/日本商工会議所
■自治体関連
東京都産業労働局/各地域中小企業支援センター(振興公社、振興機構、振興センターなど)
■民間企業・財団関連
公益財団法人 新技術開発財団/公益財団法人 三菱UFJ技術育成財団など
国庫補助金の財源は主に法人税等の国税です。法人税を納めている事業者は補助金を活用する権利があるとも言え、自社の成長のために積極的に情報を収集し活用したいところです。
補助金の申請から受給までの流れ
補助金は、申請から受給まで以下のような流れで進みます。入金は事業完了後の後払いで、着金まで半年〜1年かかるのが一般的です。つなぎ資金の準備を忘れないようにしましょう。
| 申請 | 公募要領に沿って事業計画書・必要書類を作成し提出 |
| 審査 | 事業の独自性・成長性・収益性・実現可能性が審査される |
| 採択 | 審査を通過すると採択決定通知が届く |
| 交付申請 | 採択後、正式に補助金の交付申請を行う |
| 事業実施 | 指定期間内に設備導入・サービス開発などの事業を実施 |
| 実績報告 | 事業終了後、実績報告書・支払証明書を提出 |
| 補助金受給 | 書類確認後、補助金が口座に振り込まれる(後払い) |
補助金の種類|2026年の主な国の補助金一覧
2026年(令和8年)現在、国の主要な補助金は「中小企業生産性革命推進事業」の枠組みで一体的に運営されています。代表的な制度は次のとおりです。
| 補助金名 | 所管 | 支援内容 |
|---|---|---|
| ものづくり補助金 | 経済産業省・中小企業庁 | 革新的な製品・サービス開発や生産プロセス改善を支援 |
| デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | 経済産業省・中小企業庁 | 業務効率化・DX・AI活用のためのITツール導入を支援 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 経済産業省・中小企業庁 | 小規模事業者の販路開拓・生産性向上を支援 |
| 中小企業省力化投資補助金 | 経済産業省・中小企業庁 | 人手不足解消のための省力化設備の導入を支援 |
| 事業承継・M&A補助金 | 経済産業省・中小企業庁 | 事業承継・M&Aに伴う設備投資や専門家活用を支援 |
| 新事業進出補助金 | 経済産業省・中小企業庁 | 既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援 |
長年親しまれた「IT導入補助金」は、令和7年度補正予算事業から「デジタル化・AI導入補助金」へ名称が変更されました。AIを含むデジタル活用を前面に打ち出した再編で、制度の土台はIT導入補助金を引き継いでいます。過去の記事や資料で「IT導入補助金」と書かれていても、2026年の申請先は同制度です。
人手不足の解消と省力化も大きなテーマです。令和6(2024)年に始まった省力化投資補助金は、対象製品カテゴリの拡大や要件緩和が続き、オーダーメイド型の設備投資に対応する「一般型」も受付を行っています。
▼省力化投資補助金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
補助金は公募期間が短く、締切を逃すと次の回まで数か月待つことになります。年間スケジュールを把握しておくことが、活用の第一歩です。
助成金とは?国が法令に基づいて支給するお金の中心的存在
助成金とは、企業の雇用維持・労働環境改善・人材育成などを目的として、主に厚生労働省が公募する制度です。財源は事業主が支払う雇用保険料の一部で、要件を満たせば原則支給されます。
「国が法令に基づいて支給するお金」として、雇用保険法などを根拠に運用されている点も助成金の特徴です。ハローワークや都道府県労働局が主な申請先で、取り組みの実施前に「計画届」の提出を求められる制度が多くあります。
助成金の対象となる主な取り組みは以下のとおりです。
- 労働者の雇用維持
- 離職者に対する再就職支援
- 中途採用の拡大
- 新たな労働者の雇入れ・トライアル雇用
- 障害者の職場定着支援
- 雇用環境の整備
- 有期契約労働者等の処遇改善
- 仕事と家庭の両立支援
- 職業能力の向上(人材育成)
- 生産性向上を通じた最低賃金の引上げ支援
- 労働時間等の設定改善
- 高齢者の安全衛生確保対策
助成金の申請から受給までの流れ
雇用関係助成金は、取り組みの実施「前」に計画書の提出が必要な制度がほとんどです。実施後に申請しようとしても対象外となるため、着手前の確認が欠かせません。
| 実施計画の申請 | 助成金の要件に基づいた実施計画を策定して提出 |
| 計画の実施 | 計画に沿って取り組みを実施 |
| 支給申請 | 取り組み終了後、報告書類を作成し支給申請 |
| 受給 | 審査の結果、問題がなければ助成金が口座に振り込まれる |
助成金の主な種類と支給額は?
企業の成長や労働環境改善のため、目的別にさまざまな助成金があります。代表的なものを紹介します。
雇用調整助成金|労働者の雇用維持を図る助成金
雇用調整助成金は、景気変動や産業構造の変化により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業・教育訓練・出向によって雇用を維持する場合に支給される助成金です。
助成率は中小企業で2/3、中小企業以外で1/2。1人1日あたりの上限額は9,110円(令和8年8月1日改定)です。上限額は雇用保険の基本手当日額の最高額に連動し、毎年8月1日に見直されます。令和8年度も制度は継続しており、廃止の予定は公表されていません。
産業雇用安定助成金|在籍型出向やスキルアップを支援する助成金
産業雇用安定助成金は、在籍型出向を通じた雇用維持や、労働者のスキルアップ・賃金上昇を支援する助成金です。スキルアップ支援コースでは、出向を通じてスキルアップした労働者が復帰時に5%以上の賃金上昇を実現した場合、出向元事業主に対して助成が行われます。
早期再就職支援等助成金|離職者支援と中途採用拡大
令和8年度は、再就職支援コース・雇入れ支援コース・中途採用拡大コースの3コース構成です。中途採用拡大コースの助成額は支給対象者1人あたり20万円、成長要件加算に該当すると10万円が上乗せされ最大30万円となります。かつて存在したUIJターンコースは令和7年度限りで廃止されました。
特定求職者雇用開発助成金|就職困難者の雇入れ支援
高年齢者・障害者・母子家庭の母など、就職が特に困難な方をハローワーク等の紹介により継続雇用する事業主に助成される制度です。対象者の属性と雇用形態に応じて助成額が決まります。
トライアル雇用助成金|試行雇用の支援
職業経験・技能・知識等から安定的な就職が困難な求職者を、原則3か月間の有期雇用で試行的に雇い入れ、適性を見極めたうえで正規雇用への移行を目指す制度です。
キャリアアップ助成金|非正規雇用の処遇改善
キャリアアップ助成金は、アルバイト・パート・派遣労働者といった有期契約労働者を、正社員化や賃金規定改定などにより処遇改善する事業主を支援する助成金です。令和8年度は賃上げ・賞与・退職金制度の導入支援に重点が置かれています。
両立支援等助成金|仕事と家庭の両立支援
従業員の職業生活と家庭生活の両立を支援する取り組みを行った事業主に支給される助成金です。育児休業取得促進、介護離職防止、柔軟な働き方の導入などのコースがあります。
人材開発支援助成金|職業能力の向上支援
従業員の職業能力の向上(職業訓練の実施)に利用できる助成金です。研修費や訓練期間中の賃金の一部が助成され、令和8年度はDX人材育成を目的とした訓練が重点分野となっています。
人材確保等支援助成金|雇用環境整備の支援
魅力ある職場づくりのため労働環境の向上を図る事業主や事業協同組合等に助成される制度です。業務負担軽減機器の導入や女性が働きやすい環境の整備などが対象となります。
令和8年度に廃止された助成金コースは?
令和8年3月31日をもって、3つの助成金コースが廃止されました。利用実績が低調だったことが主な理由です。過去の情報を見て申請を検討している場合は注意してください。
- 早期再就職支援等助成金(UIJターンコース):令和8年3月31日廃止
- 特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース):令和8年3月31日廃止
- キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース):令和8年3月31日廃止
いずれも経過措置期間中は既存の計画に基づく申請が可能な場合がありますが、新規の受付は終了しています。助成金は毎年度コースの新設・統合・廃止が行われるため、申請前に厚生労働省の最新パンフレットを確認するのが確実です。
補助金と助成金は返済が必要?税金はかかる?
補助金・助成金は原則として返済不要です。ただし要件を満たさなかったり不正受給を行ったりした場合は、返還を求められる可能性があります。また一部の補助事業では、事業終了後に利益(収益)が出た場合にその一部を返還する「収益納付」の仕組みが設けられているケースもあるため、公募要領で必ず確認しましょう。
税務上、補助金・助成金は原則として「収入」として扱われます。法人の場合は法人税、個人事業主の場合は所得税の課税対象となるため、受給した際は税務申告が必要です。計上時期は原則として交付決定を受けた事業年度であり、入金時ではない点に注意してください。設備投資に伴う補助金であれば、圧縮記帳制度の活用で税負担を平準化できます。
参考:J-Net21 補助金や助成金は課税対象になりますか?
補助金と助成金は個人事業主・個人でも使える?
個人事業主は、多くの補助金・助成金制度を利用できます。一方、一般の個人(消費者・住民)は補助金・助成金の対象外となることが多いですが、給付金や自治体独自の個人向け補助制度は利用可能です。
■個人事業主の場合
デジタル化・AI導入補助金、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、事業承継・M&A補助金など、多くの国庫補助金が個人事業主も対象としています。また、キャリアアップ助成金・両立支援等助成金など雇用関係の助成金も、従業員を雇用し雇用保険の適用事業所となっている個人事業主であれば申請可能です。ただし業種・売上規模・雇用形態などの要件を満たす必要があります。
■一般の個人(消費者・住民)の場合
補助金・助成金は基本的に対象外ですが、以下の制度は個人が対象となり得ます。
- 給付金:非課税世帯向け給付金、子育て世帯生活支援特別給付金、年金生活者支援給付金、教育訓練給付金、育児休業給付金など
- 自治体の個人向け補助制度:省エネ家電購入補助、住宅リフォーム補助、太陽光発電導入補助、EV購入補助など(自治体により内容が大きく異なる)
- 結婚新生活支援事業:新婚世帯の住居費・引越し費用等を補助する自治体制度
自治体の個人向け補助は、住民票のある市区町村のホームページや窓口で確認するのが確実です。
補助金と助成金のメリット・デメリットを整理
補助金と助成金は、どちらも返済不要という大きなメリットがある一方、性質が異なるため注意点も違います。
【補助金活用のメリット】
- 助成金より種類が豊富(設備投資・IT・販路開拓・省エネ・脱炭素など幅広い分野)
- 支給額が助成金に比べて大きい(数百万〜数億円規模)
- 経費の適用範囲が広い
【補助金活用のデメリット】
- 公募期間が短く、年に数回のみの制度が多い(発表から締切まで1〜2か月程度)
- 予算が決まっており、採択されない可能性もある
- 支給までに時間がかかる(原則後払いで事業完了から約半年〜1年後)
【助成金活用のメリット】
- 原則、通年で申請可能
- 要件に合致していれば原則支給される(採択率という概念がなく難易度が低め)
- 雇用関係の課題解決とセットで活用しやすい
【助成金活用のデメリット】
- 目的が限定的(主に雇用促進・労働環境改善)
- 補助金に比べて支給額が少額になることが多い
- 実施「前」の計画書提出が必須の制度が多く、事後申請は不可
- 年度ごとにコースの廃止・要件変更がある
補助金と助成金の違いに関するよくある質問
補助金と助成金の違いは何ですか?
補助金は事業の成長・政策目標達成を支援する制度で、審査・採択があり、財源は国や自治体の予算(税収等)です。助成金は雇用維持・労働環境改善を支援する制度で、要件を満たせば原則支給され、財源は事業主が支払う雇用保険料です。目的・財源・審査の仕組みが根本的に異なります。
補助金・助成金・交付金・奨励金・給付金・支援金の違いは?
補助金は政策目標達成のための事業支援(審査あり)、助成金は雇用維持・労働環境改善支援(原則支給)、交付金は国から自治体への財政支援、奨励金は特定行動の促進、給付金は生活支援・緊急対応(個人・世帯向けが多い)、支援金は特定分野・特定層への経済支援です。名称に厳密な法的区分はなく、制度ごとに公募要領で内容を確認する必要があります。
補助金・助成金の読み方は?
補助金は「ほじょきん」、助成金は「じょせいきん」と読みます。関連用語では、交付金は「こうふきん」、奨励金は「しょうれいきん」、給付金は「きゅうふきん」、国庫補助金は「こっこほじょきん」です。英語では、産業政策的な資金をsubsidy、特定目的に交付される資金をgrantと表記するのが一般的です。
「補助」と「助成」の意味の違いは何ですか?
「補助」は不足を補って助けること、「助成」は事業や研究が成り立つよう力を添えて成長を促すことを指します。行政では費用の一部を国が肩代わりする場面で「補助」、取り組みを後押しする場面で「助成」が使われますが、日常的な意味の差はほとんどありません。制度名として「〇〇補助金」「〇〇助成金」のどちらが使われているかで判断してください。
補助金や助成金は返済が必要ですか?
原則として返済不要です。ただし、要件を満たさなかったり不正受給が発覚したりした場合は返還を求められます。また一部の補助事業では、事業終了後に収益が出た場合に「収益納付」として返還が必要になるケースもあります。詳細は公募要領で確認しましょう。
国庫補助金とは何ですか?
国庫補助金とは、国(中央省庁)が特定の政策目的に基づいて事業者や地方自治体に交付する補助金の総称です。財源は国の予算(税収等)で、経済産業省・厚生労働省・農林水産省など各省庁が所管します。ものづくり補助金、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)、小規模事業者持続化補助金、中小企業省力化投資補助金などが代表例です。
国庫補助金の会計処理はどうすればよいですか?
国庫補助金は「国庫補助金受贈益」として収益に計上します。補助金で固定資産を取得した場合は圧縮記帳を適用でき、帳簿価額を補助金相当額だけ減額して受給年度の課税所得を圧縮できます。ただし減価償却費も減るため、税負担は消えるのではなく将来へ繰り延べられる形です。社会福祉法人等の会計では「国庫補助金等特別積立金」を用いて処理します。
交付金と補助金はどう違うのですか?
交付金は主に国から地方自治体への財政支援として交付されるお金で、企業が直接申請することは少ないのが特徴です。補助金は事業者が直接申請し、審査を経て採択されると支給されます。自治体が国の交付金を原資に独自の補助金・給付金を実施するケースもあり、企業や個人はその形で間接的に交付金の恩恵を受けることがあります。
負担金や扶助費は補助金と何が違いますか?
負担金は法令や協定に基づき事業経費を分担して支払う義務的な支出で、行政の裁量で採否が決まる補助金とは性質が異なります。扶助費は生活保護費や児童手当など社会保障制度に基づき個人へ支給される経費で、法律で受給権が定められている点が特徴です。基金は特定目的で積み立てられた資金で、そこから補助金が支出されることもあります。
補助金と助成金は個人でも使えますか?
個人事業主であれば多くの補助金・助成金が利用可能で、デジタル化・AI導入補助金・小規模事業者持続化補助金・ものづくり補助金などが代表例です。一般の個人(消費者・住民)は補助金・助成金の対象外になることが多いですが、給付金(非課税世帯給付金・子育て世帯生活支援特別給付金など)や、自治体独自の省エネ家電・住宅リフォーム補助制度は利用できます。
補助金や助成金に税金はかかりますか?
原則として課税対象です。補助金・助成金は収入として扱われ、法人の場合は法人税、個人事業主の場合は所得税の課税対象となります。計上時期は原則として交付決定を受けた事業年度です。設備投資に伴う補助金は圧縮記帳制度を活用することで税負担を平準化できます。非課税世帯向け給付金など一部の給付金は非課税扱いです。
補助金と助成金は同時に申請・併用できますか?
同じ目的・同一経費に対して複数の補助金・助成金を申請することは、二重給付防止の観点から原則禁止です。ただし、異なる目的・異なる対象経費であれば併用できる場合があります。たとえば設備投資は補助金で、雇用改善は助成金で、といった使い分けは可能です。申請前に必ず公募要領で併用可否を確認してください。
支援金や奨励金は補助金とどう違いますか?
支援金は特定分野・特定層への経済支援を目的とした名称で、内容は補助金・助成金・給付金の性質を横断的に含みます。奨励金は特定の行動(新規採用・省エネ・育児休業取得・地域移住など)を促進するために支給されるお金で、補助金より要件が緩く競争性が低いのが特徴です。名称の違いは慣習的なもので法的な厳密な区分はないため、制度ごとに中身を確認する必要があります。
補助金・助成金はどこで探せばいいですか?
国の補助金は経済産業省・中小企業庁、助成金は厚生労働省の公式ページで確認できます。自治体の制度は住民票のある市区町村や事業所所在地の自治体ホームページを確認しましょう。補助金ポータルのような専門情報サイトを活用すれば、全国の補助金・助成金を横断的に検索できます。公募は締切が短いことが多いため、メルマガ登録やアラート設定で情報を逃さないようにするのがおすすめです。
まとめ|補助金・助成金の違いを理解して自社に最適な制度を活用しよう
補助金と助成金は、いずれも国や自治体からの返済不要の資金という共通点を持ちながら、目的・財源・審査の仕組みが大きく異なります。関連する「交付金」「奨励金」「給付金」「支援金」も含めて整理すると、以下のようになります。
- 補助金:事業成長・政策目標達成を支援。競争審査あり。国・自治体の予算が財源
- 助成金:雇用維持・労働環境改善を支援。要件を満たせば原則支給。雇用保険料が財源
- 交付金:主に国から自治体への財政支援。企業が直接申請するものは少ない
- 奨励金:特定の行動を促す目的。補助金より要件が緩い
- 給付金:生活支援・緊急対応が目的。個人・世帯向けが多い
- 支援金:特定分野・特定層への経済支援。名称のみで判断せず内容確認が必要
設備投資やIT化なら補助金、雇用・労務の改善なら助成金。この使い分けを押さえたうえで、2026年の制度改編にも目を向けておきましょう。IT導入補助金はデジタル化・AI導入補助金へと名称が変わり、雇用調整助成金の上限額は9,110円へ引き上げられ、3つの助成金コースが廃止されました。制度は毎年見直されるため、最新情報を確認しながら、公示されたタイミングを逃さず申請することが資金調達成功の鍵となります。
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