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補助金に似ているけど違う?委託費について調べてみた。
補助金に似ているものに“委託費”があります。
委託費とは、委託のために交付されるお金のことを言います。
国から事業を委託される代わりに、委託費として交付を受けるというものです。
それでは、補助金とはどのような違いがあるのでしょうか?詳しく確認していきましょう。
委託費とは?
委託費は、基本的に国から事業を委託された際に発生する給付金です。
そもそも“委託”とは、本来は国の仕事であった事業内容を、国の代わりに受託した機関が請け負うということです。
代わりに事業を請け負うということは、その事業を進めるためのお金を交付してもらわなければなりません。
それが委託費ということになります。
過去の事例として、平成29年1月31日に、平成28年度発電用原子炉安全対策高度化技術基盤整備事業(過酷事故件下における原子炉隔離時冷却系の挙動に関する研究)を、資源エネルギー庁が一般財団法人エネルギー総合工学研究所に委託し、委託費が交付されました。(参照:経済産業省 資源エネルギー庁HP)
補助金との違い
①性格
補助金が国や自治体などから支給される返済する必要のない、もらえるお金です。
言いかえれば、補助事業者の事業への財政援助をするという「助成的性格」をもっています。
しかし、委託費は双方の合意で成り立ち、お金をもらう代わりに対価として業務を請け負うという「対価的性格」を持ち合わせているといえます。
②補助率
補助金と委託費の違いにおいて最も大きな点が「補助率」です。
補助金が1/3や1/2、2/3などの補助率なのに比べて、委託費の補助率は100% です。
上記でも述べたように、委託費は「対価的性格」を持ち合わせているため、国から事業を請け負っている代わりに自己負担はゼロなのです。
③実施主体の定義
補助金は「国が特定の事務、事業に対し、国家的見地から公益性があると認め、
その事務事業の実施に資するため反対給付を求めることなく交付される金銭的給付」と定義づけられ、実施主体は補助事業者です。
委託費は「国の事務、事業等を他の機関又は特定の者に委託して行わせる場合にその反対給付として支出する経費」と定義づけられており、
実施主体は国(または自治体)となっています。
④配分決定のタイミング
補助金の配分決定のタイミングは、申請をして採択され、補助金の交付(行政行為)が決定した時です。
委託費の配分決定のタイミングは、国と機関が事業の委託契約(民法上の準委任契約)の締結を交わした時となっています。
⑤配分先
補助金の配分先は、個人、グループ、機関など様々で、制度によって色々な形をとります。
委託費の配分先は、機関です。委託費に関しては100%機関契約となっています。
⑥資産の帰属
補助金においての資産の帰属は、補助事業者(利用・処分等について制約あり)となっています。
委託費においての資産の帰属は、国になっています。
しかし事業の終了後は無償貸与または買い取りがあります。
⑦知財の帰属
補助金においての知財の帰属は、補助事業者です。
ただし科研費の場合は所属機関のルールに従うこととなっています。
委託費においての知財の帰属は、国(※一部は委託先に帰属)となっています。
※参考事例)委託業務従事者と知的財産権について
産業活力再生特別措置法(日本版バイ・ドール法)を適用する委託費の成果物である特許等の知的財産権は受託機関に帰属することとなる。
よって受託機関に知的財産権等が帰属されていることが条件となり、
受託業務に従事する者は、受託機関の職員発明規程等により、知的財産権等の帰属を約する必要がある。(参照:委託費と補助金の違い)
まとめ
いかがでしたか?
委託費とは、国と機関が双方の合意を得て委託契約を締結し、機関が国の事業等を請け負う代わりに交付してもらうお金のことです。
委託費は、「対価的性格」を持ち合わせているので補助率は100%(委託業務以外の業務(科研費等)に従事した時の人件費は除く)で、自己負担はゼロという部分が補助金とは大きく異なっているといえます。