「移住したいけれど、東京から離れすぎるのは不安」「子育てしやすい環境と都会へのアクセスを両立したい」――そんな移住希望者にとって、最有力候補となるのが埼玉県です。さいたま市は7年連続でファミリー層流入数全国1位を記録しており、都市部としての利便性と子育てのしやすさを兼ね備えた地域として全国から注目を集めています。
しかし、埼玉県の移住支援制度には他県とは大きく異なる特徴があります。それは、埼玉県自体が「東京圏」に属しているということ。一般的な移住支援金は東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)から地方への移住を促す制度のため、埼玉県への移住は原則として支援対象外となります。一方で、県内には「条件不利地域」に指定された15市町村があり、ここへ移住する場合は最大300万円の支援金が受けられるという二面性のある仕組みになっています。
東京・池袋から特急で約1時間10分の秩父市、東京近郊にありながら山あいの自然が広がる飯能市、川越市など歴史ある城下町まで、埼玉県には実に多彩な移住先候補があります。この記事では、令和7年度(2025年度)の最新情報をもとに、埼玉県への移住で活用できる支援制度を、対象地域の見極め方から市町村独自の制度までわかりやすく解説します。
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この記事の目次
埼玉県への移住支援制度の全体像
埼玉県の移住支援制度は、「県+対象市町村が連携して実施する制度」「市町村独自の住宅補助・子育て支援」「お試し移住・関係人口創出」の3階層で構成されています。どのエリアに移住するかによって活用できる制度が大きく異なるため、希望地域ごとに利用可能な制度を整理することが重要です。
①【県+対象15市町村】埼玉県移住就業等支援金(最大300万円)
②【市町村独自】住宅取得補助・子育て支援・空き家活用補助
③【お試し移住】関係人口認定・地域づくり活動・移住相談窓口
特に重要なのは、県の移住支援金が使えるのは埼玉県内の15市町村に限定されるという点です。さいたま市・川越市・所沢市などの主要都市は対象外となるため、これらのエリアへ移住する場合は市独自の定住促進制度を活用することになります。
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【最大300万円】埼玉県移住就業等支援金
埼玉県移住就業等支援金は、東京23区の在住者または通勤者が、埼玉県内の対象15市町村へ移住し、所定の就業・テレワーク・起業・関係人口の要件を満たした場合に支給される制度です。県と対象市町村が連携して実施する仕組みで、地域再生法に基づいた「埼玉県移住就業・起業支援計画」のもとで運営されています。支給額:単身60万円・世帯100万円+子ども加算
支給額は世帯構成によって異なり、夫婦と子ども2人の世帯で移住した場合、最大300万円が支給されます。
| 世帯構成 | 支給額 |
|---|---|
| 単身で移住 | 60万円 |
| 2人以上の世帯で移住 | 100万円 |
| 18歳未満の子を帯同して移住 | 子ども1人につき最大100万円を加算 |
子ども加算については、申請日が属する年度の4月1日時点で18歳未満であることが条件となります。たとえば夫婦+子ども1人で移住する場合は「100万円+100万円=200万円」、夫婦+子ども3人なら「100万円+300万円=400万円」となり、子育て世帯ほど手厚い支援を受けられる設計です。
対象者の要件:東京23区在住または通勤者
移住支援金の対象となるのは、原則として次の条件を満たす方です。
- 住民票を移す直前の10年間のうち、通算5年以上、東京23区内に在住、または東京圏(条件不利地域を除く)から東京23区内へ通勤していたこと
- 住民票を移す直前に連続して1年以上、東京23区内に在住または東京都・千葉県・神奈川県(条件不利地域を除く)に在住しつつ東京23区へ通勤していたこと
- 申請者が過去10年以内に世帯員として移住支援金を受給していないこと
雇用者として通勤していた場合は、雇用保険の被保険者であった期間に限られます。学生時代に東京23区内の大学等へ通学した経験がある場合、その通学期間も通算年数に含めることが可能です(東京23区内の企業等への就職経験があることが条件、令和3年4月1日以降に移住した方が対象)。
対象地域は埼玉県内15市町村(条件不利地域)
埼玉県移住就業等支援金の対象となるのは、県内15の市町村に限定されています。これらは「条件不利地域」(過疎法・山村振興法等の指定区域や人口減少率10%以上の市町村)に該当するエリアです。
| 区分 | 市町村名 |
|---|---|
| 市 | 秩父市、飯能市、本庄市 |
| 町 | 越生町、小川町、川島町、吉見町、鳩山町、ときがわ町、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町、神川町 |
| 村 | 東秩父村 |
これら15市町村のなかでも、特に秩父地域(秩父市・横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町・東秩父村)は東京都心からのアクセスが良く、移住先として根強い人気があります。
4つの就業類型:就業・テレワーク・起業・関係人口
移住後の働き方として、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 就業(一般):「埼玉県移住就業マッチングサイト」に掲載された対象求人に新規就業し、週20時間以上の無期雇用契約に基づき勤務すること。3親等以内の親族が経営する企業への就業は対象外
- 就業(専門人材):内閣府のプロフェッショナル人材事業または先導的人材マッチング事業を利用して就業した場合
- テレワーク:移住前の勤務先での業務をテレワークで継続する方(令和3年4月1日以降の移住者が対象)
- 起業:埼玉県の起業支援金交付決定を受けていること
- 関係人口:移住先市町村が定める「地域の担い手」となる要件を満たすこと(市町村ごとに異なる)
就業要件で支援金を申請する場合、勤務地は次のいずれかに所在する必要があります。
①埼玉県内の対象15市町村(条件不利地域)
②東京圏以外の地域(つまり関東以外)
③埼玉県以外の東京圏内の条件不利地域(東京都の島しょ部・檜原村・奥多摩町など、千葉県・神奈川県の指定地域)
東京23区内や、対象外の埼玉県内・東京都・千葉県・神奈川県への通勤は支援対象外となるため注意が必要です。
対象15市町村の独自制度・特色
埼玉県の対象15市町村は、それぞれ独自の住宅補助や子育て支援を整備しています。県の移住就業等支援金と市町村の独自補助を組み合わせれば、住宅取得や子育て費用を大きく抑えられる場合があります。
飯能市――Meets!×住まいるプロジェクトと子育て支援
飯能市は東京・池袋から西武池袋線で約50分、登山やハイキングで人気のムーミンバレーパークもある自然豊かなエリアです。妊娠中から始まり子育て中も切れ目のないサポートを受けられる「Meets!×住まいるプロジェクト」は、子どもが安心して自然と触れ合いながら成長できる町づくりを目指す独自支援です。県の移住就業等支援金(最大300万円)とあわせて、市独自の住宅支援も活用できます。
秩父市――職種が広がる就業要件の特例
秩父市は埼玉県内で最も面積が広く、東京・池袋から特急で約1時間10分。通常のマッチングサイト求人だけでなく、市内の農林水産業、医療・介護・福祉、建設業に就業する場合も支援金の対象となる特例が設けられている点が特徴です。市の移住サイト「暮らす秩父」では空き家情報や移住者インタビューも豊富に発信されています。
本庄市――隣接生活圏の勤務地も対象
本庄市は埼玉県北部、群馬県との県境に位置する都市です。本庄市の支援金には他にない特徴があり、本庄市と一体の生活圏を形成する近隣14市町村への通勤も対象として認められています。
| 本庄市の生活圏内の対象勤務地 |
|---|
| 埼玉県:熊谷市、深谷市、寄居町、上里町、神川町、美里町、長瀞町、皆野町 |
| 群馬県:前橋市、高崎市、伊勢崎市、太田市、藤岡市、玉村町 |
これにより、本庄市に住みながら近隣の主要都市で働くという選択肢が現実的なものとなります。
ときがわ町・越生町・小川町など
そのほかにも、対象15市町村ではそれぞれ地域特性を活かした支援が整備されています。
- ときがわ町:移住支援金に加え、住宅取得補助金(新築上限30万円・中古10万円)/移住者補助金(20万円)/子育て補助金(中学生以下1人5万円)/同居・近居補助金(10万円)など加算が豊富
- 越生町:地域づくり活動や自治会行事、地域イベントに継続的に参加することで「関係人口」として認定され、移住支援金の支給対象となる仕組み
- 小川町:和紙の伝統文化と豊かな自然が調和する町。空き家バンク・移住相談が充実
- 長瀞町・横瀬町・皆野町:秩父盆地の自然と都心アクセスを両立できる移住先として人気
各市町村の制度は予算の範囲内で交付されるため、要件が整い次第、早めに申請することが受給の鍵です。
さいたま市・川越市・所沢市など主要都市の定住支援
「県の移住支援金は対象外だけれど、移住先として人気が高い」のがさいたま市・川越市・所沢市などの主要都市です。これらのエリアでも市独自の定住促進制度や住宅補助が整備されており、「東京勤務を続けながら埼玉に住みたい」というニーズに応える仕組みがあります。
さいたま市――7年連続ファミリー流入1位の人気エリア
埼玉県最大の人口133万人を擁するさいたま市は、東京から電車で30分以内とアクセス抜群、大型商業施設や教育環境が整った住みやすい都市です。小学校1年〜中学校3年まで9年間一貫して英語を学ぶ独自の「グローバル・スタディ」を実施するなど、教育力の高さも特徴です。
さいたま市には県の移住支援金のような制度はありませんが、定住促進策として「マイホーム借上げ制度」を整備しています。これは空き家になっている(または空き家になる予定の)住宅を市が借り上げて転貸する仕組みで、移住希望者は良質な住宅を相場より安い家賃で借りられる可能性があります。
所沢市――最大240万円の事業者向け支援
所沢市は、東京・池袋から西武池袋線で約25分のベッドタウンです。事業所の賃借料を最大240万円補助する「都市型産業等育成補助金」など、市内で事業を行う移住者・起業家向けの支援が充実しています。
川越市・越谷市・ふじみ野市など
「小江戸」として知られる川越市、レイクタウンを抱える越谷市、東武東上線沿線で人気のふじみ野市など、それぞれの市町で独自の住宅取得補助や子育て支援が用意されています。移住エリアを決める際は、希望市町村の公式サイトや「住むなら、埼玉。」ポータルで最新情報を確認しましょう。
お試し移住・関係人口で活用できる支援
「いきなり移住するのは不安」「まずは埼玉での暮らしを体験してみたい」という方のために、関係人口創出やお試し移住に関する取り組みも進んでいます。
越生町の地域づくり活動による関係人口認定
越生町では、町の地域づくり団体が関わる活動や自治会行事、地域イベントに継続的に参加することで「関係人口」として認定される仕組みがあります。移住支援金の就業要件に該当しない方でも、関係人口として認定されれば支給対象になり得ます。
「住むなら、埼玉。」公式移住相談窓口
埼玉県は移住・定住情報サイト「住むなら、埼玉。」を運営しており、対象市町村ごとの相談窓口情報や支援金の詳細、最新の移住イベント情報を発信しています。県内各市町村の担当窓口リストも掲載されているため、希望地域への事前相談がスムーズに進みます。
地域おこし協力隊・テレワーク移住
秩父地域や奥武蔵エリアでは地域おこし協力隊の募集が継続的に行われており、活動期間中の生活拠点を得ながら地域に根差した移住を進められます。テレワーク要件で移住する場合は、所属企業を変えずに移住支援金が受給できるため、現職を続けたまま生活環境を変えたい方にも有効です。
埼玉県への移住に関するよくある質問
埼玉県のどの市町村でも移住支援金を受けられますか?
いいえ、県の移住就業等支援金の対象は埼玉県内15市町村に限定されています。具体的には、秩父市・飯能市・本庄市・越生町・小川町・川島町・吉見町・鳩山町・ときがわ町・横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町・東秩父村・神川町です。さいたま市・川越市・所沢市など主要都市は対象外となります。これらの市町村は「条件不利地域」(過疎法・山村振興法等の指定区域や人口減少率10%以上のエリア)に該当しています。
なぜ埼玉県は移住支援金の対象が一部の市町村だけなのですか?
移住支援金は東京一極集中の是正と地方創生を目的とした制度のため、原則として東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)から東京圏外への移住を支援対象としています。しかし、東京圏内であっても「条件不利地域」とされる人口減少が著しい市町村は支援対象とされており、埼玉県では15市町村がこれに該当します。一方、さいたま市など東京圏内の都市部への移住は本制度の対象外です。
大阪や名古屋など東京圏以外からの移住でも支援金は対象になりますか?
埼玉県移住就業等支援金は、東京23区の在住者または東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の条件不利地域以外)から東京23区へ通勤していた方を対象としています。大阪や名古屋など東京圏以外からの移住は本制度の対象外です。ただし、各市町村独自の住宅取得補助金や子育て支援などは移住元を限定していないものが多いため、別の支援制度を活用できる可能性があります。
勤務地はどこにあれば支援金の対象になりますか?
就業要件で支援金を申請する場合、勤務地は次のいずれかに所在する必要があります。①埼玉県内の対象15市町村、②東京圏以外の地域(関東以外の地方)、③埼玉県以外の東京圏内の条件不利地域(東京都の島しょ部・檜原村・奥多摩町や、千葉県・神奈川県の指定地域)。東京23区への通勤や対象外の県内・東京都・千葉県・神奈川県への通勤は支援対象外となります。テレワーク要件の場合は、移住前の勤務先業務をテレワークで継続することが条件です。
テレワークで移住する場合の要件は何ですか?
テレワーク要件で支援金を受給する場合は、移住前からの勤務先での業務をテレワークで継続することが条件です。所属先企業からの命令ではなく自己の意思による移住であること、対象15市町村に住民票を移して生活の本拠とすること、令和3年4月1日以降の移住者であることなどが要件となります。詳細は移住先市町村の窓口や埼玉県の移住情報サイト「住むなら、埼玉。」で事前に確認することをおすすめします。
本庄市の隣接生活圏の勤務地特例とは何ですか?
本庄市の移住支援金では、本庄市と一体の生活圏を形成する近隣の市町村への通勤も対象として認められる特例があります。具体的には埼玉県内の熊谷市・深谷市・寄居町・上里町・神川町・美里町・長瀞町・皆野町、群馬県の前橋市・高崎市・伊勢崎市・太田市・藤岡市・玉村町の14市町村が対象です。本庄市に住みながら近隣の主要都市で働く選択肢が広がる、本庄市ならではの仕組みといえます。
秩父市は他の市町村と何が違うのですか?
秩父市の移住支援金には、就業要件に関する独自の特例があります。通常はマッチングサイトに掲載された求人に応募・就業することが条件ですが、秩父市の場合はそれに加えて、市内の農林水産業、医療・介護・福祉、建設業への就業も支援金の対象となります。地域の担い手不足が深刻な業種への就業を促進する仕組みで、Uターン就職や地域貢献を志す方にとって活用しやすい設計となっています。
さいたま市にも移住支援はありますか?
さいたま市は県の移住就業等支援金の対象外ですが、定住促進策として「マイホーム借上げ制度」が整備されています。空き家になっている住宅を市が借り上げて転貸する仕組みで、良質な住宅を相場より安い家賃で借りられる可能性があります。また、さいたま市は7年連続でファミリー層流入数全国1位を記録しており、子育て世帯向けの「グローバル・スタディ」など独自の教育施策が魅力です。
移住後にすぐ転出した場合、支援金は返還が必要ですか?
はい、返還対象となります。埼玉県移住就業等支援金は申請日から5年以上継続して移住先市町村に居住することが前提です。3年未満で対象地域外に転出した場合は全額返還、3年以上5年以内の場合は半額返還が原則となります。また、申請日から1年以内に対象企業を退職した場合や、起業支援金の交付決定を取り消された場合も全額返還の対象となります。申請前に長期居住の意思があるかをよく検討しましょう。
埼玉県への移住相談はどこでできますか?
埼玉県は移住・定住情報サイト「住むなら、埼玉。」を運営しており、対象市町村ごとの相談窓口情報や支援金の詳細を確認できます。また、東京・有楽町の「ふるさと回帰支援センター」内にも埼玉県の移住相談窓口があり、対面相談が可能です。各市町村にも独自の移住相談窓口(飯能市の「まちづくり推進課」、秩父市の移住サイト「暮らす秩父」など)があり、希望地域への直接相談が可能となっています。
まとめ
埼玉県は東京圏に属する珍しい立ち位置から、「都心への通勤を維持したまま住環境を変えたい人」「子育てと都市の利便性を両立したい人」「自然豊かな環境で暮らしながら東京アクセスも確保したい人」など、多様なニーズに応えられる移住先です。県の移住就業等支援金(最大300万円)が使えるのは15市町村に限定される一方、さいたま市・川越市・所沢市など主要都市にも独自の定住支援が整備されています。
特に注目したいのは、秩父市の業種特例(農林水産業・医療介護福祉・建設業も対象)や、本庄市の隣接生活圏勤務地特例(群馬県の主要都市も含む14市町村への通勤も対象)など、地域ごとに異なる柔軟な仕組みです。希望のライフスタイルや働き方に合わせて、最適な移住先を選べる選択肢が用意されています。
ただし、いずれの支援金も予算の範囲内で交付されるため、年度途中で受付終了となる可能性があります。要件を確認したら速やかに移住先市町村の窓口に事前相談を行い、確実に支援を受けられる準備を進めましょう。「都心近郊×田舎暮らし」という選択肢が現実的に叶う埼玉県で、新たなライフスタイルを始めてみてはいかがでしょうか。
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