
IT導入補助金とは、中小企業や個人事業主の業務改善と売上向上を目的として、業務効率化に繋がるITツールの導入費用の一部を支援する制度です。対象となるツールには会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトが含まれ、補助金の上限は最大450万円です。これにより、業務の効率化と収入増加を求める中小企業や個人事業主にとって、貴重なサポートとなります。
2023年IT導入補助金のスケジュールと変更点などをお届けします。IT導入補助金を申請したいと考えている方は是非はご確認ください。
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この記事の目次
IT導入補助金2023年の申請スケジュール
2023年12月5日時点で現在受付中のスケジュールは以下の通りとなっております。
<通常枠>スケジュール
申請回 | 申請締切日 | 交付決定日 | 事業実績報告期限 |
10次締切 | 2024年1月29日 | 2024年3月4日 | 2024年8月30日 (金) 17:00 |
9次締切 | 2023年12月25日 | 2024年1月29日 | 2024年7月31日 (水) 17:00 |
8次締切 | 2023年11月27日 | 2024年1月9日 | 2024年6月28日 (金) 17:00 |
7次締切 | 2023年10月30日 | 2023年12月4日 | 2024年5月31日 (金) 17:00 |
6次締切 | 2023年10月2日 | 2023年11月6日 | 2024年4月30日 (火) 17:00 |
5次締切 | 2023年8月28日 | 2023年10月12日 | 2024年3月29日 (金) 17:00 |
<セキュリティ対策推進枠>スケジュール
申請回 | 申請締切日 | 交付決定日 | 事業実績報告期限 |
10次締切 | 2024年1月29日 | 2024年3月4日 | 2024年8月30日 (金) 17:00 |
9次締切 | 2023年12月25日 | 2024年1月29日 | 2024年7月31日 (水) 17:00 |
8次締切 | 2023年11月27日 | 2024年1月9日 | 2024年6月28日 (金) 17:00 |
7次締切 | 2023年10月30日 | 2023年12月4日 | 2024年5月31日 (金) 17:00 |
6次締切 | 2023年10月2日 | 2023年11月6日 | 2024年4月30日 (火) 17:00 |
5次締切 | 2023年8月28日 | 2023年10月12日 | 2024年3月29日 (金) 17:00 |
<デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)>スケジュール
申請回 | 申請締切日 | 交付決定日 | 事業実績報告期限 |
17次締切 | 2024年1月29日 | 2024年3月4日 | 2024年8月30日 (金) 17:00 |
16次締切 | 2024年1月15日 | 2024年2月19日 | 2024年8月30日 (金) 17:00 |
15次締切 | 2023年12月25日 | 2024年1月29日 | 2024年7月31日 (水) 17:00 |
14次締切 | 2023年12月11日 | 2024年1月22日 | 2024年7月31日 (水) 17:00 |
13次締切 | 2023年11月27日 | 2024年1月9日 | 2024年6月28日 (金) 17:00 |
12次締切 | 2023年11月13日 | 2023年12月18日 | 2024年6月28日 (金) 17:00 |
11次締切 | 2023年10月30日 | 2023年12月4日 | 2024年5月31日 (金) 17:00 |
10次締切 | 2023年10月16日 | 2023年11月20日 | 2024年5月31日 (金) 17:00 |
9次締切 | 2023年10月2日 | 2023年11月6日 | 2024年4月30日 (火) 17:00 |
8次締切 | 2023年9月11日 | 2023年10月24日 | 2024年4月30日 (火) 17:00 |
7次締切 | 2023年8月28日 | 2023年10月12日 | 2024年3月29日 (金) 17:00 |
<デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)>スケジュール
申請回 | 申請締切日 | 交付決定日 | 事業実績報告期限 |
7次締切 | 2024年1月29日 | 2024年3月4日 | 2024年8月30日 (金) 17:00 |
6次締切 | 2023年12月25日 | 2024年1月29日 | 2024年7月31日 (水) 17:00 |
5次締切 | 2023年11月27日 | 2024年1月9日 | 2024年6月28日 (金) 17:00 |
4次締切 | 2023年10月30日 | 2023年12月4日 | 2024年5月31日 (金) 17:00 |
3次締切 | 2023年10月2日 | 2023年11月6日 | 2024年4月30日 (火) 17:00 |
<デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)>スケジュール
申請回 | 申請締切日 | 交付決定日 | 事業実績報告期限 |
5次締切 | 2024年1月29日 | 2024年3月14日 | 2024年8月30日 (金) 17:00 |
4次締切 | 2023年11月27日 | 2024年1月18日 | 2024年7月31日 (水) 17:00 |
3次締切 | 2023年10月2日 | 2023年11月6日 | 2024年5月31日 (金) 17:00 |
2023年IT導入補助金
▶︎通常枠(A・B類型)を徹底解説!
▶︎IT導入補助金とは?2023年度の申請枠を紹介
▶︎セキュリティ対策推進枠について
▶︎デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)とは?
▶︎デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)とは?
▶︎IT導入補助金のツール選定方法
IT導入補助金の目的
IT導入補助金とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が複数年にわたって中小企業・小規模事業者等の生産性向上を継続的に支援する「生産性革命推進事業」内の補助事業の1つです。
この補助金の目的は、『生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者等を支援する』ことにあります。そして昨年までは”働き方”や”賃上げ”などに対応することが目的として注力されていましたが、2022年からは”インボイス制度”に対応することが追加され注力されています。
【IT導入補助金:通常枠(A・B類型)目的】
本事業は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入するための事業費等の経費の一部を補助等することにより、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図ることを目的とする。
(引用:公募要領 通常枠(A・B 類型))
【IT導入補助金:デジタル化基盤導入枠の目的】
独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」という。)が複数年にわたって中小企業・小規模事業者等の生産性向上を継続的に支援する「生産性革命推進事業」内の「IT導入補助金」において、デジタル化基盤導入類型(以下、「本事業」という)を設け、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者等を支援するとともに、インボイス制度への対応も見据えつつ、企業間取引のデジタル化を強力に推進するため、「通常枠」よりも補助率を引き上げて優先的に支援する。
(引用:公募要領 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型))
【IT導入補助金:セキュリティ対策推進枠の目的】
本事業は、サイバーインシデントが原因で事業継続が困難となる事態を回避するとともに、サイバー攻撃被害が供給制約・価格高騰を潜在的に引き起こすリスクや中小企業・小規模事業者等の生産性向上を阻害するリスクを低減するため、中小企業・小規模事業者等が、ITツール(「サイバーセキュリティお助け隊サービス」)を導入する際の経費の一部を補助することにより、サイバーセキュリティ対策の強化を図ることを目的とする。
(引用:公募要領 セキュリティ対策推進枠)
2022年のIT導入補助金の概要
IT導入補助金2022は中小企業や小規模事業者を対象に、ITツール導入を補助するための制度です。これまでの通常枠「A類型」「B類型」に加え、令和3年度補正予算にて、デジタル化基盤導入枠として「デジタル化基盤導入類型」「複数社連携IT導入類型」が新たに追加されました。また、令和元年度補正予算(令和4年度繰越)で実施する「セキュリティ対策推進枠」も追加されました。
類型 | 補助額 | 補助率 |
---|---|---|
A類型 | 30万円~150万円 | 1/2 |
B類型 | 150万円~450万円 | 1/2 |
デジタル化基盤導入類型 | 5万円~50万円迄 | 3/4 |
50万円超~350万円 | 2/3 | |
複数社連携IT導入類型 | 「基盤導入経費」について、1社あたりの補助額・補助率の条件はデジタル化基盤導入類型と同様。(※それ以外は後述) | |
セキュリティ対策推進枠 | 5万円~100万円 | 1/2 |
デジタル化基盤導入類型においては、上記に加え、いままでレンタルのみ対象だったハードウェアの購入費用も対象となり、PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器などの購入費に対して補助率1/2の上限金額が10万円となっております。
また、レジや券売機などについてはツール登録されている必要がありますが、上限金額20万円の補助率1/2の補助を受けて導入することが可能となります。
IT導入補助金で導入できるもの
基本的にIT導入補助金の対象となるものとしては、事前にIT支援事業者が補助金事務局に申請しているITツールが対象となります。
また今回のIT導入補助金で導入できるものとして注目度が高いものとしては、ハードウェアで汎用性があるとして今までレンタルでしか認められなかったPCやタブレットなどが、デジタル化基盤導入枠にて対象となりました。そのほか、サブスクリプションのサービスにおいても2年間の利用が対象となっています。
それぞれどのようなITツールが対象となるのかについて募集されている枠ごとに確認していきます。
通常枠A類型・B類型の補助対象
IT導入補助金の通常枠であるA類型とB類型の補助対象となるものは、類型ごとのプロセス要件を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールとなります。また対象経費として認められているものとして、”ソフトウェア費”、”クラウド利用料(最大1年分補助)”、”導入関連費等”などがあります。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の補助対象となるITツールは、会計・受発注・決済・ECの機能を必ず1種類以上含んでいる必要があります。対象ソフトウェアは、会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトです。対象経費として認められているものとして、”ソフトウェア費”、”クラウド利用料(最大2年分補助)”、”導入関連費等”などがあります。
上記に加えて、ソフトウェアの使用に資するハードウェアの購入費が補助対象になります。
・PC、タブレット、プリンター、スキャナー及びそれらの複合機器、POSレジ、券売機等
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)の補助対象は、デジタル化基盤導入類型の要件に属するものと、複数社類型特有のものがあります。
・デジタル化基盤導入類型の要件に属するソフトウェア:会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト
<対象経費>ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)・導入関連費
・複数社類型特有のソフトウェア:消費動向分析システム、経営分析システム、需要予測システム、電子地域通貨システム、キャッシュレスシステム、生体認証決済システム等
<対象経費>ソフトウェア購入費・クラウド利用費(1年分)・導入関連費
上記に加えて、デジタル化基盤導入類型の要件に属するハードウェア購入費用(PC、タブレット、レジ、券売機等)と、複数社類型特有のハードウェア購入費用(AIカメラ・ビーコン・デジタルサイネージ等)が補助対象になります。
セキュリティ対策推進枠の補助対象
IT導入補助金のセキュリティ対策推進枠の対象となるITツールは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録されたサービスです。対象経費として、サービス利用料(最大2年分)が認められています。
IT導入補助金の補助額・補助率
先ほど、概要のところで簡単に表でご紹介しましたが、補助額・補助率についてもう少し詳しく申請枠ごとにまとめてみました。
通常枠(A類型・B類型)
【補助額】
・A類型:30万円~150万円未満
・B類型:150万円~450万円
【補助率】
・A類型:1/2
・B類型:1/2
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
【補助額】
・ソフトウェア購入費・導入関連費等:5万円~350万円
・PC・タブレット等:下限なし~10万円
・レジ・券売機等:下限なし~20万円
【補助率】
・2/3~3/4(PC・タブレット等は1/2)
【補助率・補助額の考え方】
・補助額5万円~50万円以下の部分は、補助率3/4以内にて算出
・補助額50万円超~350万円の部分は、補助率2/3以内にて算出
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
【補助額】
・ソフトウェア購入費・導入関連費等:デジタル化基盤導入類型と同様
・消費動向等分析経費:補助上限額は50万円×グループ構成員
※1事業あたりの補助上限額は3,000万円及び事務費・専門家費(上限200万円)
【補助率】
・ソフトウェア購入費・導入関連費等:デジタル化基盤導入類型と同様
・消費動向等分析経費:2/3
・事務費・専門家費:2/3
セキュリティ対策推進枠
【補助額】
5万円~100万円
【補助率】
1/2
IT導入補助金の要件
補助金を申請するにあたり、もっとも重要となってくるものが”申請要件”です。今までに補助金の申請をされてきている方であれば要件について把握されているかとおもいますが、この"申請要件"を満たせるかどうかで、自社で補助金を申請できるかどうかを判断することができます。まずはこのIT導入補助金における申請要件を確認した上で、IT導入補助金の申請をすすめていきましょう。
通常枠(A類型・B類型)申請要件
IT導入補助金の通常枠(A類型・B類型)における申請要件は以下の通りとなります。
- 日本国内で事業を営む法人・個人であること
- 事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上
- gBizID プライムを取得していること(※1)
- 「SECURITY ACTION」を宣言していること(※2)
- 必要書類を提出できること
- SMSが利用できる携帯を登録できること
- 補助事業計画において規定値以上の生産性伸び率の目標を設定すること (※3)
- IT支援事業者と確認し、生産性向上に係る情報を事務局に報告すること(※4)
- 事例の調査協力に応じること
- 申請マイページ情報をIT支援事業者を含む第三者に渡さないこと
- 訴訟や法令遵守上において、補助事業の遂行に支障をきたすような問題を抱えていないこと
- 補助事業において不正な行為を行っていない、行わないこと
- 中小機構による立入調査等があった場合に調査に協力すること
- 対象外事業者ではないこと
- B類型に申請するものは、 要件を満たす3年の事業計画を策定し、従業員に表明していること
(※1)交付申請には「gBizID プライム」アカウント(ID・パスワード等)が必要です。gBizID プライムを取得するには、印鑑証明書(個人事業主は印鑑登録証明書)と登録印鑑で押印した申請書を運用センターに郵送し、審査(原則2週間以内)を経てアカウントが作成されます。
(※2)SECURITY ACTIONとは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する中小企業・小規模事業者等自らが、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度です。IT導入補助金では、「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言を要件としています。
(※3)労働生産性の伸び率の向上について、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上及びこれらと同等以上の、数値目標を作成します。過去3年間にIT導入補助金2019、2020、2021の交付を受けた事業者の場合は、当該指標を強化し、1年後の伸び率が4%以上、3年後の伸び率が12%以上及びこれらと同等以上の数値目標を作成する必要があります。
(※4)生産性向上に係る情報とは、売上、原価、従業員数及び就業時間、給与支給総額、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)等を指します。
以上が通常枠の申請要件になります。
次に、そのほかの枠の申請要件について、通常枠と違う点をチェックしておきましょう。
デジタル化基盤導入類型の申請要件
デジタル化基盤導入枠のデジタル化基盤導入類型の申請要件は、ほとんど通常枠と同じですが、賃上げ目標(給与支給総額、事業場内最低賃金)と生産性向上に係る情報(売上、原価、従業員数及び就業時間)について、入力の必要がない点が大きく異なっています。
セキュリティ対策推進枠の申請要件
セキュリティ対策推進枠の申請要件として、通常枠と同様に、補助事業を実施することによる労働生産性の伸び率の向上についての数値目標が必要ですが、定められた値が異なります。
通常枠の場合 | 1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上及びこれらと同等以上の数値目標 |
---|---|
セキュリティ対策推進枠の場合 | 3年後の伸び率が3%以上及びこれらと同等以上の、実現可能かつ合理的な数値目標 |
対象外事業者とは
申請の対象となる事業者及び申請の要件を確認しましたが、それらに該当する事業者であっても、以下の事業者は申請の対象外となるので注意が必要です。
【対象外事業者】
(1)次のいずれかに該当する事業者
- ①発行済株式の総数又は出資価格の総額の1/2以上を同一の大企業が所有している中小企業等
- ②発行済株式の総数又は出資価格の総額の2/3以上を同一の大企業が所有している中小企業等
- ③大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の1/2以上を占めている中小企業
- ④発行済株式の総数又は出資価格の総額を上記①~③に該当する中小企業等が所有している中小企業等
- ⑤上記①~③に該当する中小企業等の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業等
- ⑥確定している直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業等
(2)IT導入補助金2022において「IT導入支援事業者」に登録されている事業者
(3)経済産業省又は中小企業庁から、補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている事業者
(4)「風俗営業」「性風俗関連特殊営業」及び「接客業務受託営業」を営む事業者
(5)過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者
(6)暴力団等の反社会的勢力に関係する事業者
(7)宗教法人
(8)法人格のない任意団体(同窓会、PTA、サークル等)
(9)その他、本事業の目的・趣旨から適切でないと中小企業庁及び中小機構並びに事務局が判断する者
IT導入補助金申請のフロー
出典:IT導入補助金 公募要領 通常枠(A・B 類型)より抜粋
IT導入補助金の申請は「事業準備」と「交付申請」、「事業実施」、「補助金交付後」の部分から成り立ち、以下の(1)~(14)で表すことができます。
【事業準備】
(1)IT導入支援事業者へ補助事業に関する問合せ、相談等の実施、gBizID プライムの取得
【交付申請】
(2)ITツールの選定及び導入するITツールの見積もり等の依頼
(3)申請マイページ招待
(4)申請マイページ作成
(5)交付申請の作成
(6)交付申請の提出
(7)交付決定
【事業実施】
(8)ITツール契約、納品、支払い
(9)事業実績報告の作成
(10)事業実績報告の提出
(11)補助金確定通知、補助金の交付
【補助金交付後】
(12)ITツール導入後のアフターフォロー
(13)事業実施効果報告の作成
(14)事業実施効果報告の提出
IT導入補助金申請の必要書類
交付申請について、必要書類を確認しましょう。申請者は、IT導入支援事業者から申請マイページの招待を受けて、申請マイページ作成(申請者情報の入力)を行います。申請に必要な添付資料は以下の通りです。
法人の場合
実在証明書と事業継続確認書類として、以下の添付資料が必要です。
実在証明書 | 履歴事項全部証明書(発行から3か月以内のもの) |
---|---|
事業継続確認書類 | 税務署の窓口で発行された直近分の法人税の納税証明書(「その1」もしくは「その2」) |
個人事業主の場合
本人確認書類と事業継続確認書類として、以下の添付資料が必要です。
本人確認書類 | 有効期限内の運転免許証もしくは運転経歴証明書もしくは住民票(発行から3か月以内のもの) |
---|---|
事業継続確認書類1 | 税務署の窓口で発行された直近分の所得税の納税証明書(「その1」もしくは「その2」) |
事業継続確認書類2 | 税務署が受領した直近分の確定申告書 B の控え |
B類型申請時に必要な事業計画書とは
IT導入補助金の通常枠B類型に申請する際に必要となる書類として、以下の要件を満たす事業計画書の提出が求められます。
- 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加 (被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
- 申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を従業員に表明し事業計画を策定・実行すること
給与総支給額とは、非常勤を含む全従業員や役員に支払われる賞与、役員報酬を含む給与・賃金をいいます。福利厚生費、法定福利費や退職金は除きます。
また被用者保険の任意適用とは、従業員規模51名~500名(ただし、2022年10月以降は51名~99名)の企業が短時間労働者を厚生年金に加入させることを指します。
IT導入補助金の採択結果
1月18日時点で、IT導入支援事業の通常枠は8次締切分まで、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は16次締切分まで交付決定しています。
これまでの通常枠とデジタル化基盤導入類型の採択結果は以下のとおりです。
通常枠 | A類型 | B類型 | |
1次締切 交付決定日 6月16日 |
申請数 | 2,907 | 80 |
交付決定数 | 1,615 | 33 | |
採択率 | 55.6% | 41.3% | |
2次締切 交付決定日 7月14日 |
申請数 | 3,344 | 103 |
交付決定数 | 1,843 | 44 | |
採択率 | 55.1% | 42.7% | |
3次締切 交付決定日 8月12日 |
申請数 | 2,877 | 104 |
交付決定数 | 1,415 | 43 | |
採択率 | 49.2% | 41.3% | |
4次締切 交付決定日 9月8日 |
申請数 | 3,347 | 107 |
交付決定数 | 1,465 | 48 | |
採択率 | 43.8% | 44.9% | |
5次締切 交付決定日 10月6日 |
申請数 | 1,957 | 43 |
交付決定数 | 1,196 | 26 | |
採択率 | 61.1% | 60.5% | |
6次締切 交付決定日 11月4日 |
申請数 | 2,337 | 64 |
交付決定数 | 1,521 | 38 | |
採択率 | 65.1% | 59.4% | |
7次締切 交付決定日 12月6日 |
申請数 | 1,909 | 45 |
交付決定数 | 1,336 | 28 | |
採択率 | 70.0% | 62.2% | |
8次締切 交付決定日 1月18日 |
申請数 | 1,855 | 56 |
交付決定数 | 1,249 | 36 | |
採択率 | 67.3% | 64.3% |
採択率をみてみると、A類型は平均で58.4%、B類型は52.1%です。(昨年の通常枠1~5次までの平均採択率は、A類型は56.52%、B類型は42.02%でした。)今年度は、A類型の3次と4次締切分で採択率の落ち込みが見られましたが、5次以降は6割超えになりました。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型) | ||
1次締切 交付決定日 5月27日 |
申請数 | 650 |
交付決定数 | 566 | |
採択率 | 87.1% | |
2次締切 交付決定日 6月16日 |
申請数 | 1,662 |
交付決定数 | 1,467 | |
採択率 | 88.3% | |
3次締切 交付決定日 6月30日 |
申請数 | 1,823 |
交付決定数 | 1,562 | |
採択率 | 85.7% | |
4次締切 交付決定日 7月14日 |
申請数 | 2,131 |
交付決定数 | 1,855 | |
採択率 | 87.0% | |
5次締切 交付決定日 7月29日 |
申請数 | 1,712 |
交付決定数 | 1,422 | |
採択率 | 83.1% | |
6次締切 交付決定日 8月12日 |
申請数 | 1,944 |
交付決定数 | 1,601 | |
採択率 | 82.4% | |
7次締切 交付決定日 8月25日 |
申請数 | 2,149 |
交付決定数 | 1,759 | |
採択率 | 81.9% | |
8次締切 交付決定日 9月8日 |
申請数 | 3,075 |
交付決定数 | 2,648 | |
採択率 | 86.1% | |
9次締切 交付決定日 9月22日 |
申請数 | 1,390 |
交付決定数 | 1,092 | |
採択率 | 78.6% | |
10次締切 交付決定日 10月6日 |
申請数 | 1,666 |
交付決定数 | 1,299 | |
採択率 | 78.0% | |
11次締切 交付決定日 10月20日 |
申請数 | 2,051 |
交付決定数 | 1,635 | |
採択率 | 79.7% | |
12次締切 交付決定日 11月4日 |
申請数 | 1,832 |
交付決定数 | 1,503 | |
採択率 | 82.0% | |
13次締切 交付決定日 11月22日 |
申請数 | 2,012 |
交付決定数 | 1,577 | |
採択率 | 78.4% | |
14次締切 交付決定日 12月6日 |
申請数 | 2,239 |
交付決定数 | 1,812 | |
採択率 | 80.9% | |
15次締切 交付決定日 12月20日 |
申請数 | 2,252 |
交付決定数 | 1,886 | |
採択率 | 83.7% | |
16次締切 交付決定日 1月18日 |
申請数 | 2,618 |
交付決定数 | 2,146 | |
採択率 | 82.0% |
一方、デジタル化基盤導入類型の採択率の平均は82.8%で、非常に高い採択率となっています。ただ、4次締切まですべて85%を超えていましたが、5次から少しずつ採択率が下がってきています。8次締切では、再び86.1%と高めでしたが、10次締切は78%でこれまでで一番低い採択率となり波があります。その後、14次以降は80%以上をキープしています。採択率の高い申請類型であることは明らかでしょう。
なお、デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)の4次締切分については、1月18日に交付決定され、申請数 0、交付決定数 0という結果でした。また、セキュリティ対策推進枠の4次締切は申請数46で、交付決定数も46でした。
補助金採択となるためには、入力項目における矛盾をなくすことや加点ポイントに注力するなど、基本を押さえてしっかり準備を進める必要があります。
IT導入補助金の加点項目とは
採択率をあげるポイントとして、加点項目があります。
「生産性向上や働き方改革を視野に入れ、国の推進する関連事業に取り組んでいるか」
「クラウド導入に取り組んでいるか」
「インボイス制度の導入に取り組んでいるか」
「国の推進するセキュリティサービスを選定しているか」
「賃上げに取り組んでいるか」
などが、IT導入補助金の加点項目にかかる主な審査事項になります。
通常枠とデジタル化基盤導入類型の加点項目を確認しましょう。
通常枠
通常枠の加点対象となる取り組み、関連事業は以下のとおりです。
(1)地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得していること。
(2)交付申請時点で地域未来牽引企業に選定されており、地域未来牽引企業としての「目標」を経済産業省に提出していること。
(3)導入するITツールにクラウド製品を選定していること。
(4)導入するITツールに「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定していること。
(5)導入するITツールにインボイス制度対応製品を選定していること。
(6) A類型の申請者で、以下の要件を全て満たす事業計画を策定し、従業員に表明していること。
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
・事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
賃上げ目標は、B類型では必須ですが、A類型では加点項目になります。
デジタル化基盤導入類型
(1)地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得していること。
(2)交付申請時点で地域未来牽引企業に選定されており、地域未来牽引企業としての「目標」を経済産業省に提出していること。
(3) 以下の要件をすべて満たす3年の事業計画を策定し、従業員に表明していること。
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
・事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
(4)導入するITツールに「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定していること。
デジタル化基盤導入類型は、通常枠と比べてすでに高い採択率となっていますが、採択により近づくために、取れそうな加点がないかをチェックしておきましょう。
IT導入補助金のメリット・デメリット
通常枠とデジタル化基盤導入類型の最終締切が迫ってきているIT導入補助金ですが、本補助事業を活用することのメリット、デメリットを今一度整理してみたいと思います。
メリット
・ハードウェアなどの購入に利用できる
・サブスクサービスなどにも2年間対応できている
メリットとして、今年度の特徴でもあるハードウェアなどの購入に利用できる点があげられます。デジタル化基盤導入類型では、補助対象経費となるソフトウェアの導入と併せて購入する場合に限り、PC・タブレット、POSレジ、券売機等の購入費も対象になります。ソフトウェアだけでなく、必要なハードウェアを一緒にそろえて、インボイス対応を見据えた企業間取引のデジタル化を進めることができます。
また、月額・年額で使用料金が定められている形態の製品(サブスクリプション販売形式等)及びその保守が最大2年分の費用が補助対象となっていることも、時代に即した内容となっており、メリットの1つとしてあげられるでしょう。
デメリット
・入金そのものまでに時間がかかるので手出しがかかる
・報告義務が発生してくるので申請同様工数がかかる(補助金返還もあるリスク)
補助金が交付されるのは、事業実施して、事業実績報告の提出をしてからになりますので、時間がかかります。また、全額が補助されるわけではありませんので、たとえば通常枠なら補助率は対象経費の1/2以内であり、補助対象経費の1/2以上が自己負担となる仕組みになっています。
「報告義務」に関して、通常枠では事業終了後、生産性向上に係る数値目標に関する情報(売上、原価、従業員数及び就業時間等)及び給与支給総額・事業場内最低賃金等を、数年にわたって定められた期間内に報告する必要があります。
また、B類型では、事業計画終了時点で、給与支給総額の年率平均1.5%以上の増加目標が達成できていない場合、補助金の全部の返還を求められる場合があります。
まとめ
2022年度のIT導入補助金は、来年10月1日から開始するインボイス制度導入を見据えた新たな枠が加わっていますので、インボイス制度への対応を検討している中小企業や小規模事業者にとって、特に有用な補助金といえるでしょう。
デジタル化基盤導入類型では、賃上げ目標は求められず、通常枠(A・B類型)よりも補助率を引き上げて優先的に支援されます。生産性向上とインボイス制度対応に取り組みたい事業者の皆さまは、スケジュールに注意して申請の準備をすすめてください。
ⅠT導入補助金2022 デジタル化基盤導入類型 よくある質問
IT導入補助金は、どのような事業者が補助対象者となりますか。
本補助金の補助対象者は、申請要件を満たしており、交付申請時点において、日本国内で法人登記(法人番号が指定され国税庁が管理する法人番号公表サイトにて公表されていること)され、日本国内で事業を営む法人または日本国内で事業を営む個人に限ります。
IT導入補助金では、どのような経費が補助対象となりますか。
補助対象経費は、あらかじめ事務局に登録されたITツール(事務局に登録されたIT導入支援事業者が提供するもの)の導入費用になります。
IT導入補助金ではどのようなITツールが補助対象となりますか。
補助事業者の労働生産性向上に資する「ソフトウェア」「オプション」「役務」「ハードウェア」が対象です。なお、デジタル化基盤導入枠においては、「会計」「受発注」「決済」「EC」のいずれかのソフトウェアを導入する必要があります。
IT導入補助金ではホームページ制作は補助対象ですか。
ホームページ制作は補助対象外となります。ECサイトはスクラッチ開発のため、通常枠(A・B類型)においては補助対象外となりますが、令和5年(2023年)10月1日より施行される適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)に対応する取り組みを支援する目的でデジタル化基盤導入類型においては補助対象となります。
IT導入補助金では運用中のECサイトをリニューアルする場合は、補助対象になりますか。
デジタル化導入基盤類型においてECサイトは新規作成のみ補助対象となります。既存ECサイトのリニューアルは補助対象とはなりません。既存のホームページをリニューアルすることで新たにEC機能を実装する場合、新規で導入された部分のみが対象となります。
IT導入補助金ではECサイトに組み込むCMS利用料やカート機能の利用料は2年分対象になりますか。
CMSやカートがサブスクリプション形式の販売に限り、最大2年分が対象となります。
IT導入補助金ではリースは補助対象となりますか。
リースは補助対象外となります。
IT導入補助金ではハードウェアは補助対象となりますか。
デジタル化導入基盤類型において、補助対象経費となるソフトウェアの導入と併せて購入する場合に限り、下記ハードウェアの購入費用を補助対象経費となります。
1)PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器
※IT導入支援事業者が提供するハードウェアの購入費用
2)POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機
※IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたハードウェアの購入費用
IT導入補助金ではなぜハードウェア(購入)のみでは申請できないのですか。
IT導入補助金2022は、生産性向上とインボイス制度への対応を見据えたソフトウェアの導入支援を目的とした事業であるため、ハードウェアのみでの申請は不可です。
IT導入補助金では「PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器」について、PCやタブレットの付属品は、補助対象経費として含めてよいですか?
原則、PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器については、列挙した機器のみが対象です。別途、購入した付属品については補助対象経費として認められません。
インボイス制度とは何か教えてください。
2019年10月の消費税増税に伴い軽減税率も同時に導入され、現在、2種類の税率が存在しています。そのため、政府は取引の透明性を高めつつ、「誰がいつ、何を、税率何%で、合計いくらで販売した」といった正確な経理処理ができるよう、令和5年(2023年)10月1日より適格請求書等保存方式「インボイス制度」の導入を決定しました。インボイス制度に対応した機能詳細については、IT導入支援事業者にお問い合わせください。
gBizIDとは何か教えてください。
複数の行政サービスを1つのアカウントにより利用することのできる認証システムで、経済産業省及び中小企業庁では利用を推奨しています。本IT導入補助金2022の交付申請においては、「gBizIDプライム」アカウント(ID・パスワード等)が必要となります。
IT導入補助金の各締切り回で不採択だった場合、次回以降の締切りまでに再申請可能ですか。
各締切り回で公表される採択結果にて不採択となった場合や交付決定後に申請の取下げを行った場合でも、次回以降の締切りまでに再申請は可能です。
IT導入補助金の通常枠(A・B類型)とデジタル化導入基盤類型の両方に申請する場合に同一のIT導入支援事業者でなければいけませんか。
通常枠(A・B類型)とデジタル化導入基盤類型の両方に申請する場合のIT導入支援事業者は、同一の事業者でも別々の事業者でも構いません。
IT導入補助金の通常枠(A・B類型)とデジタル化導入基盤類型の両方に申請する場合に同一公募回の申請でも構いませんか。
通常枠(A・B類型)とデジタル化導入基盤類型の両方に申請する場合の公募回は同一の公募回でも別々の公募回でも構いません。
IT導入補助金の通常枠(A・B類型)とデジタル化導入基盤類型の両方に申請する場合に同一公募回の申請でも構いませんか。
通常枠(A・B類型)とデジタル化導入基盤類型の両方に申請する場合の公募回は同一の公募回でも別々の公募回でも構いません。