「事業を引き継いだあと、設備投資や販路開拓に資金が必要だが、自己負担が重い」「親族内承継を機に経営革新に取り組みたいが、何から手をつければよいか」こうした課題を抱える中小企業の後継者に注目されているのが、事業承継・M&A補助金の「事業承継促進枠」です。
事業承継促進枠は、親族内承継・従業員承継・第三者承継を5年以内に予定または実施した中小企業を対象に、承継後の経営革新等にかかる設備投資や販路開拓費用を補助する制度です。補助上限は通常800万円、賃上げ実施で最大1,000万円まで引き上げ可能で、廃業・再チャレンジ枠との併用も認められています。
2026年5月22日に公開された15次公募要領では、申請受付期間が2026年6月中旬〜7月下旬(予定)と告知されています。承継を契機に事業を成長軌道に乗せたい後継者にとって、活用したい制度です。
この記事では、事業承継促進枠の対象者・補助額・対象経費・申請要件・採択率を上げるコツまで、補助金ポータルが網羅的に解説します。
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この記事の目次
事業承継促進枠とは何ですか?制度の概要と4枠における役割
事業承継促進枠の位置づけ(4つの支援枠における役割)
事業承継促進枠は、事業承継・M&A補助金の4つの支援枠のなかで、承継後の経営革新を支援する役割を担っています。
事業承継・M&A補助金には以下の4つの枠が用意されています。
- 事業承継促進枠:承継後の経営革新(設備投資・販路開拓等)を支援 ←この記事で解説
- 専門家活用枠:M&Aの仲介手数料・FA費用を支援
- PMI推進枠:M&A後の経営統合を支援
- 廃業・再チャレンジ枠:廃業費用を支援、他枠と併用可
事業承継促進枠は、M&Aの実行ではなく「承継後の経営革新」を補助する点が他枠と異なります。親族内承継・従業員承継・第三者承継いずれも対象で、承継した後継者が新たな設備投資や事業転換に挑戦する際の費用を後押しします。
旧「経営革新事業」からの変更点
事業承継促進枠は、もともと「経営革新事業」「経営革新枠」という名称で運用されていました。事業承継・引継ぎ補助金(1〜10次)の時代は「経営革新事業」、その後「事業承継・M&A補助金」に改称されてからは「事業承継促進枠」として運用されています。
制度の基本的な枠組みは継続していますが、賃上げ加点による補助上限の引き上げや、サイバーセキュリティ要件の追加など、近年の公募で要件が更新されています。15次公募でも一部の運用ルールが見直されているため、最新の公募要領で詳細を確認してください。
事業承継・M&A補助金の全体像を理解したい方へ
事業承継促進枠は事業承継・M&A補助金の一部です。制度全体の枠組み・他枠との違い・最大2,000万円の特例などについては、以下の記事で網羅的に解説しています。
15次公募のスケジュールと変更点はどうなっていますか?
事業承継促進枠の公募スケジュール
15次公募の事業承継促進枠のスケジュールは、他枠と共通で以下のとおりです。公募要領は既に公開済みで、申請開始まで残り1か月を切っています。
| 項目 | 時期 |
|---|---|
| 公募要領公開 | 2026年5月22日(公開済) |
| 公募申請受付期間 | 2026年6月中旬〜7月下旬(予定) |
| 採択日 | 2026年9月中旬(予定) |
| 交付決定日 | 2026年9月下旬(予定) |
| 事業実施期間 | 交付決定日〜2027年11月下旬(予定) |
| 補助金交付 | 2027年5月中旬以降(予定) |
事業承継促進枠は設備投資を伴う枠のため、事業実施期間内に設備の納品・支払いを完了させる必要があります。発注から納品まで時間がかかる大型設備を導入予定の場合、スケジュールは特に慎重に組んでください。
14次からの主な変更点
事業承継促進枠における、14次から15次への主な変更点は次のとおりです。
- 事前着手原則廃止の継続:14次から導入された「交付決定前の契約・発注は原則不可」のルールが15次でも継続。設備購入や工事契約のタイミングには細心の注意を払う必要があります
- 賃上げ加点の運用ルール:補助上限を1,000万円に引き上げる際の賃上げ要件が明確化されています
- サイバーセキュリティ要件:サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用が引き続き必須
- 必要書類の更新:jGrants申請フォームや添付書類のチェックリストが更新
過去公募との比較で見るトレンド
事業承継促進枠(旧経営革新事業を含む)の採択動向を見ると、申請件数は年々安定して推移しており、適切な事業計画書を提出すれば採択される可能性が高い枠といえます。
ただし「事業承継後の経営革新」というテーマ性が問われる枠のため、単に設備を入れ替えるだけの計画では不採択リスクが高まります。承継を契機に何を変革するのかを明確に示すことが、採択への近道です。
事業承継促進枠は誰が申請できますか?対象者と承継要件
申請者の基本要件(中小企業・小規模事業者・個人事業主)
事業承継促進枠の申請者となれるのは、中小企業基本法に定める中小企業者・小規模事業者と、個人事業主(開業届の届出済みの者)です。業種別の規模要件は次のとおりです。
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ただし、大企業の子会社や、複数の大企業から出資を受けている企業はみなし大企業として除外されます。資本構成によっては対象外となるため、申請前に自社の株主構成を確認してください。
事業承継の定義(親族内/従業員/第三者)
事業承継促進枠における「事業承継」の定義は幅広く、以下の3パターンすべてが対象となります。
- 親族内承継:先代経営者の親族(子・配偶者・兄弟姉妹等)が事業を承継するケース
- 従業員承継:先代経営者と親族関係にない従業員が事業を承継するケース(社内承継)
- 第三者承継:M&A等を通じて、これまで関係のなかった第三者が事業を承継するケース
承継の形態を問わず申請できる点が、事業承継促進枠の特徴です。「親族に後継者がいない」「従業員にも適任者がいない」というケースでも、第三者承継として活用できます。
承継完了時期の要件
事業承継促進枠を申請するには、承継時期に関する要件を満たす必要があります。原則として5年以内に親族内承継・従業員承継を予定している企業、または既に承継済みの企業が対象です。
具体的な承継時期の要件は公募回によって細かく定められているため、15次公募要領で最新の条件を確認してください。「現役員が代表取締役を承継することがほぼ確実になっているケース」「すでに代表者が交代したケース」などが具体的な要件として例示されています。
経営革新等の取り組みが必須
事業承継促進枠では、承継を契機とした経営革新等の取り組みが申請の必須要件となっています。
経営革新等の取り組みとは、以下のような事業の発展・成長に向けた挑戦を指します。
- 新商品・新サービスの開発
- 新市場・新販路への進出
- 生産性向上のための設備導入・工程改善
- DX推進・デジタル化への投資
- 事業領域の転換・拡大
単に既存の設備を更新するだけでは対象外となるケースが多く、「承継を機にどう事業を進化させるのか」を事業計画書で具体的に示す必要があります。
認定経営革新等支援機関による確認書の取得
事業承継促進枠の申請には、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)による事業計画の確認書取得が必須です。
認定支援機関は、税理士・公認会計士・中小企業診断士・金融機関などが国に認定された支援機関で、中小企業庁の検索システムから探せます。確認書の発行には事業計画書の精査・面談などが必要となるため、公募開始の1〜2か月前から相談を始めることが理想的です。
普段から取引のある税理士や顧問会計士が認定支援機関であれば、優先的に相談してください。
事業承継促進枠はいくらまでもらえますか?補助上限と補助率の早見表
通常枠の補助上限と補助率
事業承継促進枠の基本的な補助上限と補助率は以下のとおりです。
| 事業者区分 | 補助率 | 補助上限 |
|---|---|---|
| 中小企業者 | 1/2以内 | 800万円 |
| 小規模事業者 | 2/3以内 | 800万円 |
「小規模事業者」とは、製造業・建設業・運輸業・その他の業種で従業員20人以下、商業・サービス業で従業員5人以下の事業者を指します。小規模事業者は補助率が2/3に優遇されるため、対象に該当する場合は積極的に活用したい制度です。
たとえば1,200万円の設備投資をした場合、中小企業は600万円(補助率1/2)、小規模事業者は800万円(補助率2/3→上限適用)が補助されます。
賃上げ実施による補助上限の引き上げ
一定の賃上げを実施することで、補助上限が800万円から1,000万円まで引き上げられます。
賃上げ要件は、補助事業期間終了時に公募申請時と比較して事業場内最低賃金+50円以上の賃上げを達成することです。詳細な要件は15次公募要領で必ず確認してください。
ただし注意点があります。賃上げを誓約して採択された後、達成できなかった場合は次のペナルティがあります。
なお、従業員がいない一人会社の場合は賃上げ要件の対象外となり、補助上限は通常通り800万円までとなります。
廃業・再チャレンジ枠との併用時の上乗せ
事業承継促進枠は廃業・再チャレンジ枠との併用申請が可能です。併用申請することで、廃業費として最大150万円が追加で補助されます。
たとえば事業承継促進枠で800万円・廃業・再チャレンジ枠で150万円の併用申請なら、合計で最大950万円の補助を狙えます。賃上げを併用すれば最大1,150万円となり、補助額を大きく引き上げられます。
承継を機に不採算事業の一部を整理する場合や、店舗の統廃合を行う場合は、廃業・再チャレンジ枠との併用を積極的に検討してください。
事業承継促進枠ではどんな経費が補助対象になりますか?設備投資から販路開拓まで
補助対象経費の全体マップ
事業承継促進枠の補助対象経費は、「事業費」と「廃業費」の2つに大別されます。廃業費は廃業・再チャレンジ枠との併用申請時のみ対象となります。
| 分類 | 主な経費 |
|---|---|
| 事業費(事業承継促進枠単独で対象) | 店舗等借入費・設備費・原材料費・外注費・委託費 等 |
| 廃業費(廃業・再チャレンジ枠との併用時のみ) | 廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費 等 |
各経費の詳細は次の項目で解説します。
設備費(最も多く使われる経費)
事業承継促進枠で最も中心的な補助対象経費が設備費です。承継後の経営革新に必要な機械装置・工具器具備品などの購入費用が対象となります。
- 製造業の機械装置(CNC旋盤・マシニングセンタ・3Dプリンター等)
- サービス業の業務用機器(厨房機器・分析機器・検査機器等)
- 店舗・工場の設備(陳列棚・冷蔵冷凍設備・空調設備等)
- 業務効率化のためのIT機器(サーバー・PC・タブレット等)
設備費は単価10万円以上の物品が対象となるのが一般的です。中古設備の購入は対象外となる場合もあるため、購入予定の設備が補助対象に該当するか事前確認が必要です。
店舗等借入費
事業承継後に新たに店舗・事務所・工場を借入する場合の費用も補助対象となります。承継を契機に新規出店する場合や、事業拡大のために新拠点を構える場合に活用できます。
- 新たな店舗・事務所・工場の賃借料
- 賃貸契約に伴う初期費用(保証金・敷金等は一部)
ただし、既存店舗の通常賃料は対象外となるケースが多いため、対象範囲は公募要領で確認してください。
原材料費・外注費
新商品開発や試作品製造に必要な原材料費、外注加工費も補助対象となります。承継を機に新商品ラインを立ち上げる、新サービスを開発するといったケースで活用されます。
- 新商品開発のための原材料費(試作品レベルを含む)
- 外注先への加工委託費・製造委託費
- 製造工程の一部を外部に委託する場合の経費
ただし、通常の生産活動で使用する原材料は対象外です。あくまで経営革新等の取り組みに紐づく費用が対象となります。
委託費・販路開拓費
販路開拓や事業転換に必要な委託費・販路開拓費も補助対象となります。
- 市場調査・需要調査の委託費
- マーケティング戦略策定の委託費
- Webサイト制作費・ECサイト構築費
- 展示会出展費・販促ツール制作費
- ブランディング・パッケージデザインの外注費
承継後の新たな顧客獲得・販路拡大に向けた取り組みを、補助金を活用して進められる点が事業承継促進枠の魅力です。
知的財産権関連費
新商品開発に伴う特許出願や、ブランド保護のための商標登録など、知的財産権関連の費用も補助対象です。
- 特許出願・実用新案登録の出願手数料
- 商標登録の出願手数料
- 弁理士費用(出願代理人手数料)
承継後にブランドを刷新する場合や、新技術を開発した場合の知的財産保護費用を補助金でカバーできます。
補助対象外となる経費
以下の経費は事業承継促進枠の補助対象外となります。
- 自社の役員・従業員への支払い(人件費・報酬等)
- 消費税・印紙税・登録免許税等の租税公課
- 既存設備の維持費・修繕費
- 振込手数料・両替手数料
- 補助対象期間外の契約・支払い
- 現金支払い・小切手支払い・手形支払い
- 通常の事業運営費用(光熱費・通信費等の固定費)
特に「現金支払い不可」「事前着手不可」は実務でよく見落とされるポイントです。すべての支払いは銀行振込で行い、契約・発注は交付決定後に進めてください。
事業承継促進枠はどうやって申請すればよいですか?
詳細はこちらにてご確認ください。事業承継・M&A補助金の申請の流れ
事業計画書の主要記載項目
事業承継促進枠の事業計画書では、以下の項目について具体的な記載が求められます。
- 承継の概要:承継の形態(親族内/従業員/第三者)・承継時期・承継者情報
- 経営課題の分析:承継時点での経営課題、市場環境、競合状況
- 経営革新等の取り組み内容:承継を契機に挑戦する具体的なテーマ
- 事業計画:3〜5年スパンの数値計画(売上高・付加価値額・労働生産性)
- 投資計画:補助対象経費の内訳と支出スケジュール
- 賃上げ計画(該当する場合):賃上げ達成の見込み
特に「経営革新等の取り組み内容」は採択の鍵を握る項目です。承継を機に何を変革するのか、その変革が市場・顧客・組織にどんな効果をもたらすのかを、定量的に示すことが重要です。
認定支援機関による確認書の取得方法
事業承継促進枠の申請には、認定経営革新等支援機関による事業計画の確認書が必要です。取得手順は以下のとおりです。
- 中小企業庁の認定支援機関検索システムで、自社の所在地・業種に対応する認定支援機関を探す
- 連絡を取り、事業承継・M&A補助金の申請支援を依頼
- 事業計画書のドラフトを提示し、面談・修正を経て事業計画を確定
- 認定支援機関に確認書を発行してもらう
- 確認書を申請書類に添付してjGrantsで提出
普段から取引のある税理士・会計事務所が認定支援機関であれば、彼らに優先的に依頼するのが効率的です。認定支援機関でない場合は、地域の商工会議所・商工会・金融機関への相談も選択肢となります。
事業承継促進枠の採択率を上げるにはどうすればよいですか?
承継後の経営革新ストーリーを明確に描く
事業承継促進枠の審査で最も重視されるのが、承継を契機とした経営革新のストーリーです。
「なぜ承継するのか」「承継後にどんな経営課題を解決するのか」「その解決策として何に投資するのか」という流れを、論理的かつ具体的に描いてください。単に「設備を新しくします」では不採択リスクが高まります。
具体例として、以下のようなストーリーが説得力を持ちます。
- 「先代経営者からの承継を機に、長年の課題だった生産工程のDX化に着手。最新の自動化設備を導入し、生産性を1.5倍に引き上げる」
- 「親族外承継を機に、これまで手付かずだった海外販路開拓に挑戦。Webサイト多言語化と海外展示会出展で、海外売上比率を10%まで引き上げる」
- 「第三者承継を機に、既存事業のサービス化(B2C事業立ち上げ)を進める。新たなブランド構築と販路開拓で、3年後に売上高2億円規模の新事業を確立」
承継というイベントを「現状維持の理由」ではなく「変革のチャンス」として位置づけることが、採択への第一歩です。
数値計画は付加価値額・労働生産性で具体化
事業計画書の数値計画は、抽象的な目標ではなく具体的な数値で示す必要があります。特に重視されるのが以下のKPIです。
- 売上高:3〜5年スパンの売上見込み
- 付加価値額:営業利益+人件費+減価償却費
- 労働生産性:付加価値額÷従業員数
- その他事業特有のKPI:顧客数・客単価・リピート率等
これらの数値の根拠も明示してください。「市場規模が◯◯億円、自社シェアを◯%獲得すれば売上◯円」「設備導入により生産能力が◯%向上、稼働率◯%で売上◯円増加」というように、数値の積み上げを示すことが説得力につながります。
加点項目を漏れなく活用する
事業承継促進枠の採択率を高めるには、加点項目をできる限り多く満たすことが重要です。主な加点項目は次のとおりです。
- 賃上げ加点(事業場内最低賃金+30円以上の表明)
- サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用
- 健康経営優良法人認定
- 経営力向上計画の認定
- 事業継続力強化計画の認定
- パートナーシップ構築宣言の登録
加点項目は「あれば加点」のものから「申請に必須」のものまで様々です。公募要領で加点要件を確認し、自社で対応できるものをすべて押さえてください。
認定支援機関と二人三脚で計画策定
事業承継促進枠は認定経営革新等支援機関の関与が必須の枠ですが、単に確認書を発行してもらうだけでは不十分です。
採択率を上げるには、認定支援機関と一緒に事業計画を磨き上げる二人三脚アプローチを推奨します。
- 事業計画書のドラフトを認定支援機関に提示し、フィードバックを得る
- 数値計画の根拠について、市場データや業界知見でブラッシュアップ
- 過去の採択事例を参考に、説得力の高い表現に修正
- 金融機関連携が必要な場合は、資金調達計画もあわせて相談
認定支援機関は事業承継・経営革新の専門知識を持つプロです。彼らの知見を最大限活用することで、計画書の質と採択可能性を大きく高められます。
サイバーセキュリティ要件への対応
15次公募でも、サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用が引き続き必須要件となっています。サービスの加入から申請までに時間がかかるため、公募開始の1〜2か月前には契約手続きを進めておきましょう。
加入サービスはIPA(独立行政法人情報処理推進機構)認定のものから選ぶ必要があり、月額数千円〜数万円程度のプランから選択可能です。「申請ギリギリで気づいて慌てる」事業者が毎回いるため、早めの対応がおすすめです。
事業承継促進枠についてよくある質問にQ&A形式でお答えします
承継前でも事業承継促進枠は申請できますか?
はい、5年以内に親族内承継・従業員承継を予定している企業も申請対象です。「現役員が代表取締役を承継することがほぼ確実になっているケース」が要件として例示されています。承継完了済みである必要はないため、計画段階から申請を検討できます。ただし承継の蓋然性を示す書類(事業承継計画書・後継者確定の根拠資料等)の提出が求められる場合があるため、公募要領で詳細を確認してください。
既に承継済みの場合でも申請できますか?
はい、過去5年以内に承継が完了している企業も申請対象です。承継後の経営革新等への取り組みが事業承継促進枠の本質的な対象であるため、承継済みの事業者が新たな投資計画を立てて申請するパターンは典型的な活用例です。承継時期の証明書類(株式譲渡契約書・登記簿謄本等)を準備してください。
個人事業主の親族内承継も事業承継促進枠の対象ですか?
はい、個人事業主の親族内承継も事業承継促進枠の対象となります。たとえば父親が経営していた個人商店を子が承継するケースなどが該当します。個人事業主は開業届を税務署に提出済みであることが要件となります。承継時期の証明としては、税務署への廃業届・開業届の写しが使われることが多いため、保管しておきましょう。
事業承継促進枠は他の枠と併用できますか?
事業承継促進枠は「廃業・再チャレンジ枠」との併用申請が可能です。併用申請することで、廃業費用として最大150万円が追加で補助され、合計で最大1,150万円(賃上げ+廃業併用時)まで補助を受けられます。一方、専門家活用枠やPMI推進枠との同時申請は原則できません。承継を機に事業の一部を整理する場合は、廃業・再チャレンジ枠との併用を検討してください。
補助率1/2と2/3の違いはどこで決まりますか?
補助率は事業者規模で決まります。「中小企業」は補助率1/2、「小規模事業者」は補助率2/3です。小規模事業者の定義は、製造業・建設業・運輸業・その他で従業員20人以下、商業・サービス業で従業員5人以下です。なお、補助上限を1,000万円に引き上げた場合、800万円を超える部分については小規模事業者であっても補助率は一律1/2となります。
「経営革新等の取り組み」とは具体的に何を指しますか?
新商品・新サービスの開発、新市場・新販路への進出、生産性向上のための設備導入、DX推進、事業領域の転換・拡大などが該当します。重要なのは「承継を契機とした変革」であることです。単なる既存設備の更新や、通常の生産活動の延長線上にある投資では、経営革新等の取り組みと認められない可能性があります。事業計画書では「承継前と承継後で何が変わるのか」を明確に示してください。
採択率はどのくらいですか?
事業承継・M&A補助金全体の採択率は14次公募で約60.7%です。事業承継促進枠の採択率は公表されていませんが、適切な事業計画書を提出すれば採択される可能性が比較的高い枠と考えられます。ただし、経営革新ストーリーの具体性・数値計画の根拠・加点項目の活用が不足すると不採択リスクが高まります。質の高い事業計画書の作成が採択の鍵を握ります。
事前着手はできますか?
14次公募から事前着手は原則廃止されています。15次公募でもこのルールは継続される見込みです。激甚災害等の例外を除き、交付決定通知を受ける前に契約・発注を行ってしまうと、その費用は補助対象外となります。設備の発注タイミングには十分注意し、必ず交付決定後に契約・発注を行ってください。なお、見積もりの取得自体は事前に進めて問題ありません。
認定支援機関はどう探せばよいですか?
中小企業庁の「認定経営革新等支援機関 検索システム」で、所在地・業種・対応領域別に検索できます。普段から取引のある税理士・会計事務所が認定支援機関であれば、優先的に相談するのが効率的です。認定支援機関でない場合は、地域の商工会議所・商工会・地元金融機関への相談も選択肢となります。事業承継・M&A補助金の支援実績がある認定支援機関を選ぶと、より質の高いサポートを受けやすくなります。
賃上げ加点で1,000万円に上限を引き上げて未達だった場合はどうなりますか?
補助上限は1,000万円から800万円に減額されます。さらに、補助額のうち800万円を超え1,000万円以下の部分については、小規模事業者であっても補助率が一律1/2以内となります。また、賃上げ未達は中小企業庁所管の他の補助金で18ヶ月間の減点ペナルティ対象にもなります。確実に達成できる範囲で賃上げ計画を策定してください。
まとめ|事業承継促進枠で次に何をすべきですか?
事業承継促進枠は、承継を契機とした経営革新等への取り組みを最大1,000万円まで補助する制度です。親族内承継・従業員承継・第三者承継いずれも対象で、小規模事業者は補助率2/3に優遇されるため、活用メリットが大きい枠といえます。
15次公募の申請受付は2026年6月中旬〜7月下旬(予定)。採択を勝ち取るには、承継後の経営革新ストーリーを明確に描き、数値計画を具体化し、認定経営革新等支援機関と二人三脚で計画書を磨き上げることが重要です。
公募開始まで時間が限られています。今から準備を進めるのがベストです。gBizIDプライム取得・認定支援機関への相談・サイバーセキュリティ要件への対応など、できることから着手しましょう。
① 補助上限:通常800万円・賃上げで1,000万円・廃業併用で最大1,150万円
② 補助率:中小企業1/2・小規模事業者2/3
③ 採択の鍵:承継後の経営革新ストーリーと認定支援機関との連携
申請を検討される方は、まず補助金ポータルの無料相談で、事業計画書の方向性や承継要件の確認、加点項目の活用方法についてアドバイスを受けることをおすすめします。専門家への相談で、採択可能性を最大化しましょう。
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