8月ももう半ば、消費税8%と10%が混在する「複数税率」が始まる10月1日まで2か月をきりました。複数税率に対応していないレジや受発注システムをお使いの店舗などでは、それまでに改修や入れ替えといった対応が求められています。
「軽減税率対策補助金」は新たにレジを購入したり受発注システムを改修したりする際に使える補助金で、活用することで軽減税率対策の費用を抑えることができます。この補助金にはA型、B型、C型の3つの申請類型がありますが、今回は受発注システムの改修等に使える「B型」をご紹介します。B型では小売事業者の発注システムの改修等の場合、最大で1,000万円(補助率3/4)の補助金が交付されます!
軽減税率対策補助金についてこちらの記事もご参照ください
この記事の目次
1、補助金の種類について
軽減税率対策補助金は大きく分けて3つの型に分かれています。
- A型:複数税率対応レジの導入等支援
- B型:受発注システムの改修等支援
- C型:請求書管理システムの改修等支援
その中で今回は、受発注システムの改修等に使えるB型を細かくみていきます。B型の申請タイプは、B-1型と、B-2型の2種類があります。
- B-1型:受発注システム・指定事業者改修型
- B-2型:受発注システム・自己導入型
B-1型はシステムベンダー等に発注して、受発注システムの改修等を行うもので、B-2型は事業者自身でパッケージ製品・サービスを購入して導入するものです。B-1型は2019年6月28日までに交付申請を行う必要があり、既に受付は終了していますので、現在申請可能なB-2型についてみていきましょう。
2、B-2型を申請するには?
この型を申請できるのはどのような事業者でしょうか。主な要件は以下の通りです。
●中小企業・小規模事業者であること
●軽減税率対象商品を取り扱うために、電子的受発注システムの改修・入替を行う必要があること
●改修・導入を行った補助対象のシステム等に関する使用状況等について、事務局が行う調査に協力できること
●日本国内で事業を行う個人または法人であること
●パッケージ製品・サービスを自ら購入・導入し、申請者自身で申請を行うこと
●現在、取引先間でEDI/EOSなどの電子的受発注システムを利用していること
つまりB-2型は、日本で事業を行う中小企業・小規模事業者・個人事業者が、複数税率に対応するためにEDI/EOSなどの電子的受発注システムの改修・入替を行う必要があり、申請者自身でパッケージ製品・サービスを購入して導入する場合、申請することができます。
原則として既にEDI/EOSなどを利用している事業者が対象ですが、現在利用していなくても、取引先の要請等により、新規にシステムを導入する事業者も対象になります。
3、補助対象は?
電子的受発注システムのうち、EDI/EOS、商品マスタ、発注・購買管理、受注管理を含む、複数税率対応のために必要なパッケージ製品やサービスを自ら購入・導入する場合、補助対象となります。ただし、購入しようとしているパッケージ製品・サービスは事務局ホームページの「B-2型 受発注システム・自己導入型」対象製品型番検索に掲載されているものでなければなりません。
対応のパッケージ製品・サービスはこちらのURLからご確認ください。
http://kzt-hojo.jp/search/product_no/b2/
なお、受発注管理と在庫管理や財務会計などが一体となったパッケージソフトやサービスは、電子的受発注システムの機能を含むものであれば、補助対象です。後述しますが、その場合は補助率が変わってきますのでご注意ください。
また、電子的受発注システムの改修・導入にともない、あわせて請求書管理システム(事業者間取引における請求書等の作成に対応するシステム)の改修・導入する場合も補助対象となります。
4、補助対象経費は?
続いてどのようなものが補助対象経費になるのかみていきましょう。B-2型の補助対象経費となる区分は以下の通りです。
①初期費用〔入替にともなう費用〕
②初期費用〔更新・修正費用〕
③物品費
①は複数税率に対応したパッケージ製品やサービスを新たに入れ替える場合の初期購入費用、②は現在利用中のパッケージ製品やサービスの更新や修正を行うためのプログラムソフトなどのライセンス初期購入費用を指します。③の物品費は、改修・入替にともない、最低限必要となる汎用端末の購入費のことで、ハードウェアですと、サーバ機器、プリンタ、パソコン(周辺機器)、ソフトウェアですと、OS、データベースソフトが対象です。
ちなみに、既存システム等の撤去、除去費用や購入・導入にあたって販売店、システムベンダーに作業を発注する場合の費用は補助対象外となります。
5、補助率、補助金上限額は?
補助対象、対象経費の確認ができたところで、どのくらいの補助がもらえるのかを確認しましょう。
●補助率3/4
●(小売事業者等の)発注システムの場合 上限:1,000万円
●(卸売事業者等の)受注システムの場合 上限:150万円
発注システムの上限は1,000万円、受注システムの上限は150万円ですが、発注システム・受注システム両方の場合、上限額は1,000万円となります。
注意点として、受発注管理と在庫管理や財務会計などが一体となったパッケージソフトやサービスなど、補助対象範囲外の機能を含むものは、初期購入費用の1/2が補助対象経費となり、これに3/4をかけた額が補助されます。また、対象製品型番検索でパッケージ製品・サービスの検索をするとき、補助対象範囲外の機能を含むものはリスト上で”○印”がついていますので、確認するようにしてください。
なお、ハードウェアなどの物品費の補助率は1/2で、1事業者あたりの物品費の上限は10万円となっています。
6、申請の流れ
B-2型は事業者自身で申請を行う型でした。申請の流れを確認しましょう。
①「パッケージ製品・サービス」の確認・選定
補助対象となる製品等は、あらかじめ事務局に登録されたものに限るため、ホームページで確認し、製品を選んでください。
②「パッケージ製品・サービス」の購入・導入
事業者自らがパッケージ製品等を2019年9月30日までに購入・導入して、電子的受発注システムの改修・入替を行います。購入した製品等の支払いも9月30日までに完了させる必要があります。
③交付申請
導入・入替完了後、すみやかに補助金交付申請を行います。ちなみに、申請の受付期限は2019年12月16日となっています。
④交付決定・補助金振込
不備等がなければ、申請から確定通知の発送まで2~2.5か月の予定で、補助金は通知日から30日以内に振り込まれます。
7、申請に必要な書類は?
申請するパッケージ製品や導入するサービスにより必要な書類が変わりますが、必ず提出が必要なのは以下の書類です。
(1) 様式B2-交付-1 補助金交付申請書(B-2)
(2) 様式B2-交付-2 経費内訳書(B-2)
(3) 様式B2-交付-3 システム改修・入替仕様書(B-2)
※システム改修箇所、内容を記載したもの。
(4) 様式B2-交付-4 補助金振込口座登録書
(5) 振込口座がわかる通帳等のコピー
(6)(法人の場合)全部事項証明書、(個人事業主の場合)開業届
※申請者が中小企業・小規模事業者であることを証明するもの。開業届は税務署受理印のあるもの。
(7) 飲食料等を記載した仕入請求書または仕入納品書のコピー
※事業および取引の実態を確認するために必要です。
(8) 製品カード、シール、保証書など(シリアルナンバー、プロダクトキー、アカウントナンバー等が確認できるもの)
※製品の名称、バージョン、型番がわかるもの、および個体の特定ができるもの。
(9) 領収書等の費用明細または入金確認書など
※購入金額と内容の確認ができ、全額の支払いが完了し、受領したことがわかる証憑(写し)が必要です。
(10) 様式B2-交付-5 交付申請書類チェックリスト
このほか、導入製品に請求書管理機能が含まれている場合や、物品・ハードウェアを購入した場合などは上記以外の情報の提出が求められます。提出書類の詳細はこちらのURLからご確認ください。
http://kzt-hojo.jp/applicant/sys_repair_order/b2/dl_list.html
8、まとめ
今回ご紹介した軽減税率対策補助金のB-2型は、事業者自らがパッケージ製品などを購入・導入しEDI/EOSなどの電子的な受発注システムを改修・入替した場合に、利用できる型でした。複数税率が始まる前に受発注システム等の対応をお考えの皆さま、軽減税率対策補助金を活用して準備を進めてみませんか。ご不明な点など、補助金ポータルまでお気軽にお問い合わせください