平成28年4月にできた比較的新しい助成金です。
40歳以上の方が対象で、
・これから開業・起業を行う場合
・開業・起業を開始して間もない場合
上記いずれかに当てはまる場合、開業・起業の支援金として助成金の支給を受けることができます。今回の助成金は、創業に要する経費の一部が補助される「創業補助金」にも似た助成事業です。
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この記事の目次
1.定年後の仕事や働き方を選択できる時代へ
あなたはいつまで働きたいと思いますか?
日本では、一般的に60歳を定年としていますが、近年、60歳以降も働く人が増えています。
高齢化社会が進行していく中で、元気なうちは定年後も働きたいという人も増えつつあり、定年後の仕事や働き方の選択は、今後のライフプランのためにもしっかりと立てておく必要があります。
厚生労働省の調査によると、定年後の措置として勤務延長制度・再雇用制度、または両方の制度がある企業の割合は94%と、制度導入を行っている企業が多いことがわかっています。
今回ご紹介する「生涯現役起業支援助成金」は、退職後も、豊富な経験を仕事に生かす機会を増やす目的としてできた制度です。働く意思があれば定年後も働ける環境づくりは進められてきていますが、収入面や自らが希望するライフスタイルにあわせた働き方を選択できるように、今から少しずつ準備を進めていきましょう。
参考:厚生労働省「平成26年就労条件総合調査結果の概況」定年制等
2.「生涯現役起業支援助成金」とは?
「生涯現役起業支援助成金」は、40歳以上の方が起業し、計画届の認定を受け、60歳以上65歳未満の方を2名以上、または40歳以上の方を3人以上新たに雇用した場合、採用や募集活動・就業規則の策定などにかかる費用の一部が助成される助成金です。
3.支給定義は?
(1)40歳以上の方が起業し、法人または個人事業の業務を専任して従事すること
(2)起業者の起業の始期における年齢が40歳以上であること
※法人の場合は法人設立日、個人事業主の場合は開業届(税務署提出の届出書)の開業日
(3)法人設立日または個人事業の開業日から起算して11カ月以内に、「雇用創出措置に係る計画書」を提出し、労働局長の認定を受けていること
(4)計画書で定めた計画期間(12カ月以内)内に、60歳以上の者を2名以上、または、40歳以上の者を3名以上の雇用保険加入者を新たに雇い入れること
(5)支給申請書提出日において、計画期間内に雇い入れた対象労働者の過半数が離職していないこと
(6)起業の始期から起算して、支給申請日までの間における離職者の数が、計画期間内に雇い入れた対象労働者の数を超えていない事業主であること
(7)計画期間(12カ月以内)内の初日から起算して、6カ月前の日から支給申請日までの間(基準期間)に、解雇など事業主都合により被保険者を離職させていない事業主であること
(8)支給申請書提出日における被保険者の6%を超える被保険者を、倒産・解雇などによる離職理由により、退職させていない事業主であること
※このほか雇用関係助成金共通の要件など、支給要件についてはこちらをご確認ください。
(1)対象労働者
「生涯現役起業支援助成金」における対象労働者は、一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れられた者が対象です。
(2)雇い入れの条件
次の条件を満たし、雇い入れることが条件です。
1.計画期間内に新たに雇い入れられた者であること
2.雇い入れ後も継続した雇用することが確実であると認められること
対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して1年以上あること
4.起業年齢区分と助成率
起業者の区分に応じて、計画期間(12カ月以内)内に行った雇用創出に要した費用に、以下の助成率に乗じた額が支給されます。
(1)助成対象経費
助成対象となる費用は、「雇用創出措置※」として費用ごとに上限額が設定されているため、注意が必要です。
※雇用創出措置とは
対象労働者(計画期間内に新たに雇い入れた雇用保険被保険者)の雇い入れに当たって事業主が行う事を求められる措置で、助成対象費用内における、求人募集や採用、教育訓練に関する経費のこと。
(2)助成対象外費用
一方で「生涯現役起業支援助成金」の対象とならない費用は次の通りです。
(1)出資金・資本金など
(2)不動産・株式・国債などの購入費
(3)人件費
(4)原材料、商品の購入費用
(5)消耗品、備品の購入費
(6)各種税金、その他国または地方公共団体に支払う費用
(7)水光熱料 など
5.手続きの流れ
申請書類について
各種様式については、厚生労働省の申請様式一覧よりダウンロードして下さい。
6.まとめ
いかがでしたか?
一昔前と比べて日本では健康寿命が延び、元気に働けるシニア層が増えてきています。
今回ご紹介した「生涯現役起業支援助成金」の他にも、厚生労働省は高齢者の就職支援として、「産業雇用安定センター」にて、新たな人材バンクの設置事業を実施しています。
これは、退職を予定している高齢者が自分のキャリア・能力・就業希望など情報を登録しておくことで、高齢者の採用を考えている企業が情報を閲覧し、面接を行った上で採用を行うというものです。平成29年7月以降には、本人の認める範囲内で、ハローワーク等に人材バンクの登録情報を提供することで、企業側と支援側の双方からのアプローチにより仕事を見つけることが可能になる仕組みづくりが順次進められています。
参考:公益財団法人 産業雇用安定センター「高齢者退職予定者キャリア人材バンク事業」
今回のような助成金や人材バンク設置事業など、高齢化社会が進む日本では、再雇用をサポートする仕組み作りが広がっていくことが大切です。今まで積んだ経験を生かし、更なる活躍を後押しするために、助成金を活用して、雇用にかかる経費を抑えるのもひとつの手段ではないでしょうか。
「生涯現役起業支援助成金」に関するQ&A記事もぜひお読みください。