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最大325万円!人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)とは?2026年度の改正点と申請方法

公開日:2025/4/4 更新日:2026/8/31
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令和8(2026)年4月8日、人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)の要領が改正されました。賃金要件が「3%以上/5%以上/7%以上」の3段階に細分化され、業務負担軽減機器等の導入で7%以上の賃上げを行うと、助成上限が最大325万円まで拡充されました。

「離職率が下がらない」「人材確保のために雇用管理を見直したいがコストが重い」――こうした悩みを抱える中小企業経営者は多いのではないでしょうか。厚生労働省「令和5年 雇用動向調査」によると、日本の年間離職率は約15.4%と依然として高水準であり、特に中小企業では定着の難しさが経営課題となっています。

そこで注目されているのが、雇用管理制度の整備や業務負担軽減機器等の導入を通じて離職率低下を後押しする本コースです。賃金規定制度、諸手当等制度、人事評価制度、職場活性化制度、健康づくり制度の5つの雇用管理制度と、業務負担軽減機器等の導入を組み合わせることで、最大325万円の助成が受けられます。

なお、本コースは令和7(2025)年3月末で廃止された「人事評価改善等助成コース」を統合して令和7年4月から実施されている制度で、2026年度も継続しています。「人材確保等支援助成金は廃止されたのでは?」と心配する声もありますが、本コース自体は現在も申請可能です。

この記事では、令和8年度に改正された人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)の助成額・対象要件・申請方法を、厚生労働省の令和8年4月8日版パンフレットに基づき整理します。

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この記事の目次

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人材確保等支援助成金とは?2026年度も継続する7つのコース一覧

人材確保等支援助成金は、魅力ある職場づくりに取り組む事業主や事業協同組合等を支援する厚生労働省の助成金です。労働環境の向上を通じて人材の確保・定着を図ることを目的としており、雇用保険料を財源としています。令和8(2026)年度も全7コースが継続実施されており、業種や課題に応じて使い分けができます。

「人材確保等支援助成金は廃止されたのでは?」と検索する方もいますが、廃止されたのは旧コースの一部です。具体的には「人事評価改善等助成コース」が令和7年3月31日付で廃止され、令和7年4月1日から本記事で解説する「雇用管理制度・雇用環境整備助成コース」に統合されました。人材確保等支援助成金そのものは2026年度も存続しています。

「補助金との違いは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。補助金が主に経済産業省系で公募・審査を経て採択される仕組みなのに対し、助成金は厚生労働省系で、要件を満たせば原則として支給される点が特徴です。

人材確保等支援助成金の7つのコース一覧

2026年度に実施されている7コースの概要は、以下のとおりです。本記事で解説する「雇用管理制度・雇用環境整備助成コース」は、業種を問わず多くの事業者が活用できる汎用性の高いコースです。

コース名主な対象主な助成額の目安
雇用管理制度・雇用環境整備助成コース(本記事)全業種の中小企業最大325万円
中小企業団体助成コース中小企業団体最大1,000万円
建設キャリアアップシステム等活用促進コース建設業1人あたり16万円等
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)建設業経費の3/5等(1人42万円加算あり)
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)建設業経費の3/5等
外国人労働者就労環境整備助成コース外国人を雇用する事業主最大80万円
テレワークコース全業種制度導入20万円+目標達成15万円

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【2026年度】人材確保等支援助成金とは?7コースの助成額・要件・改正点をわかりやすく解説|最大325万円

雇用管理制度・雇用環境整備助成コースとは?対象と支給の仕組みをわかりやすく解説

雇用管理制度・雇用環境整備助成コースは、事業主が求職者や従業員にとって魅力ある職場を創出するため、新たに雇用管理制度や業務負担軽減機器等を導入し、離職率の低下を実現した場合に、取り組み内容に応じた額を支給する制度です。令和8年4月8日改正後は、賃金要件を満たす場合の助成額が最大325万円まで拡充されました。

支給対象となるのは「雇用管理制度」5種類と「業務負担軽減機器等」の導入です。両方を組み合わせて申請することが可能で、離職率の低下目標を達成すれば助成金が支給されます。単に制度を作るだけでなく、実際に離職率が下がることが支給の条件である点が、本コースの大きな特徴です。

対象となる雇用管理制度の5種類

本助成金における雇用管理制度とは、以下の5つを指します。いずれか1つでも新たに導入すれば助成対象になります。

制度名内容
①賃金規定制度賃金規定および賃金表を整備する取り組み(中小企業事業主のみ対象)
②諸手当等制度諸手当制度、退職金制度または賞与制度を導入する取り組み
③人事評価制度生産性向上に資する人事評価制度を導入する取り組み
④職場活性化制度メンター制度、従業員調査(エンゲージメントサーベイ)または1on1ミーティングを導入する取り組み
⑤健康づくり制度人間ドックを導入する取り組み

業務負担軽減機器等(B区分)の位置づけ

業務負担軽減機器等とは、雇用する対象労働者が直接作業していた行為について、従業員の直接的な作業負担を軽減する機器・設備等を導入・運用することにより、職場内の雇用環境の整備を行う取り組みを指します。介護施設の見守りセンサー、製造業の容器洗浄機、運輸業の電動アシスト台車などが該当します。

なお、パソコン・タブレット・スマートフォンや汎用事務機器、空調・照明機器などは対象外です。詳細な対象外リストは後述の「主な受給要件」で解説します。

支給までの流れ

申請から助成金支給までの主な流れは、以下のとおりです。計画の提出から実際の支給までには2年半以上かかる点をあらかじめ理解しておきましょう。

(1) 雇用管理制度等整備計画の作成・提出
提出期間内に、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出します。

(2) 雇用管理制度または業務負担軽減機器等の導入
認定を受けた計画に基づき、雇用管理制度または業務負担軽減機器等を導入します。なお、雇用管理制度を導入する場合は、労働協約または就業規則への明文化が必要です。

(3) 雇用管理制度または雇用環境整備の措置の実施
導入した雇用管理制度または業務負担軽減機器等を計画どおりに実施・利用します。

(4) 支給申請
評価時離職率算定期間(計画期間終了後12か月間)終了後2か月以内に、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出します。

(5) 助成金の支給
最大230万円(賃金要件を満たした場合、最大325万円)

雇用管理制度・雇用環境整備助成コースはいくらもらえる?【2026年度・最大325万円】

本コースで支給される助成額は、最大230万円(賃金要件加算ありで最大325万円)です。令和8年4月8日改正で賃金要件が3段階(3%以上/5%以上/7%以上)に細分化され、7%以上の賃上げを業務負担軽減機器等の導入と組み合わせた場合、助成率が対象経費の75/100・上限225万円まで引き上げられました。

実施した雇用管理制度・雇用環境整備の措置ごとに以下の金額が支給されます。括弧内は、賃金要件を満たした場合の額です。

A 雇用管理制度の導入

制度名助成額上限額
a 賃金規定制度(賃金表の整備)※中小企業のみ40万円(50万円)80万円(100万円)
b 諸手当等制度(資格手当などの導入)
c 人事評価制度(人事評価制度の導入)
d 職場活性化制度(メンター制度等の導入)20万円(25万円)
e 健康づくり制度(人間ドックの実施)

B 業務負担軽減機器等の導入

助成率上限額適用条件
対象経費の1/2150万円賃金要件なし
対象経費の62.5/100187.5万円賃金要件3%以上または5%以上を満たす場合
対象経費の75/100225万円賃金要件7%以上を満たす場合(B区分限定)

対象経費とは、機器・設備等の購入費用(購入価格)のほか、設定費用、社員等に対する研修費用、機器・設備等の設置・撤去等の費用、リース契約およびライセンス契約等に係る費用を含みます。

具体的な活用事例

雇用管理制度を組み合わせれば、最大80万円(賃金要件加算ありで100万円)を受け取れます。さらに業務負担軽減機器等を組み合わせると、最大325万円まで助成額を伸ばせます。

①賃金要件加算なしの場合
・賃金規定制度(40万円)+ 人事評価制度(40万円)= 合計80万円
・諸手当等制度(40万円)+ 職場活性化制度(20万円)+ 健康づくり制度(20万円)= 合計80万円
・賃金規定制度(40万円)+ 諸手当等制度(40万円)+ 雇用環境整備(対象経費の1/2、上限150万円)= 合計230万円

②賃金要件加算あり(5%以上の賃上げの場合)
・賃金規定制度(50万円)+ 諸手当等制度(50万円)+ 雇用環境整備(対象経費の62.5/100、上限187.5万円)= 合計287.5万円

③賃金要件加算あり(7%以上の賃上げの場合)
・賃金規定制度(50万円)+ 諸手当等制度(50万円)+ 雇用環境整備(対象経費の75/100、上限225万円)= 合計325万円

賃上げと設備投資を同時に進めたい場合は、最低賃金の引き上げに使える「業務改善助成金」との併用検討も有効です(同一の設備・経費への重複助成は不可)。

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業種別の活用イメージ

本コースは業種を問わず活用できますが、特に人手不足が深刻な業種では業務負担軽減機器等の導入効果が大きくなります。厚生労働省パンフレットに挙げられた業種ごとの主な活用例は次のとおりです。

業種導入機器・制度の例期待される効果
医療・介護・福祉車いす昇降リフト、介護記録ソフト、見守りセンサー身体的負担の軽減、夜間業務の省力化、離職防止
建設業建築用ソフトウェア、油圧ショベル等の機器現場作業の効率化、若手・女性の定着支援
製造業洋菓子製造機器、容器洗浄機反復作業の自動化、生産性向上
運輸業・郵便業フォークリフト、電動アシスト台車荷役負担の軽減、安全性の向上
卸売業・小売業POSシステム、電動搬入カート店舗オペレーション効率化、レジ業務軽減
宿泊業・飲食サービス業ロボット掃除機、食器洗浄機清掃・洗浄業務の負担軽減

特に介護業界では、人材確保等支援助成金以外にも「介護テクノロジー導入支援事業」など複数の支援策が用意されており、組み合わせて活用することで職場環境改善の効果を高められます。

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主な受給要件(事業主・労働者・離職率)は?

本助成金を受給するには、事業主・労働者・離職率のそれぞれについて要件を満たす必要があります。ここでは主な要件を確認していきましょう。

事業主の要件

助成金の対象となる事業主の主な要件は、以下のとおりです。

❶ 雇用保険の適用事業の事業主であること。

❷ 雇用管理制度等の整備に関する計画を都道府県労働局長に提出し、認定を受けた事業主であること。

❸ 計画の認定申請日から計画期間の末日までの間において、同一の労働者を最低1名は適用対象労働者として継続して雇用していること。

❹ 認定された計画に基づき、雇用管理制度または業務負担軽減機器等を新たに導入し、対象労働者の2分の1以上に対して、当該制度・機器を実施・利用していること。

❺ 導入した雇用管理制度および業務負担軽減機器等を評価時離職率算定期間の末日まで運用または使用していること。

❻ 離職者がいる場合、次の条件を満たすこと。
雇用管理制度等整備計画の期間の初日の前日から起算して6か月前の日から本コースに係る支給申請書の提出日までの間に、倒産や解雇などの離職理由により離職した者の数が、雇用管理制度等整備計画の提出日における被保険者数の6%を超えていないこと(特定受給資格者となる離職理由の被保険者が3人以下の場合を除く)。

❼ 計画開始日の前日から起算して6か月前から雇用管理制度等整備計画の期間の末日までの期間について、雇用する雇用保険被保険者を事業主都合で解雇等していないこと(同一事業主の全ての適用事業所が対象)。

離職率の目標を達成すること。
※評価時離職率が30%以下となっている必要があります。
※離職率は、事業主単位(同一の事業主が設置する全ての雇用保険事業所)で算出するものであり、業務負担軽減機器等を導入していない事業所も計算に含みます。

❾ 過去に指定の助成金を受給している場合については、最後の支給決定日の翌日から起算して3年間が経過している事業主であること。

❿ 雇用管理制度等整備計画の開始日までに、対象事業所ごとに「雇用管理責任者」を選任し、労働者に周知している事業主であること。

離職率の低下目標

離職率の低下目標は、事業所の規模によって異なります。

事業所における雇用保険一般被保険者の人数規模区分1〜9人10人以上
低下させる離職率ポイント(目標値)現状維持1%ポイント

※計画時離職率−目標値の値が0%を下回る場合、新規創業等で計画時離職率を算出できない場合は、評価時離職率を0%とすることを目標とします。
※人数規模区分は、評価時離職率算定期間の初日時点の人数規模区分を適用します。

離職率の算定方法

離職率は、以下の計算式のとおり算出します。

離職率(%) = 所定の期間における離職による雇用保険一般被保険者資格喪失者数 ÷ 所定の期間の初日における雇用保険一般被保険者数 × 100

計画時離職率:「所定の期間」が「雇用管理制度等整備計画の認定申請日の12か月前の属する月の初日から雇用管理制度等整備計画の認定申請日の属する月の前月末までの期間」として算出した離職率

評価時離職率:「所定の期間」が「雇用管理制度等整備計画の期間の末日の翌日から起算して12か月経過する日までの期間」として算出した離職率

なお、定年退職、重責解雇、役員昇格、労働者の個人的な事情による労働時間短縮などによる資格喪失者は、離職率算定上の「離職者」に含みません。

対象労働者の要件

対象労働者とは、次のすべてに該当する労働者をいいます。

■次のいずれかに該当する者
・期間の定めなく雇用されている者
・一定の雇用期間が定められているが、その雇用期間が反復継続され、事実上期間の定めなく雇用されている場合と同等と認められる者

■事業主に直接雇用される者であること。

■雇用保険の被保険者(「高年齢被保険者」「短期雇用特例被保険者」および「日雇労働被保険者」以外の被保険者。以下「雇用保険被保険者」という。)であること。

また「適用対象労働者」とは、対象労働者のうち、事業主が本コースの支給を受けるにあたり、いずれかの雇用管理制度、雇用環境整備の措置またはその両方の適用対象として選定した労働者をいいます。

支給対象となる雇用管理制度・業務負担軽減機器等の要件

対象となる制度は、新たに導入するものに限られます。そのほか、個別の主な要件は、以下のとおりです。

①賃金規定制度
■中小企業事業主が整備するものであること
■対象事業所における全ての対象労働者を適用対象労働者とする制度とすること
■「賃金規定」および「賃金表」がいずれも完備されている状態にあること
■年齢・勤続年数・能力等と連動して賃金が上昇し、定期昇給の仕組みが導入されていること
■適用対象労働者の賃金の額の引き下げを行う等、本助成金の趣旨・目的に反する内容ではないこと

②諸手当等制度
■制度導入後、適用対象労働者全員の賃金の合計額が低下していないこと
■諸手当等制度において雇用形態に応じた差を設ける場合には「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」を踏まえた内容であること
■制度導入に伴い、基本給(各手当等)を減額するものではないこと
■退職金制度を導入する場合、全ての対象労働者を適用対象労働者とし、1か月分相当として3,000円以上を6か月分または6か月分相当として18,000円以上積立てを行い、費用を全額事業主が負担すること
■賞与制度を導入する場合、全ての対象労働者を適用対象労働者とし、6か月分相当として50,000円以上支給すること

③人事評価制度
■対象事業所における全ての対象労働者を適用対象労働者とする制度であること
■労働者の生産性向上に資すると見込まれる制度であることについて、労働組合または労働者の過半数を代表する者と合意していること
■評価結果が賃金(諸手当、賞与を含みます)に直接反映されるものであって、その額または変動の幅・割合との関係が明確なものであること
■評価対象期間は1年以内とし、評価は年1回以上行われるものであること
■人事評価制度の実施日以後に賃金が増加する仕組みであること

④職場活性化制度
■本制度の適用対象労働者の範囲、適切に実施されるための合理的な条件および事業主の費用負担が、労働協約または就業規則に明示されていること
■外部機関等に委託等して実施させる場合、公表されている外部機関等が実施した制度でないこと

職場活性化制度の種類:
(イ)メンター制度:先輩(メンター)が後輩(メンティ)をサポートするメンタリングの措置
(ロ)従業員調査(エンゲージメントサーベイ):従業員の仕事への熱意・愛着・貢献意欲を測定するアンケート調査
(ハ)1on1ミーティング:直属の上司と部下が1対1で行う対話方式の面談(月1回以上の実施が必要)

⑤健康づくり制度
■心臓、肝臓、肺、胃、腸、眼、耳などの諸臓器等の検査および糖、脂質代謝の検査等を含み、かつ、労働安全衛生法第66条第1項および労働安全衛生規則第44条に定める定期健康診断の項目を含んでいること
■適用対象労働者の範囲、合理的な条件、事業主の費用負担について、労働協約または就業規則に明示されていること
■受診等に要する費用は、その半額以上を事業主が負担していること
■定期健康診断に加え、胃がん検診、子宮がん検診、肺がん検診、乳がん検診、大腸がん検診、歯周疾患検診、骨粗鬆症検診、腰痛健康診断のうち1つ以上を受診させる制度であること

⑥業務負担軽減機器等
■ひとつの導入にかかる費用(見積価格および購入価格。消費税を含む)は10万円以上とする
■導入方法は、購入、リース契約、ライセンス契約および既存の機器・設備等の変更を対象とする
■リース契約およびライセンス契約による場合は、認定整備計画の初日から3年以上継続して契約する見込みがあること

対象外となる機器・設備等:
・汎用事務機器、ネットワーク環境整備の導入・更新等
・パソコン、タブレット端末、スマートフォンおよびその周辺機器
・業務負担軽減に資する特種用途自動車以外の自動車
・不快感の軽減や快適化を目的としたもの(空調設備の導入・更新、照明機器の交換等)
・自宅など対象事業所以外の場所に設置するようなもの(テレワーク用通信機器等)
・法令等で義務づけられるものであって、当然整備すべきとされているもの
・事業主が私的な目的のために導入する機器・設備等

賃金要件(3%以上・5%以上・7%以上)とは?【2026年度改正】

賃金要件とは、整備計画期間中に対象労働者の賃金を引き上げることで、助成額を加算できる仕組みです。令和8年4月8日改正で「3%以上」「5%以上」「7%以上」の3段階に細分化され、3%以上・5%以上は助成額の25%を加算、7%以上(業務負担軽減機器等の導入が条件)は助成額の50%を加算する仕組みになりました。

3つの賃金要件と加算内容

賃金要件と、それによって加算される内容は次のとおりです。

賃金要件加算率A 雇用管理制度への加算B 業務負担軽減機器等への加算
賃金要件なし各制度20万円・40万円/上限80万円対象経費の1/2/上限150万円
3%以上(別途要件あり)25%加算各制度25万円・50万円/上限100万円対象経費の62.5/100/上限187.5万円
5%以上25%加算各制度25万円・50万円/上限100万円対象経費の62.5/100/上限187.5万円
7%以上(機器導入が条件)50%加算各制度25万円・50万円/上限100万円対象経費の75/100/上限225万円

3%以上の賃金要件を選ぶ場合は、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。

(イ)各年度4月1日時点の雇用保険被保険者数を前年度と比較し、前の年度を下回っていること

(ロ)各年度4月の雇用保険被保険者一人当たりの毎月決まって支払われる賃金の平均額を前年度と比較し、前の年度より3%以上上昇していないこと

(ハ)計画認定申請日の6か月前から前日までに、労働局の雇用管理改善等コンサルタントまたは介護労働安定センターの雇用管理コンサルタントによる相談・援助を受けていること

一方、5%以上・7%以上の賃金要件には、この(イ)〜(ハ)の追加条件はありません。

賃金要件を満たすための具体的な計算方法

賃金要件は、対象労働者名簿に記載された対象労働者の毎月決まって支払われる賃金を、指定割合以上引き上げる取り組みです。

具体的には、労働者それぞれについて、引き上げ前3か月の毎月決まって支払われる賃金の合計額と、引き上げ後3か月(引き上げた月を含む)の毎月決まって支払われる賃金の合計額を比較して、指定割合以上増加していることが必要です。

賃金の引き上げは、実施日から整備計画期間の末日までの間に実施する必要がありますのでご注意ください。健康づくり制度などで実施日(人間ドックの受診日等)よりも前に賃上げをしてしまうと、賃金要件を満たしたとは認められません。

申請期間の考え方と申請スケジュールは?

本助成金の申請には、まず計画の認定が必要です。計画期間は3か月以上1年以内、計画の提出期限は計画開始日の6か月前〜1か月前です。ここでは、具体的な申請スケジュールの例を見ていきましょう。

計画認定申請の手続き

①計画の内容
計画の作成にあたっては、支給要領やパンフレット等に記載の要件に基づき、内容を検討してください。

②計画期間
3か月以上1年以内
計画開始日は、最初に雇用管理制度または業務負担軽減機器等を導入する月の初日になります。
※人事評価制度を導入する場合であって、その導入日から起算して1年を超える日に人事評価制度に基づく賃金の支払日が到達する場合は、1年3か月以内

③計画の提出期限
計画開始日からさかのぼって、6か月前〜1か月前の日に提出してください。
なお、複数の計画を1度に提出することはできず、既に計画を提出している事業主は、当該計画に係る支給決定日または不支給決定日の翌日までは、新たな計画を提出することはできません。

④計画の提出先
本社の所在地を管轄する都道府県労働局に提出してください。
※ハローワークに提出できる場合もありますので、管轄の都道府県労働局へお問い合わせください。

申請スケジュールの例

雇用管理制度等整備計画の期間を2026年8月1日〜2027年7月31日とし、認定申請を2026年6月10日に行う場合の例は、以下のとおりです。厚生労働省パンフレットに掲載されているモデルケースです。

ステップ期間・日付内容
計画時離職率算定期間2025年6月1日〜2026年5月31日(12か月間)認定申請日の12か月前の属する月の初日から、認定申請日の属する月の前月末まで
計画書の認定申請2026年6月10日都道府県労働局へ整備計画を提出
雇用管理制度等整備計画の期間2026年8月1日〜2027年7月31日制度の導入・実施期間
評価時離職率算定期間2027年8月1日〜2028年7月31日(12か月間)計画期間の末日の翌日から12か月間
支給申請期間2028年8月1日〜2028年9月30日評価時離職率算定期間終了後2か月以内

支給申請の手続き

評価時離職率算定期間の末日の翌日から2か月以内に、申請書等を本社の所在地を管轄する都道府県労働局に提出してください。

計画申請時の主な提出書類

計画認定申請時に必要な主な書類は、以下のとおりです。

番号書類名
□1「人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)雇用管理制度等整備計画書」(様式第a-1号)
□2導入する雇用管理制度等区分に応じた概要票(様式第a-1号別紙1〜6)
□3「対象労働者名簿」(様式第a-1号別紙7)
□4(人事評価制度の場合)労働組合または労働者の過半数を代表する者と合意していることが確認できる書類
□5「事業所確認票」(様式第a-2号)
□6(雇用管理制度導入の場合)現行の労働協約または就業規則(写)、および変更する予定の労働協約または就業規則の案
□7(業務負担軽減機器等の場合)導入予定の業務負担軽減機器等の見積書二社分
□8(業務負担軽減機器等の場合)導入予定の業務負担軽減機器等の概要が分かる資料
□9離職率算定対象事業所における計画時離職率算定期間の雇用保険一般被保険者の離職理由等が分かる書類
□10「対象労働者」の要件を満たすことが確認できる書類
□11(「改定」として認定を受けようとする場合)「改定」と取り扱うことが可能であることを示す書類の写し
□12(賃金要件3%の(ロ)を満たす場合)賃金台帳等、要件を満たすことが確認できる書類

雇用管理制度等整備計画書の書き方とつまずきやすいポイントは?

本助成金の認定可否は、提出する「雇用管理制度等整備計画書」の記載内容で大きく左右されます。特に計画書に記載した「計画時離職率」が労働局の算定結果と一致しない場合、計画は認定されません。ここでは記載のポイントを整理します。

計画書に記載する主な項目

計画書(様式第a-1号)に記載する主な項目は次のとおりです。

項目記載のポイント
事業主情報本社所在地、業種、雇用保険適用事業所番号を正確に記載する
雇用管理責任者対象事業所ごとに選任した責任者の氏名・役職を記載し、労働者への周知を済ませておく
整備計画の期間計画開始日は最初の制度導入月の初日。3か月以上1年以内(人事評価制度は1年3か月以内)
導入する制度・機器5つの雇用管理制度から選択、または業務負担軽減機器等の概要を具体的に記載
対象労働者名簿適用対象労働者の氏名・雇用保険被保険者番号・雇用形態等を一覧化
計画時離職率認定申請日の12か月前の月初〜申請月の前月末までの雇用保険被保険者の離職実績から算出

計画認定でつまずきやすい3つのポイント

労働局への提出後、内容不備で差し戻されるケースは少なくありません。特に注意したい点を3つ挙げます。

① 計画時離職率の算定誤り
労働局で算出する離職率と計画書記載値が一致しないと不認定となります。雇用保険被保険者数・離職者数・定年退職者数・重責解雇者数は雇用保険資格喪失届の控えと突き合わせ、慎重に算出しましょう。雇用保険被保険者資格取得届・喪失届の届出漏れがないかも確認が必要です。

② 提出期限の見落とし
計画開始日の6か月前から1か月前までの期間に提出する必要があります。「制度導入を急ぐあまり、計画書を期限ギリギリで提出して受付不可」というケースが多いため、逆算スケジュールで動きましょう。

③ 雇用管理責任者の選任漏れ
計画開始日までに対象事業所ごとに雇用管理責任者を選任し、労働者へ周知する必要があります。形式的な選任で終わらせず、就業規則や社内通知で明確に周知しておくことが重要です。

助成金受給に関する注意事項

本助成金を申請する際には、以下の点にご注意ください。予算の範囲内で支給される制度のため、早期の計画策定・申請が推奨されます。

■この助成金は、予算の範囲内で支給されるものです。

■この助成金は、事業主単位で申請を行うものです。

■助成金の支給に当たっては厳正な審査を行います。また、確認項目が多いため、支給可否の決定までに時間がかかる場合があります。

■提出された書類だけでなく、制度等の実施の確認、賃金の支払い状況や制度等に要した経費の支払い状況などについて、原本などを確認することがありますので、その際にはご協力をお願いします。

■支給対象となる制度導入等に対して、他の助成金等を受けている場合は、原則としてこの助成金を受けることはできません。

不正受給は犯罪です。偽りその他不正行為により本来受けることのできない助成金の支給を受け、または受けようとした場合、助成金は不支給、または支給を取り消します。不正受給を行った事業主名等は原則公表されます。

■この助成金は国の助成金制度ですので、受給した事業主は国の会計検査の対象となることがあります。また、都道府県労働局に提出した支給申請書、添付書類の写し等は、支給決定されたときから5年間保管してください。


人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)に関するよくある質問



人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)は結局いくらもらえる?


賃金要件加算なしの場合は最大230万円、5%以上の賃上げを行う賃金要件を満たした場合は最大287.5万円、7%以上の賃上げを業務負担軽減機器等の導入と組み合わせた場合は最大325万円が支給されます。雇用管理制度を最大2つ(50万円×2=100万円)と業務負担軽減機器等(上限225万円)を組み合わせることで325万円に到達するイメージです。




人材確保等支援助成金は廃止されたのですか?


人材確保等支援助成金そのものは廃止されておらず、2026年度も7コースが継続しています。廃止されたのは旧「人事評価改善等助成コース」で、令和7年3月31日付で廃止され、令和7年4月1日から本記事で解説する「雇用管理制度・雇用環境整備助成コース」に統合されました。また、介護福祉機器助成コースは令和6年3月末で廃止されています。本コースは現在も申請可能です。




2026年度(令和8年度)の改正点は何ですか?


令和8年4月8日の要領改正で、賃金要件が「3%以上/5%以上/7%以上」の3段階に細分化されました。3%以上・5%以上は助成額の25%加算、7%以上は50%加算となり、特に7%以上の賃上げを業務負担軽減機器等(B区分)の導入と組み合わせた場合、助成率が対象経費の75/100・上限225万円まで拡充され、助成額の合計上限が最大325万円になりました。




補助金と助成金の違いは何ですか?


補助金は主に経済産業省系で公募・審査を経て採択される仕組みなのに対し、人材確保等支援助成金などの助成金は厚生労働省系で、要件を満たせば原則として支給されます。本助成金も雇用保険料を財源とし、所定の要件を満たすことで受給できます。




介護業界でも雇用管理制度・雇用環境整備助成コースを活用できますか?


活用できます。本コースは業種を問わず、雇用保険適用事業の事業主であれば対象です。介護分野では、車いす昇降リフトや介護記録ソフト、見守りセンサーなどが業務負担軽減機器等として認められる場合があります。介護業界向けにはほかに「介護テクノロジー導入支援事業」もあるため、組み合わせ活用も検討しましょう。




どのような制度を導入すれば対象になりますか?


雇用管理制度として、賃金規定制度(中小企業のみ)・諸手当等制度・人事評価制度・職場活性化制度(メンター制度、エンゲージメントサーベイ、1on1ミーティング)・健康づくり制度(人間ドック)の5つがあります。また、業務負担軽減機器等の導入も対象です。いずれか1つでも新たに導入すれば助成対象となります。




エンゲージメントサーベイは具体的にどんな調査ですか?


エンゲージメントサーベイとは、従業員の仕事への熱意や愛着、組織への貢献意欲を測定するアンケート調査のことです。本コースでは職場活性化制度のひとつとして位置づけられており、3つ以上の質問項目を設けるなどの要件を満たして新たに導入し、労働協約または就業規則に明示することで、20万円(賃金要件加算ありで25万円)の助成対象となります。




離職率の目標はどのように設定されますか?


雇用保険一般被保険者の人数が1〜9人の場合は現状維持、10人以上の場合は1%ポイントの低下が目標となります。なお、評価時離職率が30%以下であることも必要です。離職率は事業主単位で算定するため、業務負担軽減機器等を導入していない事業所も計算に含みます。




雇用管理制度等整備計画書を作成する際のポイントは?


最も重要なのは「計画時離職率」を正確に算出することです。労働局の算定値と一致しないと計画は認定されません。あわせて、雇用管理責任者の事業所ごとの選任と労働者への周知、計画開始日の6か月前から1か月前までという提出期限の遵守も不可欠です。導入する制度・機器の内容も、具体的な実施方法まで踏み込んで記載しましょう。




計画の提出期限はいつまでですか?


計画開始日からさかのぼって、6か月前〜1か月前の日に、本社の所在地を管轄する都道府県労働局に提出する必要があります。計画期間は原則3か月以上1年以内で設定します。




業務負担軽減機器等として、パソコンやタブレットは対象になりますか?


パソコン、タブレット端末、スマートフォンおよびその周辺機器は対象外です。また、汎用事務機器やネットワーク環境整備の導入・更新、空調設備や照明機器の交換なども対象になりません。1件あたりの導入費用は10万円以上であることも要件です。




既に導入している制度を改善する場合も対象になりますか?


原則として「新たに導入」するものが対象ですが、「賃金規定制度」「人事評価制度」および「健康づくり制度」については、一定の条件を満たせば「改定」として取り扱われ、助成対象となる場合があります。詳しくは管轄の労働局にお問い合わせください。



まとめ

人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)は、令和8(2026)年度の要領改正で助成上限が最大325万円まで拡充された、雇用管理の改善に取り組む事業者にとって心強い支援制度です。特に賃金要件が3段階(3%以上/5%以上/7%以上)に細分化され、賃上げに積極的な事業者ほど大きなメリットを得られる設計になっています。

申請にあたっては計画書の事前提出と認定が必要となります。特に計画書に記載する「計画時離職率」が労働局にて計算する離職率と一致しなければ計画は認定されませんので、雇用保険被保険者の数、離職者数、定年退職または重責解雇した者等の数は正確に記入しましょう。

働く人の環境整備や負担軽減の対策は、人材確保と定着に直結します。本制度をはじめとした支援策を上手に取り入れ、スムーズな職場改革を目指しましょう。

あわせて読みたい:【2026年度】人材確保等支援助成金とは?7コースの助成額・要件・改正点をわかりやすく解説

【2026年度】人材確保等支援助成金とは?7コースの助成額・要件・改正点をわかりやすく解説|最大325万円

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