政府は2026年2月27日、高校授業料の実質無償化に向け、就学支援金の支給制度を見直す法律の改正案を閣議決定しました。2026年4月1日からの施行を目指し、年度内の成立を図っています。
2026年度から所得制限が撤廃され、すべての世帯で実質授業料無償化となる予定です。具体的には、所得制限の撤廃と私立全日制高校の支援上限が年45万7,000円に引き上げられることが決定しています。
高校進学を控え、教育費の負担に不安を感じる保護者の方も多いのではないでしょうか。国が実施する「高等学校等就学支援金」制度は、こうした負担を軽減するために設けられた仕組みで、すでに全国の高校生の約8割が利用しています。
制度の内容を正しく理解しておくことで、申請準備をスムーズに進められます。高校生活のスタートを安心して迎えるためにも、この支援制度のポイントをしっかり確認しておきましょう。
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・【大学】給付型奨学金について詳しく解説!条件や注意点・もらえる確率も
・多子世帯の給付型奨学金が拡充 授業料も無償化 詳しい内容と注意点を解説
この記事の目次
2026年から高校の授業料無償化はどう変わる?
2026年度からの「高校の授業料無償化」が大きく変わります。これまで、国公立に加えて私立の高等学校も、所得制限を設けたうえで授業料無償化を実施してきました。
しかし、2026年度以降は国公立・私立を問わず、すべての高校において授業料の実質無償化が行われます。具体的には、所得制限が撤廃されるため、どの世帯においても授業料相当分の支援が受けられるようになります。
高校の授業料無償化の流れ

高校の授業料無償化は、2010年に「高等学校等就学支援金制度」として始まりました。本制度は、日本国内の高校等に要件を満たしたうえで通う生徒に対して支援を行う内容です。ただし、保護者の所得要件が設けられており、一定所得のある世帯は対象外とされていました。
2024年度以降、制度内容が見直されてきました。具体的な変更時期と概要は以下のとおりです。
| 時期 | 所得制限 | 国公立 | 私立 |
| 2024年度まで | あり | 世帯年収910万円未満を対象に、年11万8,800円を上限に支援(実質無償化) | 世帯年収910万円未満:年11万8,800円を上限に支援 世帯年収が590万円未満:年39万6,000円を上限に支援 |
| 2025年度 | 一部あり | 所得制限なし:年11万8,800円を上限に支援(実質無償化) | 所得制限なし:年11万8,800円を上限に支援(「高校生等臨時支援金」) 世帯年収590万円未満:年39万6,000円を上限に支援 |
| 2026年度以降 | なし | 所得制限なし:年11万8,800円を上限に支援(実質無償化) | 所得制限なし:年45万7,00円を上限に支援 |
参考:高校生の学びを支えます
※全日制の場合
※通信制や高等専門学校などの支援金額は別途規定
このように、2025年から2026年にかけて「所得制限の撤廃」に向けた動きが段階的に進んでいます。2025年度は臨時的な支援措置、2026年度からは恒久的な制度として、すべての高校生が授業料支援を受けられる環境が整っていく予定です。
高校無償化はいつから?
公立高校については、2025年度(令和7年4月)より所得制限が撤廃され、すでに全世帯を対象に年額11万8,800円を上限とした支給が始まっています。
さらに、2026年度(令和8年4月)からは私立高校についても同様に所得制限がなくなり、全日制では年額45万7,000円を上限に支給される予定です。
これにより、公私を問わず教育費の負担軽減が拡充されます。
東京都や大阪府では独自に授業料無償化を進めてきた
東京都や大阪府では、独自の支援制度で高校の授業料無償化を進めてきました。
| 東京都 | 国公立:11万8,000円 私立:48万4,000円 | ・都内在住の高校生が対象 ・2024年度から所得制限の撤廃により、すべての高校授業料を実質無償化 |
| 大阪府 | 2024年度:高校3年生の授業料を無償化 2025年度:高校2・3年生の授業料を無償化 2026年度:高校における全学年の授業料を無償化 | ・2026年度までに所得制限を撤廃予定 |
参考:東京都 所得制限なく私立高校等の授業料支援が受けられます 6月20日からオンラインで申請開始
高等学校等就学支援金の対象となる家庭は?
高校の授業料支援を受けられるかどうかは、保護者の所得によって判断されてきました。
これまでは、「高等学校等就学支援金」の対象となるために、保護者の所得割額(道府県民税+市町村民税の合計)が50万7,000円未満という条件が設けられていました。これは、一般的な4人家族(高校生1人・中学生1人、両親のうち片方が働く世帯)で換算すると、年収約910万円未満が目安です。
対象となる学校
就学支援金の対象は、次のような「高校等の課程」に在学する生徒です。
- 高等学校(全日制・定時制・通信制)
- 中等教育学校(後期課程)
- 特別支援学校(高等部)
- 高等専門学校(1〜3年次)
- 専修学校の高等課程 など
対象外となる主なケース
一方で、次のような場合は、支援の対象外となります。
- すでに高校を卒業または修了している
- 在学期間が通算36か月を超えている(※定時制・通信制は別算定)
- 海外在住などで日本の住民税が課されていない
高等学校等就学支援金 いくら支援される?
授業料の支援額は、通う学校の種類(公立・私立)と、保護者の所得によって変わります。
公立高校の授業料は「実質0円」に
公立高校に通う場合、授業料の標準額である年11万8,800円が国から支給されます。この金額は授業料の全額に相当し、学校が国から直接受け取って授業料に充てるため、保護者の実際の負担はありません。
つまり、公立高校では、所得に関係なく授業料は実質的に「無償」です。授業料以外(教材費・部活動費・制服など)は別途自己負担ですが、これらを支援する制度として「高校生等奨学給付金」も用意されています。
私立高校は所得に応じて支援額が変わる
2025年11月現在、私立高校に通う場合は、世帯の所得によって支給される金額が2段階に分かれています。
まず、世帯年収が約910万円未満の家庭には、年間11万8,800円を上限に支給されます。これは、公立高校の授業料相当額にあたるもので、所得制限の範囲内であれば一律に適用されます。
さらに、世帯年収が約590万円未満の家庭では、支援がより手厚くなり、年間39万6,000円を上限として上乗せ支給されます。授業料が高い私立高校でも、家庭の経済状況に応じて国が一定額を負担する仕組みです。
また、通信制の私立高校に通う場合は、支援の上限が年間29万7,000円と定められています。通信制は通学日数や学習形態が異なるため、実情に合わせた金額が設定されています。
しかし、2026年度以降は所得制限が撤廃され、私立高校での支給額が上限45万7,000円に引き上げられる予定です。
参考:三党合意に基づくいわゆる⾼校無償化に関する論点の⼤枠整理
高校生等臨時支援金の創設
加えて、2025年(令和7年)から「高校生等臨時支援金」が創設され、これまで支援対象外だった年収約910万円以上の世帯にも、授業料相当分として年間11万8,800円が支給されるようになりました。
この仕組みにより、ほとんどの家庭で授業料支援を受けられるようになり、所得制限の壁が事実上なくなっています。臨時支援金は、2025年度限定の措置ですが、2026年度以降は私立高校における所得制限が撤廃されるため、公立・私立を問わず、高校授業料の実質的な無償化がより進む見込みです。
高等学校等就学支援金はどうやってもらう?
就学支援金は、申請しなければ受け取ることができません。対象の家庭であっても自動的に支給されるわけではないため、学校からの案内を必ず確認し、期限内に手続きを行うことが大切です。
授業料無償化に関する手続きの流れ
申請の流れは全国共通で、次のような順序になります。

| 1 | 学校から案内が届く | ・高校入学時(4月頃)や在校生の場合は、収入状況の届出が必要となる7月頃までに、学校が申請案内を配布 ・案内には申請方法・提出期限・必要書類などが記載 |
| 2 | 必要書類を提出する | 原則オンライン申請 ・学校によっては対応していない場合もある 紙による申請では、以下の書類を提出 • 申請書(学校が配布) • 保護者のマイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカードや通知カードの写しなど)など ※申請方法は各都道府県によって異なる |
| 3 | 都道府県が審査・認定を行う | ・提出された情報をもとに、都道府県が保護者の所得を確認し、受給資格を認定 ・所得確認にはマイナンバー情報を活用 |
| 4 | 支援金が学校に交付される | ・支給が決定すると、国が都道府県を通じて学校へ支援金を交付 ・基本的には学校がその金額を授業料に充てる(保護者は直接お金を受け取らない) ※支援金の扱いには例外あり |
支給時期
支援金は申請した月から支給が始まります。毎年7月頃には、最新の所得情報に基づいて受給資格の再確認が行われますので、マイナンバーを提出している場合は、原則として再提出の必要はありません。
支援金は授業料に充当される
支援金は、保護者の銀行口座に振り込まれるのではなく、
という流れで処理されます。
つまり、学校が保護者に代わって支援金を受け取り、その分を授業料に充当します。
そのため、保護者の方は「申請をしておくこと」で授業料の請求額が自動的に減額されると考えるとわかりやすいでしょう。
ただし、学校によっては、いったん授業料を徴収し、後日返金する方法を行っている場合もあります。このような学校に通っている場合は、いったん規定の授業料を支払わなければならない点にご注意ください。納付が難しい場合は、早めに学校の事務室へ相談しましょう。
高等学校等就学支援金制度には「家計急変支援」もある
高等学校等就学支援金制度には、通常の支援金だけでなく「家計急変支援」もあります。家計急変支援とは、保護者などの病気療養や自己の責めに帰することのできない離職など、収入が大きく減少した場合などに支援を受けられる内容です。
| 要件 | 主な要件は以下を満たすこと ・対象となる家計急変事由に該当 ・世帯年収が約590万円未満相当まで減少 |
| 支給限度額 | 月額:33,000円(公立高校等は月額:9,900円) |
事由については、さまざまなケースが定められています。被災して就労困難になった場合や
新型コロナウイルスの影響により収入が著しく減じた場合も対象になるケースもあるため、収入が大きく減少した方などは公式情報を確認してみましょう。
高等学校等就学支援金(授業料無償化)以外の支援制度
高校の授業料無償化は、あくまでも「授業料」に対する支援です。制服や学用品、教材費など、授業料以外の費用は対象ではありません。
そこで、国や都道府県では、授業料の無償化以外にも「高校生等奨学給付金制度」以下の制度を用意しています。
高校生等奨学給付金制度とは
高校生等奨学給付金制度とは、低所得世帯を対象に、教材や学用品、制服や教科外活動など、授業料以外の教育費を支援するための制度です。
本制度の概要は以下のとおりです。
| 対象世帯 | 生活保護受給世帯【全日制等・通信制】 非課税世帯【全日制等・通信制】 |
| 対象の教育費 | ・教科書費 ・教材費 ・学用品費 ・通学用品費 ・教科外活動費 ・生徒会費 ・PTA会費 ・入学学用品費 ・修学旅行費 ・通信費など |
| 支援額 | 生活保護受給世帯【全日制等・通信制】 国立・公立高等学校等に在学する者:年額3万2,300円私立高等学校等に在学する者:年額5万2,600円 非課税世帯【全日制等】 国立・公立高等学校等に在学する者:年額14万3,700円 私立高等学校等に在学する者:年額15万2,000円 非課税世帯【通信制】 国立・公立高等学校等に在学する者:年額5万500円 私立高等学校等に在学する者:年額5万2,100円 |
詳しい対象世帯や申請方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
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高校の授業料無償化が及ぼす進路選択の影響
高校の授業料無償化が進むことで、進学先の選択に影響を及ぼします。これまでは経済的な事情により、進学先の選択肢が制限されるような状況の世帯でも、国公立・私立にかかわらず選択肢が広がるでしょう。また、経済的に困窮する世帯において、中学卒業後の進学を諦める可能性のあった世帯においても、可能性が広がります。
しかし、注意したい点として「高等学校等就学支援金」はあくまで授業料を対象にした制度です。入学金や施設費、教材や学用品、通学交通費などは別途必要です。
授業料以外の支援も受けたい場合、所得要件等を満たしていれば、「高校生等奨学給付金制度」を受けられる可能性があります。それぞれで申請を必要としますが、制度を利用したい場合は確認してみましょう。
詳しくはこちら:高校生等奨学給付金とは?対象世帯と支給額・申請方法を解説
まとめ
最後に、本記事の重要なポイントを3つにまとめます。
高等学校等就学支援金は、返済の必要がない国の授業料支援制度です。
■公立は実質無償、私立は所得に応じて手厚い支援
公立高校の授業料は実質的に無償となり、私立高校でも家庭の所得に応じて授業料の支援が受けられます。
■申請が必要。学校からの案内を必ず確認
支援を受けるには、入学時などに学校を通じて申請が必要です。自動的に適用される制度ではないため、案内の見落としや提出の遅れに注意しましょう。
この制度は、お子さまの学びを経済的に支える大切な仕組みです。学校から配布される案内をしっかり確認し、不明な点は早めに学校の窓口へ相談してください。
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