高校進学を控え、教育費の負担に不安を感じる保護者の方も多いのではないでしょうか。
国が実施する「高等学校等就学支援金」制度は、こうした負担を軽減するために設けられた仕組みで、すでに全国の高校生の約8割が利用しています。
2025年(令和7年)には、同年度限定の「高校生等臨時支援金」が創設され、これまで対象外だった年収約910万円以上の世帯にも支援が拡大されました。さらに、同年10月29日には自由民主党・日本維新の会・公明党の3党による制度設計合意が行われ、2026年(令和8年)からは私立全日制高校の支援上限が年45万7,000円に引き上げられることが決定しています。
制度の内容を正しく理解しておくことで、申請準備をスムーズに進められます。高校生活のスタートを安心して迎えるためにも、この支援制度のポイントをしっかり確認しておきましょう。
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この記事の目次
高等学校等就学支援金の対象となる家庭は?
高校の授業料支援を受けられるかどうかは、保護者の所得によって判断されてきました。
これまでは、「高等学校等就学支援金」の対象となるために、保護者の所得割額(道府県民税+市町村民税の合計)が50万7,000円未満という条件が設けられていました。これは、一般的な4人家族(高校生1人・中学生1人、両親のうち片方が働く世帯)で換算すると、年収約910万円未満が目安です。
2025年(令和7年)には新たに「高校生等臨時支援金」が創設されました。この臨時支援金は、年収910万円を超える世帯も対象とするもので、実質的に所得制限が撤廃されています。
2025年10月29日には、自民党・日本維新の会・公明党の3党が「高校授業料無償化の制度設計」に合意しました。この合意により、2026年(令和8年)からは所得制限が撤廃され、すべての家庭が就学支援金の対象となる方向が示されています。また、私立高校の支援上限も引き上げられる予定です。
このように、2025年から2026年にかけて「所得制限の撤廃」に向けた動きが段階的に進んでいます。2025年度は臨時的な支援措置、2026年度からは恒久的な制度として、すべての高校生が授業料支援を受けられる環境が整っていく予定です。
対象となる学校
就学支援金の対象は、次のような「高校等の課程」に在学する生徒です。
- 高等学校(全日制・定時制・通信制)
- 中等教育学校(後期課程)
- 特別支援学校(高等部)
- 高等専門学校(1〜3年次)
- 専修学校の高等課程 など
対象外となる主なケース
一方で、次のような場合は、支援の対象外となります。
- すでに高校を卒業または修了している
- 在学期間が通算36か月を超えている(※定時制・通信制は別算定)
- 海外在住などで日本の住民税が課されていない
高等学校等就学支援金 いくら支援される?
授業料の支援額は、通う学校の種類(公立・私立)と、保護者の所得によって変わります。公立高校の授業料は「実質0円」に
公立高校に通う場合、授業料の標準額である年11万8,800円が国から支給されます。この金額は授業料の全額に相当し、学校が国から直接受け取って授業料に充てるため、保護者の実際の負担はありません。
つまり、公立高校では、所得に関係なく授業料は実質的に「無償」です。授業料以外(教材費・部活動費・制服など)は別途自己負担ですが、これらを支援する制度として「高校生等奨学給付金」も用意されています。
私立高校は所得に応じて支援額が変わる
私立高校に通う場合は、世帯の所得によって支給される金額が2段階に分かれています。
まず、世帯年収が約910万円未満の家庭には、年間11万8,800円を上限に支給されます。これは、公立高校の授業料相当額にあたるもので、所得制限の範囲内であれば一律に適用されます。
さらに、世帯年収が約590万円未満の家庭では、支援がより手厚くなり、年間39万6,000円を上限として上乗せ支給されます。授業料が高い私立高校でも、家庭の経済状況に応じて国が一定額を負担する仕組みです。
また、通信制の私立高校に通う場合は、支援の上限が年間29万7,000円と定められています。通信制は通学日数や学習形態が異なるため、実情に合わせた金額が設定されています。
高校生等臨時支援金の創設
加えて、2025年(令和7年)から「高校生等臨時支援金」が創設され、これまで支援対象外だった年収約910万円以上の世帯にも、授業料相当分として年間11万8,800円が支給されるようになりました。
この仕組みにより、ほとんどの家庭で授業料支援を受けられるようになり、所得制限の壁が事実上なくなっています。
さらに、2026年(令和8年)からは所得制限が撤廃され、支援上限額が引き上げられる予定です。
具体的には、私立全日制高校は現在の年39万6,000円から年45万7,000円に引き上げられ、私立通信制高校も年33万7,000円まで支援されます。これにより、公立・私立を問わず、高校授業料の実質的な無償化がより進む見込みです。
高等学校等就学支援金はどうやってもらう?
就学支援金は、申請しなければ受け取ることができません。対象の家庭であっても自動的に支給されるわけではないため、学校からの案内を必ず確認し、期限内に手続きを行うことが大切です。
▶手続きの流れ
申請の流れは全国共通で、次のような順序になります。
【学校から案内が届く】
高校入学時(4月頃)や在校生の場合は収入状況の届出が必要となる7月頃までに、学校から申請案内が配布されます。案内には申請方法・提出期限・必要書類などが記載されています。
【必要書類を提出する】
申請には、
- 申請書(学校が配布)
- 保護者のマイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカードや通知カードの写しなど)
が必要です。
【都道府県が審査・認定を行う】
提出された情報をもとに、都道府県が保護者の所得を確認し、受給資格を認定します。
所得確認にはマイナンバー情報が活用されるため、正確な所得状況に基づいて判断されます。
【支援金が学校に交付される】
支給が決定すると、国から都道府県を通じて学校へ支援金が交付されます。
学校がその金額を授業料に充てるため、保護者が直接お金を受け取ることはありません。
支給のタイミングと注意点
支援金は申請した月から支給が始まります。毎年7月頃には、最新の所得情報に基づいて受給資格の再確認が行われますので、マイナンバーを提出している場合は、原則として再提出の必要はありません。
学校によっては、授業料をいったん全額納付し、支給が決定した後に支援金相当額を返金(還付)するケースもあります。納付が難しい場合は、早めに学校の事務室へ相談しましょう。
支援金は授業料に充当される
支援金は、保護者の銀行口座に振り込まれるのではなく、
国 → 都道府県 → 学校 → 授業料 という流れで処理されます。
つまり、学校が保護者に代わって支援金を受け取り、その分を授業料に充当します。
そのため、保護者の方は「申請をしておくこと」で授業料の請求額が自動的に減額されると考えるとわかりやすいでしょう。
まとめ
最後に、本記事の重要なポイントを3つにまとめます。
高等学校等就学支援金は、返済の必要がない国の授業料支援制度です。
■公立は実質無償、私立は所得に応じて手厚い支援
公立高校の授業料は実質的に無償となり、私立高校でも家庭の所得に応じて授業料の支援が受けられます。
■申請が必要。学校からの案内を必ず確認
支援を受けるには、入学時などに学校を通じて申請が必要です。自動的に適用される制度ではないため、案内の見落としや提出の遅れに注意しましょう。
この制度は、お子さまの学びを経済的に支える大切な仕組みです。学校から配布される案内をしっかり確認し、不明な点は早めに学校の窓口へ相談してください。
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