子どもが3人以上いる世帯なら、所得制限なしで大学・短大・高専・専門学校の授業料と入学金が一定額まで免除される——こども未来戦略にもとづく「多子世帯への高等教育費負担軽減」が、令和7年度(2025年度)からスタートしています。私立大学なら入学金26万円・授業料年70万円が上限。世帯年収1,000万円を超えていても対象になり得る、これまでにない制度改正です。
そして令和8年度(2026年度)の住民税を使う判定からは、判定ルールが一部緩和されました。特定親族特別控除の創設にともない、年収160万円以下であれば、扶養から外れている学生世代のきょうだいも「子ども」としてカウントできるようになったのです。これまで「アルバイトを頑張った上の子のせいで多子世帯から外れた」というケースが救済される可能性があります。
一方で、「子どもが3人いれば自動的に対象」という単純な制度ではありません。第一子が就職して扶養を外れれば支援は終了しますし、申請しなければ1円も受け取れません。本記事では、多子世帯の給付型奨学金と大学無償化について、対象条件・金額・申請方法・振込時期・打ち切りリスクまでを、2026年8月時点の最新情報にもとづいて整理します。
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・対象:扶養する「子ども」が3人以上いる世帯の大学・短大・高専・専門学校生
・授業料等減免:所得制限なし(資産3億円未満)。私立大学は入学金26万円+授業料年70万円が上限
・給付型奨学金:第1〜第4区分に応じて月額支給。第4区分(多子世帯)は私立・自宅外通学で月19,000円
・申請:予約採用(高校3年生)または在学採用(春・秋)で、給付奨学金にまとめて申し込む
・注意:扶養する子どもが2人以下になった時点で多子世帯支援は終了
この記事の目次
多子世帯とは?給付型奨学金・大学無償化の対象になる条件
制度上の「多子世帯」とは、生計維持者(原則として父母)が扶養する「子ども」の数が3人以上いる世帯を指します。読み方は「たしせたい」です。単に子どもが3人生まれていればよいわけではなく、JASSO(日本学生支援機構)が住民税情報をもとに毎年判定します。
多子世帯の判定基準は「扶養する子どもが本人を含めて3人以上」
多子世帯と判定されるのは、次の2つの数のうちいずれか小さい方が3以上であり、かつ申込者(学生本人)が生計維持者に扶養されている場合です。
・奨学金申込時に申告した生計維持者の扶養親族のうち、生計維持者の「子ども」に該当する者の数
・生計維持者全員の住民税情報における扶養親族の数の合計
ここでいう「子ども」とは、申告した扶養親族等のうち「生計維持者の子」であり、かつ「扶養している生計維持者よりも年下の人」に該当する人です。学生本人もこの3人にカウントされます。つまり、本人+きょうだい2人=3人が最小構成です。
なお、住民税情報の確定後に新たに生まれた子等は、申告により「子ども」の数に加算できます。第3子の出生によって判定が変わる場合は、JASSOへの申告を忘れないようにしましょう。
【最新】年収160万円以下のきょうだいも「子ども」にカウントできる
令和8年度(2026年度)の住民税を用いる判定から、扶養親族にならない程度の収入がある学生世代のきょうだいも、多子世帯の「子ども」としてカウントできるようになりました。特定親族特別控除の創設にともなう見直しです。
カウントの可否は、年齢と年収によって次のように整理されます。
| 年収(給与収入のみの場合) | 学生世代(19〜22歳/18歳早生まれを含む) | 学生世代以外 |
|---|---|---|
| 123万円以下(扶養親族) | 子どもとしてカウント | 子どもとしてカウント |
| 123万円超160万円以下 | 子どもとしてカウント(本人以外は別途申告が必要) | 対象外 |
| 160万円超 | 対象外 | 対象外 |
きょうだい分は自動では反映されず、別途申告が必要です。2027年度に大学等へ進学するために予約採用を申し込んだ人については、JASSOが令和8年度住民税情報を確認し、カウントできるきょうだいがいる可能性があれば、スカラネットに入力した住所へ申告用の書類提出案内が郵送されます。書類が届いたら必ず対応してください。
年収の壁と扶養の関係については、こちらの記事で詳しく整理しています。
第一子が就職して扶養を外れると多子世帯ではなくなる
多子世帯支援の対象期間は、子どもを3人以上「同時に」扶養している間だけです。第一子が就職等により扶養から外れ、扶養する子どもが2人になった時点で多子世帯ではなくなり、支援は終了します。
たとえば3人きょうだいで、第一子が大学を卒業して就職し、第二子と第三子が在学中というケース。子どもは3人いますが、扶養されている子どもは2人なので、多子世帯としての支援は受けられません。「子どもが何人いるか」ではなく「同時に何人扶養しているか」で判断される点が、最もつまずきやすいポイントです。
同時に複数の子どもが大学等に在学していれば全員が対象
多子世帯の要件を満たしている期間中は、大学等に在学している子ども全員が授業料等減免の対象になります。扶養する3人の子どものうち2人が同時に大学等へ通っている場合、2人とも減免を受けられます。
下の子の入学に合わせて、上の子も一気に対象になるケースがあります。家族構成と進学スケジュールを早めに整理しておくと、取りこぼしを防げます。
多子世帯の大学無償化とは?授業料・入学金はいくら減免される?
多子世帯に属する学生は、所得制限なしで授業料と入学金の減免を受けられます。これが令和7年度に始まった「多子世帯への高等教育費無償化」の中心です。
ただし、授業料が全額0円になる制度ではありません。学校種別ごとに上限額が定められており、実際の納付額が上限を超える分は自己負担となります。
授業料・入学金の上限額(国公立・私立/大学・短大・高専・専門学校)
多子世帯と判定された場合の減免上限額は、学校種別と国公立・私立の区分によって次のとおりです。令和7年度から金額の変更はありません。
| 学校種別 | 国公立 | 私立 | ||
|---|---|---|---|---|
| 入学金 | 授業料 | 入学金 | 授業料 | |
| 大学 | 28万円 | 54万円 | 26万円 | 70万円 |
| 短期大学 | 17万円 | 39万円 | 25万円 | 62万円 |
| 高等専門学校 | 8万円 | 23万円 | 13万円 | 70万円 |
| 専門学校 | 7万円 | 17万円 | 16万円 | 59万円 |
国立大学の標準額は授業料年53万5,800円・入学金28万2,000円のため、国公立大学であれば実質的にほぼ全額がカバーされます。
私立大学に通う場合の自己負担はいくら残る?
私立大学の場合、授業料の減免上限は年70万円です。文部科学省の調査では私立大学の授業料の平均は年間96万円前後のため、おおよそ年26万円前後の自己負担が残る計算になります。
理系学部や医歯薬系など授業料が高い学部では、自己負担額はさらに大きくなります。また、施設設備費・実験実習費などの諸費用は減免の対象外です。「私立でも無償化されるから学費はかからない」と考えず、上限額を差し引いた残額を進学資金として見込んでおきましょう。
専門学校でも多子世帯の大学無償化は使える
多子世帯の授業料等減免は、大学・短期大学・高等専門学校に加えて専門学校(専修学校の専門課程)も対象です。私立専門学校なら、入学金最大16万円・授業料最大59万円の減免が受けられます。
ただし対象となるのは、文部科学省の「高等教育の修学支援新制度」で確認を受けた学校に限られます。進学予定の学校が対象機関かどうかは、文部科学省の支援対象校一覧、または学校の奨学金窓口で必ず確認してください。専門学校は学校ごとに対象・対象外が分かれるため、出願前のチェックが欠かせません。
資産要件は3億円未満(給付奨学金は5,000万円未満)
授業料等減免を受けるための資産要件は、申込者本人と生計維持者の資産額の合計が3億円未満であることです。給付型奨学金(月額の現金支給)とは基準額が異なる点に注意してください。
| 支援内容 | 資産要件 |
|---|---|
| 給付型奨学金(月額支給) | 本人と生計維持者の資産合計が5,000万円未満 |
| 授業料等減免(多子世帯) | 本人と生計維持者の資産合計が3億円未満 |
資産が5,000万円以上3億円未満の場合、給付奨学生として採用はされますが給付奨学金の支給額は0円となり、授業料等減免のみを受けられます。
なお、ここでいう資産に含まれるもの・含まれないものは明確に決まっています。
・現金やこれに準ずるもの(退職金、投資用に保有する金・銀等を含む)
・預貯金、有価証券や投資信託(NISAによる投資額も含む。時価で換算)
・満期や解約により現金化した保険
【資産の対象にならないもの】
・土地、建物等の不動産
・満期、解約前の保険の掛け金
・貯蓄型生命保険や学資保険
住宅ローンなどの負債と相殺することはできません。学資保険や持ち家は資産に含まれないため、多くの世帯は資産要件でつまずくことはないでしょう。
多子世帯の給付型奨学金はいくらもらえる?月額と年収目安
多子世帯の特徴は、授業料減免だけでなく返済不要の給付型奨学金(月額支給)も受けられる可能性がある点です。多子世帯に該当すると、これまで所得制限で対象外だった中間層でも「第4区分(多子世帯)」として月額支給の対象になります。
支援区分は第1〜第4区分+「多子世帯」の5段階
JASSOの給付奨学金は、世帯の「支給額算定基準額」に応じて支援区分が決まります。収入が低い区分ほど支給額が大きくなる仕組みです。
| 支援区分 | 収入基準(支給額算定基準額の合計) | 給付奨学金 | 授業料等減免 |
|---|---|---|---|
| 第1区分 | 100円未満(市町村民税所得割が非課税) | 満額 | 満額 |
| 第2区分 | 100円以上25,600円未満 | 第1区分の3分の2 | 3分の2 |
| 第3区分 | 25,600円以上51,300円未満 | 第1区分の3分の1 | 3分の1 |
| 第4区分(多子世帯) | 51,300円以上154,500円未満 | 第1区分の4分の1 | 全額(上限額まで) |
| 多子世帯 | 第4区分の収入基準を超過 | 0円 | 全額(上限額まで) |
出典:進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準 日本学生支援機構
多子世帯に該当する場合、第1〜第3区分はそれぞれ「第1区分(多子世帯)」「第2区分(多子世帯)」「第3区分(多子世帯)」と表記されます。給付奨学金の支給額は多子世帯でない場合と同じで、授業料等減免が上限額まで受けられる点が異なります。
第4区分(多子世帯)の年収目安は5人世帯で約700万円
第4区分は中間所得層向けの区分です。2027年度進学予定者が予約採用に申し込む場合、収入の上限額の目安は次のとおりです(親が給与所得者の場合、単位:万円)。
| 想定する世帯構成 | 第1区分 | 第2区分 | 第3区分 | 第4区分 |
|---|---|---|---|---|
| 本人、親A | 207 | 298 | 373 | 630 |
| 本人、親A、中学生 | 221 | 298 | 373 | 630 |
| 本人、親A、親B(無収入)、中学生 | 271 | 303 | 378 | 635 |
| 本人、親A、親B(給与所得者)、中学生 | 親A221/親B127 | 親A245/親B165 | 親A323/親B165 | 親A589/親B165 |
| 本人、親A、親B(パート)、大学生、中学生 | 親A321/親B110 | 親A395/親B110 | 親A461/親B110 | 親A698/親B110 |
出典:進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準 日本学生支援機構
実際の判定は「支給額算定基準額」で行われます。世帯構成・障がい者の有無・各種保険料の支払い状況などで結果が変わるため、目安を上回っていても対象になる場合、下回っていても対象外になる場合があります。JASSOの「進学資金シミュレーター」でおおよその確認ができます。
なお、収入が第4区分の基準を超えても、多子世帯に該当すれば支援区分「多子世帯」として認定されます。この区分では給付奨学金の月額支給は0円ですが、授業料等減免は上限額まで受けられます。
給付型奨学金と親の年収の関係を詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
給付奨学金の月額支給額(国公立・私立/自宅・自宅外)
給付奨学金の月額は、進学先の設置者(国公立・私立)と通学形態(自宅・自宅外)によって決まります。
【国公立の場合】
| 区分 | 学校種別 | 自宅通学 | 自宅外通学 |
|---|---|---|---|
| 第1区分 | 大学・短大・専門学校 | 29,200円(33,300円) | 66,700円 |
| 第2区分 | 19,500円(22,200円) | 44,500円 | |
| 第3区分 | 9,800円(11,100円) | 22,300円 | |
| 第4区分(多子世帯) | 7,300円(8,400円) | 16,700円 | |
| 第1区分 | 高等専門学校(第4学年以上) | 17,500円(25,800円) | 34,200円 |
| 第2区分 | 11,700円(17,200円) | 22,800円 | |
| 第3区分 | 5,900円(8,600円) | 11,400円 | |
| 第4区分(多子世帯) | 4,400円(6,500円) | 8,600円 |
【私立の場合】
| 区分 | 学校種別 | 自宅通学 | 自宅外通学 |
|---|---|---|---|
| 第1区分 | 大学・短大・専門学校 | 38,300円(42,500円) | 75,800円 |
| 第2区分 | 25,600円(28,400円) | 50,600円 | |
| 第3区分 | 12,800円(14,200円) | 25,300円 | |
| 第4区分(多子世帯) | 9,600円(10,700円) | 19,000円 | |
| 第1区分 | 高等専門学校(第4学年以上) | 26,700円(35,000円) | 43,300円 |
| 第2区分 | 17,800円(23,400円) | 28,900円 | |
| 第3区分 | 8,900円(11,700円) | 14,500円 | |
| 第4区分(多子世帯) | 6,700円(8,800円) | 10,900円 |
カッコ内の金額は、生活保護を受けている生計維持者と同居している人、または社会的養護を必要とする人で児童養護施設等から通学する人の支給額です。
なお、高等専門学校の1〜3年次は高等教育の修学支援新制度ではなく「高等学校等就学支援金」の対象です。高専の学費と無償化の全体像は、こちらの記事で解説しています。
自宅外通学は月16,700円〜19,000円(年間約20〜23万円)
自宅外通学(生計維持者のもとを離れ、家賃を支払って生活している状態)で第4区分(多子世帯)に該当する場合、給付奨学金は国公立で月額16,700円(年間約20万円)、私立で月額19,000円(年間約23万円)が支給されます。
同じ自宅外通学でも、第1区分なら国公立66,700円・私立75,800円と支給額は大きく変わります。自分の支援区分がどこに当たるかを、必ず採用通知で確認しましょう。
また、通信教育課程の場合は月額ではなく年額で支給され、第4区分(多子世帯)は年12,800円です。
第一種奨学金(無利子貸与)との併用は貸与額が調整される
給付奨学金を受けている間は、第一種奨学金(無利子貸与型)の貸与月額が併給調整(減額)されます。給付奨学金の支給額に応じて、第一種の貸与可能額が縮小する仕組みです。
一方、第二種奨学金(有利子貸与型)は併給調整の対象外で、給付奨学金を受けていても貸与月額は変わりません。第一種との併用を検討している場合は、想定より貸与額が少なくなる可能性があるため、JASSOの「給付奨学金と併せて利用する第一種奨学金の貸与月額」ページで事前に確認しておくと安心です。
多子世帯の給付型奨学金・大学無償化の申請方法
多子世帯支援は自動的に適用される制度ではありません。授業料等減免を希望する場合も、まず給付奨学金に申し込む必要があります。申込方法は「予約採用」と「在学採用」の2種類です。
| 申請方法 | 対象者 | 申込時期 |
|---|---|---|
| 予約採用 | 高校3年生(初めて高校を卒業した年度の末日から2年以内の卒業生も可) | 高校3年生の春〜夏が中心。秋募集を行う高校もあり |
| 在学採用 | 大学・短大・専門学校・高専の在学生 | 春(4月頃)と秋(9月頃)の年2回 |
| 家計急変採用 | 災害・失業・離別等で家計が急変した人 | 随時受付 |
予約採用は高校3年生のうちに高校を通じて申し込む
予約採用は、在学中(または卒業した)高校を通じて申し込みます。給付奨学金の申込画面には「高等教育の修学支援新制度(給付奨学金・授業料等減免)」の希望を確認する設問があり、多子世帯への授業料等減免もここから申請する流れです。
2027年度進学予定者の判定には、2025年(1月1日〜12月31日)の収入にもとづく2026年度住民税情報が使われます。予約採用では2026年中に減収(失業等)があっても考慮されないため、家計が急変した場合は進学後の在学採用や家計急変採用を検討することになります。
在学採用は春・秋の年2回、入学金の減免は入学後3か月以内が期限
すでに大学等に在学している方は在学採用で申し込みます。春に申し込むと7月頃に採用が決定し、4月分からまとめて振り込まれます。秋に申し込むと12月頃の決定で、10月分からの支給です。
ここで見落としやすいのが入学金です。入学金の減免は、入学後3か月以内に申し込んだ人だけが対象となります。3か月を過ぎると受け付けてもらえないため、秋の申込みでは入学金や前期授業料の支援は受けられません。1年生は春の募集を逃さないことが重要です。
なお、春の申込みでは収入や扶養する子どもの数を前々年の情報で、秋の申込みでは前年の情報で確認します。同じ年でも春と秋で審査結果が変わる場合があります。
多子世帯の奨学金はいつ振り込まれる?令和8年度の振込日
給付奨学金は、原則として毎月11日に本人名義の口座へ振り込まれます(4月は21日、5月は15日)。振込日が金融機関の休業日にあたる場合は、その前営業日となります。令和8年度の振込予定日は次のとおりです。
| 対象月 | 振込日 | 対象月 | 振込日 |
|---|---|---|---|
| 4月分 | 4月21日(火) | 10月分 | 10月9日(金) |
| 5月分 | 5月15日(金) | 11月分 | 11月11日(水) |
| 6月分 | 6月11日(木) | 12月分 | 12月11日(金) |
| 7月分 | 7月10日(金) | 1月分 | 1月8日(金) |
| 8月分 | 8月10日(月) | 2月分 | 2月10日(水) |
| 9月分 | 9月11日(金) | 3月分 | 3月11日(木) |
採用時の初回振込では、複数月分がまとめて振り込まれることがあります。また、給付・貸与が終了する年度の3月分は、2月分と合わせて2月10日に振り込まれます。
一方、授業料等減免は現金の振込ではなく、学校が納付すべき授業料を減額する形で反映されるのが基本です。すでに納付済みの場合は学校から返金されることもあり、時期や方法は学校ごとに異なります。減免額や減免方法は学校から通知されるため、必ず確認しましょう。
多子世帯支援の継続条件と打ち切りリスク
多子世帯支援は、いったん採用されれば卒業まで続くわけではありません。毎年「適格認定」が行われ、家計状況と学業状況の両面から継続の可否が判断されます。
毎年10月の適格認定(家計)で扶養する子どもの数が再判定される
家計面の適格認定は毎年秋に行われ、10月以降の1年間の支援区分が決まります。最新の住民税情報をもとに、扶養する子どもの数と収入が再チェックされる仕組みです。
第一子が就職して扶養を外れ、扶養する子どもが2人以下になれば、その年の10月から多子世帯としての支援は終了します。ただし給付奨学生としての身分は卒業まで続くため、所定の手続きは引き続き必要です。
出席率6割以下・単位不足で支援が「廃止」される
学業面の適格認定は学年末(2年制の短大・専門学校は半年ごと)に行われます。判定結果は「警告」「停止」「廃止」「返還」に分かれ、それぞれ次の基準です。
| 判定 | 主な基準 | 影響 |
|---|---|---|
| 警告 | 修得単位数が標準修得単位数の7割以下、GPA等が下位4分の1、授業への出席率が8割以下など | 支援は継続するが、連続すると廃止 |
| 停止 | 2回連続で警告を受け、2回目がGPA等の要件のみの場合 | 次年度の支援が1年間中断 |
| 廃止 | 修得単位数が標準修得単位数の6割以下、授業への出席率が6割以下、修業年限で卒業できないことが確定した場合など | 支援が打ち切られる |
| 返還 | 出席率1割以下など学業成績が著しく不良、退学・停学(無期限または3か月以上)の処分、虚偽の申請 | 支援打ち切りに加え、受けた支援の返還を求められる |
災害や傷病等のやむを得ない事由があると認められた場合は、廃止や警告の対象とならないことがあります。事情がある場合は早めに学校の窓口に相談してください。
給付月額0円でも在籍報告は必要
見落とされがちなのが、給付奨学金の振込がない人にも手続き義務があるという点です。授業料等減免のみを受けている「多子世帯」区分の学生や、資産要件により支給額0円となっている学生も対象になります。
毎年1回(4月)の在籍報告を期限までに行わないと、10月からの支援区分が決定されません。振込がないため通知を軽視してしまい、減免まで止まってしまうケースは避けたいところです。スカラネット・パーソナルの案内を必ず確認しましょう。
給付型奨学金の基本的な仕組みや採用の可能性については、こちらの記事で解説しています。
多子世帯の給付型奨学金・大学無償化に関するよくある質問
最後に、多子世帯の給付型奨学金と大学無償化について、検索の多いポイントをQ&A形式でまとめます。多子世帯の大学無償化はいつから始まった?
令和7年度(2025年度)から、子どもを3人以上扶養する多子世帯を対象に、所得制限なく大学・短大・高専・専門学校の授業料と入学金を一定額まで減免する制度が始まりました。令和8年度(2026年度)以降も減免の上限額に変更はなく、私立大学であれば入学金26万円・授業料年70万円が上限です。令和8年度住民税を用いる判定からは、年収160万円以下の学生世代のきょうだいも「子ども」にカウントできるよう判定ルールが緩和されています。
多子世帯の大学無償化に年収の条件はある?
授業料等減免に所得制限はありません。子どもを3人以上同時に扶養している間であれば、世帯年収が高くても上限額まで減免を受けられます。ただし、本人と生計維持者の資産合計が3億円未満であることが要件です。一方、給付型奨学金(月額支給)には所得基準があり、第4区分の目安は世帯構成によって異なりますが、5人世帯(親A・親Bパート・大学生・中学生・本人)で親Aの年収698万円程度までが目安となります。
多子世帯の場合、資産要件はいくら?
授業料等減免を受けるには、本人と生計維持者の資産合計が3億円未満である必要があります。給付奨学金(月額支給)を受け取るには5,000万円未満であることが要件です。資産が5,000万円以上3億円未満の場合、給付奨学生として採用されますが給付奨学金の支給額は0円となり、授業料等減免のみを受けられます。なお、土地・建物などの不動産、解約前の保険の掛け金、学資保険は資産に含まれません。
多子世帯特例の30万円とは何のこと?
「多子世帯特例 30万円」という検索の背景には、第4区分(多子世帯)の給付奨学金を年間で受け取った場合の金額感を指すケースと、児童手当の第3子以降の月3万円増額など別の子育て支援制度と混同しているケースがあります。JASSOの多子世帯特例で給付奨学金を受け取る場合、私立大学・自宅外通学の第4区分で年間約23万円、国公立大学・自宅外通学で年間約20万円が目安です。30万円という固定の給付金があるわけではありません。
専門学校でも多子世帯の無償化は使える?いくら減免される?
専門学校(専修学校の専門課程)も多子世帯の授業料等減免の対象です。私立専門学校の場合、入学金は最大16万円、授業料は最大59万円が減免されます。国公立の専門学校であれば入学金7万円・授業料17万円が上限です。ただし対象となるのは、文部科学省の高等教育の修学支援新制度で確認を受けた学校に限られます。専門学校は学校ごとに対象・対象外が分かれるため、出願前に学校の窓口または文部科学省の支援対象校一覧で確認してください。
多子世帯の自宅外通学だと月いくらもらえる?
第4区分(多子世帯)で自宅外通学の場合、給付奨学金は国公立の大学・短大・専門学校で月額16,700円、私立で月額19,000円が支給されます。第1区分(住民税非課税世帯等)で自宅外通学であれば、国公立で月額66,700円、私立で月額75,800円とより大きな金額になります。自宅外通学として認められるには、生計維持者のもとを離れて家賃を支払って生活していることが必要で、別途手続きと書類の提出が求められます。
第一子が就職したら、第二子・第三子の支援はどうなる?
多子世帯支援は子どもを3人以上「同時に」扶養している間が対象です。第一子が就職等により扶養から外れ、扶養する子どもの数が2人になった場合、その時点で多子世帯としての支援は終了します。判定は毎年10月の適格認定(家計)のタイミングで行われるため、支援が止まるのもその年の10月からです。第二子・第三子が在学中であっても、通常の所得基準(第1〜第4区分)を満たさない限り給付奨学金や授業料減免は受けられません。
アルバイトをしているきょうだいは「子ども」にカウントされる?
令和8年度住民税を用いる判定から、19〜22歳の学生世代(18歳早生まれを含む)であれば、年収123万円超160万円以下のきょうだいも多子世帯の「子ども」としてカウントできるようになりました。ただし本人以外のきょうだい分は自動反映されず、別途申告が必要です。年収160万円を超える場合や、学生世代以外で年収123万円を超える場合は対象外となります。2027年度進学の予約採用申込者には、該当の可能性があればJASSOから申告書類の案内が郵送されます。
多子世帯なのに給付奨学金が不採用になった。なぜ?
多いのは、住民税情報上の扶養親族の数が3人未満になっているケースです。きょうだいの収入が基準を超えて扶養から外れている、確定申告で扶養人数の申告を誤っている、申告した「子ども」に生計維持者より年上の人が含まれている、といった原因が考えられます。また、資産が5,000万円以上ある場合は給付奨学金の支給額が0円になりますが、授業料等減免は受けられます。心当たりがある場合は、市区町村役場で住民税情報を確認し、必要に応じて修正したうえでJASSOに再判定を申請してください。
多子世帯の奨学金はいつ振り込まれる?
給付奨学金は原則として毎月11日に振り込まれます。ただし4月分は4月21日、5月分は5月15日で、振込日が金融機関の休業日にあたる場合は前営業日となります。採用初年度は複数月分がまとめて振り込まれることがあり、春の在学採用では7月頃に4月分からまとめて入金されるのが一般的です。授業料等減免については現金の振込ではなく、学校が請求する授業料が減額される形で反映されます。
給付月額0円と言われたが、手続きは必要?
給付奨学金の振込がない場合でも、給付奨学生としての手続きは必要です。毎年4月の在籍報告を期限までに行わないと、10月からの支援区分が決定されず、授業料等減免まで受けられなくなる可能性があります。支援区分「多子世帯」で減免のみを受けている方や、資産要件により支給額が0円となっている方も対象です。スカラネット・パーソナルや学校からの案内を必ず確認し、期限内に手続きを済ませてください。
多子世帯支援が途中で打ち切られることはある?
毎年の適格認定によって、支援が停止・廃止されることがあります。家計面では、扶養する子どもの数が3人未満になれば多子世帯としての支援は終了します。学業面では、修得単位数が標準修得単位数の6割以下、授業への出席率が6割以下などの場合に「廃止」となります。さらに出席率が1割以下、退学・停学処分、虚偽申請といったケースでは、受けた支援の返還を求められることもあります。災害や傷病等のやむを得ない事由がある場合は対象外となることがあるため、早めに学校へ相談してください。
まとめ
多子世帯への高等教育費負担軽減は、こども未来戦略にもとづく少子化対策の柱として令和7年度(2025年度)に始まりました。これまで支援対象外だった中間層・高所得層にも、所得制限なしで授業料・入学金の減免の道が開かれた大きな制度変更です。
ポイントを整理します。
- 多子世帯の判定:扶養する「子ども」が本人を含めて3人以上。住民税情報の扶養親族の数で判定され、令和8年度住民税を用いる判定からは年収160万円以下の学生世代のきょうだいもカウント可能
- 授業料・入学金の減免:所得制限なし、資産3億円未満が要件。私立大学は入学金26万円・授業料年70万円、私立専門学校は入学金16万円・授業料59万円が上限
- 給付型奨学金:第4区分(多子世帯)なら国公立・自宅外通学で月16,700円、私立・自宅外通学で月19,000円。振込は原則毎月11日
- 申請方法:予約採用(高校3年生)または在学採用(春・秋)。授業料等減免も給付奨学金の申込みから申請する。入学金の減免は入学後3か月以内が期限
- 継続条件:扶養する子どもが2人以下になると10月から支援終了。出席率6割以下・単位不足でも廃止のリスクあり
- 手続き義務:給付月額0円でも毎年4月の在籍報告が必要
「子どもが3人いれば自動で対象」「一度採用されたら卒業まで安心」という制度ではありません。とはいえ、要件を正しく理解して計画的に活用すれば、教育費の負担を大きく減らせる強力な仕組みです。高校3年生の春の募集を逃さないよう、進学準備の早い段階から申請スケジュールを確認しておきましょう。
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