子どもを3人以上扶養している世帯なら、所得制限なしで大学・短大・高専・専門学校の授業料と入学金が上限額まで減免される――こども未来戦略にもとづく「多子世帯の大学無償化」は、令和7年度(2025年度)に始まり、2年目の令和8年度(2026年度)も同じ上限額で続いています。私立大学なら入学金26万円・授業料年70万円が上限です。文部科学省は令和9年度(2027年度)概算要求でも、多子世帯の学生への支援を「確実に実施」するとしています。
2026年10月は、多子世帯にとって手続きが重なる時期です。10月9日には給付奨学金の10月分が振り込まれ、毎年10月には支援区分の見直しも行われます。大学等では秋の在学採用の受付が始まり、2027年度に進学する高校3年生には、きょうだいの年収について申告を求める書類が届くことがあります。令和8年度住民税を使う判定から、年収160万円以下の学生世代のきょうだいも「子ども」としてカウントできるようになったためです。
一方で、「子どもが3人いれば自動的に対象」という制度ではありません。第一子が就職して扶養を外れれば支援は終わりますし、申し込まなければ1円も減免されません。本記事では、多子世帯の意味と読み方、「多子世帯特例」や「30万円」の正体から、対象条件・金額・申し込み時期・振込日・打ち切りリスクまでを、2026年10月時点の公式情報にもとづいて整理します。
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・対象:生計維持者が扶養する「子ども」が同時に3人以上いる世帯の大学・短大・高専(4年生以上)・専門学校生
・授業料等減免:所得制限なし(資産3億円未満)。私立大学は入学金26万円+授業料年70万円が上限
・給付型奨学金:所得が第4区分以内なら月額支給あり。第4区分(多子世帯)は私立・自宅外通学で月19,000円
・申し込み:給付奨学金に申し込む(予約採用・在学採用)。減免だけを希望する場合も同じ手続き
・振込日:給付奨学金は原則毎月11日。授業料減免は学校の請求額の減額または還付で反映
・注意:扶養する子どもが2人以下になると多子世帯としての支援は終了
給付型奨学金の制度全体について知りたい方はこちら:
この記事の目次
多子世帯とは?読み方・意味と「多子世帯特例」をわかりやすく解説
多子世帯とは、生計維持者(原則として父母)が扶養する「子ども」が3人以上いる世帯のことです。大学無償化(高等教育の修学支援新制度)では、日本学生支援機構(JASSO)が住民税情報と申告内容から毎年判定します。
多子世帯の読み方は「たしせたい」
多子世帯は「たしせたい」と読みます。「多子(たし)」は子どもが多いこと、「世帯(せたい)」は生計を共にする家族の単位です。「たこせたい」「たしせだい」と読まれることもありますが、正しくは「たしせたい」です。似た言葉の「多子家庭(たしかてい)」も一般的には同じ意味で使われます。
注意したいのは、制度上の多子世帯は「子どもを何人産んだか」ではなく「子どもを同時に何人扶養しているか」で決まる点です。3人きょうだいでも、上の子が就職して扶養から外れていれば、大学無償化の多子世帯には当たりません。
「多子世帯特例」とは?給付奨学金の支援区分に付く「多子世帯」のこと
「多子世帯特例」は法令上の正式名称ではありません。一般には、令和7年度から始まった「多子世帯への授業料等減免の拡充」を指して使われています。
JASSOの給付奨学金では、多子世帯に該当すると支援区分に「多子世帯」の表示が付きます。たとえば「第3区分(多子世帯)」「第4区分(多子世帯)」、所得が第4区分を超える場合は区分「多子世帯」です。この表示が付いていれば、所得にかかわらず授業料と入学金が上限額まで減免されます。これが、いわゆる「多子世帯特例」の中身です。
「多子世帯特例 30万円」という給付金はある?
結論から言うと、「多子世帯特例」で一律30万円が支給される制度は、JASSO・文部科学省の公表資料では確認できません(2026年10月時点)。
「30万円」で検索される背景としては、次のような金額との混同が考えられます。
| よく混同される金額 | 実際の制度と金額 |
|---|---|
| 入学金の減免(約30万円) | 多子世帯の入学金減免の上限は、国公立大学28万円・私立大学26万円 |
| 自宅外通学の給付奨学金(年20〜23万円) | 第4区分(多子世帯)・自宅外通学の給付奨学金は、国公立で月16,700円(年200,400円)、私立で月19,000円(年228,000円) |
| 第3子の児童手当(年36万円) | 児童手当は第3子以降が月3万円(年36万円)。大学無償化とは別の制度で、対象は高校生年代まで |
大学無償化の多子世帯支援は、現金の一時金ではなく「授業料・入学金の減免」と「所得に応じた給付奨学金(月額)」の組み合わせです。金額は学校の種類と所得によって変わるため、「30万円もらえる」と考えず、自分のケースで計算することが大切です。
高校生・小中学生がいる多子世帯の支援は別制度
大学無償化の多子世帯支援は、大学・短大・高専(4年生以上)・専門学校の学生が対象です。高校生の授業料は「高等学校等就学支援金」、子育て全般は「児童手当」など、別の制度で支援されています。
高校の授業料無償化については、こちらの記事で詳しく解説しています。
児童手当の第3子加算など、子育て世帯が受けられる支援の全体像はこちらで整理しています。
多子世帯の大学無償化の条件は?対象になる子どもの数え方
多子世帯の大学無償化の対象になるのは、扶養する「子ども」が本人を含めて同時に3人以上いて、本人と生計維持者の資産合計が3億円未満の学生です。世帯年収の上限はありません。
多子世帯の判定基準は「扶養する子どもが本人を含めて3人以上」
JASSOが多子世帯と判定するのは、次の2つの数のうちいずれか小さい方が3以上で、かつ申込者(学生本人)が生計維持者に扶養されている場合です。
・奨学金の申込時などに申告した生計維持者の扶養親族のうち、生計維持者の「子ども」に該当する人の数
・生計維持者全員の住民税情報における扶養親族の数の合計
ここでいう「子ども」は、申告した扶養親族のうち「生計維持者の子」、または「扶養している生計維持者より年下の人」です。学生本人も3人に含まれるため、本人+きょうだい2人が最小の構成になります。第3子の年齢に条件はなく、未就学児や中学生のきょうだいも数に入ります。
住民税情報の確定後に生まれた子なども、申告すれば「子ども」の数に加えられる場合があります。第3子の誕生で判定が変わりそうなときは、JASSOへの申告を忘れないようにしましょう。
判定の流れを図にすると、次のようになります。所得で決まるのは「給付奨学金(月額)が出るかどうか」だけで、授業料等減免は所得にかかわらず上限額まで受けられます。
【最新】年収160万円以下のきょうだいも「子ども」にカウントできる
令和8年度(2026年度)住民税を使う判定から、扶養親族にならない程度の収入がある学生世代のきょうだいも、多子世帯の「子ども」としてカウントできるようになりました。特定親族特別控除の創設にともなう見直しです。
カウントの可否は、年齢と年収によって次のように整理されます。
| 年収(給与収入のみの場合) | 学生世代(19〜22歳/18歳早生まれを含む) | 学生世代以外 |
|---|---|---|
| 123万円以下 | 子どもとしてカウント | 子どもとしてカウント |
| 123万円超160万円以下 | 子どもとしてカウント(本人以外のきょうだいは別途申告が必要) | 対象外 |
| 160万円超 | 対象外 | 対象外 |
表の年収は給与収入のみの場合の目安です。アルバイト収入が123万円を超えて扶養から外れた大学生のきょうだいでも、160万円以下なら救済される可能性があります。
きょうだい分は自動では反映されず、申告が必要です。2027年度に大学等へ進学する予約採用の申込者で、カウントできるきょうだいがいる可能性がある人には、JASSOからスカラネットに入力した住所へ申告用書類の案内が郵送されます。すでに進学している学生のきょうだいについては、学校を通じて申告が必要になる場合があります。書類が届いたら必ず対応してください。
学生アルバイトの年収の壁と扶養の関係は、こちらの記事で詳しく整理しています。
第一子が就職して扶養を外れると多子世帯ではなくなる
多子世帯支援を受けられるのは、子どもを3人以上「同時に」扶養している間だけです。第一子が就職などで扶養から外れ、扶養する子どもが2人になると多子世帯ではなくなり、支援は終了します。
たとえば3人きょうだいで、第一子が大学を卒業して就職し、第二子と第三子が在学中というケースです。子どもは3人いても、扶養されている子どもは2人なので、多子世帯としての支援は受けられません。
支援区分は毎年10月に見直されます。判定には住民税情報(前年の所得と扶養の状況)も使われるため、就職した時期と支援が終わる時期にずれが出ることがあります。自分の世帯がいつまで対象になるかは、スカラネット・パーソナルの支援区分や学校の窓口で確認しましょう。
同時に複数の子どもが大学等に在学していれば全員が対象
多子世帯の要件を満たしている間は、大学等に在学している子ども全員が授業料等減免の対象になります。扶養する3人の子どものうち2人が同時に大学等へ通っていれば、2人とも減免を受けられます。ただし、それぞれが給付奨学金に申し込む必要があります。
下の子の入学に合わせて、上の子も対象になるケースもあります。家族構成と進学スケジュールを早めに整理しておくと、取りこぼしを防げます。
多子世帯なのに対象外になる主なケース
子どもが3人いるのに多子世帯と判定されない場合、住民税情報や申告内容に原因があることがほとんどです。代表的なケースは次のとおりです。
- きょうだいの収入が基準を超え、住民税情報上の扶養親族から外れている(学生世代で160万円以下なら申告でカウントできる場合あり)
- 年末調整や確定申告で、扶養親族の申告が漏れている
- 扶養している子どもの一部が、もう一方の親や祖父母の扶養に入っている(生計維持者全員の扶養親族を合計して判定)
- 申込者本人が生計維持者に扶養されていない
- 本人と生計維持者の資産合計が3億円以上
扶養の申告漏れが原因の場合は、市区町村で住民税の申告内容を確認し、修正後の扱いを学校の奨学金窓口に相談してください。
多子世帯の大学無償化はいくら?授業料・入学金の減免上限額
多子世帯の授業料等減免の上限額は、私立大学で入学金26万円・授業料年70万円、国公立大学で入学金28万円・授業料年54万円です。所得による減額はなく、多子世帯と判定されれば上限額まで減免されます。
授業料・入学金の上限額(国公立・私立/大学・短大・高専・専門学校)
学校種別ごとの減免上限額は次のとおりです。令和7年度から金額の変更はありません。
| 学校種別 | 国公立 | 私立 | ||
|---|---|---|---|---|
| 入学金 | 授業料(年額) | 入学金 | 授業料(年額) | |
| 大学 | 28万円 | 54万円 | 26万円 | 70万円 |
| 短期大学 | 17万円 | 39万円 | 25万円 | 62万円 |
| 高等専門学校 | 8万円 | 23万円 | 13万円 | 70万円 |
| 専門学校 | 7万円 | 17万円 | 16万円 | 59万円 |
国立大学の標準額は授業料年53万5,800円・入学金28万2,000円のため、国公立大学であれば実質的にほぼ全額がカバーされます。
私立大学に通う場合の自己負担はいくら残る?
私立大学の場合、授業料は平均で年約27万円の自己負担が残る計算です。文部科学省の令和7年度調査では、私立大学の授業料の平均は年968,069円で、減免上限の70万円を約26.8万円上回ります。
一方、入学料の平均は240,365円で、上限の26万円に収まります。また、施設設備費(平均172,550円)や実験実習費は減免の対象外です。平均額と上限額を比べると、次のようになります。
理系学部や医歯薬系など授業料が高い学部では、自己負担はさらに大きくなります。「私立でも無償化されるから学費はかからない」と考えず、上限額との差額と諸費用を進学資金として見込んでおきましょう。
専門学校でも多子世帯の大学無償化は使える
多子世帯の授業料等減免は、大学・短期大学・高等専門学校に加えて専門学校(専修学校の専門課程)も対象です。私立専門学校なら入学金最大16万円・授業料年最大59万円、国公立専門学校なら入学金7万円・授業料17万円が上限です。
ただし対象は、高等教育の修学支援新制度の対象機関として確認を受けた学校に限られます。専門学校は学校ごとに対象・対象外が分かれるため、出願前に文部科学省の支援対象校一覧や学校の奨学金窓口で確認してください。
資産要件は3億円未満(給付奨学金は5,000万円未満)
授業料等減免の資産要件は、申込者本人と生計維持者の資産合計が3億円未満であることです。給付奨学金(月額の現金支給)とは基準額が異なります。
| 支援内容 | 資産要件 |
|---|---|
| 給付型奨学金(月額支給) | 本人と生計維持者の資産合計が5,000万円未満 |
| 授業料等減免(多子世帯) | 本人と生計維持者の資産合計が3億円未満 |
資産が5,000万円以上3億円未満の場合、給付奨学生として採用されますが給付奨学金の支給額は0円となり、授業料等減免のみを受けられます。資産に含まれるもの・含まれないものは次のとおりです。
・現金やこれに準ずるもの(退職金、投資目的で保有する金・銀等を含む)
・預貯金、有価証券や投資信託(NISAによる投資額も含む。時価で換算)
・満期や解約により現金化した保険
【資産の対象にならないもの】
・土地、建物等の不動産
・満期、解約前の保険の掛け金
・貯蓄型生命保険や学資保険
住宅ローンなどの負債と相殺することはできません。持ち家や学資保険は資産に含まれないため、資産要件で対象外になる世帯は多くありません。
多子世帯の給付型奨学金はいくらもらえる?支援区分と月額
多子世帯の給付型奨学金は、世帯の所得が第4区分の基準以内なら月額で支給され、基準を超えると0円(授業料等減免のみ)になります。返済は不要です。
支援区分は第1〜第4区分+「多子世帯」の5段階
JASSOの給付奨学金は、世帯の「支給額算定基準額」に応じて支援区分が決まります。所得が低い区分ほど支給額が大きくなる仕組みです。
| 支援区分 | 収入基準(支給額算定基準額の合計) | 給付奨学金 | 授業料等減免(多子世帯の場合) |
|---|---|---|---|
| 第1区分 | 100円未満(市町村民税所得割が非課税) | 満額 | 上限額まで |
| 第2区分 | 100円以上25,600円未満 | 第1区分の3分の2 | 上限額まで |
| 第3区分 | 25,600円以上51,300円未満 | 第1区分の3分の1 | 上限額まで |
| 第4区分(多子世帯) | 51,300円以上154,500円未満 | 第1区分の4分の1 | 上限額まで |
| 多子世帯 | 第4区分の基準を超える | 0円 | 上限額まで |
出典:進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準 日本学生支援機構
多子世帯でない場合、第2区分は授業料等減免も上限の3分の2、第3区分は3分の1にとどまります。多子世帯に該当すると、第1〜第3区分の表記は「第○区分(多子世帯)」となり、給付奨学金の額は変わらないまま、授業料等減免だけが上限額まで引き上げられます。
「授業料等減免のみの支援」とは?区分「多子世帯」は給付0円
支援区分が「多子世帯」の場合、授業料と入学金は上限額まで減免されますが、給付奨学金の振込はありません。これがいわゆる「授業料等減免のみの支援」です。
所得が第4区分の基準を超える世帯のほか、資産が5,000万円以上3億円未満の世帯もこの扱いになります。振込がなくても給付奨学生としての手続き(在籍報告など)は必要です。
第4区分(多子世帯)の年収目安は5人世帯で親の年収698万円程度
第4区分は中間所得層向けの区分です。2027年度進学予定者が予約採用に申し込む場合の、第4区分の上限額の目安は次のとおりです(給与所得者の場合)。
| 想定する世帯構成 | 第4区分の年収目安 |
|---|---|
| 本人、親A | 630万円 |
| 本人、親A、中学生 | 630万円 |
| 本人、親A、親B(無収入)、中学生 | 635万円 |
| 本人、親A、親B(給与所得者)、中学生 | 親A589万円/親B165万円 |
| 本人、親A、親B(パート)、大学生、中学生 | 親A698万円/親B110万円 |
出典:進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準 日本学生支援機構
多子世帯に該当するのは、表のうち子どもが3人いる5人世帯のようなケースです。実際の判定は支給額算定基準額で行われ、障がい者の有無や保険料の支払い状況でも結果が変わります。目安はJASSOの「進学資金シミュレーター」で確認できます。
第1〜第3区分を含む年収目安の全体と計算の仕組みは、こちらの記事で解説しています。
多子世帯の給付奨学金の月額(第4区分・自宅/自宅外)
第4区分(多子世帯)の給付奨学金の月額は、私立・自宅外通学で月19,000円、国公立・自宅外通学で月16,700円です。大学・短大・専門学校の月額は次のとおりです。
| 区分 | 国公立・自宅 | 国公立・自宅外 | 私立・自宅 | 私立・自宅外 |
|---|---|---|---|---|
| 第1区分 | 29,200円 | 66,700円 | 38,300円 | 75,800円 |
| 第2区分 | 19,500円 | 44,500円 | 25,600円 | 50,600円 |
| 第3区分 | 9,800円 | 22,300円 | 12,800円 | 25,300円 |
| 第4区分(多子世帯) | 7,300円 | 16,700円 | 9,600円 | 19,000円 |
自宅通学の額は、生活保護世帯や児童養護施設等から通学する場合に増額されます。高等専門学校(4年生以上)は大学より低い月額で、第4区分(多子世帯)は国公立・自宅外で8,600円、私立・自宅外で10,900円です。通信教育課程は年額支給で、第4区分(多子世帯)は年12,800円です。
高専の1〜3年生は修学支援新制度ではなく高等学校等就学支援金の対象です。高専の学費と支援の全体像はこちらで解説しています。
自宅外通学なら年間約20〜23万円
自宅外通学(生計維持者のもとを離れ、家賃を払って生活している状態)で第4区分(多子世帯)に該当すると、給付奨学金は国公立で年200,400円、私立で年228,000円になります。自宅通学と比べると、国公立・私立とも年112,800円多い計算です。
自宅外通学の月額を受けるには、賃貸借契約書などの書類を出して認定を受ける必要があります。進学後に一人暮らしを始めた場合も、届出をしないと自宅通学の月額のままになるため注意してください。
貸与型奨学金・教育ローンとの併用はできる?
多子世帯の給付奨学金・授業料等減免は、貸与型奨学金や教育ローンと併用できます。ただし、第一種奨学金(無利子)は貸与月額が調整されます。
- 第一種奨学金(無利子):給付奨学金を受けている間は、貸与月額が減額(併給調整)される。区分「多子世帯」で給付0円の場合の扱いは、JASSOの「給付奨学金と併せて利用する第一種奨学金の貸与月額」で確認する
- 第二種奨学金(有利子):併給調整の対象外で、給付奨学金を受けていても貸与月額は変わらない
- 貸与奨学金の家計基準:2人を超える子ども1人につき4万円の「多子控除」があり、多子世帯判定と同じ「子ども」の数が使われる
- 国の教育ローンや自治体の貸付:給付奨学金と別枠で利用できる
私立大学の授業料の差額や施設設備費に充てる資金の選び方は、こちらの記事が参考になります。
多子世帯の大学無償化の申し込みはいつ?2026年秋・2027年度進学のスケジュール
多子世帯の大学無償化は自動では適用されません。授業料等減免だけを希望する場合も、JASSOの給付奨学金に申し込む必要があります。申込方法は次の3つです。
| 申込方法 | 対象者 | 申込時期 |
|---|---|---|
| 予約採用 | 高校3年生(高校卒業後2年以内の人も可) | 高校3年生の春〜初夏が中心。秋に第2回の募集を行う高校もある |
| 在学採用 | 大学・短大・専門学校・高専の在学生 | 春(4月頃)と秋(9〜11月頃)の年2回。期限は学校ごとに異なる |
| 家計急変採用 | 災害・失業・死亡などで家計が急変した人 | 随時 |
いま(2026年10月)申し込めるのは秋の在学採用
すでに大学等に在学していて、まだ給付奨学金を受けていない人は、秋の在学採用で2026年10月分からの支援を申し込めます。秋に申し込むと12月頃に採用が決まり、10月分からまとめて支給されます。
受付期間は学校ごとに決められています。たとえば京都大学では、申請書類の提出期限を2026年11月9日(月)、スカラネットの入力期限を11月18日(水)としています。期限を過ぎると受け付けてもらえないため、学内の掲示や学生ポータルを今すぐ確認してください。
なお、すでに給付奨学金の採用を受けている人は、改めて申し込む必要はありません。多子世帯の判定は毎年の家計の適格認定で更新されます。
2027年度に進学する高校3年生は予約採用で申し込む
予約採用は、在学している(または卒業した)高校を通じて申し込みます。給付奨学金の申込画面で「高等教育の修学支援新制度(給付奨学金・授業料等減免)」を希望すると、多子世帯の授業料等減免もあわせて申請できます。
2027年度進学予定者の判定には、2025年1〜12月の収入にもとづく令和8年度(2026年度)住民税情報が使われます。春の募集に間に合わなかった場合でも、秋に第2回の募集を行う高校があるため、担任や進路指導の先生に確認しましょう。予約採用では2026年中の減収は考慮されないため、家計が急変した場合は家計急変採用や進学後の在学採用を検討します。
入学金の減免は入学後3か月以内の申し込みが条件
入学金の減免を受けられるのは、入学後3か月以内に申し込んだ人だけです。予約採用をしていない新入生は、春の在学採用で申し込まないと入学金の減免を受けられません。秋の申し込みでは、入学金と前期授業料の支援は対象外です。
春の申し込みでは前々年の所得と扶養の状況、秋の申し込みでは前年の状況で審査されます。そのため、同じ年でも春と秋で結果が変わることがあります。
多子世帯の奨学金・授業料減免はいつ振り込まれる?
給付奨学金は、原則として毎月11日に本人名義の口座へ振り込まれます(4月は21日、5月は原則16日)。授業料等減免は振込ではなく、学校の請求額が減額されるか、納付済みの分が還付される形で反映されます。
給付奨学金の振込日(令和8年度)
振込日が金融機関の休業日にあたる場合は、その前の営業日になります。令和8年度の振込予定日は次のとおりです。
| 対象月 | 振込日 | 対象月 | 振込日 |
|---|---|---|---|
| 4月分 | 4月21日(火) | 10月分 | 10月9日(金) |
| 5月分 | 5月15日(金) | 11月分 | 11月11日(水) |
| 6月分 | 6月11日(木) | 12月分 | 12月11日(金) |
| 7月分 | 7月10日(金) | 1月分 | 1月8日(金) |
| 8月分 | 8月10日(月) | 2月分 | 2月10日(水) |
| 9月分 | 9月11日(金) | 3月分 | 3月11日(木) |
採用時の初回振込では、複数月分がまとめて振り込まれることがあります。春の在学採用なら7月頃に4月分から、秋の在学採用なら12月頃に10月分からまとめて入金されるのが基本です。給付が終わる年度の3月分は、2月分とあわせて2月10日に振り込まれます。
授業料減免はいつ反映される?振込ではなく減額か還付
授業料等減免は、JASSOから現金が振り込まれるのではなく、学校が授業料を減額する形で反映されます。反映の方法と時期は学校ごとに異なります。
- 採用が決まってから授業料を納める場合:減免額を差し引いた金額が請求される
- すでに授業料を納めている場合:採用決定後に学校から還付される(例:獨協大学は春学期分の減免額を奨学金振込口座へ還付し、秋学期以降は減免後の金額で請求)
- 入学金:入学後3か月以内に申し込み、採用されれば同じく減額または還付
春の在学採用は7月頃、秋の在学採用は12月頃に採用が決まるため、還付はそれ以降になります。減免額と還付の時期は学校から通知されるので、通知を必ず確認しましょう。
多子世帯の奨学金が振り込まれないときに確認すること
振込日を過ぎても入金がない場合は、次の点を確認してください。
- 支援区分が「多子世帯」になっていないか(区分「多子世帯」は授業料等減免のみで、給付奨学金の振込はない)
- 資産が5,000万円以上で、給付奨学金の支給額が0円になっていないか
- まだ採用が決まっていない(春の在学採用は7月頃、秋は12月頃が初回振込)
- 在籍報告や適格認定の手続きが済んでいるか
- 10月の支援区分の見直しで、多子世帯から外れていないか
支援区分は、スカラネット・パーソナルの「奨学生番号ごとの詳細情報」画面の支援区分適用履歴で確認できます。
多子世帯支援はいつまで続く?継続条件と打ち切りリスク
多子世帯支援は、一度採用されれば卒業まで続くわけではありません。毎年「適格認定」が行われ、家計状況と学業成績の両面から継続の可否が判断されます。
毎年10月に支援区分が見直され、扶養する子どもの数も再判定される
家計面の適格認定は毎年秋に行われ、10月から翌年9月までの支援区分が決まります。最新の住民税情報などをもとに、扶養する子どもの数と所得が再チェックされます。
第一子が就職して扶養を外れ、扶養する子どもが2人以下になったと判定されれば、多子世帯としての支援は終わります。その場合も、所得が第1〜第3区分の基準以内なら、通常の区分で給付奨学金と授業料等減免(上限額の満額〜3分の1)を受けられる可能性があります。
単位不足・出席率6割以下で支援が「廃止」される
学業面の適格認定は学年末(2年制の短大・専門学校などは半年ごと)に行われます。判定は「警告」「停止」「廃止」「返還」に分かれます。
| 判定 | 主な基準 | 影響 |
|---|---|---|
| 警告 | 修得単位数が標準の7割以下、GPA等が下位4分の1、出席率が8割以下など | 支援は継続するが、連続すると停止・廃止 |
| 停止 | 2回連続で警告を受け、2回目がGPA等の要件のみの場合 | 支援が一時的に止まる |
| 廃止 | 修得単位数が標準の6割以下、出席率が6割以下、修業年限で卒業できないことが確定した場合など | 支援が打ち切られる |
| 返還 | 出席率1割以下など学業成績が著しく不良、退学・停学(無期限または3か月以上)、虚偽の申請 | 打ち切りに加え、受けた支援の返還を求められることがある |
災害や病気・けがなどやむを得ない事由が認められれば、廃止や警告の対象にならないことがあります。事情がある場合は早めに学校の窓口に相談してください。
給付月額0円でも在籍報告は必要
見落とされがちなのが、給付奨学金の振込がない人にも手続きの義務がある点です。授業料等減免のみを受けている区分「多子世帯」の学生や、資産要件で支給額0円の学生も対象です。
毎年の在籍報告を期限までに行わないと、支援区分が決まらず、授業料等減免まで止まるおそれがあります。振込がないからと通知を見落とさないよう、スカラネット・パーソナルや学校の案内を必ず確認しましょう。
多子世帯の給付型奨学金・大学無償化に関するよくある質問
多子世帯の給付型奨学金と大学無償化について、検索の多い質問をQ&A形式でまとめます。多子世帯の読み方と意味は?
多子世帯は「たしせたい」と読みます。大学無償化(高等教育の修学支援新制度)では、生計維持者(原則として父母)が扶養する「子ども」が学生本人を含めて同時に3人以上いる世帯を指します。子どもを何人育てたかではなく、同時に何人扶養しているかで判定されるため、上の子が就職して扶養を外れると多子世帯ではなくなります。
多子世帯特例とは何ですか?
「多子世帯特例」は正式名称ではなく、令和7年度から始まった多子世帯への授業料等減免の拡充を指して使われる言葉です。日本学生支援機構の給付奨学金で支援区分に「多子世帯」の表示が付くと、所得にかかわらず大学・短大・高専・専門学校の授業料と入学金が上限額まで減免されます。私立大学なら入学金26万円・授業料年70万円が上限です。
多子世帯特例の30万円とは何のこと?
多子世帯特例で一律30万円が支給される制度は、日本学生支援機構・文部科学省の公表資料では確認できません(2026年10月時点)。近い金額としては、多子世帯の入学金減免の上限(国公立大学28万円・私立大学26万円)、第4区分(多子世帯)・自宅外通学の給付奨学金の年額(国公立200,400円・私立228,000円)、児童手当の第3子以降の年額36万円などがあります。いずれも別の支援で、現金30万円の一時金ではありません。
多子世帯の大学無償化に年収の条件はある?
授業料等減免に所得制限はありません。子どもを3人以上同時に扶養していれば、世帯年収が高くても上限額まで減免を受けられます。条件は、本人と生計維持者の資産合計が3億円未満であることです。一方、給付型奨学金(月額支給)には所得基準があり、第4区分の目安は、本人・親A・親B(パート)・大学生・中学生の5人世帯で親Aの年収698万円程度までです。
多子世帯の場合、資産要件はいくら?
授業料等減免は本人と生計維持者の資産合計が3億円未満、給付奨学金(月額支給)は5,000万円未満が要件です。資産が5,000万円以上3億円未満の場合は、給付奨学生として採用されますが給付奨学金は0円となり、授業料等減免のみを受けられます。土地・建物などの不動産、解約前の保険の掛け金、学資保険は資産に含まれません。
専門学校でも多子世帯の無償化は使える?いくら減免される?
専門学校(専修学校の専門課程)も多子世帯の授業料等減免の対象です。私立専門学校は入学金最大16万円・授業料年最大59万円、国公立専門学校は入学金7万円・授業料年17万円が上限です。ただし対象は、高等教育の修学支援新制度の対象機関として確認を受けた学校に限られます。出願前に学校の窓口や文部科学省の支援対象校一覧で確認してください。
多子世帯の自宅外通学だと月いくらもらえる?
第4区分(多子世帯)で自宅外通学の場合、給付奨学金は国公立の大学・短大・専門学校で月16,700円、私立で月19,000円です。年額では国公立200,400円、私立228,000円になります。第1区分(住民税非課税世帯など)の自宅外通学なら、国公立で月66,700円、私立で月75,800円です。自宅外通学の月額を受けるには、賃貸借契約書などの書類を提出して認定を受ける必要があります。
第一子が就職したら、第二子・第三子の支援はどうなる?
多子世帯支援は、子どもを3人以上同時に扶養している間だけが対象です。第一子が就職などで扶養を外れ、扶養する子どもが2人になったと判定されると、多子世帯としての支援は終わります。支援区分は毎年10月に見直され、判定には住民税情報も使われるため、就職と終了の時期にずれが出ることがあります。所得が第1〜第3区分の基準以内であれば、通常の区分で支援を受けられる可能性があります。
アルバイトをしているきょうだいは「子ども」にカウントされる?
令和8年度住民税を使う判定から、19〜22歳の学生世代(18歳早生まれを含む)であれば、年収123万円超160万円以下のきょうだいも多子世帯の「子ども」としてカウントできるようになりました。ただし本人以外のきょうだい分は自動では反映されず、申告が必要です。年収160万円を超える場合や、学生世代以外で年収123万円を超える場合は対象外です。2027年度進学の予約採用申込者には、該当する可能性があれば日本学生支援機構から申告書類の案内が届きます。
多子世帯なのに給付奨学金が不採用・対象外になった。なぜ?
多いのは、住民税情報上の扶養親族の数が3人未満になっているケースです。きょうだいの収入が基準を超えて扶養から外れている、年末調整や確定申告で扶養の申告が漏れている、子どもの一部が別の親族の扶養に入っている、といった原因が考えられます。資産が5,000万円以上の場合は給付奨学金が0円になりますが、授業料等減免は受けられます。心当たりがあれば市区町村で住民税の申告内容を確認し、学校の奨学金窓口に相談してください。
多子世帯の大学無償化はいつから申し込める?2026年はまだ間に合う?
在学中の学生は、春(4月頃)と秋(9〜11月頃)の在学採用で申し込めます。2026年秋の在学採用は各大学で受付中で、採用されれば10月分から支援を受けられます。期限は学校ごとに異なり、たとえば京都大学は申請書類の提出期限を2026年11月9日としています。2027年度に進学する高校3年生は、高校を通じた予約採用で申し込みます。秋の申し込みでは入学金と前期授業料は減免されません。
多子世帯の奨学金はいつ振り込まれる?
給付奨学金は原則として毎月11日に振り込まれます。4月分は21日、5月分は原則16日で、休業日にあたる場合は前営業日です。令和8年度の10月分は10月9日(金)、11月分は11月11日(水)、12月分は12月11日(金)です。採用初年度は複数月分がまとめて振り込まれ、春の在学採用は7月頃に4月分から、秋の在学採用は12月頃に10月分から入金されるのが基本です。
授業料減免はいつ振り込まれる?
授業料等減免は、日本学生支援機構から現金が振り込まれる仕組みではありません。採用後に授業料を納める場合は減免後の金額が請求され、すでに納めている場合は学校から還付されます。たとえば獨協大学は、春学期分の減免額を奨学金振込口座へ還付し、秋学期以降は減免後の金額で請求するとしています。採用決定は春の在学採用で7月頃、秋で12月頃のため、還付はそれ以降です。時期と方法は学校からの通知で確認してください。
多子世帯でも貸与型奨学金と併用できる?
併用できます。第二種奨学金(有利子)は給付奨学金を受けていても貸与月額は変わりません。第一種奨学金(無利子)は、給付奨学金を受けている間は貸与月額が減額(併給調整)されます。貸与奨学金の家計基準では、2人を超える子ども1人につき4万円の多子控除があります。私立大学の授業料の差額や施設設備費を補う手段として検討できます。
高校生がいる多子世帯も大学無償化の対象になる?
大学無償化の多子世帯支援は、大学・短大・高専(4年生以上)・専門学校に在学する学生が対象で、高校生本人の授業料は対象外です。ただし、高校生や中学生のきょうだいは扶養する「子ども」の数に含まれます。高校の授業料は高等学校等就学支援金、子育て全般は児童手当(第3子以降は月3万円)など、別の制度で支援されています。
給付月額0円と言われたが、手続きは必要?
必要です。給付奨学金の振込がない場合でも、給付奨学生としての手続きは続きます。在籍報告を期限までに行わないと支援区分が決まらず、授業料等減免まで受けられなくなるおそれがあります。区分「多子世帯」で減免のみを受けている人や、資産要件で支給額0円の人も対象です。スカラネット・パーソナルや学校の案内を確認し、期限内に手続きを済ませてください。
多子世帯支援が途中で打ち切られることはある?
毎年の適格認定で、支援が停止・廃止されることがあります。家計面では、扶養する子どもが3人未満になれば多子世帯としての支援は終わります。学業面では、修得単位数が標準の6割以下、出席率が6割以下などの場合に「廃止」となります。出席率1割以下や退学・停学処分、虚偽申請の場合は、受けた支援の返還を求められることもあります。災害や病気などやむを得ない事由があれば対象外となることがあります。
まとめ
多子世帯の大学無償化は、こども未来戦略にもとづく少子化対策として令和7年度(2025年度)に始まり、令和8年度(2026年度)も同じ上限額で続いています。これまで対象外だった中間層・高所得層にも、所得制限なしで授業料・入学金の減免の道が開かれました。
ポイントを整理します。
- 多子世帯とは:読み方は「たしせたい」。扶養する「子ども」が本人を含めて同時に3人以上の世帯。令和8年度住民税を使う判定からは、年収160万円以下の学生世代のきょうだいもカウントできる
- 「多子世帯特例 30万円」:一律30万円の給付金は公式資料で確認できない。入学金の減免上限(26〜28万円)などとの混同に注意
- 授業料・入学金の減免:所得制限なし、資産3億円未満。私立大学は入学金26万円・授業料年70万円、私立専門学校は入学金16万円・授業料年59万円が上限
- 給付型奨学金:第4区分(多子世帯)なら自宅外通学で国公立月16,700円・私立月19,000円。所得が第4区分を超えると減免のみ(給付0円)
- 申し込み:給付奨学金の申し込みが必須。2026年秋の在学採用は各校で受付中。入学金の減免は入学後3か月以内の申し込みが条件
- 振込:給付奨学金は原則毎月11日。授業料減免は学校の請求額の減額または還付で反映
- 継続条件:扶養する子どもが2人以下になると多子世帯の支援は終了。単位不足や出席率6割以下でも廃止のリスクあり。給付0円でも在籍報告は必要
「子どもが3人いれば自動で対象」「一度採用されたら卒業まで安心」という制度ではありません。とはいえ、条件を正しく理解して申し込めば、私立大学なら4年間で最大306万円(入学金26万円+授業料70万円×4年)の負担を減らせる大きな支援です。在学中の方は秋の在学採用の期限を、高校3年生の方は予約採用ときょうだいの申告書類を、早めに確認しておきましょう。
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