給付型奨学金は返済が不要なため、お子さんの大学進学を考える家庭にとって最も関心の高い制度のひとつです。一方で、「親の年収がいくらまでなら対象になるのか」「第4区分の年収なのにもらえないことがあるのか」「資産額はバレるのか」といった疑問を抱えたまま、申込みをためらってしまう方も多いのではないでしょうか。
日本学生支援機構(JASSO)は2026年8月、2027年度に進学する人向けの予約採用の家計基準を更新しました。判定の仕組みは、年収の額面をそのまま見るものではありません。住民税の情報から算出する「支給額算定基準額」と、申込日時点の「資産額」の2つで支援区分が決まります。収入基準は支給額算定基準額の合計が154,500円未満、資産基準は本人と生計維持者の合計で5,000万円未満です。
ただし、最も所得の高い第4区分で支援を受けられるのは、多子世帯と私立の理工農系学科の学生に限られます。この記事では、給付型奨学金の親の年収・資産の判定ルールを、JASSOの最新の基準額をもとに解説します。もらえない主な理由、親の年収が関係ない支援、母子家庭や共働き世帯での違い、貸与型との年収基準の差まで整理しました。
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この記事の目次
給付型奨学金は親の年収いくらまで?【2026年度の目安】
給付型奨学金の収入上限は、片働きの4人世帯(本人・親A・無収入の親B・中学生)で第1区分が年収271万円、第3区分が378万円、第4区分が635万円が目安です。JASSOが公表している2027年度進学者向け「進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準」に基づく数値で、世帯人数と働き方によって上限は変わります。
給与所得者の世帯における、年間の給与収入金額の目安は以下のとおりです。
| 世帯人数 | 想定する世帯構成 | 第1区分 | 第2区分 | 第3区分 | 第4区分 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2人 | 本人、親A(給与所得者) | 207 | 298 | 373 | 630 |
| 3人 | 本人、親A(給与所得者)、中学生 | 221 | 298 | 373 | 630 |
| 4人 | 本人、親A(給与所得者)、親B(無収入)、中学生 | 271 | 303 | 378 | 635 |
| 4人 | 本人、親A(給与所得者)、親B(給与所得者)、中学生 | 親A:221/親B:127 | 親A:245/親B:165 | 親A:323/親B:165 | 親A:589/親B:165 |
| 5人 | 本人、親A(給与所得者)、親B(パート)、大学生、中学生 | 親A:321/親B:110 | 親A:395/親B:110 | 親A:461/親B:110 | 親A:698/親B:110 |
(単位:万円。出典:日本学生支援機構「進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準」2027年度進学予定者向け)
この表はあくまで目安です。収入基準は住民税の課税標準額をもとに設定されているため、世帯構成・障がい者の有無・各種保険料の支払い状況等により、目安を上回っていても対象となる場合や、下回っていても対象とならない場合があります。
第1区分から第4区分までの収入基準は?
給付型奨学金の支援区分は、本人と生計維持者の「支給額算定基準額」の合計額によって、以下の区分に分かれます。
| 支援区分 | 収入基準(支給額算定基準額の合計) |
|---|---|
| 第1区分 | 市町村民税所得割が非課税であること(合計100円未満) |
| 第2区分 | 100円以上25,600円未満 |
| 第3区分 | 25,600円以上51,300円未満 |
| 第4区分 | 51,300円以上154,500円未満(多子世帯または私立理工農系の学科等に限る) |
| 多子世帯 | 第4区分の収入基準を超過しているが、多子世帯に属していることが確認できる |
第4区分は2024年度に中間所得層向けとして新設され、支給額算定基準額の上限が154,500円まで広がりました。かつて上限とされていた51,300円は、現在の第3区分の上限にあたる数値です。
第4区分の年収でも給付型奨学金をもらえない家庭がある?
あります。第4区分の年収に該当しても、多子世帯でなく、私立の理工農系学科にも進学しない場合は、給付奨学金も授業料等減免も受けられません。年収の目安表に第4区分の金額(4人世帯で635万円など)が載っているため誤解されやすい点です。
JASSOが示す第4区分の支援内容は以下のとおりです。
| 第4区分の家庭の状況 | 給付奨学金 | 授業料等減免 |
|---|---|---|
| 多子世帯に属する | 支給あり(第1区分の4分の1) | 支援あり |
| 多子世帯でなく、私立の理工農系学科等に在籍 | 0円 | 支援あり(文系との差額に着目した額) |
| 上記のいずれにも該当しない | 支給なし | 支援なし |
つまり、子どもが1〜2人の家庭で文系学部や国公立大学に進学する場合、実質的な上限は第3区分(4人世帯の片働きで年収378万円が目安)です。対象となる理工農系の学科は、文部科学省が公表している対象機関リストで確認できます。
共働き世帯と片働き世帯では年収の見方がどう違う?
共働き世帯は、夫婦の年収を単純に足した金額で判定されるわけではありません。親Aと親Bそれぞれの住民税情報から支給額算定基準額を算出し、その基準額を合算して判定します。
4人世帯(本人・親A・親B・中学生)の第1区分を比べると、片働きは親Aの年収271万円が目安であるのに対し、共働きは親A221万円・親B127万円で合計348万円が目安です。世帯年収の合計だけを見れば、共働きのほうが高い水準まで対象になり得ます。「共働きだから不利」と一律に判断せず、まずは実際の基準額で確認することが大切です。
自営業・個人事業主の家庭は年収の目安が違う?
自営業やフリーランスなど給与所得者以外の世帯は、「収入」ではなく経費を差し引いた後の「所得金額」で目安が示されています。片働きの4人世帯(本人・親A・無収入の親B・中学生)の場合、第1区分は所得182万円、第3区分は287万円、第4区分は475万円が目安です。
| 世帯人数 | 想定する世帯構成 | 第1区分 | 第2区分 | 第3区分 | 第4区分 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2人 | 本人、親A(給与所得者以外) | 135 | 192 | 245 | 439 |
| 3人 | 本人、親A(給与所得者以外)、中学生 | 147 | 196 | 250 | 443 |
| 4人 | 本人、親A(給与所得者以外)、親B(無収入)、中学生 | 182 | 212 | 287 | 475 |
(単位:万円。年間の所得金額。出典:日本学生支援機構「進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準」)
売上ではなく所得で判定されるため、確定申告書の「所得金額」の欄と照らし合わせて確認しましょう。
給付型奨学金がもらえない年収・もらえない理由は?
給付型奨学金がもらえない主な理由は、収入基準の超過、資産基準の超過、学力・意欲の基準や申込資格を満たしていないことの3つです。年収だけが原因とは限らないため、不採用となった場合は通知の理由を確認しましょう。・支給額算定基準額の合計が154,500円以上(第4区分の上限超え)で、多子世帯にも該当しない
・第4区分に該当するが、多子世帯でも私立理工農系でもない
・本人と生計維持者の資産の合計が5,000万円以上(多子世帯は3億円未満なら授業料等減免のみ対象)
・学力基準(高校の評定平均値3.5以上、または学修意欲の確認)を満たさない
・高校卒業から一定期間が経過しているなど、申込資格を満たさない
・扶養控除やひとり親控除の申告漏れで、住民税上の課税標準額が実態より高くなっている
最後のケースは見落とされがちです。年末調整や確定申告で扶養控除・ひとり親控除などの申告が漏れていると、支給額算定基準額が本来より高く算出され、不採用や区分の引き下げにつながります。税の更正(修正申告)を行った場合は、JASSOに申告することで再判定を受けられる仕組みがあります。
親の年収1,000万円・2,000万円でも対象になる可能性はある?
生計維持者1人の年収が1,000万円や2,000万円に達している場合、給付奨学金の月額支給の対象となる可能性は極めて低いといえます。第4区分の年収の目安は、5人世帯でも親A698万円・親B110万円程度だからです。
ただし、子どもを3人以上扶養する多子世帯であれば、年収にかかわらず授業料と入学金の減免を受けられます(資産3億円未満が条件)。この場合、給付奨学金の月額は0円ですが、私立大学なら年間最大70万円の授業料減免が受けられます。詳しくは以下の記事で解説しています。
「支給額算定基準額」とは?計算方法をわかりやすく解説
支給額算定基準額とは、住民税の課税標準額から算出される、給付型奨学金の支援区分を決めるための基準額です。年収の額面ではなく、税金の計算に使われる数値をもとにするため、同じ年収でも家族構成や控除の状況によって金額が変わります。
JASSOが公表している計算式は次のとおりです。
※100円未満は切り捨て
※政令指定都市に市民税を納税している場合は、(市町村民税調整控除額+市町村民税調整額)に4分の3を乗じます
※市町村民税所得割が非課税の人は、原則として支給額算定基準額が0円になります
ふるさと納税による寄附金控除や住宅ローン控除といった税額控除・臨時的な減税措置は、支給額算定基準額に影響しません。これらの適用で所得割が非課税になっていても、支給額算定基準額が0円にならない場合がある点に注意しましょう。
課税標準額はどこで調べられる?
計算に必要な「課税標準額」「市町村民税調整控除額」「市町村民税調整額」は、課税証明書や所得証明書に必ず記載されているとは限りません。確実な確認方法は以下の3つです。
- マイナポータルの「わたしの情報」から税・所得情報を取得する
- 市区町村が発行する課税証明書・非課税証明書を取り寄せる
- JASSOが公開している「支給額算定基準額判定ツール」(Excel)に入力して自動計算する
おおよその目安を知りたいだけであれば、JASSOの「進学資金シミュレーター」を使う方法もあります。ただしシミュレーターは概算のため、実際の判定結果と一致しないことがあります。「シミュレーションと結果が違った」というケースの多くは、控除や家族構成の入力が実態と異なることが原因です。正確に確認したい場合は、住民税の詳細情報を用いた判定ツールを使いましょう。
いつの年収が判定に使われる?
判定に使われるのは、申込みの前々年または前年の収入に基づく住民税情報です。2027年度に進学する予定で予約採用に申し込む場合は、2025年1月から12月の収入に基づく2026年度住民税情報が用いられます。
そのため、2026年中に減収があっても、予約採用の審査では考慮されません。年の途中で失業や休職があった場合は、進学後の家計急変採用や在学採用での申込みを検討することになります。
給付型奨学金の資産基準は5,000万円未満|何が「資産」に含まれる?
給付型奨学金の資産基準は、申込日時点の申込者本人と生計維持者の資産額の合計が5,000万円未満であることです。基準額以上の場合、収入基準を満たしていても給付奨学金は支給されません。なお、多子世帯における授業料等減免の資産基準は3億円未満と別に定められています。
申告の対象となる資産、ならない資産は以下のとおりです。
・現金やこれに準ずるもの(退職金を含む。投資用資産として保有する金・銀等)
・預貯金(普通預金・定期預金)
・有価証券や投資信託(株式・国債・社債・地方債等。時価で換算)
・NISAによる投資額
・満期や解約により現金化した保険
・土地、建物等の不動産
・満期、解約前の保険の掛け金
・貯蓄型生命保険や学資保険
住宅ローンなどの負債と相殺することはできません。また、学資保険や貯蓄型生命保険は解約して現金化すると資産に含まれるため、解約のタイミングには注意が必要です。
奨学金の資産額はバレる?調べられる?申告の仕組み
給付型奨学金の判定では、収入と資産で確認の方法が異なります。収入はマイナンバーを通じてJASSOが住民税情報を取得するため、自己申告の余地がありません。一方、預貯金や有価証券などの資産額は、申込者と生計維持者による自己申告制です。
「資産がバレるのか」という疑問の背景には、虚偽申告が発覚するのかという不安があると思われます。JASSOは必要に応じて申告内容の確認や書類の提出を求めることがあり、虚偽の申告は不正受給にあたり、発覚した場合は全額返還を求められます。正直に申告することが大前提です。
資産額がわからない・0円のときはどう申告する?
資産額は、申込日時点の残高や評価額を合算して申告します。具体的には、預貯金口座の残高、株式・投資信託・NISA口座の時価評価額、手元の現金などを足し合わせた金額です。1円単位の正確さではなく、申込日時点で確認できる金額を誠実に申告することが求められます。
学生本人に預貯金がまったくない場合は、本人分を0円として申告して問題ありません。生計維持者の資産と合算して5,000万円未満であれば、資産基準は満たされます。判断に迷う資産がある場合は、在籍する学校の奨学金担当窓口かJASSOに確認しましょう。
「生計維持者」とは誰のこと?父母以外が該当するケース
生計維持者とは、申込者本人の学費や生活費を負担する人を指し、原則として父母が該当します。父母がそろっている場合は2人が生計維持者となり、2人分の収入と資産が判定に含まれます。
ひとり親家庭では、生計維持者は1人(母のみ、または父のみ)です。父母がいない場合や連絡が取れない場合は、実際に生計を維持している祖父母・叔父叔母などが生計維持者になることがあります。判断に迷う場合は自己判断せず、学校の窓口かJASSOに相談してください。
母子家庭・ひとり親世帯は給付型奨学金で有利になる?
ひとり親世帯は、生計維持者が1人であるため収入・資産ともに1人分で判定されます。加えて、住民税の計算においてひとり親控除が適用されると課税標準額が下がるため、同じ年収水準でも支援区分が有利になりやすい傾向があります。
生計維持者が1人の2人世帯(本人・親)の場合、第1区分は年収207万円、第2区分は298万円、第3区分は373万円が目安です。第4区分(年収630万円が目安)は多子世帯か私立理工農系に限られる点は、ふたり親世帯と同じです。控除の適用状況によって結果は変わるため、判定ツールやシミュレーターで確認することをおすすめします。ひとり親家庭が使える教育費の支援は以下の記事でまとめています。
同じ年収でも支援区分が変わるのはなぜ?3つの要因
給付型奨学金では、年収が同じでも支援区分が異なることがあります。判定に使われるのが年収そのものではなく、控除後の課税標準額をもとにした支給額算定基準額だからです。区分に差が出る主な要因は、扶養する子どもの人数、学生本人の収入、各種控除の適用状況の3つです。
扶養する子どもの人数で判定はどう変わる?
扶養する子どもが多いほど扶養控除が積み上がるため、同じ年収でも課税標準額が下がり、支援区分が有利になります。さらに、子どもを3人以上扶養する多子世帯は、2025年度から所得制限なく授業料等の減免を受けられます。
多子世帯の判定は住民税上の扶養親族の数などで行われるため、第1子が就職して扶養から外れると、下の子が在学中でも支援が終了する点に注意が必要です。また、2026年度住民税を用いる判定から、年収123万円超160万円以下の学生世代のきょうだいも「子ども」としてカウントされるようになりました。本人以外のきょうだいが該当する場合は別途申告が必要です。
・第1区分〜第4区分に該当する多子世帯は、区分に応じた給付奨学金の月額が支給されます
・第4区分の収入基準を超える多子世帯(支援区分「多子世帯」)は、給付奨学金の月額は0円で、授業料等減免のみ受けられます
・所得制限はありませんが、授業料等減免の資産基準(3億円未満)は適用されます
・自動的に適用される制度ではなく、JASSOへの申込みと学校への申請が必要です
学生本人のアルバイト収入はいくらまで影響しない?
給付型奨学金の収入基準には、生計維持者の収入だけでなく申込者本人(学生)の収入も合算されます。本人の市町村民税所得割が非課税であれば、本人分の支給額算定基準額は0円となり、区分への影響はありません。
2025年の税制改正で給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられたことにより、2026年度の住民税では給与収入110万円以下であれば所得割が非課税となるのが多くの自治体での基準です。さらに勤労学生控除を適用すれば、所得割が課税されない収入の上限はより高くなります。ただし非課税限度額は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の基準を確認しましょう。なお、貸与型奨学金の家計基準は生計維持者の収入のみで判定され、本人の収入は含みません。
障害者控除やひとり親控除は判定に影響する?
住民税の課税標準額を下げる控除は、支給額算定基準額を引き下げる方向に働きます。障害者控除、ひとり親控除、寡婦控除、社会保険料控除、扶養控除などが該当します。JASSOも、世帯構成や障がい者の有無、保険料の支払い状況等によって、目安の金額を上回っていても対象となる場合があると案内しています。
一方、ふるさと納税による寄附金控除や住宅ローン控除は税額控除であり、支給額算定基準額には影響しません。節税効果があっても奨学金の判定は有利にならない点を理解しておきましょう。
親の年収が関係ない給付型奨学金・学費支援はある?
親の年収に関係なく受けられる返済不要の支援は、主に「JASSOの多子世帯支援(授業料等減免)」「大学独自の奨学金」「民間財団の奨学金」の3つです。JASSOの給付奨学金の月額支給そのものには、多子世帯を含めて収入基準があります。
多子世帯なら所得制限なしで授業料等が減免される
子どもを3人以上扶養する多子世帯の学生は、親の年収にかかわらず、大学の授業料と入学金の減免を受けられます。資産基準は3億円未満です。減免の上限額は以下のとおりです。
| 学校種別 | 国公立の入学金 | 国公立の授業料(年額) | 私立の入学金 | 私立の授業料(年額) |
|---|---|---|---|---|
| 大学 | 28万円 | 54万円 | 26万円 | 70万円 |
| 短期大学 | 17万円 | 39万円 | 25万円 | 62万円 |
| 専門学校 | 7万円 | 17万円 | 16万円 | 59万円 |
(出典:日本学生支援機構「多子世帯支援について」。万円未満は四捨五入)
大学独自・民間財団の給付型奨学金
大学が独自に設ける成績優秀者向けの奨学金や、民間財団の奨学金には、家計基準を設けていないものがあります。たとえばキーエンス財団の「がんばれ!日本の大学生 応援給付金」は、国内の4年制大学の2〜4年生を対象に返済不要の30万円を給付する制度です。ただし、多くの民間奨学金は学業成績や作文・面接で選考されるため、募集要項で要件を確認しましょう。
給付型奨学金の支給額は区分でいくら変わる?
給付型奨学金の支給月額は、支援区分・学校の設置者(国公立か私立か)・通学形態(自宅通学か自宅外通学か)の3つで決まります。大学・短期大学・専修学校(専門課程)の場合の月額は以下のとおりです。
| 支援区分 | 国公立・自宅通学 | 国公立・自宅外通学 | 私立・自宅通学 | 私立・自宅外通学 |
|---|---|---|---|---|
| 第1区分 | 29,200円 | 66,700円 | 38,300円 | 75,800円 |
| 第2区分 | 19,500円 | 44,500円 | 25,600円 | 50,600円 |
| 第3区分 | 9,800円 | 22,300円 | 12,800円 | 25,300円 |
| 第4区分(多子世帯に限る) | 7,300円 | 16,700円 | 9,600円 | 19,000円 |
(出典:日本学生支援機構「給付奨学金の支給額」)
第1区分の私立・自宅外通学であれば月額75,800円、年間で約91万円が返済不要で支給されます。生活保護世帯や児童養護施設等から自宅通学する場合は、これより高い金額が設定されています。給付奨学金は授業料等減免とセットの制度であり、月額の支給に加えて授業料と入学金の減免も受けられます。
給付型奨学金と貸与型奨学金の年収基準はどう違う?
貸与型奨学金は給付型より収入基準が緩やかで、給付型の対象外でも借りられるケースが少なくありません。貸与型の判定には「貸与額算定基準額」が使われ、給付型の支給額算定基準額とは計算式も対象者も異なります。
| 奨学金の種類 | 特徴 | 家計基準 | 年収の目安(4人世帯・給与所得者) |
|---|---|---|---|
| 第一種奨学金 | 無利子で借りる。返済が必要 | 貸与額算定基準額189,400円以下 | 約803万円まで |
| 第二種奨学金 | 有利子で借りる。基準が最も緩やか | 貸与額算定基準額381,500円以下 | 約1,250万円まで |
| 併用貸与 | 第一種と第二種を同時に利用 | 貸与額算定基準額164,600円以下 | 約743万円まで |
(出典:日本学生支援機構「進学前(予約採用)の第一種奨学金の家計基準」。本人・親A・親B(給与収入300万円)・中学生の4人世帯を想定)
貸与型の家計基準は生計維持者の収入のみで判定し、計算式には子どもを2人超扶養する場合の多子控除(1人につき40,000円)やひとり親控除(40,000円)が組み込まれています。給付型と貸与型は一定の条件のもとで併用も可能なため、給付型で不採用となった場合も貸与型を検討する価値があります。
給付型奨学金の判定結果はいつわかる?進学後の見直しは?
判定結果が出るタイミングは、予約採用(進学前の申込み)と在学採用(進学後の申込み)で異なります。選考結果は学校を通じて通知されます。
| 申込みの種類 | 判定がわかる時期の目安 |
|---|---|
| 予約採用(進学前) | 高校3年の春に申請した場合、秋頃から年内 |
| 在学採用(春) | 4月に申請した場合、6月~8月頃 |
| 在学採用(秋) | 9月~10月に申請した場合、11月~1月頃 |
提出書類の不備やマイナンバー審査の状況によっては、通知が遅れることがあります。
進学後も毎年、支援区分の見直しがある
給付型奨学金は、一度採用されれば在学中ずっと同じ金額が続くわけではありません。毎年10月に支援区分の見直し(適格認定)が行われ、その後1年間の支援区分が決まります。2026年度の適格認定で決定した区分は、2026年10月分から2027年9月分までの支給月額に適用されます。
見直しは、毎年4月の在籍報告で申告した生計維持者と本人の経済状況(マイナンバーで取得した住民税情報と申告された資産額)に基づいて行われます。収入基準と資産基準のいずれかを満たさない場合は「家計基準非該当」となり、1年間給付奨学金が振り込まれません。在学中に親の年収が上がった場合や、学生本人のアルバイト収入が増えた場合は、翌年度の区分に影響する可能性があります。
親の退職・失業で収入が減ったらどうすればいい?
生計維持者の死亡・事故・病気・失業などにより家計が急変した場合は、「家計急変採用」の申込みが可能です。予約採用の審査では申込み後の減収は考慮されませんが、家計急変採用は年間を通じて随時受け付けられており、急変後おおむね3か月以内の申込みが必要とされています。
家計急変事由が適用されている場合、支援区分の見直しは支給開始月から6か月経過後、その後は3か月ごとに行われます。急な収入減があった場合は、まず在籍する学校の奨学金担当窓口に相談しましょう。
給付型奨学金と親の年収に関するよくある質問
給付型奨学金は親の年収がいくらまでなら対象になりますか?
片働きの4人世帯(本人・親A・無収入の親B・中学生)を想定した場合、第1区分は年収271万円、第2区分は303万円、第3区分は378万円、第4区分は635万円が目安です。ただし第4区分で支援を受けられるのは多子世帯と私立理工農系の学生に限られるため、それ以外の家庭の実質的な上限は第3区分です。判定は年収の額面ではなく住民税の課税標準額から算出する支給額算定基準額で行われます。
第4区分の年収なのに給付型奨学金がもらえないのはなぜですか?
第4区分の支援対象が、多子世帯に属する学生と、私立の理工農系学科等に在籍する学生に限られているためです。どちらにも該当しない場合、給付奨学金も授業料等減免も受けられません。私立理工農系の場合は給付奨学金が0円で、授業料等減免のみ受けられます。
親の年収が関係ない給付型奨学金はありますか?
JASSOの制度では、子どもを3人以上扶養する多子世帯が所得制限なく授業料と入学金の減免を受けられます(資産3億円未満)。第4区分の収入基準を超える場合、給付奨学金の月額は0円です。このほか、大学独自の奨学金や民間財団の奨学金には、キーエンス財団の「がんばれ!日本の大学生 応援給付金」(30万円)のように家計基準を設けていないものがあります。
奨学金の「資産額」とは何を指しますか?
現金、預貯金(普通・定期)、有価証券や投資信託(時価換算)、NISAによる投資額、満期や解約により現金化した保険が対象です。土地や建物などの不動産、解約前の保険の掛け金、貯蓄型生命保険や学資保険は対象外です。申込者本人と生計維持者の資産を合算して5,000万円未満であることが条件で、住宅ローン等の負債と相殺することはできません。
奨学金の資産額はバレる・調べられるのですか?
収入の判定にはマイナンバーが使われ、住民税情報がJASSOに提供されます。一方、預貯金や投資信託などの資産額は自己申告制です。ただしJASSOは必要に応じて申告内容の確認や書類提出を求めることがあり、資産を少なく申告するなどの虚偽申告は不正受給にあたります。発覚した場合は全額返還を求められるため、正直に申告することが大前提です。
資産額がわからない場合はどう申告すればよいですか?
申込日時点の預貯金残高、株式や投資信託・NISA口座の時価評価額、手元の現金などを合算して申告します。学生本人に預貯金がない場合は0円と申告して問題ありません。まだ解約していない学資保険や貯蓄型生命保険は資産に含めません。判断に迷う資産がある場合は、在籍する学校の奨学金担当窓口またはJASSOに確認してください。
支給額算定基準額はどうやって計算しますか?
「課税標準額×6%-(市町村民税調整控除額+市町村民税調整額)」で算出し、100円未満は切り捨てます。政令指定都市に市民税を納税している場合は、カッコ内の金額に4分の3を乗じます。課税標準額はマイナポータルや市区町村発行の課税証明書で確認でき、JASSOの「支給額算定基準額判定ツール」(Excel)に入力すれば自動計算されます。
母子家庭・ひとり親世帯は年収いくらまで給付型奨学金を受けられますか?
本人と親の2人世帯(親が給与所得者)の場合、第1区分は年収207万円、第2区分は298万円、第3区分は373万円が目安です。ひとり親控除によって課税標準額が下がるため、ふたり親世帯より有利になりやすい傾向があります。第4区分(年収630万円が目安)は多子世帯か私立理工農系に限られます。
学生本人のアルバイト収入はいくらまでなら影響しませんか?
本人の市町村民税所得割が非課税であれば、本人分の支給額算定基準額は0円となり区分に影響しません。2025年の税制改正で給与所得控除の最低保障額が65万円に引き上げられたため、2026年度の住民税では給与収入110万円以下が非課税の基準となる自治体が多くなっています。非課税限度額は自治体で異なるため、市区町村に確認しましょう。
給付型奨学金の対象外だった場合、貸与型は使えますか?
使えるケースが多くあります。貸与型の家計基準は生計維持者の貸与額算定基準額で判定され、第一種は189,400円以下、第二種は381,500円以下です。年収の目安は4人世帯(親Bの給与収入300万円)で第一種が約803万円、第二種が約1,250万円までとなっています。給付型と貸与型は一定の条件のもとで併用も可能です。
在学中に親の収入が増えたらどうなりますか?
毎年10月の適格認定(家計)で支援区分が見直され、収入が増えていれば区分が下がる、または家計基準非該当となる場合があります。2026年度の適格認定で決まった区分は2026年10月分から2027年9月分に適用されます。逆に、失業や病気などで家計が急変した場合は「家計急変採用」の申込みが年間を通じて可能です。
まとめ
給付型奨学金の判定は、親の年収の額面だけで決まるものではありません。住民税の課税標準額から算出する「支給額算定基準額」の合計と、申込日時点の「資産額」の2つで支援区分が決まります。2027年度進学者向けの基準では、支給額算定基準額の合計が154,500円未満、資産額は本人と生計維持者の合計で5,000万円未満が条件です。
注意したいのは、第4区分の支援が多子世帯と私立理工農系の学生に限られる点です。子どもが1〜2人の家庭では、実質的な上限は第3区分(4人世帯の片働きで年収378万円が目安)となります。一方、多子世帯であれば親の年収にかかわらず授業料等の減免を受けられ、母子家庭・ひとり親世帯はひとり親控除によって区分が有利になりやすい傾向があります。
給付型の対象外でも、貸与型の第一種は年収約803万円、第二種は約1,250万円まで(4人世帯の目安)利用できます。年収の目安表だけで自己判断せず、JASSOの判定ツールや進学資金シミュレーターで確認したうえで、まずは申し込んでみることをおすすめします。
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