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給付型奨学金は親の年収でどう決まる?判断の仕組みと注意点を解説

公開日:2025/12/24 更新日:2026/4/27
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給付型奨学金は返済が不要なことから、お子さんの大学進学を考える家庭を中心に、関心を持つ人が多い制度です。その一方で、「親の年収が高いともらえない?」「共働きは不利?」「資産がバレるってどういうこと?」といった疑問もあるのではないでしょうか。

給付型奨学金の判定は収入だけでなく、世帯の状況によっても異なるため、その仕組みを知っておくことが大切です。本記事では、給付型奨学金の親の年収・資産に関する判断の仕組みや、「資産とは何か」「生計維持者とは誰か」といった申込みで迷いやすい用語の意味、注意点を解説します。

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この記事の目次

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給付型奨学金の判断の仕組みとは?

国の制度である日本学生支援機構(JASSO)の給付型奨学金は、「収入基準」や「資産基準」、さらに申請者本人の学業成績をもとに、支給の可否が判断されます。この中で、親の年収が大きく関わる「収入基準」「資産基準」に関しては、以下のように決められています。

区分基準判定方法
収入基準・支給額算定基準額の合計が51,300円未満
・多子世帯の場合は支給額算定基準額の合計が154,500円未満
・申込者本人(学生)の収入+親の年収で判断
・所得に応じて第1区分~第4区分に分けられる
資産基準基準額5,000万円未満であること現金・預貯金・有価証券や投資信託・満期や解約により現金化した保険の合算金額

※多子世帯(子ども3人以上扶養)の授業料等減免については資産基準が3億円未満と異なります。

収入基準は、申込者本人(学生)の収入と生計維持者の年収(原則として父母)の収入を基準に判定されます。具体的には、年収から「支給額算定基準額」が算出され、その基準額に応じて第1区分~第4区分に分けられます。
一例として、片働き世帯またはひとり親世帯で給与所得の場合、第1区分~第4区分までの収入の上限額の目安は以下のとおりです。

世帯人数想定する世帯構成第1区分第2区分第3区分第4区分
2人本人、親207298373630
3人本人、親、中学生221298373630
4人本人、親A、親B(無収入)、中学生271303378635

(単位:万円)
ただし、世帯構成、障がい者の有無、各種保険料の支払い状況等により、上記とは異なる場合があります。世帯人数や区分によって年収上限は異なるため、一概に「親の年収〇〇円以下なら対象」とは言えない点に注意が必要です。

「支給額算定基準額」とは?

申込み書類や公式サイトに登場する「支給額算定基準額」とは、年収(税込み収入)から税金・社会保険料などの控除額を差し引いて算出される、奨学金の支給区分を決めるための基準となる金額です。年収をそのまま使うのではなく、この換算後の金額を世帯全員分合算して判定されます。

たとえば、給与所得の場合は「給与所得控除」などが差し引かれるため、年収と支給額算定基準額は一致しません。計算式はJASSOの公式サイトで公表されており、シミュレーションツールも提供されています。「自分の年収が基準を超えているかどうかわからない」という場合は、公式のシミュレーターを活用するのがおすすめです。

「生計維持者」とは誰のこと?

「生計維持者」とは、申込者(学生)の生活を経済的に支える人のことで、原則として父母が生計維持者となります。父母が両方いる場合は2人が生計維持者となり、両方の収入・資産が判定に含まれます。

ひとり親家庭の場合は1人(例:母のみ)が生計維持者となります。また、父母が両方いなかったり連絡が取れないなど、特別な事情がある場合はJASSOへの相談が必要です。申込みフォームでは「生計維持者との関係」を選択する欄があり、「父」「母」のほか「祖父母」なども選べます。

資産基準について

給付型奨学金の対象となるためには、申込日時点で申込者本人(学生)と生計維持者(原則として父母)の資産額の合計が、基準額5,000万円未満である必要があります。令和6年度までは資産基準額が2,000万円未満でしたが、現在では大幅に拡充されています。

申告の対象となる資産の範囲は、以下のとおりです。

・現金やこれに準ずるもの(退職金含む。投資用資産として保有する金・銀等)
・預貯金(普通預金、定期預金)、有価証券や投資信託(株式、国債、社債、地方債等)
・NISAによる投資額
・満期や解約により現金化した保険

資産に関しては、住宅ローン等の負債と相殺することはできません。また、資産の対象とならないものは以下のとおりです。

・土地、建物等の不動産
・満期、解約前の保険の掛け金
・貯蓄型生命保険や学資保険

貯蓄型生命保険や学資保険等で積み立てをしている場合、解約して現金化すると資産と判断される可能性があるため、解約を考えている方はタイミングに注意する必要があります。

資産はバレる?調べられる?申告の仕組みを解説

「資産額をどうやって申告するの?」「バレるってどういうこと?」という疑問が多く寄せられています。
給付型奨学金の申込みでは、マイナンバーを提出することで、JASSOが住民税情報(市区町村から提供される課税・非課税情報)を取得し、収入の判定が行われます。預貯金や投資信託などの資産については、申込者・生計維持者が正直に自己申告する仕組みです。

「資産がバレる」と検索する方の多くは、「虚偽申告がJASSOにわかってしまうのか」を気にしていると思われます。JASSOは必要に応じて申告内容の調査や書類提出を求めることがあり、虚偽の申告は不正受給となり、全額返還請求の対象になります。正直に申告することが大前提です。

また、「資産額がわからない」という場合は、申込時点の預貯金残高・株式の評価額・NISA口座の評価額などをすべて合算して申告します。保険の場合は「満期・解約により現金化したもの」が対象で、まだ解約していない積立保険は含まれません。

給付型奨学金と親の年収の関係

給付型奨学金では親の年収で判断されると思われがちですが、実際は親の年収だけが判断基準ではありません。申込者本人(学生)の収入も判断基準に入るため、アルバイトをしている場合は区分や支援額に影響する可能性があります。

また、年収だけでなく、主に以下の点も支援額の判断基準となります。

・共働きか片働きか
・扶養している家族の人数
・多子世帯(子ども3人以上)
・きょうだいが同時に大学へ通っているか
・ひとり親(母子家庭・父子家庭)かどうか

同じ年収であったとしても、家庭の状況によって家計の負担は大きく異なります。給付型奨学金ではこうした事情も踏まえ、世帯全体の状況をもとに総合的な判定が行われています。

母子家庭・ひとり親世帯の場合は?

母子家庭(ひとり親世帯)の場合、生計維持者は1人(母親のみ、または父親のみ)となります。そのため、2人の収入が合算される共働き・片働き世帯と比べ、収入・資産ともに1人分の情報で判定されます。

ひとり親世帯は支給額算定基準額の計算上、「寡婦控除」「ひとり親控除」が適用されることで収入から控除される額が増え、同じ収入水準であっても支給区分が有利になる場合があります。たとえば年収300万円前後のひとり親世帯では、第1区分や第2区分に該当する可能性があります。

「母子家庭でいくらまで給付型奨学金をもらえるか」は世帯人数・扶養人数によって異なるため、JASSOの公式シミュレーターで確認することをおすすめします。

同じ年収でも結果が変わる主な要因

給付型奨学金の判定では、年収が同じでも結果が変わる場合もあります。その主な理由として、以下の2つがあります。

共働き世帯と片働き世帯の違い

「共働きは年収が増えるからその分不利」と思う人が多いかもしれませんが、実際には一概に不利と言えない場合もあります。会社員の共働き世帯と片働き世帯で、4人家族を想定した収入上限の違いは以下のとおりです。

働き方想定する世帯構成第1区分第2区分第3区分第4区分
片働き本人、親A(給与所得者)、親B(無収入)、中学生271303378635
共働き本人、親A(給与所得者)、親B(給与所得者)、中学生親A:221親A:242親A:320親A:587
親B:115親B:155親B:155親B:155

(単位:万円)
第一区分では片働き世帯が271万円に対し、共働き世帯では親Aが221万円、親Bが115万円となっており、単純な合算ではないことがわかります。その理由は、給付型奨学金の判定では、提出されたマイナンバーに基づく住民税情報から「支給額算定基準額」を算出し、世帯ごとに合算して判断されるためです。
給与の額面をそのまま合算して判定するわけではないので、共働き世帯でも基準を満たしていれば対象となります。

子どもの人数・扶養人数で判断基準が変わる

子どもの人数や、扶養家族の人数によっても、判断基準は異なります。一例として年収が同じでも、子どもや扶養家族の人数が多ければ、給付型奨学金を受給しやすくなる可能性があります。
2025年4月から制度がさらに拡充され、多子世帯(子どもを3人以上扶養している世帯)の学生については、世帯の所得に関係なく、国が定める一定の額まで授業料等が無償化されます。
第4区分では、扶養する子どもや親族が3人以上の場合、他の区分に比べて所得が多くても支援を受けやすくなります。
※第4区分のうち「理工農系」の学生は給付奨学金の支給月額が0円となりますが、授業料等の減免は受けられます。詳細はJASSOの公式サイトをご確認ください。
収入上限のためこれまで対象外だった方も、子どもが3人以上の家庭であれば対象になる可能性があるため、改めて確認してみましょう。

【2025年4月〜 多子世帯支援が大幅拡充】
子どもを3人以上扶養している多子世帯では、2025年4月より所得に関係なく授業料等が無償化される制度が新設されました。ただし、給付型奨学金自体の支給月額は0円となる場合があります(授業料等減免は受けられます)。また、多子世帯に該当する場合でも、制度を利用するにはJASSOへの申し込みが必要です。自動的に適用されるわけではありません。

本人(学生)のアルバイト収入はどこまで影響する?

「給付型奨学金 バイトいくらまで」という検索も多く寄せられています。給付型奨学金の収入基準は親の年収だけでなく、申込者本人(学生)の収入も合算して判定されます。

在学中は毎年「適格認定」で支援区分が見直されるため、アルバイト収入が増えると翌年度の区分に影響することがあります。ただし、アルバイト収入は年収ベースで判定されるため、短期・少額のアルバイトで直ちに区分が下がるわけではありません。目安として、年間収入が給与収入なら103万円を大きく超えると影響が出る可能性があります。心配な場合は在籍する学校の奨学金担当窓口に相談するのがおすすめです。

給付型奨学金の判定が出るタイミング

給付型奨学金の判定が出るタイミングは、予約採用(入学前の申し込み)と在学採用(入学後の申し込み)によって異なります。詳しくは以下のとおりです。

申込み時期判定がわかるタイミング(予定)
予約採用(入学前の申し込み)春に申請した場合は秋頃から年内
在学採用(入学後の申し込み)春に申請した場合:6月~8月頃
秋に申請した場合:11月~1月頃

選考結果は、学校を通じて書面で通知されます。ただし、提出書類等の不備やマイナンバー審査の状況によっては、遅れる可能性があります。

進学後も毎年認定を受ける必要がある

給付型奨学金は、一度支給が決定すれば大学在学中ずっと受けられるわけではありません。進学後も毎年「在籍報告」と「適格認定(家計)」が必要となり、そのたびに区分が見直されます。
毎年10月に支援区分の見直しが行われ、1年間の支援区分が決定します。家計急変事由が適用されている場合は、支給開始月から6か月経過後、3か月ごととなります。
そのため、在学中に家庭の状況や親の年収が変わった場合には、支援金額が変更される可能性があります。また、申込者本人(学生)がアルバイトをして収入を得ている場合も、その状況によっては判定に影響することがあります。

給付型奨学金と貸与型奨学金の年収基準の違い

「貸与型奨学金 親の年収」という検索も多くあります。給付型と貸与型では、年収基準が大きく異なります。

種類主な特徴年収基準の目安
給付型奨学金返済不要。収入・資産・成績の基準あり第1区分~第4区分に応じて異なる(目安:年収~630万円程度まで)
貸与型奨学金(第一種)無利子。返済が必要。給付型より基準がやや緩い世帯人数・構成により異なる(目安:4人家族で年収747万円程度まで)
貸与型奨学金(第二種)有利子。返済が必要。収入基準が比較的緩い4人家族で年収1,100万円程度まで

給付型の対象にならない場合でも、貸与型では対象となるケースがあります。給付型を申し込んだが対象外だった場合でも、貸与型を検討する価値があります。なお、両方を同時に利用することも一定の条件のもとで可能です。

給付型奨学金の判断に関する注意点

給付型奨学金については、「年収が高いともらえない」「父母どちらか一方の収入だけが見られる」といった誤解を持たれがちです。しかし、実際の判定は年収の金額だけで行われるものではありません。

生計維持者となる父母の所得や課税状況、扶養人数、きょうだいの進学状況などを踏まえ、世帯全体の状況により総合的に判断されます。年収の目安だけで判断してしまうと、制度の実態とずれてしまうため注意しましょう。
年収だけで判断せず、制度内容をしっかり確認することが大切です。

よくある質問

親の年収が関係ない給付型奨学金はある?

民間の財団等では、親の年収が関係ない給付型奨学金がいくつか実施されています。例えばキーエンス財団の「がんばれ!日本の大学生 応援給付金」では、大学生向けに、要件を満たすと返済不要の30万円が支援されます。参考:返済不要の給付金30万円「がんばれ!日本の大学生 応援給付金


きょうだいが給付型奨学金を受けていると有利になる?

きょうだいが給付型奨学金を受けている場合、家計負担として考慮されますが、自動的に有利になることはありません。また、兄・姉が給付型奨学金を受けていても、妹・弟が同じ区分になるとは限らないので気をつけましょう。


私立と国公立で考え方は違う?

給付型奨学金の判定方法は、私立も国公立も同じです。ただし、支援金額は異なり、私立のほうが少し多く設定されています。


途中で収入が増えたらどうなる?

給付型奨学金を受給している途中で収入が増えた場合、翌年度の申請時に判定対象となります。そのため、親の年収が増えた場合や、入学後に学生本人がアルバイトを始めた場合、支援額に影響する場合があります。


奨学金の資産額(資産情報)とは何ですか?

給付型奨学金の申込みにおける「資産」とは、現金・預貯金(普通・定期)・有価証券や投資信託(株式・国債・社債等)・NISAによる投資額・満期や解約により現金化した保険などが対象です。土地・建物などの不動産や、まだ解約していない積立保険・学資保険は対象外です。申込者本人と生計維持者(原則として父母)の資産を合算し、5,000万円未満であることが条件です。


資産がバレる・調べられるとはどういう意味?虚偽申告はわかる?

給付型奨学金では収入の判定にマイナンバーが使われ、住民税情報がJASSOに提供されます。預貯金や投資信託等の資産は自己申告ですが、JASSOは必要に応じて申告内容の確認や書類提出を求めることがあります。虚偽の申告(資産を少なく申告するなど)は不正受給にあたり、発覚した場合は全額返還を求められます。正直に申告することが大前提です。


母子家庭(ひとり親世帯)は給付型奨学金を受けやすい?

ひとり親世帯では生計維持者が1人となるため、収入・資産は1人分で判定されます。また、「ひとり親控除」や「寡婦控除」により支給額算定基準額が低くなりやすく、同じ年収でも支援区分が有利になる場合があります。具体的な基準はJASSOの公式シミュレーターで確認することをおすすめします。


給付型奨学金の対象外だった場合、貸与型は使える?

はい、給付型奨学金の対象外となった場合でも、貸与型奨学金(第一種・第二種)は収入基準が異なるため対象となるケースがあります。また、給付型と貸与型は一定の条件のもとで併用も可能です。貸与型奨学金はJASSOのほか、各都道府県や民間団体が提供するものもあります。



まとめ

給付型奨学金は返済不要の制度ですが、判定は親の年収だけで決まるものではありません。生計維持者の所得や課税状況、資産、扶養人数、きょうだいの進学状況などを踏まえ、世帯全体の状況から総合的に判断されます。

申込みでよく迷う「生計維持者」は原則として父母のこと、「資産」は預貯金・株式・NISAなどの金融資産が対象(不動産や解約前の保険は除く)、「支給額算定基準額」は年収から控除後の換算金額、という点を押さえておきましょう。母子家庭・ひとり親世帯ではひとり親控除の適用により有利になる場合もあります。

進学後も、給付型奨学金は毎年申請が必要で、そのたびに支援区分が見直される点にも注意が必要です。年収の目安だけで判断せず、制度の仕組みを正しく理解したうえで、公式情報を確認しながら検討していきましょう。

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