ものづくり補助金の「グローバル枠」は、海外展開やインバウンド向けの取組などを通じて、国内の生産性向上を目指す事業を支援する枠です。
この記事では、グローバル枠の概要、対象となる事業や経費、補助額・補助率などをまとめました。海外展開を見据えた設備投資や販路開拓を検討している中小企業の方は、ぜひ参考にしてください。
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・【★本記事】:【ものづくり補助金2025】グローバル枠とは?申請要件と対象経費を解説
・ものづくり補助金は個人事業主でも申請可能!?採択のポイントとは
この記事の目次
ものづくり補助金とは
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)」は、中小企業や小規模事業者が、革新的な製品・サービスの開発や海外展開に向けた設備投資などを行う際に活用できる制度です。対象は製造業に限らず、商業やサービス業など幅広い業種に及びます。補助率や上限額は、申請する枠によって異なります。
申請枠には、革新的な新製品・新サービスの開発を支援する「製品・サービス高付加価値化枠」と、海外事業を実施し、国内の生産性を高める取組を支援する「グローバル枠」があります。

出典:ものづくり補助金
グローバル枠の対象事業
ものづくり補助金のグローバル枠は、海外展開やインバウンド対応など、国外の需要を取り込みながら、日本国内の生産性向上に資する取組を支援する枠です。対象事業は次の4つに分類されています。| 対象事業 | 主な取組内容 |
|---|---|
| ①海外への直接投資事業 | 国内事業と海外事業を連携させ、グローバルな製品・サービスの提供体制を強化する |
| ②海外市場開拓(輸出)事業 | 海外展開を目的とし、製品・サービスの開発、ブランディング、新規販路開拓などを行う |
| ③インバウンド対応事業 | 訪日外国人向けにサービス提供体制を整備し、国内での消費拡大を図る |
| ④海外企業との共同事業 | 外国法人との共同研究・共同事業開発により、新たな製品・サービスを開発・展開する |
グローバル枠では、海外事業を実施し、国内の生産性を高める取組みに必要な設備・システム投資等を支援します。たとえば、海外市場向けの製品開発や輸出体制の整備、海外展示会への出展、インバウンド需要を取り込むための製品・サービス提供体制整備などが対象になり得ます。
なお、補助対象となるのは、日本国内に本社および補助事業の実施場所(工場・店舗など)を有する事業者です。上記、「①海外への直接投資事業」を行う場合は、国内に加えて、海外にも補助事業の実施場所を有している必要があります。
グローバル枠の補助率・上限額と補助対象経費
グローバル枠は、製品・サービス高付加価値化枠に比べて補助額の上限が高く、補助対象経費の幅も広いのが特徴です。申請を検討している方は、まず補助額・補助率と対象となる経費を把握しておきましょう。
【補助額・補助率】
グローバル枠の補助額は100万円~3,000万円で、従業員数にかかわらず一律の上限が設定されています。補助率は以下のとおり、企業規模によって異なります。
| 補助上限額(※下限額:100万円) | 3,000万円 |
|---|---|
| 補助率 | 中小企業:1/2、小規模企業・小規模事業者:2/3 |
また、大幅な賃上げに取り組む場合は、補助上限額が100万円~1,000万円加算される特例措置もあります(加算額は従業員数に応じて異なります)。
【補助対象経費】
本補助金では、すべての申請枠に共通して、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が必須とされています。グローバル枠では、製品・サービス高付加価値化枠と共通の経費に加え、「海外市場開拓(輸出)事業」の場合に限り、旅費や広告費などが追加で補助対象になります。ただし、「機械装置・システム構築費」以外の経費には制限があり、最大で1,000万円(税抜)までしか補助の対象になりません。
また、申請できる事業費は、補助対象になる経費(税抜)が、全体の支出(税込)の2/3以上を占めている必要があります。
つまり、補助の対象外となる費用ばかりでは補助金は申請できず、補助対象となる費用が事業費の中心でなければならないということです。
| 区分 | 対象経費 | 具体例 |
|---|---|---|
| 共通 | 機械装置・システム構築費(必須) | 機械・装置、専用ソフトウェア・情報システムの購入 など |
| 運搬費 | 運搬料、宅配・郵送料等 | |
| 技術導入費 | 知的財産権等の導入費 | |
| 知的財産権等関連経費 | 知的財産権の取得にかかる手続や翻訳などの関連費用 | |
| 外注費 | 製品開発に伴う加工・設計・検査などの外注費 | |
| 専門家経費 | 本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費 | |
| クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用に関する経費 | |
| 原材料費 | 試作品の原材料や副資材の購入費用 | |
| 海外市場開拓(輸出)事業に限り追加 | 海外旅費 | 海外事業の実施に必要な渡航・宿泊などの費用 |
| 通訳・翻訳費 | 通訳・翻訳の依頼にかかる費用 | |
| 広告宣伝・販売促進費 | 海外展開に向けた広告・展示会などのプロモーション費用 |
海外市場開拓(輸出)事業に限り追加される経費は、渡航や販路開拓などを支援するもので、本事業と直接関係する内容であることが条件となります。
| ■海外旅費 本事業に必要不可欠な海外渡航および宿泊費が対象となります。上限額は、補助対象経費総額の1/5です。 - 渡航目的と事業との関連性が明確である必要があり、国内乗り継ぎ費用も含めて申請が可能です。 - 海外渡航の計画を交付申請時に提出する必要があります。 - 一度の渡航での海外旅費の使用は、事業者3名まで(同行する専門家や通訳は別途2名まで)、1人あたり50万円が限度となっています。 |
| ■通訳・翻訳費 事業遂行に必要な通訳及び翻訳を依頼する場合に支払われる経費が対象です。 - 翻訳は、広告宣伝・販売促進に必要な翻訳のみ補助対象になり、事業計画に係る契約書の翻訳は補助対象外です。 - 上限は30万円(税抜)、かつ補助対象経費総額の1/5です。 |
| ■広告宣伝・販売促進費 本事業で開発する新製品やサービスの海外展開を目的とした広告物の作成や展示会出展費といった、ブランディング・プロモーションに係る経費が対象です。 - パンフレット、動画、写真等の制作や媒体掲載費用、展示会出展費などが含まれます。 - 本事業と無関係な製品や会社全体のPR広告は補助対象外です。 - 補助対象となるのは、補助事業期間中に実施される広告・展示会に限られます。 - 上限は補助対象経費総額の1/2です。 |
これらの経費は、輸出に向けた具体的な販路構築やプロモーションを行う際に有効に活用できますが、内容の適正性や上限設定、事前申請の有無などに注意しながら計画を立てることが重要になります。
グローバル枠の要件
グローバル枠に申請するには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。
1. ものづくり補助金の基本要件
すべての申請枠に共通する基本要件で、補助事業終了後3~5年の事業計画において以下を満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 付加価値額※の増加 | 事業者全体の付加価値額の年平均成長率+3.0%以上 |
| 賃金の増加 | 給与支給総額の年平均成長率+2.0% または 1人あたり給与支給総額の年平均成長率を、所在地の最低賃金の過去5年間の平均成長率以上にする |
| 最低賃金の引き上げ | 毎年、事業実施都道府県における最低賃金より+30円以上の水準にする |
| 一般事業主行動計画等の公表(21名以上の場合) | 従業員21名以上の企業は、一般事業主行動計画の策定・公表が必要 |
※付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。
※基本要件の目標値未達の場合は、補助金の返還が求められることがあります。
2. グローバル枠共通の追加要件
グローバル枠に申請する事業者は、以下も満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 実現可能性調査 | 市場調査や現地の規制調査など、海外事業の実現可能性を判断する調査を実施すること |
| 専門人材の確保 | 社内に海外事業の専門人材がいる、または外部専門家と連携すること |
3. 事業ごとの要件
グローバル枠には、事業ごとに満たすべき要件が定められています。(以下のいずれかに該当するものであること)
| 事業内容 | 主な追加要件(抜粋) |
|---|---|
| 海外への直接投資事業 | 海外拠点を保有/補助経費の半分以上を海外で使用/国内にも関連設備を導入 |
| 海外市場開拓(輸出)事業 | 販売先の半数以上が海外顧客/売上累計が補助額を上回る事業計画を策定 |
| インバウンド対応事業 | 販売先の半数以上が訪日外国人/売上累計が補助額を上回る事業計画を策定 |
| 海外企業との共同事業 | 外国法人との共同研究・開発/成果物の権利の全部又は一部が補助事業者に帰属(外国法人の経費は、補助対象外) |
これらの要件が揃っていない場合、形式不備として不採択になることがあります。申請にあたっては、共通要件・事業要件をよく確認し、必要な調査や書類を準備しておくことが大切です。
グローバル枠のスケジュール・申請方法
グローバル枠の申請は、電子申請システムを通じて行います。申請の準備や提出には期限があるため、スケジュールを事前に確認し、余裕をもって手続きを進めることが大切です。
スケジュール(第21次公募)
| 公募開始日 | 2025年7月25日(金) |
|---|---|
| 電子申請受付開始 | 2025年10月3日(金)17:00~ |
| 申請締切 | 2025年10月24日(金)17:00 |
| 採択結果の公表 | 2026年1月下旬頃(予定) |
※スケジュールは変更される可能性があります。最新情報はものづくり補助金総合サイトをご確認ください。
申請方法
- 申請は「電子申請システム」でのみ受け付けられます。
- 申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要です。取得には時間がかかるため、未取得の場合は早めに手続きを行いましょう。
- 申請内容は申請者自身が理解・確認したうえで、申請者本人が提出してください。委任関係の管理機能はシステム上提供されておらず、代理申請は原則認められません。
- 提出書類はすべてPDF形式で、定められたファイル名でアップロードする必要があります。
- 不備・不足・アップロード漏れ・パスワード設定等により内容確認ができない場合は、審査対象外となります。
詳細な操作手順や提出書類については、電子申請マニュアルおよび最新の公募要領をご確認ください。
まとめ
ものづくり補助金のグローバル枠は、単価50万円(税抜)以上の機械装置等を取得する設備投資を行うことで、事業内容に応じて海外渡航にかかる旅費や通訳・翻訳費、海外向けの広告宣伝費なども補助対象に含まれるため、輸出や海外展開を本格的に進めたい中小企業の方にとって非常に活用価値の高い制度です。自社の海外事業を本格化させたい方は、この機会にぜひグローバル枠の活用を検討してみてください。

