
企業向けのイメージが強い「ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」ですが、実は個人事業主も申請できます。本記事では、個人事業主がものづくり補助金で採択されやすくするためのポイントをわかりやすく解説します。
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この記事の目次
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金は、中小企業や個人事業主などが革新的な新製品や新サービスの開発、または海外需要開拓を通じて「稼ぐ力」を強化する取り組みに対して、設備投資等にかかる費用の一部を支援する制度です。
物価高や最低賃金の引き上げといった経営環境の変化に対応しながら、企業の生産性を高め、経済の活性化を目指すことを目的としています。
補助対象となるのは、事業計画に基づき付加価値額や賃上げなどを見込んだ取り組みを行う中小企業等で、補助対象事業枠として「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」が設けられています。
【補助上限額・補助率等】
出典:ものづくり補助金 公募要領概要版より抜粋
事業内容で注意すべきポイント
ものづくり補助金では、「革新的な新製品・新サービスの開発」や「海外需要の開拓」といった、将来的な成長が期待される事業が重視されます。
たとえば、自社の技術力を活かし、顧客に新たな価値を提供する製品やサービスの開発は対象となりますが、単なる設備導入や既に同業他社で広く普及している取り組みは対象外です。
また、海外展開に関する取組も重要視されており、以下の4つの事業が該当します。
- 海外への直接投資
- 海外市場(輸出)の開拓
- インバウンド対応
- 海外企業との共同事業
採択を目指すには、これらの事業目的に合致した内容で申請することがポイントです。
ものづくり補助金の概要や申請枠ごとの補助率・上限額などの詳細については、下記の記事で解説しています。ご自身に合った枠の選定や申請準備のために、あわせてご確認ください。
ものづくり補助金は個人事業主でも申請できる
ものづくり補助金は法人に限らず、個人事業主も対象になります。【補助対象者】
補助対象者は、日本国内に本社及び補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有する、以下の (1) ~ (5)のいずれかに該当する者です。
(1) 中小企業者(会社または個人/組合または連合会) (2) 小規模企業者・小規模事業者 (3) 一部特定事業者 (4) 特定非営利活動法人 (5) 社会福祉法人 |
なお、グローバル枠のうち「海外への直接投資に関する事業」を行う場合は、日本国内に加えて海外にも補助事業の実施場所を有していることが必要になります。
小規模企業者・小規模事業者について、業種ごとの定義は以下のとおりです。
業種 | 定義 | |
製造業、その他 | 常時使用する従業員の数が 20 人以下の会社又は個人 | |
商業・サービス業 | 宿泊業・娯楽業 以外 | 常時使用する従業員の数が 5 人以下の会社又は個人 |
宿泊業・娯楽業 | 常時使用する従業員の数が 20 人以下の会社又は個人 |
個人事業主がものづくり補助金に採択されるには
個人事業主がものづくり補助金に採択されるには、書類審査で高得点を獲得することが必要です。
公募要領には、審査項目や加点項目が記載されています。企業に負けない事業計画を策定するためのポイントを確認しましょう。
事業計画書のクオリティを重視する
クオリティの高い事業計画書を策定するには、必要項目を過不足なく、わかりやすく記載しなくてはなりません。専門的な支援が必要な場合は、認定経営革新等支援機関に相談してみましょう。
特に時間をかけて練りあげたいのは、「補助事業の具体的な内容」です。公募要領に公表されている主なポイントは、以下のとおりです。
- 定量・定性的な情報を使い、図表・写真なども活用して具体的に記載する
- 自社の現状分析(外部環境・内部環境)を行い、中長期的なビジョンや目標、それに対する課題を明確に示す
- 課題の解決策や、補助事業に取り組む必要性・設備投資の理由を記載する
- 補助事業で導入する機械の型番・システム構成、開発内容、売上目標、実施体制やスケジュールなどを具体的に記載する
- 高付加価値化枠では製品・サービスの革新性、グローバル枠ではマーケティング戦略について詳述する
- 事業の成果が想定するユーザー・市場規模・価格や収益性の優位性を明示する
- 事業化の見込み(売上、量産時期・価格など)や資金調達計画があれば記載する
- 付加価値額や賃金等の目標値とその根拠を示す(これらは補助事業終了後も達成状況が確認される)
加点項目の把握
ものづくり補助金では、以下の場合に対して加点が行われます。
【加点項目】
- 経営革新計画を取得している
- パートナーシップ構築宣言を公表している
- 再生事業者である
- DX 認定を取得している
- 健康経営優良法人認定
- 技術情報管理認証を取得している
- J-Startup・J-Startup 地域版に選定された
- 新規輸出1万者支援プログラムにおいて登録が完了している
- 事業継続力強化計画/連携事業継続力強化計画を取得している
- 賃上げ(補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、従業員及び役員の給与支給総額の年平均成長率を 4.0%以上増加、並びに事業所内最低賃金を毎
年3月、地域別最低賃金より+40 円以上の水準を満たす目標値を設定し、目標値を交付申請時までに表明している) - 被用者保険(従業員規模 50 名以下の中小企業が被用者保険の任意適用に取り組む)
- えるぼし認定を取得している
- くるみん認定を取得している
- 事業承継/M&A(申請締切日を起点にして、過去 3 年以内に事業承継(株式譲渡等)により有機的一体としての経営資源(設備、従業員、顧客等)を引き継いだ)
- 成長加速マッチングサービスで会員登録を行い、挑戦課題を登録している
加点は、最大6項目について申請を行うことが可能です。
そのほか、以下の減点項目があります。
【減点項目】
- 申請締切日を起点にして、過去 3 年間に本補助金の交付決定を 1 回受けている事業者
- 本補助金の第 1 次公募以降、交付決定を受けて事業を実施したものの基本要件を達成できなかった事業者 等
審査項目の把握
次に、審査項目について確認しましょう。主な審査項目は、以下のとおりです。
①補助対象事業としての適格性 |
・公募要領に記載の対象者、対象事業、対象要件等を満たしているか |
②経営力 |
・本事業により実現したい経営目標が具体化されているか ・市場・顧客動向を始めとした外部環境と、自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)等にかかる強み・弱みの内部環境を分析したうえで事業戦略が策定され、その中で、本事業が効果的に組み込まれているか。会社全体の売上高に対する本事業の売上高が高い水準となることが見込まれるか |
➂事業性 |
・本事業により高い付加価値の創出や賃上げを実現する目標値が設定されており、かつその目標値の実現可能性が高い事業計画となっているか ・本事業により提供される新製品・新サービスや海外需要開拓の対象となる市場の規模や動向の分析がされているか。当該市場は今後成長が見込まれるか |
④実現可能性 |
・本事業に必要な技術力を有しているか。また、当該技術力が競合する他社と比較してより優位な技術力か ・本事業の事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か |
⑤政策面 |
・地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか ・成長と分配の好循環を実現させるために有効な投資内容となっているか |
まとめ
事業規模の小さな個人事業主こそ、補助金などの支援事業を上手に活用し、予算的な負担を減らした生産性向上を目指したいものです。ものづくり補助金は最大3,000万円、補助率もおおむね2/3と、交付額が大きいのも特徴のひとつです。事業計画書をしっかり準備し、採択を目指しましょう。
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