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ものづくり補助金は個人事業主でも申請可能!?申請方法や採択ポイントとは

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生産性を向上させるための設備投資等が支援されるものづくり補助金は、活用のしやすさから、毎年多くの事業者が応募する補助金です。こうした制度は、事業規模が小さく、設備投資の予算をねん出することが難しい個人事業主にとっても大きな支えとなります。

今回は、個人事業主がものづくり補助金の採択を目指すためのポイントをまとめました。

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この記事の目次

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ものづくり補助金では個人事業主も補助の対象!

ものづくり補助金は、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入などの制度変更等に対応するための設備投資等が支援の対象です。製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化を行う取組等の費用の一部が補助されます。

対象となるのは、個人事業主を含む、以下のア~エのいずれかに該当する事業者です。

ア 中小企業者(組合関連以外)
資本金または従業員数が下表の数字以下となる会社または個人

出典:ものづくり補助金 18次公募要領

イ 中小企業者(組合・法人関連)
下表にある組合等に該当するもの

出典:ものづくり補助金 18次公募要領

なお、財団法人(公益・一般)、社団法人(公益・一般)、医療法人や法人格のない任意団体は補助対象外です。

ウ 小規模企業者・小規模事業者
常勤従業員数が、製造業その他・宿泊業・娯楽業では20人以下、卸売業・小売業・サービス業では5人以下の会社または個人事業主

エ 特定事業者の一部
生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
従業員数が次の数字以下となる会社または個人のうち、資本金の額または出資の総額が10億円未満であるもの

製造業、建設業、運輸業 500人
卸売業 400人
サービス業または小売業 300人
その他の業種 500人

なお、個人事業主であっても、資金や従業員数が上記を超えている場合は対象外となります

個人事業主はものづくり補助金の採択率が低い?

ものづくり補助金は個人事業主も申請可能ですが、採択率では法人に劣るようです。ここでは個人事業主の採択率や、審査で不利になりがちな点について確認していきましょう。

個人事業主の採択率

16次ものづくり補助金では、個人事業主の採択数は251でした。これは全体の採択者数2,738のうち、約9%です。さらに全体の申請者数5,608から見ると、採択率は約4%でした。

そのほか、これまでの申請者数と採択者数と個人事業主の採択者数をまとめました。

締切回 申請者数 採択者数 個人事業主の採択者数
1次 2287 1429 152
2次 5721 3267 366
3次 6923 2637 330
4次(一般型) 10041 3132 394
4次(グローバル展開型) 271 46 0
5次(一般型) 5139 2291 302
5次(グローバル展開型) 160 46 0
6次(一般型) 4875 2326 321
6次(グローバル展開型) 105 36 0
7次(一般型) 5414 2729 376
7次(グローバル展開型) 93 39 0
8次(一般型) 4584 2753 400
8次(グローバル展開型) 69 27 1
9次(一般型) 3552 2223 352
9次(グローバル展開型) 61 24 0
10次(一般型) 4224 2584 327
10次(グローバル展開型) 70 28 0
11次(一般型) 4668 2786 392
11次(グローバル展開型) 76 31 0
12次(一般型) 3200 1885 269
12次(グローバル展開型) 56 22 0
13次(一般型) 3261 1903 188
13次(グローバル展開型) 61 24 1
14次 4865 2470 143
15次 5694 2861 179
16次 5608 2738 251

出典:ものづくり補助金総合サイト 採択結果
全体としては決して大きな割合ではありませんが、14次・15次締切回はともに3%前後の採択率でしたので、ここ数年は増加傾向にあると言えそうです。

個人事業主が不利な理由とは

個人事業主の採択率が低い理由としては、企業と比べて、体制や資金力が弱いことが挙げられます。

ものづくり補助金では「技術面」や「事業化面」での審査が行われます。特に「事業化面」では「補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか」「金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか」が審査基準です。

多くの場合、人材や専門知識、金融機関からの資金調達面で、個人事業主は企業より不利な立場にあります。採択を目指すにはこうした面を補う事業計画を練り、事業の妥当性をアピールすることが重要です。

個人事業主がものづくり補助金に採択されるためのポイント

個人事業主がものづくり補助金に採択されるには、書類審査で高得点を獲得することが必要です。

公募要領には、審査項目や加点項目が記載されています。企業に負けない事業計画を策定するためのポイントを確認しましょう。

事業計画書のクオリティを重視する

クオリティの高い事業計画書を策定するには、必要項目を過不足なく、わかりやすく記載しなくてはなりません。専門的な支援が必要な場合は、認定経営革新等支援機関に相談してみましょう。

また、「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」や「中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化に関する指針」も参考になります。

特に時間をかけて練りあげたいのは、「補助事業の具体的な内容」です。公募要領に公表されている主なポイントは、以下のとおりです。

補助事業の具体的取組内容
①本事業の目的・手段については、今までの取組の経緯や内容から、新たに機械装置等を取得しなければならない必要性を示す
②解決のために不可欠な工程ごとの開発内容、材料や機械装置等を明確にし、具体的な目標と達成手段を、必要に応じて図表や写真等を用いて記載する
③事業計画と「中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化に関する指針」または「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」との関連性を明確に説明する
④本事業を行うことによって、どのように他者と差別化し、競争力強化を実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に説明する
将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
①本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケットおよび市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性や現在の市場規模も踏まえて記載する
②本事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について簡潔に記載する
会社全体の事業計画
①会社全体の事業計画(表)における「付加価値額」や「給与支給総額」等の算出については、算出根拠を記載する
また、枠ごとのポイントは以下のとおりです。

■省力化(オーダーメイド)枠
設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる具体的な内容と根拠を示す

■製品・サービス高付加価値化枠(通常類型、成長分野進出類型(DX・GX)
開発予定の新製品・サービスの売上高の合計額が、企業全体の売上高の10%以上となることがわかる具体的な内容と根拠を示す

【成長分野進出類型(DX)】
DXに資する革新的な製品・サービスの開発であることがわかる具体的な内容を記載する
【成長分野進出類型(GX)】
グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する革新的な製品・サービスの開発であることがわかる具体的な内容を記載する

■グローバル枠
これまでいつどの国に対し、どのような商品を輸出し、あるいは役務の提供をしたかなど、申請者の遂行能力が分かる情報について説明する、または外部専門家等の遂行能力について説明する

加点項目の把握

ものづくり補助金では、以下の場合に対して加点が行われます。
■成長性加点
経営革新計画の承認を取得している

■政策加点
①創業・第二創業後、5年以内である
なお、個人事業主では「第二創業」の加点はありません。個人事業主の営む事業を承継する場合は、承継者の「創業」として申請してください。

②ポータルサイトにおいて、パートナーシップ構築宣言を公表している
➂再生事業者である
④DX認定事業者である
⑤サイバーセキュリティお助け隊サービスを利用している
⑥令和4年度および令和5年度において、健康経営優良法人に認定されている
⑦技術情報管理認証制度の認証を取得している
⑧J-Startup・J-Startup地域版に認定されている
⑨取引先事業者でのパートナーシップ構築宣言をしており、かつ宣言文中に(個別項目d. グリーン化の取組)の記載がある
⑩新規輸出1万者支援プログラムに登録している(輸出を含む計画としている場合のみ)
⑪J-クレジット制度を活用している
⑫GXリーグに参画している
⑬カーボンフットプリント(CFP)を算定している

■災害等加点
有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得している

■賃上げ加点等
①賃上げ加点
給与支給総額と事業場内最低賃金を、それぞれ以下のア・イのいずれかとする計画を有し、事務局に誓約書を提出している

(ア)
・給与支給総額:年平均成長率平均3%以上増加
・事業場内最低賃金:毎年3月、地域別最低賃金より+50円以上の水準を満たしたうえで、毎年+50円以上ずつ増加

(イ)
・給与支給総額:年平均成長率平均6%以上増加
・事業場内最低賃金:毎年3月、地域別最低賃金より+50円以上の水準を満たしたうえで、毎年+50円以上ずつ増加

②被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む

■女性活躍等の推進の取り組み加点
①えるぼし加点
「えるぼし認定」を受けている、もしくは従業員100人以下の事業者で「女性の活躍推進企業データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している

②くるみん加点
「くるみん認定」を受けている、もしくは従業員100人以下の事業者で「両立支援のひろば」に次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している

なお、一般事業主行動計画については、従業員が0人の場合は申請ができません
加点は、最大6項目について申請を行うことが可能です。
そのほか、以下の減点項目があります。

【減点項目】
■応募締切日から過去3年間に、類似の補助金の交付決定を1回受けている
■令和元年度補正予算ものづくり補助金以降に交付決定を受けている場合で、収益納付をしていない(収益納付を免除された事業者を除く)

審査項目の把握

次に、審査項目について確認しましょう。主な審査項目は、以下のとおりです。
①補助対象事業としての適格性
・各要件を満たしているか
・3~5年計画で「付加価値額」年平均成長率3%以上の増加等を達成する取組であるか
②技術面
・課題に対する解決の方法が明確で具体的か

・新製品・新サービスの革新的な開発または省力化および生産性向上に資する生産プロセス改善やサービス提供方法の改善の取組か

・事業実施のための技術的能力が備わっているか
➂事業化面
・事業化の方法スケジュール等が具体的か

・製品サービスの市場性があるか

・人材、事務処理能力、専門的知見等や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか

・金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか

・補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法およびスケジュールが妥当か

・補助事業として費用対効果が高いか
④政策面
・地域経済への貢献や、我が国の経済発展のために国の経済政策として支援すべき取り組みか

・ニッチ分野において差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか

・単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか

・経済的波及効果が期待できるか

・我が国のイノベーションを牽引し得るか

・ウィズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換、事業環境の変化に対応する投資内容であるか

まとめ

事業規模の小さな個人事業主こそ、補助金などの支援事業を上手に活用し、予算的な負担を減らした生産性向上を目指したいものです。ものづくり補助金は最大8,000万円、補助率もおおむね2/3と、交付額が大きいのも特徴のひとつです。

事業計画書をしっかり準備し、採択を目指しましょう。

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