農林水産省は2026年8月31日、令和9年度(2027年度)予算の概算要求を公表し、スマート農業技術・新品種の開発と農業機械の導入に951億円、新規就農者の育成に217億円を要求しました。令和8年度は新規就農者への交付金が月12.5万円から月13.75万円(年165万円)へ引き上げられ、65歳未満まで対象を広げた「新規就農者チャレンジ事業(個人上限1,500万円)」も動き出しています。担い手の減少と資材高騰が同時に進むなかで、国の支援メニューは年度ごとに大きく組み替えられています。
「トラクターやコンバインを買い替えたいが、どの補助金が使えるのか分からない」「ビニールハウスや農業用倉庫を建てたい」「兼業農家や小規模農家でも対象になるのか」「50歳を過ぎてから就農するので年齢制限が心配」——こうした悩みを抱える方は少なくないのではないでしょうか。
この記事では、2026年(令和8年度)に農家・農業法人が使える補助金・助成金を、新規就農・農業機械・農業用倉庫・ビニールハウス・農業用ドローン・兼業農家・米農家・人材確保といった目的別に一覧で解説します。あわせて、全国の自治体が実施する農業補助金のなかから、申請期限が残っている制度も紹介します。
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この記事の目次
農業の補助金・助成金にはどんな種類がある?【2026年・令和8年度 一覧】
農業で使える支援は、大きく「農林水産省の農業専用の補助金」「毎年受け取れる直接支払(交付金)」「中小企業向けの汎用補助金」「自治体独自の補助金」の4系統に分かれます。目的別の主な制度は次のとおりです。
| 目的 | 主な制度 | 上限額・補助率 | 年齢制限 |
|---|---|---|---|
| 就農準備・研修 | 就農準備資金 | 年165万円(最長2年) | 49歳以下 |
| 経営開始直後 | 経営開始資金 | 年165万円(最長3年) | 49歳以下 |
| 就農後の機械・施設 | 経営発展支援事業 | 国費500万円・補助率1/2 | 49歳以下 |
| 就農後の機械・施設 | 新規就農者チャレンジ事業 | 個人1,500万円・法人3,000万円 | 65歳未満 |
| 担い手の規模拡大 | 地域農業構造転換支援事業 | 購入3/10以内 | なし |
| 機械・施設(融資活用) | 農地利用効率化等支援事業 | 300万円・3/10以内 | なし |
| 産地の収益力強化 | 産地生産基盤パワーアップ事業 | 1/2以内 | なし |
| スマート農業・ドローン | スマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策事業 | 1,500万〜5,000万円 | なし |
| 転作・水田経営 | 水田活用の直接支払交付金 | 作物ごとの単価で毎年交付 | なし |
| 農地・水路の共同管理 | 多面的機能支払交付金 | 活動組織へ交付 | なし |
| 中山間地の営農継続 | 中山間地域等直接支払交付金 | 集落協定へ交付 | なし |
| 雇用・人材育成 | 雇用就農資金 | 年最大60万〜120万円 | 49歳以下(研修生) |
| 加工・新商品開発 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 最大9,000万円 | なし |
| 販路開拓 | 小規模事業者持続化補助金 | 最大250万円・2/3 | なし |
| 省力化設備 | 中小企業省力化投資補助金 | 最大1億円 | なし |
- 【新規就農】就農準備資金・経営開始資金・経営発展支援事業・新規就農者チャレンジ事業
- 【農業機械】地域農業構造転換支援事業・農地利用効率化等支援事業・産地生産基盤パワーアップ事業
- 【農業用倉庫・作業場】国と自治体の施設整備支援
- 【ビニールハウス・高温対策】産地生産基盤パワーアップ事業・園芸産地高温対策事業
- 【農業用ドローン・スマート農業】スマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策事業
- 【兼業農家・小規模農家】自治体の機械補助・多面的機能支払・中山間地域等直接支払
- 【米農家】経営所得安定対策・水田活用の直接支払交付金・令和9年度の水田政策見直し
- 【中小企業向け】新事業進出・ものづくり補助金/小規模事業者持続化補助金/省力化投資補助金
- 【人材確保】雇用就農資金
- 【自治体】全国の農業補助金一覧(申請期限が残っている制度)
新規就農・農業を始める人が使える補助金は?
新規就農者向けの中心となるのは、農林水産省の「新規就農者育成総合対策」です。令和8年度予算は104億2,700万円で、研修中の生活費、経営開始直後の生活費、機械・施設の導入費という3段階で支援が用意されています。就農準備資金・経営開始資金・経営発展支援事業は、いずれも就農時に49歳以下(原則)が要件です。一方、令和8年度に本格化した新規就農者チャレンジ事業は「65歳未満」まで対象が広がりました。さらに、地域農業構造転換支援事業・農地利用効率化等支援事業・産地生産基盤パワーアップ事業・小規模事業者持続化補助金などは年齢制限がありません。50歳以上・60歳以上で新規参入する方も、認定新規就農者や認定農業者の認定を受けることで選択肢が大きく広がります。
就農準備資金はいくらもらえる?
就農準備資金は、研修期間中の研修生に月13.75万円(年165万円)を最長2年間交付する制度です。令和8年度から交付額が月12.5万円(年150万円)から引き上げられました。
| 交付対象者 | 就農予定時に49歳以下の研修生 |
| 交付額 | 13.75万円/月(165万円/年)・最長2年間 |
| 補助率 | 国10/10(全額国費) |
| 主な交付要件 | 独立・自営就農、雇用就農または親元就農を目指すこと。都道府県等が認めた研修機関等で概ね1年以上・年1,200時間以上の研修を受けること。常勤の雇用契約を結んでいないこと。原則、前年の世帯所得が600万円以下であること。傷害保険に加入すること |
| 交付主体 | 市町村、都道府県、全国農業委員会ネットワーク機構 |
研修終了後1年以内に49歳以下で就農しなかった場合や、就農後に交付期間の1.5倍(最低2年間)農業を継続しなかった場合は、資金の返還が必要です。適切な研修を行っていないと判断された場合も交付が停止されます。
経営開始資金の交付額と要件は?
経営開始資金は、新たに農業経営を開始した認定新規就農者に月13.75万円(年165万円)を最長3年間交付する制度です。就農準備資金と同様、令和8年度から交付額が引き上げられています。
| 交付対象者 | 独立・自営就農時に49歳以下の認定新規就農者 |
| 交付額 | 13.75万円/月(165万円/年)・最長3年間 |
| 補助率 | 国10/10(全額国費) |
| 主な交付要件 | 独立・自営就農する認定新規就農者であること。経営開始5年後までに農業で生計が成り立つ計画を持つこと。目標地図に位置付けられる、または農地中間管理機構から農地を借り受けていること。原則、前年の世帯所得が600万円以下であること |
| 交付主体 | 市町村 |
前年の世帯所得が600万円を超えた場合や、適切な経営を行っていない場合は交付が停止されます。交付期間終了後、交付期間と同期間以上農業経営を継続しなかった場合は返還が求められます。
▼就農準備資金・経営開始資金の申請手順や必要書類はこちら
経営発展支援事業でトラクターやハウスは買える?
経営発展支援事業は、認定新規就農者の機械・施設・家畜導入・果樹や茶の改植・機械リースなどを国費上限500万円・補助率1/2で支援する制度です。都道府県の支援分の2倍を国が支援する仕組みで、たとえば国1/2・都道府県1/4・本人1/4という負担割合になります。
令和8年度は特別枠として「地域計画早期実現支援枠」が設定され、将来像が明確化された地域計画等に位置付けられる方は、機械・施設等の導入に加えて修繕・移設・撤去等も対象となり、国費上限600万円まで支援を受けられます。
| 対象者 | 認定新規就農者(就農時49歳以下) |
| 支援額 | 国費上限500万円(経営開始資金の交付対象者は上限250万円) |
| 特別枠 | 地域計画早期実現支援枠:国費上限600万円 |
| 補助率 | 国の補助上限1/2(都道府県支援分の2倍を国が支援) |
| 対象 | 農業機械・施設、家畜導入、果樹・茶の改植、機械リース等 |
50歳以上・60歳以上でも使える「新規就農者チャレンジ事業」とは?
新規就農者チャレンジ事業は、認定新規就農者(65歳未満)の早期の経営発展に必要な農業用機械・施設の導入を支援する制度です。地域農業構造転換支援対策の一環として実施され、令和8年度予算は29億2,000万円、令和7年度補正予算では128億5,600万円が計上されています。
年齢要件が「65歳未満」である点が最大の特徴です。49歳以下という壁で経営発展支援事業を使えなかった50代・60代前半の新規就農者にとって、現実的な選択肢となります。
| 対象者 | 認定新規就農者(独立・自営就農時に65歳未満) |
| 補助上限 | 個人1,500万円以内/法人3,000万円以内 |
| 補助率 | 購入3/10以内/リース定額(取得額相当の3/7) |
| 主な要件 | 営農地が属する地域計画の目標集積率が6割以上(都府県の中山間地域は5割以上)、または目標集積率が現状より10ポイント以上増加すること。目標地図に位置付けられる、または位置付けられることが確実であること |
| 成果目標 | 経営面積の3割または4ha以上の拡大/付加価値額1割以上の拡大/労働生産性3%以上の向上のいずれかを選択 |
▼親元就農や経営継承で使える「経営継承・発展支援事業」はこちら
トラクター・コンバインなど農業機械の購入に使える補助金は?
農業機械の購入に使える国の主要な補助金は、地域農業構造転換支援事業・農地利用効率化等支援事業・産地生産基盤パワーアップ事業の3つです。いずれも年齢制限がなく、既存農家・認定農業者・農業法人が対象になります。
地域農業構造転換支援事業(購入3/10以内)
地域農業構造転換支援事業は、地域の中核となって農地を引き受ける担い手が経営改善に取り組む際に必要な農業用機械・施設の導入を支援します。自動操舵トラクター、GPSアシスト機能付き田植え機、自走式草刈機、農薬散布用ドローンなどが対象です。
| 対象者 | 地域計画に位置付けられた担い手(認定農業者、認定就農者、集落営農組織、市町村基本構想の目標所得水準を達成している農業者) |
| 補助率 | 購入3/10以内/リース定額(取得額相当の3/7) |
| 対象地域の要件 | 地域計画の目標集積率が6割以上(都府県の中山間地域は5割以上)、または現状より10ポイント以上増加する姿となること |
農地利用効率化等支援事業(上限300万円・融資とセットで使う)
農地利用効率化等支援事業は、地域計画に位置付けられた担い手が融資を受けて農業用機械・施設を導入する場合に支援する制度です。融資主体支援タイプの補助上限は300万円等、補助率は3/10以内で、令和8年度予算は10億8,700万円が計上されています。
ここでいう「融資」の受け皿になるのが、日本政策金融公庫のスーパーL資金(農業経営基盤強化資金/認定農業者向け)や青年等就農資金、JAなどの民間金融機関が扱う農業近代化資金です。融資と補助を組み合わせる仕組みのため、自己資金が限られる場合でもトラクターやコンバインの更新に踏み切りやすいのが特徴です。市町村の農政担当窓口またはJA・日本政策金融公庫に相談しましょう。
産地生産基盤パワーアップ事業(補助率1/2以内)
産地生産基盤パワーアップ事業は、産地の収益力強化を目的にトラクター・コンバイン等の農業機械、集出荷施設、農業用ハウス、農業用倉庫・作業場の整備を支援する制度です。令和7年度補正予算で継続実施されており、スマート農業技術活用促進集中支援プログラムの対象事業にも位置付けられています。
| 新市場獲得対策 | 貯蔵・加工・物流拠点施設等の整備、生産・出荷体制の整備、優良品目・品種や省力樹形の導入等:1/2以内または定額 |
| 収益性向上対策 | 農業機械(トラクター・コンバイン等)の導入、集出荷施設の整備、施設園芸の省エネ化に必要なヒートポンプ等の導入:1/2以内 |
| 生産基盤強化対策 | 農業用ハウスの再整備・改修、農業機械の再整備・改良、農業用倉庫・作業場の整備、土づくり:1/2以内または定額 |
申請には、市町村の地域農業再生協議会が作成する「産地パワーアップ計画」に取組主体として位置付けられる必要があります。個人で直接申請する制度ではないため、まずは市町村やJAに相談してください。
認定農業者になると農業機械の補助金は有利になる?
認定農業者になると、農業機械の補助金で対象者に含まれる制度が明確に増えます。地域農業構造転換支援事業と農地利用効率化等支援事業は、いずれも「地域計画に位置付けられた担い手」を対象者として明示しており、認定農業者はその代表的な区分です。自治体の機械導入補助金でも、認定農業者は補助率が優遇される例が多く見られます。
認定農業者になるには、5年後の経営目標を定めた「農業経営改善計画」を作成し、市町村に申請します。年齢制限はなく、50歳以上・60歳以上でも認定を受けられます。兼業農家でも、計画の内容が要件を満たせば認定の対象です。あわせて、市町村が定める地域計画の目標地図に自分の農地が位置付けられているかも、早い段階で確認しておきましょう。
自治体の農業機械導入補助金(軽トラ・草刈機・小型農機も対象)
国の制度が使いにくい小規模農家や兼業農家には、自治体独自の機械導入補助金が現実的です。補助金ポータルに掲載されている制度のうち、2026年9月9日時点で申請期限が到来していない主な制度は次のとおりです。
| 自治体 | 制度名 | 上限額 | 補助率 | 申請期限 |
|---|---|---|---|---|
| 高知県 四万十市 | 四万十市農業用機械物価高騰対策支援事業費補助金 | 100万円 | 1/2(下限15万円) | 9月30日 |
| 岩手県 一関市 | 一関市農業用草刈機導入補助金 | 5万円 | 1/4 | 9月30日 |
| 熊本県 玉名市 | 玉名市農業機械等整備事業 | 5万円 | 25% | 2027年2月26日 |
| 新潟県 見附市 | 見附市野菜づくり等応援事業補助金 | 100万円 | 園芸用機械等導入3/10・1/2ほか | 2027年3月5日 |
軽トラック・自走式草刈機・精米機・乾燥機といった小型の機械は、国の大型補助金では単独で採択されにくい一方、自治体制度なら対象経費に含まれるケースがあります。上限5万〜100万円と金額は小さめですが、補助率1/4〜1/2で確実に使える点が魅力です。
▼設備投資に使える補助金を横断的に比較したい方はこちら
農業用倉庫・作業場の建設に使える補助金は?
農業用倉庫(農業倉庫)や作業場の整備に使える主な国の制度は、産地生産基盤パワーアップ事業の生産基盤強化対策(補助率1/2以内)と、地域農業構造転換支援事業・農地利用効率化等支援事業です。新規就農者であれば経営発展支援事業(国費上限500万円)や新規就農者チャレンジ事業(個人上限1,500万円)でも対象になります。
農業用倉庫の補助金を検討する際は、次の3点を必ず確認してください。
①着工前の申請が必須:交付決定前に着工・契約すると補助対象外になります。見積取得の段階で窓口に相談しましょう。
②農地転用手続き:農地に倉庫を建てる場合、農地法上の転用許可または届出が必要です。2アール未満の農業用施設なら届出で済むケースもありますが、市町村の農業委員会への確認が欠かせません。
③単独の倉庫新設は対象外の制度が多い:多くの制度は「生産性向上・規模拡大に資する取組」の一部として倉庫整備を認めています。倉庫だけを建てる計画では採択されにくいため、機械導入や作付拡大とセットで計画を立てましょう。
自治体レベルでは、6次産業化推進事業や農業振興事業の枠内で倉庫・作業場の整備を補助するケースがあります。たとえば福島県伊達市の6次産業化普及推進事業補助金(上限100万円・補助率3/4・2026年10月15日締切)が該当します。農機具置き場や農作業小屋のような小規模な施設は、市町村独自の農業振興補助金で対象になることもあるため、まずは地元の農政担当窓口に用途と規模を伝えて相談するのが近道です。
ビニールハウス・園芸施設・高温対策に使える補助金は?
ビニールハウス(農業用ハウス)の新設・再整備には、産地生産基盤パワーアップ事業の生産基盤強化対策(補助率1/2以内)が中心的な選択肢です。新規就農者向けには経営発展支援事業や新規就農者チャレンジ事業、東京都であれば新規就農者初期投資支援事業(補助率3/4・上限375万円)が使えます。
近年とくに拡充されているのが、猛暑への対応を支援する高温対策の補助金です。2026年9月9日時点で申請期限が残っている主な制度を紹介します。
| 自治体 | 制度名 | 上限額 | 補助率 | 申請期限 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 暑熱対策推進事業 | 133万3,000円 | 2/3(下限13万3,000円) | 9月14日 |
| 茨城県 桜川市・坂東市・石岡市・神栖市ほか | 園芸産地高温対策事業(要望調査) | 200万円 | 1/3 | 11月30日 |
| 鹿児島県 南さつま市 | 南さつま市園芸施設有効活用支援事業 | 500万円 | 2/5 | 9月30日 |
| 島根県 邑南町 | 高温対策等支援事業 | 50万円 | 1/4 | 12月28日 |
| 千葉県 富里市 | とみさと農業気候変動対策支援事業補助金 | 1万円 | 10/10 | 9月30日 |
農業用ヒートポンプの導入は、産地生産基盤パワーアップ事業の収益性向上対策(施設園芸産地における省エネ化に必要なヒートポンプ等の導入、補助率1/2以内)が対象です。燃油コスト削減を目的とする場合は、長野県の農業エネルギーコスト削減促進事業(上限1,500万円・基本コース1/2・促進コース3/4・9月30日締切)のような県単独事業も検討しましょう。
▼農業用井戸・かん水ポンプの整備に使える補助金はこちら
農業用ドローン・スマート農業機械に使える補助金は?
農業用ドローンの導入には、スマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策事業と地域農業構造転換支援事業が主な選択肢です。ドローンは「スマート農業機械」として明確に対象に位置付けられており、農薬散布用ドローンは省力化効果が数値化しやすいため、事業計画にも落とし込みやすい設備です。
スマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策事業
本事業は、農業支援サービス事業者の育成とスマート農業技術の現場導入を支援する制度です。令和8年度予算は25億3,000万円、令和7年度補正予算では156億5,800万円が計上されています。
| スマート農業技術と産地の橋渡し支援 | スマート農業技術を他品目等にカスタマイズするための改良を支援:補助上限500万円 |
| 農業支援サービスの育成加速化支援 | ニーズ調査、サービス提供の試行・改良、スマート農業機械等の導入、流通販売体系の転換に必要な施設整備等:農業機械1,500万円・3,000万円・5,000万円 |
| 農業支援サービスの土台づくり支援 | 標準的な作業工程や作業精度を定めた「標準サービス」の策定等を支援 |
令和8年度からは新たに「スマート技術体系への包括的転換加速化総合対策事業」も始まりました。スマート農業機械の導入と、その効果を高める栽培体系への転換をセットで支援する内容で、自動操舵システムと直播栽培による作期分散(水稲)、AI選別と大型機械による一斉収穫(畑作物)といった取組が想定されています。
出典:スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート事業(令和8年度予算概算決定)
ドローンの購入・資格取得に使える自治体の制度
個人農家や小規模な農業法人がドローンを導入する場合、自治体独自の制度が使いやすいケースが多くあります。2026年9月9日時点で申請期限が残っている制度は次のとおりです。
| 自治体 | 制度名 | 上限額 | 補助率 | 申請期間 |
|---|---|---|---|---|
| 宮城県 | 農業用ドローン操縦者育成支援事業 | 30万円 | 1/3 | 7月18日〜12月18日(月次で複数回) |
| 東京都 | 東京型スマート農業実装化促進事業 | 333万3,000円 | 2/3(下限13万3,000円) | 5月1日〜9月14日 |
| 長崎県 南島原市 | 農業用ドローン農薬散布普及実証支援事業 | 10aあたり1,250円 | 1/2 | 4月1日〜 |
宮城県の農業用ドローン操縦者育成支援事業のように、機体購入ではなく操縦ライセンスの取得費用を補助する制度もあります。従業員にドローン国家資格を取得させる農業法人であれば、厚生労働省の人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)も併用の余地があります。
兼業農家・小規模農家でも農業補助金は使える?
兼業農家や小規模農家でも農業補助金は使えます。ただし、国の大型補助金の多くは「認定農業者」「認定新規就農者」「地域計画に位置付けられた担い手」を対象にしているため、そのままでは条件を満たさないことがあります。現実的な選択肢は次の4つです。
- 自治体独自の機械・資材導入補助金(上限5万〜100万円程度、認定農業者以外も対象の制度あり)
- 多面的機能支払交付金・中山間地域等直接支払交付金(集落の活動組織・協定を通じて受け取る)
- 環境保全型農業直接支払交付金(農業者2名以上の団体で申請)
- 小規模事業者持続化補助金(加工・直売・観光農園などを行っている場合)
兼業農家が使いやすい自治体の補助金は?
自治体の農業補助金には、認定農業者に限定せず「市内に農地を所有し耕作している者」を対象にする制度が少なくありません。たとえば長野県飯山市の農業機械等導入支援事業は、認定農業者でない個人にも補助率1/2を適用する設計でした。岩手県一関市の農業用草刈機導入補助金(上限5万円・補助率1/4)のように、金額は小さくても兼業層が使いやすい制度も各地にあります。
探し方のコツは、「◯◯市 農業機械 補助金」ではなく「◯◯市 農業振興 補助金」「◯◯市 農業者 支援事業」で市町村サイトを確認することです。機械単体ではなく農業振興事業のメニューの一部として設けられているケースが多いためです。
多面的機能支払交付金・中山間地域等直接支払交付金とは?
多面的機能支払交付金と中山間地域等直接支払交付金は、個人ではなく集落の活動組織・集落協定に対して毎年交付される日本型直接支払の制度です。水路・農道の草刈りや泥上げといった共同作業、中山間地域での営農継続に対して支払われるため、経営規模の大小を問わず参加できる点が特徴です。多面的機能支払交付金の令和8年度予算は500億円が計上されています。
| 多面的機能支払交付金 | 農地維持支払・資源向上支払。水路・農道の保全、農村環境の維持活動などを行う活動組織へ交付 |
| 中山間地域等直接支払交付金 | 傾斜地など条件不利地で農業生産活動を継続する集落協定へ交付 |
| 環境保全型農業直接支払交付金 | 化学肥料・化学農薬を原則5割以上低減する取組とあわせた、地球温暖化防止・生物多様性保全に効果の高い営農活動を支援。申請主体は農業者2名以上の団体 |
いずれも申請の入口は農地のある市町村です。すでに地元に活動組織や集落協定がある場合は、そこに加わることで交付の対象になります。なお、令和9年度概算要求では中山間地域等直接支払の対象農地の考え方の見直しや、環境保全型農業直接支払を再編した「新たな環境直接支払」の創設が示されており、今後の制度変更に注意が必要です。
▼2026年8月31日公表の令和9年度概算要求の全体像はこちら
米農家(稲作農家)が使える補助金・交付金は?
米農家が使える支援は、機械・施設の補助金と、毎年受け取る交付金の2本立てです。機械・施設は地域農業構造転換支援事業(購入3/10以内)、農地利用効率化等支援事業(上限300万円等)、産地生産基盤パワーアップ事業(1/2以内)が中心となります。経営面では経営所得安定対策・水田活用の直接支払交付金・収入保険が柱です。
経営所得安定対策と水田活用の直接支払交付金
水田活用の直接支払交付金(水活)は、主食用米以外の対象作物を水田で作付けした場合に交付される制度で、令和8年度予算は2,612億円です。麦・大豆・飼料作物・飼料用米・米粉用米などが対象で、作物ごとに交付単価が設定されています。あわせて、畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)、収入減少影響緩和交付金(ナラシ対策)、収入保険が経営安定の受け皿になります。
| 水田活用の直接支払交付金 | 水田で麦・大豆・飼料作物・飼料用米・米粉用米等を作付けした場合に交付(令和8年度予算2,612億円) |
| コメ新市場開拓等促進事業 | 新市場開拓用米・加工用米・米粉用米・酒造好適米の生産性向上を支援(令和8年度予算140億円) |
| 畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策) | 麦・大豆・そば・なたね等の生産費と販売収入の差を補填 |
| 収入減少影響緩和交付金(ナラシ対策) | 米・麦・大豆等の収入減少を補填。対象は認定農業者・集落営農・認定新規就農者 |
| 収入保険 | 青色申告を行う農業者の収入減少を幅広く補償 |
| 大区画化等加速化支援事業 | 区画整理による生産性向上を支援(10aあたり33万円等) |
令和9年度から水田政策はどう変わる?
令和9年度から、水田政策は根本的に見直される方針が示されています。水田活用の直接支払交付金は「水田」を対象とする制度から作物ごとの生産性向上への支援(収量に応じた面積払い)へ転換し、令和4年度から厳格化されていた「5年水張りルール」は令和9年度以降は求めないとされています。麦・大豆や飼料作物については、水田・畑にかかわらず支援する方向で検討が進んでいます。
令和9年度概算要求では、新たな水田政策の創設に3,565億円+事項要求が計上されました。最終的な制度設計と予算規模は予算編成過程で確定するため、令和8年産・9年産の作付計画を立てる際は、市町村の農政担当窓口や地域農業再生協議会で最新の取扱いを確認してください。
▼米価の推移と今後の見通しはこちら
中小企業向けの補助金は農業でも使える?
農業法人や従業員を雇用する個人農家は、中小企業向けの汎用補助金も申請できます。ただし農事組合法人・農業協同組合は対象外となる制度が多く、また小規模事業者持続化補助金では「系統出荷による収入のみの個人農業者」が対象外とされている点に注意が必要です。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(最大9,000万円)
2026年度から、従来の「ものづくり補助金」と「中小企業新事業進出補助金」が統合され、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金としてスタートしました。補助上限は最大7,000万円、賃上げ特例の適用時は最大9,000万円です。
| 公募開始 | 2026年6月29日(月) |
| 申請受付開始 | 2026年9月30日(水) |
| 応募締切 | 2026年10月30日(金)18:00厳守 |
| 補助上限 | 最大7,000万円(賃上げ特例適用時は最大9,000万円) |
| 農業での活用例 | AI搭載の選別機、加工設備、乾燥機、ビニールハウスの環境制御設備(自動カーテン・ミスト発生装置・CO2発生装置等) |
汎用的なトラクター単体の購入は原則対象外です。6次産業化や農産物の高付加価値化、新市場開拓に結び付く投資として計画を組み立てることが採択の鍵になります。申請には一般事業主行動計画の策定・公表が必須要件となった点にも注意しましょう。
▼統合後の変更点や申請要件の詳細はこちら
小規模事業者持続化補助金は農業者・農業法人も対象になる?
小規模事業者持続化補助金は、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の農業者・農業法人であれば対象になります。ただし公募要領では、系統出荷による収入のみの個人農業者は補助対象外と明記されています。JAへの出荷しか行っていない場合は申請できないということです。
一方で、個人農業者であっても農作物の加工や、農作物を用いた料理の提供等を行う事業については、その加工や料理提供に必要な経費が補助対象になります。農作物の生産自体に必要な経費は対象外である点が、判断の分かれ目です。直売所の開設、加工品のパッケージ制作、ECサイトの構築、観光農園の集客といった取組であれば、経営計画との整合性を示すことで申請の余地があります。
| 補助上限 | 50万円(インボイス特例+賃金引上げ特例で最大250万円) |
| 補助率 | 2/3(賃金引上げ特例を使う赤字事業者は3/4) |
| 第20回 申請受付 | 2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00 |
| 様式4発行受付締切 | 2026年12月4日(金) |
| 対象外となる例 | 系統出荷による収入のみの個人農業者、申請時点で事業を開始していない者 |
第19回の採択率は47.1%(申請16,576件・採択7,819件)でした。申請には事業支援計画書(様式4)の発行が必要で、その締切が申請締切より前に設定されているため、商工会・商工会議所への相談は早めに進めましょう。
▼第20回の変更点や申請手順はこちら
中小企業省力化投資補助金(最大1億円)
中小企業省力化投資補助金は、人手不足の解消と生産性向上を目的に省力化設備の導入を支援する制度です。一般型は補助上限最大1億円、補助率は中小企業1/2・小規模企業者2/3で、選果ロボットや自動包装機など、農産物の調製・出荷工程の自動化に活用できます。
▼カタログ注文型と一般型の違い、最新の公募回はこちら
農業経営の記帳・在庫管理・出荷管理をシステム化する場合は、旧IT導入補助金にあたるデジタル化・AI導入補助金も選択肢になります。
農業人材の確保・雇用に使える補助金は?
農業法人が就農希望者を新たに雇用する場合に使えるのが「雇用就農資金」です。令和8年度予算は28億1,600万円で、3つのタイプが用意されています。

| 雇用就農者育成・独立支援タイプ | 49歳以下の就農希望者を新たに雇用し研修を実施:年最大60万円・最長4年間 |
| 新法人設立支援タイプ | 新法人の設立を目指す49歳以下の就農希望者を一定期間雇用し研修を実施:年最大120万円(3年目以降は年最大60万円)・最長4年間 |
| 次世代経営者育成タイプ | 55歳未満の職員を次世代経営者として育成するため派遣研修を実施:月最大10万円・最短3か月〜最長2年間 |
雇用就農者育成・独立支援タイプでは、1経営体あたりの新規採択人数は年5人まで、3人目以降は年間最大20万円となります。あわせて、令和7年度補正予算では就業規則の策定や作業工程の見直しを支援する「働きやすい環境づくりコース」、労災保険の加入促進等を支援する「推進体制整備コース」も実施されています。
▼雇用就農資金の要件・申請手続きの詳細はこちら
▼労災保険の小規模事業主への強制適用と、対応に使える補助金はこちら
▼妊娠・出産・育児期の女性農業者を支援する制度はこちら
【2026年最新】全国の自治体が実施する農業補助金一覧
補助金ポータルには、2026年8月時点で農業向けの自治体補助金が364件登録されています。物価・燃油・肥料の高騰対策、農業機械の導入、施設園芸支援、新規就農・移住就農支援など、地域の課題に応じた制度が用意されています。
以下の一覧は、補助金ポータル掲載情報(2026年8月時点)のうち、2026年9月9日時点で申請期限が到来していない制度を抜粋したものです。申請期間・補助額・要件は変更される場合があり、予算上限に達し次第、受付が終了することもあります。複数回に分けて公募する制度は、最終回の締切日を記載しています。お住まいの自治体が対象かどうか、最新の募集状況は必ず各公式ページでご確認ください。
2026年9月中に締切を迎える農業補助金
締切が近い制度です。事前予約や着工前申請が必要なものが多いため、早めに窓口へ相談しましょう。
| 自治体 | 制度名 | 上限額 | 補助率 | 申請期限 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 新規就農者初期投資支援事業 | 375万円 | 3/4(下限37万5,000円) | 9月14日 |
| 東京都 | 農作業省力化推進事業 | 100万円 | 1/2(下限5万円) | 9月14日 |
| 東京都 | 暑熱対策推進事業 | 133万3,000円 | 2/3 | 9月14日 |
| 神奈川県 | 神奈川県農業経営新規アイデア実現支援事業補助金 | 500万円 | 1/3 | 9月16日 |
| 福岡県 飯塚市 | 地域農業構造転換支援事業 | 3,000万円 | 3/10 | 9月18日 |
| 長野県 | 農業エネルギーコスト削減促進事業 | 1,500万円 | 1/2・3/4 | 9月30日 |
| 山口県 防府市 | 防府市新規就農者経営開始支援事業補助金 | 495万円 | 定額 | 9月30日 |
| 東京都 立川市 | 農業者物価高騰等緊急支援金 | 75万円 | 定額 | 9月30日 |
| 岡山県 岡山市 | 岡山市施設園芸燃油費高騰対策支援金 | 20万円 | 定額 | 9月30日 |
| 佐賀県 | 園芸農業物価高騰対応支援事業(施設園芸) | 1kgあたり8.25円 | 定額 | 9月30日 |
| 高知県 四万十市 | 四万十市農業用機械物価高騰対策支援事業費補助金 | 100万円 | 1/2 | 9月30日 |
| 岩手県 一関市 | 一関市農業用草刈機導入補助金 | 5万円 | 1/4 | 9月30日 |
| 鹿児島県 南さつま市 | 南さつま市園芸施設有効活用支援事業 | 500万円 | 2/5 | 9月30日 |
| 千葉県 富里市 | とみさと農業気候変動対策支援事業補助金 | 1万円 | 10/10 | 9月30日 |
10月以降も申請できる農業補助金
年度後半まで受付が続く制度です。準備期間に余裕があるため、事業計画をしっかり作り込んで臨みましょう。
| 自治体 | 制度名 | 上限額 | 補助率 | 申請期限 |
|---|---|---|---|---|
| 福島県 伊達市 | 6次産業化普及推進事業補助金 | 100万円 | 3/4 | 10月15日 |
| 京都府 | 農業者等営農継続緊急支援事業(パイプハウス復旧) | 予算の範囲内 | 復旧1/2・3/10 | 10月30日 |
| 福井県 高浜町 | 干害応急対策事業補助金 | 予算の範囲内 | 10/10 | 10月30日 |
| 和歌山県 紀美野町 | 紀美野町農業経営支援事業補助金 | 50万円 | 8/100・1/10・1/3・1/2・定額 | 11月30日 |
| 茨城県 桜川市ほか | 園芸産地高温対策事業(要望調査) | 200万円 | 1/3 | 11月30日 |
| 宮城県 | 農業用ドローン操縦者育成支援事業 | 30万円 | 1/3 | 12月18日 |
| 岩手県 大船渡市 | 大船渡市電気柵等資材購入支援事業費補助金 | 10万円 | 1/2 | 12月25日 |
| 島根県 邑南町 | 高温対策等支援事業 | 50万円 | 1/4 | 12月28日 |
| 岐阜県 七宗町 | 七宗町農業振興事業補助金 | 10万円 | 1/2 | 2027年2月1日 |
| 熊本県 玉名市 | 玉名市農業機械等整備事業 | 5万円 | 25% | 2027年2月26日 |
| 新潟県 見附市 | 見附市野菜づくり等応援事業補助金 | 100万円 | 3/10・1/2・1/3・2/3 | 2027年3月5日 |
地域によって対象者・対象経費・受付方法が大きく異なります。多くの制度で購入・着工前の申請や事前予約が必要なため、検討中の方は早めに各自治体の窓口へ相談しましょう。
▼補助金ポータルでは、お住まいの地域や目的から使える農業補助金を検索できます
▼都市農業の振興に取り組む方はこちら
農業補助金の申請の流れと注意点
農業補助金の申請は、おおむね次の6ステップで進みます。国の制度は市町村・都道府県を経由する間接補助が多く、公募期間が短いのが特徴です。
2.審査後に承認を得る
3.交付申請書を提出する
4.交付決定後に事業を実施する(機械の発注・着工はここから)
5.実績報告書を提出する
6.審査後に補助金が交付される
とくに注意したいのが、交付決定前に発注・契約・着工すると補助対象外になる点です。「先に機械を買ってしまい、あとから補助金を申請しようとして対象外になった」というケースは少なくありません。
また、経営発展支援事業や地域農業構造転換支援事業では、市町村が事前に「要望調査」を実施し、その結果をもとに国へ要望を上げる仕組みになっています。公募開始を待ってから動くと間に合わないため、前年度のうちから市町村の農政担当窓口に意向を伝えておくことが重要です。
申請には多くの場合GビズIDプライムのアカウントが必要で、取得には数週間かかる場合があります。
農業補助金は返済不要?返還を求められる4つのケース
農業補助金・助成金は原則として返済不要です。ただし、次の4つのケースでは返還を求められます。「もらったら終わり」ではなく、交付後も一定期間の義務が続く点を理解しておきましょう。
| ①就農・営農継続義務の未達 | 就農準備資金は研修終了後1年以内に就農しない場合、交付期間の1.5倍(最低2年間)農業を継続しない場合。経営開始資金は交付期間と同期間以上、農業経営を継続しない場合 |
| ②成果目標の未達成 | 経営面積の拡大、付加価値額の拡大、労働生産性の向上といった成果目標を達成できなかった場合、未達成の程度に応じて返還を求められることがある |
| ③財産処分制限期間内の売却・廃棄 | 補助金で取得した機械・施設を、法定耐用年数に応じた処分制限期間内に売却・廃棄・目的外使用した場合 |
| ④所得要件・経営要件の超過や不履行 | 経営開始資金で前年の世帯所得が600万円を超えた場合、適切な経営を行っていないと判断された場合 |
なお、補助金は課税対象です。機械や施設を取得した年度に多額の所得が発生しないよう、圧縮記帳という会計処理を使うのが一般的です。交付決定の段階で顧問税理士やJAの営農指導員に相談しておくと、想定外の納税を避けられます。
農業補助金に関するよくある質問
就農準備資金・経営開始資金はいくらもらえますか?
就農準備資金・経営開始資金は、いずれも月13.75万円(年165万円)が交付されます。令和8年度から、従来の月12.5万円(年150万円)より引き上げられました。就農準備資金は研修期間中の研修生に最長2年間、経営開始資金は独立・自営就農した認定新規就農者に最長3年間交付されます。どちらも交付対象者は原則49歳以下で、前年の世帯所得が原則600万円以下であることなどが要件です。研修終了後に就農しなかった場合や、一定期間農業を継続しなかった場合は返還が必要になる点に注意しましょう。
50歳以上・60歳以上でも農業補助金はもらえますか?
もらえます。新規就農者チャレンジ事業は認定新規就農者(65歳未満)が対象で、農業用機械・施設の導入を個人1,500万円・法人3,000万円まで支援します(購入3/10以内、リース定額)。50代・60代前半で新規参入する方の中心的な選択肢です。また、地域農業構造転換支援事業・農地利用効率化等支援事業・産地生産基盤パワーアップ事業・小規模事業者持続化補助金・省力化投資補助金などは年齢制限がありません。一方、就農準備資金・経営開始資金・経営発展支援事業は原則49歳以下が要件です。認定農業者や認定新規就農者の認定を受けることで対象となる制度が広がるため、地域の農業委員会や市町村の農業担当窓口にご相談ください。
トラクターや農業機械の購入に使える補助金はありますか?
農業機械(トラクター・コンバイン等)の購入には、地域農業構造転換支援事業(購入3/10以内、リース定額)、農地利用効率化等支援事業(融資主体支援タイプ、3/10以内、上限300万円等)、産地生産基盤パワーアップ事業の収益性向上対策(補助率1/2以内)が活用できます。認定新規就農者であれば経営発展支援事業(国費上限500万円、補助率1/2)や新規就農者チャレンジ事業(個人上限1,500万円)も対象です。農地利用効率化等支援事業は日本政策金融公庫のスーパーL資金や農業近代化資金などの融資とセットで使う制度です。小規模事業者持続化補助金も経営計画との整合性があれば農業機械購入に使える場合があります。新事業進出・ものづくり補助金は汎用的なトラクター単体の購入には原則使えませんが、6次産業化や高付加価値化に結びつく設備投資として申請できる場合があります。また、一関市の農業用草刈機導入補助金(最大5万円)や四万十市の農業用機械物価高騰対策支援事業(最大100万円)など、自治体独自の制度も全国にあります。
農業用倉庫(農業倉庫)の建設に使える補助金はありますか?
農業用倉庫・作業場の整備には、産地生産基盤パワーアップ事業の生産基盤強化対策(補助率1/2以内)が代表的です。地域農業構造転換支援事業や農地利用効率化等支援事業でも施設整備が対象になり、認定新規就農者であれば経営発展支援事業(国費上限500万円)や新規就農者チャレンジ事業(個人上限1,500万円)が使えます。注意点は3つあります。第一に、交付決定前に着工・契約すると補助対象外になること。第二に、農地に建てる場合は農地法上の転用許可または届出が必要で、農業委員会への確認が欠かせないこと。第三に、倉庫の新設単独では採択されにくく、機械導入や規模拡大とセットで生産性向上の効果を示す計画が求められることです。農機具置き場や農作業小屋のような小規模な施設は、市町村独自の農業振興補助金で対象になる場合があります。
ビニールハウスの購入・建設に使える補助金はありますか?
ビニールハウス(農業用ハウス)の導入・整備には、産地生産基盤パワーアップ事業の生産基盤強化対策(農業用ハウスの再整備・改修:補助率1/2以内)が中心的な選択肢です。新規就農者向けには経営発展支援事業や新規就農者チャレンジ事業、東京都の新規就農者初期投資支援事業(補助率3/4・上限375万円)が活用できます。自治体では、南さつま市の園芸施設有効活用支援事業(上限500万円・補助率2/5)や京都府の農業者等営農継続緊急支援事業(パイプハウス復旧支援)などがあります。新事業進出・ものづくり補助金はハウス単体の新設には原則使えませんが、ハウス内の環境制御設備(CO2発生装置・除湿機・ミスト装置等)の投資としてなら活用できる場合があります。
農業用ドローンの購入に補助金は使えますか?
使えます。農薬散布用ドローンは、地域農業構造転換支援事業(購入3/10以内)やスマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策事業の農業支援サービスの育成加速化支援(農業機械1,500万円・3,000万円・5,000万円)の対象です。自治体独自の制度も多く、東京都の東京型スマート農業実装化促進事業(上限333万3,000円・補助率2/3)などがあります。また、機体購入ではなく操縦ライセンス取得を支援する制度として、宮城県の農業用ドローン操縦者育成支援事業(上限30万円・補助率1/3)があります。個人事業主として空撮や農薬散布代行を事業化する場合は、小規模事業者持続化補助金も選択肢になります。
兼業農家や小規模農家でも補助金はもらえますか?
もらえます。ただし国の大型補助金は「認定農業者」「認定新規就農者」「地域計画に位置付けられた担い手」を対象にすることが多いため、兼業農家・小規模農家が使いやすいのは次の4つです。第一に、自治体独自の機械・資材導入補助金で、認定農業者でない個人にも補助率1/2などを適用する制度があります。第二に、多面的機能支払交付金・中山間地域等直接支払交付金で、集落の活動組織や集落協定を通じて毎年交付を受けられます。第三に、環境保全型農業直接支払交付金で、農業者2名以上の団体として申請します。第四に、加工・直売・観光農園などを行っている場合は小規模事業者持続化補助金です。なお、兼業でも農業経営改善計画を作成して市町村の認定を受ければ認定農業者になれるため、選択肢を広げる有効な手段になります。
米農家(稲作農家)が使える補助金はありますか?
米農家が活用できる主な制度として、地域農業構造転換支援事業(農業用機械・施設の導入)、農地利用効率化等支援事業(融資と組み合わせた機械導入、上限300万円等)、産地生産基盤パワーアップ事業(機械導入・施設整備等)があります。経営安定策としては経営所得安定対策(水田活用の直接支払交付金、畑作物の直接支払交付金、収入減少影響緩和交付金)や収入保険、税制支援の農業経営基盤強化準備金も検討に値します。水田活用の直接支払交付金の令和8年度予算は2,612億円で、麦・大豆・飼料作物・飼料用米・米粉用米などの作付けが対象です。大区画化等加速化支援事業(10aあたり33万円等)は、区画整理による生産性向上を支援します。なお令和9年度からは水田政策が根本的に見直され、作物ごとの収量に応じた面積払いへ転換される方針が示されています。
認定農業者になると補助金は有利になりますか?
有利になります。認定農業者は市町村から農業経営改善計画の認定を受けた農業者で、地域農業構造転換支援事業や農地利用効率化等支援事業では「地域計画に位置付けられた担い手」として対象者に明示されています。自治体の制度でも、認定農業者を対象者に限定したり、補助率を優遇したりする例が多く見られます。また、日本政策金融公庫のスーパーL資金(農業経営基盤強化資金)は認定農業者向けの融資制度で、農地利用効率化等支援事業と組み合わせて使えます。認定を受けるには、5年後の目標を定めた農業経営改善計画を作成し、市町村に申請します。年齢制限はなく、50歳以上・60歳以上の方でも認定を受けられます。まずは市町村の農政担当窓口や農業委員会に相談してください。
小規模事業者持続化補助金は農業者・農業法人も対象ですか?
常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)であれば、農業者・農業法人も対象になります。ただし公募要領では、系統出荷による収入のみの個人農業者は補助対象外と明記されています。JAへの出荷のみを行っている個人農業者は申請できません。一方で、個人農業者であっても農作物の加工や農作物を用いた料理の提供等を行う事業については、その加工・料理提供に必要な経費が補助対象になります。農作物の生産自体に必要な経費は対象外です。直売所の開設、加工品のパッケージ制作、ECサイト構築、観光農園の集客といった販路開拓の取組であれば申請の余地があります。なお、農事組合法人・農業協同組合は対象外となる制度が多いため、法人形態も事前に確認しましょう。第20回の申請受付は2026年11月5日から12月15日17時までです。
物価高騰・燃油高騰の影響を受けた農家向けの支援はありますか?
多くの自治体が独自の支援金を実施しています。2026年9月時点で申請期限が残っている例として、長野県の農業エネルギーコスト削減促進事業(上限1,500万円・補助率1/2または3/4)、東京都立川市の農業者物価高騰等緊急支援金(最大75万円)、岡山市の施設園芸燃油費高騰対策支援金(最大20万円)、佐賀県の園芸農業物価高騰対応支援事業(1kgあたり8.25円)、高知県四万十市の農業用機械物価高騰対策支援事業(上限100万円)などがあります。多くは国の重点支援地方創生臨時交付金を活用した制度で、内容は自治体ごとに異なります。市町村の農業担当窓口で確認しましょう。
農業補助金は返済不要ですか?
農業補助金・助成金は原則として返済不要です。ただし4つのケースで返還を求められます。第一に、就農準備資金は研修終了後1年以内に就農しない場合や交付期間の1.5倍(最低2年間)農業を継続しない場合、経営開始資金は交付期間と同期間以上農業経営を継続しない場合です。第二に、経営面積の拡大・付加価値額の拡大・労働生産性の向上といった成果目標を達成できなかった場合です。第三に、補助金で取得した機械・施設を処分制限期間内に売却・廃棄・目的外使用した場合です。第四に、経営開始資金で前年の世帯所得が600万円を超えた場合など、所得要件・経営要件を満たさなくなった場合です。なお、補助金は課税対象となるため、圧縮記帳などの税務処理も含めて事前に確認しておきましょう。
農業補助金の申請前に何を準備すればよいですか?
申請前の準備は次の5点です。①対象要件の確認(年齢、認定農業者・認定新規就農者の有無、地域計画への位置付け)、②希望する設備・事業が補助対象になるかの確認、③事業計画書・経営計画の作成、④見積書の取得(相見積が必要な制度もあります)、⑤GビズIDプライムの取得(数週間かかる場合あり)。多くの補助金は着工・購入前の申請が必須なので、先に発注しないよう注意が必要です。また、国の制度では市町村が前年度から要望調査を行うことが多いため、早い段階で農業委員会・市町村農業担当窓口・都道府県の農業普及指導センターに意向を伝えておきましょう。
国の補助金と自治体の補助金は併用できますか?
同一の経費に対して国庫補助事業と自治体補助事業を重複して申請することは、原則できません。多くの自治体制度では「国・県その他団体の補助事業との重複申請は不可」と定められています。ただし、対象経費が異なる別々の取組であれば、複数の制度を組み合わせて活用できる場合もあります。たとえば、機械導入は国の地域農業構造転換支援事業、販路開拓は小規模事業者持続化補助金、というように目的別に使い分けるかたちです。併用の可否は制度ごとに異なるため、申請前に必ず各窓口で確認しましょう。
まとめ
2026年(令和8年度)の農業補助金は、新規就農者への交付額が月13.75万円(年165万円)へ引き上げられ、65歳未満まで対象を広げた新規就農者チャレンジ事業(個人上限1,500万円)が本格化するなど、支援の間口が広がりました。
年齢要件で選択肢が変わる点は押さえておきましょう。49歳以下なら就農準備資金・経営開始資金・経営発展支援事業、65歳未満なら新規就農者チャレンジ事業、年齢制限なしなら地域農業構造転換支援事業・農地利用効率化等支援事業・産地生産基盤パワーアップ事業が中心となります。
設備の種類によっても使える制度は異なります。トラクター・コンバインは地域農業構造転換支援事業や農地利用効率化等支援事業、農業用倉庫やビニールハウスは産地生産基盤パワーアップ事業の生産基盤強化対策、農業用ドローンやスマート農業機械はスマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策事業が軸になります。
兼業農家・小規模農家は、自治体独自の機械補助や、多面的機能支払交付金・中山間地域等直接支払交付金といった集落単位の交付金が入口になります。米農家は令和9年度から水田政策が作物ごとの支援へ転換される方針が示されているため、市町村の農政担当窓口で最新の取扱いを確認しておきましょう。
飼料・肥料・燃油の高騰対策や高温対策については、自治体独自の支援金が数多く用意されています。国の制度と自治体の制度を目的別に組み合わせながら、使える支援策がないか一度チェックしてみてはいかがでしょうか。なお、交付決定前の発注は補助対象外となるため、購入・着工の前に必ず窓口へ相談することが大切です。
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