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農家のための農業補助金ガイド!申請できる補助金と活用方法

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国では、農家の生産性向上・収益力強化・新市場開拓などを支援するための、あらゆる補助金を設けています。補助金を利用すれば、お金がかかる農業関係の設備やシステムを導入できたり、また高齢化や後継者不足等の課題解決に繋がったりなどのメリットがあります。

この記事では、農家向けの主な補助金と活用方法についてそれぞれ解説します。将来的に農業をより発展させたい、担い手の育成に力をいれたいなどお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事の目次

農家向け補助金の種類

まずは、農林水産省が提供する主な補助金の目的・補助額などをみていきます。

強い農業づくりの支援|産地生産基盤パワーアップ事業

農業の国際競争力強化を目的とした事業です。計画的な収益力強化に取り組む産地へ、農業者等が実施する高性能な機械・施設の導入や、栽培体系の転換等について総合的に支援します。

(1)新市場獲得対策
①新市場対応に向けた拠点事業者の育成及び連携産地の対策強化
新市場のロット・品質に対応できる拠点事業者を育成するため、貯蔵・加工・物流拠点施設等の整備、拠点事業者と連携する産地が行う生産・出荷体制の整備等を支援します。メニューごとの補助率は以下のとおりです。

メニュー 補助率
(1)生産安定・効率化機能の具備・強化 1/2以内
(2)供給調整機能の具備・強化 1/2以内
(3)実需者ニーズ対応機能の具備・強化 1/2以内
(4)農業機械等の導入及びリース導入 導入する農業用機械等の本体価格の1/2以内
(5)効果増進・検証事業 定額
(6)その他事業の目的を達成するために必要な取組 1/2以内

【事業実施主体】
事業計画に位置付けられた以下の者が対象です。

  • 都道府県
  • 市町村
  • 公社
  • 農業者
  • 民間事業者
  • 特認団体
  • コンソーシアム

【採択要件】

  • 協働事業計画が承認されていること
  • 別に定める成果目標の基準を満たしていること
  • 別に定める面積要件等を満たしていること 等

②園芸作物等の先導的取組支援
園芸作物等を対象に、需要の変化に対応した新品目・品種、新樹形の導入や栽培方法の転換、技術導入の実証等の競争力を強化し産地を先導する取組を支援します。

以下3つのメニューがあります。

メニュー 補助率
(1)果樹 定額または事業費の1/2以内
(2)茶 定額または事業費の1/2以内
(3)花き 定額または事業費の1/2以内

【採択要件】

  • 別に定める成果目標の基準を満たしていること
  • 別に定める面積要件等を満たしていること

③国産シェア拡大対策
国産麦・大豆の増産や安定供給に必要な農業機械の導入や集出荷貯蔵施設等の整備、国産加工・業務用野菜等のサプライチェーン強化に向けた農業機械・技術等の導入、流通加工施設の整備、需要拡大に資する全国的な取組等を支援します。

以下の2つのメニューがあります。それぞれの補助率は以下のとおりです。

メニュー 補助率
(1)麦・大豆(麦・大豆機械導入対策) 導入する機械等の導入費用の1/2以内
(2)園芸作物等
①サプライチェーン強靱化支援のうち加工・業務用野菜産地育成推進
②需要拡大支援
定額またはリース導入する農業用機械等の本体価格の事業費の1/2以内

【採択要件】

  • 別に定める成果目標の基準を満たしていること
  • 事業内容が成果目標の達成に結び付く取り組みであること
  • 別に定める要件を満たしていること

(2)収益性向上対策
計画的に収益力強化に取り組む産地に対し、計画に必要な農業機械の導入、集出荷施設の整備等を支援します。また、施設園芸産地において、燃油依存の経営から脱却し省エネ化を図るために必要なヒートポンプ等の導入等を支援します。

(3)生産基盤強化対策
①生産基盤の強化・継承
農業用ハウスや果樹園・茶園等の生産基盤を次世代に引き継ぐための再整備・改修、継承ニーズのマッチング等を支援します。

②全国的な土づくりの展開
全国的な土づくりのため、堆肥や緑肥等を実証的に活用する取組を支援します。

「産地生産基盤パワーアップ事業」の全体像は、こちらの資料も参考にしてください。

出典:産地生産基盤パワーアップ事業

強い農業づくり総合支援交付金

強い農業づくりに要する産地基幹施設、卸売市場施設の整備等を支援し、産地の収益力強化、持続的発展、食品流通合理化を図るのが目的です。地域労働者の減少や労働力不足等、生産性構造の急速な変化に対応できるよう、生産事業モデルや農業支援サービス事業の育成をサポートします。

【事業内容】
(1)産地基幹施設等支援
①産地収益力の強化、産地合理化の促進
集出荷貯蔵施設や冷凍野菜の加工・貯蔵施設等の整備・再編等

出典:強い農業づくり総合⽀援交付⾦

②重点政策の推進に要する施設の整備等

  • みどりの⾷料システム戦略(化学農薬・化学肥料の低減、有機農業の拡大、ゼロエミッション化等に要する施設)
  • スマート農業の推進(生産技術高度化施設、家畜飼養管理施設、AI選果機や選別・パック詰めロボット等を備える施設)
  • 産地における戦略的な⼈材育成の推進(担い手の育成を行いつつ、産地収益力強化に貢献する施設)

    出典:強い農業づくり総合⽀援交付⾦

(2)食品流通の合理化
品質・衛生管理の強化等を行う卸売市場施設や、共同配送等に要するストックポイント等の整備

(3)⽣産事業モデル⽀援
①生産事業モデル支援
核となる事業者が連携する生産者の作業支援など、あらゆる機能を推進しつつ、安定的な生産・供給を実現するための生産事業モデル育成

②農業支援サービス事業支援
農業支援サービス事業の育成に要する農業用機械の導入


出典:強い農業づくり総合⽀援交付⾦

【補助額】
補助上限額(1500万円~20億円)の1/2以内、4/10以内等

農業も使える経産省の補助金

ここでは、ものづくり補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金についてみていきます。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は活用の用途が幅広く、農業の分野でもこれまで多くの成果事例が出ています。

【目的】
中小企業・小規模事業者等へ設備投資等を支援し、生産性向上を図るのが目的です。中小企業・小規模事業者等が、今後相次いで直面する制度変更(働き方改革・被用者保険の適用拡大・賃上げ・インボイス導入等)に対応するため、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を促進します。

【事業内容】

通常枠 革新的な製品・サービス開発や生産プロセス・サービス提供の改善に要する、設備・システム投資等を支援
回復型賃上げ・雇用拡大枠 厳しい業況にある事業者が賃上げ・雇用拡大を進めるための設備・システム投資等を支援
デジタル枠 DXに貢献する設備・システム投資等を支援
グリーン枠 温室効果ガスの排出削減に貢献する設備・システム投資等を支援
グローバル市場開拓枠 海外事業の拡大等のための設備投資等や、海外展開に関するブランディング・プロモーション等の経費を支援


上記は16次締切(2023・令和5年11月7日)までの申請枠。2024年の18次締切では「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」に変更。

【補助額】
補助上限額(750~4000万円)の1/2、2/3
※条件によって、補助上限額に100~1000万円の上乗せ有り

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、要件を満たしていれば農家も申請可能です。令和5年度の第9回公募では、農業に関する事業計画が約40件採択されています。

【目的】
思い切った事業再構築に意欲的な中小企業等を支援し、日本経済の構造転換促進を図るのが目的です。ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰や、これらを通じた規模の拡大等を支援します。

【事業内容】

成長枠 成長分野への大胆な事業再構築を支援
グリーン成長枠 研究・技術開発や人材育成を実施しながら、グリーン成長戦略「実行計画」分野の課題解決に貢献する取組を支援
卒業促進枠 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通し、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者へ上乗せ支援
大規模賃金引上促進枠 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通し、大規模な賃上げを実施する事業者へ上乗せ支援
産業構造転換枠 国内市場縮小等の課題を抱えた中小企業等が実施する事業再構築を支援
サプライチェーン強靱化枠 海外で製造等する製品について、国内サプライチェーン強靱化や地域産業活性化に貢献する取組を支援
最低賃金枠 最低賃金引上げの影響により、業況が特に厳しい中小企業等の事業再構築を支援
物価高騰対策・回復再生応援枠 厳しい業況の事業者、事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響が及ぶ中小企業等の再構築を支援

【補助額】
補助上限額(100万円~8000万円)の1/2、1/3、2/3、3/4等

小規模事業者持続化補助金

小規模持続化補助金は小規模事業者が活用しやすく、また販路開拓を進めたい農家に適しています。

【目的】
地域の雇用や産業を支える小規模事業者等について、生産性向上と持続的発展を推進するのが目的です。小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組や、これと併せて実施する業務効率化に要する経費を補助します。

【事業内容】

通常枠 小規模事業者自らが作成した経営計画に基づき、商工会・商工会議所の支援を受けながら行う販路開拓等の取組を支援
賃金引上げ枠 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とする取組を支援
卒業枠 常時使用する従業員を増員し、一定数の従業員の枠を超えた事業規模拡大の取組を支援
後継者支援枠 「アトツギ甲子園」のファイナリスト・準ファイナリストになった事業者を支援
創業枠 「特定創業支援等事業」による支援を受け開業した事業者を支援

【補助額】
補助上限額(50万円~200万円)の2/3、3/4
※インボイス特例を満たす場合は50万円を上乗せ

補助金申請の方法と手続き

補助金申請について、基本的な流れと手続きについては下記の通りです。

1.事業計画を作成し提出する
2.審査後に承認を得る
3.交付申請書を提出する
4.事業を実施する
5.実績報告書を提出する
6.審査後に補助金が交付される

申請に必要な書類は、各事業の公式サイトや公募要領などからダウンロードできます。なお必要書類の提出方法は、事業によって郵送や電子申請など異なるため、よくご確認ください。
必要書類や条件等の詳細について不明点がある場合は、事業ごとに設けられた連絡先よりお問い合わせが可能です。

主な補助金の活用例

最後に、補助金の活用例を確認しましょう。

産地生産基盤パワーアップ事業

  • 小麦の生産流通体制を効率化しコスト削減
  • りんごのブランド化と品質・収穫量の向上
  • 共同選果事業を取り入れ、トマト・ピーマンの収益が向上
  • 収穫機械の導入により、加工用キャベツを産地化
  • 集出荷貯蔵施設の整備で、りんごの長期安定出荷体制を強化

強い農業づくり総合支援交付金

  • ピーマンの選別施設機能強化による品質向上と、需要に伴う物流を確保
  • 乳用牛を個人育成から共同育成に替え、コスト削減と育成管理能力の低減効果
  • 冷却効率が高いCA冷蔵庫を導入し、りんごのブランド力向上と高品質安定出荷を実現
  • だいこんの鮮度を維持する施設と高速洗浄機の導入による品質向上
  • レタス類の完全閉鎖型植物工場を整備し、安定的な販路を確保

ものづくり補助金

  • 脱水装置導入により廃菌床を燃料化
  • 独自の加熱・冷却技術を用いた「完全無添加100%ジュース」の試作・開発
  • 世界初の新種小麦を使った国産生パスタ製造により、新市場を開拓

事業再構築補助金

  • 脱炭素社会の実現を目的とした、もみ殻の有効活用
  • 製材加工場の整備により、造材業から製材業へ新分野展開
  • 新たな地域特産品の生そばを販売し、持続可能な地域農業を実現

小規模事業者持続化補助金

  • 再生紙マルチ田植機導入により、販路開拓と生産性向上を達成
  • ミニトマトの自動選別機・磨機・野菜洗浄用エンジンポンプの導入により、新たな販路を開拓

申請期限と最新の補助金情報

農林水産省が提供する補助金の申請期限・更新情報については、農林水産省公式サイトより確認できます。また、今回ご紹介したその他の補助金についても、それぞれの公式サイトより最新情報が確認できます。

ものづくり補助金公式サイト

事業再構築補助金公式サイト

小規模事業者持続化補助金公式サイト

なお、自治体独自の補助金情報については、農協(JA)が扱っているケースもあります。

まとめ

農業関係の補助金は多く用意されており、また活用できる対象者は幅広く定められています。うまく取り入れれば、農業経営における多くのメリットを得られるでしょう。

近年では、飼料・肥料や資材価格の高騰により、多くの農家が生産コスト上昇などの影響を受けています。今後の経営をより安定させたい農家の方は、今回解説した補助金を含め、利用できる補助金があるかどうか一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

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