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農業を始めるなら知っておきたい!新規就農を支援する就農準備資金・経営開始資金とは

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日本国内の食料自給率は、カロリーベースで5割を切っています。食料の半量以上を輸入に頼る状態は世界的な社会状況の影響を受けやすく、対策が急がれる課題のひとつです。一方で、農業従事者の減少や高齢化は、ますます深刻化しています。

こうした問題を背景に、農林水産省では、就農前の研修を後押しする「就農準備資金」および、就農直後の経営確立を支援する「経営開始資金」が設置されています。

今回は新規就農を支援する各資金について、見ていきましょう。

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この記事の目次

農業従事者は9年で64万人減少!平均年齢は約68.7歳に

農業従事者は、年々減少傾向にあります。農林水産省の農業労働力に関する統計では、平成27年には175.7万人だった個人経営体の基幹的農業従事者は、令和6年には概数値で111.4万人になりました。

また、平均年齢は68.7歳と、高齢化も進んでいます。

出典:農林水産省 農業労働力に関する統計

農業は、国の食を支える重要な産業のひとつです。日本国内の食料自給率は、令和4年の時点で、カロリーベースで38%でした。これは、世界的に見ても低い水準です。国は令和12年度までに、カロリーベースの総合食料自給率を45%とする目標を掲げています。

若い世代の従事者を増やし、農業を持続可能な産業としていくことは、国民生活全体にとっても重要な取組なのです。

参考:農林水産省 日本の食料自給率

就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)とは

就農準備資金・経営開始資金とは、40代以下の農業従事者の拡大を目標とした制度です。

次世代を担う農業者となることを志向する49歳以下の者に対し、就農準備段階や経営開始時の早期の経営確立を支援する資金を交付します。

事業は、主に以下の3つです。

①就農準備資金
②経営開始資金
➂推進事業

今回は「①就農準備資金」と「②経営開始資金」について、見ていきましょう。それぞれの事業の内容や、主な交付要件をまとめました。

就農準備資金の交付要件

就農準備資金は、次世代を担う農業者となることを志向し、就農に向けて、研修を受ける者を支援する事業です。交付主体は、都道府県、市町村、青年農業者等育成センター、全国農業委員会ネットワーク機構です。

主な交付要件
原則として、就農予定時の年齢が49歳以下であること
独立・自営就農、雇用就農または親元での就農を目指すこと
(就農後5年以内に認定農業者または認定新規就農者になったり、経営を継承したりする必要があります)
都道府県等が認めた研修機関等で、概ね1年以上(年間概ね1,200時間以上)研修すること
常勤の雇用契約を締結していないこと
生活保護、求職者支援制度など、生活費を支給する国の他の事業と重複受給でないこと
申請時の前年の世帯全体の所得が、原則600万円以下であること
傷害保険に加入すること

また、国内での2年の研修に加えて海外研修を行う場合は、交付期間が1年延長されます。
なお、以下の場合は返還の対象です。

  • 適切な研修を行っていない場合
  • 必要な技能を習得していないと判断した場合
  • 研修終了後1年以内に就農しなかった場合
  • 交付期間の1.5倍(最低2年間)の期間、就農を継続しない場合

経営開始資金の交付要件

経営開始資金は、次世代を担う、農業者となることを志向する経営開始直後の新規就農者を支援する事業です。交付主体は、都道府県です。

主な交付要件
原則として、就農時の年齢が49歳以下の認定新規就農者であること
独立・自営就農であること
・農地の所有権または利用権を有していること
・主要な機械、施設を所有または借りていること
・生産物や生産資材等を、対象者の名義で出荷または取引すること
・経営収支を、対象者の名義の通帳等で管理すること
・対象者が農業経営に関する主宰権を有していること
以下のいずれかに該当すること(見込みも可)
・就農する市町村の「目標地図」に位置づけられていること
・「人・農地プラン」に中心経営体として位置づけられていること
・農地中間管理機構から農地を借り受けていること
生活保護等、生活費を支給する国の他の事業と重複受給していないこと
過去・現在において、雇用就農資金による助成金の交付または経営継承・発展支援事業による補助金の交付を受けていないこと
申請時および交付期間中の前年の世帯全体の所得が原則600万円以下であること

また、夫婦ともに就農する場合は、夫婦合わせて1.5人分が交付されます。また、複数の新規就農者が法人を新設して共同経営を行う場合は、新規就農者それぞれに最大150万円が交付されます。

なお、以下の場合は交付停止となります。

  • 交付期間中の前年の世帯全体の所得が、原則600万円を超えた場合
  • 適切な就農を行っていない場合

さらに以下の場合は、返還の対象です。

  • 交付期間終了後、交付期間と同期間以上、営農の継続をしなかった場合

就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)の交付額

交付額は、以下のとおりです。

資金の種類 月額支給額 年間支給額 支給期間
就農準備資金 12.5万円 150万円 最長2年間
経営開始資金 12.5万円 150万円 最長3年間

就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)の申請方法

申請では必要な書類を、都道府県や市町村に提出します。主な流れは、以下のとおりです。

①研修計画または青年等就農計画等を作成し、交付主体に承認申請する
②交付申請を行う
➂研修状況や就農状況等を報告する

事業の全体像は、以下の図も参照してください。

出典:農林水産省

なお、要件の確認等のため、申請前に交付主体(都道府県等)に必ず相談してください。

必要書類

申請や交付に必要な主な書類は、以下のとおりです。

就農準備資金
研修計画
交付申請(半年ごと)
就農状況報告(毎年7月末と1月末)
就農報告(就農後1か月以内)
経営開始資金
青年等就農計画
交付申請(半年ごと)
就農状況報告(毎年7月末と1月末)
就農報告(就農後1か月以内)

確定申告について

本資金を受給した場合、原則として、確定申告が必要です。詳細等は、税務署に問い合わせてください。

確定申告の主な内容は、以下のとおりです。

就農準備資金
資金は「雑所得」です。給与所得など他の所得が別にあれば、それらも合わせて確定申告をしてください。
経営開始資金
資金を含む収入金額から必要経費を差し引いた額を「事業所得(農業所得)」として申告をしてください。

そのほか、返還となった場合も手続きが必要です。

参考:農林水産省

就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)の活用事例

農林水産省では、就農準備資金・経営開始資金の活用事例が公開されています。ここでは、そのうちのいくつかをまとめました。

①新規就農を目指し、先進農家で研修
青果市場でのりんご生産者との情報交換をきっかけに就農を目指す。先進農家で栽培技術や販売方法等について、研修を行った。

■研修中に工夫したこと
受援地の取得に向け、研修開始時から情報収集を行う。また、積極的に地域での交流を行い、地元農家とのつながりを構築した。

■資金の活用例
研修中の生活費

■今後の取組
省力化を進めるとともに人員の確保を目指し、りんごの農閑期も含めて通年雇用できる体制の整備を行う。

②経験なしからの就農を目指し、農業総合センター果樹研究所へ
親戚を手伝ったことから、農業に興味を持つ。仕事が結果に直結すること、こだわりを突き詰められることに魅力を感じた。

■研修中に工夫したこと
経験なしからの就農のため、研修期間以外の先進農家でも経験を積んだ。また、就農予定地域のコミュニティに参加し、情報収集を行った。

■資金の活用例
研修中の生活費
独立にむけた資材等の購入

■今後の取組
海外販売を含め、販路拡大にチャレンジしたい。GAPの所得にも取り組む。

➂農業大学で病害虫の論文を投稿
教育関係から農業へ転職。研修として、農業大学で病害虫の研究を行う。「育てる」ことが好きで、今後は教育と農業をつなげていきたい。

■研修中に工夫したこと
論文執筆や研究と並行し、農作業のインターンにも参加。また、大型免許や土壌医検定などの資格も取得する。

■資金の活用例
研修中の生活費
就農にむけた準備資金

■今後の取組
現在取り組んでいる体験イベントの回数や来客数の増加を目指す。子供向けの農業塾の開催も予定している。

まとめ

農業を成功させるには専門的な技術や経験が必要で、就農後、すぐに成果がでないこともあります。また、労働時間が長く、体力が必要な職業です。収入や技術面での不安から、就農をあきらめている人もいるはずです。

就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)では、年間150万円の支援が、最大で3年間受けられます。これは農業従事者としての独立を目指す人にとって、大きな支えです。

農業の活性化は、食糧事情の改善だけでなく、人気の高い国産農産物の供給安定にもつながります。支援制度を上手に活用し、持続可能な農業を目指しましょう。

参考:農林水産省 就農準備資金・経営開始資金

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