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【2026年度・令和8年度】就農準備資金・経営開始資金とは?交付要件・金額・返還条件をわかりやすく解説

公開日:2024/7/18 更新日:2026/8/6
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農地や機械の取得など高額な初期投資、収益が安定するまでの生活費——新たに農業を始める人にとって、就農までのハードルは決して低くありません。こうした課題に対応するため、農林水産省は新規就農者育成総合対策の一環として、就農前の研修期間を支える「就農準備資金」と、就農直後の経営確立を支える「経営開始資金」を設けています。

両資金は令和8年度(2026年度)も引き続き実施されており、月額13.75万円(年間最大165万円)が交付されます。この記事では、令和8年度の実施要綱に基づき、交付要件・金額・返還条件・申請方法をわかりやすく解説します。

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この記事の目次

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就農準備資金・経営開始資金とは【令和8年度も実施中】

就農準備資金・経営開始資金は、農林水産省が実施する「新規就農者育成総合対策」の資金交付制度です。次世代を担う農業者となることを志向する、原則50歳未満(就農予定時・就農時の年齢が49歳以下)の方が対象です。

新規就農者育成総合対策の詳細

新規就農者育成総合対策のうち、就農希望者・新規就農者が直接受け取れる主な支援は次のとおりです。

事業内容
①就農準備資金就農に向けた研修期間中の生活を支援(最長2年間)
②経営開始資金経営開始直後の農業経営の確立を支援(最長3年間)
③経営発展支援事業機械・施設等の導入費用を補助

このほか、都道府県や市町村等が行う就農相談やフォローアップ等の体制整備を支援する「推進事業」がありますが、就農希望者が直接受け取る資金ではないため、本記事では割愛します。

なお、経営開始資金と経営発展支援事業は併用が可能です。ただし併用する場合、経営発展支援事業の補助対象事業費の上限は500万円となります。

令和8年度の変更点:月額13.75万円への引き上げなど

交付額は月額13.75万円(年間最大165万円)です。以前は月額12.5万円(年間150万円)でしたが単価が引き上げられており、令和7年度以前に研修や農業経営を開始した期間の分については、従来どおり月額12.5万円で算定されます。

また、現行の要綱では次のような要件も定められています。申請前に必ず確認しましょう。

・交付期間内に、農業経営人材育成研修プログラム(就農準備資金は初級コース、経営開始資金は中級コース等)など、農業経営力の向上に資する研修を受講・修了することが原則必要
・経営開始資金では、みどりの食料システム法に基づく環境負荷低減に取り組む意思があること(「みどりチェック」チェックシートの提出)
・経営開始資金では、園芸施設共済の引受対象となる施設を所有する場合、園芸施設共済・民間保険等への加入(見込み含む)が必要

令和7年度補正「新規就農者確保緊急円滑化対策」との違い

農林水産省のページには、令和8年度当初予算の「新規就農者育成総合対策」に加え、令和7年度補正予算の「新規就農者確保緊急円滑化対策(就農準備・経営開始支援事業)」の様式も掲載されています。採択された年度・事業によって適用される要綱や申請様式が異なるため、すでに交付を受けている方や申請中の方は、自分がどの事業の対象かを交付主体(都道府県・市町村等)に確認してください。

就農準備資金・経営開始資金の交付額

交付額と交付期間は次のとおりです。

資金の種類月額年間交付期間
就農準備資金13.75万円最大165万円最長2年間
就農準備資金
(国内研修後に海外研修を行う場合)
13.75万円最大165万円最長3年間
(1年延長)
経営開始資金13.75万円165万円最長3年間
(経営開始後3年度目分まで)
経営開始資金
(夫婦で経営開始する場合)
夫婦合わせて20.625万円
(1.5人分)
247.5万円最長3年間

上記のうち、夫婦で1.5人分の交付を受けるには、次の要件を満たす必要があります。

【夫婦で1.5人分の交付を受ける要件】
・家族経営協定で夫婦が共同経営者であることを規定している
・主要な経営資産を夫婦で共に所有または借りている
・夫婦ともに目標地図に位置付けられた者等となる

また、複数の青年就農者が農業法人を設立して共同経営する場合は、要件を満たす青年就農者それぞれに月額13.75万円が交付されます。

なお、令和7年度以前に研修・農業経営を開始している場合、令和7年度以前の期間分は月額12.5万円で算定されます。

就農準備資金の交付要件

就農準備資金は、就農に向けて都道府県等が認めた研修機関等で研修を受ける方を支援する資金です。交付主体は都道府県、農業経営・就農支援センター、市町村等で、申請前に交付主体への事前相談が必須とされています。

対象者の主な要件

主な交付要件
就農予定時の年齢が原則50歳未満(49歳以下)で、次世代を担う農業者となる強い意欲があること
都道府県等が認めた「認定研修機関」で、おおむね1年以上(年間おおむね1,200時間以上)研修すること
常勤(週35時間以上で継続的に労働)の雇用契約を締結していないこと
生活保護など、生活費の確保を目的とした国の他の事業による給付等を受けていないこと
研修計画の承認申請時に、前年の世帯全体の所得が原則600万円以下であること
交付期間の開始までに傷害保険に加入すること
原則として交付期間内に、農業経営人材育成研修プログラム(初級コース等)を受講・修了すること

世帯所得600万円の要件には例外があり、600万円を超える場合でも、生活費の確保の観点から支援が必要な切実な事情があると交付主体が認めれば採択される可能性があります。該当しそうな事情がある方は、あきらめずに交付主体へ相談してみましょう。

研修先の条件

研修先は、道府県農業大学校や先進農家・先進農業法人など、都道府県等が認定し新規就農支援ポータルサイトに公表された「認定研修機関」に限られます。研修期間はおおむね1年以上、年間おおむね1,200時間以上が基準です。

先進農家・先進農業法人で研修する場合の注意点

先進農家等で研修を受ける場合は、次の2点に注意が必要です。

・研修先の経営主が、自分の三親等以内の親族ではないこと
・研修先と過去に雇用契約を結んでいないこと(短期間のパート・アルバイトは除く)

つまり、経営主が本人の三親等以内の親族にあたる農家・農業法人での研修は、就農準備資金の対象になりません。また、短期間のパート・アルバイトを除き、過去に雇用契約を結んで働いていた研修先も対象外です。

研修終了後の就農形態と守るべき条件

就農準備資金は、研修終了後1年以内に就農することが前提の資金です。就農形態は次の3つが認められています。

就農形態主な条件
独立・自営就農就農後5年以内に農業経営改善計画または青年等就農計画の認定を受けること
雇用就農研修終了後1年以内に、正社員として期間の定めのない雇用契約を締結する、または通算5年以上の雇用契約を締結すること
親元就農家族経営協定等で本人の責任・役割を明確にし、就農後5年以内に経営を継承する、法人の経営者となる、または独立・自営就農することを確約すること

経営開始資金の交付要件

経営開始資金は、経営開始直後の新規就農者を支援する資金です。交付主体は市町村で、こちらも申請前の事前相談が必須です。

対象者の主な要件

主な交付要件
独立・自営就農時の年齢が原則50歳未満(49歳以下)であること
青年等就農計画の認定を受けた「認定新規就農者」であること
事業実施年度の3年前の年度の4月以降に農業経営を開始した者であること
独立・自営就農であること(後述の条件を満たすこと)
目標地図に位置付けられている(見込み含む)、または農地中間管理機構から農地を借り受けていること
生活費の確保を目的とした国の他の事業による給付等を受けていないこと
雇用就農資金や経営継承・発展支援事業など、対象外となる他事業の助成を受けていない(過去に受けていない)こと
前年の世帯全体の所得が原則600万円以下であること(切実な事情があると認められる場合の例外あり)
みどりの食料システム法に基づく環境負荷低減に取り組む意思があること(みどりチェック)
原則として交付期間内に、農業経営人材育成研修プログラム(中級コース等)を受講・修了すること

独立・自営就農と認められる条件

次の条件をすべて満たす経営が「独立・自営就農」です。

・農地の所有権または利用権を有している(特定作業受委託契約による作業受託を含む)
・主要な農業機械・施設を所有または借りている
・生産物や生産資材等を本人名義で出荷・取引する
・経営収支を本人名義の通帳・帳簿で管理する
・本人が農業経営に関する主宰権を有している

「目標地図」への位置付けとは

農業経営基盤強化促進法の改正により、従来の「人・農地プラン」は法定化され、市町村が策定する「地域計画」とその中の「目標地図」に移行しました。経営開始資金では、この目標地図に地域の担い手として位置付けられている(または位置付けられる見込みが確実である)こと、もしくは農地中間管理機構から農地を借り受けていることが要件です。

まだ位置付けられていない場合も「見込み」で申請できる場合があるため、就農予定地の市町村に相談しましょう。なお、福島県の原発事故避難区域等の12市町村、令和6年能登半島地震の被災市町、市街化区域で営農する場合は、この要件の例外となります。

【注意】要件を満たさないと交付停止・返還になる

就農準備資金・経営開始資金は「もらって終わり」の給付金ではなく、研修や営農を適切に継続することが前提の資金です。要件を満たさなくなった場合は交付停止となり、状況によっては受け取った資金の返還が必要です。

就農準備資金の主な交付停止・返還要件

次のような場合、資金の一部または全部の返還が必要です。

・適切な研修を行っていないと交付主体が判断した場合(全額返還)
・研修終了後1年以内に就農しなかった場合(全額返還。就農遅延届を提出し原則2年以内に就農した場合を除く)
・交付期間の1.5倍または2年間のいずれか長い期間、就農を継続しなかった場合や、その間の農業従事日数が一定水準を下回った場合(要綱で例として示されているのは年間150日かつおおむね年間1,500時間。全額返還)
・独立・自営就農した人が、就農後5年以内に農業経営改善計画または青年等就農計画の認定を受けなかった場合(全額返還)
・研修状況報告を期限内に行わなかった場合(当該期間分の返還)
・虚偽の申請等を行った場合(全額返還)

経営開始資金の主な交付停止・返還要件

経営開始資金では、次のような場合に交付停止や資金の返還の対象となります。

・前年の世帯全体の所得が600万円を超えた場合は交付停止(600万円以下に戻れば翌年から交付再開が可能。切実な事情が認められる場合の例外あり)
・農業経営を中止・休止した場合や、適切な農業経営を行っていないと判断された場合(農地の遊休化や、農業従事日数が一定水準を下回る場合など。要綱で示されている目安は年間150日かつおおむね年間1,500時間)は交付停止となり、交付済み期間中であれば残期間分を返還
・交付期間と同期間・同程度の営農を継続しなかった場合は、継続しなかった期間に応じた額を返還
・虚偽の申請等を行った場合は全額返還

妊娠・出産・災害のときは?休止と交付期間延長の仕組み

病気などのやむを得ない理由がある場合は、休止届を提出して交付を休止できます(原則1年以内)。さらに、妊娠・出産の場合は1度につき最長3年(就農準備資金の災害は最長1年、経営開始資金は災害も最長3年)の休止が認められ、休止した期間と同じだけ交付期間を延長できます。

病気や災害等のやむを得ない事情と認められた場合は返還が免除されることもあるため、続けられなくなりそうなときは自己判断せず、まず交付主体に相談してください。

就農準備資金・経営開始資金の申請方法

要件の確認等があるため、申請様式の作成前に交付主体へ必ず相談することとされています。

相談先は資金によって異なります。就農準備資金は、研修予定地の都道府県(農業経営・就農支援センターを含む)が申請窓口となるのが基本で、就農予定地が決まっている場合は就農予定地側の窓口となることもあります。経営開始資金は、就農予定地の市町村(目標地図を策定する市町村)が窓口で、担当課の名称は農政課・農林課など自治体によって異なります。

どこに相談すべきか迷う場合は、各都道府県の就農相談窓口や、地方農政局等の新規就農相談窓口でも案内を受けられます。

申請の主な流れは次のとおりです。

申請の流れ
①交付主体(都道府県・市町村等)に事前相談する
②研修計画(就農準備資金)または青年等就農計画等(経営開始資金)を作成し、承認申請する
③承認後、交付申請を行う(1か月分から1年分までの範囲で交付主体が定める単位)
④就農準備資金の受給者は、研修中、半年ごとに研修状況を報告する(半年経過後1か月以内)
⑤経営開始資金の受給者は、交付期間中、毎年7月末・1月末までに就農状況を報告する
⑥交付終了後も所定の期間(就農準備資金は研修終了後6年間、経営開始資金は交付終了後5年間)、就農状況や作業日誌等を報告する

必要書類

就農準備資金経営開始資金
研修計画(別紙様式第1号)青年等就農計画+経営開始資金申請追加資料(別紙様式第2号)
研修実施計画(カリキュラム)収支計画
履歴書履歴書
傷害保険関係書類農地・農業機械等の一覧、権利設定を確認できる書類
前年の世帯全体の所得を証明する書類通帳・帳簿の写し、前年の世帯全体の所得を証明する書類
身分を証明する書類身分を証明する書類、「みどりチェック」チェックシート

このほか、親元就農予定の場合の確約書、経営継承の場合の証明書類など、状況に応じた添付書類があります。最新の様式は農林水産省のページからダウンロードできます。

申請時期の目安

申請受付の時期は自治体によって異なりますが、例年5〜6月頃に受付を行う都道府県が多く見られます。募集期間が1週間程度と短い自治体もあるため、就農予定地の都道府県・市町村のホームページを早めに確認し、前もって事前相談を済ませておきましょう。

受給したら確定申告が必要

就農準備資金・経営開始資金を受給した場合、原則として確定申告が必要です。

資金所得区分
就農準備資金雑所得
(給与所得など他の所得があれば合わせて申告)
経営開始資金本人が農業経営の事業主として申告する場合は事業所得(農業所得)
親と生計を一にし、親が農業の事業全体を申告する場合は、本人が受け取った資金は雑所得

このように、経営開始資金の所得区分は、誰が農業経営の事業主として確定申告を行うかによって異なります。なお、農林水産省が公開している確定申告資料は令和5年5月改訂版です。個々の状況によって課税関係は変わるため、実際の申告にあたっては税務署や税理士に確認してください。

また、経営開始資金の受給者には青色申告への取り組みも推奨されています。

就農準備資金・経営開始資金の活用事例

農林水産省では、両資金の活用事例が公開されています。いくつか紹介します。

①先進農家での研修からりんご農家として独立

青果市場でりんご生産者と情報交換したことをきっかけに就農を決意。先進農家で栽培技術や販売方法を研修し、資金は研修中の生活費に活用しました。研修開始時から園地取得に向けた情報収集と地域での交流を重ね、地元農家とのつながりを築いています。

②未経験から果樹研究所での研修を経て就農

親戚の手伝いをきっかけに農業に興味を持ち、農業総合センター果樹研究所で研修。資金は研修中の生活費と独立に向けた資材購入に活用しました。研修期間外にも先進農家で経験を積み、就農予定地域のコミュニティに参加して情報収集を行っています。

③農業大学で研究しながら就農準備

教育関係から農業へ転職し、農業大学で病害虫の研究を行いながら就農準備。資金は研修中の生活費と就農準備に活用しました。論文執筆と並行して農作業インターンに参加し、大型免許や土壌医検定などの資格も取得しています。

出典:農林水産省 新規就農者の事例

よくある質問

研修中にアルバイトはできる?

要件は「常勤(週35時間以上で継続的に労働する)の雇用契約を締結していないこと」です。週35時間未満の短時間のアルバイトが直ちに要件違反になるわけではありませんが、年間おおむね1,200時間以上の研修に専念することが前提です。検討する場合は必ず事前に交付主体へ相談してください。

準備資金と開始資金は両方もらえる?

受け取れます。研修中に就農準備資金(最長2年間)、就農後に経営開始資金(最長3年間)と、合わせて最長5年間の支援を受けることが可能です。

夫婦で就農すると支給額はどうなる?

経営開始資金では、家族経営協定の締結など所定の要件を満たす場合、夫婦合わせて1.5人分(月20.625万円・年247.5万円)が交付されます。

世帯所得が600万円を超えたらどうなる?

経営開始資金は交付停止となりますが、600万円以下に戻れば翌年から交付を再開できます。また、生活費の確保の観点から切実な事情があると交付主体が認めた場合は、600万円を超えていても採択・交付が可能です。

研修先はどこで探せる?

都道府県等が認定した研修機関が、新規就農支援ポータルサイト「農業をはじめる.JP」で公表されています。自治体ごとの支援情報も同サイトで確認できます。


まとめ

農業で生計を立てるには専門的な技術や経験が必要で、就農後すぐに収入が安定するとは限りません。就農準備資金・経営開始資金を活用すれば、研修中から経営開始後まで、年間最大165万円の支援を最長5年間受けることができます。

一方で、研修や営農を継続しなかった場合の返還要件など、事前に理解しておくべき条件も多い制度です。申請様式の作成前に交付主体への相談が必須とされているため、就農予定地の都道府県・市町村の窓口に早めに相談し、計画的に準備を進めましょう。

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