【2026年】新事業進出・ものづくり補助金「革新的新製品・サービス枠」とは?高付加価値化枠の後継を解説

公開日:2026/7/29 更新日:2026/9/29
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「革新的新製品・サービス枠」は、中小企業による革新的な新製品・新サービス開発の取組を支援する申請枠です。2026年度から、ものづくり補助金と新事業進出補助金が統合された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の一枠として設けられました。

制度上は新設の補助金の一枠ですが、補助上限額・補助率・対象事業の定義は旧ものづくり補助金の「製品・サービス高付加価値化枠」とほぼ共通しており、実質的にその後継といえる枠です。

補助下限額は100万円と3つの枠の中でもっとも低く、小規模な設備投資から申請もできます。この記事では、革新的新製品・サービス枠の対象事業、補助上限額・補助率、申請要件等を、旧枠からの変更点とあわせて解説します。

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この記事の目次

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革新的新製品・サービス枠は旧ものづくり補助金「製品・サービス高付加価値化枠」の後継

これまで別々に運営されてきた「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」は統合され、2026年6月29日から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として第1回公募が開始されました。第1回公募の申請受付は2026年9月30日から、申請締切は2026年10月30日18:00です。

公募要領は改訂が重ねられており、本記事は2026年9月28日改訂の1.3版に基づいています。

新制度には以下の3つの枠が設けられています。

新制度の枠支援内容旧制度との関係
革新的新製品・サービス枠技術的革新性のある新製品・新サービス開発の取組を支援旧ものづくり補助金「製品・サービス高付加価値化枠」と補助上限額・対象事業の定義がほぼ共通
新事業進出枠既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援旧新事業進出補助金の支援領域を引き継ぐ枠
グローバル枠海外市場開拓(輸出)に向けた、国内の輸出体制強化の取組を支援旧ものづくり補助金「グローバル枠」(4類型)のうち、輸出支援の領域を再構成

旧「製品・サービス高付加価値化枠」との新旧比較

補助上限額・補助率・実施期間は旧枠から据え置かれた一方、対象経費や設備投資のルールにはいくつか変更があります。

項目旧:製品・サービス高付加価値化枠(第23次)新:革新的新製品・サービス枠
補助上限額従業員規模別 750万〜2,500万円(特例時850万〜3,500万円)据え置き(同額)
補助率中小企業1/2、小規模・再生事業者2/3据え置き(地域別最低賃金引上げ特例適用時は中小企業も2/3)
補助下限額100万円据え置き
補助事業実施期間交付決定から10か月以内(採択発表から12か月以内)据え置き(交付決定から10か月以内・採択発表から12か月以内)
設備投資の要件単価50万円(税抜)以上の機械装置等の取得が必須機械装置・システム構築費の計上が必須(対象となる機械装置等は単価10万円・税抜以上)
広告宣伝・販売促進費対象外対象(上限:新製品等の売上高見込み額・1年当たりの5%)
機械装置費以外の経費上限総額500万円(税抜)まで総額での上限なし(経費区分ごとの上限のみ)

とくに実務への影響が大きいのは設備投資要件の緩和です。旧枠では単価50万円(税抜)以上の機械装置等の取得が必須でしたが、新枠では機械装置・システム構築費を計上すればよく、対象となる機械装置等の単価要件は10万円(税抜)以上に下がりました。

また、旧枠では対象外だった広告宣伝・販売促進費が計上できるようになり、開発した新製品のプロモーションまで一体で支援を受けられます。

革新的新製品・サービス枠の対象事業

本枠の補助対象は、革新的な新製品・新サービス開発の取組です。革新的な新製品・新サービス開発とは、顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発することを指します。

「革新的」であるために日本初・世界初の製品やサービスであることまでは求められていませんが、自社にとって新しい取組であるだけでなく、同業の中小企業者等で既に相当程度普及していない新製品・新サービスであることが必要です。地域性の高い事業については、同一地域の同業他社における普及状況が判断材料になります。

一方、既存の製品・サービスの生産等のプロセスについて改善・向上を図るだけの事業は、新製品・新サービスの開発を伴わないため対象になりません。同様に、単に機械装置・システム等を導入するにとどまる事業も対象外です。

省力化や生産効率化のための設備更新を検討している場合は、本枠ではなく中小企業省力化投資補助金などの別制度が候補になります。

革新的新製品・サービス枠の補助上限額・補助率と補助対象経費

補助上限額は従業員規模別に設定されています。大幅な賃上げに取り組む「賃上げ特例」の適用を受けると、上限額が引き上げられます。

従業員数補助上限額賃上げ特例適用時
1〜5人750万円850万円
6〜20人1,000万円1,250万円
21〜50人1,500万円2,500万円
51人以上2,500万円3,500万円

賃上げ特例の適用には、基本要件を上回る賃上げ(1人当たり給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上)を達成する必要があります。目標が未達の場合は、引上げ分の補助金の全額返還に加え、基本要件の賃上げ要件も未達となるため、基本要件部分についても未達成率に応じた返還が求められます。

補助下限額は100万円で、新事業進出枠・グローバル枠(いずれも下限750万円)と比べて大幅に低く、3枠の中でもっとも小規模な投資から申請できます。補助率は中小企業者が1/2、小規模企業・小規模事業者と再生事業者が2/3です。一定の要件を満たす事業者は「地域別最低賃金引上げ特例」により、中小企業者の補助率が2/3に引き上げられます。

なお、小規模企業者・小規模事業者の補助率2/3は、採択後から補助事業完了までの間に小規模企業者・小規模事業者の定義(製造業等は常勤従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下)から外れた場合、1/2に引き下げられ、補助金額も減額されます。従業員数が基準に近い事業者は、採用計画も含めて注意してください。特定非営利活動法人・農事組合法人で従業員20人以下の事業者も同じ扱いです。

また、賃上げ特例と地域別最低賃金引上げ特例は併用できません。本枠で申請する再生事業者は賃上げ特例を適用できず、もともと補助率2/3の小規模事業者・再生事業者は地域別最低賃金引上げ特例を適用できません。

補助対象経費

本枠では、以下の経費が補助対象になります。機械装置・システム構築費は必須で、これが含まれない申請はできません。なお、新事業進出枠・グローバル枠と異なり、建物費は対象外です。

経費区分具体例・補足
機械装置・システム構築費
(必須)
専ら補助事業に使用する機械・装置、工具・器具、専用ソフトウェア等の購入・製作・借用。単価10万円(税抜)以上
運搬費運搬料、宅配・郵送料等
技術導入費知的財産権等の導入費(補助対象経費総額の1/3以内)
知的財産権等関連経費特許権等の取得に係る弁理士費用、外国特許出願の翻訳料等(同1/3以内)
外注費検査・加工・設計等の外注費(同1/4以内)
専門家経費技術指導や助言を受ける専門家への謝金・旅費(同1/5以内)
クラウドサービス利用費専ら補助事業に使用するクラウドサービス・WEBプラットフォーム等の利用費
原材料費試作品開発に必要な原材料・副資材の購入費
広告宣伝・販売促進費新製品・新サービスの広告作成・媒体掲載、ウェブサイト構築、展示会出展等(上限:事業計画期間1年当たりの新製品等売上高見込み額の5%)

広告宣伝・販売促進費は本枠で新たに対象となった経費区分です。上限は「事業計画期間1年当たりの、補助事業で新たに製造等する製品等の売上高見込み額(税抜)の5%」で、金額にかかわらず複数者からの見積もりが必要です。補助事業実施期間内に広告の使用・掲載や展示会の開催等が完了している必要があり、補助事業以外の自社製品や会社全体のPR広告は対象外です。

旧枠からの変更点として、外注費の上限は補助対象経費総額の1/2から1/4に、専門家経費は1/2から1/5に縮小されました。一方、旧枠の「機械装置・システム構築費以外の経費は総額500万円(税抜)まで」という制限はなくなっています。

革新的新製品・サービス枠の申請要件

本枠に申請するには、3〜5年の事業計画を策定し、次の基本要件をすべて満たす必要があります。旧ものづくり補助金から数値基準が変わっている点に注意してください。

要件内容
付加価値額要件補助事業終了後3〜5年の事業計画期間において、付加価値額※の年平均成長率+4.0%以上
賃上げ要件【返還義務あり】1人当たり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上。交付申請時までに従業員等へ目標を表明
事業場内最賃水準要件【返還義務あり】毎年、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上
ワークライフバランス要件次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・公表(従業員数にかかわらず全申請者が対象)
子育て等職場環境整備要件ライフデザインサービスの活用、家事代行・ベビーシッターサービスの活用、既存制度の周知・啓発のいずれか1つに取り組む(くるみん認定等の取得者は免除)
金融機関要件金融機関等から資金提供を受ける場合、「金融機関による確認書」を提出
※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

付加価値額要件は旧制度の年平均+3.0%から+4.0%に引き上げられました。また、一般事業主行動計画の公表は旧制度では従業員21名以上の事業者のみが対象でしたが、新制度では従業員数にかかわらず全申請者に必要です。

賃上げ要件・事業場内最賃水準要件は、目標未達の場合に補助金の一部返還が求められます(付加価値額が増加せず営業赤字の場合等を除く)。賃上げ要件の算出には、昇給・減給や残業時間の増減で給与が変動する従業員も含まれるため、これらの要因を見込んだうえで目標値を設定してください。

なお、応募申請時点で従業員数が0名の事業者は対象外です。さらに、申請締切日を起点とする過去16か月以内に、以下の制度で補助金交付候補者として採択された事業者(採択を辞退した事業者を除く)などは補助対象外となります。

【過去16か月以内に採択された場合対象外となる制度】
・事業再構築補助金
・新事業進出補助金
・ものづくり補助金
・新事業進出・ものづくり補助金


事業計画書で示すべきポイント


公募要領では、革新的新製品・サービス枠に申請する場合、開発する新製品・新サービスの革新性について、具体的かつ詳細に記載することが求められています。あわせて、市場規模と成長性、顧客ニーズの裏付け、競合他社と比べた優位性(差別化)、実施体制・スケジュール・財務面の実現可能性を、定性的・定量的な根拠を示しながら記載する必要があります。

注意したいのが、「足下の賃上げ」の評価です。審査では、事業計画期間中の賃上げ率に加え、補助事業の完了を待たずに実施する直近の賃上げも評価対象になります。応募申請時の直近事業年度から基準年度(補助事業終了時点を含む事業年度)までの1人当たり給与支給総額の年平均成長率が、少なくとも物価上昇率を上回っていない場合は「審査上大幅に不利になる」と明記されています。この足下の賃上げは、採択後・交付決定までに従業員への表明が必須で、実績もモニタリングの対象となります。事業計画期間の目標だけでなく、申請前後の賃上げ方針もあらかじめ整理しておきましょう。

革新的新製品・サービス枠の申請方法


申請は電子申請システムでのみ受け付けられ、GビズIDプライムアカウントが必要です。あわせて、一般事業主行動計画の策定・公表(「両立支援のひろば」への掲載)も申請要件となっており、公表手続きには1〜2週間程度かかるため、早めに準備してください。

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また、申請から審査まで、一貫して申請者自身が主体となって対応する必要があります。事業計画書は、外部支援者の助言を受けることはできますが、作成自体は必ず申請者自身が行わなければならず、代理作成が発覚した場合は不採択・採択取消・交付決定取消となります。

なお、一定の審査基準を満たした事業者には、オンラインでの口頭審査が実施される場合があります。口頭審査は申請事業者自身(法人代表者等)が対応する必要があり、コンサルタント等の同席は認められません。

公募スケジュール


革新的新製品・サービス枠を含む第1回公募は、2026年6月29日(月)に開始されました。電子申請の受付は2026年9月30日(水)から、申請締切は2026年10月30日(金)18:00、採択発表は2027年1月頃の予定です。電子申請の入力には数時間程度かかるとされているため、締切間際を避け、余裕をもって申請を完了させてください。最新の公募スケジュールについては、以下の記事でご確認ください。

申請スケジュールはこちら:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新ものづくり補助金)とは?最大9,000万円 第1回公募・統合後の変更点を解説【2026年】


よくある質問

生産効率化のための設備更新は対象になる?

対象になりません。既存の製品・サービスの生産プロセスの改善・向上を図るだけの事業や、新製品・新サービスの開発を伴わない単なる機械装置の導入は補助対象外です。省力化目的の設備投資は中小企業省力化投資補助金などの別制度を検討してください。

工場や店舗の建設・改修費(建物費)は使える?

使えません。革新的新製品・サービス枠の対象経費に建物費は含まれていません。建物費を計上したい場合は、要件を満たせば新事業進出枠またはグローバル枠が候補になります。

創業したばかりでも申請できる?

革新的新製品・サービス枠では、創業後1年未満であることを理由に一律で対象外とはされていません(一律で対象外となるのは新事業進出枠のみです)。ただし、応募申請時点で従業員が1名以上いることが前提です。決算書がない創業後1年未満の事業者は、法人なら履歴事項全部証明書、個人事業主なら開業届を代わりに添付すれば申請できます。

補助事業の途中で従業員が増えて小規模事業者でなくなったら?

採択後から補助事業完了までの間に小規模企業者・小規模事業者の定義から外れると、補助率は2/3から1/2に下がり、補助金額も減額されます。従業員数が基準に近い場合は、事業計画期間中の採用計画も踏まえて申請してください。

「革新的」とはどのレベルの新しさが必要?

日本初・世界初であることまでは求められていません。ただし、自社で初めて取り組むというだけでは足りません。自社の技術力等を活かして顧客に新たな価値を提供する新製品・新サービスであり、同業の中小企業者等で既に相当程度普及していないことが必要です。


まとめ


革新的新製品・サービス枠は、旧ものづくり補助金「製品・サービス高付加価値化枠」を引き継ぐ、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の中核となる枠です。補助上限額・補助率は旧枠から据え置かれた一方、設備投資の単価要件が緩和され、広告宣伝・販売促進費が新たに対象になるなど、使い勝手は向上しています。補助下限額100万円という申請のしやすさも3枠随一です。

一方、付加価値額要件が年平均+4.0%に引き上げられ、一般事業主行動計画の公表が全申請者必須になるなど、要件面のハードルは上がっています。また、申請前後の「足下の賃上げ」も審査で評価されます。事業計画期間の目標だけでなく、直近の賃上げ実績・方針も問われる点は押さえておきましょう。プロセス改善や単なる設備導入は対象外という本枠の大原則も、申請前に必ず確認してください。

GビズIDの取得や一般事業主行動計画の公表など、事前準備には数週間かかるものもあるため、新製品・新サービスの開発を検討している事業者は早めに準備を始めましょう。

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