2026年度以降、新事業進出補助金とものづくり補助金が統合され、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として実施されます。中小企業の成長投資を支えてきた2つの代表的な補助金が一本化されることで、「自社はどの枠で申請すればいいのか」「補助内容はどう変わるのか」「いつから公募が始まるのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
さらに2026年3月、中小企業庁は中東情勢の影響を克服しようとする事業者に対して、本補助金で優先的に採択を行う方針を新たに発表しました。原油価格高騰やサプライチェーンへの影響を受ける中小企業にとって、重要な変化となります。
本記事では、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の最新情報と公募スケジュールを解説します。また、新事業進出補助金の第4回公募(令和8年5月19日〜6月19日18:00締切)が現在最終局面に入っているため、統合前の現行制度についても整理します。
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この記事の目次
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?3つの申請枠と補助上限
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、中小企業等が行う、技術的革新性のある製品・サービスの開発や、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制の強化に係る設備投資等を支援する制度です。
従来の「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」が統合された形で、3つの申請枠で実施される予定です。
- 革新的新製品・サービス枠(類型①)
- 新事業進出枠(類型②)
- グローバル枠(類型③)
| 申請枠 | 補助上限額()は大幅賃上げ特例 | 補助率 |
|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 5人以下:750万円(850万円) 6〜20人:1,000万円(1,250万円) 21〜50人:1,500万円(2,500万円) 51人以上:2,500万円(3,500万円) | 1/2 小規模・再生:2/3 賃金特例:2/3に引上げ |
| 新事業進出枠 | 20人以下:2,500万円(3,000万円) 21〜50人:4,000万円(5,000万円) 51〜100人:5,500万円(7,000万円) 101人以上:7,000万円(9,000万円) | 1/2 賃金特例:2/3に引上げ |
| グローバル枠 | 2/3 |
出典:中小企業庁
「革新的新製品・サービス枠」はものづくり補助金と同程度、「新事業進出枠」は新事業進出補助金と同程度の補助率・上限額が設定されています。特にグローバル枠は補助上限額が従業員規模別に設定され、最大7,000万円(特例時は9,000万円)と大幅に引き上げられる点が注目されます(旧ものづくり補助金のグローバル枠は最大3,000万円)。
【新規】中東情勢の影響を克服する事業者は優先採択の対象に
中小企業庁は2026年3月、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」において、中東情勢の影響を克服しようとする事業者に対して優先的に採択を行う方針を新たに発表しました。原油価格や原材料費の高騰、サプライチェーン混乱に直面する中小企業の構造転換を後押しする狙いです。
中東情勢の悪化により、ホルムズ海峡経由のLNG輸入や原油の安定供給に懸念が生じ、燃料油・電力・原材料コストが上昇しています。輸入原材料に依存する製造業、エネルギーコスト負担が大きい業種、海外取引で影響を受ける事業者などが該当する可能性があります。
- 原油・燃料油価格高騰により製造コストが圧迫されている事業者が、省エネ設備導入や工程改善で克服を図るケース
- 中東依存度の高い原材料・部品の調達ルート見直しや代替素材開発に取り組むケース
- 輸出取引の停滞・縮小を受け、新市場(東南アジア・北米等)への展開を目指すケース
- エネルギーコスト上昇を背景に、生産プロセスの脱炭素化・電化への転換を進めるケース
中小企業庁の発表に基づくと、本補助金の優先採択は新規措置として位置づけられており、申請時の事業計画書において「中東情勢の影響をどう受けているか」「補助事業によりどう克服するか」を明確に記述することが採択獲得のポイントとなる見通しです。
大幅賃上げの特例要件は何が求められる?
「大幅賃上げに係る補助上限額引上げの特例」を受けるには、補助事業終了後3〜5年以内に、以下の2つの賃上げ計画を事業計画に盛り込む必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 給与総額の成長率 | 従業員1人あたりの給与支給総額が、年平均6%以上増加する見込みであること |
| ② 事業場内最低賃金 | 毎年、事業を実施する都道府県の最低賃金より50円以上高い水準を維持する見込みであること |
最低賃金引上げ要件(補助率引上げ特例)の対象は?
「最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例」を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 対象従業員の割合 | 指定期間のうち3か月以上、事業実施都道府県の最低賃金から50円以内の賃金で雇用している従業員が、全従業員の30%以上いること |
最低賃金ギリギリの水準で働く従業員が多い企業(パート・アルバイト比率が高い小売業・飲食業・介護業など)が該当しやすい要件です。この要件を満たすと補助率が2/3に引き上げられるため、賃金水準の底上げを図りながら設備投資を進めたい事業者に有利な特例です。
公募スケジュール・採択件数の見通しは?
現時点で公表されている統合後のスケジュール概要は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 採択予定件数 | 約6,000件程度 |
| 公募要領の公開予定 | 令和8年(2026年)6月 |
| 申請受付開始予定 | 令和8年(2026年)8月 |
| 公募回数 | 3回程度(予定) |
本記事の補助要件等は、令和8年2月時点に公開された事務局公募資料と中小企業庁の発表をもとに作成しています。補助金申請者向けの公募要領は令和8年6月公開予定です。中東情勢への優先採択の具体的運用も公募要領で明示される見込みのため、申請をご検討の方は、公開後に必ず最新の公募要領をご確認ください。
2026年度以降に新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が実施へ
中小企業庁が2025年12月に公開した資料によると、2026年度以降、これまで別々に運営されてきた「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」が統合され、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として公募が予定されています。新事業進出補助金のパンフレットには「第4回の公募後、次年度以降については新事業進出・ものづくり補助金として公募を予定」と明記されており、ものづくり補助金のリーフレットにも同様の記載があります。
- 制度の考え方が大きく変わるわけではなく、各枠の性格は従来制度を引き継ぐ
- ただし「統合=違いがなくなる」わけではない。どの枠で申請するかの判断が引き続き重要
- グローバル枠の補助上限額が旧制度比で大幅引き上げ(最大3,000万円→最大7,000万円)
- 中東情勢の影響を克服する事業者への優先採択が新規措置として導入される見込み
新事業進出補助金(現行制度)の最終回・第4回公募は6月19日締切
新事業進出補助金は、中小企業者等が既存事業で培ったノウハウを活かし、既存事業とは異なる新市場への進出を支援する現行制度です。新製品・新サービスの開発にとどまらず、顧客層やビジネスモデルの転換を伴う事業展開を想定している点が特徴です。
公募回数は全4回が予定されており、現在は最終回となる第4回公募が進行中で、令和8年6月19日(金)18:00が締切です。
- 応募受付期間:令和8年(2026年)5月19日(火)〜6月19日(金)18:00
- 採択発表日:令和8年(2026年)9月頃(予定)
- 交付申請締切日:採択発表日から2か月以内
- 補助事業実施期間:交付決定日から14か月以内
なお、第4回公募より「地域別最低賃金引上げ特例(補助率2/3への引き上げ)」が新設されるなど、重要な変更も行われています。
ものづくり補助金(現行制度)第23次公募は受付終了
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者による新たな製品・サービスの開発や、生産性向上につながる設備投資を支援する現行制度です。長年にわたり中小企業の成長投資を支えてきた代表的な補助金の一つで、統合後も「革新的新製品・サービス枠」としてその役割が引き継がれます。
現行ものづくり補助金の第23次公募(申請受付期間:令和8年4月3日〜5月8日)は申請受付を終了しており、現在は採択審査が進行中です。
- 申請受付期間:令和8年(2026年)4月3日(木)〜5月8日(木)※受付終了
- 採択発表:令和8年夏頃(予定)
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募開始はいつ?
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領は令和8年6月公開、申請受付は令和8年8月開始が予定されています。現時点で公表されている統合後の新制度のスケジュールは以下のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年(2026年)6月 | 公募要領の公開予定 |
| 令和8年(2026年)8月 | 申請受付開始予定(第1回) |
| 令和8年(2026年)10月頃 | 採択発表(第1回・予定) |
| 令和8年度中 | 3回程度の公募を予定 |
新事業進出補助金の最終回(第4回公募)が2026年6月19日に締め切られたのち、統合後の新制度の公募要領が公開される流れとなっています。申請を検討している方は、6月以降の公式発表を注視してください。
また、第4回公募(新事業進出補助金)の採択発表が2026年9月頃の予定であることも踏まえると、統合後の新制度は夏〜秋にかけてスタートする見込みです。
- GビズIDプライムアカウントの取得(発行まで2〜3週間かかるため早期取得を)
- 認定経営革新等支援機関(認定支援機関)との相談・連携
- 事業計画の骨子づくり(どの申請枠に該当するか、補助率・上限額の見当をつける)
- 中東情勢の影響を受けている事業者は、現状の影響と克服策を事業計画に盛り込む準備
- 6月公開予定の公募要領を入手次第、要件・スケジュールの最終確認
中東情勢を踏まえた中小企業向けの追加支援措置
中小企業庁は2026年3月、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の優先採択に加え、中東情勢の影響を受ける中小企業向けに以下の支援措置を一体的に実施しています。補助金と併用して、自社の状況に応じて活用を検討してください。
「中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」の設置
中小企業庁は2026年3月23日付で、従来の「ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」を「中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」に名称変更・拡充しました。
全国の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、よろず支援拠点、各地方経済産業局などに設置されており、資金繰りや経営に関する相談を無料で受け付けています。
セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)の対象拡大・金利引下げ
日本政策金融公庫等が実施するセーフティネット貸付の要件が緩和され、支援対象が中東情勢により今後の影響が懸念される事業者にまで拡大されました。
さらに2026年4月1日からは、中東情勢による取引・生産の減少や停止等の影響を受けている事業者についても、一定の要件を満たす場合に金利の引下げ対象となるよう要件が拡充されています。原油価格高騰をはじめとする原材料・エネルギーコスト増の影響を受けている事業者も、従来から金利引下げの対象となっています。
サプライチェーン全体での価格転嫁の要請
中小企業庁は2026年3月27日、中東情勢の影響による原材料価格やエネルギーコスト上昇に伴い、中小企業・小規模事業者の収益が圧迫されないよう、関係業界団体および各府省庁・地方公共団体に対して適切な価格転嫁の要請を行いました。
発注者側に対しては、原材料価格やエネルギーコストの上昇を考慮した取引対価の決定など、特段の配慮を求めています。価格転嫁の交渉に課題を抱える事業者は、特別相談窓口やよろず支援拠点に相談することができます。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金に関するよくある質問
中東情勢の影響を受ける事業者の優先採択とは何ですか?対象になる条件は?
中小企業庁が2026年3月に発表した新規措置で、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」において、中東情勢の影響を克服しようとする事業者を優先的に採択するものです。原油・燃料費高騰、原材料調達難、輸出取引の停滞などの影響を受けている事業者が、補助事業を通じてこれらを克服する計画を立てている場合に対象となる見込みです。具体的な要件や運用は2026年6月公開予定の公募要領で明示される見通しのため、最新情報を必ず確認してください。
新事業進出補助金とものづくり補助金はいつ統合されますか?
新事業進出補助金の第4回公募(2026年6月19日締切)が終了した後、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金として統合された制度での公募が開始される見込みです。公募要領は2026年6月公開、申請受付は2026年8月開始が予定されています。
統合後の補助上限額はいくらですか?
申請枠によって異なります。「革新的新製品・サービス枠」は従業員5人以下で750万円〜51人以上で2,500万円(大幅賃上げ特例時は最大3,500万円)。「新事業進出枠」と「グローバル枠」は従業員20人以下で2,500万円〜101人以上で7,000万円(大幅賃上げ特例時は最大9,000万円)です。
新事業進出補助金の第4回公募はいつまで申請できますか?
第4回公募の応募受付期間は2026年5月19日(火)から2026年6月19日(金)18:00までです。採択発表は2026年9月頃の予定です。この第4回が現行「新事業進出補助金」の最終回となります。締切までの時間が限られているため、認定経営革新等支援機関への相談を含め、早期の準備が必要です。
現行のものづくり補助金(第23次公募)はまだ申請できますか?
第23次公募は2026年5月8日で申請受付を終了しており、現在は採択審査中です。今後ものづくり補助金として単独での公募は予定されておらず、2026年8月以降は統合後の新制度「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」での申請となります。
グローバル枠の補助上限額が変わりますか?
はい、統合後のグローバル枠は大幅に引き上げられます。旧ものづくり補助金のグローバル枠は最大3,000万円(特例時4,000万円)でしたが、統合後は従業員規模別に設定され、最大7,000万円(大幅賃上げ特例時は最大9,000万円)となる見込みです。中東情勢で輸出市場が打撃を受け、新たな海外市場への展開を目指す事業者にとっても活用しやすい設計となっています。
統合後の補助率はどうなりますか?
「革新的新製品・サービス枠」は原則1/2(小規模・再生は2/3)、「新事業進出枠」は原則1/2、「グローバル枠」は2/3です。いずれも賃金特例の要件を満たすと補助率が2/3に引き上げられる特例が設けられています。
大幅賃上げの特例要件を満たせなかった場合、返還が発生しますか?
はい、計画未達の場合は補助金の一部または全額の返還を求められる可能性があります。無理のない賃上げ計画を事前にしっかり策定したうえで特例を活用することが重要です。
補助金と併用できる中東情勢関連の支援措置はありますか?
あります。日本政策金融公庫等のセーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)は、中東情勢により取引・生産の減少や停止等の影響を受けている事業者を対象に、2026年4月1日から金利引下げの要件が拡充されました。また「中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」が全国に設置されており、資金繰りや経営に関する相談を無料で受けられます。補助金と融資を組み合わせることで、より厚い支援を受けられます。
今から申請準備を始める場合、何をすれば良いですか?
まずGビズIDプライムアカウントの取得(発行まで2〜3週間程度かかります)と、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)との相談を進めることをお勧めします。また、自社の事業内容がどの申請枠(革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠)に該当するかを整理しておくと、公募要領が公開された際にスムーズに動けます。中東情勢の影響を受けている事業者は、現状の影響と補助事業による克服策を事業計画書に明確に記述する準備を進めましょう。
採択予定件数はどのくらいですか?
統合後の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の採択予定件数は、現時点の公表資料では6,000件程度とされています。ただし、最終的な件数は予算執行状況等によって変わる可能性があります。
まとめ
新事業進出補助金とものづくり補助金の統合により誕生する「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、中小企業の成長投資支援を一体的に強化する大きな制度再編です。さらに、中小企業庁は2026年3月、本補助金において中東情勢の影響を克服しようとする事業者を優先採択する新たな方針を発表しました。
現時点の最新スケジュールを整理すると、以下のようになります。
| 制度・公募 | 最新スケジュール |
|---|---|
| ものづくり補助金 第23次公募 | 2026年4月3日〜5月8日(受付終了) |
| 新事業進出補助金 第4回公募(最終) | 2026年5月19日〜6月19日(受付中) |
| 統合後の新制度 公募要領公開 | 2026年6月(予定) |
| 統合後の新制度 申請受付開始 | 2026年8月(予定) |
2026年6月に公募要領が公開されてから、優先採択の具体的運用を含む申請の詳細を確認できるようになります。それまでに、GビズIDの取得や認定支援機関との相談など、事前準備を着実に進めておきましょう。中東情勢の影響を受けている事業者は、現状の課題と補助事業による克服策を事業計画に整理しておくことで、優先採択の対象となる可能性を高められます。
現行制度での申請をお考えの方は、新事業進出補助金第4回公募(6月19日締切)の準備を急いでください。
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