「奨学金の返還、あと何年続くんだろう……」
日本学生支援機構(JASSO)の第二種奨学金を月8万円×4年間借りた場合、貸与総額は384万円。返還期間は貸与総額に応じて最長20年に及びます。就職と同時に始まる毎月の返還を、重荷に感じている人は少なくありません。
でも実は今、その返還を自治体や企業が支えてくれる「返還支援制度」が全国に広がっているのをご存じでしょうか。
内閣官房の調査(令和7年6月1日時点)によると、奨学金返還支援に取り組む自治体は47都道府県・876市区町村。企業がJASSOに直接返還してくれる「代理返還」の導入企業も全国4,852社(令和8年3月末時点)に達しました。同調査によると、自治体が年度内に返還支援を行った総額(支援実績額)は、令和2年度の13.5億円から令和6年度には約88.0億円へと、わずか5年で約6.5倍に増加しています。
ただし、対象条件や申請のタイミングは制度によって異なります。就職する前に申請しないと、1円ももらえない場合もあるため、十分に注意が必要です。
この記事では、返還支援制度の3つのタイプ、47都道府県の実施状況、そして申請前に必ず確認すべき注意点まで、2026年最新情報でまとめました。就活生・転職検討中の方はもちろん、お子さんの進学を控えた保護者の方もぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
奨学金返還支援制度は3つのタイプがある
奨学金返還支援制度は、一定の条件(特定の地域に住む・働く、特定の職業に就くなど)を満たした人の奨学金返還の負担を、自治体や企業が軽減する制度の総称です。国(内閣官房)が地方創生策として自治体の取り組みを後押ししており、支援の輪は年々広がっています。
大きく分けると、次の3タイプがあります。
| タイプ | 支援するのは | 仕組み | 支援額の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| ①自治体型 | 都道府県・市区町村 | 本人が返還した奨学金に対して補助金を交付するのが基本 | 総額20万〜216万円程度 | 地元就職・Uターン・移住を考えている人 |
| ②企業型(代理返還) | 就職先の企業 | 企業が本人に代わってJASSOへ直接送金(肩代わり) | 企業により月1万〜5万円、全額支援も | 就職先・転職先を探している人 |
| ③関連制度:修学資金貸付 | 都道府県・社会福祉協議会など | 在学中に別途借りた修学資金が、資格職としての勤務実績により返還免除される | 総額120万〜1,000万円超 | 医師・看護師・保育士などの資格職を目指す学生 |
①と②は仕組みが異なる点に注意が必要です。自治体型の多くは、本人がいったん奨学金を返還したうえで、その実績に応じて補助金を受け取る形です。一方、企業型の代理返還は、企業がJASSOへ直接送金します。③はJASSO奨学金の返還を支援する制度ではなく、別に借りた修学資金の返還が勤務により免除される、性質の異なる制度です(詳細は後述)。
①と②を併用できるケースもあります(併用可否は制度ごとに異なります)。まずは自分がどのタイプに当てはまるかをイメージしながら読み進めてください。
【自治体型】都道府県の奨学金返還支援制度とは?
申請時期・支給方法は自治体によって異なる
自治体の返還支援は、対象となる奨学金の種類、申請できる時期、支給方法が制度ごとに大きく異なります。
・卒業・就職後に申請する制度(山口県など)
・毎年度、返還実績に応じて補助する制度
・一定年数の居住・就業後にまとめて交付する制度(三重県:4年経過時と8年経過時の2回)
・県が企業に補助し、企業を通じて従業員を支援する制度(宮城県、広島県など)
一例として、就職前認定型の場合は「在学中に対象者の認定申請→卒業後に県内で居住・就業→年度ごとに就業状況を報告し、返還実績に応じて交付」という流れになります。対象奨学金はJASSOの貸与型(第一種・第二種)が中心で、県独自の奨学金を対象に含む場合もあります。
支援額が大きい都道府県の例
支援額の上限が大きい県の例は以下のとおりです。実際に活用する際は、制度内容を各自治体の公式サイト等でご確認ください。
| 都道府県 | 制度名 | 支援額 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 鳥取県 | 未来人材育成奨学金支援助成金 | 特定業種(製造業・IT等):無利子奨学金の返還総額の1/2・上限216万円(大学院・薬学部6年区分) 一般業種:無利子の1/4・上限108万円 ※有利子は助成率が下がる | 令和8年度は公務員を除く全業種が対象。正規雇用で就職する前の認定が必須。県内で8年間の継続勤務・居住見込み。既卒者は35歳未満 |
| 福島県 | 産業人材確保のための奨学金返還支援事業 | 大学生等:5年就業・定住後に貸与額の24か月分(大学4年で上限153.6万円) 既卒者:3年就業・定住後に残額の1/2(上限100万円) | 35歳未満・県内事業所へ就職(公務員を除く) |
| 愛媛県 | 中核産業人材確保のための奨学金返還支援制度 | 年間返還額の4/5または20万1,600円のいずれか低い額を最長7年間助成し、最大141万1,200円。県と登録企業が1/2ずつ負担 | ものづくり・IT関連・観光分野等の登録企業に正社員として就職。あらかじめ助成対象者の認定が必要。募集枠により条件が異なる |
| 徳島県 | 奨学金返還支援制度(全国枠・県内枠) | 大学・大学院・高専:無利子奨学金の借受総額の1/2(上限125万円)、有利子は1/3(上限85万円)。短大・専修学校は別の上限 | 県内事業所で正社員として3年以上就業後、4〜8年目の5年間で1/5ずつ助成(公務員を除く)。既卒者は令和8年4月1日時点で30歳まで |
| 山口県 | やまぐち若者育成・県内定着促進事業奨学金返還補助制度 | 年5万〜20万円(財団奨学金の貸与期間により決定)を最大5年間、合計最大100万円 | 令和5年度以降に大学等へ進学し、山口県ひとづくり財団奨学金の貸与とJASSO給付型奨学金の給付を受けていた方が対象。卒業後半年以内の県内居住・就労が必要(公務員等を除く) |
| 三重県 | 地域と若者の未来を拓く学生奨学金返還支援事業 | 借入奨学金残額の1/4(上限100万円)。県内居住・就業の条件を満たして4年経過後に1/3、8年経過後に残額を交付 | 学生(最終学年またはその1年前)と、県外在住・県内未就業の既卒者が対象。令和9年3月31日時点で35歳以下。公務員は対象外 |
47都道府県における主な奨学金返還支援の状況
内閣官房によると、令和7年6月1日時点で、47都道府県と876市区町村が何らかの奨学金返還支援に取り組んでいます。ただし、個人向けの支援を行う地域だけでなく、企業への補助や医療・保育などの職種限定制度を中心とする地域も含まれます。
以下の一覧は各都道府県の主な取り組みを区分とともに整理したものです。金額・条件は年度替わりで改定されるため、必ず各県公式サイトで最新の募集要項を確認してください。
| 都道府県 | 区分 | 主な制度名 | 支援額の目安 | 主な条件 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 市町村中心 | (道内63団体が実施) | 市町村による | 各市町村の要件による |
| 青森県 | 一般向け | あおもり若者定着奨学金返還支援制度 | 要確認 | 業種・出身地の制限なし |
| 岩手県 | 一般向け | いわて産業人材奨学金返還支援制度 | 要確認 | 県内就業 |
| 宮城県 | 企業経由 | 企業の代理返還等への補助 | 企業の返還支援額の1/2を補助(大卒等 上限135万円/人ほか) | 中小企業で正社員として6年以上の継続勤務見込み |
| 秋田県 | 一般向け | 県内就職者向け奨学金返還助成 | 要確認 | 県内就職 |
| 山形県 | 一般向け | 新やまがた就職促進奨学金返還支援事業 | 月2.6万円×貸与月数(上限=返還残額) | 卒業後13か月以内に県内居住・就業し5年継続 |
| 福島県 | 一般向け | 産業人材確保のための奨学金返還支援事業 | 上限153.6万円(大学4年貸与) | 35歳未満・県内就業・定住(公務員除く) |
| 茨城県 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 栃木県 | 一般向け | とちぎ未来人材応援奨学金支援助成金 | 要確認 | 県内就業 |
| 群馬県 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 埼玉県 | 企業経由 | 中小企業等人材確保奨学金返還支援事業補助金 | 企業支援額の一部補助(秩父市など市の上乗せ例あり) | 県内中小企業の正社員 |
| 千葉県 | 職種限定 | 保育士・保健師等の修学資金、教員向け返還支援など | 職種による | 職種による |
| 東京都 | 職種限定 | 教員・技術系公務員・警察・消防等への返還支援 | 返還残額の1/2 | 都内で対象職に就くこと |
| 神奈川県 | 職種限定 | 看護師等修学資金など | 職種による | 職種による |
| 新潟県 | 一般向け | Uターン促進奨学金返還支援事業 | 要確認 | Uターン就職・居住 |
| 富山県 | 一般向け(分野限定) | 理工系・薬学部生対象奨学金返還助成制度 | 奨学金2年分(薬学は最大6年分) | 理工系・薬学部生、登録企業就職、事前登録必須 |
| 石川県 | 一般向け(分野限定) | いしかわ理系人材確保奨学金返還助成制度 | 要確認 | 理系人材・県内就職 |
| 福井県 | 一般向け | U・Iターン奨学金返還支援事業 | 要確認 | U・Iターン就職 |
| 山梨県 | 一般向け | やまなし人材定着奨学金返還支援事業ほか | 要確認 | 県内就業 |
| 長野県 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 岐阜県 | 一般向け(企業連携) | ぎふ若者定着奨学金返還支援制度 | 最大60万円(3年経過時30万円+6年経過時30万円) | 35歳未満・支援企業に正規雇用・内定前登録必須 |
| 静岡県 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 愛知県 | 企業経由 | 中小企業人材確保奨学金返還支援事業補助金 | 企業負担の1/2以内(上限20万円/年×3年 等) | 県内中小企業(企業向け補助。みよし市など市の上乗せ例あり) |
| 三重県 | 一般向け | 地域と若者の未来を拓く学生奨学金返還支援事業 | 残額の1/4(上限100万円)。4年経過後1/3・8年経過後残額を交付 | 県外からの就業・令和9年3月31日時点で35歳以下(公務員除く) |
| 滋賀県 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 京都府 | 企業経由 | 就労・奨学金返済一体型支援事業 | 企業支援額の一部補助(八幡市など市の上乗せ例あり) | 府内中小企業就業者 |
| 大阪府 | 職種限定 | 保育士応援貸付金など | 職種による | 職種による |
| 兵庫県 | 企業連携 | 兵庫型奨学金返済支援制度 | 上限年6万円・最長17年 | 県内中小企業の正社員・30歳未満(洲本市など市の上乗せ例あり) |
| 奈良県 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 和歌山県 | 一般向け | 奨学金返還助成事業 | 要確認 | 県内就業 |
| 鳥取県 | 一般向け | 未来人材育成奨学金支援助成金 | 特定業種:無利子の1/2・上限216万円 一般業種:無利子の1/4・上限108万円 | 令和8年度は全業種対象(公務員除く)・就職前認定必須・8年継続 |
| 島根県 | 一般向け | 奨学金返還支援助成制度 | 要確認 | 県内就業 |
| 岡山県 | 一般向け | 中小企業Uターン就職促進奨学金返還支援制度 | 要確認 | 中小企業へのUターン就職 |
| 広島県 | 企業経由 | 企業の代理返還等への補助 | 企業給付額の2/3(人的資本開示企業枠は3/4)を補助・上限なし・最長3か年度 | 県内本社の中小企業等(企業向け補助) |
| 山口県 | 一般向け | やまぐち若者育成・県内定着促進事業 | 最大100万円(年5万〜20万円×最大5年) | 財団奨学金+JASSO給付型の併用者。卒業後半年以内に県内居住・就労(公務員除く) |
| 徳島県 | 一般向け | 奨学金返還支援制度(全国枠・県内枠) | 無利子:1/2・上限125万円 有利子:1/3・上限85万円(大学等の場合) | 県内3年就業後に助成開始・公務員除く・既卒者は30歳まで |
| 香川県 | 一般向け(企業連携) | かがわで働こう奨学金返還支援制度ほか | 県が月2万円まで(企業上乗せ可) | 県内就職・定着 |
| 愛媛県 | 一般向け(企業連携・分野限定) | 中核産業人材確保のための奨学金返還支援制度 | 最大141万1,200円(年20万1,600円上限×最長7年) | ものづくり・IT関連・観光分野等の登録企業に就職。事前認定必須 |
| 高知県 | 一般向け(企業連携) | こうち奨学金返還支援事業 | 中小は返還額の全額相当を上限まで(最大6年) | 35歳以下・登録企業に正規雇用・事前登録必須 |
| 福岡県 | 企業経由 | 奨学金返還助成による中小企業人材確保支援事業 | 代理返還額等の1/2以内(1企業50万円まで) | 県内中小企業(企業向け補助) |
| 佐賀県 | 市町村中心 | (佐賀市などで実施) | 佐賀市は年最大20万円×最長5年 | 市町村による |
| 長崎県 | 一般向け | 産業人材育成奨学金返済アシスト事業 | 要確認 | 県内就業 |
| 熊本県 | 一般向け | ふるさとくまもと創造人材奨学金返還等サポート制度 | 要確認 | 登録制 |
| 大分県 | 市町村中心 | (国東市などで実施) | 市町村による | 市町村による |
| 宮崎県 | 一般向け | ひなた創生のための奨学金返還支援事業 | 要確認 | 県内就業(毎年度10月頃募集) |
| 鹿児島県 | 一般向け | 大学等奨学金返還支援制度(人材育成枠・地域活性化枠) | 要件充足で返還支援 | 県内居住・就業 |
| 沖縄県 | 要確認 | (代理返還の周知等を実施) | 要確認 | 要確認 |
【自治体型】市区町村の上乗せ・独自制度
都道府県だけでなく、市区町村レベルの制度も876団体まで増えています。県の制度より条件が緩やかであったり、県と併用して支援額を積み増せたりするケースがある点が特徴です。
支援額が大きい市町村の例は以下のとおりです。
| 市町村 | 支援内容 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 函館市(北海道) | 市と若者応援企業で返還額の2/3相当分を支援 (上限あり・5年間で最大120万円) | 市認定の「若者応援企業」に就職し市内に居住する34歳以下の方。転職・移住者も対象。採用日から30日以内に、勤務先企業を通じて認定申請を行う |
| 丸亀市(香川県) | 年8万円×10年で最大80万円 | Uターン促進が目的 |
| 苫小牧市(北海道) | 前年度返還額の1/2(上限10万円/年) 市内大学卒は全額(上限20万円/年)を最長5年 | 市内企業へ正規雇用で就職し、市内に居住 |
また、愛知県みよし市(県制度との併用で合計8年間の補助が可能)、埼玉県秩父市(県の補助金と合わせて年額上限18万円/人)、京都府八幡市、兵庫県洲本市など、県の企業向け補助に市町村が上乗せする例も全国に広がっています。志望地域が決まったら、県と市区町村の両方の制度を確認しておくことがおすすめです。
【企業型】JASSOの代理返還 就職先選びの新基準に
2021年(令和3年)4月から、企業が従業員の奨学金の返還額を肩代わりし、JASSOへ直接送金できる「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度」が始まりました。対象はJASSOの貸与型奨学金(第一種・第二種)です。
導入企業は令和8年3月末時点で全国4,852社。制度開始直後の2022年10月時点では474社だったため、約3年半で10倍という急拡大です。人材確保に悩む企業が福利厚生の一環として導入を進めており、就職先・転職先を選ぶ際の新しい基準になりつつあります。
従業員側のメリット 手取りが減らずに返還が進む
代理返還のポイントは、税と社会保険の取扱いにあります。
【所得税が非課税になり得る】
所得税が非課税になり得る:企業がJASSOへ直接送金することで通常の給与と区分され、学資金として非課税扱いになり得ます(役員等への支給は除く)。
【社会保険料の算定に原則含まれない】
返還支援分は標準報酬月額の算定基礎に原則含まれないため、給与で同額を受け取るより手取りベースで有利になる可能性があります。
つまり「月2万円の昇給」より「月2万円の代理返還」のほうが、実質的な手残りが大きくなり得るということです。
支援内容の例
支援額や期間は企業ごとに大きく異なります。主な例は以下のとおりです。
| 企業の例 | 支援内容 |
|---|---|
| 大手コンサルティング企業(2026年以降入社の新卒対象) | 月5万円ずつ、奨学金の全額を上限なく代理返還 |
| 飲食サービス業(従業員約1,800人) | 毎月の返還月額と同額を支援、上限200万円・最大5年 |
| 建設業(従業員約150人) | 毎月最大2万円、上限120万円・最大5年 |
導入企業の探し方
JASSO公式サイトの「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度検索」ページで、企業名や地域から導入企業と支援要件を検索できます。就活・転職の企業研究の際は、給与や休日と並んで代理返還の有無も確認しておきたいポイントです。
【注意】検索ページに掲載されるのは掲載依頼のあった企業のみです。掲載がなくても導入している場合があるため、最終的には企業へ直接確認してください。
【関連制度】医師・看護師・保育士などの修学資金貸付制度
自治体や企業による奨学金返還支援とは別に、医師・看護師・保育士・介護福祉士などを目指す人向けの「修学資金貸付制度」があります。これは、在学中に自治体や社会福祉協議会などから修学資金を借り、資格取得後に指定地域・施設で一定期間働くと、その修学資金の返還が免除される制度です。すでに借りているJASSO奨学金の返還を支援する制度ではない点に注意してください。
| 制度 | 貸付額の目安 | 免除の主な条件 |
|---|---|---|
| 医師修学資金 | 月15万円(6年間で1,080万円超)など | 卒業後、県指定の公的医療機関で一定期間(貸与期間の1.5倍など)勤務 |
| 看護師等修学資金 | 月2.5万〜10万円程度 | 都道府県内の指定施設で5〜7年従事など |
| 保育士修学資金 | 月5万円以内+入学準備金20万円+就職準備金20万円 | 卒業後1年以内に保育士登録し、県内の保育所等で5年(過疎地域は3年)従事 |
| 介護福祉士等修学資金 | 月5万円+準備金 | 県内で5年従事など |
金額の大きさが特徴ですが、勤務期間などの免除条件を満たせなかった場合は、原則として返還が必要になります。資格職を目指す高校生・大学生は、進学前から免除条件とあわせて検討することが重要です。
申請前に必ず確認したい3つの注意点
ここまで読んで活用を検討し始めた方に、必ず知っておいてほしい注意点が3つあります。
申請できる時期が制度ごとに決まっている
最大の注意点がこれです。制度によっては、内定前・就職前・採用後一定期間内など、申請できる時期が厳しく決められています。たとえば鳥取県や愛媛県は正規雇用で就職する前の認定が必須で、岐阜県は内定前の登録が要件です。一方、函館市のように採用日から30日以内に企業経由で申請する制度もあります。
就職後に制度を知っても申請できないケースがあるため、進路を考え始めた段階で、候補地域の申請時期と募集期間を確認しておくことをおすすめします。
公務員は対象外の制度が多い
「奨学金返還支援 公務員」と検索する方は多いのですが、山口県・福島県・鳥取県・徳島県・三重県・高知県など、多くの一般向け制度で公務員は対象外です。制度の財源が税金であることや、民間企業への就職促進が目的であることが理由です。
ただし例外もあります。東京都の教員・技術系公務員・警察・消防を対象とした返還支援や、徳島県の土木系技術職員向け返還支援、公立病院で働く医師・看護師向けの修学資金免除など、職種を限定した制度では公務員でも対象になるケースがあります。公務員志望の方は職種限定型を中心に確認してください。
併用制限と取消・返還の規定を事前に確認する
支援を受けられるかどうかだけでなく、受け始めた後に支援が止まったり返還が必要になったりする条件も、制度ごとに細かく定められています。
・国の修学支援新制度(給付型)や県の修学資金と併用できない、または調整される場合があります
・支援期間中に県外へ転居したり、対象外の勤務先へ転職したりすると、将来分の支給停止や認定取消しとなる場合があります。制度によっては、すでに交付された支援金の全部または一部の返還を求められることもあります(鳥取県は、対象業種外への転職や県外転居は助成対象外となり、助成金の返還を求める場合があると明記しています)
・一方で徳島県のように、離職後6か月以内に県内企業へ転職すれば認定取消しとならないよう要件を緩和した例もあります
・企業の代理返還は、退職すると支援が終了します
申請前に、募集要項の「認定取消し」「交付取消し」「返還」の規定を必ず確認してください。
自分が活用できる制度を公立よく探す方法4つ
制度を漏れなく調べるには、次の4つの方法を順番通りに探すと効率的です。
| ①内閣官房「奨学金を活用した大学生等の地方定着の促進」ページで、自治体の取り組み全体像を把握する |
| ②JASSO「地方公共団体の返還支援制度」ページで、都道府県・市区町村別のリンク集から候補地域の制度を確認する |
| ③候補の都道府県・市区町村の公式サイトで最新の募集要項(金額・期限・条件)を確認する |
| ④JASSO「代理返還制度検索」で、志望企業が導入しているか確認する |
よくある質問
社会人・返還中でも使える?
利用できる可能性があります。徳島県(30歳まで)や三重県(35歳以下)など既卒者枠のある県や、函館市のように移住者も対象とする市町村があります。転職先が代理返還導入企業であれば、返還中でも支援を受けられます。
支援金に税金はかかる?
企業の代理返還は、JASSOへの直接送金により学資金として所得税が非課税になり得ます。自治体の支援金は制度によって取扱いが異なるため、各自治体や税務署に確認してください。
国の制度はない?
個人に直接給付する全国一律の返還支援はありません。国は自治体の返還支援を特別交付税で後押しする立場で、個人が使えるのは自治体・企業・職種限定の各制度と、JASSOの減額返還・返還期限猶予などの救済制度です。
途中で退職・転居したらどうなる?
制度によって扱いが異なります。将来分の支給停止や認定取消しにとどまる場合もあれば、受給済みの支援金の返還を求められる場合もあります。要項の「取消・返還」規定を必ず確認してください。
地元に残る人だけ得で不公平では?
制度の目的が若者の地方定着・人材確保であるため、地域や職種の限定はその裏返しといえます。一方で企業の代理返還は勤務地を問わず広がっており、都市部で働く人にも選択肢が開かれつつあります。
まとめ
奨学金返還支援制度は、①自治体型 ②企業型(代理返還) ③関連制度としての修学資金貸付、の3つに整理できます。47都道府県・876市区町村が何らかの返還支援に取り組み、代理返還の導入企業は4,852社。内閣官房の調査による自治体の支援実績額は5年で約6.5倍に増加しています。
最大の注意点は、申請できる時期が制度ごとに決まっていることです。就職前の認定が必須の制度では、就職後に気づいても申請できません。進路検討の早い段階で、候補地域・企業の制度を確認しておく必要があります。
奨学金の返還は長い道のりですが、制度を知っているかどうかで生涯の負担額が100万円単位で変わり得ます。まずは志望する地域・企業の制度から確認を始めましょう。
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