2026年7月29日、社会保障国民会議の親会議で「給付付き税額控除」の中間とりまとめが正式決定し、2029年度からの本格導入が確定しました。この制度は、これまで物価高対策として一時的に実施されてきた「調整給付金」や「定額減税補足給付金(不足額給付)」の役割を、恒久的な仕組みとして引き継ぐものです。
「調整給付金って結局いくらもらえたの?」「不足額給付の申請、まだ間に合う?」「これから調整給付金のような制度は続くの?」――こうした疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、2024年度の定額減税に伴う「調整給付金」は、2025年度に実施された「不足額給付」をもって一区切りとなりました。2026年8月上旬時点では、大半の自治体で申請受付が終了しています。ただし、静岡県森町のように2025年11月21日まで受け付けていた自治体もあり、転入者や事業専従者など一部の対象者については個別対応が続くケースもあります。
この記事では、「調整給付金とは何か」という基礎から、2025年に実施された不足額給付の対象者・金額、自治体別のスケジュール、そして2029年度からスタートする給付付き税額控除まで、一連の流れをわかりやすく解説します。
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この記事の目次
調整給付金とは?定額減税で"足りない分"を現金で補う仕組み
調整給付金とは、2024年度に実施された定額減税(所得税3万円・住民税1万円、合計4万円)を減税だけでは使い切れなかった人に対して、その差額を現金で支給する制度です。所得税や住民税が少なく減税額を控除しきれないケースを救済する目的で、市区町村が実施主体となって支給しました。
もう少し噛み砕くと、定額減税は「税金を安くする」形での支援ですが、そもそも税金が4万円より少ない人は減税だけでは支援を受けきれません。この「税金が少なくて減税を使い切れない人」に対して、使い切れなかった分を現金で補うのが調整給付金の役割です。
調整給付金には2種類ある:当初調整給付と不足額給付
調整給付金は、支給されたタイミングによって「当初調整給付」と「不足額給付」の2種類に分かれます。それぞれの役割は以下のとおりです。
| 種類 | 実施時期 | 算定根拠 |
|---|---|---|
| 当初調整給付 | 2024年夏頃 | 令和5年度の所得情報をもとに、定額減税で控除しきれない見込み額を先行支給 |
| 不足額給付(定額減税補足給付金) | 2025年夏〜秋 | 令和6年度の確定した所得情報をもとに、当初調整給付との差額や新たに対象となった人へ支給 |
つまり、当初調整給付は"見込み"で先渡し、不足額給付は"実績"に基づく精算という関係になっています。2025年に多くの自治体で実施された「定額減税補足給付金」は、この不足額給付にあたります。
2024年度に実施された定額減税の概要
2024年度の定額減税は、合計所得金額1,805万円以下の人を対象に、所得税3万円・住民税1万円を減税する物価高対策として実施されました。給与所得者は源泉徴収での税額軽減、事業所得者は確定申告での還付という形で適用されています。
2024年度定額減税のポイント
- 対象者:合計所得金額1,805万円以下の納税者本人と扶養親族
- 減税額:所得税3万円+住民税1万円=合計4万円(1人あたり)
- 適用時期:所得税は2024年6月以降、住民税は2024年6月以降の給与から順次適用
- 扶養家族分:本人分に加えて扶養親族1人あたりも同額を上乗せ
ただし、この減税の仕組みだけでは4万円を全額使い切れない人が一定数存在しました。所得税・住民税がもともと少ない人、そもそも税金がゼロの人などです。こうした人を救済するために設けられたのが、次に説明する「調整給付」と「不足額給付」の仕組みです。
2025年実施「定額減税補足給付金(不足額給付)」の対象者は誰?
定額減税補足給付金(不足額給付)の対象者は、2024年度の定額減税や当初調整給付を受けたものの本来もらえるはずの額に達しなかった人、あるいはそもそも減税・給付をまったく受けられなかった人です。対象は「不足額給付Ⅰ」と「不足額給付Ⅱ」の2区分に分かれます。
不足額給付Ⅰの対象者と具体例
不足額給付Ⅰは、当初調整給付を受けた後に扶養家族が増えたり所得が減ったりしたことで、本来の給付額との差額が生じた人が対象です。基準日(例:2025年6月2日)時点の「当初調整給付時の算定額」と「令和6年分の確定情報に基づく算定額」との差額が支給されます。
| 不足額給付Ⅰの具体例 |
|---|
| 2024年中に子どもが生まれ、扶養親族が増えた人 |
| 2024年中に退職・休職・転職して所得が減少した人 |
| はじめて就職して無所得から有所得になった人 |
| 確定申告や年末調整で税額が更正された人 |
不足額給付Ⅱの対象者と具体例
不足額給付Ⅱは、定額減税や代替の一時金をまったく受け取れなかった人が対象で、支給額は一律4万円(2024年1月1日時点で国外居住者だった場合等は3万円)です。以下の3条件をすべて満たす必要があります。
不足額給付Ⅱの3条件(すべて満たすこと)
- 2024年度の所得税と住民税がいずれも0円である(本人が定額減税の対象外)
- 税制度上の「扶養親族」に該当しない(誰の扶養にも入っていない)
- 低所得世帯向け給付金の対象世帯(世帯主・世帯員)に該当しない
具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 個人事業主の世帯主と同居する家族・配偶者等で、事業専従者に該当し年収(給与収入)が概ね100万円以下の人
- 世帯主の子どもと同居し、年金収入が158万円〜概ね170万円以下の人
2026年8月時点の申請状況:大半の自治体で受付終了
2026年8月上旬時点で、定額減税補足給付金(不足額給付)の申請受付は大半の自治体ですでに終了しています。多くの自治体では申請期限を2025年10月31日に設定していたため、2026年に入ってからの新規申請は原則としてできません。
ただし、以下のような一部の例外もあります。
- 静岡県森町のように、2025年11月21日まで受付を延長していた自治体
- 転入者や事業専従者など、後から対象と判明した人への個別対応が継続している自治体
- 住民票や税務情報の変動があり、追加調査が必要となったケース
自分が対象だったかもしれないと感じる場合は、まずお住まいの自治体の公式ホームページで最新の取り扱い状況を確認してください。個別調査には時間がかかることが多く、窓口ですぐ回答が得られないケースもあります。
【参考】自治体別・不足額給付の通知発送スケジュールと申請期限
以下は、2025年度に不足額給付を実施した主要自治体の通知発送時期と申請期限の一覧です。大半の期限はすでに経過していますが、通知が届いていたかを振り返る参考データとしてご活用ください。
| 都道府県 | 自治体名 | 通知発送時期 | 申請期限(必要な人のみ) |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 荒川区 | Ⅰ:2025年7月下旬〜8月上旬/Ⅱ:8月中旬〜下旬 | 2025年10月24日(転入者は9月12日) |
| 東京都 | 杉並区 | 2025年7月24日 | 2025年10月31日 |
| 東京都 | 港区 | 2025年7月25日 | 公式サイトに記載なし |
| 東京都 | 墨田区 | 2025年7月下旬 | 2025年10月31日 |
| 東京都 | 渋谷区 | 2025年8月1日(転入者は約1か月遅れ) | 2025年10月31日 |
| 東京都 | 武蔵野市 | 2025年7月22日 | 2025年10月31日 |
| 神奈川県 | 川崎市 | 2025年7月下旬 | 2025年10月31日 |
| 神奈川県 | 藤沢市 | 市民:7月下旬〜8月上旬/転入者:8月中旬〜下旬 | 2025年10月31日 |
| 神奈川県 | 鎌倉市 | 2025年7月17日、25日 | 2025年10月31日 |
| 神奈川県 | 大和市 | 2025年7月中旬 | 2025年10月31日 |
| 神奈川県 | 平塚市 | 2025年7月末〜8月上旬 | 2025年10月31日 |
| 神奈川県 | 海老名市 | 市民:8月上旬から順次/転入者:9月上旬から順次 | 2025年10月31日 |
| 埼玉県 | さいたま市 | 2025年6月28日 | 2025年10月15日 |
| 埼玉県 | 本庄市 | 2025年7月下旬 | 2025年10月31日 |
| 埼玉県 | 所沢市 | 2025年8月上旬 | 2025年10月31日 |
| 千葉県 | 千葉市 | 2025年7月17日 | 2025年10月31日 |
| 千葉県 | 船橋市 | 2025年7月下旬 | 2025年10月31日 |
| 千葉県 | 松戸市 | 2025年8月上旬〜下旬 | 2025年10月31日 |
| 千葉県 | 市川市 | 2025年7月31日 | 2025年10月31日 |
| 千葉県 | 柏市 | 2025年8月5日、8月8日 | 2025年10月10日 |
| 栃木県 | 宇都宮市 | 2025年7月下旬 | 2025年9月30日 |
| 静岡県 | 静岡市 | 2025年7月22日 | 2025年9月30日 |
| 静岡県 | 森町 | 2025年10月上旬 | 2025年11月21日 |
| 大阪府 | 大阪市 | 2025年8月頃 | 2025年10月31日(転入者等は9月22日) |
| 京都府 | 京丹後市 | 2025年8月29日〜9月上旬 | 2025年10月31日 |
| 兵庫県 | 神戸市 | 支給案内書:2025年7月31日/確認書:8月中旬から順次 | 2025年10月31日 |
| 福岡県 | 福岡市 | 2025年7月9日 | 2025年10月31日 |
| 鹿児島県 | 瀬戸内町 | 2025年8月中旬〜9月下旬 | 2025年10月31日 |
不足額給付の通知が届いたときの対応と確認ポイント
不足額給付の通知が届いた場合、まず「お知らせ」と「確認書」のどちらが届いたのかを見分けることが重要です。書類の種類によって必要な対応が変わります。
「お知らせ」が届いた場合
「お知らせ」には、支給内容や振込予定日が記載されています。記載内容に誤りがなければ特に手続きは不要で、指定された口座に自動的に振り込まれます。ただし、記載された口座情報が変わっている場合や、内容に疑問がある場合は速やかに自治体の窓口に連絡してください。
「確認書」が届いた場合
「確認書」が届いた場合は、振込口座や必要事項を記入して自治体に返送する必要があります。オンライン申請に対応している自治体もあります。返送・申請を忘れると支給されないため、申請期限を必ず確認しましょう。
通知が届かず「自分は対象かもしれない」と感じたとき
以下のようなケースでは、通知が自動送付されず、自ら申請が必要となる場合があります。
- 2024年1月2日以降に現在の自治体に転入した人
- 白色または青色事業専従者に該当する人
- 住民票や税務上の情報に変動があった人
通知が届いていない場合は、まず自治体の公式ホームページや広報誌を確認し、それでも不明な場合は問い合わせ窓口に連絡してください。ただし、2026年8月時点では大半の受付期間が終了しているため、対応可能かは自治体判断となります。
調整給付金の次はどうなる?給付付き税額控除が2029年度に本格導入
調整給付金は2024年度の定額減税に紐づく一時的な措置でしたが、その役割は2029年度から本格導入される「給付付き税額控除」に引き継がれる方向です。2026年7月29日、社会保障国民会議の親会議で中間とりまとめが正式決定し、この方針が固まりました。
給付付き税額控除とは?
給付付き税額控除とは、所得税を減額する「税額控除」と、控除しきれない分を現金で支給する「給付」を一体化した仕組みです。低所得者ほど手厚く支援される「所得連動型」の設計が予定されており、住民税非課税水準までは「定額給付」、その後は所得の増加に応じて段階的に増減する方向で議論が進んでいます。
給付付き税額控除の主なスケジュール
- 2026年7月29日:社会保障国民会議で中間とりまとめが正式決定
- 2027年秋・2028年秋:先行給付(所得連動型の現金給付のみ)
- 2029年度:本格導入
つなぎ措置として食料品消費税1%への引き下げが表明
給付付き税額控除の本格導入までのつなぎ措置として、2026年7月30日、高市首相は食料品消費税率を2027年4月から2年間、8%から1%に引き下げる方針を正式表明しました。あわせて中低所得者への給付を組み合わせて実質ゼロとする案が示されており、政府は8月上旬の閣議決定、秋の臨時国会での法案提出を目指しています。
つまり、調整給付金の後継は「食料品消費税減税(2027〜2029年)」+「給付付き税額控除(2029年度〜)」の二段階で設計されているという流れです。
調整給付金・不足額給付に関するよくある質問
最後に、調整給付金と定額減税補足給付金(不足額給付)に関するよくある質問をまとめました。もらい忘れや誤解を防ぐため、ここで確認しておきましょう。
調整給付金とは何ですか?
調整給付金とは、2024年度に実施された定額減税(所得税3万円・住民税1万円)を減税だけでは使い切れなかった人に、その差額を現金で支給する制度です。市区町村が実施主体となり、2024年夏の「当初調整給付」と2025年夏〜秋の「不足額給付」の2段階で実施されました。
調整給付金は2026年も実施されますか?
国レベルの調整給付金は2024年度の定額減税に伴う一時的な措置であり、2025年に実施された不足額給付をもって一区切りとなっています。2026年8月上旬時点では大半の自治体で申請受付が終了しており、新規の国レベル調整給付金の予定はありません。今後は2029年度から本格導入される「給付付き税額控除」がその役割を引き継ぎます。
定額減税補足給付金は誰がもらえますか?
定額減税補足給付金(不足額給付)は、定額減税や当初調整給付を受けたものの本来の給付額に満たなかった人(不足額給付Ⅰ)、または定額減税や代替の一時金をまったく受け取れなかった人(不足額給付Ⅱ)が対象です。
不足額給付はいくらもらえますか?
不足額給付Ⅰは、当初調整給付時の算定額と現時点での確定算定額との差額が支給されます。不足額給付Ⅱは一律4万円(2024年1月1日時点で国外居住者だった場合等は3万円)です。
不足額給付はいつもらえますか?
支給時期は自治体により異なりますが、多くの自治体では2025年7〜8月頃に通知が発送され、その後1〜2か月以内に順次振り込まれました。2026年8月時点で新規に振り込まれるのは、転入者や事業専従者など個別対応が続いている一部のケースに限られます。
まだ申請できる自治体はありますか?
2026年8月上旬時点で、大半の自治体では申請期限(多くは2025年10月31日)が経過しており、新規申請は原則できません。ただし、転入者や事業専従者、住民票・税務情報の変動があった人については個別対応が続くケースもあります。詳細はお住まいの自治体の公式ホームページで確認してください。
調整給付金が二重取りになることはありますか?
配偶者の扶養に入りながら100万円超〜103万円の年収があるといった一定条件がそろうと、1人で2人分の減税が生じてしまう場合があります。財務省は、このような「二重取り」ケースについて返還を求めない方針を示しています。二重取りになってしまった人は、あわてて相談する必要はありません。
扶養の判定基準はいつのものが使われますか?
2024年度分の課税状況および扶養状況が基準となります。2025年以降に扶養状況が変わった場合は、判定には影響しません。
通知書と確認書の違いは何ですか?
「お知らせ」(通知書)は、支給内容や振込予定日が記載された案内で、内容に誤りがなければ手続き不要で自動的に振り込まれます。「確認書」は振込口座や必要事項を記入して返送する必要がある書類で、期限内に返送・申請しないと支給されません。届いた書類がどちらかをまず確認してください。
調整給付金の後継となる「給付付き税額控除」はいつから始まりますか?
給付付き税額控除は2029年度から本格導入される予定です。2026年7月29日に社会保障国民会議で中間とりまとめが正式決定し、方針が確定しました。本格導入までの間は、2027年秋・2028年秋に「所得連動型の現金給付」を先行実施する方向で議論が進んでいます。また、つなぎ措置として2027年4月から2年間、食料品消費税率を1%に引き下げる方針が2026年7月30日に正式表明されました。
まとめ
調整給付金は、2024年度の定額減税を減税だけでは使い切れなかった人を救済する制度として、2024年夏の「当初調整給付」と2025年夏〜秋の「不足額給付」の2段階で実施されました。2026年8月上旬時点で、大半の自治体では申請受付が終了しています。
不足額給付Ⅰは扶養家族の増減や所得変動により本来の給付額に届かなかった人、不足額給付Ⅱは減税や一時金をまったく受けられなかった人が対象で、Ⅱは一律4万円が支給されました。転入者や事業専従者など、個別対応が続くケースもあるため、心当たりのある方はお住まいの自治体の公式情報を必ず確認してください。
そして、調整給付金の役割は今後、2029年度から本格導入される「給付付き税額控除」と、そのつなぎ措置となる2027年4月からの食料品消費税1%への引き下げに引き継がれていきます。制度の全体像を理解し、次にどのような支援が受けられるのかも早めに把握しておきましょう。
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