内閣制度140年の歴史で初となる女性総理として、自民党の高市早苗議員が、第104代総理大臣に就任しました。
自民党総裁選で選出された後、日本維新の会との連立政権を発足させ、「国民の暮らしと国家の平和を守るため、内外の難局を打開し、日本を前に進める政策を実現する」との方針を掲げています。その中でも注目されているのが、所得税の減税と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」の制度化です。10月4日に行われた自民党第29代総裁就任会見の質疑応答で「給付付き税額控除の具体化に向けて党内で議論を進める」と述べ、低・中所得者層への支援強化を打ち出しました。
この方針により、石破政権下で始まった与野党の協議は、新政権においても継続される見通しです。
【給付付き税額控除の議論が再び注目】
2万円給付や消費税減税の実現が見通せないなか、「給付付き税額控除」が再び注目されています。2025年(令和7年)9月19日には、自民・公明・立憲民主の3党が党首会談を行い、新たな協議体を設けて制度設計の議論を進めることで一致しました。さらに25日には3党幹事長が協議し、30日に政策責任者どうしで具体的な議論を開始することを確認するなど、制度化に向けた動きが加速しています。
本記事では、給付付き税額控除の仕組みと今回の協議体設置の背景について解説します。
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この記事の目次
自公立3党が新たな協議体を設置
石破総理大臣、公明党の斉藤代表、立憲民主党の野田代表は9月19日、国会内で党首会談を行い、各党幹事長も同席しました。会談では、所得に応じて給付や所得税の控除を行う「給付付き税額控除」の制度設計を議論するため、新たな協議体を設置し、政策責任者を中心に検討を進めることで合意しました。
その後、25日には自民党の森山幹事長、公明党の西田幹事長、立憲民主党の安住幹事長らが会談し、制度設計上の課題を整理したうえで、30日に政策責任者どうしで具体的議論に入ることを確認しました。
また、立憲民主党は、自民党の総裁選後も議論が継続されるよう、次期総裁への引き継ぎを求めています。
出典:NHK NEWS WEB “自公と立民 給付付き税額控除 制度設計上の課題など来週議論へ
給付付き税額控除とは
給付付き税額控除は、税額控除と現金給付を組み合わせる仕組みです。| ・所得が高い人は、支払う税金から控除額が差し引かれ、納税負担が軽くなります。 ・一方、所得が低い人は、税額控除だけでは控除しきれない分を現金で受け取れるため、より手厚い支援となります。 |
例えば、控除額を10万円とした場合を考えてみましょう。
| ・所得税が50万円の人なら、10万円分が差し引かれて40万円の納税になります。 ・所得税が8万円の人であれば、まず8万円がゼロになり、差額の2万円が現金で支給されます。 ・そもそも所得税を納めていない非課税世帯の場合は、10万円がそのまま給付されます。 |
このように、所得の水準によって「控除」と「給付」の割合が変わり、低所得層ほど現金給付が厚くなるのが特徴です。幅広い層を対象にしつつ、家計の苦しい層を重点的に支援できる仕組みといえます。
また、立憲民主党内では「先に現金を一律給付し、その後、所得に応じて課税で調整する方式」も検討されており、今後の制度設計の論点の一つとなりそうです。
3党協議のポイントは
9月19日の会談で石破総理大臣は「社会保障制度について党派を超えて話し合うことが必要だ」と強調しました。
また、公明党の斉藤代表は「民主党政権当時の社会保障と税の一体改革でも『給付付き税額控除』は大きな議論になった」と述べ、制度の重要性を指摘しました。さらに立憲民主党の野田代表も「政策実現のチャンスが広がってきた」と前向きな姿勢を示しています。
出典:NHK NEWS WEB “給付付き税額控除 新たな協議体設置へ”自公立3党の党首会談
高市新総裁も議論継続を表明 実現には課題も
自民党の高市早苗新総裁は10月4日、就任記者会見で「給付付き税額控除」について党内で議論を進める方針を示しました。
ただし、制度の実現にはいくつもの課題があるとされています。
日本では、収入や資産を一元的に把握する仕組みがまだ整っておらず、公平性の担保が難しいと指摘されています。納税額が少なくても多くの資産を保有している人を支援対象とした場合、制度への批判が高まるおそれもあります。また、制度設計には一定の検討期間が必要とみられ、恒久的な財源の確保も課題となっています。
まとめ
給付付き税額控除は、現金給付と減税を組み合わせて家計を支援する仕組みで、低所得層により厚い支援を届けられる点が特徴です。9月の3党協議で制度設計の議論が始まり、10月には高市新総裁も党内での検討を継続する方針を示すなど、政治的な動きは続いています。
ただし、実現に向けては所得や資産の正確な把握、公平性の担保、財源の確保など課題も多く、制度設計には時間を要する見通しです。 今後の協議で、どのような形で家計支援策として具体化されていくのか注目されます。
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