2026年度から、企業の排出量取引制度(GX-ETS)が本格稼働し、脱炭素はもはや「努力目標」から「経営の前提」へと変わりつつあります。一方で、DXの進展やデータセンターの増設により、国内の電力需要はかつてないペースで拡大。こうした中で国が打ち出したのが、脱炭素電源を活用しながら地方に投資を呼び込む、まったく新しい発想の支援制度です。
「脱炭素電力を使いたいが、大規模な設備投資の負担が重い」「再生可能エネルギーや原子力が豊富な地域に拠点を構えたいが、投資判断に踏み切れない」――こうした課題を抱える事業者に注目されているのが、最大250億円・補助率最大1/2を支援するGX地域共創補助金(脱炭素電源地域貢献型投資促進事業)です。
本制度は、脱炭素電力を活用して付加価値の高いGX関連投資を行い、その電源が立地する地域に貢献する企業の設備投資を支援する経済産業省の補助金です。製造設備への投資とデータセンター設備への投資の2類型が用意され、大企業から中小企業まで幅広く対象となります。
この記事では、GX地域共創補助金について、制度の位置づけ、対象者、補助率・上限額、申請要件、公募スケジュールまでをわかりやすく解説します。
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この記事の目次
GX地域共創補助金(脱炭素電源地域貢献型投資促進事業)とは?最大250億円の設備投資支援制度
GX地域共創補助金(脱炭素電源地域貢献型投資促進事業)とは、脱炭素電力を活用して付加価値の高いGX関連投資を行い、その電源が立地する地域に貢献する企業の設備投資を、補助率最大1/2、補助上限額最大250億円で支援する経済産業省の補助金制度です。令和8年度予算として400億円(国庫債務負担行為を含めた総額は2,100億円)が措置された、令和8年度から12年度までの大型事業です。
制度の目的は、脱炭素電力の供給増と国内のGX関連投資の拡大を同時に実現することにあります。グローバル企業を中心に脱炭素電源を活用するニーズが拡大する一方で、国産の脱炭素電源の供給力を高めることも重要な課題となっています。そこで本制度は、電力需要家による脱炭素電力の活用と、脱炭素電源が立地する自治体への貢献を条件に、企業がGX関連投資を行う際の設備投資費用(CAPEX)を支援する仕組みとなっています。
- 正式名称:令和8年度 脱炭素電源地域貢献型投資促進事業
- 所管省庁:経済産業省(資源エネルギー庁・GXグループ・商務情報政策局)
- 事業総額:2,100億円(国庫債務負担行為含む/令和8年度予算400億円)
- 補助率:最大1/2(要件に応じて5段階)
- 補助上限額:50億円〜250億円
- 対象類型:製造設備投資型/データセンター(DC)設備投資型
- 事業期間:令和8年度〜令和12年度
なお、本制度の詳細は経済産業省が公表した概要資料(Ver1.1)に基づくものですが、公募要領は現在検討中の項目を多く含み、今後変更される可能性があります。申請を検討する際は、必ず公式ページで最新情報をご確認ください。
GX地域共創補助金はGX戦略地域制度4類型のどれ?「脱炭素電源地域貢献型」の位置づけ

GX地域共創補助金(脱炭素電源地域貢献型投資促進事業)は、経済産業省の「GX戦略地域制度」を構成する4類型のうち、④脱炭素電源地域貢献型を具体化した補助事業です。GX戦略地域制度は、地域に偏在する脱炭素電源やコンビナート跡地等を核に「新たな産業クラスター」の創出を目指す制度で、次の4類型に整理されています。
このうち①〜③は自治体や企業の計画に基づいて国が「地域」を選定する類型で、選定された地域には支援と規制・制度改革が一体的に措置されます。一方、本制度にあたる④脱炭素電源地域貢献型は、脱炭素電源を活用する「事業者」を選定し、その設備投資を直接支援する類型です。地域そのものを選ぶ①〜③とは支援の仕組みが異なる点に注意が必要です。
| 類型 | 選定対象 | 概要 |
|---|---|---|
| ①コンビナート等再生型 | 地域(自治体) | コンビナート跡地等を活用した産業クラスターの形成 |
| ②データセンター集積型 | 地域(自治体) | 脱炭素電源を核としたデータセンターの集積 |
| ③脱炭素電源活用型(GX産業団地) | 地域(自治体) | 脱炭素電源を活用する新たな産業団地の整備 |
| ④脱炭素電源地域貢献型 | 事業者 | 脱炭素電源を活用する企業の設備投資を支援(=本制度) |
なお、地域選定を行う①〜③の3類型については、2025年12月から2026年2月にかけて地域選定のための公募がすでに実施されています。本制度(④)は事業者向けの公募であり、これらとは別の枠組みである点を押さえておきましょう。
GX地域共創補助金の対象者は?製造設備投資型とデータセンター設備投資型の2類型
GX地域共創補助金の対象者は、一定規模以上の設備投資を行い、産業要件と脱炭素電源要件を満たす大企業から中小企業までの事業者です。投資の内容によって「製造設備投資型」と「データセンター(DC)設備投資型」の2つの類型に分かれ、類型ごとに補助対象者・事業要件・立地要件・審査項目が別々に設けられています。
本制度では、高付加価値な製品を製造する企業と、データセンター事業者の双方が支援の対象となります。温室効果ガス排出削減のための取組を実施していることが前提となる点も特徴です。
GX地域共創補助金の対象となる企業区分(大企業・中堅・中小企業)
GX地域共創補助金は、大企業・中堅企業・中小企業のいずれも対象となります。後述する補助率は、企業規模ではなく脱炭素電源との関わり方(立地・電源との紐づき・電源の種類)によって決まるため、企業規模を問わず幅広い事業者が活用できる制度です。各区分の定義は次のとおりです。
| 区分 | 定義 |
|---|---|
| 大企業 | 常時使用する従業員数が2,000人超の事業者 |
| みなし大企業 | 発行済株式の1/2以上を同一の大企業が所有する法人等(本制度では大企業として扱う) |
| 中堅企業 | 常時使用する従業員数が2,000人以下で、中小企業を除く法人 |
| 中小企業 | 中小企業基本法上の中小企業者、個人事業主、中小企業団体等のほか、医療法人・社会福祉法人・NPO法人等で従業員300人以下の法人 |
中小企業の区分には個人事業主や、医療法人・社会福祉法人・NPO法人等も含まれます。ただし、本制度は大規模な設備投資を前提とするため、後述の投資額要件を満たせるかどうかが実質的なハードルとなります。なお、補助対象者の要件(企業区分・暴力団排除等の欠格要件)は製造設備投資型・データセンター設備投資型で共通です。
GX地域共創補助金の投資額要件は10億円以上(大企業は20億円以上)
GX地域共創補助金の対象となるのは、支援対象となる投資額が10億円以上(大企業の場合は20億円以上)の事業です。一般的な省エネ補助金や設備導入補助金と比べて投資規模の下限が非常に高く設定されており、大規模な拠点新設や生産設備の刷新を伴う投資が想定されています。
補助対象となる経費は、建物等取得費・設備費・システム整備費が想定されています。製造設備投資型では建物費(土地代は除く)や機械装置費等です。データセンター設備投資型では、データセンターの建物・冷却設備・受電設備等が対象となります(ただし一部の高性能なサーバー類は対象外です)。
- 中堅・中小企業:投資額10億円以上
- 大企業(みなし大企業を含む):投資額20億円以上
- 土地代は補助対象外
- DC設備投資型では一部の高性能サーバー類が補助対象外
製造設備投資型とデータセンター設備投資型の違い
GX地域共創補助金は、「製造設備投資型」と「データセンター設備投資型」で、事業要件・立地要件・補助上限額・対象経費が異なります。製造設備投資型は高付加価値な製品を製造し産業競争力の強化につながる事業、データセンター設備投資型は日本の計算資源分野の競争力強化に資する事業が対象です。
特にデータセンター設備投資型には、製造設備投資型にはない固有の要件があります。稼働開始から2年以内にPUE(電力使用効率)1.3以下を達成すること、2026年度以降にデータセンター業に係る省エネ・非化石転換法の定期報告内容等を毎年度自社ホームページ等で公表することが求められます。PUEとは、データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った指標で、1.0に近いほど電力効率が高いことを示します。
2つの類型の主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 製造設備投資型 | データセンター設備投資型 |
|---|---|---|
| 対象事業 | 高付加価値な製品を製造し、産業競争力の強化に繋がる事業/製品製造の中核設備への投資を含むこと | 日本の計算資源分野の競争力強化に資する事業/事業終了後も継続的・安定的に競争力を維持できる計画 |
| 固有の事業要件 | ― | 稼働開始から2年以内にPUE1.3以下を達成/省エネ・非化石転換法の定期報告内容等を毎年度公表 |
| 立地要件 | 電源立地都道府県への立地、または企業版ふるさと納税等による地域貢献 | 電源立地都道府県への立地のみ(地域貢献ルートは不可) |
| 主な対象経費 | 建物費(土地代除く)、機械装置費等 | DC建物、冷却設備、受電設備等(一部の高性能サーバー類を除く) |
| 補助上限額 | 最大250億円 | 最大250億円 |
補助率を決める5つの支援区分のうち、製造設備投資型は全5区分が対象となるのに対し、データセンター設備投資型は区分4・5が対象外です。これは、区分4・5が企業版ふるさと納税等による地域貢献を前提とするルートであり、データセンター設備投資型では地域貢献による立地要件の充足が認められないためです。具体的な補助率と上限額は次のセクションで詳しく解説します。
GX地域共創補助金の補助率・補助上限額はいくら?5段階の支援強度
GX地域共創補助金の補助率は、製造設備投資型で最大50%、補助上限額は最大250億円です。補助率と上限額は企業規模では決まらず、脱炭素電源との関わり方に応じて5段階の支援区分に分かれます。脱炭素電源の供給増という制度の最終目的を踏まえ、より供給増に貢献する投資ほど手厚く支援される仕組みです。
支援強度は、(A)電源の立地地域への貢献度合い、(B)電源との紐づき、(C)電源の種類という3つの観点で決まります。新設・再稼働電源を自家発電やコーポレートPPA(CPPA)で活用し、その電源立地都道府県に立地する事業ほど補助率が高くなります。
GX地域共創補助金の補助率・補助上限額一覧(5区分)
GX地域共創補助金の補助率・補助上限額は、次の5区分で整理されています。区分1がもっとも手厚く、製造設備投資型・DC設備投資型ともに補助率50%・上限250億円です。区分4・5はデータセンター設備投資型が対象外となります。なお、表中のカッコ内の数値は、大企業に適用される補助率です。
| 区分 | 立地・電源の条件 | 製造設備投資型 | DC設備投資型 | 補助上限額 |
|---|---|---|---|---|
| 区分1 | 電源立地都道府県に立地+自家発電・CPPAのみで50%以上調達+新設・再稼働電源 | 1/2(1/3) | 1/2(1/3) | 250億円 |
| 区分2 | 電源立地都道府県に立地+自家発電・CPPAのみで50%以上調達+既設電源も含む | 2/5(1/4) | 2/5(1/4) | 250億円 |
| 区分3 | 電源立地都道府県に立地+脱炭素電力メニュー含めて50%以上調達+新設・再稼働・既設を問わず | 2/5(1/4) | 3/10(1/5) | 100億円 |
| 区分4 | 企業版ふるさと納税・地域共生基金等で地域貢献+CPPAのみで50%以上調達+新設・再稼働電源 | 2/5(1/4) | 対象外 | 50億円 |
| 区分5 | 企業版ふるさと納税・地域共生基金等で地域貢献+CPPAのみで50%以上調達+既設電源も含む | 3/10(1/5) | 対象外 | 50億円 |
表からわかるとおり、電源立地都道府県に自社拠点を構え、新設・再稼働電源を自家発電やCPPAで活用する企業(区分1)が、補助率1/2・上限250億円ともっとも優遇されます。一方、遠隔地から企業版ふるさと納税等で地域貢献する区分4・5は、補助率・上限額ともに抑えられ、DC設備投資型は対象になりません。
補助率を決める3つの観点(A:立地貢献度/B:電源との紐づき/C:電源の種類)
GX地域共創補助金の補助率は、需要電力の全量を脱炭素電力とし、かつ50%以上を同一都道府県から調達することを前提に、次の3つの観点(A・B・C)を総合して決定されます。脱炭素電源の供給増につながる度合いが高いほど、支援が手厚くなる設計です。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| A:立地地域への貢献度合い | 電力の50%以上を調達する都道府県に企業が立地するか/遠隔地に立地し企業版ふるさと納税等で貢献するか |
| B:電源との紐づき | 自家発電・コーポレートPPA(CPPA)のみで同一都道府県から50%以上調達するか/脱炭素電力メニューを含めて調達するか |
| C:電源の種類 | 新設・再稼働電源のみで50%以上調達するか/既設電源も含めて調達するか |
ここで重要になるのが、CPPA(コーポレートPPA)という考え方です。CPPAとは、電力の需要家である企業が発電事業者と直接、長期の電力購入契約を結ぶ仕組みのことです。発電事業者にとっては投資回収の見通しが立ちやすくなるため、新たな脱炭素電源への投資を後押しする効果があります。本制度では、CPPAを通じた電力調達を、脱炭素電力メニューによる調達よりも手厚く評価しています。なお、CPPAで新設電源を利用する場合は15年以上、既設電源の場合は10年以上の契約期間が原則として求められます。
- 電力を50%以上調達する都道府県に自社拠点を立地させる
- 自家発電・CPPAで同一都道府県から50%以上を調達する
- 新設・再稼働電源を活用する
GX地域共創補助金の申請要件|事業要件・電力要件・立地要件
GX地域共創補助金の申請には、「事業要件」と「脱炭素要件(電力要件・立地要件)」のすべてを満たす計画が必要です。1つでも欠けると申請できないため、自社の投資計画がどの要件に当てはまるかを早い段階で確認することが重要です。

これらの要件は製造設備投資型とデータセンター設備投資型で内容が異なります。特に事業要件と立地要件は類型ごとに別々に設けられているため、自社がどちらの類型に当たるかを踏まえて確認する必要があります。
事業要件:高付加価値な製品の製造・計算資源分野の競争力強化
事業要件は、製造設備投資型とデータセンター設備投資型で内容が異なります。製造設備投資型では、高付加価値な製品を製造し産業競争力の強化につながる事業であること、かつその製品製造の中核となる設備への投資が含まれることが求められます。データセンター設備投資型では、日本の計算資源分野の競争力強化に資する事業であることに加え、PUEや情報公開に関する固有の要件があります。
| 類型 | 事業要件 |
|---|---|
| 製造設備投資型 | ①高付加価値な製品を製造し産業競争力の強化に繋がる事業であること/②製品製造の中核となる設備への設備投資を含むこと |
| DC設備投資型 | ①日本の計算資源分野の競争力強化に資する事業であること(稼働開始から2年以内にPUE1.3以下を達成、2026年度以降は省エネ・非化石転換法の定期報告内容等を毎年度公表)/②事業終了後も継続的・安定的に計算資源分野の競争力を維持できる計画を有すること |
たとえば製造設備投資型では、半導体や蓄電池など競争力強化につながる製品の主力生産ラインへの投資は要件を満たしやすい一方、付随的な倉庫や事務棟のみへの投資は中核設備とはみなされにくいと考えられます。データセンター設備投資型では、計算資源としての競争力に加えてPUE1.3以下という電力効率の達成が必須となるため、高効率な冷却システムの設計が要件充足の鍵となります。
電力要件:全量を脱炭素電力にし、50%以上を同一都道府県から調達
電力要件は、製造設備投資型・データセンター設備投資型で共通です。事業実施場所で通年使用する電力について、①全量を脱炭素電力とし、②そのうち50%以上を同一都道府県(電源立地都道府県)から調達することの2点が求められます。①の「全量」がハードルで、使用電力の一部でも化石燃料由来の電力が含まれると要件を満たしません。
ここで申請者がよく誤解するのが、「電源立地都道府県=自社が立地する都道府県」ではないという点です。電源立地都道府県は、電力の50%以上を調達する電源がある都道府県を指し、自社の拠点がある都道府県と一致する必要はありません。
要件を満たすケース・満たさないケースを整理すると次のとおりです。
| ケース | 判定 |
|---|---|
| 使用電力の全量を脱炭素電力にし、うち60%を同一都道府県の電源から調達 | ○ 満たす |
| 使用電力の80%を脱炭素電力にしたが、残り20%は通常の系統電力(化石燃料含む) | × 満たさない(全量が脱炭素電力でない) |
| 全量を脱炭素電力にしたが、同一都道府県からの調達が40%にとどまる | × 満たさない(同一都道府県50%未満) |
| 複数県の脱炭素電源から分散調達し、最大の調達県でも30% | × 満たさない(同一都道府県50%未満) |
- 既設電源を含む自家発電・CPPAで50%以上を調達する場合、または脱炭素電力メニューを含めて調達する場合は、電源立地都道府県が「脱炭素電力供給地域」に限定される
- 脱炭素電力供給地域は、脱炭素電力自給率が全国中央値(2024年度実績で27.7%)以上の都道府県を、公募要領で指定する
- 事業完了後3年間、脱炭素電力の利用実績が確認される(4年目以降は国等が確認予定)
- 外的要因などの特段の理由なく要件が未達となった場合、補助金の返還を求められる可能性がある
電力要件は申請時の計画だけでなく、事業完了後の利用実績まで継続的に確認される点に注意が必要です。計画段階で電力使用量の見込みについて合理的な説明ができることが前提となります。
立地要件:製造型は立地または地域貢献、DC型は立地のみ

立地要件は、製造設備投資型とデータセンター設備投資型で大きく異なります。製造設備投資型は「①電源立地都道府県への立地」または「②企業版ふるさと納税・地域共生基金等による地域貢献」のいずれかを満たせばよいのに対し、データセンター設備投資型は①電源立地都道府県への立地のみが認められ、地域貢献ルート(②)は使えません。
つまり、製造設備投資型であれば電源と同じ都道府県に拠点を構えられなくても地域貢献で申請の道が開けますが、データセンター設備投資型では電源立地都道府県への立地が必須となります。これが、補助率の区分4・5(地域貢献ルート)でデータセンター設備投資型が対象外となる理由です。
| 立地要件 | 製造設備投資型 | DC設備投資型 |
|---|---|---|
| ①電源立地都道府県への立地 | ○ 認められる | ○ 認められる(これのみ) |
| ②企業版ふるさと納税・地域共生基金等による地域貢献 | ○ 認められる | × 認められない |
申請者の立場で、製造設備投資型・データセンター設備投資型それぞれの典型ケースを整理すると次のようになります。
| ケース | 判定 |
|---|---|
| 【製造】電力の50%以上を調達する電源がある都道府県内に工場を新設する | ○ 満たす(要件①) |
| 【製造】電源は地方にあるが拠点は都市部のまま、その地方へ企業版ふるさと納税で貢献する | ○ 満たす(要件②) |
| 【DC】電力の50%以上を調達する電源がある都道府県内にデータセンターを建設する | ○ 満たす(要件①) |
| 【DC】電源は地方にあるが拠点は都市部のまま、その地方へ企業版ふるさと納税で貢献する | × 満たさない(DC型は地域貢献ルート不可) |
| 電源立地都道府県に立地せず、地域貢献も行わない(両類型共通) | × 満たさない(申請不可) |
製造設備投資型で地域貢献ルート(②)を選ぶ場合の貢献額は、「消費電力量×3円/kWh×3年」または「補助額の5%」のいずれか低い額が目安とされています。具体的な貢献内容・納付額・納付時期は、活用する電源の立地自治体と合意できていれば種類は問われず、貢献先は都道府県・市町村のどちらでも可能です。
GX地域共創補助金の公募スケジュール|2026年7月から1次公募開始
GX地域共創補助金の1次公募は、2026年7月頃に応募申請の受付が開始され、9月末頃に受付終了する予定です。さらに2次公募が秋頃から冬頃にかけて実施される見込みです。大規模な設備投資を伴う制度のため、事業計画の検討には相応の時間がかかります。早めの準備が採択への鍵となります。
応募申請は、補助金電子申請システム「Jグランツ」を利用して受け付ける予定です。Jグランツの利用には「GビズIDプライム」の取得が必要で、取得には2〜3週間程度かかる場合があります。公募開始を待たずに、今のうちからアカウントを準備しておくことをおすすめします。
| 項目 | 時期(予定) |
|---|---|
| 1次公募 受付開始 | 2026年7月頃 |
| 1次公募 受付終了 | 2026年9月末頃 |
| 2次公募 受付開始 | 2026年秋頃 |
| 2次公募 受付終了 | 2026年冬頃 |
- GビズIDプライムの取得(Jグランツ利用に必須/取得まで数週間かかる場合あり)
- 脱炭素電力の調達計画(全量脱炭素・同一都道府県50%以上の見込み)
- 電力使用量の見込みと、その算定根拠の整理
- 電源立地都道府県への立地、または地域貢献の方針決定
なお、上記のスケジュールはいずれも現時点での予定であり、今後変更される可能性があります。公募要領を含む詳細は確定し次第、公式ホームページで公表されます。申請を検討する際は、必ず最新情報をご確認ください。
GX地域共創補助金に関するよくある質問
GX地域共創補助金は中小企業や個人事業主でも申請できますか?
制度上は中小企業や個人事業主も対象に含まれます。中小企業の区分には、中小企業基本法上の中小企業者のほか、個人事業主、医療法人・社会福祉法人・NPO法人等で従業員300人以下の法人も含まれます。ただし本制度は投資額10億円以上(大企業は20億円以上)の大規模な設備投資を前提とするため、この投資額要件を満たせるかが実質的なハードルとなります。
GX地域共創補助金の補助率はどのように決まりますか?
補助率は企業規模ではなく、脱炭素電源との関わり方で決まります。具体的には、(A)電源の立地地域への貢献度合い、(B)電源との紐づき(自家発電・CPPAか脱炭素電力メニューか)、(C)電源の種類(新設・再稼働電源か既設電源か)の3つの観点で5段階の区分に分かれます。電源立地都道府県に立地し、新設・再稼働電源を自家発電・CPPAで活用する区分1がもっとも手厚く、補助率1/2・上限250億円です。
補助金の上限額はいくらですか?
補助上限額は支援区分に応じて50億円〜250億円です。電源立地都道府県に立地する区分1・2が最大250億円、区分3が100億円、地域貢献ルートの区分4・5が50億円となります。事業全体の総額は国庫債務負担行為を含めて2,100億円(令和8年度予算は400億円)です。
製造設備投資型とデータセンター設備投資型はどちらでも同じ補助率ですか?
区分によって異なります。区分1・2では製造設備投資型・データセンター設備投資型ともに同じ補助率ですが、区分3ではデータセンター設備投資型の補助率が製造設備投資型より低くなります。さらに、地域貢献ルートにあたる区分4・5はデータセンター設備投資型が対象外です。これは、データセンター設備投資型では立地要件として地域貢献ルートが認められず、電源立地都道府県への立地が必須となるためです。
使用する電力の一部だけを脱炭素電力にすれば対象になりますか?
いいえ、一部だけでは要件を満たしません。電力要件では、事業実施場所で通年使用する電力の「全量」を脱炭素電力とすることが求められます。さらに、そのうち50%以上を同一都道府県(電源立地都道府県)から調達する必要があります。使用電力に化石燃料由来の電力が一部でも含まれる場合は要件を満たしません。この電力要件は製造設備投資型・データセンター設備投資型で共通です。
電源がある都道府県に自社の拠点がなくても申請できますか?
類型によって異なります。製造設備投資型であれば、設備投資を行う事業実施場所が電源立地都道府県にある場合のほか、企業版ふるさと納税・地域共生基金等で電源立地都道府県・市町村に地域貢献を実施する場合も申請できます。一方、データセンター設備投資型では地域貢献ルートが認められず、電源立地都道府県への立地が必須です。なお製造設備投資型で地域貢献ルートを選ぶと補助率は区分4・5となり、立地ルートより支援は手厚くありません。
データセンター設備投資型に固有の要件はありますか?
あります。データセンター設備投資型では、日本の計算資源分野の競争力強化に資する事業であることに加え、稼働開始から2年以内にPUE(電力使用効率)1.3以下を達成すること、2026年度以降にデータセンター業に係る省エネ・非化石転換法の定期報告内容等を毎年度自社ホームページ等で公表すること、事業終了後も継続的・安定的に計算資源分野の競争力を維持できる計画を有することが求められます。また立地要件として地域貢献ルートが使えない点も製造設備投資型との違いです。
地域貢献ルートの場合、いくら貢献すればよいですか?
貢献額は「消費電力量×3円/kWh×3年」または「補助額の5%」のいずれか低い額が目安とされています。具体的な貢献内容・納付額・納付時期については、活用する電源の立地自治体と合意できていれば種類は問われません。貢献先は都道府県・市町村のどちらでも可能です。なお、この地域貢献ルートが使えるのは製造設備投資型のみで、データセンター設備投資型では認められません。
補助金を受け取った後に要件を満たせなくなった場合はどうなりますか?
補助金の返還を求められる可能性があります。事業完了後3年間、事業実施場所における脱炭素電力の利用実績が確認されます(4年目以降は国等が確認予定)。外的要因などの特段の理由がなく電力要件・立地要件が未達となった場合は、国等との協議のうえで補助金の返還を求められる可能性があります。
GX地域共創補助金はGX戦略地域制度とどう違いますか?
GX地域共創補助金(脱炭素電源地域貢献型投資促進事業)は、GX戦略地域制度の4類型のうち④脱炭素電源地域貢献型を具体化した補助事業です。①コンビナート等再生型、②データセンター集積型、③脱炭素電源活用型は国が「地域(自治体)」を選定する類型ですが、本制度(④)は脱炭素電源を活用する「事業者」を選定し設備投資を直接支援する点が異なります。
まとめ|GX地域共創補助金は脱炭素投資と地域貢献を両立する大型支援制度
GX地域共創補助金(脱炭素電源地域貢献型投資促進事業)は、脱炭素電力を活用して付加価値の高い設備投資を行い、その電源立地地域に貢献する企業を、補助率最大1/2・上限250億円で支援する経済産業省の大型補助金です。GX戦略地域制度4類型のうち、事業者を直接支援する④脱炭素電源地域貢献型を具体化した制度として位置づけられています。
製造設備投資型とデータセンター設備投資型の2類型があり、補助率は(A)立地貢献度、(B)電源との紐づき、(C)電源の種類の3観点で5段階に分かれます。電源立地都道府県に立地し、新設・再稼働電源を自家発電・CPPAで活用する企業がもっとも手厚く支援されます。なお、データセンター設備投資型は地域貢献ルートが使えず、PUE1.3以下の達成など固有の要件がある点に注意が必要です。
申請にあたっては、脱炭素電力の調達計画や電力使用量の算定根拠、地域貢献の方針など、事前に固めておくべき要素が多くあります。公募要領には現在検討中の項目も含まれるため、最新情報を確認しながら早めに準備を進めることが採択への近道です。自社の投資計画が要件に当てはまるか判断に迷う場合は、専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。
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