2026年8月20日、経済産業省(資源エネルギー庁)の「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金」の3次公募が始まりました。締切は2026年9月28日(月)17時必着です。9月9日には2次公募の交付決定が行われ、工場・事業場型の採択率は83.7%、設備単位型(Ⅲ型)は92.7%でした。
さらに経済産業省は令和9年度概算要求で、後継となる「省エネルギー・非化石転換の投資促進・社会実装支援事業」に2,108億円を計上しています。省エネ設備投資への国の支援は、今後も大型の予算が続く見通しです。
とはいえ、本補助金は2つの申請型と4つの事業区分に分かれ、補助率・上限額・補助対象経費も区分ごとに異なります。「自社はどれに申請すべきか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、SII(環境共創イニシアチブ)が公表した3次公募の公募要領と採択結果をもとに、制度の全体像・補助率・採択率・業種別の活用例・申請の注意点までを整理します。
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・工場のボイラ・空調・生産設備更新で使える「工場・事業場型(Ⅰ型)」
・燃料転換・電化・水素対応で使える「電化・脱炭素燃転型(Ⅱ型)」
・業務用エアコン・LED・変圧器の更新で使える「設備単位型(Ⅲ型)」
・エネマネ・EMS導入で使える「エネルギー需要最適化型(Ⅳ型)」
この記事の目次
省エネ・非化石転換補助金とは?どんな事業者の何を支援する制度か

省エネ・非化石転換補助金は、工場・事業場の省エネ設備への更新、電化・燃料転換、EMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入にかかる費用の一部を国が補助する制度です。国内で事業を営む法人と個人事業主(青色申告者)が対象で、中小企業から大企業まで申請できます。
正式名称と所管・執行団体
正式名称は「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」と「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の2事業です。前者はGX経済移行債、後者はエネルギー対策特別会計を財源としています。
所管は経済産業省(資源エネルギー庁)です。執行は一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が代表幹事となり、大日本印刷株式会社(DNP)との共同事業体で行っています。申請者とのやり取りはすべてSIIが窓口です。
「非化石転換」とはどういう意味か

非化石転換とは、石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料から、水素・アンモニア・バイオマス燃料などの非化石エネルギーへ切り替えることです。2023年施行の改正省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)で、非化石エネルギーもエネルギーの定義に加わりました。
本補助金では、非化石燃料への転換に加え、ボイラの電化やより低炭素なガスへの燃料転換も支援対象です。ただし、太陽光発電や風力発電など燃料を使わない再エネ設備は対象外です。
エネルギーコスト高・設備老朽化・脱炭素対応を同時に進められる

本補助金が役立つのは、主に次の4つの課題を抱える事業者です。
- 原油・電力価格の上昇でエネルギーコストが経営を圧迫している
- 取引先や金融機関から脱炭素(CO2削減)への対応を求められている
- ボイラ・空調・工作機械などが老朽化し、更新時期を迎えている
- どこにエネルギーの無駄があるか把握できていない
公募要領でも、中東情勢による原油価格の高騰を受けて省エネ型設備の導入がより重要になったと明記されています。更新のタイミングで高効率設備を選べば、設備更新・省エネ・脱炭素を一度に進められます。
2026年の公募スケジュールは?3次公募は9月28日締切
令和7年度補正予算の公募は3回実施され、3次公募は2026年8月20日(木)〜9月28日(月)17時必着です。工場・事業場型と設備単位型でスケジュールは共通です。| 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金の公募スケジュール | ||
|---|---|---|
| 公募回 | 公募期間 | 交付決定 |
| 1次公募 | 2026年3月30日(月)〜4月27日(月)※終了 | 2026年6月19日(金)実施済み |
| 2次公募 | 2026年6月1日(月)〜7月9日(木)※終了 | 2026年9月9日(水)実施済み |
| 3次公募 | 2026年8月20日(木)〜9月28日(月)17時必着 | 2026年11月下旬(予定) |
- 申請書類は郵送のみ(配送状況が確認できる方法)。持参は不可
- 単年度事業の事業完了期限は2027年1月31日(日)
- 3次公募予算(Ⅰ・Ⅱ・GX設備単位型・Ⅳの合計)は2026年度分が約70億円、2027年度分が約545億円
- (Ⅲ)設備単位型[従来枠]の3次公募予算は2026年度分が約30億円、2027年度分が約12億円
2つの申請型と4つの事業区分はどう違う?
省エネ・非化石転換補助金は、「工場・事業場型」と「設備単位型」の2つの申請型に分かれ、その中に(Ⅰ)〜(Ⅳ)の4つの事業区分があります。申請型ごとに公募要領・申請窓口が別々です。
工場・事業場型と設備単位型の違い

工場・事業場型は事業所全体の省エネ計画で申請し、設備単位型は更新する設備ごとに申請します。
| 工場・事業場型と設備単位型の比較 | |||
|---|---|---|---|
| 申請型 | 省エネ効果の評価単位 | 支援期間(複数年度事業) | 含まれる事業区分 |
| 工場・事業場型 | 事業所全体 | 最大4年 | (Ⅰ)工場・事業場型、(Ⅳ)エネルギー需要最適化型 |
| 設備単位型 | 導入する設備ごと | 最大2年 | (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型、(Ⅲ)設備単位型/GX設備単位型、(Ⅳ)エネルギー需要最適化型 |
4つの事業区分と申請枠の全体マップ

4つの事業区分は、それぞれ次のような投資に対応しています。
| 4つの事業区分と主な申請枠 | ||
|---|---|---|
| 事業区分 | 申請枠・事業類型 | 向いている投資 |
| (Ⅰ)工場・事業場型 | 先進枠/一般枠/中小企業投資促進枠/サプライチェーン連携枠 | 先進設備・オーダーメイド型設備を含む事業所全体の大規模な設備更新 |
| (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 | 更新・改造事業/新設事業 | ボイラ・工業炉などの電化、低炭素燃料への転換、水素対応設備の導入 |
| (Ⅲ)設備単位型/GX設備単位型 | 従来枠/メーカー強化枠/トップ性能枠 | 空調・変圧器・LED・工作機械など15区分の指定設備への更新 |
| (Ⅳ)エネルギー需要最適化型 | - | EMSによるエネルギーの見える化・制御・運用改善 |
- (Ⅰ)一般枠などで、事業所全体に加えて設備単位でも省エネ要件を満たすことが必要に
- (Ⅰ)にサプライチェーン上の4者以上で申請する「サプライチェーン連携枠」を新設
- (Ⅱ)で水素燃焼が可能な設備への改造・水素対応設備の新設が対象に
- (Ⅲ)に「GX設備単位型(メーカー強化枠・トップ性能枠)」を新設。トップ性能枠は新設も対象
- (Ⅳ)で新設事業所や新規製造ラインへのEMS導入も対象に

(Ⅰ)工場・事業場型の補助率・上限額・要件は?
(Ⅰ)工場・事業場型の補助率は中小企業者等で最大2/3、上限額は単年度事業で15億円(非化石転換は20億円)です。事業所全体の省エネ率などで要件を判定し、設計費・設備費・工事費がすべて補助対象になります。
| (Ⅰ)工場・事業場型の4つの申請枠 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 申請枠 | 事業所全体の省エネ要件(いずれか) | 投資回収年数 | 補助率 | 上限額(単年度/複数年度) |
| 先進枠 | 省エネ率30%以上/省エネ量1,000kl以上/原単位改善率15%以上 | 5年以上 | 中小2/3以内・大企業1/2以内 | 15億円(20億円)/30億円(40億円) |
| 一般枠 | 省エネ率10%以上/省エネ量700kl以上/原単位改善率7%以上 | 5年以上 | 中小1/2以内・大企業1/3以内(投資回収7年未満は中小1/3・大企業1/4) | 15億円(20億円)/20億円(30億円) |
| 中小企業投資促進枠 | 省エネ率7%以上/省エネ量500kl以上/原単位改善率5%以上 | 3年以上 | 中小1/2以内(投資回収5年未満は1/3)・大企業は対象外 | 15億円(20億円)/20億円(30億円) |
| サプライチェーン連携枠 | 1者あたり省エネ率5%以上(4者以上) | 中小3年以上・大企業5年以上 | 中小1/2以内・大企業1/3以内(投資回収年数により減額あり) | 15億円(20億円)/20億円(30億円) |
※( )内は非化石転換の場合。下限額は100万円。省エネ率には非化石割合増加率、省エネ量には非化石使用量を含めて判定できます。
一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン連携枠では、設備単位でも「省エネ率10%以上・省エネ量1kl以上・経費あたり省エネ量1kl/千万円以上」のいずれか(オーダーメイド型設備は経費あたり省エネ量)を満たす必要があります。事業所全体で要件を満たしても、効果の低い設備が混ざっていると補助対象外になる点に注意しましょう。
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型の補助率・上限額・要件は?
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型は、化石燃料設備を電化設備や低炭素燃料設備へ更新する事業を支援します。補助率は企業規模を問わず1/2以内、上限額は3億円(電化の場合は5億円)です。
| (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型の事業類型 | |||
|---|---|---|---|
| 事業類型 | 内容 | 補助率 | 上限額 |
| 更新事業 | 化石燃料設備から電化設備・低炭素燃料設備への更新 | 1/2以内 | 3億円(電化は5億円) |
| 改造事業 | 既存設備を水素燃焼が可能な仕様に改造 | 1/2以内 | 3億円 |
| 新設事業 | 水素燃料を活用できる設備を新設 | 1/5以内 | 3億円 |
※下限額は30万円。
対象設備は指定設備のうち、産業ヒートポンプ・業務用ヒートポンプ給湯器・高性能ボイラ・高効率コージェネレーション・低炭素工業炉の5区分です。ヒートポンプで対応できる低温域は電化のみが対象になります。
補助対象経費は設備費が基本です。工事費は、更新・新設事業では中小企業者等のみ、改造事業では企業規模を問わず対象になります。水素対応設備は、混焼率10%以上(体積比)で実際に稼働させることが必須要件です。また、(Ⅱ)型の申請者は全員、GX要件(GX推進への取組と化石燃料継続使用に関するコミットメント)を表明する必要があります。
(Ⅲ)設備単位型/GX設備単位型の補助率・上限額・要件は?
(Ⅲ)設備単位型は、SIIが公表した指定設備へ更新する事業を支援します。補助率は従来枠で1/3以内、上限額は1億円で、下限額は30万円です。
| (Ⅲ)設備単位型/GX設備単位型の比較 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 申請枠 | 対象設備 | GXメーカー要件 | 補助率(中小・大企業共通) | 上限額 |
| 従来枠 | 指定設備への更新 | 不要 | 1/3以内 | 1億円 |
| メーカー強化枠 | GX要件を満たすメーカーの指定設備への更新 | 必須 | 1/3以内 | 3億円 |
| トップ性能枠 | トップ性能基準を満たす設備への更新・新設 | 必須 | 更新1/2以内・新設1/5以内 | 3億円 |
指定設備は、ユーティリティ設備10区分(高効率空調・産業ヒートポンプ・業務用給湯器・高性能ボイラ・高効率コージェネレーション・低炭素工業炉・変圧器・冷凍冷蔵設備・産業用モータ・制御機能付きLED照明器具)と、生産設備5区分(工作機械・プラスチック加工機械・プレス機械・印刷機械・ダイカストマシン)の計15区分です。
省エネ要件は「省エネ率10%以上・省エネ量1kl以上・経費あたり省エネ量1kl/千万円以上」のいずれかです。注意したいのは、補助対象経費が設備費のみという点です。据付・工事費、配線・配管、既存設備の撤去費は補助の対象になりません。
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型の補助率・上限額・要件は?
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型は、SIIに登録されたEMSを導入し、エネルギー使用量の見える化と運用改善を行う事業を支援します。補助率は中小企業者等1/2以内・大企業1/3以内、上限額は1億円、下限額は30万円です。
| (Ⅳ)エネルギー需要最適化型の申請ルート | ||
|---|---|---|
| 項目 | 工場・事業場型で申請 | 設備単位型で申請 |
| EMSのみの単独申請 | 可能 | 不可((Ⅱ)または(Ⅲ)との組み合わせが必須) |
| 補助率 | 中小1/2以内・大企業1/3以内 | 中小1/2以内・大企業1/3以内 |
| 上限額 | 1億円 | 1億円(組み合わせ先の上限額と合算) |
補助対象経費は設計費・設備費・工事費です。申請時には、省エネ推進体制と3項目以上の省エネ取組を盛り込んだ2年間の「EMS活用計画」を作り、省エネ率2%改善を目安とします。事業後は1年目・2年目の成果をSIIに報告し、自社ホームページで公表する必要があります。
補助率・補助金上限額を一覧で比較すると?
補助率が最も高いのは(Ⅰ)先進枠の中小企業者等(2/3以内)、上限額が最も大きいのは(Ⅰ)先進枠の複数年度事業(非化石転換で40億円)です。
| 事業区分別の補助率・上限額(単年度事業) | ||||
|---|---|---|---|---|
| 事業区分 | 申請枠 | 中小企業者等 | 大企業等 | 上限額 |
| (Ⅰ)工場・事業場型 | 先進枠 | 2/3以内 | 1/2以内 | 15億円(非化石20億円) |
| (Ⅰ)工場・事業場型 | 一般枠 | 1/2以内 | 1/3以内 | 15億円(非化石20億円) |
| (Ⅰ)工場・事業場型 | 中小企業投資促進枠 | 1/2以内 | 対象外 | 15億円(非化石20億円) |
| (Ⅰ)工場・事業場型 | サプライチェーン連携枠 | 1/2以内 | 1/3以内 | 15億円(非化石20億円) |
| (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 | 更新・改造事業 | 1/2以内 | 1/2以内 | 3億円(電化5億円) |
| (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 | 新設事業 | 1/5以内 | 1/5以内 | 3億円 |
| (Ⅲ)設備単位型 | 従来枠 | 1/3以内 | 1/3以内 | 1億円 |
| (Ⅲ)GX設備単位型 | メーカー強化枠 | 1/3以内 | 1/3以内 | 3億円 |
| (Ⅲ)GX設備単位型 | トップ性能枠 | 更新1/2以内・新設1/5以内 | 更新1/2以内・新設1/5以内 | 3億円 |
| (Ⅳ)エネルギー需要最適化型 | - | 1/2以内 | 1/3以内 | 1億円 |
※(Ⅰ)一般枠などは投資回収年数が短い場合に補助率が下がります。(Ⅳ)型を組み合わせる場合は、各区分の上限額の合計が事業全体の上限額です。
採択率はどのくらい?2026年1次・2次公募の結果
SIIの公表資料によると、2026年の採択率は工場・事業場型で8割台、設備単位型で9割台です。要件を満たし、書類不備のない申請であれば採択の可能性は高いといえます。
| 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金の採択結果 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 公募回・区分 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 | 採択金額合計 | 1件あたり平均 |
| 1次・(Ⅰ)(Ⅳ)工場・事業場型 | 250件 | 213件 | 85.2% | 315.1億円 | 約1.48億円 |
| 2次・(Ⅰ)(Ⅳ)工場・事業場型 | 245件 | 205件 | 83.7% | 296.3億円 | 約1.45億円 |
| 1次・(Ⅲ)設備単位型/GX設備単位型 | 1,816件 | 1,695件 | 93.3% | 205.3億円 | 約1,211万円 |
| 2次・(Ⅲ)設備単位型/GX設備単位型 | 1,410件 | 1,307件 | 92.7% | 138.1億円 | 約1,057万円 |
| 1次・(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 | 91件 | 84件 | 92.3% | 13.5億円 | 約1,607万円 |
| 2次・(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 | 82件 | 75件 | 91.5% | 14.7億円 | 約1,960万円 |
※「1件あたり平均」は採択金額合計÷採択件数で当サイトが算出した単純平均です。
2次公募の(Ⅲ)型を設備区分別に見ると、高効率空調が627件申請・590件採択で最多でした。工作機械は285件申請・274件採択(96.1%)、変圧器は49件申請・46件採択(93.9%)です。一方、産業用モータは93件申請・67件採択(72.0%)と、他の区分より採択率が低めでした。
対象となる事業者の要件は?中小企業者等と大企業の違い
申請できるのは、国内で事業活動を営む法人と個人事業主です。個人事業主は青色申告者に限られ、直近決算で債務超過の場合は対象外となります。
中小企業者等に該当する条件
資本金基準または従業員数基準のいずれかを満たせば、中小企業者に該当します。
| 中小企業者の定義(いずれかを満たす) | ||
|---|---|---|
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
| 製造業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
医療法人・社会福祉法人・学校法人・NPO法人など会社法上の会社以外の法人も、従業員300人以下であれば「中小企業者等」として扱われます。一方、資本金5億円以上の法人の100%子会社などの「みなし大企業」は中小企業者等から除かれます。
大企業が満たすべき追加要件
大企業は、次のいずれかに該当する場合のみ申請できます。
- 省エネ法の事業者クラス分け評価制度で「Sクラス」に該当する
- 同制度で「Aクラス」に該当する
- 中長期計画書のベンチマーク指標で、2030年度の見込みが目標値を達成する
他の補助金・税制との併用ルール
補助対象経費が重複する他の国の補助金とは併用できません。ただし、地方公共団体が一般財源で実施する補助金とは併用可能です。税制では中小企業経営強化税制との併用が認められています。
審査で加点される項目は?
3次公募の公募要領では、次のような取組を行う事業者に追加の評価(加点)があります。中小企業者等は、該当する項目がないか申請前に確認しておきましょう。
- 中小企業者等が行う省エネルギー事業
- 資源エネルギー庁「省エネ・地域パートナーシップ」のパートナー金融機関による支援を受けた事業(確認書を添付)
- 2023年度以降に国の事業で省エネルギー診断を受けた事業所の事業
- 経営力向上計画の認定、または経営革新計画の承認を受けた企業の事業
- 「パートナーシップ構築宣言」を公表している企業の事業
- 省エネ法のベンチマーク改善に資する事業(大企業を除く)
工場・事業場型では、売上高に占めるエネルギーコストが10%以上の「エネルギー集約型企業」や、地域未来牽引企業なども評価対象です。省エネ診断は申請前の準備としても役立つため、未受診であれば検討してみてください。
業種別に見ると、どの区分で何を更新できる?
結論からいえば、製造業の多くは(Ⅲ)型の指定設備で使いやすく、ボイラ・炉の転換なら(Ⅱ)型、工場全体の刷新なら(Ⅰ)型が候補です。業種ごとの主な対象設備を整理しました。
| 業種別の主な対象設備と検討しやすい事業区分 | ||
|---|---|---|
| 業種 | 主な対象設備の例 | 検討しやすい区分 |
| 機械加工・金属加工 | NC旋盤・マシニングセンタ・レーザ加工機・複合加工機、プレス機械、コンプレッサ | (Ⅲ)型(ライン全体の刷新は(Ⅰ)型) |
| 鋳造・熱処理 | 低炭素工業炉、ダイカストマシン | (Ⅲ)型、電化・燃料転換は(Ⅱ)型 |
| 食品工場 | 冷凍冷蔵設備、高性能ボイラ、産業ヒートポンプ、業務用給湯器 | (Ⅲ)型、ボイラの電化は(Ⅱ)型 |
| 印刷業 | 印刷機械(有版・デジタル)、業務用空調 | (Ⅲ)型 |
| プラスチック・ゴム製品 | 射出・押出・ブロー成形機、ボイラ、空調 | (Ⅲ)型、指定設備にない専用機は(Ⅰ)型のオーダーメイド型設備を検討 |
| 化学工業 | 蒸気ボイラ、蒸気発生ヒートポンプ、MVR型蒸発装置(トップ性能枠) | (Ⅲ)GX設備単位型、(Ⅱ)型、(Ⅰ)型 |
| 倉庫・物流 | 冷凍冷蔵設備、制御機能付きLED照明、変圧器、空調 | (Ⅲ)型 |
| 建設業・オフィス | 業務用空調、制御機能付きLED照明、変圧器 | (Ⅲ)型 |
| 病院・介護施設 | 業務用空調、業務用給湯器、ボイラ、LED照明 | (Ⅲ)型 |
自社に合った事業区分の選び方は?
事業区分は「何を・どの範囲で更新するか」で決まります。迷ったときは、次の目安で絞り込みましょう。
| 目的別の事業区分の選び方 | |
|---|---|
| 目的 | 候補となる事業区分 |
| 空調・変圧器・LEDなど汎用設備を1台から更新したい | (Ⅲ)設備単位型[従来枠] |
| GX要件を満たすメーカーの設備で上限額を増やしたい | (Ⅲ)GX設備単位型[メーカー強化枠] |
| 特に高性能な設備を更新・新設したい | (Ⅲ)GX設備単位型[トップ性能枠] |
| 重油ボイラや工業炉を電化・燃料転換したい | (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 |
| オーダーメイド設備を含め工場全体で大きく省エネしたい | (Ⅰ)工場・事業場型[一般枠・先進枠] |
| 取引先など4者以上でまとめて設備更新したい | (Ⅰ)工場・事業場型[サプライチェーン連携枠] |
| まずエネルギー使用量を見える化したい | (Ⅳ)エネルギー需要最適化型 |
申請の流れと注意点は?
申請は、SIIの「補助事業ポータル」でアカウントを登録し、Web入力した内容を印刷して郵送する流れです。ポータルへの入力だけでは申請完了にならない点に注意してください。
- 公募要領・交付申請の手引きを確認する
- 3者以上から見積を取得する(2026年3月25日以降の発行分であれば有効)
- SIIホームページで補助事業ポータルのアカウントを登録する(1次・2次のアカウントは3次でも利用可)
- ポータルに事業内容を入力し、申請書類を出力・ファイリングする
- 申請書類一式を9月28日17時必着で郵送する
- 交付決定(11月下旬予定)後に契約・発注し、2027年1月31日までに事業を完了する
- 実績報告・確定検査を経て補助金を受け取り、成果報告を行う
- 交付決定前に契約・発注した設備は補助対象外
- 中古品、予備設備、兼用設備は対象外
- 成果報告で計画した省エネ量が未達の場合、補助金の返還を求められることがある
- 取得した設備を法定耐用年数内に処分する場合はSIIの承認が必要
令和9年度以降も続く?概算要求は2,108億円
経済産業省は令和9年度概算要求で、「省エネルギー・非化石転換の投資促進・社会実装支援事業」に2,108億円を要求しました。令和8年度当初予算の840億円、令和7年度補正予算の550億円を上回る規模です。
概算要求は予算編成前の要求段階であり、公募の時期や補助率などの制度内容は、今後の予算成立と公募要領の公表を待つ必要があります。今回の3次公募に間に合わない場合は、次回以降の公募に向けて省エネ診断や見積の準備を進めておくとよいでしょう。国・自治体の省エネ補助金全体は、以下の記事でまとめています。
省エネ・非化石転換補助金に関するよくある質問
省エネ・非化石転換補助金の3次公募の締切はいつですか?
3次公募は2026年8月20日(木)から9月28日(月)17時必着です。工場・事業場型と設備単位型で共通の日程で、交付決定は2026年11月下旬の予定です。申請書類は郵送のみで、持参はできません。
「非化石転換」とはどういう意味ですか?
石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料から、水素・アンモニア・バイオマス燃料などの非化石エネルギーへ切り替えることです。改正省エネ法で非化石エネルギーもエネルギーの定義に加わりました。本補助金では、電化や低炭素燃料への燃料転換も支援対象です。
採択率はどのくらいですか?
2026年2次公募の採択率は、工場・事業場型が83.7%(245件中205件)、(Ⅲ)設備単位型/GX設備単位型が92.7%(1,410件中1,307件)、(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型が91.5%(82件中75件)でした。ただし予算の範囲内で上位から採択されるため、3次公募でも同じ採択率になるとは限りません。
まず申請しやすいのはどの事業区分ですか?
設備1台から申請できる(Ⅲ)設備単位型の従来枠です。空調・変圧器・LEDなどSIIが公表した指定設備へ更新すれば対象になり、補助事業ポータルに稼働時間などを入力すると省エネ量が自動計算されます。補助率は1/3以内、上限額1億円、下限額30万円です。
変圧器や業務用エアコン、LED照明の更新にも使えますか?
使えます。変圧器・高効率空調・制御機能付きLED照明器具は(Ⅲ)設備単位型の指定設備です。SIIが定めた基準を満たし、補助対象設備として公表された製品が対象で、LEDは調光制御機能付きの器具に限られます。対象製品はSIIの「指定設備の補助対象設備一覧」で検索できます。
工事費は補助対象になりますか?
事業区分によって異なります。(Ⅰ)工場・事業場型と(Ⅳ)エネルギー需要最適化型は設計費・設備費・工事費が対象です。(Ⅲ)設備単位型は設備費のみで工事費は対象外です。(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型の工事費は、更新・新設事業では中小企業者等のみ、改造事業では企業規模を問わず対象です。
EMSだけを導入したい場合はどこに申請しますか?
工場・事業場型の(Ⅳ)エネルギー需要最適化型に単独で申請します。設備単位型では、(Ⅳ)型は(Ⅱ)型または(Ⅲ)型との組み合わせでしか申請できません。令和7年度補正予算からは、新設事業所や新規製造ラインへのEMS導入も対象になりました。
個人事業主や医療法人・社会福祉法人も申請できますか?
申請できます。個人事業主は青色申告者に限られます。医療法人・社会福祉法人・学校法人・NPO法人などは、従業員300人以下であれば中小企業者等として扱われ、中小企業向けの補助率が適用されます。
工場の新設や設備の増設でも使えますか?
原則は既存設備の更新が対象で、(Ⅰ)工場・事業場型では新設事業所への導入や増設は対象外です。例外として、(Ⅲ)GX設備単位型のトップ性能枠(補助率1/5以内)、(Ⅱ)型の水素対応設備の新設(1/5以内)、(Ⅳ)型のEMS導入は新設事業所でも申請できます。
交付決定前に設備を発注しても補助対象になりますか?
なりません。契約・発注は必ず交付決定日以降に行ってください。一方、3者以上の見積依頼・競争入札は、1次公募の公募要領公開日(2026年3月25日)以降の発行であれば、交付決定前に行ったものも有効です。
他の補助金や税制優遇と併用できますか?
補助対象経費が重複する他の国の補助金とは併用できません。ただし、地方公共団体が一般財源で実施する補助金とは併用が認められています。税制では中小企業経営強化税制との併用が可能で、その他の税制は各窓口への確認が必要です。
申請サポート(コンサルティング)の費用は補助対象ですか?
補助対象経費は区分ごとに設計費・設備費・工事費に限られ、申請書類の作成支援などの費用は含まれません。交付決定前に要した経費や会議費などの諸経費も対象外です。外部に依頼する場合は、補助金とは別の自己負担として予算に組み込みましょう。
公募要領はどこで入手できますか?
SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)のホームページ(sii.or.jp)から無料でダウンロードできます。工場・事業場型と設備単位型で公募要領が分かれているため、申請する型の3次公募用を確認してください。制度の解説は省エネ補助金の特設サイト(syouenehojyokin.sii.or.jp)にも掲載されています。
まとめ
省エネ・非化石転換補助金(令和7年度補正予算)は、設備更新・電化・燃料転換・EMS導入までを支援する国の補助金です。3次公募の締切は2026年9月28日(月)17時必着で、2次公募の採択率は工場・事業場型83.7%、設備単位型(Ⅲ型)92.7%でした。
汎用設備の更新なら(Ⅲ)型、ボイラ・炉の電化なら(Ⅱ)型、工場全体の刷新なら(Ⅰ)型、見える化から始めるなら(Ⅳ)型が目安です。区分によって補助率と補助対象経費が大きく異なるため、自社の投資内容と照らし合わせて申請先を選びましょう。
(Ⅰ)工場・事業場型 先進枠:03-5565-3840
(Ⅰ)工場・事業場型 一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン連携枠:03-5565-4463
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型:03-5565-3840
(Ⅲ)設備単位型/GX設備単位型:0570-01-5116(IP電話からは042-303-0855)
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型:03-5565-4773
受付時間:10:00〜12:00、13:00〜17:00(土日祝日を除く)
・工場のボイラ・空調・生産設備更新で使える「工場・事業場型(Ⅰ型)」
・燃料転換・電化・水素対応で使える「電化・脱炭素燃転型(Ⅱ型)」
・業務用エアコン・LED・変圧器の更新で使える「設備単位型(Ⅲ型)」
・エネマネ・EMS導入で使える「エネルギー需要最適化型(Ⅳ型)」
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