
近年、エネルギー価格の高騰やカーボンニュートラルへの関心の高まりを背景に、省エネルギー化や非化石エネルギーへの転換が急務となっています。
こうした流れを踏まえ、国は令和7年(2025年)度も「省エネ・非化石エネルギー転換支援補助金」を実施します。本記事では制度の概要を整理し、補助金の活用に向けて申請要件やスケジュールのポイントを解説します。
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この記事の目次
省エネ・非化石転換補助金とは
省エネ・非化石転換補助金は、省エネ設備・機器と非化石エネルギーを使用する設備・機器の更新費用等の一部を支援する制度です。令和6年度の補正予算に基づいて実施されており、2つの補助金で構成されています。執行団体は、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)です。
■省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(工場・事業場全体の省エネを対象): Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅳ型 ■省エネルギー投資促進支援事業費補助金(設備単位での省エネを対象): Ⅲ型、Ⅳ型 |
出典:SII 令和6年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金 概要パンフレットより抜粋
この補助金には、4つの事業区分があり、それぞれ対象や要件が異なります。ここからは、それぞれの内容を順に紹介します。
(Ⅰ)工場・事業場型
Ⅰ型は、生産ラインの更新等、工場・事業場全体で省エネを図る設備等の導入を支援する型です。
今年度からの見直しにより、事業場全体で指定設備へ更新等する事業が新たに補助対象となりました。あわせて、中小企業における大規模な省エネ投資を後押しするため、「中小企業投資促進枠」も追加されています。
事業区分 | 概要 | 補助率 | 上限額 | |
(Ⅰ) 工場・事業場型 | SIIが予め採択したⓐ先進設備・システムへ更新等する事業【先進枠】 | 中小 2/3以内 | 大企業 1/2以内 | 15億円/年度 |
ⓑ設計が伴うオーダーメイド型設備またはⓒ省エネ効果が高い高効率な設備(指定設備)へ更新等する事業【一般枠または中小企業投資促進枠】 | 中小 1/2以内 | 大企業 1/3以内 | 15億円/年度 |
※中小企業投資促進枠は、大企業は対象外
ⓐ,ⓑ,ⓒの詳細は以下のとおりです。
資源エネルギー庁に設置された「先進的な省エネ技術等に係る技術評価委員会」において決定した審査項目に則り、SIIが設置した外部審査委員会で審査・採択した先進設備・システムへ更新等する事業
ⓑオーダーメイド型設備の導入
機械設計が伴う設備または事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造する設備等(オーダーメイド型設備)へ更新等する事業
ⓒ指定設備の導入
SIIが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、登録及び公表した設備の導入
省エネルギー効果の要件
申請にあたり満たすべき省エネルギー効果の要件が、枠ごとに定められています。
「先進枠」 申請単位において、原油換算量ベースで、以下のいずれかの要件を満たす事業 ① 省エネ率+非化石割合増加率:30%以上 ② 省エネ量+非化石使用量 :1,000kl以上 ③ エネルギー消費原単位改善率:15%以上 ※非化石転換の場合も増エネ設備は対象外。 ※「一般枠」の補助対象設備を組み合わせて上記要件を満たすことも可。 ※投資回収年数が5年以上であること。 |
「一般枠」 申請単位において、原油換算量ベースで、以下のいずれかの要件を満たす事業 ① 省エネ率+非化石割合増加率: 10%以上 ② 省エネ量+非化石使用量 : 700kl以上 ③ エネルギー消費原単位改善率: 7%以上 ※ 非化石転換の場合も増エネ設備は対象外。 ※投資回収年数が5年以上であること。 |
「中小企業投資促進枠」 単位において、原油換算量ベースで、以下のいずれかの要件を満たす事業 ① 省エネ率+非化石割合増加率: 7%以上 ② 省エネ量+非化石使用量 : 500kl以上 ③ エネルギー消費原単位改善率: 5%以上 ※ 非化石転換の場合も増エネ設備は対象外。 ※ SIIが指定するフォーマットにより、一般枠の効果を満たす事業計画書を作成・公表すること。 ※ 投資回収年数が3年以上であること |
【補助対象経費】
設計費・設備費・工事費
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
Ⅱ型は、化石燃料から電気への転換や、より低炭素な燃料への転換等、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備等の導入を支援する型です。
ⓒ指定設備のうち、電化や脱炭素を目的とした燃料転換を伴う設備の導入が補助対象です。
SII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)があらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録・公表された設備区分の中から選択する必要があります。対象となるのは以下の設備です。
・産業ヒートポンプ
・業務用ヒートポンプ給湯器
・低炭素工業炉
・高効率コージェネレーションシステム
・高性能ボイラ
なお、これらに該当しない場合であっても、SIIが高性能と認め、電化や脱炭素に資するものとして指定した設備については、補助対象となる場合があります。
【補助対象経費】
設備費・工事費(電化する事業の場合は付帯設備も対象)
※工事費は中小企業者等のみ
事業区分 | 概要 | 補助率 | 上限額 |
(II)電化・脱炭素燃転型 | 電化・脱炭素目的の燃料転換を伴う省エネ効果が高い高効率な設備(指定設備)へ更新等する事業 | 1/2以内 | 3億円/事業全体 |
(Ⅲ)設備単位型
Ⅲ型は、SIIが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、登録及び公表した設備の導入を支援する型です。補助対象は、大きく「ユーティリティ設備」と「生産設備」に分かれます。
【ユーティリティ設備】
・高効率空調
・産業ヒートポンプ
・業務用給湯器
・高性能ボイラ
・高効率コージェネレーション
・低炭素工業炉
・変圧器
・冷凍冷蔵設備
・産業用モータ
・制御機能付きLED照明器具
【生産設備】
・工作機械
・プラスチック加工機械
・プレス機械
・印刷機械
・ダイカストマシン
このほか、上記に該当しない場合でも、SIIが高性能と認めて指定した設備は補助対象に含まれます。
また、複数年度(最大2年間)にわたる設備投資計画も支援の対象となっており、段階的な導入や大規模な計画にも柔軟に対応できる制度設計がなされています。EMSを導入してエネルギー使用状況の見える化や運用改善を図る事業(Ⅳ型:次項参照)との併用も可能です。
【省エネ要件】
今年から、省エネ要件が追加されました。以下のいずれかを満たす必要があります。
①省エネ率 : 10%以上 ②省エネ量 : 1kl以上 ③経費当たり省エネ量 :1kl/千万円以上 |
なお、省エネ法に基づく定期報告義務がない事業者(特定事業者以外の事業者)は、エネルギー合理化に関する中長期計画を策定することも要件になっています。
【補助対象経費】
設備費
事業区分 | 概要 | 補助率 | 上限額 |
(Ⅲ)設備単位型 | SIIが補助対象設備として登録および公表した省エネ効果が高い高効率な設備(指定設備)へ更新等する事業 | 1/3以内 | 1億円 |
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型
Ⅳ型は、SIIに採択されたエネマネ事業者と登録されたEMSを用いて、より効果的に省エネルギー化を図り、エネルギー需要の最適化を図る事業です。
Ⅳ型のみで申請する場合は、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」が申請窓口となります。一方、「(Ⅲ)設備単位型」と組み合わせて申請する場合は、「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」として一体的に申請する必要があります。
【申請要件】
今年は省エネ要件の見直しが行われました。
SIIが予め定めたシステム要件を満たし、補助対象設備として登録及び公表したEMSを導入して、導入する範囲において設備または工程単位のエネルギー消費状況を把握・表示・分析し、運用改善を実施すること。EMSを活用した省エネの中長期計画を作成、改善による成果の公表を行うこと。(原油換算量ベースで2%改善を目安とする) |
【補助対象経費】
設計費・設備費・工事費
事業区分 | 概要 | 補助率 | 上限額 | |
(IV)エネルギー需要最適化型 | SIIに登録されたⓓEMS機器を用いて、エネルギー使用状況の見える化や運用改善を図る事業 | 中小:1/2以内 | 大企業:1/3以内 | 1億円/事業全体 |
省エネ・非化石転換補助金の公募スケジュール
公募区分 | 期間 |
1次公募 | 令和7(2025)年3月31日(月)~4月28日(月) |
2次公募 | 令和7年6月上旬~7月上旬(予定) |
3次公募 | 令和7年8月中旬~9月下旬(予定) |
【公募説明会】
補助金事業の概要や申請方法に関する説明、質疑応答を含む公募説明会が、以下の日程で開催されます。参加を希望する方は、公式サイトの「エントリーはこちら」から事前にお申し込みください。
なお、東京・大阪会場については、会場での実施に加え、オンライン配信も予定されています。現地参加が難しい方は、オンラインでの視聴も可能です。
開催日 | 開催地 | 備考 |
令和7(2025)年4月2日(水) | 東京 | 来場+オンライン配信 |
令和7年4月3日(木) | 仙台、名古屋、大阪 | 大阪は来場+オンライン配信 |
令和7年4月4日(金) | 札幌、金沢、福岡 | 来場型 |
令和7年4月11日(金) | オンライン開催 | 事前エントリー不要 |
まとめ
「省エネ・非化石転換補助金」は、エネルギー価格の高騰やカーボンニュートラルへの対応といった背景を受けて、令和6年度補正予算に基づき設けられた支援制度です。設備単位での省エネ投資から、工場・事業場全体の包括的な更新、電化・脱炭素を目的とした燃料転換、EMSを活用したエネルギー管理まで、幅広い事業が補助対象となっています。
中小企業の設備更新や省エネ投資にも対応しており、事業の内容に応じて補助率や上限額が細かく定められています。補助金の活用を検討する場合は、できるだけ早めに対応を進めることが大切です。まずは、自社の設備やエネルギーの使い方を見直し、どの事業区分に該当するかを確認したうえで、事業計画の作成や必要書類の準備に着手しましょう。
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