東京都は令和8年度(2026年度)、中小企業等の省エネ設備投資を支援する「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業」を、事業規模102.3億円の大型予算で実施しています。高効率空調・LED照明・断熱窓・高効率ボイラーなどの省エネ設備の導入や運用改善に対し、対象経費の最大3/4・上限4,500万円が助成される、東京都でも屈指の規模を誇る補助制度です。
令和8年度は全6回に分けて交付申請を受け付けており、第1回・第2回はすでに受付を終了。第3回は2026年7月31日(金)から8月14日(金)まで受付が始まります。設備更新を検討している都内の中小企業にとっては、次の申請機会を逃さないことが重要です。
この記事では、対象事業者・対象設備・助成額・申請スケジュール・必要書類、そして令和8年度から変更された2つのポイントまで、令和8年度版の最新情報をもとにわかりやすく解説します。「東京都 中小企業 省エネ補助金」「ゼロエミ 省エネ 補助金」をお探しの経営者・担当者の方はぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業とは?補助率・上限額を解説
ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業は、東京都が中小企業等の省エネ設備投資を後押しする助成金です。助成率は最大3/4、上限額は最大4,500万円で、令和8年度の事業規模は102.3億円にのぼります。実施期間は令和5年度から令和8年度まで(助成金の交付は令和9年度まで)で、公益財団法人東京都環境公社(クール・ネット東京)が申請受付・審査・交付を担当します。
エネルギーの消費に伴って発生する「エネルギー起源CO2」は、都内の温室効果ガス排出量の大部分を占めています。部門別では業務・産業部門が全体のおよそ半分を占め、そのうち約6割が中小企業からの排出とされているのが現状です。こうした課題に対応するため、東京都は都内中小企業の省エネ設備の導入や運用改善の実践を積極的に支援しています。
「ゼロエミッション」は、1994年に国連大学が提唱した、廃棄物を有効活用するための考え方です。「2050年頃にCO2排出実質ゼロ」に貢献するため、東京都は2019年5月に脱炭素戦略として「ゼロエミッション東京」を掲げました。本事業はその中核施策の一つで、中小企業の省エネ設備投資を費用面から後押しし、CO2削減と光熱費削減を同時に実現します。
令和8年度の主な変更点|誓約書と支払証憑の取扱い
令和8年度は、助成率(3/4または2/3)や上限額(最大4,500万円)といった基本的な枠組みは前年度から維持されています。一方で、申請手続きまわりで2つの重要な変更が加わりました。
1つ目は、手続代行者を介して申請する場合の誓約書の取扱いです。これまでフォーム上で代理誓約とされていた部分について、令和8年度からは申請者本人が署名(または押印)した誓約書および同意書の提出が必須となりました。手続代行を利用する場合でも、事業者本人の書面を確実に用意する必要があります。
2つ目は、工事完了時の支払証憑です。口座の入出金履歴がわかる「振込明細書」や「通帳の写し」が必須となり、領収書での提出は基本的に受理されない取扱いに変わっています。銀行振込による支払いを前提に、証憑類を早い段階から整えておきましょう。
助成対象事業者は誰?中小企業・個人事業主・学校法人などが対象
助成対象となるのは、都内で中小規模事業所を所有または使用する中小企業等です。単なる中小企業だけでなく、幅広い法人格・事業形態がカバーされている点が特徴です。
具体的に対象となる事業者は次のとおりです。
・個人事業主
・学校法人
・一般社団(財団)法人
・公益社団(財団)法人
・特定非営利活動法人(NPO法人)
・医療法人
・社会福祉法人
・上記と共同で事業を実施するリース事業者・ESCO事業者(共同申請の場合のみ)
自社所有物件だけでなく、賃借している事業所も対象となる点は、テナント入居中の飲食店・小売店・オフィスなどでの利用可能性を広げる重要なポイントです。
対象となる「中小規模事業所」の判断基準
対象となる事業所は、燃料・熱・電気の使用量を原油に換算した合計量(原油換算エネルギー使用量)が年間1,500kL未満の事業所です。1,500kLはやや専門的な数値ですが、目安として次のように理解できます。
判断の目安は、延床面積3万㎡程度未満・年間光熱費1億円程度未満です。一般的な中小規模のオフィスビル・工場・店舗・倉庫・宿泊施設・医療機関の多くはこの範囲に収まります。
対象外となるケース
事業者要件を満たしていても、次のいずれかに該当する場合は助成対象外です。
・同一内容で、区市町村以外から補助金等の交付を受けていること
・過去に税金の滞納があること
・刑事上の処分を受けていること
・その他、公的資金の交付先として社会通念上適切でないと認められること
なお、区市町村独自の補助金との併用は可能なケースがありますが、国や東京都の他補助金との重複受給は原則不可です。併用可否は事前に事業窓口へ確認しましょう。
助成率と上限額|3区分で最大4,500万円・助成率3/4
助成率と上限額は、削減できるCO2排出量および事前診断の有無に応じて、3つの申請区分に分かれています。区分ごとに要件と支援水準が大きく異なるため、事業計画の内容に応じて最適な区分を選ぶことが重要です。
| 申請区分 | 助成率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 年間CO2排出量を更新前と比較して28t-CO2以上削減可能な省エネ設備の導入・運用改善を行う | 3/4 | 4,500万円 |
| 事前に省エネコンサルティングおよび省エネ診断を受診し、その提案に基づき、年間CO2排出量を3t-CO2または30%以上削減可能な導入・運用改善を行う | 2/3 | 2,500万円 |
| 助成対象事業者が自ら計画を作成し、年間CO2排出量を3t-CO2または30%以上削減可能な導入・運用改善を行う | 2/3 | 1,000万円 |
助成額に千円未満の端数が生じた場合は切り捨てとなります。また、区市町村から受ける助成金等が助成対象経費を上回る場合は、その金額を差し引いた額が交付額となります。
交付申請後に申請区分を変更することはできません。どの区分で申請するかは、削減見込み量・診断の要否・投資規模を踏まえて慎重に決定してください。
助成率2/3区分では「省エネ診断」が申請要件になる
上限2,500万円の区分(助成率2/3)を選ぶ場合、事前に省エネコンサルティングまたは省エネ診断の受診が必須です。クール・ネット東京が実施する省エネコンサルティング事業(無料)や事業所の省エネ診断が該当し、専門家による診断結果を根拠とした事業計画が求められます。診断の申込みから報告書受領までに時間を要することがあるため、申請予定回から逆算した早めのスケジュール確保がポイントです。
助成対象となる省エネ設備・対象経費は?
助成対象となる省エネ設備は、東京都の「都内中小クレジット算定ガイドライン」に定める削減対策項目の要件に該当する設備です。オフィス・工場・店舗・宿泊施設・医療機関などで一般的に更新機会がある省エネ設備が幅広くカバーされています。
代表的な対象設備は次のとおりです。
・全熱交換器
・LED照明設備
・高効率ボイラー
・高効率変圧器
・断熱窓
・高効率コンプレッサ
・高効率冷凍冷蔵設備
このほか、省エネ効果が見込まれ公社が認める設備も対象になり得ます。設備の導入だけでなく運用改善の実践も対象で、人感センサー等の導入や照明スイッチの細分化工事など、設備を適切に運転してエネルギーロスを抑制する取組が含まれる点が特徴です。
助成対象経費と対象外経費
助成対象経費は「設計費」「設備費」「工事費」の3つです。一方で、次のような経費は対象外となります。
・計測機器や必要不可欠とは言えない付属機器
・安全対策費
・土地の取得・賃貸・管理費
・既存設備の撤去・処分費
・申請書類の作成費用
・各種保険
・消費税および地方消費税、諸経費
なお、中古・故障中の設備や、交付決定日以前に契約したものは対象外です。工事契約は必ず交付決定通知を受けた後に締結してください。
令和8年度の申請スケジュール|第3回は2026年7月31日から
令和8年度の交付申請は全6回に分けて実施されます。第1回(4月)・第2回(6月)はすでに受付を終了しており、次の第3回は2026年7月31日(金)から8月14日(金)までの2週間です。
| 回 | 交付申請受付期間 | 工事完了届 最終提出期限 |
|---|---|---|
| 第1回 | 令和8年4月21日(火)〜5月8日(金)※受付終了 | 令和9年9月30日(木) |
| 第2回 | 令和8年6月15日(月)〜6月26日(金)※受付終了 | 令和9年9月30日(木) |
| 第3回 | 令和8年7月31日(金)〜8月14日(金) | 令和9年10月29日(金) |
| 第4回 | 令和8年9月16日(水)〜10月2日(金) | 令和9年10月29日(金) |
| 第5回 | 令和8年11月9日(月)〜11月20日(金) | 令和9年11月30日(火) |
| 第6回 | 令和9年1月18日(月)〜1月29日(金) | 令和9年11月30日(火) |
各回とも、受付開始日9時から最終日17時まで必着です。申請が予算を上回った場合は、受付期間内に提出された申請を対象に抽選で受付対象が決まります。先着順ではないため、駆け込みで焦る必要はありませんが、期限を過ぎると次回まで待つことになるので注意が必要です。
申請方法と必要書類|電子申請が原則
申請は原則として電子申請で行います。初めて申請する場合は、まずクール・ネット東京のメールアドレス認証フォームでメールアドレスを登録し、その後、交付申請フォームから必要書類を添付して申請する流れです。
交付申請時に必要となる主な書類は次のとおりです。
・建物登記簿謄本
・賃貸借契約書(賃借の場合)
・納税証明書
・工事見積書(3社以上)または入札等の証憑
・助成事業実施計画書
・誓約書・同意書(申請者本人の署名または押印が必須)
・クレジット算定ガイドラインの要件が確認できる証憑
・省エネ診断報告書または省エネ計算シート
・導入設備および既存設備の機器配置図、仕様書(カタログ等)
ESCO事業者やリース事業者と共同申請する場合は、パフォーマンス契約書案やリース(割賦販売)契約書案なども必要です。計画の変更時や工事完了時には、別途書類の提出が求められます。最新の必要書類は、必ずクール・ネット東京の公式サイトで最新の募集要項・申請様式を確認してください。
助成金交付までの流れ|交付決定前に工事契約しない
助成金が交付されるまでの流れは、次の9ステップです。交付決定通知を受け取る前に工事契約や着工を行うと助成対象外になるため、順序を守ることが最重要ポイントです。
① 交付申請(電子申請)
② 審査(書類審査・現地調査)
③ 交付決定通知の受領
④ 工事契約・着工(交付決定後)
⑤ 工事完了
⑥ 工事完了届の提出(完了から30日以内)
⑦ 現地調査(必要に応じて)
⑧ 助成金額の確定
⑨ 助成金の交付
申請から交付決定までは概ね2か月程度が目安ですが、審査内容や申請件数によって前後します。工事完了届の提出時には、令和8年度の変更点で必須となった振込明細書や通帳の写しを忘れずに準備してください。
不正受給への注意喚起|「工事実質0円」営業には応じない
近年、本補助金に関連して不審な勧誘や不正な営業活動が全国的に報告されています。申請を検討する際は、次の点に注意してください。
まず、クール・ネット東京の名称を騙る不審な勧誘が確認されています。本事業では「交付決定通知書」の交付後に工事契約を締結する流れになっており、交付決定前に工事費用の支払いを求めるような連絡は、詐欺の可能性があります。安易に応じず、事業窓口や最寄りの警察等に相談してください。
また、「受注金額から一部をキャッシュバックするので自己負担はない」「工事実質0円」といった営業も報告されています。本事業は対象経費の2/3または3/4以内を助成するもので、残りは自己負担が原則です。助成額をキャッシュバック等に充てる行為は不正・虚偽申請にあたります。
値引きやキャッシュバック分を除かずに助成額を申請する、契約書を二重に作成して助成金を水増しする、他補助金との併給を隠すといった行為は不正行為として、助成金の返還(年10.95%の違約加算金を含む)、事案の公表、警察への告訴等の対象になります。要綱や手引きを申請者自身で確認し、複数社から見積りを取って工事費や助成内容を調べるなど、事前の確認をしっかり行いましょう。
ゼロエミ省エネ設備補助金に関するよくある質問
ゼロエミ省エネ設備補助金はいくらもらえますか?
削減できるCO2排出量に応じて、対象経費の2/3または3/4が助成されます。上限額は区分により1,000万円・2,500万円・4,500万円の3段階です。最高水準の助成率3/4・上限4,500万円は、年間CO2排出量を28t-CO2以上削減可能な事業計画が対象になります。
個人事業主でも申請できますか?
はい、個人事業主も助成対象です。都内で中小規模事業所を所有または使用していれば、中小企業・学校法人・NPO法人・医療法人・社会福祉法人などと同様に申請できます。申請時には開業届の提出が必要です。
賃借している事業所でも対象になりますか?
対象になります。所有物件だけでなく賃借している事業所も対象です。賃貸借契約書と、必要に応じて所有者の同意書等を提出することで申請できます。テナント入居中のオフィス・店舗・飲食店なども活用できます。
令和8年度の第3回申請はいつからいつまでですか?
令和8年度第3回の交付申請受付期間は、2026年7月31日(金)9時から8月14日(金)17時までです。第4回は9月16日〜10月2日、第5回は11月9日〜20日、第6回は令和9年1月18日〜29日に予定されています。
申請は先着順ですか?
先着順ではありません。各回とも受付期間内に提出された申請を対象に、予算を超過した場合は抽選で受付対象が決まります。受付開始日に慌てて申請する必要はありませんが、期限を過ぎると次回まで待つことになるため、余裕をもって準備しましょう。
省エネ診断は必ず受ける必要がありますか?
申請区分によります。年間28t-CO2以上削減の区分(助成率3/4・上限4,500万円)や自主計画区分(助成率2/3・上限1,000万円)では省エネ診断は必須ではありません。一方、助成率2/3・上限2,500万円の区分では、クール・ネット東京の省エネコンサルティングまたは省エネ診断の受診が必須です。
対象になる省エネ設備は具体的に何ですか?
高効率空調設備、全熱交換器、LED照明設備、高効率ボイラー、高効率変圧器、断熱窓、高効率コンプレッサ、高効率冷凍冷蔵設備などが代表的な対象設備です。人感センサーの導入や照明スイッチ細分化工事などの運用改善も対象になります。
交付決定前に工事契約を結んでもよいですか?
交付決定前の契約・着工は認められません。交付決定通知書を受領する前に契約または着工した費用は助成対象外となり、助成金が交付されなくなります。工事契約は必ず交付決定通知を受け取ってから締結してください。
令和8年度から何が変わりましたか?
令和8年度からの主な変更点は2つです。1つ目は、手続代行者を介した申請でも、申請者本人が署名(または押印)した誓約書および同意書の提出が必須になったこと。2つ目は、工事完了時の支払証憑として振込明細書や通帳の写しが必須となり、領収書は基本的に受理されなくなったことです。
申請から助成金の入金までどのくらいかかりますか?
申請から交付決定までは概ね2か月程度が目安です。その後、工事契約・着工・完了・完了届提出・現地調査・金額確定を経て助成金が交付されるため、事業計画の全体スケジュールとしては半年〜1年程度を見込む必要があります。工事完了届の提出期限は各回で定められており、第3回は令和9年10月29日が最終期限です。
まとめ|第3回申請は2026年7月31日開始・早めの準備を
ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業は、東京都の中小企業が省エネ設備投資に活用できる最大4,500万円・助成率3/4の大型補助金です。令和8年度は事業規模102.3億円で全6回の交付申請を実施しており、第3回は2026年7月31日から始まります。
申請にあたっては、①申請区分ごとに要件と上限額が異なる②交付決定前に工事契約・着工をしない③令和8年度から誓約書と支払証憑の取扱いが変更されている、という3点を必ず押さえておきましょう。省エネ診断が必要な区分を選ぶ場合は、診断の申込みから逆算した早めの準備がカギとなります。
設備更新は光熱費削減と脱炭素対応を同時に実現できる前向きな投資です。都内に事業所を持つ中小企業の経営者・担当者の方は、この機会にぜひ活用を検討してみてください。最新の募集要項や様式は必ずクール・ネット東京の公式サイトで確認し、計画的に準備を進めましょう。
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