「東京から金沢まで、北陸新幹線で約2時間半」――2024年3月の敦賀延伸により、北陸新幹線は東京・関西の双方からアクセスしやすい広域路線へと進化しました。さらに、全国住みやすさランキングでは野々市市が全国1位、白山市が6位、金沢市が8位と、石川県内の3市が上位にランクインしています(生活ガイドの調査による)。子育てしやすく、文化・食・自然が揃った石川県は、近年改めて移住先として注目を集める地域です。
一方で、令和6年(2024年)元日に発生した能登半島地震、同年9月の奥能登豪雨では、能登地域に甚大な被害がもたらされました。県は「能登創造的復興支援交付金」として総額500億円を確保し、3市3町(輪島市・珠洲市・七尾市・穴水町・能登町・志賀町)と「能登官民連携復興センター」を設立。被災地と外部の人材・資金・ノウハウをつなぐ取組みを進めています。
つまり今、石川県は「便利で住みやすい都市部・加賀地域」と「復興と関係人口創出が進む能登地域」という二つの魅力をあわせ持つ移住先となっているのです。この記事では、令和7年度(2025年度)の制度を踏まえつつ、石川県への移住で活用できる補助金・支援制度を最新情報に基づいてわかりやすく解説します。
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この記事の目次
石川県への移住で使える支援制度の全体像
石川県の移住支援制度は、県と県内全19市町が共同で実施する「いしかわ移住支援事業」が中核となっています。沖縄県のように対象市町村が限定されることはなく、金沢市・白山市・加賀市・能登町など、どの自治体に転入しても県の制度が活用できる点が大きな特徴です。
支援制度は、大きく分けて4つのカテゴリーに整理できます。
①【県+全19市町共通】いしかわ移住支援事業(最大100万円+子1人100万円加算)
②【市町独自】住宅取得補助・定住促進補助(最大200万円)
③【お試し移住】交通費・宿泊費の体験補助、移住パスポート
④【能登復興】地域おこし協力隊・関係人口創出事業
ここからは、それぞれの制度を金額・要件・申請方法とあわせて詳しく見ていきましょう。
▼石川県の能登地域の復興支援については関連記事もご覧ください
【最大300万円超】いしかわ移住支援事業
いしかわ移住支援事業は、東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)から石川県内へUIターンし、所定の就業・起業・テレワーク・関係人口の要件を満たした方に対して、移住先の市町が支給する制度です。国の地方創生移住支援事業を活用した枠組みで、県と全市町が共同して運営しています。支給額:単身60万円・世帯100万円+子ども加算
支給額は世帯構成によって異なります。夫婦と子ども2人の世帯で移住した場合、最大300万円が支給される計算となり、移住に伴う初期費用を大きく後押ししてくれます。
| 世帯構成 | 支給額 |
|---|---|
| 単身で移住 | 60万円 |
| 2人以上の世帯で移住 | 100万円 |
| 18歳未満の子を帯同して移住 | 子ども1人につき100万円を加算 |
なお、18歳未満の子1人につき100万円加算となるのは、令和5年4月1日以降に転入した方が対象です。それ以前に転入した方は加算額が30万円となるため、自身の転入時期に応じた要件を確認しましょう。
対象者の要件:東京23区在住または通勤者
移住支援金の対象となるのは、以下の2つの条件を両方満たす方です。
- 住民票を移す直前の10年間のうち、通算5年以上、東京23区内に在住、または東京圏(条件不利地域を除く)から東京23区内へ通勤していたこと
- 住民票を移す直前に連続して1年以上、東京23区内に在住または通勤していたこと(通勤の起算点は住民票を移す3か月前まで)
雇用者として通勤していた場合は、雇用保険の被保険者であった期間に限られます。東京23区内の大学等への通学期間も「移住元の対象期間」に算入できる特例もあり、新卒数年目で東京での勤務歴が短い方も要件を満たせる可能性があります。
4つの就業類型:就業・テレワーク・起業・関係人口
移住後の働き方として、次の4類型のいずれかに該当する必要があります。
- 就業:UIターン者向け求人サイト「イシカワノオト」に掲載された移住支援金対象法人の求人へ応募・就職すること。3親等以内の親族が経営する法人への就業は原則対象外
- プロフェッショナル人材事業・先導的人材マッチング事業の利用:イシカワノオトへの掲載がなくても、これらの事業を利用した高度人材は対象
- テレワーク:所属先の命令ではなく自己の意思での移住で、移住元の業務をテレワークで継続すること。週20時間以上のテレワークが必要
- 起業:県の起業支援金の交付決定を申請日から1年以内に受けていること
- 関係人口:移住先の市町が定める関係人口の要件に該当し、市町が個別に認めること
起業支援金との併用で最大400万円超
地域課題解決型の起業を行う場合、「起業支援金」として最大200万円が上乗せ支給されます。移住支援金(最大300万円)と起業支援金(200万円)を併用すれば、合計で400万円を超える支援を受けることも可能です。
たとえば、夫婦と子ども1人の世帯で移住し、地域課題解決型で起業する場合、「移住支援金100万円+子加算100万円+起業支援金200万円=合計最大400万円」となります。起業支援金は例年5月末頃に締切が設定されるため、起業を視野に入れる方は早めの準備が必要です。
・予算には上限があり、達した時点で受付終了となる場合があります。要件が整い次第、早めに申請することが重要です。
・申請日から3年未満で石川県外に転出した場合は全額返還、3年以上5年以内なら半額返還が原則です。
・申請は原則として転入後1年以内(市町によっては転入後3か月以上1年以内)に行う必要があります。
市町独自の住宅補助・定住促進補助
県の移住支援金に加え、石川県の各市町は独自の手厚い住宅補助・定住促進制度を整備しています。移住支援金と市町独自補助を組み合わせれば、住宅取得費用を大幅に軽減できるケースも多々あります。
金沢市「ようこそ金沢住宅取得奨励金」(最大200万円)
県都・金沢市では、市外から金沢市内へ移住して住宅を取得する方を対象に、まちなか・居住誘導区域への取得で最大200万円の奨励金を交付しています。郊外でも最大100万円または50万円の補助があり、子育て世帯や若年世帯にとって心強い制度です。
| 主な対象要件 | 内容 |
|---|---|
| 勤務地 | 石川中央都市圏内(金沢市・白山市・かほく市・野々市市・津幡町・内灘町)で勤務または事業を営む者 |
| 居住歴 | 金沢市内に住民票を異動して3年以内、または異動予定の方 |
| 移住前の居住 | 金沢市外に3年以上居住していたこと |
| 住宅ローン | 10年以上の住宅ローン契約が条件 |
すでに金沢市内に住む方が中心部に住み替える場合は「わがまち金沢住宅取得奨励金」の対象となるケースもあります。
白山市 定住促進補助金(最大90万円・白山ろくは100万円)
霊峰・白山の麓に位置する白山市は、子育て世帯や若年世帯への定住支援に力を入れています。基本額に複数の加算が乗る仕組みで、要件を満たすと最大90万円が交付されます。
- 基本額:30万円(45歳未満が対象)
- 若者世帯加算:20万円(夫婦どちらかが35歳未満)
- 子育て世帯加算:30万円(18歳未満の子どもがいる世帯)
- 新婚世帯加算:10万円(婚姻3年未満)
- 白山ろく地域加算:基本額が100万円に増額
白山市は子ども医療費が18歳まで無料という嬉しい支援もあり、子育て世帯の移住先として人気を集めています。
加賀市・かほく市・能登町などの独自制度
その他の市町でも、それぞれの地域特性を活かした独自支援が用意されています。
| 市町 | 主な支援制度と金額 |
|---|---|
| 加賀市 | 住宅取得助成事業(45歳以下対象、子ども・転入加算で最大80万円) |
| かほく市 | 新築助成(45歳以下、市内住宅会社・転入加算で最大200万円) |
| 能登町 | 定住住宅助成金(住宅取得・リフォーム費用の一部)/家賃補助(家賃の1/2、月2万円まで) |
| 野々市市 | 全国住みやすさランキング1位の暮らしやすさ/子育て世帯向けの各種支援 |
各市町の制度は予算の範囲内で交付されるため、年度途中で受付終了となる場合があります。要件を確認しつつ、早めの相談・申請を心がけましょう。
移住検討段階で使える「お試し」支援
「いきなり移住するのはハードルが高い」という方のために、石川県では検討段階で活用できる支援制度も充実しています。
いしかわ暮らしの魅力体験補助金
石川県外に居住する移住検討者およびその同行者が、本県での暮らしを体験する際に要する交通費・宿泊費の一部を補助する制度です。指定の移住相談窓口(ILAC東京・ILAC大阪・UIターンサポート石川・ふるさと回帰支援センターなど)で面談した上で、移住イベントや現地見学に参加することなどが要件となります。
のと里山空港発着の飛行機を利用する場合は、5,000円(子どもは2,500円)の加算もあり、能登地域の現地体験を後押しします。
いしかわ移住パスポート(Iパス)
石川県へ移住された方を対象に、引越し料金割引・住宅工事費割引・住宅ローン金利優遇などの特典が受けられる「いしかわ移住パスポート」が交付されます。協賛事業者は順次拡大しており、移住後の生活立ち上げに役立つ仕組みです。
短期移住体験モデル事業(加賀・白山エリア)
石川県では、加賀・白山エリアで短期間の暮らし体験ができるモデル事業を実施しています。仕事の合間や週末を活用して石川での暮らしを体感したい方には最適な仕組みで、二地域居住の入口としても活用できます。
能登地域の復興と関係人口・地域おこし協力隊
令和6年能登半島地震・奥能登豪雨で被災した能登地域では、「創造的復興」を旗印に、外部からの関係人口・移住者を積極的に受け入れる取組みが進んでいます。
能登官民連携復興センターと地域おこし協力隊
石川県と3市3町(輪島市・珠洲市・七尾市・穴水町・能登町・志賀町)は、復興プロジェクトの伴走支援や外部支援開拓を担う「一般社団法人能登官民連携復興センター」を設立しました。同センターでは、まちづくり・なりわい再建・一次産業・古民家活用など多様なテーマで地域おこし協力隊を募集中です。
地域おこし協力隊の活動拠点は能登地域(輪島市・珠洲市・穴水町・能登町・七尾市・志賀町)で、仮設宿泊所(コンテナタイプ)の斡旋や活動経費の支給など、活動環境のサポートも整備されています。
能登創造的復興支援交付金
国は能登12市町の創造的復興に活用できる「能登創造的復興支援交付金」を創設し、県は総額500億円のうち、半分の250億円を市町分として割り当て、地域の実情に応じた創意工夫ある復興事業を進めています。
被災地への移住・関係人口としての関わりは、復興の力になるとともに、自身の人生観や働き方を見つめ直す機会にもなり得ます。「都会では得られない学び」を求める方にとって、能登は特別な意味を持つ地域と言えるでしょう。
石川県への移住に関するよくある質問
石川県の移住支援金は県内のどの市町でも受けられますか?
はい、いしかわ移住支援事業は石川県と県内全19市町が共同で実施しているため、金沢市・白山市・加賀市・能登町など、どの自治体に転入しても支給対象となります(要件を満たすことが前提)。申請窓口は転入先の市町担当課となるため、転入前に必ず該当市町に事前相談を行ってください。
大阪や名古屋など東京圏以外からの移住でも支援金は対象になりますか?
いしかわ移住支援事業は、東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県、ただし条件不利地域を除く)からの移住が要件です。大阪・名古屋など他エリアからの移住は本制度の対象外です。ただし、市町独自の住宅取得補助(金沢市の住宅取得奨励金、白山市の定住促進補助金など)は移住元を東京圏に限定していないものが多いため、別の支援を活用できる可能性があります。
移住支援金と市町独自の住宅補助は併用できますか?
原則として併用が可能です。たとえば金沢市の場合、いしかわ移住支援事業(最大100万円+子加算)と「ようこそ金沢住宅取得奨励金」(最大200万円)を組み合わせて活用できます。ただし、各制度には個別の要件があるため、事前に市町の担当窓口で併用可否を確認することをおすすめします。
テレワークで石川に移住する場合の要件は何ですか?
テレワーク要件で移住支援金を受給するには、所属先企業からの命令ではなく自己の意思による移住であること、移住先を生活の本拠としつつ移住元の業務を継続すること、原則として恒常的に通勤せず週20時間以上のテレワークを実施することが条件です。また、デジタル田園都市国家構想交付金(地方創生テレワーク型)等を活用した取組の中で、所属先から資金提供されていないことも要件となります。
起業支援金とはどのような制度ですか?
石川県起業支援金は、地域課題解決型の起業を行う方を対象に最大200万円を補助する制度です。石川県産業創出支援機構(ISICO)が窓口となり、事業計画の審査を経て交付決定されます。例年5月末頃に締切が設定され、移住支援金との併用で合計最大400万円超の支援が可能です。汎用性の高いパソコンや車両は原則対象外となるなど、対象経費に細かい規定があるため、公募要領を必ず確認してください。
移住後にすぐ転出した場合、支援金は返還が必要ですか?
はい、返還対象となります。いしかわ移住支援事業は申請日から5年以上継続して石川県内に居住することが前提です。3年未満で県外へ転出した場合は全額返還、3年以上5年以内の場合は半額返還が原則です。また、申請日から1年以内に対象法人を退職した場合や、起業支援金の交付決定を取り消された場合も全額返還の対象となります。
能登地域への移住には特別な支援はありますか?
能登地域では、令和6年能登半島地震からの創造的復興を進めるため、能登官民連携復興センターによる地域おこし協力隊の募集が行われています。仮設宿泊所の斡旋や活動経費の支給などの支援も整備されています。また、能登町では家賃の半額(月2万円まで)の補助制度や定住住宅助成金が用意されており、いしかわ移住支援事業との組み合わせで充実した支援を受けられます。
いしかわ暮らしの魅力体験補助金はどう使えますか?
石川県外に居住する移住検討者および同行者を対象に、石川県での暮らし体験にかかる交通費・宿泊費の一部を補助する制度です。事前にILAC東京・ILAC大阪・UIターンサポート石川・ふるさと回帰支援センターなどの相談窓口で面談を行い、移住イベントや移住体験プログラム、市町の移住相談窓口での面談などに参加することが要件となります。のと里山空港発着の飛行機を利用する場合は加算もあります。
石川県の子育て支援はどのような内容ですか?
石川県では、2人以上の18歳未満の子どもがいる家庭を対象とした「プレミアム・パスポート」が県内協賛企業で利用でき、商品割引やポイントサービスなどの特典が受けられます。医療費助成は中学3年生まで(市町によっては高校3年生まで)が対象で、白山市など16市町は医療費全額免除です。また、第2子以降の0〜2歳児の保育料が無料化されている市町もあるなど、子育て世帯にとって嬉しい支援が充実しています。
石川移住の相談はどこで受けられますか?
主な相談窓口は次のとおりです。「ILAC東京(いしかわ移住UIターン相談東京センター)」は東京・飯田橋に、「ILAC大阪」は大阪・梅田にあり、対面相談が可能です。金沢市の「UIターンサポート石川」では県内での相談を受け付けています。また、東京・有楽町の「ふるさと回帰支援センター」内にも石川県相談窓口があります。求人情報は石川県公式の移住・転職マッチングサイト「イシカワノオト」で検索でき、移住支援金対象求人を絞り込めます。
まとめ
石川県は、北陸新幹線敦賀延伸により東京・関西からのアクセスが大きく向上し、能登半島地震からの創造的復興も進む、新たな転換点を迎えている地域です。いしかわ移住支援事業(最大300万円超)と起業支援金(最大200万円)の併用に加え、金沢市・白山市・加賀市など各市町の住宅補助を組み合わせれば、住宅取得や生活立ち上げを大きく後押ししてくれます。
加えて、いしかわ暮らしの魅力体験補助金や移住パスポート、短期移住体験モデル事業など「お試し移住」段階から使える支援が豊富なことも、石川移住の特徴です。能登地域では地域おこし協力隊の募集が継続的に行われており、復興と地方創生の最前線で活躍したい方にも開かれた選択肢が広がっています。
ただし、いずれの制度も予算の範囲内で実施されるため、早期に予算上限へ達して受付終了となるケースもあります。要件を整えたら速やかに申請することが、確実に支援を受けるためのポイントです。まずは公式相談窓口で個別相談を受けながら、自分に合った石川での暮らしを探してみてはいかがでしょうか。
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