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能登半島地震 被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージとは

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令和6年に能登半島を襲った地震は、甚大な被害をもたらしました。被災地では建物の倒壊、停電、断水、道路の寸断などにより、依然として厳しい状況が続いています。

政府はこの状況を受け、「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」を策定しました。政府は被災地の声に耳を傾け、「被災地・被災者の立場に立って、できることはすべてやる」という決意のもと、被災者支援に全力を尽くす方針です。この記事では本パッケージの内容についてご紹介します。

この記事の目次

支援の基本方針

この「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ」は緊急対応策として以下の3つの内容に分けられます。

生活の再建
避難所の生活改善と住まいの確保を通じて、被災者の安全と復帰を支援
生業の再建
雇用維持と事業継続支援で、持続可能な地域経済の再生支援
災害復旧等
国の権限代行等により公共土木施設等の迅速な災害復旧等を推進し、将来に希望を持てる復興まちづくりを推進

では、それぞれ内容を確認しましょう。

被災者の生活と生業支援のためのパッケージ 緊急対応策「生活の再建」

今回の災害では、多くの方が家を失い、道路、水道、電気等のインフラ復旧に時間を要しています。また、液状化現象も発生しており、一人ひとりの生活再建に向けたきめ細かな支援が必要です。

政府は「生活の再建」のため以下の内容を緊急対応策として講じます。

  • 避難所等における生活環境の改善
  • 命と健康を守るためのホテル・旅館等への二次避難
  • 住み慣れた土地に戻るための住まいの確保
  • 切れ目のない被災者支援
  • 金融支援・税制上の対応等

避難所では、食品の給与や給水、給電、通信環境の整備、入浴支援、運営支援が行われ、アクセスが不自由な地域には、必要物資がプッシュ型で支援されています。あわせて、適切な衛生環境の確保や福祉避難所の開設、ペットの受入れ支援も行っていく方針です。

二次避難の取組については、孤立集落の避難者や医療ニーズの高い方などを対象に、地域外のホテル・旅館等への二次避難が行われています。宿泊事業者の協力による二次避難先となるホテル・旅館等の確保、旅客運送事業者の協力や自衛隊による輸送により、全ての希望者の二次避難を支援すするとしています。

また住み慣れた土地に戻るための住まい確保の支援策として、石川県では、多くの住家が失われた被害を受け、被災者生活再建支援法を速やかに適用しました。この法律に基づき、全壊した住居を持つ世帯に対して、最大300万円の生活再建支援金が迅速に支給されます。

被災者の生活と生業支援のためのパッケージ 緊急対応策「生業の再建」

災害に見舞われた能登地域では、世界農業遺産の棚田や輪島朝市、輪島塗などの農林水産業や伝統産業が地域経済の基盤となっています。これら産業の雇用維持と事業継続を支援し、道路や港湾の復旧と合わせて地域特有の持続可能な経済再生を目指し、以下の4つの観点から事業者への資金援助や支援を強化します。

  • 中小・小規模事業者の支援
  • 農林漁業者の支援
  • 観光復興に向けた支援
  • 地域の雇用対策等

中小・小規模事業者の事業再開を後押しするために、復興事業計画に基づいて工場・店舗などの施設や生産機械などの設備の復旧費用に対する補助を行うため、なりわい再建支援事業を実施します。中小企業の施設と設備の復旧に関して、以下の支援を行います。

  • 補助率:最大3/4
  • 補助金額:最大3億円(富山県、福井県、新潟県)~15億円(石川県)

また小規模事業者に対しては、小規模事業者持続化補助金にて「災害支援枠」を設置し、以下の補助を行います。

  • 補助率:2/3、定額
  • 補助金額:最大200万円
持続化補助金(小規模事業者持続的発展支援事業)とは?【2024年・令和6年】最大250万円!?の補助

観光復興に向けた支援では、「北陸応援割」を開始し、3~4月(GW前まで)を念頭に、以下の内容で該当地域への観光を促進します。

  • 補助率:1/2
  • 最大:20000円/泊

また地域の雇用対策として、雇用調整助成金の助成率の引き上げが盛り込まれています。

  • 助成率(中小企業):2/3→4/5へ
  • 助成率(大企業):1/2→2/3へ
  • 支給日数延長:100日/年→300日/年へ延長

能登半島地震被災地の事業復興を後押し!なりわい再建支援補助金

なりわい再建支援補助金は、能登半島地震で大きな被害を受けた地域の中小企業などを対象に、施設や設備の復旧を支援するための補助金です。この補助金は、被災した事業所の再建を支えるだけでなく、一部では新しい分野への事業展開を促す支援も可能としています。

なりわい再建支援補助金でいくらもらえるのか?

なりわい再建支援補助金は、石川県(A類型)、富山県(B類型)、福井県と新潟県(C類型)の被災地域の中小・小規模事業者(特定事業者を含む)を対象としています。また、農家や漁業者、開業医を含む個⼈事業主のほか、⼠業法⼈、農業法人、医療法⼈、信⽤⾦庫、NPO法⼈、学校法⼈なども対象になります。この補助金の補助率と上限額は以下のとおりです。

【補助率】
中小・小規模事業者の場合、補助率は3/4です。一部、定額の補助もあります。特定事業者(中小企業者以外で資本金が10億円未満の企業)は、補助率が1/2または一部定額です。

【補助上限額】
A類型(石川県)では最大15億円、B・C類型(富山県、福井県、新潟県)では最大3億円の補助が受けられます。要件を満たす場合、A類型は最大5億円、B・C類型は最大1億円までの定額補助が可能です。

【対象経費】
対象経費には、事業の復旧や新たな事業展開に必要な施設と設備が含まれます。

施設に関する経費:倉庫、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場
設備に関する経費:事業の運営に直接使用される設備で、事業者自身の資産として計上するものが対象

対象となる事業は?新分野事業、液状化対策も

なりわい補助金は、中小企業者などが所有し資産として計上している事業用施設や設備の原状回復に必要な経費を主に支援するものです。

しかし、従来のビジネスモデルのみに依存した原状回復では、事業再開や継続、売上の回復が難しい場合、新たな市場や分野への進出を図る「新分野事業」への取り組みも補助の対象に含まれます。その場合、以前あった施設などを元通りに修復する代わりに、その修復に必要な費用の上限内で、新しい分野の事業のための施設や設備を整えるための経費を補助の対象にすることができます。

【液状化対策(地盤・土壌改良)、解体費用、がれき撤去に関する支援】

地盤・土壌改良
・施設等の修復作業に伴う、震災前の地盤や土壌状態への復旧作業にかかる費用は、補助の対象となります。
・ただし、施設の修復に直接関連しない地盤・土壌改良のみの作業は、補助の対象外です。
がれき撤去
・施設等の修復に必要で、事業再開のために現地でがれきを撤去する必要がある場合、その撤去費用は補助の対象です。
・がれき撤去のみの作業や、移転しての修復の際の撤去費用は、原則として補助の対象外です。
解体費用
・現地での建替えに伴う、従前の施設等の解体費用は補助の対象となります。
・解体のみの作業や、移転しての建替えに伴う解体費用は、原則として補助の対象外です。

つまり、これらの対策や作業が現地での施設等の修復に直接関連している場合に限り、補助の対象となり、単独で行われる作業や、移転後の修復に関連する費用は、基本的には補助の対象になりません。

なりわい再建支援補助金はいつから?

公募期間は以下のとおりです。

県名 1次公募期間 2次公募開始予定
石川県 令和6年2月28日(水)~令和6年3月13日(水) 令和6年4月1日(月)
富山県 令和6年2月28日(水)~令和6年3月15日(金) 令和6年4月中旬
福井県 令和6年3月1日(金)~令和6年3月29日(金) 令和6年4月1日(月)
新潟県 令和6年3月5日(火)~令和6年3月29日(金) 令和6年4月上旬

参考:中⼩企業特定施設等災害復旧費補助⾦(なりわい再建⽀援事業)の概要

商店街等が行うイベント等を支援!商店街にぎわい創出事業

商店街にぎわい創出事業は、令和6年能登半島地震により被害を受けた商店街等が行う「にぎわい創出」のためのイベント等の事業を支援するものです。この事業は石川県、富山県、新潟県、福井県内の商店街等に向けて提供されており、補助対象者は商店街等組織やそれらと民間事業者の連携体です。

にぎわい創出でいくらもらえるのか?

石川県向けの補助率は定額補助(10/10)で、補助額の上限は100万円(下限額30万円)です。富山県、新潟県、福井県においても補助額の上限は同じで、補助率は直接被害の場合10/10、間接被害の場合2/3となっています。

各商店街等組織は、2回まで申請することができます。複数の商店街等組織が連名で申請する場合や、商店街振興組合連合会等の連合体が傘下の商店街等組織と合同で事業を行う場合、補助額は100万円×連合体及び商店街等組織数で算出され、上限は1200万円です。

対象経費には、謝金、旅費、設営費、運搬費、備品費、借料・損料、消耗品費、印刷製本費、広報費、委託費、外注費、補助員人件費などが含まれます。イベント開催に関わる多岐にわたる経費が補助の対象となるため、事業者は資金面での負担軽減を図りながら、クオリティの高いプロジェクトを実施できます。

いつまでに申し込む?

一次締切と二次締切の設定があり、事業者は自身のスケジュールに合わせて柔軟に申請することが可能です。提出期限はそれぞれの締切日に応じて異なり、審査・採択は随時行われます。

「商店街にぎわい創出事業」の公募期間
令和6年2月15日(木)~4月26日(金)

締切
【1次締切】
・石川県、富山県:2月26日(月)
・福井県:2月27日(火)
・新潟県:3月1日(金)

【2次締切】
・3月19日(火)

【3次締切】
・4月26日(金)

商店街の復興支援!商店街災害復旧事業

令和6年能登半島地震で被害を受けた地域の商店街等組織に対し、アーケードの撤去や改修、共同設備の更新、街路灯の改修などの事業を支援します。

【復旧支援の対象】

  • アーケードや街路灯の復旧
  • 防犯カメラ設備
  • 路面舗装
  • イベント広場の復旧
  • 共同店舗の復旧
  • 商店街への来街を妨害する障害物の除去 等

商店街災害復旧事業でいくらもらえる?

補助額に上限額や下限額は設けられておらず、石川県の場合、補助率は3/4(国1/2、県1/4)で、負担割合は商店街等が1/4を担います。富山県、新潟県、福井県では、補助率1/2(国1/3、県1/6)で、商店街等の負担割合は1/2です。

対象となる要件は?

対象者は商店街等の組織で、被災した設備や施設の復旧が必要であることを証明する資料の提出が必要です。また、能登半島地震に伴う災害の発生(令和6年1月1日)以降、交付決定前に実施した施設等の復旧事業も、適正と認められる場合は補助金の対象になります。

申し込みはいつまで?

交付申請受付期間
2024年2月28日(水)~5月10日(金)

【一次締切】2024年4月8日(月)(4月26日までに審査・交付決定)
【二次締切】2024年5月10日(金)(5月31日までに審査・交付決定)

事業実施期間は、一次、二次締切ともに交付決定日から2025年3月19日までとなります。

参考:令和5年度予備費「地域商業機能複合化推進事業(被災商店街等再建支援事業)」の概要について

被災者の生活と生業支援のためのパッケージ 緊急対応策「災害復旧等」

大規模な地震被害を受け、地元コミュニティの生活と生業を支えるため、インフラ、ライフライン、公共施設の迅速な復旧が急務となっています。国はこれを激甚災害に指定し、地方公共団体への補助を強化しています。

特に、公共土木施設、港湾、道路などの重要施設の復旧に注力し、液状化被害対策も含めた包括的な支援を行います。また、交通の確保や復興まちづくりにも取り組み、被災地の早期復旧を目指します。

インフラと公共施設の迅速な復旧
地域の生活・生業の基盤であるインフラ、ライフライン、公共施設等の迅速な復旧が必要。国直轄の施設等の迅速な復旧、権限代行の実施、激甚災害への指定による補助等で復旧を加速。
公共土木施設の災害復旧
地方公共団体が行う公共土木施設等の災害復旧が進められる。被災箇所では改良復旧も実施し、査定前着工等を活用して災害復旧事業を迅速に進める。
国土交通省の支援
国土交通省が保有する災害対策用機械等による支援を行う。道路法、河川法、港湾法等に基づく工事や大規模災害復興法に基づく非常災害への指定により、国等による権限代行等を行い、速やかな復旧を実施する。
港湾の復旧
港湾法に基づき国が管理の一部を代行する輪島港などの港湾において復旧作業を行う。
交通の確保と復興まちづくり
国道8号の通行止めが解除されるまでの間、北陸自動車道及び上信越自動車道の一部区間を無料で通行が可能な代替路として活用する。また、被災地のニーズに応じて復旧・復興事業を行うために必要な応援職員を派遣する。
液状化対策
各地で発生した液状化被害については、被害を受けた地域における宅地等の復旧に引き続き、再度災害の発生を防止するため、地方公共団体が行う公共施設と隣地宅地等の一体的な液状化対策を支援する。
スタートアップ技術の活用
使用した水を再生し循環利用するシャワー設備の活用や、孤立集落への物資輸送を行うドローンの活用など、スタートアップの技術も活用して被災者の生活再建や被災地の復旧・復興を支援する。

まとめ

政府は、令和6年の能登半島地震に対応し「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ」を立ち上げ、迅速な支援を展開します。この支援策は、生活の再建、生業の再建、災害復旧の3つの柱に焦点を当てており、安全確保、雇用維持、事業継続支援、公共施設の復旧などに取り組みます。

具体的には、避難所の改善、住宅確保、中小企業や農林漁業への支援、観光復興、雇用対策の強化などが進められます。さらに、公共施設の迅速な復旧、液状化対策の強化、技術活用などを通じて、被災地の早期復旧と復興を支援する包括的措置を実施する予定です。

なお、この施策の実行に必要な財政措置は、令和5年度と6年度の予備費(計1兆円)を活用し、復旧・復興の進行に応じて数次にわたり柔軟に対応するとしています。

参考:被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ

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