1. 補助金ポータルTOP
  2. 補助金・助成金・給付金コラム
  3. 事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠とは【16次公募】廃業費用を2/3・最大300万円補助|単独申請と併用申請の違い

事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠とは【16次公募】廃業費用を2/3・最大300万円補助|単独申請と併用申請の違い

公開日:2026/9/8 更新日:2026/9/8
image

「M&Aで会社を譲り渡そうとしたが、買い手が見つからないまま時間だけが過ぎた」「もう廃業するしかないが、店舗の解体費や原状回復費で数百万円かかると言われた」――事業をたたむ決断をした経営者に、最後に重くのしかかるのが廃業コストです。

そんな経営者のために用意されているのが、事業承継・M&A補助金の「廃業・再チャレンジ枠」です。M&Aで事業を譲り渡せなかった中小企業者等が、次の挑戦に踏み出すために既存事業を廃業する際、その費用の2/3・最大300万円を国が補助します。

2026年9月4日に開示された16次公募の公募申請受付期間は、2026年10月2日(金)〜11月6日(金)17:00。認定経営革新等支援機関の確認書が必須となるため、いま動き出さないと間に合わないスケジュールです。

この記事では、廃業・再チャレンジ枠の2つの申請パターン、単独申請の厳格な要件、補助対象経費、審査の着眼点、加点事由までを、16次公募要領にもとづいて補助金ポータルが解説します。

無料で相談する

▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する

Googleのお気に入りソースに補助金ポータルを追加する


この記事の目次

\ 制度やどの補助金が使えるか知りたい! /
お問い合わせ
\ 申請サポートをお願いしたい! /
専門家を探す
補助金対象商品を調べる
導入したい商材が補助金に対応しているかチェック!
ITトレンドへ

廃業・再チャレンジ枠とは何ですか?制度の概要と2つの申請パターン

廃業・再チャレンジ枠は、事業承継・M&A補助金の4つの支援枠のひとつで、再チャレンジに取り組むための廃業に係る経費を補助する制度です。申請には「再チャレンジ申請(単独申請)」と「他の補助事業枠との併用申請」の2パターンがあり、単独申請の補助率は2/3、補助上限は300万円、補助下限は50万円です。

廃業・再チャレンジ枠の位置づけ

事業承継・M&A補助金は、事業承継やM&Aを契機とした取組を4つの枠で支援する制度です。廃業・再チャレンジ枠は、そのなかで「廃業」フェーズの費用を支える役割を担っています。

支援枠対象フェーズ
事業承継促進枠親族内・従業員承継に向けた設備投資等
専門家活用枠M&Aの実行(仲介手数料・FA費用)
PMI推進枠M&A後の経営統合・事業統合投資
廃業・再チャレンジ枠再チャレンジのための廃業(他枠との併用可)

補助対象となるのは、単に事業をやめることではありません。地域の新たな需要の創造または雇用の創出にも資する「新たなチャレンジ」に取り組むための廃業であることが、制度の前提となっています。

2つの申請パターン|再チャレンジ申請と併用申請

廃業・再チャレンジ枠には、性格の異なる2つの申請パターンがあります。どちらに当てはまるかで、要件も必要書類もまったく変わります。

項目再チャレンジ申請(単独申請)併用申請
対象者M&Aで事業を譲り渡せなかった中小企業者等の株主、または個人事業主事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠を申請する事業者
補助率補助対象経費の2/3以内併用する補助事業枠の事業費の補助率に従う
補助上限額300万円300万円(小規模売り手支援類型との併用時は150万円)
対象となる廃業会社自体の廃業のみ会社自体の廃業、または事業の一部廃業(事業撤退)
申請方法廃業・再チャレンジ枠として申請併用する枠の申請に含める(廃業・再チャレンジ枠での申請は不要)
実務上のポイント:併用申請の場合、廃業・再チャレンジ枠として別途申請する必要はありません。事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠それぞれの事業として申請し、その中で廃業費を計上する形になります。この記事で解説する単独申請の要件(M&A不成約など)は、併用申請には適用されません。

併用申請が認められる4つのパターン

16次公募要領では、併用申請できるケースが次の4種類に整理されています。

  • 事業承継促進枠との併用:事業承継(事業再生を伴うものを含む)によって事業を譲り受けた中小企業者等が、新たな取組を実施するにあたって既存事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合
  • 専門家活用枠 買い手支援類型との併用:M&Aによって事業を譲り受ける中小企業者等が、譲り受けにあたって既存事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合
  • 専門家活用枠 売り手支援類型・小規模売り手支援類型との併用:M&Aによって事業を譲り渡す中小企業者等が、M&A後も手元に残った事業を廃業する場合
  • PMI推進枠との併用:M&A後の統合等において、既存事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合

14次公募の採択実績では、廃業・再チャレンジ枠の単独申請は申請1件・採択1件と極めて少数でした。実務上は、他枠と組み合わせた併用申請が圧倒的に多いのが実態です。

事業承継・M&A補助金とは【16次公募】2026年完全解説!最大2,000万円・10月2日申請開始

16次公募のスケジュールはどうなっていますか?

16次公募は2026年9月4日に公募要領が開示され、公募申請受付は2026年10月2日(金)〜11月6日(金)17:00です。補助事業期間は2027年1月下旬(予定)から14か月以内。廃業登記・在庫処分・解体・原状回復のすべてを、この期間内に完了させる必要があります。

項目時期
公募要領の開示2026年9月4日(金)
公募申請受付期間2026年10月2日(金)〜11月6日(金)17:00
採択日2026年12月下旬以降 順次(予定)
交付申請受付期間2027年1月上旬〜2027年11月中旬(予定)
交付決定日2027年1月下旬以降 順次(予定)
補助事業期間2027年1月下旬(予定)から14か月以内
補助金交付手続き2027年10月上旬以降 順次(予定)

問い合わせ窓口は事業承継・M&A補助金事務局(廃業・再チャレンジ枠)050-3145-3812、受付時間は平日9:30〜12:00、13:00〜17:00です。16次公募の説明会は、申込受付が2026年9月9日(水)〜10月7日(水)17:00、開催が2026年10月9日(金)14:00〜のオンライン形式で予定されています。

最重要の注意点:補助対象経費は交付決定日以降かつ補助事業期間内に契約・発注を行い、支払いまで完了した経費に限られます。解体業者や司法書士との契約を交付決定前に結んでしまうと、その費用は補助対象外です。見積の取得は事前に進めて構いませんが、契約・発注は必ず交付決定通知を受けてから行ってください。

単独申請(再チャレンジ申請)は誰が使えますか?M&A不成約が前提条件

単独申請の対象は、2020年以降にM&A(事業の譲り渡し)に着手したものの、成約に至らなかった中小企業者等の株主または個人事業主です。着手から3か月以上経過していること、認定経営革新等支援機関の確認を受けた再チャレンジ計画があること、法人の場合は対象会社と支配株主等との共同申請であることが要件となります。

要件①:2020年以降にM&Aに着手し、成約に至らなかったこと

単独申請でもっとも重要な要件が、M&Aに着手したが成約に至らなかったという事実です。「最初から廃業を選んだ」ケースは対象になりません。

「M&Aに着手した」と認められるのは、次のいずれかに該当する場合です。

  • 事業承継・引継ぎ支援センターへの相談依頼
  • M&A仲介業者や地域金融機関等のM&A支援機関との包括契約(着手に関する契約)
  • M&Aマッチングサイトへの登録
注意:公募要領は「申請者自身でM&Aに着手した場合は対象外」と明記しています。知人の紹介などで自力で買い手を探しただけでは要件を満たしません。また、支援は原則としてM&A支援機関登録制度に登録された専門家等によるものであることが求められます。さらに、公募申請期日(公募申請の受付終了の日)時点で、譲り渡しへの着手から3か月以上経過している必要があります。

申請時には、着手を示す証憑として次のいずれかを提出します。

  • 事業承継・引継ぎ支援センターから交付された支援依頼書の写し
  • M&A仲介業者や地域金融機関等M&A支援機関との業務委託契約書の写し
  • M&Aマッチングサイトへの登録が完了したことを確認できるWEBページまたは電子メールの写し

要件②:認定経営革新等支援機関の確認書と再チャレンジ計画書

単独申請では、廃業後に再チャレンジする事業に関する計画を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けていることが要件です。申請時には「認定経営革新等支援機関による確認書」と「再チャレンジ計画書」の両方を提出します。

認定経営革新等支援機関は、税理士・公認会計士・中小企業診断士・金融機関などが国に認定された支援機関で、中小企業庁の検索システムから探せます。確認書の発行には計画の精査や面談が必要なため、申請の1〜2か月前には相談を始めるのが現実的です。普段から取引のある税理士や会計事務所が認定支援機関であれば、まずそこに相談するのが効率的でしょう。

要件③:法人は対象会社と株主との共同申請が必須

法人が単独申請する場合、廃業する予定の中小企業(対象会社)と、その議決権の過半数を有する支配株主または株主代表との共同申請が必要です。個人事業主の場合は、当該個人事業主単独での申請となります。

申請者共同申請者(必須)公募申請類型番号
法人(対象会社)支配株主または株主代表(法人)1
法人(対象会社)支配株主または株主代表(個人)1
個人事業主2

支配株主とは1者で対象会社の議決権の過半数を有する者、株主代表とは議決権の過半数を有する株主の代表者(1者)を指します。なお補助対象経費は、対象会社・支配株主・株主代表または個人事業主が契約の主体となり、かつ支払を実施したものに限られます。他の株主が負担した分は補助対象外となる点に注意してください。

要件④:再チャレンジの内容

補助対象者である支配株主・株主代表または個人事業主が、地域の新たな需要の創造または雇用の創出にも資する新たな活動に取り組むことが要件です。公募要領では次のような例が示されています。

  • 新たに法人を設立して事業活動を実施する
  • 個人事業主として新たな事業活動を実施する
  • 自身の知識や経験を活かせる企業への就職や、社会への貢献等を実施する

再チャレンジは「起業」に限られません。就職や社会貢献活動も対象として明記されている点は、この枠の大きな特徴です。ただし後述のとおり、再チャレンジの内容が起業である場合は審査で加点されます。

対象となる中小企業者等の定義

補助対象者は、中小企業基本法第2条に準じた中小企業者等です。資本金・従業員数のいずれかを満たせば該当します。

業種分類資本金・出資総額常時使用する従業員数
製造業その他3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下

一方、資本金または出資金が5億円以上の法人に100%株式を保有される法人、直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者、みなし大企業、みなし同一法人、社会福祉法人・医療法人・一般社団財団法人・学校法人・組合・法人格のない任意団体は対象外です。個人事業主は青色申告者であることが求められます。

いくらもらえますか?補助率・補助上限額と対象経費

単独申請の補助率は補助対象経費の2/3以内、補助上限額は300万円、補助下限額は50万円です。補助対象経費が75万円未満の申請は受け付けられません。補助対象経費は廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費・リースの解約費・土壌汚染調査費で、移転移設費は併用申請のみ計上できます。

補助率と補助上限額

支援類型補助率補助下限額補助上限額
再チャレンジ申請(単独申請)補助対象経費の2/3以内50万円300万円
併用申請併用する補助事業枠の補助率に従う50万円300万円

補助下限額50万円は、補助対象経費で75万円未満の申請は受け付けないという意味です(75万円×2/3=50万円)。解体費や原状回復費が少額にとどまる場合は、申請ラインに届かない可能性があるため事前に試算してください。

なお、専門家活用枠の小規模売り手支援類型と併用する場合、廃業費の上限は150万円となります。それ以外の枠(事業承継促進枠・専門家活用枠 買い手支援類型/売り手支援類型・PMI推進枠)との併用では300万円です。

複数申請の制限:複数の申請者(対象会社)について実質同一の株主による共同申請が行われ、再チャレンジの内容が実質的に同一であると事務局が判断した場合、全ての申請における補助額の合計は300万円が上限となります。交付決定の取消しや補助上限額の変更が行われることもあるため、グループ会社を複数まとめて廃業するようなケースでは注意が必要です。

補助対象経費の一覧

経費区分概要
廃業支援費廃業に関する登記申請手続に伴い司法書士に支払う経費/解散事業年度・清算事業年度・残余財産確定事業年度における会計処理や税務申告に係る専門家活用費用(上限50万円
在庫廃棄費既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費
解体費既存事業の廃止に伴う建物・設備等の解体費
原状回復費借りていた設備等を返却する際に義務となっていた原状回復費用
リースの解約費リースの解約に伴う解約金・違約金
土壌汚染調査費土壌の汚染状況を把握するために支払う費用
移転・移設費効率化のため設備等を移転・移設するための経費(併用申請のみ計上可

金額として大きくなりやすいのは解体費と原状回復費です。廃業支援費には上限50万円が設定されているため、司法書士・税理士費用だけで300万円の枠を使い切ることはできません。

補助対象外となる経費

次の費用は補助対象になりません。廃業実務でよく発生する項目が多いため、事前に切り分けておきましょう。

  • 登記事項変更等に係る登録免許税、定款認証料、収入印紙代
  • 印鑑証明等、官公署に対する各種証明類の取得費用
  • 商品在庫を売って対価を得る場合の処分費(キックバックを含む)
  • ファイナンスリース取引の解約に伴う解約金・違約金、リース資産の売買に係る費用
  • 土壌汚染対策工事の費用(調査費は対象)
  • 自己所有物の修繕費、原状回復の必要がない賃貸借物件・設備機器等
  • 賃貸借契約・レンタル契約が締結されていない物件や設備
  • 消耗品の処分費、海外在庫・海外で使用していたもの
  • 消費税額および地方消費税額、振込手数料
  • 本補助金の申請書類作成代行費用

支払方法と相見積もりのルール

支払方法は限定されており、補助対象となるのは補助事業者名義の口座からの銀行振込またはクレジットカード1回払いのみです。現金支払い、手形・小切手、仮想通貨、PayPay・Suica等のキャッシュレスサービスでの支払いは認められません。

また、1件(案件・発注)50万円以上(税抜)の支払いは原則2者以上からの相見積が必須で、最低価格を提示した者を選定します。50万円未満でも1社からの見積は必須です。相見積が不要となるのは、2者以上から見積作成を断られた場合と、日本国内で選定先以外が提供できないサービス・商品である場合の2条件のみで、いずれも証拠書類の添付が求められます。

事業承継・M&A補助金 専門家活用枠【16次公募】売り手支援類型を徹底解説|廃業費併用で最大1,100万円・申請は10月2日から

どうやって申請しますか?流れと必要書類

申請はjGrants(Jグランツ)による電子申請のみです。GビズIDプライムの発行には1〜3週間かかります。単独申請では、認定経営革新等支援機関の確認書・再チャレンジ計画書・M&A着手の証憑が必須で、法人は対象会社と株主の双方の書類をそろえる必要があります。

申請までの流れ

  1. 公募要領やWebサイト掲載情報を確認し、補助事業への理解を深める
  2. 廃業および再チャレンジの確認先となる認定経営革新等支援機関を検討する
  3. GビズIDプライムアカウントを取得する(未取得の場合)
  4. 公募申請に必要な書類を準備し、認定経営革新等支援機関より確認書の発行を受ける
  5. (任意)加点事由に該当することを証する書類を準備する
  6. jGrantsに申請情報を記入し、提出書類を添付する
  7. 提出処理を行い、提出完了画面を確認する
  8. 事務局から差し戻し・再提出依頼が来たら速やかに対応する

単独申請の必要書類

区分必要書類
類型を問わず必要認定経営革新等支援機関による確認書/再チャレンジ計画書/2020年以降のM&A着手を示す証憑(支援依頼書・業務委託契約書・マッチングサイト登録の写しのいずれか)
申請者(対象会社)履歴事項全部証明書(3か月以内)/直近3期分の決算書/株主名簿
共同申請者(法人の場合)履歴事項全部証明書(3か月以内)/株主名簿(代表者の原本証明付き)/株主代表に係る確認書
共同申請者(個人の場合)住民票(3か月以内、マイナンバー部分は墨消し)/株主名簿/株主代表に係る確認書
個人事業主が申請する場合住民票/直近3期分の確定申告書B・所得税青色申告決算書/開業届および青色申告承認申請書の写し
行政書士に委任する場合行政書士証票の写し/委任契約書等の写し

実績報告時には、法人は廃業が確認できる閉鎖事項全部証明書(発行から3か月以内)、個人事業主は個人事業の廃業等届出書を提出します。廃業そのものが完了していないと補助金は交付されません。

申請代行に関するルール

ルール:行政書士(または行政書士法人)でない者が、申請者に代わって有償で申請の作成を行うことは行政書士法違反に該当する可能性があります。交付決定後に行政書士以外が作成したことが判明した場合、交付決定の取消となる可能性があります。また、事業者本人の理解が著しく不足したまま申請がなされていることが発覚した場合も、交付決定取消等の措置が講じられます。

採択されるには何が必要ですか?審査の着眼点と加点事由

単独申請の書面審査では「廃業の必要性」「廃業に向けた準備」「再チャレンジの実現性」の3点が評価されます。加点事由は、再チャレンジする主体の年齢が若いこと、再チャレンジの内容が起業であること、賃上げ2%以上を表明していることの3項目です。

書面審査の3つの着眼点

16次公募要領は、単独申請の審査の着眼点を明確に示しています。再チャレンジ計画書は、この3点に正面から答える構成にしてください。

  • ① 再チャレンジに係る取組を実現するために事業を廃業する必要性:再チャレンジを実現するために、既存事業の廃業(設備撤去、解体等)が必要な理由が明確になっていること
  • ② 廃業に向けた準備:廃業に伴う自社の従業員の再就職方針、既存取引先への支払い方針、取引先の引継ぎについて明確にしていること
  • ③ 再チャレンジに係る取組の実現性:これまでの技術やノウハウ、アイディア、経験等を踏まえて、実現可能な事業であること

特に見落とされやすいのが②の廃業に向けた準備です。従業員の再就職先の目処、買掛金・借入金の返済方針、取引先への引継ぎ方法まで具体的に書けているかが、計画の信頼性を左右します。「廃業したい」という意思表明だけでは審査を通りません。

加点事由は3項目

廃業・再チャレンジ枠の加点事由は、他の枠(10項目)とは大きく異なり3項目のみです。

加点事由内容
①年齢再チャレンジする主体の年齢が若いこと
②起業再チャレンジの内容が「起業(個人事業主含む)」であること
③賃上げ従業員1人当たり給与支給総額の上昇率2%以上の賃上げを表明していること

年齢は自分では変えられませんが、②の「起業」は再チャレンジの設計次第です。就職や社会貢献も対象にはなるものの、審査上は起業のほうが有利である点は押さえておきましょう。

賃上げ加点を選ぶ場合の注意

賃上げ加点は、補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)の「従業員1人当たりの給与支給総額」と比較して、翌年度の同額の上昇率が2%以上となる賃上げを実施し、公募申請時までに全従業員または従業員代表者・役員に表明することが要件です。提出書類は「賃金引上げ計画の誓約書」と「従業員への賃金引上げ計画の表明書」です。

ペナルティ:加点を受けて採択されたにもかかわらず要件が未達だった場合、事業化状況報告で未達が報告されてから18か月間、中小企業庁が所管する補助金への申請で大幅に減点されます。対象にはデジタル化・AI導入補助金、小規模事業者持続化補助金、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、中小企業省力化投資補助事業などが含まれます。会社を廃業する枠である以上、賃上げ加点を選べるケースは限られます。確実に達成できる場合のみ選択してください。

補助金交付後の義務

補助金の交付を受けた事業者には、次の義務があります。廃業・再チャレンジ枠は事業化状況報告が1年間と、他枠(3年間)より短く設定されています。

  • 事業化状況報告:補助事業が完了した日の属する事業年度を初回として以後1年間、各事業年度の終了後90日以内に報告
  • 経理の保存:帳簿や支出の根拠となる証拠書類を、事業完了年度の終了後5年間管理・保存
  • 実地調査等への対応:事務局や会計検査院による実地調査に応じること

なお、補助金は交付を受けた事業年度の収益として計上するもので、法人税等の課税対象となります。交付は精算払い(後払い)のため、廃業費用はいったん自己資金で立て替える必要があります。

事業承継・M&A補助金 事業承継促進枠とは【16次公募】親族内・従業員承継の設備投資を最大1,000万円補助|対象要件と申請の流れ


廃業・再チャレンジ枠についてよくある質問にQ&A形式でお答えします



16次公募の申請締切はいつですか?


16次公募の公募申請受付期間は2026年10月2日(金)から2026年11月6日(金)17:00までです。締切日時を過ぎてからの申請は一切受け付けられません。申請にはGビズIDプライムアカウントが必須で、発行には1週間程度、混雑時は3週間程度かかります。加えて単独申請では認定経営革新等支援機関の確認書が必要なため、逆算した準備が欠かせません。




M&Aを試さずに廃業する場合も対象になりますか?


単独申請(再チャレンジ申請)は対象になりません。2020年以降にM&A(事業の譲り渡し)に着手したものの成約に至らなかったことが要件です。着手と認められるのは、事業承継・引継ぎ支援センターへの相談依頼、M&A支援機関との包括契約、M&Aマッチングサイトへの登録のいずれかで、申請者自身でM&Aに着手した場合は対象外とされています。さらに、公募申請期日時点で着手から3か月以上経過している必要があります。




事業の一部だけを廃業する場合も使えますか?


単独申請では、会社自体を廃業するために補助事業期間内に廃業登記を行う、在庫を処分する、建物や設備を解体する、原状回復を行う事業のみが対象です。事業の一部廃業(事業撤退)が対象となるのは併用申請の場合に限られます。したがって、会社は存続させたまま不採算部門だけを整理したい場合は、事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠のいずれかと併用する形で申請することになります。




併用申請をする場合、廃業・再チャレンジ枠にも別途申請が必要ですか?


必要ありません。事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠と併用して申請する場合は、それぞれの枠の事業として申請し、その中で廃業費を計上します。廃業・再チャレンジ枠として単独で申請書を出す必要はありません。補助対象者の要件も、併用する補助事業枠の公募要領に記載された要件に従います。単独申請で求められるM&A不成約の要件や認定支援機関の確認書は、併用申請には適用されません。




再チャレンジは必ず起業でなければいけませんか?


起業に限られません。公募要領では再チャレンジの例として、新たに法人を設立して事業活動を実施する、個人事業主として新たな事業活動を実施する、自身の知識や経験を活かせる企業への就職や社会への貢献等を実施する、の3つが示されています。就職も対象です。ただし、再チャレンジの内容が「起業(個人事業主含む)」である場合は審査で加点されるため、採択可能性という観点では起業のほうが有利になります。




個人事業主でも申請できますか?


はい、申請できます。個人事業主の場合は共同申請ではなく単独での申請となります。要件として青色申告者であることが求められ、住民票、直近3期分の確定申告書B第一表・第二表と所得税青色申告決算書、開業届および所得税青色申告承認申請書の写しを提出します。実績報告時には個人事業の廃業等届出書の提出が必要です。




解体費が少額でも申請できますか?


補助下限額50万円が設定されているため、補助対象経費が75万円未満(補助率2/3をかけて50万円を下回る)の申請は受け付けられません。解体費・原状回復費・在庫廃棄費などを合計して75万円以上になるかを、申請前に必ず試算してください。なお廃業支援費(司法書士費用や清算期の税務申告に係る専門家費用)には上限50万円が設定されており、この区分だけで300万円の枠を使い切ることはできません。




登録免許税や印紙代は補助対象になりますか?


なりません。廃業支援費として補助対象になるのは、解散登記・清算人選任登記・清算結了登記などの登記申請手続に伴い司法書士に支払う申請資料作成経費と、解散事業年度・清算事業年度・残余財産確定事業年度における会計処理や税務申告に係る専門家活用費用です。登記事項変更等に係る登録免許税、定款認証料、収入印紙代、印鑑証明等の各種証明類の取得費用は補助対象外です。司法書士への支払いに含まれている場合は、その分を除外して計上してください。




在庫を売却して処分した場合の費用は対象になりますか?


対象になりません。在庫廃棄費として補助対象となるのは、既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費です。商品在庫を売って対価を得る場合の処分費は補助対象外で、この「対価」にはキックバックも含まれます。また海外在庫も対象外です。買取業者に引き取ってもらって収入が発生するケースと、廃棄費用を支払うケースを、契約段階で明確に分けておく必要があります。




グループ会社を複数まとめて廃業する場合はどうなりますか?


複数の申請者(対象会社)について実質同一の株主による共同申請が行われ、再チャレンジの内容が実質的に同一であると事務局が判断した場合、全ての申請における補助額の合計は300万円が上限となります。上限を超える場合は交付決定の取消しや補助上限額の変更が行われることがあります。また、親会社が議決権50%超を有する子会社が存在する場合や代表者が同じ法人は「みなし同一法人」として、いずれか1社の申請しか認められません。




まとめ|廃業・再チャレンジ枠16次公募で次に何をすべきですか?

廃業・再チャレンジ枠は、M&Aで事業を譲り渡せなかった経営者が次の一歩に踏み出すために、廃業費用の2/3・最大300万円を補助する制度です。解体費・原状回復費・在庫廃棄費といった、廃業実務でもっとも負担の重い費用をカバーできます。

16次公募の申請受付は2026年10月2日(金)〜11月6日(金)17:00。単独申請は、M&A着手から3か月以上経過していること、認定経営革新等支援機関の確認書があること、法人は株主との共同申請であることと、要件が細かく設定されています。要件に該当するかの見極めを、まず最初に行ってください。

一方、会社を存続させたまま一部事業を整理したい場合や、承継・M&Aとあわせて廃業する場合は、併用申請が選択肢になります。併用申請なら単独申請の厳しい要件は適用されません。自社がどちらのパターンに当てはまるかを整理することが、最初の一歩です。

廃業・再チャレンジ枠16次公募 重要ポイント3行まとめ

① 申請受付は2026年10月2日〜11月6日17:00/補助率2/3・上限300万円・下限50万円(補助対象経費75万円以上)
② 単独申請は「2020年以降にM&Aに着手し成約に至らなかった」ことが必須。認定支援機関の確認書と再チャレンジ計画書も必要
③ 一部廃業は併用申請のみ。併用時は各枠の補助率に従い、小規模売り手支援類型との併用では上限150万円

申請を検討される方は、まず補助金ポータルの無料相談で、単独申請と併用申請のどちらに該当するか、補助下限額に届く経費構成になっているかをご確認ください。

公式ページを確認する

無料で相談する

▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する

Googleのお気に入りソースに補助金ポータルを追加する


関連記事