「M&Aで工場を譲り受けたが、生産ラインも在庫管理も別々のまま動いている」「会計システムが2社で違い、グループ全体の数字がいつまでも見えない」――M&Aの成約後、こうした状態を放置したまま数年が過ぎてしまう中小企業は少なくありません。
統合しなければ、期待したシナジーは生まれません。それどころか、二重管理や仕入先の分散といったディスシナジー(=投資しないことによって生まれる非効率)が残り、買収前より収益が悪化することさえあります。とはいえ、設備やシステムの統合には相応の投資が必要です。
そこで活用したいのが、事業承継・M&A補助金のPMI推進枠【事業統合投資類型】です。M&A後の統合効果を最大化するための設備投資等を、最大1,000万円まで補助します。16次公募の公募要領は2026年9月4日に開示され、申請受付は2026年10月2日(金)〜11月6日(金)17:00です。
この記事では、事業統合投資類型の対象者・M&Aの要件・補助額・対象経費・加点事由・他の枠との申請制限までを、16次公募要領にもとづいて補助金ポータルが解説します。
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この記事の目次
事業統合投資類型とは何ですか?制度の概要と2類型の使い分け
PMI推進枠の2類型はどう違いますか?
PMI推進枠には「PMI専門家活用類型」と「事業統合投資類型」の2つがあり、公募要領も別に用意されています。違いは補助の対象です。
| 類型 | 補助対象 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|---|
| PMI専門家活用類型 | PMIを支援する専門家への委託費・謝金・旅費 | 1/2以内 | 150万円 |
| 事業統合投資類型 | 統合効果を高める設備費・外注費・委託費 | 小規模事業者等2/3以内、その他1/2以内 | 800万円(賃上げで1,000万円) |
たとえば「基幹システムの統合方針をITコンサルタントに設計してもらう費用」は専門家活用類型、「実際にシステムを導入する費用」は事業統合投資類型です。士業等の専門家を活用したPMIの実施は、事業統合投資類型では補助対象外と明記されています。
他の枠との申請制限に要注意
事業統合投資類型は、他の枠・類型との同一公募回での申請に制限があります。ここを取り違えると申請そのものが成立しません。
・専門家活用枠(買い手支援類型)と同一公募回での申請は不可
・PMI推進枠のうち、PMI専門家活用類型(単独申請)と同一公募回での申請は不可
・廃業・再チャレンジ枠との併用申請は可能(本補助事業への上乗せ扱いのため、廃業・再チャレンジ枠への別途の申請は不要)
つまり、M&Aの仲介手数料を専門家活用枠で申請する年に、事業統合投資類型を同時に申請することはできません。M&Aの実行と統合投資は、公募回をまたいで設計する必要があります。
16次公募のスケジュールはどうなっていますか?
| 項目 | 時期 |
|---|---|
| 公募要領の開示 | 2026年9月4日(金) |
| 公募申請受付期間 | 2026年10月2日(金)〜11月6日(金)17:00 |
| 採択日 | 2026年12月下旬以降 順次(予定) |
| 交付申請受付期間 | 2027年1月上旬〜2027年11月中旬(予定) |
| 交付決定日 | 2027年1月下旬以降 順次(予定) |
| 補助事業期間 | 2027年1月下旬(予定)から14か月以内 |
| 補助金交付手続き | 2027年10月上旬以降 順次(予定) |
16次公募の説明会は、申込受付が2026年9月9日(水)〜10月7日(水)17:00、開催が2026年10月9日(金)14:00〜のオンライン形式で予定されています。PMI推進枠の問い合わせ窓口は050-3192-6228、受付時間は平日9:30〜12:00、13:00〜17:00です。
事業統合投資類型は誰が申請できますか?対象者とM&Aの要件
対象となる中小企業者等の定義
| 業種分類 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
いずれかの基準を満たせば対象ですが、資本金5億円以上の法人に100%株式を保有される法人、直近3年の課税所得の年平均額が15億円を超える企業、みなし大企業・みなし同一法人に該当する企業は除かれます。社会福祉法人・医療法人・一般社団財団法人・学校法人・各種組合なども対象外です。
なお補助率2/3が適用される小規模事業者等の定義は、製造業その他が従業員20人以下、商業・サービス業が5人以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業が20人以下です。
申請単位は誰になりますか?
申請は承継者(買い手)による申請が原則です。ただし、株式譲渡等で譲り受けた対象会社(子会社)が事業統合投資費用を負担する場合は、承継者たる法人(親会社)との共同申請が必要になります。
| 補助対象者 | M&Aの形態 | 公募申請類型番号 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 承継者(法人) | 株式譲渡・第三者割当増資・株式交換・吸収合併・吸収分割・事業譲渡 | 1 | 承継者が投資費用を負担する場合 |
| 承継者(個人事業主) | 事業譲渡 | 2 | ― |
| 承継者+被承継者 | 株式譲渡・株式交換 | 3 | 子会社が投資費用を負担する場合 |
補助対象となるM&Aの要件
M&Aは、公募申請時点で基本合意に係る契約が締結されており、交付申請時点で最終契約が締結されていることが要件です。また、公募申請時点でM&Aのクロージング日から3年を超えていない取組が対象となります。
実質的な事業再編・事業統合が行われていないと事務局が判断した場合は補助対象外です。主な例は次のとおりです。
- グループ内の事業再編に相当する場合
- 物品・不動産等のみの売買に相当する場合
- 親族間の事業承継に相当する場合、同族関係者・支配関係のある法人間の取引
- 事業再編・事業統合の後に承継者が保有する議決権が過半数にならない場合(吸収分割・事業譲渡を除く)
- 事業再編・事業統合の前に承継者が保有する議決権がすでに過半数の場合
- 譲渡価格が0円、株価1円など取引価格の合理性が確認できない場合
- 事業譲渡で設備・従業員・顧客といった有機的一体の経営資源が引き継がれていない場合
- 休眠会社や事業実態のない会社のM&A
事業統合投資そのものに求められる5つの要件
M&Aの要件に加えて、投資内容についても要件が定められています。
- ① 統合効果(PMI)の最大化を図り、生産性の向上を目的とする設備投資等であること
- ② ディスシナジーの解消やコストシナジーの創出が見込まれること
- ③ 公募申請期日時点で、M&Aのクロージング日から3年以内に実施する取組であること
- ④ 経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用をはじめ地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること
- ⑤ 補助事業期間を含む5年間の補助事業計画において、「付加価値額」または「1人当たりの付加価値額」の伸び率が年3%以上となる計画であること
付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」で計算します。この生産性向上要件の達成状況は、補助事業終了後の事業化状況報告で事務局が進捗を確認します。
第一次産業は対象外
補助事業が第一次産業(農業・林業・漁業)である事業は補助対象外です。主として自家栽培・自家取得した原材料を使用して製造・加工を行っている場合も第一次産業に該当します。
ただし、同一構内の工場で専従の常用従業員を用いて農作物の加工や料理提供を行うなど、2次・3次産業分野に取り組む場合の経費は補助対象となります。この場合も、加工や料理提供の材料である農作物の生産自体に必要な経費は対象外です。
いくらもらえますか?補助率・補助上限額と賃上げ要件
条件別の補助上限額・補助率
| 事業者区分 | 賃上げ | 補助上限額 | 〜800万円相当部分の補助率 | 800万円超〜1,000万円部分の補助率 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模事業者等 | 実施する | 1,000万円 | 2/3以内 | 1/2以内 |
| 小規模事業者等 | 実施しない | 800万円 | 2/3以内 | ― |
| その他の中小企業者等 | 実施する | 1,000万円 | 1/2以内 | 1/2以内 |
| その他の中小企業者等 | 実施しない | 800万円 | 1/2以内 | ― |
| 廃業費(併用時) | ― | 300万円 | 事業費の補助率に従う(1/2または2/3以内) | |
補助下限額100万円にも注意が必要です。交付申請時の補助額が100万円を下回る申請(補助対象経費に2/3または1/2をかけた金額が100万円未満)は受け付けられません。補助率2/3の小規模事業者等なら補助対象経費150万円以上、補助率1/2のその他の中小企業者等なら200万円以上が目安となります。
補助上限を1,000万円に引き上げる賃上げ要件
補助上限を800万円から1,000万円へ引き上げるには、補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)の「従業員1人当たりの給与支給総額」と比較して、基準年度の翌年度の同額の上昇率が3%以上となる賃上げを達成することが必要です。
① 公募申請時までに、3%以上の賃上げを行うことを全ての従業員または従業員代表者・役員に表明する必要があります。表明がされていなかった場合は交付決定の取消および補助金の返還を求められます
② 公募申請時に意向を表明せず、事後的に賃上げを実施して事業化状況報告時に要件を充足しても、補助上限額は800万円のまま変更されません
③ 3%以上を達成できなかった場合、または事業計画期間中の各事業年度末時点で水準を維持できていない場合は、引き上げ額(最大200万円)の返還を求められます(天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合を除く)
なお、審査上の加点事由となる賃上げ要件は上昇率2%以上で、補助上限引き上げ(3%以上)とは水準が異なります。加点だけを狙うのか、上限引き上げまで狙うのかを整理して計画してください。
どんな経費が補助対象になりますか?設備費・外注費・委託費
事業統合投資の実施例
16次公募要領では、事業統合投資の実施例として次の3つが示されています。
- 工場、製造ライン、物流等サプライチェーンの統合に係る設備導入、および導入のための工事
- 業務統合・効率化を目的としたシステムの導入・最適化等
- 販路の拡大・開拓に向けたコンサルティング、ロゴデザイン等の統一、看板の制作等
設備費として認められるもの
- 統合効果の最大化に向けた国内の店舗・事務所等の新築工事、増築工事、改築工事、外構工事、外装工事・内装工事費用
- 同目的に向けて国内で使用する機械装置・工具・器具・備品の調達費用
- 同目的に向けた特定業務用のソフトウェア導入費用(購入による調達に限る。システム開発等、業務委託を伴う場合は外注費または委託費で申請)
設備費は品目1件に対し20万円以上(税抜)の設備のみが申請可能です。また、取得により調達した工事および設備で単価50万円(税抜)以上のものは、補助事業終了後も一定期間、処分等について事務局への承認手続きが必要となります。リース・レンタルで調達した場合はこの義務がありません。
補助対象外となる経費
見落としやすい対象外経費が多いため、計画段階で必ず確認してください。
| 費目 | 主な対象外経費 |
|---|---|
| 設備費 | 金型/DIY工事設備材料費/消耗品(事務用品・食器・布団・ユニフォーム等)/中古品購入費/不動産の購入費/自動車の購入費(リース・レンタルは対象)/汎用性が高く使用目的を特定できない物(パソコン、タブレット、スマートフォン、カメラ等)/海外の工事費用・海外で使用する機械装置等/一般事務用ソフトウェアの購入費・ライセンス費用/交付決定日より前に支払った賃借料/売上原価・製造原価の対象となるもの |
| 外注費 | Webサイトの新規制作・更新等に係る費用/販売用商品の製造・開発の外注費用(パッケージデザインを含む)/求人広告等/団体の会費、フランチャイズ加盟料、一括広告費/経営者・従業員の研修に係る費用 |
| 委託費 | FA業務・仲介業務手数料、DD費用等のM&A成約に向けた業務委託費用/PMI時に専門家に支払う経費/統合等に係る説明会の開催、個別面談、取引先への説明など信頼関係構築に関わる専門家支援費用/顧問契約の範囲内での対応など費用使途が特定できない費用/申請作成を行政書士に委任した費用 |
支払方法と相見積もりのルール
支払方法は、補助事業者名義の口座からの銀行振込またはクレジットカード1回払いのみが対象です。現金払い、手形・小切手、仮想通貨、PayPay・Suica等のキャッシュレス決済は認められません。
相見積は1件50万円以上(税抜)で2者以上が必須、外注費・委託費・システム利用料・保険料は50万円未満でも原則必要です。免除されるのは次の2条件のみで、いずれも証憑の添付が求められます。
- 条件①:選定先以外の2者以上に見積を依頼したが、全ての業者から作成を断られた場合
- 条件②:承継者の仕様・規格等との統一の観点から、複数の購入先での検討が困難と判断される場合(独占販売権や特許の保有、自社仕様にカスタマイズ済みのシステム等)
条件②は統合投資ならではの例外です。「親会社の基幹システムに合わせるため、同一ベンダーでなければ統合できない」といったケースが該当します。選定理由書に加えて、当該業者との契約状況が確認できる証憑(契約書、使用状況がわかる写真等)の提出が必要です。
なお、補助事業により整備した施設等に対して根抵当権を設定することは認められません。建設予定地に「追加担保差入条項」付きの根抵当権が設定されている場合は、金融機関から建物部分に係る根抵当権設定義務の免除について同意を得る必要があります。
審査で加点されるのはどんな企業ですか?11の加点事由
審査の6つの着眼点
- 事業統合投資(統合効果の最大化に向けた設備等投資)の目的・必要性
- 補助事業計画が補助事業期間内に適切に取り組まれるものであること
- 補助事業計画内容が事業統合投資を目的としたものであり、取組の合理性・目的達成の蓋然性が高いこと
- 事業統合投資によって見込まれる統合効果(シナジー等)・地域経済への影響
- 事業統合投資による成長の見込み(自社の事業環境や外部環境を踏まえること)
- 財務内容が健全であること
加点事由の一覧
| 加点事由 | 必要書類の例 |
|---|---|
| 中小企業の会計に関する基本要領・指針の適用 | 顧問会計専門家印のあるチェックリスト |
| 経営力向上計画・経営革新計画・先端設備等導入計画の認定等 | 認定書・承認書および申請書類 |
| 地域未来牽引企業 | 選定証 |
| (連携)事業継続力強化計画の認定 | 認定書および申請書類 |
| ワーク・ライフ・バランス等の推進(えるぼし・くるみん等) | 基準適合一般事業主認定通知書の写し |
| 健康経営優良法人 | 認定証 |
| サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用 | 申込書・請求書等 |
| 賃上げ(1人当たり給与支給総額2%以上)の表明 | 賃金引上げ計画の誓約書、従業員への表明書 |
| 公募申請時点でPMIを実施していること | 統合方針書、打ち合わせ議事録・資料、最終レポート、業務委託契約書、PMI受託業務完了報告書 |
| 公募申請時点でDDを実施していること | DDレポート、業務委託契約書 |
| 米国の追加関税措置による影響 | 影響内容の記載 |
PMI実施の加点が意味すること
事業統合投資類型では、公募申請時点でPMIを実施していること自体が加点事由です。統合方針書や打ち合わせ議事録、最終レポートといった成果物の提出が求められ、Webサイト上には「PMI実施に係る証跡」の参考様式も掲載されています。
これは、先にPMI専門家活用類型で統合の設計を行い、次の公募回で事業統合投資類型に進むという流れが想定されていることを意味します。専門家と統合方針を固めてから設備投資に踏み込むほうが、加点の面でも計画の説得力の面でも有利になります。
事業化状況報告は5年間
事業統合投資類型は、事業化状況報告が補助事業期間終了後5年間と、他の枠より長く設定されています(PMI専門家活用類型や専門家活用枠は3年間、廃業・再チャレンジ枠は1年間)。各事業年度の終了後90日以内に、事業化状況と賃金引上げ等の状況を報告する義務があります。
加えて、取得価額が1件当たり50万円以上(税抜)の取得財産は、事業終了後も一定期間、処分等について事務局の承認が必要です。承認後に処分して収入があった場合は、補助金の一部の納付を求められることがあります。設備を補助金で導入するということは、5年単位の管理義務を負うことでもあります。
事業統合投資類型についてよくある質問にQ&A形式でお答えします
16次公募の申請締切はいつですか?
16次公募の公募申請受付期間は2026年10月2日(金)から2026年11月6日(金)17:00までです。締切日時を過ぎてからの申請は一切受け付けられません。申請にはGビズIDプライムアカウントが必須で、申請・発行には1週間程度、混雑時は3週間程度かかります。未取得の場合は最優先で手続きを進めてください。
専門家活用枠と同じ公募回で申請できますか?
できません。事業統合投資類型は、専門家活用枠(買い手支援類型)との同一公募回での申請が不可とされています。また、PMI推進枠のうちPMI専門家活用類型(単独申請)との同一公募回での申請も不可です。一方、廃業・再チャレンジ枠との併用申請は可能で、この場合は本補助事業への上乗せ扱いとなるため廃業・再チャレンジ枠への別途の申請は不要です。
PMI専門家活用類型とどちらで申請すべきですか?
補助したい費用の性質で決まります。PMI計画の策定や就業規則の統一など専門家への委託費・謝金・旅費を補助したい場合はPMI専門家活用類型(補助率1/2、上限150万円)、製造ラインやシステムの統合など設備投資を補助したい場合は事業統合投資類型(補助率1/2または2/3、上限800万円〜1,000万円)です。両類型は同一公募回で同時に申請できないため、自社の統合フェーズに合わせて選択してください。なお事業統合投資類型では、公募申請時点でPMIを実施済みであることが加点事由となります。
M&Aから何年経過すると使えなくなりますか?
公募申請期日(公募申請の受付終了の日)時点で、M&Aのクロージング日から3年以内に実施する取組であることが要件です。3年を超えたM&Aに関する統合投資は補助対象外となります。またM&Aについては、公募申請時点で基本合意に係る契約が締結されており、交付申請時点で最終契約が締結されていることも必要です。
親族内の事業承継でも事業統合投資類型は使えますか?
使えません。親族間の事業承継に相当する場合は、承継者と被承継者による実質的な事業再編・事業統合が行われたとみなされず、補助対象外となります。グループ内の事業再編、同族関係者間の取引、支配関係のある法人間の取引も同様です。親族内承継や従業員承継で設備投資を支援してほしい場合は、事業承継促進枠の活用を検討してください。
設備費に金額の下限はありますか?
設備費は品目1件に対し20万円以上(税抜)の設備のみが申請可能です。加えて、補助金全体としても補助下限額100万円が設定されており、交付申請時の補助額が100万円を下回る申請は受け付けられません。補助率2/3の小規模事業者等なら補助対象経費150万円以上、補助率1/2のその他の中小企業者等なら200万円以上が申請のおおよその目安となります。
ソフトウェアやシステムの導入費用は補助対象になりますか?
業務統合・効率化を目的としたシステムの導入・最適化は補助対象です。ただし費目に注意が必要で、特定業務用ソフトウェアの購入による調達は設備費、システム開発等の業務委託を伴う場合は外注費または委託費で申請します。一方、一般事務用ソフトウェアの購入費・ライセンス費用、Webサイトの新規制作・更新等に係る費用は補助対象外です。パソコンやタブレット等の汎用性が高い機器も対象になりません。
農業を営む事業者でも申請できますか?
補助事業が第一次産業(農業・林業・漁業)である場合は補助対象外です。主として自家栽培・自家取得した原材料を使用して製造・加工を行っている場合も第一次産業に該当します。ただし、同一構内の工場において専従の常用従業員を用いて農作物の加工や料理提供を行うなど、2次・3次産業分野に取り組む場合に必要な経費は補助対象となります。この場合も、加工や料理提供の材料となる農作物の生産自体に必要な経費は対象外です。
賃上げを公募申請後に決めても補助上限は上がりますか?
上がりません。補助上限額の引き上げには、公募申請時までに3%以上の賃上げを行うことを全ての従業員または従業員代表者・役員に表明し、賃金引上げ計画の誓約書と従業員への表明書を提出する必要があります。公募申請時に意向を表明せず、事後的に賃上げを実施して事業化状況報告時に要件を充足しても、補助上限額は800万円のまま変更されません。また表明がされていなかった場合は、交付決定の取消および補助金の返還を求められます。
相見積が免除されるのはどんな場合ですか?
免除されるのは2条件のみです。①選定先以外の2者以上に見積を依頼したが全ての業者から作成を断られた場合、②承継者の仕様・規格等との統一の観点から複数の購入先での検討が困難と判断される場合です。②は、選定先が日本での独占販売権や特許を保有している、あるいは自社仕様にカスタマイズ済みのシステムで他社に発注できないといったケースが該当します。選定理由書に加えて、当該業者との契約状況が確認できる証憑(契約書、使用状況がわかる写真等)の提出が必要です。
補助金で導入した設備は自由に処分できますか?
できません。取得価額が1件当たり50万円以上(税抜)の取得財産については、事業終了後も一定期間、処分等につき事務局の承認を受ける必要があります。承認後に処分して収入があったときは、補助金の一部の納付を求められる場合があります。また取得した設備は補助対象事業のみに使用しなければならず、補助金の対象設備であることを示すシールの貼付等により他の設備と明確に区別する必要があります。なお、リース・レンタルで調達した場合はこの処分制限の義務はありません。
まとめ|事業統合投資類型16次公募で次に何をすべきですか?
PMI推進枠【事業統合投資類型】は、M&A後の統合効果を最大化するための設備投資等を最大1,000万円(廃業費併用で最大1,300万円)まで補助する制度です。製造ラインの統合、基幹システムの一本化、販路統合に向けたブランド統一など、統合の「実装」段階を支えます。
16次公募の申請受付は2026年10月2日(金)〜11月6日(金)17:00。まず確認すべきは、M&Aのクロージングから3年以内かどうかと、専門家活用枠・PMI専門家活用類型を同じ公募回で申請していないかどうかです。
① 補助率は小規模事業者等2/3・その他1/2、上限800万円(賃上げ3%以上で1,000万円)、下限100万円
② 専門家活用枠 買い手支援類型・PMI専門家活用類型(単独申請)とは同一公募回で申請不可。廃業・再チャレンジ枠との併用は可
③ クロージングから3年以内、付加価値額の伸び率年3%以上の5年計画、第一次産業は対象外
統合投資は、M&Aの成果を数字に変える最後の工程です。設備の納期や工事の工程を踏まえると、交付決定(2027年1月下旬予定)から逆算した準備が欠かせません。GビズIDプライムの取得、相見積の手配、事業計画書の作成を今から並行して進めましょう。
申請を検討される方は、まず補助金ポータルの無料相談で、自社のM&Aが要件を満たすか、どの類型で申請すべきかをご確認ください。
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