大学院の修士課程に進みたい。けれど、学部時代の奨学金の返済を抱えたうえに、さらに2年分の学費と生活費が重くのしかかる。そんな経済的な不安から、進学そのものをためらってしまう方も多いのではないでしょうか。文部科学省の調査でも、大学院進学率は学部卒業生の約1割台にとどまり、その背景には費用負担への懸念が根強くあるとされています。
こうした中、2026年6月、これまで大学新1年生・在学生・大学4年生を対象としていたキーエンス財団が、新たに大学院(修士課程)の学生を対象とした給付型奨学金を新設したのです。給付額は月額12万円、最短修業年限の2年間で総額288万円。しかも返済は一切不要です。
この記事では、新設されたキーエンス財団「大学院(修士課程)対象 給付型奨学金」について、対象となる人の条件、給付額、他の奨学金との併用ルール、応募方法、募集スケジュールまでを、2027年度募集要項にもとづいてわかりやすく解説します。
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この記事の目次
キーエンス財団の大学院(修士課程)奨学金とは?月12万円・返済不要の制度
キーエンス財団の大学院(修士課程)対象 給付型奨学金は、修士課程の学生に月額12万円(年額144万円)を返済不要で給付する制度です。給付対象期間は最短修業年限の2年間で、総額は最大288万円にのぼります。2026年6月8日に専用ホームページと応募サイトが公開された、財団にとって新しい奨学金プログラムです。
キーエンス財団は、計測機器メーカーである株式会社キーエンスによって2018年に設立された公益財団法人です。「新時代を切り拓く、日本の大学生を応援する」という理念のもと、これまで大学新1年生向けの給付型奨学金、在学生向けの応援給付金、大学4年生向けの貸与奨学金返還支援という3つの制度を運営してきました。今回の修士課程向け奨学金は、支援対象を大学院生まで広げた4つ目のプログラムにあたります。
制度の概要
- 給付月額:12万円(年額144万円)
- 給付対象期間:2027年4月~2029年3月(最短修業年限の2年間)
- 総給付額:最大288万円(返済不要)
- 募集人数:100名程度
- 給付方法:毎月25日までに本人名義の口座へ振込(初回は4~6月分をまとめて6月25日までに給付予定)
給付方法にも特徴があります。奨学金は毎月25日までに、当月分が本人名義の金融機関口座へ振り込まれます。ただし初回のみ、2027年4月~6月の3か月分が2027年6月25日までにまとめて給付される予定です。給付日が金融機関の休業日にあたる場合は、その前営業日に給付されます。
キーエンス財団の修士課程奨学金は誰が対象?申請できる人の条件
対象となるのは、2027年4月に日本の大学院(修士課程)へ入学する、24歳以下で経済的支援を必要とする学生です。募集要項では、以下のすべての条件に該当する人が応募資格を持つと定められています。
- 2027年4月に日本の大学院(修士課程、博士前期課程、専門職大学院課程、一貫制博士課程前期)に入学する者
- 2027年4月1日時点で24歳以下である者
- 経済的な支援を必要とする者
- 入学予定の大学院が、財団からの求めに応じて選考に必要な情報を提供することに同意できる者
対象となる課程は、いずれも2年制の正規学生に限られます。ここは見落としやすいポイントです。次に挙げる課程・学生は対象外となります。
対象外となるケース
- 通信教育課程
- 夜間課程
- 長期履修制度を利用する学生
- 留学生
- すでに大学院に在籍している学生(2027年4月入学者が対象のため)
なお、応募は対象となる本人からのみ受け付けられます。大学や大学院を通じた応募や、親などによる代理応募はできません。財団HPから本人が直接応募する公募方式です。スマートフォンからの応募も可能ですが、二次選考に進んだ場合はPDF資料を印刷して提出する必要があります。
キーエンス財団の修士課程奨学金は他の奨学金と併用できる?
他の奨学金との併用は、奨学金の種類によって可否が分かれます。結論として、貸与型奨学金とは併用できますが、他の給付型奨学金とは原則併用できません。ここでいう「併用」とは、期間を一部でも重複して他の奨学金を受給することを指します。
| 他の奨学金との併用可否 | |
|---|---|
| 貸与型奨学金 | 併用可 |
| 給付型奨学金 | 併用不可(ただし海外留学支援の奨学金は併用可) |
| 授業料等減免制度(現金給付ではなく、納付する授業料が実際に減額・免除される制度) | 併用可 |
つまり、日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金(第一種・第二種)を借りながらキーエンス財団の奨学金を受け取ることは可能です。一方で、他団体の給付型(返済不要)奨学金を同時期に受給することはできません。ただし、海外留学を支援する給付型奨学金は例外として併用が認められています。
また、大学院に納付する授業料が実際に減額・免除されるタイプの授業料減免制度は、現金が手元に入るわけではないため併用できます。採用後に併用不可の給付型奨学金を受給していた事実が判明した場合は、奨学生の資格を失うことになるため注意が必要です。
キーエンス財団の修士課程奨学金の応募方法と必要書類
応募は財団HPから本人が直接行う公募方式で、一次選考(Web登録)と二次選考(書類提出)の2段階で進みます。一次選考の段階では書類提出は不要で、Web上での情報登録だけで応募が完了します。
一次選考では、入学予定の大学院の情報(大学院・研究科・専攻)、在籍大学または出身大学等の成績(通算GPA、取得済み単位数)、家庭の状況(家計支持者の収入情報)などを登録します。
二次選考に進んだ場合は、財団HPで自己推薦書を登録したうえで、以下の書類(最新のもの)を財団事務局へ郵送します。
二次選考で郵送する書類
- 在籍大学等の学生証(写真付)のコピー(写真がない場合や卒業済みの場合は運転免許証・パスポート等の公的写真付証書)
- 在籍大学または出身大学等の成績証明書(原本)
- 大学院への入学を証明できる書類(合格通知書・入学許可書等。受験前・結果待ちの場合は受験日・合格発表日がわかる資料)
- 世帯全員分の住民票の写し(原本/発行日から3か月以内・続柄記載あり・マイナンバー記載なし)
- 家計支持者の所得・課税証明書等の原本(令和7年1月1日~12月31日の所得に基づくもの・原則として父母両方分)
- 保険証(マイナ保険証の資格情報など)のコピー(ご家族情報に記載した家族全員分)
郵送の際は、レターパック1通にすべての書類をまとめて入れる必要があります。書類に不足があった場合、いかなる理由であれ受理されません。送付した書類は返却されないため、提出前にコピーを取っておくと安心です。書類の到着確認は、レターパックの追跡サービスを利用します。
キーエンス財団の修士課程奨学金の募集スケジュールと選考の流れ
2027年度(2027年4月入学者対象)の募集は、一次選考のWeb登録が2026年10月1日(木)から11月13日(金)午前10時までの予定です。修士課程への入学前の段階で応募する点が特徴です。
| 2027年度 募集スケジュール(予定) | |
|---|---|
| 一次選考 Web登録 | 2026年10月1日(木)~11月13日(金)午前10時 |
| 一次選考結果通知 | 2026年11月25日(水)に採否をメール送信(予定) |
| 二次選考 書類郵送 | 2026年11月25日(水)~12月24日(木)締切当日消印有効 |
| 二次選考 Web登録 | 2026年11月25日(水)~12月24日(木)午前10時 |
| 二次選考結果通知 | 3月中旬までに本人へ通知 |
| 給付開始 | 2027年4月(初回は6月25日までに4~6月分を給付予定) |
選考は、応募データおよび提出書類をもとに、財団の奨学生選考委員が行います。選考の過程で面接が実施される場合もあります。一次選考を通過した人のみが二次選考に進める流れです。募集人数は100名程度のため、応募にあたっては募集要項の各条件を満たしているかを早めに確認しておきましょう。
採用後に注意したい義務と資格喪失の条件
採用された後は、奨学生として一定の義務を果たす必要があります。義務を怠ると給付の一時停止や資格喪失につながるため、採用後の取り扱いも事前に把握しておくことが大切です。
採用者はまず、入学した大学院の在学証明書の提出、本人名義の振込先口座情報の届け出、誓約・同意事項を記した確認書(本人および保護者等の署名入り)の提出を、指定期日までに行います。
そのうえで、奨学生は次の義務を負います。
- 財団が定めるレポート、直近の成績証明書・在学証明書を期日までに提出すること
- 休学・復学・停学・学籍喪失・最短修業年限での卒業見込みがなくなった場合・辞退・他の給付型奨学金の受給決定・登録情報の変更などがあった場合に、所定の方法で財団へ届け出ること
奨学金が一時停止・資格喪失となる主なケース
- 休学したとき(一時停止)
- レポート等の提出義務を適切に果たさなかったとき(一時停止)
- 大学院に入学しなかった、または入学後に学籍を失ったとき(資格喪失)
- 停学となったとき(資格喪失)
- 本人の責めに帰すべき事由で最短修業年限での卒業ができないと確定したとき(資格喪失)
- 併用が認められていない他の給付型奨学金を受給した事実が判明したとき(資格喪失)
- 提出情報に虚偽があると判明したとき(資格喪失)
なお、この奨学金は大学院卒業後の進路について制約を課すものではありません。キーエンスへの就職などが条件になることはなく、自由な進路選択が認められています。
キーエンス財団の大学院(修士課程)奨学金に関するよくある質問
キーエンス財団の修士課程奨学金はいくらもらえますか?
月額12万円(年額144万円)が給付されます。給付対象期間は最短修業年限の2年間(2027年4月~2029年3月)で、総額は最大288万円です。返済は不要です。
奨学金は返済する必要がありますか?
返済は不要です。キーエンス財団の大学院(修士課程)対象 給付型奨学金は、返還義務のない給付型の奨学金です。
誰が応募できますか?年齢制限はありますか?
2027年4月に日本の大学院(修士課程・博士前期課程・専門職大学院課程・一貫制博士課程前期)に2年制の正規学生として入学する人で、2027年4月1日時点で24歳以下、かつ経済的な支援を必要とする人が対象です。
すでに大学院に在籍していますが応募できますか?
2027年度の募集は2027年4月入学者が対象のため、すでに大学院に在籍している人は対象外です。これから修士課程に入学する人が応募できます。
留学生でも応募できますか?
留学生は対象外です。また、通信教育課程・夜間課程・長期履修制度を利用する学生も対象に含まれません。対象は2年制の正規学生に限られます。
他の奨学金と併用できますか?
貸与型奨学金とは併用できます。一方、他の給付型奨学金とは原則併用できません(ただし海外留学支援の給付型奨学金は併用可)。授業料が実際に減額・免除される授業料減免制度とは併用できます。
応募方法を教えてください。大学を通じて応募するのですか?
大学や大学院を通じてではなく、本人が財団HPから直接応募する公募方式です。親などによる代理応募はできません。一次選考はWeb登録のみで、二次選考に進んだ場合に各種証明書類を郵送します。
募集はいつからですか?
2027年度(2027年4月入学者対象)の一次選考Web登録は、2026年10月1日(木)から11月13日(金)午前10時までの予定です。二次選考の書類郵送・Web登録は2026年11月25日(水)~12月24日(木)です。
募集人数は何名ですか?
100名程度です。選考は応募データと提出書類をもとに財団の奨学生選考委員が行い、過程で面接が実施される場合もあります。
奨学金を受けると卒業後の進路に制約はありますか?
卒業後の進路に制約はありません。キーエンスへの就職などが条件になることはなく、自由に進路を選べます。給付額の使い道も限定されていません。
まとめ
キーエンス財団の大学院(修士課程)対象 給付型奨学金は、2026年6月に新設された、月額12万円・最短2年間で総額288万円を返済不要で給付する制度です。これまで大学生を支援してきた財団が、新たに修士課程の学生まで対象を広げた点が大きな特徴といえます。
対象は2027年4月に日本の大学院(修士課程等)へ入学する24歳以下・経済的支援を必要とする学生で、募集人数は100名程度。一次選考のWeb登録は2026年10月1日から11月13日午前10時までの予定です。本人による直接応募方式で、貸与型奨学金とは併用できる点も、JASSO奨学金を利用しながら進学を考える方にとって心強いポイントです。
修士課程への進学を検討している方や、その費用負担に不安を感じている方は、募集開始前に募集要項の各条件を確認し、応募スケジュールを押さえておきましょう。最新情報や詳細な手続きは、必ずキーエンス財団の公式ページで確認してください。
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