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【令和8年度】既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)とは?最大5,000万円の補助対象・要件・申請スケジュールを解説

公開日:2026/6/22 更新日:2026/6/22
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2050年カーボンニュートラルの実現に向け、既存建築物の省エネ改修が重要性を増しています。新築だけでなく、すでに建っているオフィスビルや商業施設の省エネ性能を高めることは、脱炭素化に向けた重要な取り組みです。

そうした中、国土交通省は令和8年度の「既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)」の公募を開始しました。今年度から、延べ面積が2,000㎡以上の大規模建築物については、ライフサイクル全体のCO2排出量(LCCO2)評価が新たに要件として組み込まれています。

本事業は、民間事業者等が行う省エネ改修工事に対して最大5,000万円(補助率1/3)を支援するもので、バリアフリー改修を併せて行う場合は、当該改修に係る補助額として、最大2,500万円が加算されます。この記事では、令和8年度版の既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)について、対象建築物・補助率・申請要件・公募スケジュールまでをわかりやすく整理して解説します。

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この記事の目次

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既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)とは?

既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)は、国土交通省が所管する補助金で、オフィスビル等の既存非住宅建築物の省エネ改修工事に対し、最大5,000万円(補助率1/3)を補助する制度です。令和8年度予算では「環境・ストック活用推進事業」(36.02億円)の内数として計上され、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて拡充されています。

【制度の基本情報】
・正式名称:既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)
・所管省庁:国土交通省
・対象建築物:既存のオフィスビル等の非住宅建築物
・補助率:1/3
・補助限度額:5,000万円/件(設備改修分は2,500万円まで)
・バリアフリー改修加算:最大2,500万円
・公募期間:令和8年6月19日(金)から7月31日(金)まで

制度の目的:建築物ストックの脱炭素化

本事業の目的は、既存建築物ストックの省エネ化を推進し、関連投資を活性化することです。対象となるのは、既存のオフィスビル等の住宅以外の建築物で、躯体(外皮)や建築設備の省エネ改修工事などを支援します。

建築物分野では、使用時の空調・照明などによるCO2排出だけでなく、建設・維持保全・解体に伴うCO2排出も課題となっています。国土交通省資料では、これらを含めた建築物のライフサイクルカーボンが、我が国のCO2排出量の約4割を占めると示されています。

出典:国土交通省「建築物LCAに係る取組みについて」

こうした背景から、既存建築物の省エネ性能を高めることは、脱炭素化に向けた重要な対策のひとつです。本事業は、単なる設備更新ではなく、躯体改修を含めた建築物全体の省エネ化を促す点に特徴があります。

令和8年度の主な変更点:LCCO2評価実施型への再編

令和8年度の主な変更点は、延べ面積が2,000㎡以上の建築物について、ライフサイクルカーボン(LCCO2)評価の実施が要件に追加されたことです。LCCO2評価とは、建材の製造、施工、使用、維持保全、解体まで、建築物のライフサイクル全体で発生するCO2排出量を算定・評価する考え方です。評価は、実施設計時、見積契約時、竣工時のいずれかの時点で行い、実施後は結果を速やかに国土交通省等へ報告する必要があります。

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既存建築物省エネ化推進事業の補助率・補助限度額はいくら?

本事業の補助率は1/3、補助限度額は1事業あたり5,000万円です。省エネ改修にバリアフリー改修を組み合わせれば、最大で2,500万円が加算されます。事業費の合計は500万円以上であることが要件となっています。

補助率・補助限度額の内訳

補助率と補助限度額の詳細は以下のとおりです。設備改修部分には別途上限が設けられていることに注意が必要です。

項目内容
補助率補助対象費用の1/3
補助限度額(省エネ改修)5,000万円/件
うち設備改修部分2,500万円まで
バリアフリー改修加算2,500万円(省エネ改修補助額を上限)
事業費下限合計500万円以上
事業期間採択年度を含め原則2年以内

なお、日射調整フィルムの工事は補助率が1/6(工事費の1/2を補助対象とし、その1/3を補助)と他より低く設定されています。バリアフリー改修工事は省エネ改修工事の補助額以下に収める必要がある点もポイントです。

補助対象となる工事・費用

補助対象となるのは、躯体(外皮)の改修と建築設備の改修、及びこれらに付随するエネルギー使用量計測等の費用です。具体的には以下のような工事が補助対象となります。

  • 屋根・外壁等の断熱改修、遮熱塗料の塗布
  • 開口部の改修(複層ガラス、二重サッシ等)
  • 日射遮蔽(庇・ルーバー等)、日射調整フィルムの設置
  • 高効率空調・換気・給湯・照明設備への更新
  • 高機能換気設備(全熱交換器、熱交換率40%以上)の設置
  • エネルギー計測・管理機器の設置
  • バリアフリー改修(出入口・廊下・階段・スロープ・エレベーター・便所等)
【補助対象とならない主なもの】
・家庭用エアコン、温水暖房便座、IHクッキングヒーター等の家庭用機器
・容易に脱着できる照明器具、プラグで接続する照明器具
・外灯、看板など屋外に設置する照明
・太陽光発電設備、蓄電池
・屋上緑化、遮熱シート
・耐震診断・耐震改修工事
・省エネルギー性能の表示費用(BELS申請費用等/令和7年度より対象外)

標準単価方式による申請も可能

本事業では、個別の工事費等をもとに補助額を算定する方法のほか、建築物の省エネ効果に応じた標準単価を用いる「標準単価方式」でも応募できます。標準単価方式では、延べ面積に省エネ効果に応じた標準単価を乗じ、その1/3を補助額として算定します。ただし、補助額は「総事業費×0.85×1/3」以下となり、提案申請時に標準単価方式を選択した場合、採択後に別の方式へ変更することはできません。応募時にどちらの方式を選ぶかは、事前に検討しておきましょう。

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既存建築物省エネ化推進事業の対象者と申請要件は?

本事業の対象者は、民間事業者・地方公共団体・独立行政法人・公益法人など幅広く、建築主についての規定は特に設けられていません。ESCO事業者・リース事業者・エネルギーサービス事業者などが建築主と一体的に事業を行う形でも応募できます。一方で、申請には事業要件があり、それらをすべて満たす必要があります。

対象となる建築物と対象外の建築物

本事業の対象は、既存のオフィスビル等の非住宅建築物に限られます。住宅、工場・実験施設・倉庫等の生産用設備を有する建築物の改修は対象外です。

ただし、工場と事務所が混在している建物では、事務所スペース部分のみを対象として申請できます。この場合、建物用途は事務所として応募し、省エネ率の算定も事務所部分のみで計算します。また、非住宅と住宅の複合ビルでは、非住宅部分のみを対象に応募することも可能です。

なお、増築部分の躯体工事・設備工事は対象外ですが、既存部分の省エネ改修・バリアフリー改修は対象になり得ます。改修前に備わっていない設備(例:冷房設備のない学校に新たに冷房を設置)は「新設」となり、補助対象外です。

申請に必須となる要件

応募にあたっては、以下の要件をすべて満たす必要があります。とくに躯体改修と20%省エネ効果は本事業の根幹であり、設備改修のみでの応募はできません。

1.躯体(外皮)の省エネ改修を行うこと(高機能換気設備設置時は換気経路確保の躯体改修で可)
2.建物全体のエネルギー消費量を改修前比20%以上削減(外皮改修面積割合20%超の場合は15%以上)
3.改修後に一定の省エネルギー性能に関する基準を満たすこと
4.改修後の建築物の省エネルギー性能を表示すること(BELS等の第三者評価)
5.エネルギー使用量の実態を把握する計測を行い、継続的なエネルギー管理に取り組むこと
6.省エネ改修とバリアフリー改修の事業費合計が500万円以上であること
7.改修後に耐震性を有すること(新耐震基準適合または耐震改修促進法の基準準拠)
8.原則として、採択後から採択年度の年度末までの間に工事契約等を締結すること
9.事例集等への情報提供に協力すること

さらに、令和8年度から、延べ面積が2,000㎡以上の大規模建築物の改修ではLCCO2評価の実施と国への報告が新たに要件として加わりました。

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既存建築物省エネ化推進事業の公募スケジュールと採択実績

令和8年度の公募・事業登録期間は、令和8年6月19日(金)から7月31日(金)までです。応募にあたっては、事業ホームページで事業登録を行う必要があります。

公募・申請の基本スケジュール

参考までに、令和7年度の実際のスケジュールを以下に示します。令和8年度も同様の流れになる見込みです。

段階令和7年度の実施時期(参考)
公募開始令和7年4月18日
質問受付終了令和7年5月21日 12:00
公募締切令和7年5月23日(消印有効)
採択通知令和7年9月8日

応募は、事業のホームページから事業登録を行ったうえで、申請書類を郵送(消印有効)で提出します。事業登録のみでは正式な応募とはなりません。応募番号を取得したうえで、所定の様式に必要事項を記載し、提出する必要があります。

過去の採択実績(採択率は約51〜90%)

過去の採択実績を見ると、応募件数や採択率は年度によって大きく変動しています。直近の令和7年度は応募49件・採択25件で採択率は約51%でした。

年度応募件数採択件数採択率
令和7年度49件25件約51.0%
令和6年度44件25件約56.8%
令和5年度(第2回)21件19件約90.5%
令和5年度(第1回)49件40件約81.6%
令和4年度(第1回)83件44件約53.0%

応募多数の場合は、躯体改修の割合が高いもの、省エネ効果が高いもの、複数種類の高エネルギー消費設備を改修するものが優先されます。総合的な効果が同水準の場合は、高機能換気設備を含む提案が優先される運用となっています。脱炭素先行地域・SDGs未来都市・スマートシティモデル事業・エコスクール・プラスに採択されているプロジェクトも、評価において考慮されます。

【国土交通省】令和7年度予算閣議決定!防災・脱炭素・地域活性化の重点施策(2025年度)


既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)に関するよくある質問


既存建築物省エネ化推進事業はどんな建物が対象ですか?


対象は既存のオフィスビル等の非住宅建築物です。住宅、工場・実験施設・倉庫等の生産用設備を有する建築物は対象外となります。ただし、工場と事務所が混在している建物では事務所スペース部分のみを対象に申請でき、非住宅と住宅の複合ビルでも非住宅部分のみで応募できます。建物用途は建築物省エネ法の分類に従い、省エネ改修工事後に非住宅として省エネルギー性能評価を受けるものが本事業の対象となります。



補助率と補助限度額はいくらですか?


補助率は補助対象費用の1/3、補助限度額は1事業あたり5,000万円です。うち設備改修部分は2,500万円が上限となります。さらに、省エネ改修工事に加えてバリアフリー改修工事を併せて行う場合、当該工事費として2,500万円または省エネ改修補助額のいずれか小さい額が加算されます。なお、消費税及び地方消費税は補助の対象外です。



令和8年度から導入されるLCCO2評価とは何ですか?


LCCO2評価とは、建築物のライフサイクルカーボン評価のことで、建材の製造・建築・運用・解体までの建築物の一生涯にわたるCO2排出量を算定・評価する手法です。令和8年度の既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)では、延べ面積2,000㎡以上の大規模建築物の増改築・改修について、LCCO2評価の実施と評価結果の国への報告が要件として追加されました。これは2028年度を目途とした建築物LCA制度本格運用に向けた措置です。



設備改修だけでも応募できますか?


原則として、設備改修のみでは応募できません。本事業では躯体(外皮)の省エネ改修を行うことが必須要件となっており、9つの事業要件をすべて満足する必要があります。ただし、高機能換気設備(熱交換率40%以上の全熱交換器など)を設置する場合は、換気経路を確保するための躯体改修で足りるとされており、断熱性能を高める躯体改修は必須ではありません。



省エネ効果はどのくらい必要ですか?


建物全体のエネルギー消費量について、改修前と比較して20%以上の省エネ効果が見込まれることが要件です。ただし、躯体(外皮)の改修面積割合が20%を超える場合は、15%以上の省エネ効果でも応募可能です。また、高機能換気設備を設置する場合は、設置する階単位でエネルギー消費量を改修前比20%以上削減する改修であっても応募できます。省エネ効果の評価では、エネルギー管理等の運用改善効果や太陽光発電による発電量は含めることができません。



複数年度にまたがる事業も対象になりますか?


令和7年度事業から、複数年度にまたがる事業も応募が可能となりました。各年度の事業計画を提出し、原則として補助対象部分の出来高に応じた支払いが完了したものに対して各年度に補助が行われます。ただし、次年度以降の工事分については、次年度予算の状況によるため確定できず、採択をもって次年度以降の補助金交付を約束するものではない点に留意が必要です。なお、採択を受けた年度中に事業着手(工事契約等の締結)をすることが事業要件となっています。



太陽光発電設備や蓄電池は補助対象になりますか?


太陽光発電設備および蓄電池はいずれも補助対象外です。また、太陽光発電による発電量を省エネ効果の計算に加えることも認められません。本事業はあくまで躯体(外皮)と建築設備の省エネ改修を対象とした制度であり、創エネ設備は対象外となっています。また、家庭用エアコン、引掛シーリング等の容易に着脱できる照明器具、屋上緑化、遮熱シート、耐震診断・耐震改修工事も補助対象外です。



バリアフリー改修工事だけでも申請できますか?


バリアフリー改修工事のみの申請は認められません。省エネ改修工事に加えてバリアフリー改修工事を併せて実施する場合に限り、加算として補助対象になります。対象となるバリアフリー改修工事は、出入口・廊下等・階段・傾斜路(スロープ)・エレベーター・特殊な構造のエスカレーター・便所のいずれかで、募集要領の別表4に掲げる仕様を満たす工事です。バリアフリー改修工事に係る補助額は、省エネ改修工事に係る補助額以下となる必要があります。



他の補助金と併用できますか?


本事業の補助対象部分について、他の国庫補助金や国費を財源とする地方公共団体等の補助金を重複して受けることはできません。ただし、補助対象となる部分が明確に切り分けられる場合に限り、他の補助事業の対象部分を除く部分については本事業の補助対象とすることができます。他の補助金の対象となっている場合、または申請を行っている・申請予定がある場合は、補助対象となる部分を明確に切り分けて申請する必要があります。



令和7年度の採択率はどれくらいでしたか?


令和7年度の採択率は約51.0%でした。応募49件に対して採択25件という結果です。過去の採択率は年度により変動が大きく、令和6年度は約56.8%、令和5年度第1回は約81.6%、令和5年度第2回は約90.5%、令和4年度第1回は約53.0%となっています。応募多数の場合は、躯体改修の割合が高いもの、省エネ効果が高いもの、エネルギー消費割合の高い複数種類の設備を改修するもの、総合的な効果が大きいものが優先されます。総合的な効果が同水準であれば、高機能換気設備を含む提案が優先される運用です。



まとめ

既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)は、既存非住宅建築物の省エネ改修工事に対し、最大5,000万円・補助率1/3を支援する国土交通省の補助金制度です。令和8年度からはLCCO2評価実施型として実施され、延べ面積が2,000㎡以上の大規模建築物にはライフサイクルカーボン評価の実施が新たに要件となりました。

オフィスビル等の建物オーナーや、ESCO事業者・リース事業者にとって、躯体改修と高効率設備導入を組み合わせて20%以上の省エネを実現する事業は、補助金を活用することで初期投資負担を抑えながら脱炭素経営を加速できる絶好の機会です。バリアフリー改修との組み合わせで最大7,500万円規模の支援を受けられる点も大きな魅力です。

令和8年度は令和8年6月19日(金)から公募開始しています。最新の公募情報は国土交通省の公式ページや評価事務局のホームページで適宜更新されますので、改修を検討している事業者は早めの情報収集と事業計画の策定を進めましょう。

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