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65歳以上の就業者は22年連続増加|高齢社会白書から読む「高齢者雇用」と企業が使える助成金【2026年】

公開日:2026/6/12 更新日:2026/6/12
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65歳以上の就業者数は、22年連続で前年を上回りました。2026年6月に公表された「令和8年版高齢社会白書」によると、令和7年の労働力人口7,004万人のうち65歳以上は960万人。働く人の13.7%が65歳以上という時代が、すでに到来しています。
一方で、企業側の受け入れ体制はどうでしょうか。70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は34.8%にとどまり、シニア人材の活躍を支える環境整備は道半ばです。人手不足が深刻化するなか、「高齢者雇用」はもはや福祉的な取り組みではなく、企業の競争力を左右する経営課題となりつつあります。
本記事では、令和8年版高齢社会白書のデータから日本の高齢者就業の現状を読み解くとともに、高齢者雇用に取り組む企業が活用できるエイジフレンドリー補助金・65歳超雇用推進助成金・特定求職者雇用開発助成金の3つの支援制度を紹介します。

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この記事の目次

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日本の高齢者就業はどこまで進んでいる?令和8年版高齢社会白書のデータから

高齢社会白書は、高齢社会対策基本法にもとづき政府が毎年国会に提出する年次報告書です。令和8年版では、高齢者の就業が量・率ともに拡大を続けている実態が改めて示されました。

労働力人口の13.7%が65歳以上。就業率は65〜69歳で54.5%


令和7年の労働力人口7,004万人のうち、65〜69歳は403万人、70歳以上は557万人で、65歳以上が労働力人口に占める割合は13.7%に達しています。1980年(昭和55年)の4.9%から、長期的に上昇を続けてきました。

就業率を見ると、65〜69歳で54.5%、70〜74歳で36.2%、75歳以上でも12.6%。つまり、65〜69歳では2人に1人以上が働いている計算です。65歳以上の就業者数は22年連続で前年を上回っており、「65歳=引退」という前提は、統計の上ではすでに崩れているといえるでしょう。

医療・福祉は10年で2.1倍。高齢者が支える産業はどこか

産業別に見ると、65歳以上の就業者が最も多いのは「卸売業、小売業」の131万人。次いで「医療、福祉」の122万人、「サービス業(他に分類されないもの)」の108万人と続きます。
注目すべきは伸び率です。「医療、福祉」の65歳以上就業者は10年前から64万人増加し、約2.1倍に拡大しました。また、就業者に占める65歳以上の割合は「農業、林業」で50.6%と半数を超え、「不動産業、物品賃貸業」で29.0%、「サービス業」で22.4%に達しています。
人手不足が深刻な業種ほど、すでにシニア人材が現場を支えている――。これが白書の示す日本の労働市場の現実です。自社の業界でシニアの活躍が当たり前になる前に、受け入れ体制を整えた企業から人材確保の優位に立てるのではないでしょうか。

企業の対応は進んでいる?70歳までの就業確保措置の実施は34.8%

働く高齢者が増え続ける一方、白書からは企業側の体制整備の遅れも読み取れます。70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は34.8%(8万2,748社)。従業員301人以上の企業では29.5%と、大企業ほど対応されていないというのが実情です。

2021年から努力義務化された「高年齢者就業確保措置」とは

高年齢者就業確保措置とは、改正高年齢者雇用安定法にもとづき2021年4月から企業の努力義務となった、70歳までの就業機会を確保する制度です。具体的には、以下のいずれかの措置を講じるよう求められています。

  • 70歳までの定年引上げ
  • 定年制の廃止
  • 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)の導入
  • 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  • 70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入

白書によると、実施済み企業の措置の内訳は「継続雇用制度の導入」が28.3%と大半を占め、「定年制の廃止」は3.9%、「定年の引上げ」は2.5%にとどまります。65歳までの雇用確保義務とは異なり70歳までの措置はあくまで努力義務ですが、実施率34.8%という数字は、裏を返せば約65%の企業にとってこれからの課題であることを意味します。

2026年4月からは高年齢労働者の労災防止も努力義務に

2026年(令和8年)4月1日に施行された改正労働安全衛生法により、高年齢労働者の特性に配慮した労働災害防止措置が、新たに事業者の努力義務となりました。
背景にあるのは、働くシニアの労災リスクです。2024年の休業4日以上の労災死傷者のうち、60歳以上が全体の3割を超えています。加齢に伴う身体機能の変化により、転倒・腰痛・熱中症などのリスクは若年層より高くなります。「雇用の場を用意する」だけでなく、「安全に働き続けられる職場をつくる」ことまでが、企業に求められる時代になったのです。

非正規率64.9%が示す「雇用の質」の課題

白書では、雇用の質に関する課題も浮き彫りになっています。役員を除く雇用者に占める非正規の割合は、男性の場合55〜59歳では10.5%ですが、60〜64歳で39.8%、65〜69歳では64.9%へと、60歳を境に急上昇します。女性は65〜69歳で83.7%に達します。
定年後の再雇用で給与や処遇が大きく下がる慣行は、シニア人材のモチベーション低下や離職につながりかねません。経験豊富な人材に長く戦力として活躍してもらうには、評価制度・賃金制度・働き方の見直しが避けて通れないテーマとなります。こうした制度整備を後押しするのが、次に紹介する国の支援制度です。

高齢者雇用に取り組む企業が使える3つの支援制度

高齢者雇用に関する国の支援制度は、目的別に「職場の安全対策」「雇用制度の整備」「シニアの採用」の3つに整理できます。自社の課題に合わせて活用を検討しましょう。

エイジフレンドリー補助金|シニアが安全に働ける職場環境づくりを支援

エイジフレンドリー補助金は、60歳以上の高年齢労働者が働く中小企業を対象に、労働災害防止の取り組み費用を補助する制度です。令和8年度は、改正労働安全衛生法の施行に連動して予算額が前年度の7.6億円から9.5億円へ約25%拡充されました。
令和8年度は「専門家総合対策コース」「熱中症対策コース」「コラボヘルスコース」の3コース体制で、移動式スポットクーラーの導入など熱中症対策も対象です。申請受付期間は令和8年5月20日〜10月31日ですが、予算上限に達した場合は早期終了の可能性があるため、早めの準備をおすすめします。制度の詳細は以下の記事で解説しています。

令和8年度エイジフレンドリー補助金とは?いつから・変更点や概要・熱中症対策コースを解説【2026年】

65歳超雇用推進助成金|定年引上げ・継続雇用制度の整備を支援

65歳超雇用推進助成金は、65歳以上への定年引上げや高年齢者の雇用環境整備に取り組む事業主を支援する助成金です。取り組み内容に応じて3つのコースが用意されています。

コース主な内容
65歳超継続雇用促進コース65歳以上への定年引上げ、定年制の廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入等を実施した場合に、措置内容と対象人数に応じて最大240万円を助成
高年齢者評価制度等雇用管理改善コース高年齢者向けの賃金・人事処遇制度、健康管理制度などの雇用管理制度の整備に対して最大60万円を助成
高年齢者無期雇用転換コース50歳以上かつ定年未満の有期契約労働者を無期雇用に転換した場合、対象者1人につき40万円(中小企業)を助成

70歳までの就業確保措置がまだの企業にとって、定年引上げや継続雇用制度の導入と助成金をセットで進められる、最初の一歩に適した制度といえるでしょう。各コースの要件は以下の記事で比較しています。

65歳超雇用推進助成金とは?3コースの要件・支給額を徹底比較【令和8年度版】

特定求職者雇用開発助成金|60歳以上のシニア採用を支援

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は、就職が困難な求職者をハローワーク等の紹介により継続雇用する事業主への助成金で、60歳以上の高年齢者の採用も対象です。中小企業が60歳以上の求職者をフルタイムで雇い入れた場合、60万円が支給されます。
かつて65歳以上の採用を対象としていた「生涯現役コース」は現在廃止され、特定就職困難者コースに統合されています。古い情報のままコース名を探すと迷いやすいため、ご注意ください。対象者や申請の流れは以下の記事をご覧ください。

特定求職者雇用開発助成金(特開金)とは?最大240万円・全4コースの対象者と申請方法【2026年・令和8年】

高齢者雇用は企業に何をもたらす?メリットと実務上の留意点

高齢者雇用の最大のメリットは、採用難の時代における即戦力の確保と技能伝承です。長年培った専門技能・顧客との関係・現場のノウハウは、求人広告では手に入りません。実際、65〜69歳の就業率54.5%・就業者数22年連続増という白書のデータは、「働きたいシニア」という人材プールが拡大し続けていることを示しています。
一方で、実務上の留意点もあります。第一に安全配慮です。60歳以上の労災死傷者が全体の3割を超えるなか、2026年4月からは高年齢労働者への労災防止措置が努力義務となりました。設備や作業環境の改善には、エイジフレンドリー補助金の活用が有効です。
第二に処遇設計です。男性65〜69歳の非正規率64.9%という現状のままでは、優秀なシニアほど条件のよい他社へ流出しかねません。評価制度や無期雇用転換の整備には65歳超雇用推進助成金が活用できます。
「安全対策」「制度整備」「採用」の3つの打ち手に、それぞれ国の支援制度が用意されている今は、高齢者雇用に着手する好機といえるのではないでしょうか。


高齢者雇用と支援制度に関するよくある質問


企業は何歳まで従業員を雇用する義務がありますか?


高年齢者雇用安定法により、企業には65歳までの雇用確保措置(定年引上げ・継続雇用制度の導入・定年制廃止のいずれか)が義務付けられています。さらに2021年4月からは、70歳までの就業機会を確保する「高年齢者就業確保措置」が努力義務となっています。



70歳までの就業確保措置はどのくらいの企業が実施していますか?


令和8年版高齢社会白書によると、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は34.8%(8万2,748社)です。従業員21〜300人の企業では35.2%、301人以上の企業では29.5%と、規模の大きい企業ほど実施率が低くなっています。



65歳以上の就業者はどのくらいいますか?


令和8年版高齢社会白書によると、令和7年の労働力人口7,004万人のうち65歳以上は960万人で、割合は13.7%です。65歳以上の就業者数は22年連続で前年を上回っており、就業率は65〜69歳で54.5%、70〜74歳で36.2%、75歳以上で12.6%となっています。



2026年4月から企業に求められる高齢者向けの安全対策とは何ですか?


2026年(令和8年)4月1日に施行された改正労働安全衛生法により、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善や適切な作業管理など、労働災害防止のための措置を講じることが事業者の努力義務となりました。転倒・腰痛・熱中症対策などが代表的な取り組みです。



エイジフレンドリー補助金はどんな企業が対象ですか?


労災保険に加入し、60歳以上の高年齢労働者が常時1名以上就労している中小企業事業者が対象です(コラボヘルスコースは年齢要件なし)。令和8年度は「専門家総合対策コース」「熱中症対策コース」「コラボヘルスコース」の3コースがあり、申請受付期間は令和8年5月20日〜10月31日です。



65歳超雇用推進助成金ではいくら受け取れますか?


65歳超継続雇用促進コースでは、定年引上げ等の措置内容と対象人数に応じて最大240万円が支給されます。高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは最大60万円、高年齢者無期雇用転換コースは対象者1人につき40万円(中小企業)です。



65歳以上の人を採用した場合に使える助成金はありますか?


特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)が利用できます。60歳以上の高年齢者をハローワーク等の紹介で継続雇用する場合が対象で、中小企業がフルタイムで雇い入れた場合の支給額は60万円です。なお、65歳以上を対象としていた旧「生涯現役コース」は廃止され、現在は特定就職困難者コースに統合されています。



高齢者雇用の助成金と補助金は併用できますか?


目的や対象経費が異なる制度であれば、併用できる場合があります。例えば、定年引上げで65歳超雇用推進助成金を受給しつつ、職場の安全対策でエイジフレンドリー補助金を活用することは制度上想定されています。ただし、同一の経費に対する二重受給はできません。個別の組み合わせは各制度の窓口や専門家にご確認ください。



高齢者を雇用する企業側のメリットは何ですか?


人手不足が深刻化するなかでの即戦力確保、長年培われた専門技能やノウハウの伝承、顧客との関係資産の維持などが挙げられます。65〜69歳の就業率は54.5%と「働きたいシニア」の層は拡大を続けており、受け入れ体制を整えた企業ほど採用面で優位に立ちやすくなります。



高齢社会白書とは何ですか?どこで読めますか?


高齢社会白書は、高齢社会対策基本法にもとづき政府が毎年国会に提出する年次報告書で、高齢化の状況や政府の施策がまとめられています。令和8年版は2026年6月に公表され、内閣府のホームページで全文を無料で閲覧できます。



まとめ:シニアが活躍できる体制づくりは「待ったなし」。支援制度の活用を

令和8年版高齢社会白書が示すとおり、65歳以上の就業者は22年連続で増加し、労働力人口の13.7%を占めるまでになりました。その一方で、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は34.8%にとどまり、企業側の体制整備はこれからが本番です。
2026年4月には高年齢労働者の労災防止措置が努力義務化され、「安全に、意欲を持って長く働ける職場」をつくれるかどうかが問われています。エイジフレンドリー補助金、65歳超雇用推進助成金、特定求職者雇用開発助成金といった支援制度を活用しながら、自社のシニア活躍体制を整えていきましょう。
「自社はどの制度が使えるのか」「何から手を付ければよいかわからない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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