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65歳超雇用推進助成金とは?3コースの要件・支給額を徹底比較【令和8年度版】

公開日:2024/11/22 更新日:2026/7/14
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総務省が2025年に公表した高齢社会白書によれば、65歳以上の就業者数は2004年から22年連続で増加し、2024年時点で930万人を超えました。就業者全体に占める65歳以上の割合も13.5%と過去最高を更新しています。人手不足が深刻化するなか、シニア人材の活用は「選択肢」ではなく「経営課題」に変わりつつあると感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。

こうした流れを後押しするのが「65歳超雇用推進助成金」です。定年引上げ・定年廃止・継続雇用制度の導入や、高齢社員向けの人事制度整備、有期契約者の無期化などに取り組んだ事業主に、最大240万円が支給されます。令和8年4月8日の支給要領改正で、支給額が15〜240万円に引き上げられ、「1事業主1回限り」の制限も廃止されました。専門家への委託要件も廃止され、より使いやすくなっています。

一方、令和8年度は予算枠を意識した運用が明確化され、四半期ごとの予算超過が見込まれる場合は受付停止もあり得ます。JEED公表の令和8年度実績では、6月期だけで申請201件・約1億1,625万円が積み上がっており、早めの準備が重要です。

本記事では、65歳超雇用推進助成金の3コースについて、令和8年度時点の最新要件・支給額・申請の流れを比較整理します。自社に合うコースはどれか、判断の参考にしてください。

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この記事の目次

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65歳超雇用推進助成金とは?3コースで最大240万円を助成

65歳超雇用推進助成金は、高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働ける環境を整えた事業主に支給される助成金です。厚生労働省が制度を所管し、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営を担っています。

助成対象は次の3コースに分かれており、自社の課題と取り組み内容に応じて選択できます。1つの事業主が複数コースを組み合わせて申請することも可能です。

自社の課題・状況選ぶべきコース令和8年度の最大支給額
定年を延ばしたい・継続雇用制度を整えたい65歳超継続雇用促進コース240万円
高齢社員の賃金・勤務・在宅・研修制度を整備したい高年齢者評価制度等雇用管理改善コース60万円+機器導入経費(上限50万円×60%)
有期契約のシニア社員を無期雇用に転換したい高年齢者無期雇用転換コース1人40万円×最大10人=400万円

令和7年4月から「65歳までの雇用確保」が完全義務化

65歳超雇用推進助成金の背景にある高年齢者雇用安定法は、令和7年4月1日に大きな節目を迎えました。改正法の経過措置が終了し、すべての企業に「希望者全員を65歳まで雇用する」措置が完全に義務化されています。

対応方法は「65歳までの定年引上げ」「定年の定めの廃止」「65歳までの継続雇用制度の導入」の3択で、いずれも就業規則等での明文化が必要です。65歳超雇用推進助成金は、この65歳ラインを踏み越えて「66歳以上の雇用確保」や「定年廃止」に踏み込んだ事業主に支給される、「65歳の先」を後押しする制度と位置づけられます。

令和8年4月改正で何が変わった?主な変更点5つ

令和8年4月8日、JEEDは65歳超雇用推進助成金の支給要領を一部改正しました。事業主にとってプラスの変更が中心です。

改正項目令和7年度まで令和8年度以降
継続コースの支給額コース最大160万円15万円〜240万円に拡大
他社による継続雇用制度の助成方式導入経費に対する定率助成対象人数に応じた定額助成に変更
受給回数の制限1事業主あたり1回限り制限を廃止(複数回申請が可能に)
継続雇用制度の対象範囲希望者全員のみ「対象者基準に該当する者」も支給対象に追加
専門家等への委託要件就業規則作成を社労士等に委託し費用を支出することが必須委託要件を廃止
無期雇用転換コースの支給額1人あたり最大30万円1人あたり40万円(中小以外30万円)に増額

特に大きいのは、「1事業主1回限り」の廃止です。過去に65歳定年引上げで助成を受けた企業も、今後70歳への引上げや定年廃止に踏み込めば、改めて助成を受けられるようになりました。段階的に定年制度を見直したい企業にとって、活用余地が広がっています。

全3コース共通の主な要件

いずれのコースも、支給を受けるには次の共通要件を満たす必要があります。

①雇用保険適用事業所の事業主であること
②助成金申請の対象となる期間中の書類等を整備・保管していること
③支給または不支給の決定にあたり、機構が求める調査に協力すること
④高年齢者雇用安定法第8条(60歳未満定年の禁止)または第9条第1項(65歳までの雇用確保措置)の規定を守っていること

65歳超継続雇用促進コース|定年引上げ・廃止で最大240万円

65歳超継続雇用促進コースは、65歳を超える定年年齢の設定や、定年の定めの廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入に取り組んだ事業主に対して、対象被保険者数と措置内容に応じた定額を支給するコースです。3コースの中で最も支給額のレンジが広く、10人以上・定年廃止のパターンでは最大240万円が支給されます。

どんな取り組みが対象になる?

次の4つのいずれかを、就業規則等に定めて労働基準監督署に届け出た事業主が対象です。

対象となる取り組み概要
65歳以上への定年引上げ旧定年年齢(平成28年10月19日以降の最高年齢)を上回る65歳以上への引上げ
定年の定めの廃止就業規則から定年に関する定めそのものを削除
66歳以上の継続雇用制度の導入旧定年年齢および旧継続雇用年齢を上回る66歳以上の雇用継続を制度化
他社による継続雇用制度の導入自社の定年後または継続雇用終了後に、他社が引き続き雇用する制度

継続促進コースの主な要件

継続促進コースの主な要件は、大きく分けて「制度実施」と「高年齢者雇用管理措置」の2つです。令和8年度改正により、専門家(社会保険労務士等)への委託を必須とする要件は廃止されています。

要件内容
制度の実施上記4種類のいずれかを就業規則等に定め、労働基準監督署に届け出ていること
対象被保険者事業主に1年以上継続して雇用された60歳以上の雇用保険被保険者(短期雇用特例被保険者と日雇労働被保険者を除く)で、期間の定めのない労働契約者、または改正前後の就業規則が適用される者
高年齢者雇用推進者の選任高年齢者雇用推進者を選任し、下記7つの高年齢者雇用管理措置のうち1つ以上を実施していること

高年齢者雇用管理措置は、次のいずれか1つ以上を実施していれば要件を満たせます。

高年齢者雇用管理措置(7つのうち1つ以上)
(a) 職業能力の開発および向上のための教育訓練の実施等
(b) 作業施設・作業方法の改善
(c) 健康管理、安全衛生への配慮
(d) 職域の拡大
(e) 知識・経験等を活用できる配置、処遇の推進
(f) 賃金体系の見直し
(g) 勤務時間制度の弾力化

継続促進コースの支給額

支給額は「対象被保険者数」と「実施した措置」の組み合わせで決まります。定年引上げと継続雇用制度の導入を同時に行った場合でも、支給額はいずれか高い額のみとなる点に注意してください。

まず、定年引上げまたは定年の定めの廃止を行った場合の支給額は次のとおりです。

対象被保険者数65歳への引上げ66〜69歳(5歳未満)66〜69歳(5歳以上)70歳以上への引上げ定年の廃止
1〜3人15万円25万円40万円45万円60万円
4〜6人20万円32万円65万円70万円120万円
7〜9人25万円39万円110万円115万円180万円
10人以上30万円46万円135万円140万円240万円

66歳以上の継続雇用制度を導入した場合の支給額は、希望者全員を対象とするか、対象者基準を設けるかで金額が変わります。

対象被保険者数66〜69歳(希望者全員)66〜69歳(対象者基準あり)70歳以上(希望者全員)70歳以上(対象者基準あり)
1〜3人22万円20万円40万円36万円
4〜6人37万円32万円65万円60万円
7〜9人60万円50万円105万円95万円
10人以上90万円75万円130万円120万円

他社による継続雇用制度を導入した場合の支給額は、令和8年度改正で従来の定率助成から定額助成に切り替わっています。

対象被保険者数66〜69歳(希望者全員)66〜69歳(対象者基準あり)70歳以上(希望者全員)70歳以上(対象者基準あり)
1〜3人20万円16万円32万円30万円
4〜6人30万円26万円50万円45万円
7〜9人50万円40万円85万円75万円
10人以上70万円60万円105万円100万円
定年引上げで最大240万円|65歳超継続雇用促進コースの要件・申請方法を解説

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース|制度整備で最大60万円+機器経費

高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは、55歳以上の高齢社員が能力を発揮しやすい人事評価・処遇・労働時間・在宅勤務・研修・健康管理などの制度を整備した事業主に、措置内容に応じた定額を支給するコースです。制度整備に伴って必要となる機器等の導入経費についても、上乗せ助成が受けられます。

対象となる措置は6種類

対象となる高年齢者雇用管理整備措置は、JEEDの令和8年度制度で次の6つに整理されています。

対象となる措置
(1) 高年齢者の職業能力を評価する仕組みを活用した賃金・人事処遇制度の導入または改善(高齢者向けの専門職制度など、高年齢者に適切な役割を付与する制度を含む)
(2) 労働時間制度の導入または改善(短時間勤務・隔日勤務など高齢者の希望に応じた勤務形態)
(3) 在宅勤務制度の導入または改善
(4) 研修制度の導入または改善
(5) 健康管理制度の導入(医師・歯科医師による法定外の人間ドック等)
(6) その他、高年齢者の雇用機会の増大のために必要な雇用管理制度の導入または改善

評価改善コースの主な要件

評価改善コースは、計画認定型の助成金です。計画開始の6か月前から3か月前までにJEEDに計画書を提出し、認定を受けたうえで措置を実施する必要があります。

要件内容
雇用管理整備計画書の提出「雇用管理整備計画書」をJEEDに提出し、計画開始の6か月前の日から3か月前の日までの間に認定を受けること
推進者の選任計画書の提出日前日までに高年齢者雇用推進者を選任していること
措置の実施認定を受けた計画に基づき措置を実施し、計画終了日の翌日から6か月間の運用状況を記録した書類を整備すること
対象被保険者の在籍支給申請日の前日において、当該事業主に1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること(措置の適用後6か月以上継続雇用されていること)
高年齢者雇用安定法の遵守計画書提出日前日から支給申請書提出日前日までの間、高年齢者雇用安定法を遵守していること

評価改善コースの支給額

支給額は「賃金・人事処遇制度の整備((1)の措置)」を行った場合と、それ以外の措置を行った場合で分かれます。あわせて、措置の実施に伴い機器等を導入した場合は、経費に応じた上乗せ助成があります。

実施した措置中小企業中小企業以外
(1) 賃金・人事処遇制度の導入または改善60万円45万円
(2)〜(6) その他の措置(労働時間・在宅勤務・研修・健康管理等)30万円23万円
雇用管理制度の整備に伴う機器等の導入導入経費×60%導入経費×45%

複数の措置を組み合わせた場合も、支給される定額部分は(1)と(2)〜(6)のうちいずれか高い額のみが支給対象となります。機器導入経費に対する上乗せ助成は、経費が50万円を超える場合、50万円を上限として計算されます(中小企業なら最大30万円が上乗せ)。

高齢社員の制度整備で最大60万円を助成|高年齢者評価制度等雇用管理改善コースの要件・申請方法を解説

高年齢者無期雇用転換コース|1人あたり最大40万円で有期契約者を無期化

高年齢者無期雇用転換コースは、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換した事業主に、1人あたり40万円(中小企業事業主以外は30万円)を支給するコースです。「1年ごとに雇用契約を更新してきた57歳のパート社員を、期間の定めのない雇用契約に切り替えた」といったケースが典型例で、1事業所あたり年間10人までを上限に、最大400万円まで受給できます。

令和8年4月の改正で、支給額が従来の1人30万円から40万円へと大きく引き上げられました。

対象となる労働者の要件

対象となるのは、次のすべてを満たす有期契約労働者です。

対象労働者の要件
有期契約労働者としての通算雇用期間が1年以上5年以内であること
50歳以上かつ定年年齢未満であること
無期雇用転換日時点で64歳未満であること
無期雇用転換後に65歳以上まで雇用される見込みがあること
派遣労働者でないこと
労働契約法第18条に基づく労働者からの申し込みによる転換でないこと
過去3年以内に、同一事業主のもとで無期雇用労働者として雇用されたことがないこと

有期雇用契約を通算5年超えたことで労働者から申し込みができる「労働契約法第18条」による無期転換は対象外です。同法上の無期転換権が発生する前に、事業主側の判断で無期化した場合が助成対象となります。また、採用時から無期雇用を約束していた労働者も対象外です。

無期転換コースの主な受給要件(事業主側)

要件内容
無期雇用転換計画の認定「無期雇用転換計画書」をJEEDに提出し、計画開始の6か月前から3か月前までに認定を受けること
無期転換の実施認定計画に基づき、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換していること
継続雇用と賃金支払い転換後6か月分(勤務日数11日未満の月を除く)の賃金を支払っていること
離職者数の要件転換日の前日から起算して6か月前〜1年経過日までの期間に、事業主都合による雇用保険被保険者の離職がないこと
特定受給資格者の割合同期間内に、特定受給資格者となる離職理由(離職区分1A・3A)の被保険者の割合が6%を超えないこと
高年齢者雇用管理措置継続促進コースと同様の7つの措置のうち1つ以上を実施していること

無期転換コースの支給額

区分1人あたり支給額1事業所あたり上限
中小企業事業主40万円年間10人まで(最大400万円)
中小企業事業主以外30万円年間10人まで(最大300万円)

1事業所あたり、1支給申請年度につき10人までが上限です。ベテランのパートスタッフや契約更新を繰り返している契約社員、短時間勤務者などを、労働契約法第18条の5年ルールが発動する前に無期化する用途で多く使われています。

なお、キャリアアップ助成金(正社員化コース)と本コースは併給できません。どちらか一方を選ぶことになりますが、キャリアアップ助成金の無期転換コースは令和4年度で廃止されているため、シニアの無期転換に絞れば本コースが実質的な選択肢となります。

65歳超雇用推進助成金 高年齢者無期雇用転換コースとは?1人40万円・要件と申請の流れ【令和8年度】

65歳超雇用推進助成金の申請方法と注意点

3コースいずれも、申請窓口は事業主の主たる雇用保険適用事業所が所在する都道府県のJEED支部高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)です。持参・郵送・電子申請(e-Gov)から選択できます。

コースごとの申請期間・提出書類

コース申請期間事前計画の要否
65歳超継続雇用促進コース制度実施日の翌月から起算して4か月以内の各月月初〜15日事前計画不要(実施後に申請)
高年齢者評価制度等雇用管理改善コース計画終了日から6か月経過後に支給申請計画開始6か月前〜3か月前に計画書を提出
高年齢者無期雇用転換コース転換後の6か月分賃金支給日の翌日から2か月以内計画開始6か月前〜3か月前に計画書を提出

郵送の場合は消印日ではなく必着が要件です。締切間近の場合は電子申請の活用も検討してください。JEEDは令和7年4月から電子申請に対応し、令和8年5月にはe-Gov電子申請マニュアル第1.4版を掲載しています。

予算超過時の受付停止に注意

令和8年度の65歳超継続雇用促進コースは、月ごと・四半期ごとに予算額上限が設定されており、超過が見込まれる場合は支給申請の受付が停止されることがあります。JEEDが公表している令和8年度実績によれば、6月期だけで申請201件・約1億1,625万円、第1四半期累計で357件・約2億1,249万円が積み上がっており、活用のニーズは高い状況です。

制度実施のタイミングを調整できる場合は、四半期の早い段階で申請する、就業規則の届出日を後ろ倒しにしないなど、受付停止リスクを避ける工夫が有効です。

併給できない助成金と、新規採用に使える別制度

同一の取り組みに対して他の補助金・助成金を受給している場合、65歳超雇用推進助成金は支給対象外となることがあります。特に、高年齢者無期雇用転換コースはキャリアアップ助成金(正社員化コース)と併給できません。

また、本助成金は「今いる高齢社員の雇用継続」を目的とした制度で、新たに高齢者を採用する場合は対象になりません。65歳以上の求職者を新規に採用する場合は、「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース・生涯現役コース)」の活用を検討してください。職場の環境改善や設備投資には「エイジフレンドリー補助金」も併用可能な場合があります。

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65歳超雇用推進助成金に関するよくある質問

65歳超雇用推進助成金はいくらもらえますか?最大240万円は本当?

最大240万円が支給されるのは、65歳超継続雇用促進コースで「定年の定めの廃止」を実施し、対象被保険者数が10人以上のケースです。定年を70歳以上に引き上げた場合は最大140万円、66〜69歳への引上げ(5歳以上)は最大135万円となります。評価改善コースは最大60万円+機器導入経費の上乗せ、無期雇用転換コースは1人あたり40万円×年10人(最大400万円)が上限です。令和8年4月8日の改正で、支給額が15〜240万円のレンジに引き上げられ、「1事業主1回限り」の制限も廃止されました。

65歳超雇用推進助成金は2026年(令和8年度)も継続していますか?いつまでですか?

令和8年度も継続実施されています。JEEDは2026年4月8日に令和8年度制度の情報を公開し、5月15日に「支給申請の手引き(令和8年度版)」を掲載しました。年度単位で毎年制度が更新されるため終了時期はあらかじめ告知されていませんが、各コースには年間の予算枠が設定されており、月・四半期の申請額が予算上限を超える見込みになると受付停止となる可能性があります。令和8年度は6月期だけで継続促進コースの申請が201件・約1億1,625万円積み上がっているため、実施予定がある事業主は早めの申請準備をおすすめします。

パート・アルバイトの高齢社員も対象になりますか?

はい、対象になり得ます。65歳超雇用推進助成金の「対象被保険者」は雇用保険被保険者であることが前提で、雇用形態そのものは問われません。継続促進コースでは1年以上継続雇用された60歳以上の雇用保険被保険者、無期雇用転換コースでは50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者(通算1〜5年)が対象となり、パート・アルバイトでも要件を満たせば対象人数に含まれます。ただし、短期雇用特例被保険者と日雇労働被保険者、派遣労働者は対象外です。週20時間未満で雇用保険に加入していないパート従業員も、原則として対象になりません。

令和8年4月の改正で何が変わりましたか?

65歳超雇用推進助成金の支給要領は、令和8年4月8日に大きく改正されました。主な変更点は5つです。①継続促進コースの支給額を15万〜240万円に拡大、②他社による継続雇用制度の助成方式を経費に応じた定率助成から対象人数に応じた定額助成に変更、③「1事業主1回限り」の受給制限を廃止、④継続雇用制度の対象を「希望者全員」に加え「対象者基準に該当する者」まで拡張、⑤支給要件だった社会保険労務士等への委託費用の支出を不要化。あわせて、無期雇用転換コースの支給額も1人30万円から40万円(中小企業事業主)に増額されています。事業主にとってはプラス方向の改正が中心です。

中小企業以外(大企業)でも受給できますか?

はい、企業規模を問わず対象となる助成金です。ただし、コースによっては中小企業と中小企業以外で支給額が異なります。高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは、賃金・人事処遇制度の整備で中小企業60万円・中小以外45万円、その他の措置は中小企業30万円・中小以外23万円。無期雇用転換コースは1人あたり中小企業40万円・中小以外30万円です。継続促進コースには企業規模による支給額の差はなく、対象被保険者数と措置内容だけで支給額が決まります。

3つのコースを組み合わせて申請することはできますか?

要件を満たせば、複数コースの併用は可能です。たとえば「65歳超継続雇用促進コースで定年を70歳に引き上げ」、あわせて「高年齢者評価制度等雇用管理改善コースで賃金・人事処遇制度を整備」というように、別々の取り組みに対してそれぞれ申請できます。ただし、同一の取り組みや同一の対象者について、複数コースや他の助成金と重複して助成を受けることはできません。無期雇用転換コースはキャリアアップ助成金(正社員化コース)との併給ができない点にも注意してください。

申請から支給までどれくらいの期間がかかりますか?

支給申請から入金までは、標準的なケースで数か月程度を見込んでください。都道府県のJEED支部で添付書類の確認が行われ、審査は機構本部で実施されます。追加照会や現地調査が入る場合もあり、審査完了後の支給決定通知から指定口座への振込までは概ね2〜3週間です。評価改善コース・無期雇用転換コースは計画認定型で、計画提出から実際の入金まで1年以上かかることも珍しくありません。資金繰りに直結する用途で活用する場合は、あらかじめ長めのスケジュールで計画しておきましょう。

就業規則を変えなくても受給できますか?

65歳超継続雇用促進コースについては、就業規則等(労働協約または就業規則)で定年年齢の変更や継続雇用制度の導入を定め、労働基準監督署に届け出ることが必須です。運用面での取扱いだけを変えても対象にはなりません。評価改善コース・無期雇用転換コースについては就業規則の変更が必ずしも必要ではありませんが、賃金・人事処遇制度を整備する場合は就業規則や賃金規程との整合を取る必要があります。令和8年度改正で「就業規則作成の専門家への委託」自体は要件から外れましたが、記載内容の適法性を確保するためにも、社会保険労務士など専門家への相談は依然として有効です。

新たに高齢者を採用したいのですが、この助成金は使えますか?

65歳超雇用推進助成金は、「今いる高齢社員の雇用を継続・拡充する」ための制度で、新規採用そのものは支給対象になりません。高齢者の新規採用には、「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース・生涯現役コース)」の活用が向いています。60歳以上65歳未満は特定就職困難者コース、65歳以上は生涯現役コースが対象で、対象者を継続雇用することで最高60〜70万円が受給できます。あわせて、職場の休憩室・階段・照明など高齢労働者向けの環境改善には「エイジフレンドリー補助金」(最大100万円)も検討できます。

申請書類は電子申請でも提出できますか?

はい、令和7年4月1日から3コースすべてでe-Govによる電子申請が可能になりました。JEEDは令和8年5月13日にe-Gov電子申請マニュアル第1.4版を掲載しており、令和8年度制度の説明動画・e-Gov電子申請の説明動画もJEED公式サイトから視聴できます。郵送は「消印日ではなく必着」が要件のため、締切間近の申請は電子申請の方が確実です。ただし、電子申請でも添付書類の不備は差し戻し対象となるため、事前に手引きで必要書類を確認しておくことをおすすめします。

1事業主1回限りの制限が廃止されたと聞きましたが、過去に受給した企業も対象ですか?

はい、令和8年4月8日改正で「1事業主1回限り」の取扱いは廃止されました。過去に65歳超継続雇用促進コースで助成を受けたことがある企業でも、今後改めて別の措置(例:65歳→70歳への引上げ、定年廃止、他社継続雇用の追加導入など)を実施すれば、令和8年度制度のもとで再度申請が可能です。段階的に定年制度を見直したい企業や、まず65歳定年で申請してから将来70歳へ拡張したい企業にとって、活用の幅が大きく広がる改正となっています。ただし、同一の措置を繰り返し申請することはできません。


まとめ

65歳超雇用推進助成金は、シニア世代が活躍しやすい職場を整えた事業主を後押しする制度です。令和8年4月8日の改正で、65歳超継続雇用促進コースの支給額が最大240万円に拡大され、「1事業主1回限り」の制限や「専門家委託」の必須要件も撤廃されました。無期雇用転換コースも1人あたり40万円に増額されており、活用余地が大きく広がっています。

この記事の要点を整理します。

  • 3コース構成:継続促進コース(定年引上げ・廃止・継続雇用、最大240万円)、評価改善コース(人事制度・在宅・研修等、最大60万円+機器)、無期雇用転換コース(有期→無期、1人40万円×最大10人)
  • 令和8年4月改正のポイント:支給額を15〜240万円に拡大、他社継続雇用は定額助成に、1事業主1回限り廃止、対象者基準ありも支給対象化、専門家委託要件を廃止
  • 共通の背景:令和7年4月1日から「希望者全員65歳雇用確保」が完全義務化。本助成金は「65歳の先」の取り組みを支援
  • 令和8年度の実績:JEED公表の継続促進コース申請は6月期で201件・1億1,625万円、第1四半期累計357件・2億1,249万円。予算枠の月次・四半期上限で受付停止の可能性あり
  • 電子申請対応:令和7年4月からe-Gov電子申請が可能。郵送は必着なので、締切間近は電子申請が安全
  • 新規採用は対象外:シニア採用は「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者・生涯現役コース)」、環境改善は「エイジフレンドリー補助金」を併用検討

3つのコースはそれぞれ申請期間や要件、事前計画の要否が異なります。制度の詳細は、コース別の個別記事とJEED公式サイトに掲載されている「支給申請の手引き(令和8年度版)」で必ず確認してください。高齢社員の活躍推進は、技術継承や人手不足の解消にもつながる経営投資です。改正で使いやすくなった助成金を上手に活用していきましょう。

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